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【発明の名称】 消防ポンプ用放水弁
【発明者】 【氏名】稲垣 諭

【要約】 【課題】小石や土砂等が吐出口と筒状弁座との間のケーシング内の下部に溜まることがあっても、ボール状弁体をスムーズに動かすことができる消防ポンプ用放水弁を得る。

【解決手段】消火水が通る水路1を有する筒状弁座2の先端側外周に、その周方向に回転自在に吐出口3付きケーシング4を取り付ける。ケーシング4内に、弁棒10がケーシング4のガイド孔11で摺動自在にガイドされると共に待機時には自重で筒状弁座2の先端に当接して水路1を閉じるように逆流防止弁体5を組み込む。ケーシング4内には、外部のハンドル6の操作で吐出口3を開閉する円弧状曲面体よりなるボール状弁体7を組み込む。ボール状弁体7は、吐出口3を解放している状態ではケーシング4内の上部で待機するように配置する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 消火水が通る水路を有する筒状弁座と、前記筒状弁座の先端側外周にその周方向に回転自在に取り付けられていて前記筒状弁座の前記水路に対して交差する方向に吐出口を有するケーシングと、前記ケーシング内に弁棒が該ケーシングのガイド孔で摺動自在にガイドされるようにして組み込まれていて水圧が作用しない状態では自重で前記筒状弁座の先端に当接して前記水路を閉としていて、前記水路に消火水が供給された時にはその水圧で前記筒状弁座の先端から離れて前記水路を開とする逆流防止弁体と、前記ケーシング内に回転自在に組み込まれていて外部のハンドルの操作で前記吐出口を開閉する円弧状曲面体よりなるボール状弁体とを備えた消防ポンプ用放水弁において、前記ボール状弁体は前記吐出口を解放している状態では前記ケーシング内の上部で待機する構造になっていることを特徴とする消防ポンプ用放水弁。
【請求項2】 前記ボール状弁体の回転軸は前記逆流防止弁体の開閉動作を妨げない範囲で前記逆流防止弁体の前記弁棒に接近させて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の消防ポンプ用放水弁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、消防ポンプの吐出側に配置されて消火水の供給と遮断の制御に用いる消防ポンプ用放水弁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図2は、従来のこの種の消防ポンプ用放水弁の構造を示したものである。この消防ポンプ用放水弁は、消火水が通る縦向きの水路1を有するアルミ鋳物等からなる筒状弁座2と、この筒状弁座2の先端側外周にその周方向に回転自在に取り付けられていて筒状弁座2の水路1に対して交差する横向きに吐出口3を有するアルミ鋳物等からなるケーシング4と、ケーシング4内に弁棒10が該ケーシング4のガイド孔11で摺動自在にガイドされるようにして組み込まれていて水圧が作用しない状態では自重で筒状弁座2の先端に当接して水路1を閉としていて該水路1に消火水が供給された時にはその水圧で筒状弁座2の先端から離れて該水路1を開とする逆流防止弁体5と、ケーシング4内に回転自在に組み込まれていて外部のハンドル6の操作で吐出口3を開閉する円弧状曲面体よりなるアルミ鋳物等からなるボール状弁体7とを備えた構造になっている。この場合、筒状弁座2とこれに嵌合されるケーシング4の筒部4aとの間には、ケーシング4を回転自在にするためのステンレスボール8と止水するためのOリング9とが介在されている。また、吐出口3はケーシング4のネックフランジ部4bに設けられている。逆流防止弁体5はその中心に垂直向きで弁棒10を備え、この弁棒10の上端はケーシング4の上壁部に設けられたガイド孔11内に摺動自在に嵌め込まれている。ボール状弁体7は、ブラケット部7aで水平向きの回転軸12に固定され、この回転軸12はケーシング4を水密状態に保って回転自在に貫通していて、ケーシング4の外でこの回転軸12にハンドル6が水平方向に円弧運動できるように固定されている。回転軸12は、ボール状弁体7の両側のブラケット部7aの側面から外向きに突設されていて、ケーシング4の軸受部に水密状態を保って回転自在に支持されている。吐出口3を形成するネックフランジ部4bの内周には、ボール状弁体7で止水する際に該ボール状弁体7が接触してシールする弁座13が設けられている。吐出口3と筒状弁座2との間のケーシング4の下部にはドレインプラグ14が設けられている。
【0003】このような消防ポンプ用放水弁は、待機時にはハンドル6が図示のa位置にあり、この状態ではボール状弁体7がシールする弁座13に接触して吐出口3を閉鎖している。またこの状態では、逆流防止弁体5がその自重で下降して筒状弁座2の先端に当接して水路1を閉としている。また、ハンドル6を図示のa位置からb位置に移動させると、吐出口3を閉鎖していたボール状弁体7が弁座13から離れて図示の位置、即ち吐出口3と筒状弁座2との間のケーシング4内の下部に移動し、吐出口3が解放され、放水が開始される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図2に示すような構造の消防ポンプ用放水弁では、放水時にボール状弁体7が図示のように吐出口3と筒状弁座2との間のケーシング4内の下部に移動して待機しているので、消火水と共に上がってきた小石や土砂等がこのボール状弁体7が待機している位置のケーシング4内下部に溜まり、これらの小石や土砂等が邪魔になって、放水を停止させる際のボール状弁体7の動きを疎外し、ボール状弁体7をスムーズに吐出口3を塞ぐ位置に移動させることができなくなることがあった。また、放水を開始させる際のボール状弁体7の動きを疎外し、ボール状弁体7をスムーズに吐出口3と筒状弁座2との間のケーシング4内の下部に戻すことができなくなることがあった。
【0005】また、図2に示す従来の構造では、ボール状弁体7を吐出口3と筒状弁座2との間のケーシング4内の下部に移動させて待機させる構造になっている関係上、ボール状弁体7の回転軸12を弁棒10の方向に接近させてこの消防ポンプ用放水弁の小形化を図ることができない問題点があった。
