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【発明の名称】 ホース接続構造およびホース接続方法
【発明者】 【氏名】高橋 博之

【氏名】岩口 貴嗣

【要約】 【課題】ソケットのつば部とニップル部の嵌合溝との嵌合部形状を,軸線に対して垂直に設定していたが,嵌合溝を転造加工する際に肉が流れ,垂直の形状を実現できず,ソケットとニップル部との位置ズレによる固定力低下,シール力低下を招いていた。

【解決手段】ニップル部2の嵌合溝22を,外方に拡がる台形形状となるように転造加工するとともに,ソケット4のつば部42の内周端部43を,嵌合溝22とほぼ一致する台形形状とした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 金属製チューブの一端に設けられ,環状の嵌合溝を有するニップル部を可撓性ホースに挿入し,円筒部と,その一端に設けられたつば部とを有する金属製ソケットを前記ホースの周囲に装着して,これを求心方向に加圧することにより,つば部の内周端部とニップル部の嵌合溝とを嵌合させるとともに,ホースとチューブとを固定するようにしたホース接続構造において,ニップル部の嵌合溝の軸方向断面形状を,外方に拡がる台形形状とするとともに,つば部の内周端部の軸方向断面形状を,前記嵌合溝とほぼ一致する台形形状としたことを特徴とするホース接続構造。
【請求項2】 金属製チューブの一端に設けられ,環状の嵌合溝を有するニップル部を可撓性ホースに挿入し,円筒部と,その一端に設けられたつば部とを有する金属製ソケットを前記ホースの周囲に装着して,これを求心方向に加圧することにより,つば部の内周端部とニップル部の嵌合溝とを嵌合させるとともに,ホースとチューブとを固定するようにしたホース接続構造において,ニップル部の嵌合溝が,外方に拡がる台形形状の軸方向断面となるように転造加工されているとともに,ソケットのつば部の内周端部の軸方向断面形状が,前記嵌合溝とほぼ一致する台形形状であることを特徴とするホース接続構造。
【請求項3】 金属製チューブの一端に設けられ,数条の係合溝と一条の嵌合溝を有するニップル部を可撓性ホースに挿入し,円筒部と,その一端に設けられた円板状のつば部とを有する,前記チューブよりも軟質の金属製ソケットを前記ホースの周囲に装着して,つば部の内周端部とチューブの嵌合溝とが嵌合するように,かつ,ホース内周がニップル部の係合溝にくい込むようにソケットを求心方向に加圧するホース接続方法において,ニップル部の嵌合溝が,外方に拡がる台形形状の軸方向断面となるように転造加工し,ソケットのつば部の内周端部を,その軸方向断面形状が前記嵌合溝とほぼ一致する台形形状で,かつ,その軸方向底面の長さが嵌合溝の軸方向底面の長さよりも大きいように形成し,前記ニップル部の嵌合溝と前記つば部の内周端部とが隙間なく嵌合するまでつば部を加圧することを特徴とするホース接続方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,金属性チューブと可撓性ホースとの接続を,その接続部外周に装着された,前記チューブよりも軟質のソケットをかしめることにより行うホース接続構造およびホース接続方法に関し,たとえば油圧式動力舵取装置の高圧ホースの接続に利用されるようなものである。
【0002】
【従来の技術】従来のホース接続構造を,図3から図5に従って説明する。10は,金属製のチューブである。その一端は可撓性ゴムホース30に挿入されるニップル部20になっており,他端は図示しない動力舵取装置のポンプ等に接続されている。そのニップル部20の外周には,先端側から,数条の係合溝210と一条の嵌合溝220がそれぞれ環状に形成されている。
【0003】40は,前記チューブ10よりも軟質の金属からなり,チューブ10とホース30との挿入部分に装着されてかしめ固定されるソケットである。このソケットは40,かしめ前には,円筒部410と,その一端に設けられ,前記ニップル部20の嵌合溝220の軸方向長さよりも大きな肉厚を有する,円板状のつば部420とからなる形状をしている。
