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【発明の名称】 防振クランプ
【発明者】 【氏名】篠崎 伸哉

【氏名】豊永 誠一

【氏名】小川 達也

【要約】 【課題】長期間に亘る防振効果が期待できる防振クランプの提供。

【解決手段】開閉可能に連設された一対の基枠1・2を備え、該一対の基枠1・2が各自の対向面側に棒状体を抱持する硬直な保持部9・10を個々に有する防振クランプであって、上記硬直な保持部9・10は半円筒状を呈し、当該保持部9・10と基枠1・2とを互いに重なり合う位置関係をもって保持部9・10よりも巾の狭い柔軟な連結アーム11・12を介して連結して、個々の保持部9・10を対応する基枠1・2の対向面から浮かせて支持することにより、棒状体13は硬直な保持部9・10で抱持される結果、例え、機械的な振動が生じても、当該振動に起因して、棒状体13が柔軟な連結アーム11・12を直に衝打することがなくなるので、振動吸収手段たる連結アーム11・12がヘタリ徐々に劣化して、長期間に亘る防振効果を持続できなくなる心配が解消される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 開閉可能に連設された一対の基枠を備え、該一対の基枠が各自の対向面側に棒状体を抱持する硬直な保持部を個々に有する防振クランプであって、上記硬直な保持部は半円筒状を呈し、当該保持部と基枠とを互いに重なり合う位置関係をもって保持部よりも巾の狭い柔軟な連結アームを介して連結して、個々の保持部を対応する基枠の対向面から浮かせて支持したことを特徴とする防振クランプ。
【請求項2】 各基枠とその保持部を連結する連結アームは、いずれも、半円筒状を呈する保持部の周方向の中心に位置して、基枠と保持部の巾域の範囲内で、同一方向に傾斜して直線的に延びていることを特徴とする請求項1記載の防振クランプ。
【請求項3】 各基枠とその保持部を連結する連結アームは、いずれも、半円筒状を呈する保持部の周方向の中心に位置して、基枠と保持部の巾域の範囲内で、逆方向に傾斜して直線的に延びていることを特徴とする請求項1記載の防振クランプ。
【請求項4】 各基枠とその保持部とは、半円筒状を呈する保持部の周方向の中心において連結アームで連結され、同周方向の側方において上記連結アームよりも細い補助連結アームで連結されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の防振クランプ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、自動車のアンチロックブレーキシステムに使用されるブレーキパイプや、アクセルペダルワイヤー・燃料パイプ等の長尺な棒状体を、その振動を吸収しながら保持することのできる防振クランプの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種防振クランプとして、実開平4−44581号公報や実用新案登録第2511693号公報に示すものが存する。これら従来の防振クランプは、多少の構造上の相違を有するが、基本的には、クランプ本体自体を硬質な樹脂材料で成形して、上記したブレーキパイプ等の棒状体をその保持部で抱持する場合には、当該保持部の内面と棒状体の外周面間に軟質な樹脂材料で成形された緩衝シート材を介在させる構成となっている。
【0003】依って、保持部で棒状体を抱持する状態を得て、クランプ本体をその固定手段を介してパネル側に固定すれば、棒状体がパネル面に沿って整列した状態に保持され、又、斯る状態の下で、棒状体側又はパネル側に機械的な振動が生じたような場合には、当該振動を上記の緩衝シート材で吸収して、一方側に生じる機械的な振動が他方側へ伝わることを防止できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】然し乍ら、従来の防振クランプにあっては、機械的な振動を吸収する緩衝シート材をクランプ本体の保持部の内面と棒状体の外周面間に介在させる関係で、棒状体側又はパネル側に機械的な振動が生じると、当該振動に起因して、棒状体が硬直な保持部のバックアップを得て緩衝シート材を直に衝打してしまうので、これにより、緩衝シート材がヘタって、徐々に劣化してしまう恐れを有していた。この為、従来の防振クランプの下では、長期間に亘る防振効果を持続することは期待できなかった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、斯る従来の防振クランプが抱える課題を有効に解決するために開発されたもので、請求項1記載の発明は、開閉可能に連設された一対の基枠を備え、該一対の基枠が各自の対向面側に棒状体を抱持する硬直な保持部を個々に有する防振クランプであって、上記硬直な保持部は半円筒状を呈し、当該保持部と基枠とを互いに重なり合う位置関係をもって保持部よりも巾の狭い柔軟な連結アームを介して連結して、個々の保持部を対応する基枠の対向面から浮かせて支持する構成を採用した。