【0006】本発明の目的は、小石や土砂等が吐出口と筒状弁座との間のケーシング内の下部に溜まることがあっても、ボール状弁体をスムーズに動かすことができる消防ポンプ用放水弁を提供することにある。
【0007】本発明の他の目的は、ボール状弁体を用いても小形化を図ることができる消防ポンプ用放水弁を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、消火水が通る水路を有する筒状弁座と、該筒状弁座の先端側外周にその周方向に回転自在に取り付けられていて筒状弁座の水路に対して交差する方向に吐出口を有するケーシングと、該ケーシング内に弁棒が該ケーシングのガイド孔で摺動自在にガイドされるようにして組み込まれていて水圧が作用しない状態では自重で筒状弁座の先端に当接して水路を閉としていて、該水路に消火水が供給された時にはその水圧で筒状弁座の先端から離れて水路を開とする逆流防止弁体と、ケーシング内に回転自在に組み込まれていて外部のハンドルの操作で吐出口を開閉する円弧状曲面体よりなるボール状弁体とを備えた消防ポンプ用放水弁を改良するものである。
【0009】本発明に係るに消防ポンプ用放水弁おいては、ボール状弁体は吐出口を解放している状態ではケーシング内の上部で待機する構造になっていることを特徴とする。
【0010】このようにボール状弁体が、吐出口を解放している状態ではケーシング内の上部で待機していると、小石や土砂等が吐出口と筒状弁座との間のケーシング内の下部に溜まることがあっても、ボール状弁体はその位置より上方で動作することになり、このためのボール状弁体を小石や土砂等に疎外されないでスムーズに動かすことができる。
【0011】この場合、ボール状弁体の回転軸は、逆流防止弁体の開閉動作を妨げない範囲で逆流防止弁体の弁棒に接近させて配置されていることが好ましい。このような構造にすると、ケーシングを小形化でき、消防ポンプ用放水弁の小形化を図ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係る消防ポンプ用放水弁における実施の形態の一例を示す縦断面図である。なお、前述した図2と対応する部分には、同一符号を付けて示している。
【0013】この消防ポンプ用放水弁においては、円弧状曲面体よりなるボール状弁体7はケーシング4の吐出口3を解放している状態では図示のようにケーシング4内の上部で待機する構造になっている。即ち、ボール状弁体7はケーシング4の吐出口3を解放している状態ではケーシング4内の上部で待機するようにブラケット部7aを介して水平向きの回転軸12に固定されている。
【0014】また、ボール状弁体7の回転軸12は、逆流防止弁体5の開閉動作を妨げない範囲で図示のように該逆流防止弁体5の弁棒10にでき得るかぎり接近させて配置されている。その他の構成は、前述した図2と同様である。
【0015】このような消防ポンプ用放水弁は、待機時にはハンドル6が図示のa位置にあり、この状態ではボール状弁体7がシールする弁座13に接触して吐出口3を閉鎖している。またこの状態では、逆流防止弁体5がその自重で下降して筒状弁座2の先端に当接して水路1を閉としている。
【0016】消防ポンプを作動させると、水路1に流入した消火水の水圧により逆流防止弁体5が弁棒10と共に上方に平行移動で押上げられて水路1が開となる。
【0017】この状態でハンドル6を図示のa位置からb位置に移動させると、吐出口3を閉鎖していたボール状弁体7が弁座13から離れて図示の位置、即ち吐出口3と筒状弁座2との間のケーシング4内の上部に移動し、吐出口3が解放され、放水が開始される。このとき吐出口3が放水作業を行う方向に向くように、ケーシング4は筒状弁座2に対して回転させることができる。
【0018】消防ポンプを運転しながらハンドル6を図示のb位置からa位置に移動させると、ボール状弁体7が弁座13に接触して吐出口3が閉鎖され、放水が停止する。この状態で消防ポンプの運転を停止すると、逆流防止弁体5を押し上げる水圧がなくなるので、逆流防止弁体5が下降して筒状弁座2の上端に接触して水路1を閉じる。このため落水が防止され、消防ポンプの運転を開始すれば呼び水をすることなく直ちに消火水の吐出を開始することができる。
【0019】図示のようにボール状弁体7が、吐出口3を解放している状態ではケーシング4内の上部で待機していると、小石や土砂等が吐出口3と筒状弁座2との間のケーシング4内の下部に溜まることがあっても、ボール状弁体7はその位置より上方で動作することになり、このためのボール状弁体7を小石や土砂等に疎外されないでスムーズに動かすことができる。
【0020】また、ボール状弁体7の回転軸12が、図示のように逆流防止弁体5の開閉動作を妨げない範囲で逆流防止弁体5の弁棒10に接近させて配置されていると、ケーシング4を小形化でき、消防ポンプ用放水弁の小形化を図ることができる。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る消防ポンプ用放水弁では、ボール状弁体が、吐出口を解放している状態ではケーシング内の上部で待機しているので、小石や土砂等が吐出口と筒状弁座との間のケーシング内の下部に溜まることがあっても、ボール状弁体はその位置より上方で動作することになり、このためのボール状弁体を小石や土砂等に疎外されないでスムーズに動かすことができる。それゆえ、ボール状弁体が動かなくなる事態の発生を防止でき、消防ポンプ用放水弁の信頼性を向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】000109945
【氏名又は名称】トーハツ株式会社
【出願日】 平成10年(1998)4月17日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】松本 英俊 (外1名)
【公開番号】 特開平11−304015
【公開日】 平成11年(1999)11月5日
【出願番号】 特願平10−107368