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【発明の名称】 長尺体の壁面への固定方法
【発明者】 【氏名】戒能 賢明

【要約】 【課題】ロボット作業に適した長尺体の壁面への固定方法を提供する。

【解決手段】長尺体を壁面に固定する方法において、布設すべき壁面(4)の所定位置に接触させた長尺体(1)の両側に沿って線状体係止具(2)を前記壁面に2列に間欠的に固定し、線状体(3)を前記長尺体の上を交互に跨がせた状態で前記線状体係止具の線状体拘束部で拘束し、緊張させることにより、前記長尺体を前記壁面に固定することを特徴とするもので、 ロボットを利用する場合に特に適する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 長尺体を壁面へ固定する方法において、前記長尺体を固定する前記壁面の所定の位置に線状体係止具を長手方向に複数配置し、前記長尺体を前記線状体係止具の近傍に配置し、前記長尺体を前記線状体により前記線状体係止具に係止することにより、前記長尺体を前記壁面に固定することを特徴とする長尺体の壁面への固定方法。
【請求項2】 前記線状体係止具は、前記壁面の前記長尺体の両側に、前記長尺体に対し斜め方向に相互に対向する位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の長尺体の壁面への固定方法。
【請求項3】 前記線状体係止具は、前記壁面の前記長尺体の両側に、前記長尺体を挟んで向かい合って対向する位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の長尺体の壁面への固定方法。
【請求項4】 前記線状体は、長手方向に複数配置した前記線状体係止具を連結した形態で前記長尺体を係止することを特徴とする請求項1に記載の長尺体の壁面への固定方法。
【請求項5】 前記線状体は、帯状のものであることを特徴とする請求項1に記載の長尺体の壁面への固定方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、壁面への電線、ケーブル、配管類等の固定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電線、ケーブル等の電線類、ガス、液体、粉状体など流動体の配管類(以下、長尺体と言う。)は、専用の管路などの適切な環境に布設される場合のほか、必ずしも適切でない環境や過酷な環境に布設しなければならない場合も多い。このような環境に布設する場合、例えば、自動車、工場動力などの起因する振動、下水道、上水道等に布設される場合など水の流れに起因する水力、その他自然的、人為的な種々の外力が付加されて、布設されたケーブル、配管等が振動し、移動し、これらが原因で様々な損傷を受け、寿命期間中その機能を十分発揮できなくなる場合、即ち健全性が低下する場合がある。
【0003】従って、従来よりこのような環境に布設する場合にはケーブル、配管等の損傷を抑制して寿命中の健全性を確保するために、布設後のケーブル、配管類を一定間隔毎に近接設備等に紐などで縛着したり、図4に示すようなサドル金具、アンカーボルト、U字金具等の壁面固定具5を壁面4に取付け、これによりケーブル、配管類1を固定する方法が採用されている。
【0004】しかし、従来の固定方法では、人間の手作業に依存しているので、人間が作業できる布設環境に布設する場合に限定される。従って、人間が作業できない環境に布設されるケーブル、配管類は周囲の壁面に固定できないので寿命中に損傷を受けやすくケーブル、配管類の健全性が低下するという問題がある。例えば、人間が入って作業することが困難な約1m以下の管径の管路にケーブル、配管類を布設する場合等である。一方、近時の技術革新によりロボット技術が著しく進歩したので、従来人間が作業できなかった布設環境にも、これら技術を利用してケーブル、配管類を効率的に布設し、固定することが可能となった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来のケーブル、配管類の固定方法では、人間の手作業を前提としているので、従来の固定方法をそのまま用いてロボットによりケーブル、配管類を固定することは困難である。即ち、従来の固定方法では、作業の効率化のために比較的少ない固定点で、図4に示すような、比較的大きなサドル金具、アンカーボルト、U字金具等の壁面固定具5を用いて布設場所の壁面など4に強固に固定していたが、現段階のロボットは人間よりも器用さの点では作業能力に欠けるので、これらの壁面固定具5の固定方式をそのまま採用することはできない。
