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【発明の名称】 電気融着継手とその固定方法
【発明者】 【氏名】北澤 茂男

【氏名】五味 知佳士

【氏名】佐久 一典

【要約】 【課題】固定用の工具を用いないで樹脂管と確実強固な融着を行うことができる電気融着継手と、これと樹脂管と融着前の固定方法とを提案する。

【解決手段】継手内面5の内径寸法が樹脂管外面削り器具7によって削られた外径寸法の樹脂管4を挿入するのに適しており、この樹脂管4に固定リング3が挿入して固定してあり、この固定リング3の外周面12を継手本体2の内径部9に、突起13を挿入溝11に挿入し、固定リング3を継手本体2に対して回転させて突起13を円周溝10の中を移動させて固定させるようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電気発熱素子を埋設した継手本体の内面に樹脂管を挿入して融着する電気融着継手において、この継手本体の端面から所定寸法の間に樹脂管の一部に固着した固定リングの外径寸法と略同一の内径部を設け、この内径部の内側に円周溝を形成し、この円周溝と上記端面との間にこの円周溝と略同じ深さの軸線方向の挿入溝を1個所以上形成し、また、固定リングの外周面に突起を設け、上記継手本体の内径部に挿入して上記突起が上記挿入溝を通って円周溝に入り、この固定リングを継手本体に対して回転させた時にこの突起がこの円周溝を移動して係止するように構成したことを特徴とする電気融着継手。
【請求項2】 上記固定リングの内周面に断面がほぼ三角形又は台形の直線状又は波形状の筋状の突起を固定リングの軸線方向と平行に又は傾斜させて複数個設けたことを特徴とする請求項1記載の電気融着継手。
【請求項3】 電動ドリルに固定した樹脂管外面削り用の器具の先端面に固定リングを同心に装着し、この固定リングの内径穴に樹脂管を挿入し上記電動ドリルを回転させながら押し付けて、上記樹脂管の外面を所定の長さ削り上記固定リングを所定の位置まで押し入れ、上記電動ドリルを抜き出した後に上記樹脂管を電気融着継手の継手本体に挿入し、この継手本体と上記固定リングとを結合させて上記電気融着継手と上記樹脂管を固定するようにしたことを特徴とする電気融着継手と樹脂管との固定方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂管と電気融着させる電気融着継手とその固定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂管と接続する管継手には種々のものがあるが、継手内面にニクロム線の如き電気発熱素子を埋設して、これに熱可塑性樹脂管を挿入し、電気発熱素子に通電し発熱させて継手と管とを融着させる電気融着継手が多く用いられている。
【0003】しかし、熱可塑性樹脂管の接続端部の外径寸法には当然許容される誤差があり、このため電気融着継手の継手内面の内径寸法は大き目に決められ、更にこの寸法に加工許容差が加えられる。このため、電気融着継手に樹脂管を挿入した時に管と継手との間に隙間を生じて、管と継手とが同軸に保たれなかったり、軸線方向の位置決めが不確かになったりする。
【0004】この状態で電気発熱素子に通電して電気融着継手の継手内面とこれに面する樹脂管の外面を加熱溶融させた時に、継手内面と樹脂管の外面との間の隙間が不均等であるために樹脂管の外面での溶融が不均一になり、溶融樹脂が冷却固化する時に融着不良部を生じることがある。また、溶融樹脂が結晶化温度以下に冷却される前に継手や樹脂管が溶融樹脂の圧力や外力によって移動して、接続界面が動いて強固に融着接続させることができないこともある。
【0005】このような融着不良を防ぐために、図5に示したような融着作業用の工具31を用いて融作することが多い。図5において、32は電気融着継手、33及び34は熱可塑性樹脂管である。
【0006】上記のような融着作業用工具は、次に述べるように多くの課題を有しているので、特開平6−265083号公報や特開平7−251456号公報に示されたように、電気融着継手の接続端において継手内径と樹脂管の外面との間にくさびを挿入して電気融着継手に樹脂管を固定する方法や、特開平7−329186号公報に示されたように、電気融着継手の内周にめねじを設け、これに樹脂管の先端に加工したおねじをねじ込んで電気融着継手に樹脂管を固定する方法などが提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したように融着不良を防ぐために図5に示したような融着作業用の工具31を用いる場合には、これらの工具を樹脂管のサイズごとにそれぞれ準備する必要がある。また、充分な接着強度が得られる結晶化温度以下にまで冷却するのに可成りの時間を要し、この間この融着作業用の工具を樹脂管から取外すことができないので、次の工程に進めなくなる。このために、樹脂管の同じサイズに対して複数個の工具を準備しておく必要がある。したがって、この融着作業用の工具を用いる方法は経費高になる。
【0008】更に、この融着作業用の工具を用いる方法は、狭い作業空間で使用するのに不便であり、取付け作業に工数を要するだけでなく、冷却後の工具回収にも手間がかかり、配管作業に多くの工数が必要になる。
