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【発明の名称】 再生回路を有する方向制御弁
【発明者】 【氏名】野沢 勇作

【氏名】西村 良純

【氏名】市来 伸彦

【氏名】高橋 欣也

【要約】 【課題】流量制御用のノッチが負荷ポートに開口するスプール形式を持つ方向制御弁において、スプールの一方向操作では圧油の逆流を生じることなく再生機能を果たせ、スプールの反対方向操作でも圧油の逆流を生じないようにする。

【解決手段】逆止弁56の弁体60をシート弁部60aとピストン部60bの2部分で構成し、ピストン部にシート弁部に摺動自在に嵌合するベビーピストン部61を設け、スプール22内のピストン部の背面側に背圧室66を形成し、シート弁部とベビーピストン部に逆止弁の入口圧を背圧室へ誘導する油通路67,68を設け、スプールと摺動するシート弁部の外周部にシート弁部の背面部63とピストン部の端面部分62の間に逆止弁の出口圧を誘導する第2油通路69を設け、スプールに、背圧室をスプールの一方向操作でタンクポートTrと連通させ、スプールの逆方向操作でその連通を遮断する第3油通路57を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】スプールに再生用油通路を開閉する逆止弁を内蔵し、スプールの一方向操作に際してアクチュエータからの戻り油をアクチュエータに還流する再生回路を有する方向制御弁において、(a)前記逆止弁の弁体を、スプール内を摺動自在なシート弁部と、このシート弁部の背面側に位置し同様にスプール内を摺動自在なピストン部の2部分で構成し、ピストン部にシート弁部のシート径より小径のベビーピストン部を設け、このベビーピストン部を前記シート弁部に摺動自在に嵌合させると共に、ベビーピストン部より径方向外側のピストン部の端面部分をシート弁部の背面部に対面させ、(b)スプール内の前記ピストン部の背面側に背圧室を形成し、前記シート弁部とベビーピストン部に逆止弁の入口圧を前記背圧室へ誘導する第1油通路を設け、(c)スプールと摺動するシート弁部の外周部に、前記対面するシート弁部の背面部とピストン部の端面部分との間に逆止弁の出口圧を誘導する第2油通路を設け、(d)スプールに、背圧室を前記スプールの一方向操作でタンクポートと連通させ、前記スプールの逆方向操作でその連通を遮断する第3油通路を設けたことを特徴とする再生回路を有する方向制御弁。
【請求項2】請求項1記載の再生回路を有する方向制御弁において、前記弁体のシート弁部のシート径をd1、前記ピストン部のベビーピストン部の直径をd2、前記シート弁部の外周部の直径をd3とすると、d1<d3、d2<d1であることを特徴とする再生回路を有する方向制御弁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は再生回路を有する方向制御弁に係わり、特に自重によるネガティブな荷重が作用する作業を行う油圧ショベル等の建設機械に用いる再生回路を有する方向制御弁に関する。
【0002】
【従来の技術】油圧ショベルで自重によるネガティブな荷重が作用する作業例として地表の転圧作業がある。この転圧作業では、図4に示すように、ブーム100を下げてアーム101の先端に設けられているバケット102の背中を地表に当てる。この転圧作業で、バケット102の背中が地表に当たる前のブーム100の下げ操作の初期では、ブーム100,アーム101,バケット102からなる作業フロントの自重がネガティブな荷重としてブームシリンダ10に作用し、ブームシリンダ10のロッド10aはこのネガティブな荷重により強制的に押し下げられ下降しようとする。このとき、油圧ポンプからブームシリンダ10のロッド側に送られる油量がロッド10aの下降速度対応の油量より多いと、ロッド10aが実線矢印アで示すように下向きの力を受けると同時に、シリンダチュウブ10bは破線矢印イで示すように上向きの力を受ける。ここで、シリンダチュウブ10bはショベル本体とピン結合されているので、シリンダチュウブ10bに上向きの力が働くと、この力で実線矢印ハで示すようにショベル本体の前部が浮き上がり、操作性の悪化を招く。
