トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F16 機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段




【発明の名称】 クランプ付電気融着継手
【発明者】 【氏名】北澤 茂男

【氏名】五味 知佳士

【氏名】佐久 一典

【要約】 【課題】固定用の工具を用いないで樹脂管と確実強固な融着を行うことができる電気融着継手を提供する。

【解決手段】継手本体2の端部6におねじ7と内方に向かって細くなるテーパ内面8とを形成し、めねじ11を形成した外環部10とテーパ内面13と樹脂管20を挿入する内周面16とを形成した内環部12とを有する固定体9のめねじ11を継手本体2のおねじ7にねじ込みテーパ外面13をテーパ内面8に接面させ、更にねじ込んで固定体9の内環部12を縮径させ、内環部12の内周面16で樹脂管20の外面21を強圧して電気融着継手1に樹脂管20を固定させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 熱可塑性樹脂製継手本体の継手内面に電気発熱素子を埋設し、この継手本体に挿入した熱可塑性樹脂管と電気融着接続する電気融着継手において、この継手本体の端部の外周面にはおねじを、内周面には内方に向かって細くなるテーパ内面を形成し、このおねじと螺合するめねじを形成した外環部とこのテーパ内面に接面するテーパ外面と前記樹脂管を挿入する内周面とを形成した内環部とを有する剛性樹脂で形成した固定体を、そのめねじを前記おねじに螺合させてねじ込み、前記両テーパ面によって前記内環部の内周面を挿入した樹脂管の外面に圧接させて樹脂管を固定するようにしたことを特徴とするクランプ付電気融着継手。
【請求項2】 上記の固定体の内環部の軸線方向と平行に先端方向に向かって切り開いた放射状の切割り溝を、周方向にほぼ等分に離して複数個設けた請求項1に記載のクランプ付電気融着継手。
【請求項3】 上記の継手本体のテーパ内面及び上記の固定体の内環部のテーパ外面をそれぞれテーパ角度を変えた2つのテーパ面で構成し、この内環部先端部のテーパ角度をその奥側のテーパ角度よりも大きくし、これらのテーパ内面とテーパ外面とは上記のテーパ角度が小さい方が先に接面するように構成した請求項1又は2に記載のクランプ付電気融着継手。
【請求項4】 上記の固定体の内周面に断面がほぼ三角形又は台形の筋状の突起をこの固定体の軸線方向と平行に又は傾斜させてあるいは円周状に複数個設けた請求項1乃至3に記載のクランプ付電気融着継手。
【請求項5】 上記の固定体の外環部の外周面に断面がほぼ長方形又は台形の突部又は溝をこの固定体の軸線方向と平行に複数個設けた請求項1乃至4に記載のクランプ付電気融着継手。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂管と電気融着させる電気融着継手に関し、更に詳しくは、熱可塑性樹脂製継手本体と剛性のある樹脂で形成した固定体とからなり、この継手本体の継手内面に電気発熱素子を埋設し、熱可塑性樹脂管と電気融着する電気融着継手に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂管と接続する管継手には種々のものがあるが、継手内面にニクロム線の如き電気発熱素子を埋設してこれに熱可塑性樹脂管を挿入し、電気発熱素子に通電し発熱させて継手と管とを融着させる電気融着継手が広く用いられている。
【0003】しかし、熱可塑性樹脂管の接続端部の外径寸法には当然許容される誤差があり、このため電気融着継手の継手内面の内径寸法は大き目に決められ、更にこの寸法に加工許容差が加えられる。このため、電気融着継手に樹脂管を挿入した時に管と継手との間に隙間を生じて、管と継手とが同軸に保たれなかったり、軸線方向の位置決めが不確かになったりする。
【0004】この状態で電気発熱素子に通電して電気融着継手の継手内面とこれに面する樹脂管の外面を加熱溶融させた時に、継手内面と樹脂管の外面との間の隙間が不均等であるために樹脂管の外面での溶融が不均一になり、溶融樹脂が冷却固化する時に融着不良部を生じることがある。また、溶融樹脂が結晶化温度以下に冷却される前に継手や樹脂管が溶融樹脂の圧力や外力によって移動して、接続界面が動いて強固に融着接続させることができないこともある。
