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【発明の名称】 非常用貯水装置
【発明者】 【氏名】万木 義則

【要約】 【課題】緊急時における弁作動の信頼性、確実な弁シール性、接手部分からの漏洩防止及び流体抵抗の減少等の性能向上を考慮した非常用貯水装置を提供する。

【解決手段】非常用貯水タンク28と本管21とを弁系を介して接続し、平常時には本管からの流体を貯水タンクを通って流過させ、非常時に貯水タンクを本管から遮断するようにした配管系と、球形の弁室内に円板状弁体を回動自在に配置し、直交する四方向に四つのポートが形成され、各ポートに本管上流側21、下流側22並びに貯水タンク入口23及び出口24をそれぞれ接続し、弁体の回動により平常時には本管の上流側から貯水タンクを通って下流側に流体を流し、非常時には本管の上流側と下流側を直接連通して貯水タンクを本管から遮断し得る四方切換バタフライ弁30からなる弁系と、本管の流体圧力で作動する水圧作動切換弁により上記弁系のアクチュエータを駆動する操作系とから構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】非常用貯水タンクと水道水等の本管とを弁系を介して接続し、平常時においては本管からの流体を貯水タンクを通って流過させ、非常時に貯水タンクを本管から遮断するように配管した配管系と、球形の弁室内に円板状の弁体を回動自在に配置し、互いに直交する四方向に四つのポートが形成され、各ポートの本管の上流側、下流側並びに貯水タンクの入口及び出口をそれぞれ接続し、弁体の回動により平常時には本管の上流側から貯水タンクを通って本管の下流側に流体を流し、非常時には本管の上流側と下流側を直接連通して貯水タンクを本管から遮断し得る四方口切換バタフライ弁からなる弁系と、本管の流体圧力により作動する水圧作動切換弁によりバタフライ弁のアクチュエータを駆動するようにした操作系とから構成し、非常時に本管が破断等により水圧が所定圧力以下に低下したとき、水圧作動切換弁を作動させてアクチュエータを駆動し四方口切換バタフライ弁の弁体を回動して貯水タンクを本管から遮断するようにしたことを特徴とする非常用貯水装置。
【請求項2】四方口切換バタフライ弁の四方向の四つのポートの内、同軸上に位置する二つのポートの一方を上流入口、他方を下流入口とし、これと直交する方向の同軸上に位置する一方のポートを上流出口、他方を下流出口としたことを特徴とする請求項1記載の非常用貯水装置。
【請求項3】四方口切換バタフライ弁の弁室の内径を、出入口の口径の1.5倍以上としたことを特徴とする請求項2記載の非常用貯水装置。
【請求項4】四方口切換バタフライ弁の弁本体の全内周面に、耐食性ゴムライニングが施されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の非常用貯水装置。
【請求項5】四方口切換バタフライ弁の弁室内に、所望の厚みを有するゴムからなる弁座を一体に加硫成形して形成したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の非常用貯水装置。
【請求項6】水圧作動切換弁が、本管の水圧を検知して自力で作動する自力式水圧操作三方口切換弁であることを特徴とする請求項1記載の非常用貯水装置。
【請求項7】アクチュエータが、水圧作動切換弁からの水圧で作動する水圧式単作動アクチュエータであることを特徴とする請求項1記載の非常用貯水装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する分野】この発明は、地震等により本管圧力が異常降下した場合でも、地域住民の生活用水等を確保すると共に、本管同志の連通流過により消防用水等を確保し得るようにした非常用貯水装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、地震その他の原因により水道本管の圧力が異常降下した場合でも、地域住民の生活用水や消防用水等を確保するために、公園或は校庭等の地下に貯水タンクを設け、該貯水タンクの入口、出口に接続された枝管を本管に接続して、貯水タンクを水道本管の一部として構成し、滞留水による腐敗を防止すると共に、緊急時においては、貯水タンクと本管を遮断して貯水タンク内の水を残留させるようにした水量確保装置は公知であり、例えば実公昭62−11814号公報、特許第2607527号公報、実公平4−17887号公報等に開示されている。