【0006】また、大きさの点でも、従来の壁面固定具の大きさでは使用するロボットが極めて大きくなるので、小型のロボットを利用して狭い場所でも作業できるようにする観点から、小型にする必要がある。そこで、本願発明は、この課題を解決してロボットによるケーブル、配管類の固定に適した固定方法を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本願発明は、長尺体を壁面に固定する方法において、前記長尺体を固定する前記壁面の所定の位置に線状体係止具を長手方向に複数配置し、前記長尺体を前記線状体係止具の近傍に配置し、前記長尺体を前記線状体により前記線状体係止具に係止することにより、前記長尺体を前記壁面に固定することを特徴とする。
【0008】例えば、長尺体を壁面に添わせて固定する方法において、前記長尺体の固定開始位置にある部分を前記壁面の固定すべき位置に接触させ、線状体係止具を、前記壁面に接触させた前記長尺体の部分の一方の側面の近傍の前記壁面に固定し、線状体を前記固定した線状体係止具の線状体拘束部で拘束し、前記長尺体の前記固定開始位置から一定の距離だけ移動した位置にある部分を前記壁面の固定すべき位置に接触させ、前記線状体係止具を、前記壁面に接触させた前記長尺体の部分の他方の側面の近傍の壁面に固定し、前記拘束された線状体を前記長尺体を跨いで前記他方の側面の近傍の壁面に固定した線状体係止具の線状体拘束部で拘束し、緊張させ、この工程を前記長尺体の固定終了位置まで繰り返して、前記線状体が、前記長尺体の両側近傍に沿って2列に、前記壁面に間欠的に固定された前記線状体係止具の線状体拘束部により、前記長尺体上を交互に跨いだ状態で、拘束され、緊張された状態とすることにより、前記長尺体を前記壁面に固定することが可能となり、ロボットを利用する場合に特に適する。
【0009】即ち、従来比較的大きな壁面固定具により少ない固定点で長尺体を壁面に固定する方法のかわりに、線状体と、この線状体を壁面に拘束するための比較的サイズの小さな線状体係止具とを用いて長尺体を、線状体、長尺体、壁面の相互間の摩擦力を利用して壁面に固定する方法を採用することでロボット作業に適した固定方法とすることができる。なお、小さなサイズの線状体係止具を用いると一般的には固定点毎の固定強度が低下するが、この場合には、単位長さ当たりの固定点数を増加することにより、従来と同等の長尺体全体の固定強度を確保することができる。
【0010】線状体係止具としては、壁面に固定する機能を有する先端部と、線状体を拘束する機能を有する頭部にある線状体拘束部とからなる。先端部としては釘状の打ち込んで固定する方式のもの、ネジ状のねじ込んで固定する方式のもの、接着剤、半田など接着して固定する方式のものなどが可能である。線状体拘束部としては、線状体を引っかけて拘束するアンカー状の形状を有するもの、穿孔を有してこれに線状体を通して拘束する針状のもの等が可能である。
【0011】線状体としては、 長尺体を寿命の全期間にわたり固定できる強度と寿命を有するものであれば、ステンレス線その他の金属線、プラスチック、繊維などからなる紐であってもよい。また、テープ状であってもよく、金属、プラスチック、繊維などの各種テープを用いることができる。
【0012】本願発明により、長尺体の固定作業の効率化が図れることはもち論のこと、従来長尺体を固定できなかった布設環境であっても、壁面に固定することが可能となり、長尺体の寿命中の損傷を抑制することが可能となる。また、固定部のサイズを従来よりも小型化でき、一定の布設容積に対して比較的多くの長尺体を布設することが可能となり、布設空間の利用効率が向上する。また、従来のように、固定点の中間で長尺体が垂れ下がる危険性が極めて少なくなり、また長尺体の撤去の必要性が生じたときには、線状体の切断により簡単に撤去可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】図1乃至図3に基づいて本願発明の実施の形態を説明する。なお、同一の要素には同一の番号を付して重複する説明を省略する。