【0005】このような融着不良を防ぐために、図5に示したような融着作業用の工具31を用いて融作することが多い。図5において、32は電気融着継手、33及び34は熱可塑性樹脂管である。
【0006】上記のような融着作業用工具は、次に述べるように多くの課題を有しているので、特開平6−265083号公報や特開平7−251456号公報に示されたように、電気融着継手の接続端において継手内径と樹脂管の外面との間にくさびを挿入して電気融着継手に樹脂管を固定する方法や、特開平7−329186号公報に示されたように、電気融着継手の内周面にめねじを設け、これに樹脂管の先端に加工したおねじをねじ込んで電気融着継手に樹脂管を固定する方法などが提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したように融着不良を防ぐために図5に示したような融着作業用の工具31を用いる場合には、これらの工具を樹脂管のサイズごとにそれぞれ準備する必要がある。また、充分な接着強度が得られる結晶化温度以下にまで冷却するのに可成りの時間を要し、この間この融着作業用の工具を樹脂管から取外すことができないので、次の工程に進めなくなる。このために、樹脂管の同じサイズに対して複数個の工具を準備しておく必要がある。したがって、この融着作業用の工具を用いる方法は経費高になる。
【0008】更に、この融着作業用の工具を用いる方法は、狭い作業空間で使用するのに不便であり、取付け作業に工数を要するだけでなく、冷却後の工具回収にも手間がかかり、配管作業に多くの工数が必要になる。
【0009】次に、特開平6−265083号公報や特開平7−251456号公報に示されたような、電気融着継手の接続端において継手内径と樹脂管の外面との間にくさびを挿入して電気融着継手に樹脂管を固定する方法では、前者では、くさびとしてテーパ状のスティフナー部を有する抜け止め部材を用いており、この抜け止め部材が特異な形状のもので高価なものである。また、後者では同一の円周部に複数個のくさびを個々に打込んで挿入するようになっており、電気融着継手と樹脂管との間の隙間が均一になるように複数個のくさびを挿入することは、極めて厄介な作業であり、特に狭隘な作業空間では至難なことである。
【0010】また、特開平7−329186号公報に示されたような、電気融着継手の内周面にめねじを設け、これに樹脂管の先端に加工したおねじをねじ込んで電気融着継手に樹脂管を固定する方法では、配管現場に応じた長さに樹脂管を切断した後におねじの加工を行わなければならず、それだけ現場での作業が厄介になる。
【0011】本発明が解決しようとする課題は、従来の様々な電気融着継手を用いて樹脂管と電気融着接続を行う場合の、上述したような様々な問題点である。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を達成するためになされたものであって、熱可塑性樹脂製継手本体の継手内面に電気発熱素子を埋設し、この継手本体に挿入した熱可塑性樹脂管と電気融着接続する電気融着継手において、この継手本体の端部の外周面にはおねじを、内周面には内方に向かって細くなるテーパ内面を形成し、このおねじと螺合するめねじを形成した外環部とこのテーパ内面に接面するテーパ外面と前記樹脂管を挿入する内周面とを形成した内環部とを有する剛性樹脂で形成した固定体を、そのめねじを前記おねじに螺合させてねじ込み、前記両テーパ面によって前記内環部の内周面を挿入した樹脂管の外面に圧接させて樹脂管を固定するようにした。
【0013】この場合、上記の固定体の内環部の軸線方向と平行に先端方向に向かって切り開いた放射状の切割り溝を、周方向にほぼ等分に離して複数個設けるとよい。また、上記の継手本体のテーパ内面及び上記の固定体の内環部のテーパ外面をそれぞれテーパ角度を変えた2つのテーパ面で構成し、この内環部先端部のテーパ角度をその奥側のテーパ角度よりも大きくし、これらのテーパ内面とテーパ外面とは上記のテーパ角度が小さい方が先に接面するように構成するとよい。
【0014】更に、上記の固定体の内周面に断面がほぼ三角形又は台形の筋状の突起をこの固定体の軸線方向と平行に又は傾斜させてあるいは円周状に複数個設けるとよい。また、上記の固定体の外環部の外周面に断面がほぼ長方形又は台形の突部又は溝をこの固定体の軸線方向と平行に複数個設けるとよい。