【0004】前記チューブ10とホース30との接続は,チューブ10のニップル部20をホース30に挿入するとともに,その外周にソケット40を装着し,これを求心方向にかしめることによって行う。その際,ソケット40のつば部420が,嵌合溝220の奥側壁面221に当接して位置決めがされるとともに,先端側壁面222側でつば部420が潰されて嵌合し,ソケット40とチューブ10とが固定される。また,ソケット40の円筒部410は,軸方向に波形となる公知のウェーブかしめにてかしめられ,チューブ10とホース30とが一体に固定される。その際,前記波形の円筒部410の谷部410aはニップル部20の係合溝210に一致し,ホース30が係合溝210にくい込んで十分なシール性を発揮するとともに,ホース30の引き抜き荷重に対する耐性を向上させている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来のホース接続構造において,ニップル部20の嵌合溝220の奥側壁面221は,ソケット40のつば部420の位置決めを確実にするため,図4の実線で示すように,ニップル部20の軸線に対して垂直である必要がある。このような形状は,切削加工であれば容易に成形できる。しかし近年,切削加工に代わり,これよりも加工時間が短く,材料の歩留りもよい転造加工が多く用いられている。
【0006】ニップル部20の成形においては,所望する嵌合溝220および係合溝210の形状に対応した外周面を有する転造ローラを,ニップル部20に押し付けつつ転動させて加工する。その際,転造加工が塑性成形である性質上,塑性成形範囲の両外側,つまり嵌合溝220の奥側壁面221,ニップル部20の最先端部に位置する係合溝210の図中右部において,外側に肉が流れる傾向にある。これにより,嵌合溝220の奥側壁面221はニップル部20の軸線に対して垂直とならず,図4の破線および図5で示すような傾斜面となってしまう。
【0007】これにより,ソケット40をニップル部20に対して位置決めする際,また,ソケット40のつば部420をかしめる際,つば部420が嵌合溝220の傾斜した奥側壁面221に沿って図5中の矢印方向に移動し,ソケット40とニップル部20との相対位置にバラツキが生じる。その結果,つば部420と嵌合溝220との位置ズレによるソケット40とニップル部20との間の固定力低下,加えて,ソケット40の円筒部410を波形にかしめた後の谷部410aとニップル部20の係合溝210との位置ズレによって,シール力低下とともにホース30の引き抜き荷重に対する耐性の低下をも招き,ホース接続装置としての信頼性を低下させてしまうという問題があった。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するため,本発明では,金属製チューブの一端に設けられ,環状の嵌合溝を有するニップル部を可撓性ホースに挿入し,円筒部と,その一端に設けられたつば部とを有する金属製ソケットを前記ホースの周囲に装着して,これを求心方向に加圧することにより,つば部の内周端部とニップル部の嵌合溝とを嵌合させるとともに,ホースとチューブとを固定するようにしたホース接続構造において,ニップル部の嵌合溝の軸方向断面形状を,たとえば転造加工によって成形した,外方に拡がる台形形状とするとともに,つば部の内周端部の軸方向断面形状を,前記嵌合溝とほぼ一致する台形形状とする構成を採用した。
【0009】また,ニップル部の嵌合溝が,外方に拡がる台形形状の軸方向断面となるように転造加工し,ソケットのつば部の内周端部を,その軸方向断面形状が前記嵌合溝とほぼ一致する台形形状で,かつ,その軸方向底面の長さが嵌合溝の軸方向底面の長さよりも大きいように形成し,前記ニップル部の嵌合溝と前記つば部の内周端部とが隙間なく嵌合するまでつば部を加圧する方法によっても,上記課題を解決できる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図1,図2に基づいて説明する。1は,金属製のチューブである。その一端は可撓性ゴムホース3に挿入されるニップル部2になっており,他端は図示しない動力舵取装置のポンプ等に接続されている。そのニップル部2の外周には,先端側から,数条の係合溝21と一状の嵌合溝22がそれぞれ環状に形成されている。係合溝21は,後述するソケット4のかしめを行った際,ホース3をくい込ませるためのものであり,嵌合溝22は,同じく,ソケット4のつば部42を嵌合させるためのものであり,公知の転造加工技術により,これら溝21,22の所望する形状に対応した外周面を有する転造ローラを,ニップル部2に押し付けつつ転動させて同時に形成されている。
【0011】4は,前記チューブよりも軟質の金属からなり,チューブ1とホース3との挿入部分に装着されてかしめ固定されるソケットである。このソケット4は,かしめ前には,円筒部41と,その一端に設けられ,中央にチューブ挿通孔が形成された円板状のつば部42とからなる形状をしている。本形態においては,ニップル部2の嵌合溝22,およびこれと嵌合するソケット4のつば部42の内周端部43,それぞれの軸方向断面形状を台形としたことを特徴としている。