【0003】この問題を無くすにはブームシリンダ10のロッド側に油圧ポンプから圧油を送らなければよいが、転圧作業では、ブーム100が下がりバケット102が地表に当たった後は、ブームシリンダ10を油圧ポンプからの圧油で縮め、バケット102を地表に押し付ける必要があるので、ロッド側に圧油が送られないと転圧できない。
【0004】このような問題を解決するため、ブーム下げの初期はブームシリンダ10のボトム側からタンクへ戻される油の一部をブームシリンダ10のロッド側へ還流し、ブーム下げ速度が一定になったら油圧ポンプからもブームシリンダ10のロッド側へ圧油を送る再生回路を有する方向制御弁が提案されている。
【0005】図5にクローズドセンター型のロードセンシング用の弁の従来例を説明する。この方向制御弁は実開平5−81509号公報に記載のものである。
【0006】図5において、方向制御弁201のスプール211を図示右方へ動かすと、ブーム下げの初期はブームシリンダ10のボトム側11の圧油は方向制御弁1の負荷ポート206からタンクポート208へ還流されると同時に、再生ポート216から逆止弁218を介して再生利用油通路217から負荷ポート207へも流れ、ブームシリンダ10のロッド側12を充満する。また、方向制御弁201には2つのポンプポート202,203が設けられ、スプール211を図示右方へ動かす時はポンプポート203とフィーダポート205とが連通する。従って、負荷ポート206と再生ポート216間の流量制御用ノッチとポンプポート203とフィーダポート205間の流量制御用ノッチとの関係を調節することにより、油圧ポンプからの圧油の供給を遅らせ、ブーム下げ速度が一定になったら油圧ポンプからもブームシリンダ10のロッド側へ圧油を送ることができる。
【0007】バケット102が地表に接し転圧する時は、ブームシリンダ10の動きは止まり、ボトム側11の圧力は下がり、逆にロッド側12の圧力が高くなるが、逆止弁218の働きで圧油が逆流することは無い。
【0008】スプール211を左方へ動かしブームを上げる時は、油圧ポンプの圧油がポンプポート202からフィーダポート204へ流れ、ブームシリンダ10のボトム側11に供給され、ブームシリンダ10のロッド側12の圧油は方向制御弁201の負荷ポート207からタンクポート209へ還流される。このとき、負荷ポート206と再生ポート216間は遮断されるため、誤動作することは無い。
【0009】次に、センターバイパス油通路を有する、所謂オープンセンター型の方向制御弁の従来例を図6により説明する。これは実機への適用例である。
【0010】図6において、油圧ポンプ20からの吐出油はポンプポートPに供給され、ポンプポートPの下流側は方向制御弁21A内でセンターバイパスポートPbとパラレルポートPpに分岐している。センターバイパスポートPbは更に右左のバイパスポートPbr,Pblに分岐し、パラレルポートPpは更に右左のフィーダ通路Fr,Flに分岐し、ポートPpと通路Ppr,Pplの間にはホールドチェツキ弁23が配置されている。
【0011】また、弁本体21aのスプール22Aが摺動するスプール穴の周囲には、図示右側からランド1、その隣に右側タンクポートTr、ランド2、その隣に右側負荷ポートAa、ランド3、その隣に右側フィーダポートPpr、中央のセンターバイパスポートPb,Pbr,Pblを挟んで左側に左側フィーダポートPpl、その隣にランド4、その隣に左側負荷ポートBa、ランド5、その隣に左側タンクポートTl、及びランド6が形成されている。
【0012】スプール22Aは右左の負荷ポートAa,Baの部分に大径部7を有し、ランド3,4の部分にメータインの流量制御用のノッチ22a,22bが形成され、ランド2,5の部分にメータアウトの流量制御用のノッチ22c,22dが形成され、右左のフィーダポートPpr,Ppl部、タンクポートTr,Tlの部分は小径部8となっている。ランド3,4の部分のノッチ22a,22b及びランド2,5の部分のノッチ22c,22dは、それぞれ、スプール22Aの小径部8部分でフィーダポートPpr,Ppl及びタンクポートTr,Tlに開口している。
【0013】図示の位置からスプール22Aを左方へ移動した時ブームシリンダ10を下げ動作させる場合は、負荷ポートAaをブームシリンダ10のボトム側11に、負荷ポートBaをブームシリンダ10のロッド側12に接続する。スプール22Aを左方へ移動すると、ランド2部分のノッチ22cがポートAaとポートTrを接続し、ランド4部分のノッチ22bがポートPplとポートBaを接続する。