【0014】(実施形態1)本実施形態1は、ケーブル1を、管路作業用ロボットを利用してまず、放射能で汚染されて危険な原子力施設の内部のコンリート製の管路に布設し、30mにわたり固定するケースである。本実施形態1で用いるロボットは、遠隔操作により作動し、指定位置の管路の内壁へのロボット自体の固定、管路内での移動、管路内へのケーブルの引き込み、及び後述の固定作業が可能である。
【0015】本実施形態1で布設、固定する長尺体1は、10mm径の天然ゴム製のシースの、容量200V、100Aの、非常電源用の動力ケーブルである。用いる線状体係止具2は、図1乃至図3に示すように、頭部には、線状体2を引っかけて拘束するためのアンカー状の形状の線状体拘束部を、脚部には、壁面に打ち込んで固定するための釘と同様な機能の先端部を有するもので、全長1cmの、いわゆるフックである。線状体3は、0.5mm径のステンレス製の金属線である。
【0016】まずロボットが、管路の端部に置いてあるドラムから供給される動力ケーブル1を把持してまず、コンリート製の管路に引き込み、布設位置に位置させる。次に、ロボットがこの布設位置に位置させた動力ケーブル1の固定開始位置に移動し、管路の固定すべき位置の壁面4に動力ケーブル1の固定開始位置の固定しようとする部分を押し付けて把持し、動力ケーブル1の一方の側面の近傍の管路の壁面4に穿孔し、線状体係止具であるフック2を、7mmの深さに打ち込んで固定する。 ステンレス金属線3を、そのフック2の線状体拘束部であるアンカー部分に通して拘束する。
【0017】動力ケーブル1の固定開始位置から30cmだけロボットを移動させ、管路の固定すべき位置の壁面4に動力ケーブル1の固定しようとする部分を押し付けて把持し、動力ケーブル1の他方の側面の近傍の管路の壁面4に穿孔し、線状体係止具であるフック2を、7mmの深さに打ち込んで固定し、前記一方の側のフック2で拘束されたステンレス金属線3を、動力ケーブル1を跨ぐように、前記他方の側に固定したフック2の線状体拘束部であるアンカー部分に通して拘束し、緊張させて動力ケーブル1を、壁面4に固定する。
【0018】この固定作業を動力ケーブル1の固定開始位置から固定終了位置までの30mにわたり繰り返し、30cm間隔毎にケーブル1を交互に挟んだ位置の壁面4にフック2を固定し、ステンレス金属線3を動力ケーブル1の上を跨ぐように、フック2の線状体拘束部であるアンカー部分に通して拘束し、緊張させて動力ケーブル1を、壁面4に固定する。動力ケーブル1を壁面4に固定した状態の一部を図1に示す。
【0019】この固定作業は、人間の手作業では放射線被爆の問題などから長時間を要するが、本願発明によれば放射線被爆を問題とすることなく比較的短時間で固定作業を完了できる。前記実施形態1によれば、ロボットを用いたが適当なものがない場合には、勿論、放射能を回避するための防護服を着用した上で、人間の作業によっても可能である。
【0020】前記実施形態1によれば、屋内に布設したがこれに限定されるものではなく、屋外であってもよい。また、空気中に限定されるものでもなく、水中、海水中であってもよい。また、地上であっても、地中であってもよい。船舶、航空機、大型機械などの内部であってもよい。また、前記実施形態1によれば、ケーブル1として動力ケーブルを用いたが、これに限定されるものではなく、通信ケーブルであってもよい。またケーブルに限定されるものでもなく、ガス、水、石油などの液体、セメント、砂等の粉状体、粒状体、シリコンオイル等の半流動体の配管であってもよい。ただし、これらは固定作業の便宜上ドラムに巻いて取扱えるものが好ましい。