【0012】嵌合溝22は,軸方向ほぼ中央の底面22aと,その軸方向両側の,外方に拡がる傾斜面22bとからなる。対するつば部42の内周端部43は,同様に,軸方向ほぼ中央の底面43aと,その軸方向両側の傾斜面43bとからなる。つば部42の底面43aの軸方向長さは,嵌合溝22の底面22aのそれよりも大きく,傾斜面22bと43bの傾斜角度αはほぼ同一であり,たとえば軸線に対して30°〜45°である。従来の技術において述べたように,転造加工では,塑性成形範囲の両外側にて肉が外側に流れる傾向にあるが,本形態においては,嵌合溝22の軸方向断面形状が台形になるよう転造ローラの外周面を設定するので,前記した肉の流れに影響されることなく,嵌合溝22を所望する通りの台形形状に成形できる。 前記チューブ1とホース3との接続は,チューブ1のニップル部2をホース3に挿入するとともに,その外周にソケット4を装着し,これを求心方向にかしめることによって行う。
【0013】これにより,ソケット4のつば部42の内周端部43が,ニップル部2の嵌合溝22にくい込んで嵌合され,ソケット4とチューブ1とが固定される。この嵌合は,具体的には,図2に示す過程で行われる。ソケット4のつば部42の内周端部43とニップル部2の嵌合溝22とを対向させ(図2−A),つば部42の外周を求心方向に加圧すると,つば部42の傾斜面43bと嵌合溝22の傾斜面22bとが当接する(図2−B)。その際,つば部42と嵌合溝22との相対位置に軸方向のズレがあったとしても,それぞれの傾斜面43b,22bのガイド作用により,そのズレはかしめの過程で自動的に修正される。
【0014】また,前記したように,つば部42の底面43aの軸方向長さは,嵌合溝22の底面22aのそれよりも大きいので,図2−Bに示す,傾斜面43b,22bが当接した状態でなお,底面43a,22a間に隙間ができる。この状態でさらに加圧すると,つば部42の傾斜面43bが押しつぶされつつ縮径され,底面43aと底面22aとが当接する(図2−C)。ソケット4のつば部42とニップル部2の嵌合溝22とが,相対位置に少しのズレもなくしっかりと嵌合され,ソケット4とニップル部2とが一体に固定される。
【0015】一方,ソケット4の円筒部41は,軸方向に波形となる公知のウェーブかしめにてかしめられ,チューブ1とホース3とが一体に固定される。その際,波形となった円筒部41の谷部41aはニップル部2の係合溝21に一致し,ホース3が係合溝21にくい込んで十分なシール性を発揮するとともに,ホース3の引き抜き荷重に対する耐性を向上させている。また,前記したようにソケット4とニップル部2との相対位置にズレが生じないので,円筒部41の谷部41aとニップル部2の係合溝21との位置ズレによるシール性低下,ホース3の引き抜き荷重に対する耐性の低下を招くこともない。
【0016】
【発明の効果】本発明では,以上述べたように,ニップル部の嵌合溝が,外方へ拡がる台形形状の軸方向断面となるようにしたので,これを転造加工で成形する際,肉の流れに影響されることなく,所望の形状に嵌合溝を成形できる。また,この嵌合溝に嵌合するソケットのつば部の内周端部を,前記嵌合溝とほぼ一致する台形形状としたので,かしめ加圧の際,台形形状の傾斜面のガイド作用により,嵌合溝とつば部との相対位置のズレが自動的に修正される。加えて,つば部内周端部の軸方向底面の長さを,ニップル部嵌合溝の軸方向底面の長さより大きくすれば,つば部を加圧して嵌合溝へ嵌合させる際,それぞれの傾斜面が当接した状態からさらに加圧できるので,隙間なく,強固に嵌合させることができる。
【0017】このように,本発明に係るホース接続装置およびホース接続方法を用いれば,ソケットのつば部とニップル部の嵌合溝とを,相対位置にズレのない,かつ強固な嵌合で結合できるので,従来の技術に見られた,嵌合溝とつば部との相対位置のズレによる,ソケットとニップルとの間の固定力低下,ホースとニップルとの間のシール力低下等の心配がない,信頼性の高いホース接続装置を提供できる。
【出願人】 【識別番号】000003470
【氏名又は名称】豊田工機株式会社
【出願日】 平成9年(1997)6月27日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−13970
【公開日】 平成11年(1999)1月22日
【出願番号】 特願平9−171795