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【発明の名称】 埋設管補修方法
【発明者】 【氏名】山岸 民夫

【要約】 【課題】地盤を掘削することなく、工事期間を大幅に短縮でき、且つ環境汚染や交通障害などを防止することが可能な埋設管補修方法を提供する。

【解決手段】本発明の埋設管補修方法は、埋設管の欠陥部の周辺に生じた地盤内空洞の頂部近傍に地上より小径孔を穿設する工程と、場合により、該埋設管の欠陥部の上流側と下流側とに閉塞装置を設けて閉塞区間を形成すると共に該閉塞区間内に凝固性スラリーの固化を阻止する流体を送入する工程と、該小径孔より骨材及び該凝固性スラリーを送入して該地盤内空洞の一部を充填すると共に該欠陥部より該埋設管内に該凝固性スラリーを漏出させる工程と、該凝固性スラリーの漏出停止後に該埋設管内部を清掃する工程と、該小径孔より骨材及び凝固性スラリーを送入して該地盤内空洞の残り部を充填する工程と、養生して該地盤内空洞の充填物を安定化させる工程とを実施するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 埋設管の欠陥部の周辺に生じた地盤内空洞の頂部近傍に地上より小径孔を穿設する工程と、該小径孔より骨材及び凝固性スラリーを送入して該地盤内空洞の一部を充填すると共に該欠陥部より該埋設管内に該凝固性スラリーを漏出させる工程と、該凝固性スラリーの漏出停止後に該埋設管内部を清掃する工程と、該小径孔より骨材及び凝固性スラリーを送入して該地盤内空洞の残り部を充填する工程と、養生して該地盤内空洞の充填物を安定化させる工程とを実施することを特徴とする埋設管補修方法。
【請求項2】 埋設管の欠陥部の周辺に生じた地盤内空洞の頂部近傍に地上より小径孔を穿設する工程と、該埋設管の欠陥部の上流側と下流側とに閉塞装置を設けて閉塞区間を形成すると共に該閉塞区間内に凝固性スラリーの固化を阻止する流体を送入する工程と、該小径孔より骨材及び該凝固性スラリーを送入して該地盤内空洞の一部を充填すると共に該欠陥部より該埋設管内に該凝固性スラリーを漏出させる工程と、該凝固性スラリーの漏出停止後に該埋設管内部を清掃する工程と、該小径孔より骨材及び凝固性スラリーを送入して該地盤内空洞の残り部を充填する工程と、養生して該地盤内空洞の充填物を安定化させる工程とを順次実施することを特徴とする埋設管補修方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地下の埋設管の欠陥を補修する方法に関し、特に埋設管の欠陥から地盤内の土砂等が流出することにより発生した地盤内空洞を充填すると共に、埋設管の欠陥を効率的に補修する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】道路下の地盤内には、上水道、下水道、或いは都市ガス、電力、通信等の種々の管路が埋設されていることが多く、これらの管路に破損が発生したときは、その破損部分の地盤を掘削して上部の土砂を除去したのち、管路の補修をするのが普通であった。しかしこのように地上から掘削する方法は、大量の土砂を搬出したのち、更に埋め戻す必要があるために工期が長くかかるうえ費用も嵩み、交通の障害となるほか、騒音や粉塵などによる環境汚染の問題もある。
【0003】そこで近時は、地下管路の破損部分を管路の内部から補修する方法、例えば、管内に満たした地盤凝固剤などを欠陥部から地盤内に浸出させると共に凝固させて、欠陥部の周囲を封止固定する方法、埋設管の内面に耐水性塗料などを塗布して、欠陥部を封止するライニングを形成する方法、埋設管内部に可撓性の合成樹脂管を導入した後膨張硬化させて、管内面にライニングを形成する方法などが開発され、地盤を掘削することなく、効率的かつ経済的に管路を補修することができるようになっている。
【0004】一方、地下管路の破損のほか種々の地下設備の建設工事に伴い、地盤内の土砂が流出して図1に示すような空洞が発生することがある。このような空洞は地上から超音波探査などの方法で発見されることもあるが、一般には発見が容易でないことが多く、放置しておくと空洞の規模が拡大して路面の陥没につながるばかりでなく、交通の障害となったり、各種の構築物等の破損をも引き起こしたりすることもある。そのため地盤内の空洞が発見されたときには、先ず埋設管等の欠陥が原因であるかどうかが疑われ、調査が行われることが多い。