【0006】請求項2記載の発明は、請求項1を前提として、各基枠とその保持部を連結する連結アームは、いずれも、半円筒状を呈する保持部の周方向の中心に位置して、基枠と保持部の巾域の範囲内で、同一方向に傾斜して直線的に延びている構成を採用した。
【0007】請求項3記載の発明は、請求項1を前提として、各基枠とその保持部を連結する連結アームは、いずれも、半円筒状を呈する保持部の周方向の中心に位置して、基枠と保持部の巾域の範囲内で、逆方向に傾斜して直線的に延びている構成を採用した。
【0008】請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3を前提として、各基枠とその保持部とは、半円筒状を呈する保持部の周方向の中心において連結アームで連結され、同周方向の側方において上記連結アームよりも細い補助連結アームで連結されている構成を採用した。
【0009】依って、請求項1記載の発明によれば、振動吸収手段たる連結アームを基枠と硬直な保持部の間に介在させる構成を採用した関係で、機械的な振動が生じても、当該振動に起因して、棒状体で柔軟な連結アームを直に衝打することがなくなるので、連結アーム自体がヘタリ徐々に劣化して、長期間に亘る防振効果を持続できなくなる心配が解消される。しかも、基枠と保持部とは互いに重なり合う位置関係をもって連結アームで連結されているので、クランプ自体の小型化にも貢献できる。
【0010】請求項2記載の発明によれば、連結アームが、半円筒状を呈する保持部の周方向の中心に位置して、基枠と保持部の巾域の範囲内で、同一方向に傾斜して直線的に延びている関係で、保持部の基枠に対する支持巾を長くして、連結アームの撓みを促進できると共に、直線形状によって、基枠と保持部の支持間隔を小さくできるので、確実な防振効果を保障しつつ、クランプ自体の更なる小型化も可能となる。又、相対的に振動を吸収する際に、連結アームが撓むと、保持部もこれに応じて変位することとなるが、同一方向に延びた連結アームにより、対向する保持部を棒状体の軸方向に沿って逆方向へ変位させて、棒状体の外周面との間で摺動抵抗を発生させることが可能となるので、この摺動抵抗で振動エネルギーを効果的に吸収できる。
【0011】請求項3記載の発明によれば、請求項2と異なり、連結アームが、半円筒状を呈する保持部の周方向の中心に位置して、基枠と保持部の巾域の範囲内で、逆方向に傾斜して直線的に延びている関係で、相対的に振動を吸収する際に、連結アームが撓むと、保持部もこれに応じて変位することとなるが、今度は、逆方向に延びた連結アームにより、対向する保持部を同一方向へ一緒に変位させることが可能となるので、棒状体の抱持状態がより一層安定する。
【0012】請求項4記載の発明によれば、基枠と保持部とが、中央の連結アームに加えて側方の補助連結アームでも連結されているので、保持部の基枠に対する支持状態が安定する一方、側方の補助連結アームは、中央の連結アームよりも細いので、中央の連結アームの撓みを阻害する心配がない。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図示する各好適な実施の形態に基づいて詳述する。まず、第一実施の形態に係る防振クランプは、ポリプロピレン・ポリアセタール・ナイロン等の硬質な樹脂材料で一体に成形されて、図1・図2に示す如く、ヒンジ部3を介して開閉可能に連設された上下一対の基枠1・2を備え、上側基枠1はL字状を呈して、その自由端側にロック爪部4を形成し、下側基枠2はU字状を呈して、その自由端側に上記ロック爪部4を係脱可能に係止する二叉状の受け部5を形成すると共に、連設端側にパネルに植設されたスタッドボルトに固定される箱形の固定部6を横設する構成となっている。尚、この固定部6は、内部にスタッドボルトを挿通する貫通孔7を画成して、当該貫通孔7の内周面にスタッドボルトのネジ面に係止する複数の弾性爪8を設けている。