【0021】また、前記実施形態1によれば、線状体係止具2としてフックを用い、壁面4に打ち付けて固定したが、これに限定されるものではなく、線状体係止具2の先端にネジが形成され、壁面4にねじ込んで固定する方式のものであってもよい。また先端に接着面が形成され、壁面4と接着剤、半田などにより固定する方式のものであってもよい。また、ホッチキスと同様な原理により線状体3を固定する方式のものであってもよい。
【0022】また、線状体係止具2の線状体拘束部は、アンカー状の形状に限定されるものではなく、線状体3を拘束する機能を有すれば、その他これに類する形状であってもよい。例えば、頭部に穿孔を有しこれに線状体3を通して拘束するものであってもよい。また、接着剤、半田などにより線状体3を拘束する場合には、これらに適した接着面を有するものであってもよい。
【0023】また、前記実施形態1によれば、線状体3としてステンレス線を用いたが、長尺体1を寿命の全期間にわたり固定できる強度と寿命を有するものであればその他の金属線であっても、プラスチック、繊維などからなる紐であってもよい。また、テープ状であってもよく、金属、プラスチック、繊維などの各種テープを用いることができる。また、作業の便宜上から、線状体3はドラムに巻いて取り扱えるものが好ましい。
【0024】また、前記実施形態1によれば、線状体3を動力ケーブル1の表面上を交互にまたがせて線状体係止具2で間欠的に拘束し、線状体3、動力ケーブル1、壁面4の相互間の摩擦力を利用して動力ケーブル1を壁面4に固定する方法を採用したが、これに限定されるものではなく、テープ状の線状体3を長尺体1に並行に上部から被覆して、その端部を線状体係止具2により壁面4に拘束することにより、長尺体1を固定する方法であってもよい。
【0025】(実施形態2)前記、実施形態1では、1本の動力ケーブル1を固定する場合について説明したが、図2に例示するように複数本の長尺体1を同時に固定する場合でも、線状体係止具2と壁面4との固定強度及び線状体3の強度の範囲内であれば、原則的に同じ方法により、同じ線状体係止具2及び線状体3を用いて固定可能である。
【0026】従って、本願発明の方法によれば、多種類の線状体係止具2及び線状体3を用意しなくても、比較的少品種の線状体係止具2及び線状体3を用意すれば、多岐にわたる多種類の長尺体を固定する場合に対応可能である。
【0027】(実施形態3)前記、実施形態1、2では、1本の線状体3を、動力ケーブル1の上部を交互にまたがせて線状体係止具2で止めることにより、ケーブル1を壁面4に固定する方法を採用したが、図3に例示すように、長尺体1の上部を2本の線状体3が左右対称的になるようにまたがせ、いわゆる襷がけにより長尺体を1を壁面4に固定すること等により、2組の、線状体係止具2と線状体3により固定することも可能である。これにより、壁面への固定強度を向上させることができる。勿論3組以上の、線状体係止具2と線状体3により、ケーブル1を壁面に固定することも可能である。
【0028】長尺体1の固定強度を高める方法としては勿論、線状体係止具2の壁面4への固定間隔を短くすること、線状体係止具2と線状体3自体の強度を大きくすることによっても可能である。
【0029】
【発明の効果】本願発明の長尺体の壁面への固定方法は、ロボットを利用した場合に特に有効であり、従来人間が作業ができなかった環境においても長尺体の壁面への固定作業が可能となり、長尺体の寿命中の損傷を回避して健全性を高めることができる。
【0030】また、長尺体の固定作業の効率化を図ることができる。また、固定部のサイズを従来よりも小型化でき、一定の容積に対して比較的多くの長尺体を布設可能となり、布設空間の利用効率が向上する。また、従来のように、固定点の中間で長尺体が垂れ下がる危険性が極めて少なくなり、また長尺体の撤去の必要性が生じたときには、線状体の切断により簡単に撤去可能となる。
【出願人】 【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)6月27日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】上代 哲司 (外2名)
【公開番号】 特開平11−13939
【公開日】 平成11年(1999)1月22日
【出願番号】 特願平9−171497