そしてかかる調査の結果、地下に埋設された管路に欠陥があったうえ、それによって地盤内に空洞が生じたことが判明した場合には、従来のように空洞部分上部の土砂を除去して管路を補修したのちに新たな土砂を充填し、改めて舗装をし直すなどにより、復旧工事を行うのが普通となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように、地上の舗装などを撤去して補修を行った後に埋め戻して舗装する方法には、前述のような経済性や環境汚染などの問題がある。そこで本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、地下の埋設管路の欠陥部を補修すると同時に、かかる欠陥により生じた地盤内空洞を充填するに当たって、地盤を掘削することなく、また作業工程を大幅に簡素化することにより、工事期間を大幅に短縮でき、且つ環境汚染や交通障害などを防止することが可能な埋設管補修方法を提供することを目的とした。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成できる本発明の埋設管補修方法は、埋設管の欠陥部の周辺に生じた地盤内空洞の頂部近傍に地上より小径孔を穿設する工程と、該小径孔より骨材及び凝固性スラリーを送入して該地盤内空洞の一部を充填すると共に該欠陥部より該埋設管内に該凝固性スラリーを漏出させる工程と、該凝固性スラリーの漏出停止後に該埋設管内部を清掃する工程と、該小径孔より骨材及び凝固性スラリーを送入して該地盤内空洞の残り部を充填する工程と、養生して該地盤内空洞の充填物を安定化させる工程とを実施することを特徴とする。
【0007】更に、埋設管の欠陥部の周辺に生じた地盤内空洞の頂部近傍に地上より小径孔を穿設する工程と、該埋設管の欠陥部の上流側と下流側とに閉塞装置を設けて閉塞区間を形成すると共に該閉塞区間内に凝固性スラリーの固化を阻止する流体を送入する工程と、該小径孔より骨材及び該凝固性スラリーを送入して該地盤内空洞の一部を充填すると共に該欠陥部より該埋設管内に該凝固性スラリーを漏出させる工程と、該凝固性スラリーの漏出停止後に該埋設管内部を清掃する工程と、該小径孔より骨材及び凝固性スラリーを送入して該地盤内空洞の残り部を充填する工程と、養生して該地盤内空洞の充填物を安定化させる工程とを実施することを特徴とする埋設管補修方法により、埋設管内部の清掃が容易となり、一層経済的となる。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の埋設管補修方法を、以下に図を参照して説明する。図1において、1は地盤2内に埋設された、例えば下水管などの埋設管であり、1aはその一部に管の折損や接合部のずれ等によって生じた欠陥部である。地盤2内にある地下水は圧力を有しているため、大気と連通している埋設管1内には、欠陥部1aを通じて地盤2内の土砂等が地下水と共に流入し、地盤内空洞2aが発生し易い。こうして発生した地盤内空洞2aは、周囲の土砂等が崩落し流出することにより次第に成長するが、発達するまで地表からは異状が発見されず、地表の舗装3にひび割れなどの変形が認められたときには、地盤内空洞1の頂部が舗装3の直下まで達していることが多い。
【0009】ところで、地下の埋設管を調査した際に欠陥部1aの存在が認められた場合には、その付近の地盤について超音波などによる地下構造探査などを行うことによって、初めて地盤内空洞2aが発見されることがあるが、これは一般的には小規模であって緊急な処置を必要としないことが多い。しかし前記のように、地表に現れた異常などに基づいて地盤内空洞2aが発見された場合には、超音波による探査を行うことなく、直ちに地盤内空洞2aの頂部と推定される位置に小径の孔を穿ち、例えばファイバースコープやテレビカメラ等を挿入して地盤内空洞2aの存在を確認し、その形状や容積等を測定する作業に入る。そして、このような地盤内空洞2aが発見された場合は、地下の埋設管1に異常があることが予想されるので、地盤内空洞2aの原因と想定される地下の埋設管1を調査し、欠陥部1aの存在を確認する手順を取る。
【0010】その後、上記したような地盤内空洞2aについての測定データ及び周辺の土質の観測データなどから、地盤内空洞2a内に充填すべき土砂の性状や必要量などを計算し、土砂や凝固剤その他の資材及び充填用の機材の準備をする。この際に用意する凝固剤としては、土砂などに浸透し易くて欠陥部1aから埋設管1内に漏れ入ることができ、しかも地盤内空洞2aの充填作業を妨げることがないような、適切な凝固遅延時間を有するものであることが必要であるが、更にその使用量は、充填に用いた土砂等の骨材の移動や変位を阻止できる程度の結合強度を示す程度であることが望ましい。かかる凝固剤としては、例えば比較的低濃度のセメントミルクなどの凝固性スラリーを用いることができる。