【0009】次に、特開平6−265083号公報や特開平7−251456号公報に示されたような、電気融着継手の接続端において継手内径と樹脂管の外面との間にくさびを挿入して電気融着継手に樹脂管を固定する方法では、前者では、くさびとしてテーパ状のスティフナー部を有する抜け止め部材を用いており、この抜け止め部材が特異な形状のもので高価なものである。また、後者では同一の円周部に複数個のくさびを個々に打ち込んで挿入するようになっており、電気融着継手と樹脂管との間の隙間が均等になるように複数個のくさびを挿入することは、極めて厄介な作業であり、特に狭隘な作業空間では至難なことである。
【0010】また、特開平7−329186号公報に示されたような、電気融着継手の内周面にめねじを設け、これに樹脂管の先端に加工したおねじをねじ込んで電気融着継手に樹脂管を固定する方法では、配管現場に応じた長さに樹脂管を切断した後におねじの加工を行わなければならず、それだけ現場での作業が厄介になる。
【0011】本発明が解決しようとする課題は、従来の様々な電気融着継手を用いて樹脂管と電気融着接続を行う場合の、上述したような様々な問題点である。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を達成するためになされたものであって、電気発熱素子を埋設した継手本体の内面に樹脂管を挿入して融着する電気融着継手において、この継手本体の端面から所定寸法の間に樹脂管の一部に固着した固定リングの外径寸法と略同一の内径部を設け、この内径部の内側に円周溝を形成し、この円周溝と上記端面との間にこの円周溝と略同じ深さの軸線方向の挿入溝を1個所以上形成し、また、固定リングの外周面に突起を設け、上記継手本体の内径部に挿入して上記突起が上記挿入溝を通って円周溝に入り、この固定リングを継手本体に対して回転させた時にこの突起がこの円周溝を移動して係止するように構成した。
【0013】この場合、上記固定リングの内周面に断面がほぼ三角形又は台形の直線状又は波形状の筋状の突起を固定リングの軸線方向と平行に又は傾斜させて複数個設けるとよい。
【0014】また、電動ドリルに固定した樹脂管外面削り用の器具の先端面に固定リングを同心に装着し、この固定リングの内径穴に樹脂管を挿入し上記電動ドリルを回転させながら押し付けて、上記樹脂管の外面を所定の長さ削り上記固定リングを所定の位置まで押し入れ、上記電動ドリルを抜き出した後に上記樹脂管を電気融着継手の継手本体に挿入し、この継手本体と上記固定リングとを結合させて上記電気融着継手と上記樹脂管を固定するようにした。
【0015】樹脂管の外面を削るための器具を電動ドリルに固定し、この器具の先端面に固定リングを同心に装着し、この固定リングの内径穴に樹脂管を挿入して電動ドリルを回転させながら押し付けると、固定リングの内径が樹脂管の外径に相応しており、この内周面に断面がほぼ三角形又は台形の筋状の突起が複数個設けてあるので、固定リングは樹脂管の外径に固くはまりながら所定の位置まで押し入れられる。また、樹脂管の外面が所定の長さ削られる。この後、電動ドリルを抜き出す。
【0016】上記の樹脂管を継手本体に挿入すると、継手本体の電気発熱素子が埋設してある継手内面の内径寸法が上記の樹脂管の外面が削られた部分の外径寸法の樹脂管を挿入するのに適しているので、この樹脂管はこの継手内面に同心に傾く隙間がなく挿入される。
【0017】この状態でこの継手の継手本体の継手内面に埋設してある電気発熱素子に通電して発熱させると、熱可塑性樹脂で構成されているこの継手内面とこれに対面する熱可塑性樹脂管の外面が溶融する。通電を止めて放熱させ冷却させると、溶融した樹脂が結晶化温度以下で結晶化し固化して、継手本体と管とを接続させる。
【0018】固定リングをその外周面に設けた突起を継手本体に設けた挿入溝に挿入しながら継手本体の固定リング外径寸法部と略同一の内径部に挿入すると、この突起は継手本体に設けた円周溝の位置まで入る。次に、固定された固定リングを継手本体に対して回転させると、突起は挿入溝の位置から離れて溝によって、軸線方向の移動を拘束することになる。
【0019】固定リングの内周面に断面がほぼ三角形又は台形の直線状又は波形状の筋状の突起をこの固定リングの軸線方向と平行又は傾斜させて複数個設けたのは、前述のように固定リングを樹脂管の外径に固くはめるためであって、樹脂管の外径寸法にばらつきがあっても、実用上必要な程度に固く固定させることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下に、本発明における実施形態を説明する。図1は、本発明の電気融着継手の継手本体と固定リングとを示す斜視部分外観図であって、固定リングは樹脂管に挿入して固定されている。図2は、固定リングを樹脂管と共に継手本体に挿入した状態を示す部分断面図である。図3は、異なった形状に円周面の筋状の突起を有する3個の固定リングを示す縦断面図である。また、図4は、本発明の電気融着継手と樹脂管との融着前の固定方法を説明するための説明図である。
