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【発明の名称】 鉄道車両用ボールコック
【発明者】 【氏名】麻野 吉雄

【要約】 【課題】空気配管内で圧縮空気中の水分等により発生した錆などの異物がボールコック内部に侵入して弁体と弁座との間にかみ込むことを防ぎ、弁座あるいは弁体が傷つくことにより発生する空気漏れを防止する。

【解決手段】中央に内孔3を有するとともに、その内孔3の水平方向両側に配管取付孔8、9を有する本体2と、前記内孔3に回動自在に支持されて内部に連絡孔10を有する弁体4と、前記内孔3に設けられて前記弁体4を前記両側の配管取付孔8、9側から支持する弁座5とを備えた鉄道車両用ボールコック1において、前記弁座5と前記配管取付孔8、9との間に、その配管取付孔8、9側から侵入しようとする異物を除去するためのストレーナ部材7を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 中央に内孔を有するとともに、その内孔の水平方向両側に配管取付孔を有する本体と、前記内孔に回動自在に支持されて内部に連絡孔を有する弁体と、前記内孔に設けられて前記弁体を前記両側の配管取付孔側から支持する弁座とを備えた鉄道車両用ボールコックにおいて、前記弁座と前記配管取付孔との間に、その配管取付孔側から侵入しようとする異物を除去するためのストレーナ部材を備えたことを特徴とする鉄道車両用ボールコック。
【請求項2】 前記ストレーナ部材は、前記両側の各弁座と配管取付孔との間のそれぞれに備えた請求項1記載の鉄道車両用ボールコック。
【請求項3】 前記各弁座のうち少なくとも一方に対し、その弁座を前記弁体へ向けて押圧するバネ部材、及びそのバネ部材と弁座との間に挟まれるバネ受け部材を備え、そのバネ部材と前記配管取付孔との間に前記ストレーナ部材を配した請求項1記載の鉄道車両用ボールコック。
【請求項4】 前記ストレーナ部材は、前記配管取付孔側へ突出した半球形状を有する請求項1記載の鉄道車両用ボールコック。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄道車両において、主として空気ブレーキ装置等の空気配管に介設される鉄道車両用ボールコックに係り、特にボールコック内部に異物が侵入することを防止するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄道車両においては、空気源から圧縮空気が空気配管を介して空気ブレーキ装置、空気ばね、自動扉開閉装置等に供給される。上記空気配管には、修理、保守等の目的で上記空気配管を開閉するためのボールコックが設けられる。この種のボールコックとして、例えば実公平6−23802に開示されており、以下これについて図5及び図6に基づいて説明する。
【0003】ボールコック21の本体22には、中央に内孔23が形成され、その内孔23の水平方向両側にはそれぞれ第1配管取付孔28と第2配管取付孔29が形成される。この両配管取付孔28、29の内側にはそれぞれシール部材35を介して弁座受け部材36が配置され、これら弁座受け部材36により弁座25が支持される。そして、これら両側の弁座25間に内部に連絡孔30を有する球状の弁体24が回動自在に支持される。第1配管取付孔28と弁座受け部材36との間にはバネ部材26が配置され、弁座25を弁体24に向けて押圧している。弁体24の上部には弁軸32が接続され、この弁軸32は本体22に設けられた軸孔33を貫通してハンドル31に接続されている。
【0004】そして、ボールコック21が開放状態にあるときは、図5に示すように、両配管取付孔28、29が連絡孔30によって連通される。また、ハンドル31により弁体24を約90°回動すると、両配管取付孔28、29の連通が弁体24によって遮断され閉鎖状態となる。このように、弁体24の回動によって両配管取付孔28、29が連通又は遮断され、上記空気配管の開閉を行う。
【0005】また、図6に示すように、本体22には、排気孔37が内孔23を外部に連通するように貫通して設けられ、弁体24には、側孔38が設けられ、弁体24の回動により第2配管取付孔29と排気孔37との間を連通又は遮断可能とする。これはボールコック21の閉鎖時に、第2配管取付孔29と排気孔37を連通して低圧側の空気配管内に溜まった圧縮空気を排出するためである。
【0006】ここで、排気孔37は、ボールコック21の取付時に内孔23の最下端となる位置23aから本体22の外部方向へ向かって略水平方向に穿設される。これによって、雨滴や塵埃等が排気孔37からボールコック21内部に侵入し難くすると共に、内孔23に溜まった不要な液体は排気の際に排気孔37から排出されることとなり、不要な液体の凍結等によりハンドル操作が困難になるという不具合が回避される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来例にかかわるボールコックは、鉄道車両への取付時に、排気孔が前記内孔の最下端となる位置から前記本体外部方向へ向かって略水平方向に穿設したことで、外部から雨滴や塵埃等が侵入することを防ぎ、また、侵入した雨滴や塵埃等をある程度までは排出することができる構造となっている。従って、これらの異物がボールコック内部に侵入することにより弁座や弁体が傷つけられることを防止することができる。