【0015】上記のように構成したので、先ず、熱可塑性樹脂製継手本体の外周面のおねじに剛性のある樹脂で形成した固定体の外環部のめねじを螺合させて、継手本体に固定体が組付けてあるこのクランプ付電気融着継手に、固定体を僅か緩めた状態で熱可塑性樹脂管を挿入し、固定体をねじ込むと、固定体の内環部のテーパ外面が継手本体の端部の内周面のテーパ内面に接面し、固定体を更にねじ込むと、接面している両テーパ面の作用よって固定体の内環部が縮径するように変形してその内周面が挿入してある樹脂管の外面を強圧し、樹脂管をこの電気融着継手に固定させる。
【0016】この場合、固定体の内環部は当然継手本体と同じ状態で縮径するので、継手本体と樹脂管とは同心に固定される。この状態で継手本体の継手内面に埋設してある電気発熱素子に通電して発熱させると、熱可塑性樹脂製継手本体のこの継手内面と対面する熱可塑性樹脂管の外面が溶融する。通電を止めて放熱させ冷却させると、溶融した樹脂が結晶化温度以下で結晶化し固定して、継手本体と管とを強固に接続させる。そして、この両者は固定体によって同心に固定されていたので、両者の間での樹脂の溶融固化が均一であり、両者の間に移動がないので欠陥なく固化し、継手と管とが同心に確実強固に融着接続される。
【0017】また、固定体の内環部には周方向にほぼ等分に離して複数個の切割り溝が設けてあるので、固定体を継手本体にねじ込んだ時に、固定体の内環部は両テーパ面の作用によって極めて容易に縮径することができる。
【0018】継手本体のテーパ内面と固定体の内環部のテーパ外面との接面は、最初にテーパ角度が小さい内環部の奥側において生じ、固定体を継手本体にねじ込むことによるこの両テーパ面の作用によって内環部を縮径させて、通常の外径寸法の樹脂管の外面を固定体の内環部の内周面が強圧して、継手本体に樹脂管を固定させる。
【0019】しかし、外径寸法が比較的小さい樹脂管においては、上記のテーパ角度が小さい両テーパ面の作用による内環部の縮径では継手本体に樹脂管を固定させるに到らない場合がある。この場合には、固定体を更に継手本体にねじ込んで、テーパ角度が大きい内環部の先端部においてそのテーパ外面を継手本体のテーパ内面に接面させて内環部を縮径させると、テーパ角度が大きいために縮径度も大きく、外径寸法が比較的小さい樹脂管も、大きく縮径した内環部によって継手本体に確実に固定される。
【0020】固定体の内周面にに設けた複数個の断面がほぼ三角形又は台形の筋状の突起は、固定体をねじ込んで樹脂管と継手とを固定する以前でも、樹脂管を支えて樹脂管と継手とをほぼ同心に配置させるためのもので、外径寸法が比較的大きい樹脂管を接続する場合には、樹脂管が挿入される時に、筋状の突起の阻害する部分が、その体積は比較的小さいので、挿入される樹脂管によって容易に破砕される。
【0021】なお、固定体の外環部の外周面に断面がほぼ長方形又は台形の突部又は溝を設けたので、これに工具を掛けて、固定体を継手本体に容易にねじ込むことができる。
【0022】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明のクランプ付電気融着継手の一実施形態を示す部分縦断面図であって、この継手に樹脂管を挿入した状態を示している。図2は図1の拡大部分縦断面図であり、図3は図1に示した固定体の斜視外観図である。また、図4は、図1に示した継手の樹脂管を挿入してない状態を示す部分縦断面図である。
【0023】図1乃至図4において、1はクランプ付電気融着継手、2は熱可塑性樹脂製の継手本体であって、これの継手内面3には電気発熱素子4が埋設してあり、5はその接続端子である。継手本体2の端部6の外周面にはおねじ7が、内周面には内方に向かって細くなるテーパ内面8が形成されている。なお、このテーパ内面8は、図2において8a及び8bで示したテーパ角度が異なる2つのテーパ内面で構成されており、テーパ内面8aのテーパ内面αはテーパ内面8bのテーパ角度βよりも小さくなっている。
【0024】9は固定体であって、その外環部10には継手本体2のおねじ7に螺合するめねじ11が形成されており、内環部12には継手本体2のテーパ内面8に接面するテーパ外面13が形成されている。なお、このテーパ外面13も2つのテーパ外面13aと13bとで構成されており、それぞれのテーパ角度は、上記のテーパ内面8a、8bと同じくαとβである。ただし、テーパ内面8aとテーパ外面13aとの接面がテーパ内面8bとテーパ外面13bとの接面よりも先に接触する。
【0025】また、固定体9の内環部12に、図3に示したように、軸線方向に平行で先端14の方向に切り開いた放射状の切割り溝15を、周方向にほぼ等分に離して複数個(図3に示した固定体9では4個)設けてある。