【0021】図1乃至図4において、1は電気融着継手、2は継手本体、3は固定リング、4は樹脂管であって、継手本体2の継手内面5には電気発熱素子6が埋設してあり、この継手内面5の内径寸法は、樹脂管外面削り器具7によって削られた外径寸法の樹脂管を挿入するのに適している。
【0022】継手本体2の端面8から所定寸法の間上記の継手内面5の内径寸法よりも大きい内径の固定リング外径寸法部と略同一の内径部9を形成し、その内側に円周溝10が形成してある。この円周溝10と端面8との間の鍔状の部分に円周溝10と同じ深さの軸線方向の挿入溝11を1個所以上形成する。
【0023】固定リング3は内径が挿入する樹脂管4の外径に相応しており、外径が継手本体2の内径部9に相応している。その外周面12に上記挿入溝11と同じ個数、形状の突起13が設けられている。この固定リング3の突起13を挿入溝11に挿入しながら内径部9に挿入すると、突起13は円周溝10の位置まで入り、この状態で固定リング3を継手本体2に対して回転させるせると突起13が円周溝10の中を移動することができるように形成されている【0024】固定リング3の内周面14には断面がほぼ三角形又は台形の筋状の突起15を、図3において3種類の固定リング3に例示したように、直線状又は波形状に軸線方向と平行に又は傾斜させて複数個設けてある。
【0025】次に、図1乃至図4に示した本発明の実施形態について、その作用を説明する。先ず図4において、電動ドリル16に樹脂管外面削り器具7を固定する。この樹脂管外面削り器具7の先端面17に固定リング3を同心に装着し、この固定リング3の内径穴18に樹脂管4を挿入して電動ドリル16を回転させながら押し付けると、固定リング3の内径が樹脂管4の外径に相応しており、この内周面には図3に示したような断面がほぼ三角形又は台形の筋状の突起15が複数個設けてあるので、固定リング3は樹脂管4の外径に固くはまりながら所定の位置まで押し入れられる。そしてこの樹脂管4の外面が所定の長さ削られる。この後、電動ドリル16を抜き出す。
【0026】図2に示したように、上記の樹脂管4を継手本体2に挿入すると、継手本体2の電気発熱素子6が埋設してある継手内面5の内径寸法が上記の樹脂管4が削られた部分の外径寸法の樹脂管4を挿入するのに適しているので、この樹脂管4はこの継手内面5に同心に傾く隙間がなく挿入される。そしてこの樹脂管4は、後に説明するように固定リング3と継手本体2とが結合されるので、軸線方向にも固定される。
【0027】この状態でこの電気融着継手1の継手本体2の継手内面5に埋設してある電気発熱素子6に通電して発熱させると、熱可塑性樹脂で構成されている継手内面5とこれに対面する熱可塑性樹脂管4の外面が溶融する。通電を止めて放熱させ冷却させると、溶融した樹脂が結晶化温度以下で結晶化し固化して、継手本体2と樹脂管4とを接続させる。そしてこの場合、上に述べたように融着される継手内面5と樹脂管4の外面との間に隙間がなく、また、溶融樹脂の圧力や外力によって樹脂管4が融着の間に移動することがないので、均一に欠陥なく固化し、融着継手と、樹脂管4とが同心に確実強固に融着接続される。
【0028】固定リング3と継手本体2とを結合する構造は、図1及び図2に示したように、固定リング3をその外周面12に設けた突起13を継手本体2に設けた挿入溝11に挿入しながら継手本体2の内径部9に挿入すると、この突起13は継手本体2に設けた円周溝10の位置まで入る。次に、固定リング3を継手本体2に対して回転させると、突起13は挿入溝11の位置から離れて円周溝10によって軸線方向の移動を拘束することになる。なお、突起13の断面形状を幾分くさび形にして、円周溝10の中で突起13を移動させた時に挿入溝11の位置から離れながらこのくさび形が円周溝10にくい込んで固定するように構成しておくと、樹脂管4を継手本体2に対して軸線方向だけでなく、回転方向にも拘束することができる。
【0029】固定リング3の内周面14に、図3に示したように、断面がほぼ三角形又は台形の直線状又は波形状の筋状の突起15をこの固定リング3の軸線方向と平行に又は傾斜させて複数個設けたのは、前述のように固定リング3を樹脂管4の外径に固くはめるためであって、樹脂管4の外径寸法にばらつきがあっても、実用上必要な程度に固く固定させることができる。
【0030】
【発明の効果】本発明の電気融着継手とこの継手と樹脂管との融着前の固定方法は、すでに説明したように、樹脂管を継手本体の継手内面に挿入した時にすでに両者が完全に同心になり、樹脂管にあらかじめ固定しておいた固定リングを継手本体に容易に装着できるので、樹脂管と継手本体との間に移動が起きず、したがって融着は確実強固なものになる。しかも、固定に特別の固定用の工具やくさび状の抜け止め部材を必要としないので、これらの準備や回収の工数を必要とせず、樹脂管の挿入する端部の外面削りと固定リングの固定は別の場所であらかじめ行っておけばよく、配管現場の狭い作業空間においても作業は容易であり、極めて経済的である。
【出願人】 【識別番号】390002381
【氏名又は名称】株式会社キッツ
【出願日】 平成9年(1997)6月26日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】小林 哲男
【公開番号】 特開平11−13979
【公開日】 平成11年(1999)1月22日
【出願番号】 特願平9−184633