【0008】しかし、上記のような従来の鉄道車両用ボールコックは、外部からの異物の侵入を防ぐことを目的としたものであり、空気配管内で圧縮空気中の水分等により発生した錆などの異物がボールコック内部に侵入することを防ぐことができない。その結果、ボールコック内部に侵入した異物が弁座と弁体の間にかみ込み、弁座あるいは弁体を傷つけてしまい、空気漏れを起こすという問題があった。特に配管途中に除湿装置を備えない一昔前の鉄道車両においては配管内の錆の発生がより顕著であり、上記空気漏れの問題がより深刻なものであった。
【0009】本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、空気配管内で圧縮空気中の水分等により発生した錆などの異物がボールコック内部に侵入して弁体と弁座との間にかみ込むことを防ぎ、弁座あるいは弁体が傷つくことにより発生する空気漏れを防止することを技術課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記技術課題を解決するための具体的手段は、次のようなものである。すなわち、請求項1に記載する鉄道車両用ボールコックは、中央に内孔を有するとともに、その内孔の水平方向両側に配管取付孔を有する本体と、前記内孔に回動自在に支持されて内部に連絡孔を有する弁体と、前記内孔に設けられて前記弁体を前記両側の配管取付孔側から支持する弁座とを備えた鉄道車両用ボールコックにおいて、前記弁座と前記配管取付孔との間に、その配管取付孔側から侵入しようとする異物を除去するためのストレーナ部材を備えたことを特徴とする。
【0011】請求項2に記載する鉄道車両用ボールコックは、請求項1の構成において、前記ストレーナ部材を前記両側の各弁座と配管取付孔との間のそれぞれに備える。このように両側にストレーナ部材を備えることにより、取付方向を規定する必要がなくなる。
【0012】請求項3に記載する鉄道車両用ボールコックは、請求項1の構成において、前記各弁座のうち少なくとも一方に対し、その弁座を前記弁体へ向けて押圧するバネ部材、及びそのバネ部材と弁座との間に挟まれるバネ受け部材を備え、そのバネ部材と前記配管取付孔との間に前記ストレーナ部材を配する。
【0013】請求項4に記載するボールコックは、請求項1の構成において、前記ストレーナ部材は前記配管取付孔側へ突出した半球形状を有し、限られた取付スペースの中でストレーナ部材の表面積を大きく確保する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態に係る鉄道車両用ボールコックを図1から図4に基づいて説明する。図1及び図2に示すように、本発明の実施形態に係るボールコック1は、以下のような構成よりなる。
【0015】ボールコック1の本体2は2部材からなり、第1部材2aは第1配管取付孔8を有し、第2部材2bは弁体4が位置する内孔3、第2配管取付孔9及び軸孔13を有し、第1部材2aと第2部材2bが結合して本体2を形成する。本体2の第1配管取付孔8と第2配管取付孔9はそれぞれ対向する位置に設けられ、共にその内周面には、管用テーパねじが設けられており、各々図示しない空気配管に接続される。また、軸孔13は本体2の上部に設けられ、その中を弁軸12が貫通している。弁軸12は下端を弁体4に固定され、上端をハンドル11に固定される。
【0016】前記内孔3の両側の配管取付孔8、9側には、それぞれ弁座5が配され、この両側の弁座5間に球状の弁体4が回動自在に支持されている。弁体4はその中心部を水平に貫通する連絡孔10を有する。そして図1に示すように、ボールコック1を開通した状態においては、両配管取付孔8、9と連絡孔10が直線的に並び、連通状態となる。また、ハンドル11を弁軸12周りに回動させて弁体4を約90°回動させると、図2に示すように、両配管取付孔8、9間の連通状態が弁体4により遮断され、ボールコック1を閉鎖した状態になる。
【0017】上記のように、ボールコック1の開閉に際して、弁体4が回動を繰り返すことにより弁座5が摩耗し、弁体4と弁座5との間のシール力が低下することを防止するため、両側の弁座5のうち少なくとも一方に、弁座5を常に弁体4に向けて押圧するバネ部材6を備え、弁体4と弁座5との間のシール力を一定に保つ必要がある。そこで、本実施形態に係るボールコック1においては、第1配管取付孔8側の弁座5にバネ部材6を設け、弁座5を均等に押圧するためのバネ受け14を介して弁座5を押圧している。バネ部材6としては皿バネを使用しているが、それに限定されるものではなく、弁座5を弁体4に向けて押圧することができるものであれば、他の形状のバネ部材であっても良い。
【0018】上記のように、どちらか一方のみにバネ部材6を備える場合は、バネ部材6を備える側の配管取付孔を空気圧の高圧側に接続する。これは、バネ部材6を備える側の配管取付孔を流体の低圧側に接続すると、流体の圧力により弁体4が低圧側に押圧された際にバネ部材6が圧縮され、弁体4が低圧側に移動するため、高圧側の弁座5と弁体4の間に隙間が生じてしまいシール力が確保できなくなるからである。従って、本実施形態においては、第1配管取付孔8を高圧側に接続する。