【0011】このようにして資材や機材の準備が整ったのち、図2及び3に示すように、地盤内空洞2aの上方の地表部から小径孔3aを1個以上、好ましくは2個以上穿つ。また必要に応じて、埋設管1の欠陥部1aを挟んで上流側と下流側に、マンホール1bおよび1cを利用してパッカーなどの閉塞装置4、4を設けることができ、更に洗浄用作業車5などから埋設管1の閉塞装置4、4に挟まれた閉塞区間内に、凝固性スラリーの固化を阻止する流体4aとして、例えば水等を送入しておくこともできる。
【0012】その後、小径孔3aを介して、地盤内空洞2a内に土砂等の骨材および凝固性スラリーを送入するが、骨材と凝固性スラリーとを予め混合したモルタル状の充填用配合物7として、ミキサー車6などを用いて供給してもよく、或いは骨材と凝固性スラリーとを別々に分けて、地盤内空洞2a内に送入するようにしてもよい。骨材と凝固性スラリーとを別々に送入する場合には、先ず土砂等の骨材を地盤内空洞2a内に送入したのちに、凝固性スラリーを送入して骨材に充分浸透させると共に、全体を流動性を示す程度の充填用配合物7に転化することが好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0013】このようにして地盤内空洞2a内の一部に充填された充填用配合物7は、その一部が欠陥部1aから埋設管1内に漏出するが、その際に充填用配合物7に含まれる土砂等の骨材成分は欠陥部1aに詰まり易いため、次第に凝固性スラリー部分のみが漏出するようになり、且つその漏出速度も遅くなる。そこでスラリーの漏出が実質的に停止したときに、閉塞装置4、4を取り外すと共に、埋設管1内への漏出配合物7aや流体4aなどを抜き出して回収し、更に必要に応じて高圧水洗浄などの方法によって埋設管1内を清掃する。
【0014】一方、地盤内空洞2a内の充填用配合物7は、その一部が地盤内の土砂に浸透して平均に締め固められつつ凝固が進むので、必要に応じて骨材や凝固剤を更に追加し、できるだけ層状に充填されるように続いて送入することが望ましい。このようにして地盤内空洞2a内の全てに充填用配合物7を充満させ、その後、全体が凝固安定化するまで養生する。そして所定時間の養生を経たのちに、超音波検査などの方法により地盤内空洞2aの充填状態を確認し、小径孔3aを穿った部分の再舗装などを行って、埋設管1の補修工事を完了する(図4)。
【0015】本発明の埋設管補修方法を実施するに当たり、地盤内空洞に充填される充填用配合物の組成は、特に限定されるものではなく、骨材と凝固剤との比率が一定であっても構わない。しかし、最初に地盤内空洞に送入されて埋設管の欠陥部を封止すると同時に、その周囲の地盤を安定化するに用いられる配合物の組成は、それ以後に地盤内空洞を充填するための配合物の組成に比べて、凝固剤、例えばセメントなどの配合量を多くしたものとすることが好ましい。そしてまた、地盤内空洞を充填するための配合物の組成は、凝固剤の配合量を初期の配合物の組成に比べて少なくする代わりに、骨材の配合を充填密度が高くなるように調整したものとすることが好ましい。このような異なった配合を有する充填用配合物を組み合わせて使用すれば、埋設管の欠陥部を確実に補修できて、しかも凝固剤の使用量が節約できるばかりでなく、別な機会に地盤内空洞部を掘削する必要が生じた場合などで、再掘削が困難となるような心配がないという利点がある。
【0016】
【発明の効果】本発明の埋設管補修方法は、地盤を掘削することなくして埋設管の欠陥部を容易に補修できるばかりでなく、同時に地盤内空洞をも簡単に充填できるものであり、補修部分を含む地盤の強度を充分に高くすることができるうえに、工数が少なく且つ工期も短くて済み、工事終了後は直ちに路面の使用ができるので、交通を阻害する時間が少なく、また工事に伴う環境汚染の恐れが殆どなく、しかも工事費用も削減できるという効果がある。
【出願人】 【識別番号】593116560
【氏名又は名称】日工建設株式会社
【識別番号】593055317
【氏名又は名称】有限会社タム・テック
【出願日】 平成9年(1997)6月20日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄 (外1名)
【公開番号】 特開平11−13985
【公開日】 平成11年(1999)1月22日
【出願番号】 特願平9−163919