【0014】そして、第一実施の形態にあっては、上記した上側基枠1と下側基枠2の各対向内面側にブレーキパイプ等の棒状体を上下方向から抱持する硬直な半円筒状を呈する保持部9・10を個々に付与せんとするものであるが、当該保持部9・10の付与に関しては、特に、図3に示す如く、上下一対の基枠1・2と各保持部9・10とを、互いに重なり合う状態をもって、一定の間隔をおいて薄肉の柔軟性に富んだ連結アーム11・12を介して連結し、その間隔分だけ、個々の保持部9・10を対応する基枠1・2の対向内面から浮かして支持する構成となしている。尚、上記連結アーム11・12の巾寸法は、その撓み性を考慮して、各保持部9・10の巾よりも狭くなるように設定するものとする。
【0015】又、上側基枠1とその保持部9を連結する連結アーム11と、下側基枠2とその保持部10を連結する連結アーム12とは、各半円筒状を呈する保持部9・10の周方向の中心に位置して、基枠1・2と保持部9・10の等しい巾域Lの範囲内で、同一方向に傾斜して直線的に延びる状態に接続されているが、その基枠1・2に対する接続点と保持部9・10に対する接続点とは、共に、同一位置となるように設定されている。
【0016】依って、斯る構成の防振クランプを用いて、ブレーキパイプ等の棒状体13をパネルP面に沿って保持する場合には、まず、図4に示す如く、固定部6の貫通孔7内にパネルPに植設されているスタッドボルトBを挿入して、当該スタッドボルトBのネジ面に上記複数の弾性爪8を係止させることにより、防振クランプ自体を予めパネルP側に固定する。但し、パネルPに対する固定手段に関しては、これに限定されるものではない。
【0017】次いで、棒状体13を下側基枠2の半円筒状を呈する保持部10上に載置して、上側基枠1をヒンジ部3を介して回動させながら、そのロック爪部4を下側基枠2の受け部5に係止すれば、図5・図6に示す如く、棒状体13は対向する硬直な保持部9・10により上下方向から完全に抱持されるので、これにより、棒状体13がパネルP面に沿って弾性的に保持されることとなる。
【0018】従って、斯る保持状態の下で、棒状体13側又はパネルP側に機械的な振動が生じたような場合には、その振動が上下方向でも左右方向でも斜め方向でも、対向する保持部9・10を支持する各柔軟な連結アーム11・12が撓んで、当該振動を効率よく吸収するので、いずれにしても、棒状体13側又はパネルP側に生じた機械的な振動が他方側に伝わることを有効に防止できる。しかも、各連結アーム11・12は、保持部9・10の巾よりも狭い寸法をもって、対応する半円筒状を呈する保持部9・10の周方向の中心に位置しているので、その撓みが積極的に促されて、確実な防振効果を提供できることとなる。
【0019】尚、この場合において、上下方向で相対的に振動を吸収する際に、連結アーム11・12が撓むと、対応する保持部9・10もこれに応じて当然に変位することとなるが、第一実施の形態の下では、既述した如く、連結アーム11・12が同一方向に傾斜して延びている関係で、図6の鎖線で示す如く、対向する保持部9・10が棒状体13の軸方向に沿って互いに逆方向へ変位して、棒状体13の外周面との間で摺動抵抗を発生させるので、この摺動抵抗で振動エネルギーを吸収して、この点からも、確実な防振効果を提供できる。
【0020】しかも、第一実施の形態にあっては、従来とは異なり、棒状体13をそのまま硬直な半円筒状を呈する保持部9・10で抱持して、振動吸収手段たる連結アーム11・12を当該保持部9・10と基枠1・2間に介在させた関係で、例え、内部流体の脈動現象等で、ブレーキパイプ等の棒状体13が大きく振動したとしても、当該棒状体13が柔軟な連結アーム11・12を直に衝打することがないので、これにより、連結アーム11・12がヘタリ徐々に劣化して、長期間に亘る防振効果を持続できなくなる心配が解消される。尚、保持部9・10自体も、その半円筒状から得られる広面積をもって、棒状体13を抱持することが可能となるので、当該保持部9・10の抱持面がヘタる心配もない。
【0021】又、基枠1・2と保持部9・10を連結する連結アーム11・12が、図示する如く、上記巾域Lの範囲内で、同一方向に傾斜していることは、巾域L方向の寸法を短くしても、保持部9・10の基枠1・2に対する支持巾を長くできると共に、連結アーム11・12の撓みを促進できる。更に、各保持部9・10をその巾域Lの同一位置で連結アーム11・12に接続したことは、連結アーム11・12の弾発力を等しく対向する保持部9・10に与えられるので、各保持部9・10は互いに正対して、棒状体13を安定して抱持することが可能となる。