【0026】更に、固定体9には、図4に示したように、内周面16に断面がほぼ三角形の筋状の突起17が軸線方向に複数個(図4に示した例では4個)設けてあり、固定体9の外環部10の外周面18に断面がほぼ長方形の突部19が図3に示したように設けてある。
【0027】次に、図1乃至図4に示した上述の実施形態について、その作用を説明する。継手本体2の外周面18のおねじ7に固定体9のめねじ11を螺合させて、継手本体2に固定体9が組付けてあり、図1及び図2に示したように固定体9を僅か緩めた状態で熱可塑性樹脂管20を挿入し、固定体9をねじ込むと、固定体9の内環部12のテーパ外面13が継手本体2のテーパ内面8に接面し、固定体9を更にねじ込むと、接面している13と8の両テーパ面の作用によって、固定体9の内環部12が縮径するように変形して、その内周面16が挿入してある樹脂管20の外面を強圧し、樹脂管20をこの電気融着継手1に固定させる。
【0028】この場合、固定体9の内環部12は継手本体2と同心状態で縮径するので、継手本体2と樹脂管20とは全く同心に固定される。この状態で継手本体2の継手内面3に埋設してある電気発熱素子4に通電して発熱させると、熱可塑性樹脂製の継手本体2のこの継手内面3とこれに対面する熱可塑性樹脂管20の外面21が溶融する。
【0029】通電を止めて放熱させ冷却させると、溶融した樹脂が結晶化温度以下で結晶化し固化して、継手本体2と樹脂管20とを強固に接続させる。そして、この両者は固定体9によって全く同心に固定されていたので、両者の間での樹脂の溶融固化が均一であり、両者の間の移動がないので欠陥なく固化し、継手1と管20とが同心に確実強固に融着接続される。
【0030】固定体9の内環部12には複数個の切割り溝15が設けてあるので、固定体9を継手本体2にねじ込んだときに、固定体9の内環部12はテーパ面8と13の作用によって極めて容易に縮径することができる。
【0031】上述のテーパ内面8とテーパ外面13との接面は、先にテーパ角度αが小さいテーパ内面8aとテーパ外面13aとにおいて生じ、固定体9を継手本体2にねじ込むことによるこの両テーパ面8aと13aとの作用によって内環部12を縮径させて、通常の外径寸法の樹脂管20の外面21を固定体9の内周面16が強圧して、継手本体2に樹脂管20を固定させる。
【0032】しかし、外径寸法が比較的小さい樹脂管20においては、上記のテーパ角度αが小さい両テーパ面8aと13aとの作用による内環部12の縮径では継手本体2に樹脂管20を固定させるに到らない場合がる。この場合には、固定体9を更に継手本体2にねじ込んで、テーパ角度βが大きいテーパ外面13bをテーパ内面8bに接面させて内環部12を縮径させると、テーパ角度βが大きいために縮径度も大きく、外径寸法が比較的小さい樹脂管20も、大きく縮径した内環部12によって継手本体2に確実に固定される。
【0033】固定体9の内周面16に設けた複数個の筋状の突起17は、固定体9をねじ込んで樹脂管20と継手1とを固定する以前でも、樹脂管20を支えて樹脂管20と継手1とをほぼ同心に配置させるためのもので、外径寸法が比較的大きい樹脂管20を接続する場合には、樹脂管20が挿入される時に、筋状の突起17の阻害する部分が、その体積は比較的小さいので、挿入される樹脂管20によって容易に破砕される。
【0034】固定体9の外環部10の外周面18に突部19を設けたので、これに工具を掛けて、固定体9を継手本体2に容易にねじ込むことができる。
【0035】
【発明の効果】本発明のクランプ付電気融着継手は、樹脂管をこの継手に挿入した時にすでに両者がほぼ同心になり、両者を容易に確実に同心状態に固定することができ、したがって融着は確実強固なものになる。しかも、この固定に特別の固定用の工具やくさび状の抜け止め部材を必要としないもので、狭い作業空間でも作業が容易であり、樹脂管にねじなどの加工をする必要もないので、作業工数が少なくてすみ、極めて経済的である。
【出願人】 【識別番号】390002381
【氏名又は名称】株式会社キッツ
【出願日】 平成9年(1997)6月26日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】小林 哲男
【公開番号】 特開平11−13982
【公開日】 平成11年(1999)1月22日
【出願番号】 特願平9−184631