【0003】実公昭62−11814号公報に開示の装置は、図8に示すように本管(1)(2)から分岐された枝管(3)(4)を緊急遮断弁(5)(6)を介して貯水タンク(8)の入口、出口に接続し、又本管と分岐された枝管(3)(4)の間に緊急開放弁(7)をそれぞれ設け、平常時は緊急開放弁(7)を閉鎖し、緊急遮断弁(5)(6)を開放して、水を貯水タンク(8)を経由して本管(2)の下流に流し、又地震その他の原因により本管の水圧が降下した場合には、緊急遮断弁を閉じて貯水タンクを本管から遮断し、貯水タンク(8)内の水を確保すると共に、緊急開放弁(7)を開放して本管下流に水を供給し、生活用水や消防用水に備えることが出来るようにしたものである。しかしながら、かかる装置では1個の緊急開放弁と2個の緊急遮断弁を設ける必要があるため、配管系が複雑になると共に、弁種による流体抵抗、開閉操作の複雑化、重量、取付面積、コスト等において問題があった。
【0004】特許第2607527号公報に開示された装置は、図9に示すように上流側本管(1)を配水管(10)を介して弁(9)の第1ポート(9A)に、下流側本管(2)を配水管(11)を介して弁(9)の第2ポート(9B)にそれぞれ、又貯水タンク(8)の入口を枝管(12)を介して弁の第3ポート(9C)に、出口を枝管(13)を介して第4ポート(9D)にそれぞれ接続し、平常時は弁(9)の弁体位置により、上流側本管(1)から配水管(10)、弁(9)の第1ポート(9A)、第3ポート(9C)、枝管(12)、貯水タンク(8)、枝管(13)、第4ポート(9D)、第2ポート(9B)、配水管(11)、下流側本管(2)と流過させる。緊急時には、弁(9)の弁体位置を回動させて、上流側本管(1)から、配水管(10)、弁(9)の第1ポート(9A)、第2ポート(9B)、配水管(11)、下流側本管(2)と流過させて、貯水タンク(8)を本管(1)(2)から遮断し貯水タンク(8)内の水を確保するようにしたものである。しかしながら、かかる装置ではフランジ接手箇所が多いため、接手箇所からの漏洩を解消することが出来ないと共に、大きさや、重量、コスト等において問題があった。
【0005】実公平4−17887号公報には、水道等の本管が地震等で破断され本管の水圧が低下したとき、弁開閉作動装置を作動させて、本管に流入してくる汚水等の流入を防止したり、或は本管からの水流出を防止するようにした送水管路の流出入防止装置が開示されている。しかしながら、かかる装置では管路の開閉を行う弁として、通常の二方向バタフライ弁が用いられているため、本管の上流側と下流側にそれぞれ個別にバタフライ弁を取り付けなければならず、配管作業が煩雑となり、コストが上昇する等の問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、緊急時における弁作動の信頼性、確実な弁シール性、接手部分からの漏洩防止及び流体抵抗の減少等の性能面の向上を図ると共に、長期に亘る安定した使用のための防食対策、配管取付の省スペース化、維持管理の容易性等を考慮した非常用貯水装置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するためにこの発明が採った手段は、非常用貯水タンクと水道水等の本管とを弁系を介して接続し、平常時においては本管からの流体を貯水タンクを通って流過させ、非常時に貯水タンクを本管から遮断するように配管した配管系と、球形の弁室内に円板状の弁体を