【0022】更に、第一実施の形態にあっては、各基枠1・2とその保持部9・10とを互いに重なり合う位置関係をもって連結アーム11・12で連結しているので、クランプ自体の小型化が可能となると共に、連結アーム11・12を屈曲させずに直線的に延ばしているので、保持部9・10の基枠1・2に対する支持間隔を小さくして、この点からも、クランプ自体の小型化が可能となる。
【0023】次に、第二実施の形態に係る防振クランプを説明すると、当該第二実施の形態のものも、基本的には、上記した第一実施の形態をそのまま踏襲するものであるが、異なるところは、図7に示す如く、上側基枠1と保持部9及び下側基枠2と保持部10とを、その巾域Lにおいて、逆方向に傾斜して直線的に延びる連結アーム11・12で連結する構成となしたものである。但し、当該連結アーム11・12は、いずれも、対応する半円筒状を呈する保持部9・10の周方向の中心に位置し、且つ、保持部9・10と連結アーム11・12の接続点は、第一実施の形態と同様に、その巾域Lで、同一位置となるように設定するものとする。
【0024】依って、第二実施の形態の下では、上下方向で相対的に振動を吸収する際に、連結アーム11・12が撓むと、対応する保持部9・10もこれに応じて当然に変位することとなるが、今度は、連結アーム11・12が逆方向へ延びている関係で、同図の鎖線で示す如く、対向する保持部9・10を同一方向へ一緒に変位させることが可能となるので、棒状体13の抱持状態がより一層安定する利点がある。
【0025】更に、第一・第二実施の形態の下で、例えば、図8に示す如く、基枠1・2とその保持部9・10とを、半円筒状を呈する保持部9・10の周方向の中心において連結アーム11・12で連結し、同周方向の側方において当該連結アーム11・12よりも細い補助連結アーム11a・12aで連結するように構成すれば、保持部9・10の基枠1・2に対する支持状態が頗る安定する一方、側方の補助連結アーム11a・12aは、中央の連結アーム11・12よりも細いので、中央の連結アーム11・12の撓みを阻害する心配がないので、やはり、確実な防振効果を提供できることとなる。
【0026】
【発明の効果】以上の如く、本発明は、上記構成の採用により、請求項1の下では、振動吸収手段たる連結アームを基枠と硬直な保持部の間に介在させる構成を採用した関係で、機械的な振動が生じても、当該振動に起因して、棒状体で柔軟な連結アームを直に衝打することがなくなるので、連結アーム自体がヘタリ徐々に劣化して、長期間に亘る防振効果を持続できなくなる心配が解消される。しかも、基枠と保持部とは互いに重なり合う位置関係をもって連結アームで連結されているので、クランプ自体の小型化にも貢献できる。
【0027】請求項2の下では、連結アームが、半円筒状を呈する保持部の周方向の中心に位置して、基枠と保持部の巾域の範囲内で、同一方向に傾斜して直線的に延びている関係で、保持部の基枠に対する支持巾を長くして、連結アームの撓みを促進できると共に、直線形状によって、基枠と保持部の支持間隔を小さくできるので、確実な防振効果を保障しつつ、クランプ自体の更なる小型化も可能となる。又、相対的に振動を吸収する際に、連結アームが撓むと、保持部もこれに応じて変位することとなるが、同一方向に延びた連結アームにより、対向する保持部を棒状体の軸方向に沿って逆方向へ変位させて、棒状体の外周面との間で摺動抵抗を発生させるので、この摺動抵抗で振動エネルギーを効果的に吸収できる。
【0028】請求項3の下では、請求項2の効果に加えて、連結アームが、半円筒状を呈する保持部の周方向の中心に位置して、基枠と保持部の巾域の範囲内で、逆方向に傾斜して直線的に延びている関係で、相対的に振動を吸収する際に、連結アームが撓むと、保持部もこれに応じて変位することとなるが、今度は、逆方向に延びた連結アームにより、対向する保持部を同一方向へ一緒に変位させることが可能となるので、棒状体の抱持状態がより一層安定する。
【0029】請求項4の下では、基枠と保持部とが、中央の連結アームに加えて、側方の補助連結アームでも連結されているので、保持部の基枠に対する支持状態が頗る安定する一方、側方の補助連結アームは、中央の連結アームよりも細いので、中央の連結アームの撓みを阻害する心配がない。
【出願人】 【識別番号】000124096
【氏名又は名称】株式会社パイオラックス
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成9年(1997)6月30日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】市橋 俊一郎
【公開番号】 特開平11−13942
【公開日】 平成11年(1999)1月22日
【出願番号】 特願平9−187183