【0019】そして、弁座5と第1配管取付孔8との間に、ストレーナ部材7を設ける。ストレーナ部材7は、図示しない空気配管内で圧縮空気中の水分等により発生した錆などの異物がボールコック1の内部に侵入し、弁座5と弁体4との間にかみ込み、弁座5あるいは弁体4が傷つくことを防止するために設けるものであるので、ボールコック1内に異物が侵入する側である空気圧の高圧側に設ければ十分である。そして、空気圧の高圧側には常にバネ部材6を設けることから、ストレーナ部材7はバネ部材6とセットで設けるようにすると良い。従って、本実施形態においては、バネ部材6を備える側である第1配管取付孔8を高圧側に接続するので、第1配管接続孔8側にストレーナ部材7を設けている。
【0020】ストレーナ部材7は、図3に示すように、除去部7aと取付部7bからなり、除去部7aはボールコック1内に侵入しようとする異物を除去する部分であり、空気を通過させ、なおかつ錆などの異物を通過させないことが必要である。従って、孔の径が錆などが通過することができない程度に十分小さい微細孔を多数有するもの、例えば、金属製あるいは樹脂製の網等の物品により形成される。形状は周囲の部材と干渉しない範囲内で任意の形状とすることができるが、除去することができる異物の量をできる限り多し、目詰まりの発生を抑えるためには表面積の大きい形状の方が有利である。本実施形態においては、第1配管取付孔8の内部に接続される配管及びボールコック1の内部構造等と干渉しないように、第1配管取付孔8側に突出する半球形状としている。また、取付部7bは、ストレーナ部材7を本体2の弁座5と第1配管取付孔8との間に取り付けるために設けられ、金属製あるいは樹脂製等のドーナツ状薄板で形成される。なお、ストレーナ部材7は本体2に隙間なく取り付けられ、ボールコック1内に流入する空気がすべて除去部を通過するような形状とすることが必要である。
【0021】図4に本発明の第2の実施形態を示す。この実施形態に係るボールコック1はバネ部材6及びバネ受け14を両側の弁座5に備え、第1配管取付孔8及び第2配管取付孔9のどちらを空気圧の高圧側に接続しても弁座5と弁体4との間のシール力を確保することができる構造となっている。それに伴って、ストレーナ部材7も両側の各弁座5と配管取付孔8、9との間のそれぞれに備えている。これによって、どちらの方向から空気が流入する場合も、異物を除去することが可能となり、ボールコック1の取付方向を規定する必要がなく、取付方向の自由度を高いものとすることができる。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項1に係る鉄道車両用ボールコックは、弁座と配管取付孔との間に、その配管取付孔側から侵入しようとする異物を除去するためのストレーナ部材を備えたことにより、空気配管内で圧縮空気中の水分等により発生した錆などの異物がボールコック内部に侵入して弁体と弁座との間にかみ込むことを防ぎ、弁座あるいは弁体が傷つくことにより発生する空気漏れを防止することができる。また、ストレーナ部材を内部に一体に備えているため、従来の内部にストレーナ部材を備えていないボールコックと互換性があり、容易に交換することができる。従って、例えば、従来のボールコックが除湿装置を持たない鉄道車両に取り付けられていたため、ボールコック内部に異物をかみ込んで空気漏れをおこしているような場合にも、本発明に係るボールコックに交換することでその問題を解消することができる。
【0023】請求項2に係る鉄道車両用ボールコックは、請求項1の構成において、前記ストレーナ部材を前記両側の各弁座と配管取付孔との間のそれぞれに備えたことにより、どちらの方向から空気が流入する場合も、異物を除去することが可能となり、ボールコックの取付方向を規定する必要がなく、自由度の高い取付けが可能である。
【0024】請求項3に係る鉄道車両用ボールコックは、請求項1の構成において、前記各弁座のうち少なくとも一方に対し、その弁座を前記弁体へ向けて押圧するバネ部材、及びそのバネ部材と弁座との間に挟まれるバネ受け部材を備え、そのバネ部材と前記配管取付孔との間に前記ストレーナ部材を配することにより、ストレーナ部材が常に空気圧の高圧側に位置するようにすることができる。なぜならば、このボールコックはバネ部材を備える側の配管取付孔を空気圧の高圧側に接続するように取り付けるからである。
【0025】請求項4に係る鉄道車両用ボールコックは、請求項1の構成において、前記ストレーナ部材は前記配管取付孔側へ突出した半球形状を有することにより、ストレーナ部材の表面積を大きくし、除去することができる異物の量をできる限り多くして目詰まりの発生を抑える効果がある。
【出願人】 【識別番号】000004019
【氏名又は名称】株式会社ナブコ
【出願日】 平成10年(1998)4月17日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
【公開番号】 特開平11−304020
【公開日】 平成11年(1999)11月5日
【出願番号】 特願平10−107564