回動自在に配置し、互いに直交する四方向に四つのポートが形成され、各ポートの本管の上流側、下流側並びに貯水タンクの入口及び出口をそれぞれ接続し、弁体の回動により平常時には本管の上流側から貯水タンクを通って本管の下流側に流体を流し、非常時には本管の上流側と下流側を直接連通して貯水タンクを本管から遮断し得る四方口切換バタフライ弁からなる弁系と、本管の流体圧力により作動する水圧作動切換弁によりバタフライ弁のアクチュエータを駆動するようにした操作系とから構成し、非常時に本管が破断等により水圧が所定圧力以下に低下したとき、水圧作動切換弁を作動させてアクチュエーとを駆動し四方口切換バタフライ弁の弁体を回動して貯水タンクを本管から遮断するようにしたことを特徴とする。
【0008】又、四方口切換バタフライ弁の四方向の四つのポートの内、同軸上に位置する二つのポートの一方を上流入口、他方を下流入口とし、これと直交する方向の同軸上に位置する一方のポートを上流出口、他方を下流出口としたことを特徴とする。
【0009】更に、四方口切換バタフライ弁の弁室の内径を、出入口の口径の1.5倍以上とし、弁本体の全内周面に、耐食性ゴムライニングを施し、又弁室内に、所望の厚みを有するゴムからなる弁座を一体に加硫成形して形成したことを特徴とする。
【0010】更に、水圧作動切換弁が、本管の水圧を検知して自力で作動する自力式水圧操作三方口切換弁であることを特徴とし、アクチュエータが、水圧作動切換弁からの水圧で作動する水圧式単作動アクチュエータであることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】この発明の好ましい実施の形態を、以下に詳細に説明する。この発明の非常用貯水装置は、水道等の本管と非常用貯水タンクとを接続し非常時に貯水タンクを本管から遮断するようにした配管系と、該配管系に配設され非常時に貯水タンクを本管から遮断するために管路の切換を行うための弁系と、該弁系を平常時と非常時の本管の圧力の相違により操作する操作系とから成り、これら配管系、弁系並びに操作系を最も効率よく作動するように選択して組み合わせたことを特徴とする。配管系は図1〜7を参照して、貯水タンク(28)の入口を上流側枝管(23)並びに四方口切換バタフライ弁(30)を介して、上流側本管(21)に接続し、タンク(28)の出口を下流側枝管(24)、四方口切換バタフライ弁(30)を介して下流側本管(22)に接続する。平常時には、上流側本管(21)の流体(水道水、上水)は、四方口切換バタフライ弁(30)、上流側枝管(23)を経由して非常用貯水タンク(28)に流入し、出口から下流側枝管(24)、四方口切換バタフライ弁(30)を経由して下流側本管(22)に流下している。非常時には、上流側本管(21)の流体は、四方口切換バタフライ弁(30)を経由して、直接下流側本管(22)へ流下し、非常用貯水タンク(28)を本管(21)(22)から遮断し、流体を非常用貯水タンク(28)内に確保する。
【0012】図3〜5を参照して、弁系は四方口切換バタフライ弁(30)からなり、該四方口切換バタフライ弁(30)は、内部に球形の弁室(32)を形成し、互いに直交する四方向に四つのポート(33)を形成した弁本体(31)と、弁室内に回転自在に弁棒(35)で軸支され、外周面を球面状に形成した円板状の弁体(34)とから成り、各ポート(33)の間には、弁体(34)の外周面が接離する弁座(36)がリング状に形成されている。弁本体(31)は、図5に示すように四つのポート(33)の中心位置で上下二つの部分に分割された形態、構造を有している。弁座(36)は、流体流れによる剥離防止のために、好ましくはゴム等の弾性密封材を加硫成形して、一体に形成する。平常時には、図3に示すように弁体(34)を位置づけて、第1ポート(33A)と第3ポート(33C)とを接続し、第2ポート(33B)と第4ポート(33D)とを接続する。又、非常時には、図4に示すように弁体(34)を位置づけて、第1ポート(33A)と第2ポート(33B)を、第3ポート(33C)と第4ポート(33D)とをそれぞれ接続する。第1ポート(33A)には上流側本管(21)が、第2ポート(33B)には下流側本管(22)が、第3ポート(33C)には上流側枝管(23)が、第4ポート(33D)には下流側枝管(24)が、図1,2に示すようにそれぞれ接続されており、平常時と非常時の流体の流過方向を切り替えることが出来る。
【0013】四方口切換バタフライ弁(30)の弁本体の球形の弁室(32)の内径、すなわち弁体(34)の外径は、ポート(33)の口径の1.5倍以上として、流体抵抗を少なくし、流体損失を防止している。又、弁座(36)は、弁体切換時の確実なシール性を確保するように、その厚みを考慮して、形成する。更に、弁本体(31)の全内周面には、耐食性のゴムライニングを施して、長期に亘り安定した流体の供給が可能とする。又、四つのポートの内、同軸上に位置する二つのポートの一方を上流側入口、他方を下流側入口とし、更にこれと直交する軸状に位置する残りの二つのポートの内、一方を上流側出口とし、他方を下流側出口として、流体の入口と出口をそれぞれ同軸上に配置する。
【0014】図6,7を参照して、四方口切換バタフライ弁(30)の弁体操作系を説明する。上流側本管(21)に自力式水圧操作三方口切換弁(40)の作動部(41)が操作用入口管(44)を介して接続され、所定圧力、例えば0.098MPa(1kgf/cm2)以上の場合に、該三方切換弁(40)の第1ポート(42)を水圧式単作動アクチュエータ(50)のシリンダ(51)に連結し、ピストン(52)をスプリング(53)に抗して左方に移動させて、弁体(34)を回動し、四方口切換バタフライ弁(30)の弁体(34)を平常時動作位置にしている(図6)。非常時においては、上流側本管(21)の圧力が前記所定圧力より低下するため、自力式水圧操作三方口切換弁(40)は第2ポート(43)に切り替わり、水圧式単作動アクチュエータ(50)のピストン(52)がスプリング(53)の弾発力で右方向に移動され、四方口切換バタフライ弁(30)の弁体を回動して、非常時の動作位置にする(図7)。尚、自力式水圧操作三方口切換弁に代って、手動式三方口切換弁を用いても良く、又水圧式単作動アクチュエータの代わりに手動式アクチュエータを用いても良い。
【0015】
【発明の効果】この発明によれば、地震等により水道水等の本管が破断し本管水圧が異常に降下した場合に、四方口切換バタフライ弁の弁体切換作動によって、非常用貯水タンクを本管から遮断して、生活用水や消防用水を確保することが出来るようにしたものであって、特に以下のような効果を奏することができる。■水道水等の本管と貯水タンクとを接続する上流側本管、下流側本管、上流側枝管、下流側枝管を、互いに90度の変位で配管接続することが出来、配管のためのスペース並びに配設工事の作業性が向上する。■一台の四方口切換バタフライ弁で本管と枝管との接続が出来、しかも配管の都合により入口と出口を互換して配管接続を行うことが出来る。■自力式水圧操作三方口切換弁により、本管流体圧力でアクチュエータを操作して四方口切換バタフライ弁の弁体切換を、平常時、非常時に関わらず自動的に行うことが出来るので、電源、空気圧力、人力等の他の操作用動力が不要となる。■四方口切換バタフライ弁は、弁体切換時の確実なシール性を保持するように弁座の厚みを考慮することが出来、又弁の内周面は全て耐食性ゴムライニングを施して長期に亘り安定した流体の供給が可能とし、更に弁本体内径を入口、出口の口径の1.5倍以上として、流体通過時の流体損失を無くすことが出来る。
【出願人】 【識別番号】000153580
【氏名又は名称】株式会社巴技術研究所
【出願日】 平成10年(1998)2月17日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 裕
【公開番号】 特開平11−230383
【公開日】 平成11年(1999)8月27日
【出願番号】 特願平10−51381