【0014】なお、ブームシリンダ10のボトム側11の配管中に設けられた逆止弁16はリモートコントロール弁15の油圧信号で動作する落下防止用のアンチドリフト弁である。
【0015】また、方向制御弁21Aには次のように再生回路が設けられている。
【0016】スプール22A内に軸方向の油通路32が設けられ、ランド2の部分に油通路32に直角の径方向の油通路30、ランド1の部分に同様の油通路31が設けられ、この間に逆止弁24を配置する。また、ランド4の部分に径方向の油通路33が設けられ、油通路32と33の間に逆止弁25を配置する。
【0017】スプール22Aを図示左方へ移動すると、ブームシリンダ10のボトム側11からの圧油は負荷ポートAaに戻って来て、ランド2の部分のノッチ22cを介してタンクポートTrに流れると同時に、油通路30から油通路32に誘導された圧油はその一部が逆止弁24、油通路31を介してタンクポートTrへ還流し、残りが逆止弁25、油通路33を介して負荷ポートBaへと流れ、ブームシリンダ10のロッド側12に再生する。この状態でブームシリンダ10のロッド側12が高圧になっても、逆止弁25の働きで、ポートBaに流入した油圧ポンプ20の吐出油がポートAa側へ逆流することは無い。
【0018】また、ブーム上げで操作スプール22Aを図示右方へ操作したとき、油通路33がフィーダポートPplに接続され、油通路30がタンクポートTrに接続されるが、逆止弁25の働きでフィーダポートPplの圧油(油圧ポンプ20の吐出油)がタンクポートTrに逆流することも無い。
【0019】ところで、オープンセンター型の方向制御弁には、弁本体内を摺動するスプールに二種類あり、1つは上述した図6に示すタイプであり、もう1つは図7に示すタイプである。
【0020】図6に示すスプール22Aは、上述したように右左の負荷ポートAa,Baの部分に大径部7を有し、ランド3,4の部分のノッチ22a,22b及びランド2,5の部分のノッチ22c,22dは、それぞれ、スプール22Aの小径部8部分でフィーダポートPpr,Ppl及びタンクポートTr,Tlに開口している。一方、図7のスプール22Bは右左の負荷ポートAa,Baの部分が小径部8Bとなっており、ランド3,4の部分のノッチ22a,22b及びランド2,5の部分のノッチ22c,22dは、共にそれぞれ、その小径部8Bの部分で負荷ポートAa又はBaに開口している。
【0021】図7に示すものは、図示の位置からスプール22Bを左方へ移動した時ブームシリンダ10を下げ動作させる場合は、図6に示すのとは逆に、負荷ポートBをブームシリンダ10のボトム側11に、負荷ポートAをブームシリンダ10のロッド側12に接続する。スプール22Bを左方へ移動すると、ランド3部分のノッチ22aがポートPprとポートAaを接続し、ランド5部分のノッチ22dがポートBaとポートTlを接続する。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】以上のようにクローズドセンター型の方向制御弁及びオープンセンター型の方向制御弁共に、再生機能を付加したものが公知である。
【0023】しかし、図5に示したクローズドセンター型の方向制御弁の場合は、スプール11内の中心部分は負荷圧検出通路(図示せず)を設けるなどして、既に負荷圧検出用に利用されているため、再生用にスプール11内の中心部分を利用することはできない。このため、図示のように再生用の油通路17は弁本体に設けなければならず、機器の簡素化の点で問題がある。
【0024】オープンセンター型の方向制御弁の場合、このような制約はない。このため、図6に示したようにスプール内の中心部分を再生用の油通路32として利用でき、クローズドセンター型に比べ機器を簡素化できる。
【0025】しかし、前述したように、オープンセンター型の方向制御弁はスプールの設計の仕方で二種類に別れ、図7に示すタイプ、即ち流量制御用のノッチ22a,22b,22c,22dが負荷ポートAa又はBaに開口するスプール形式を持つタイプの方向制御弁21Bに図6の方向制御弁21Aと同様の再生回路を設けようとすると問題が生じる。
【0026】図7に図6の方向制御弁21Aと同様の再生回路を設けた場合を仮定し、その状態を二点鎖線で示す。スプール22B内に軸方向の油通路32が設けられ、ランド4の部分に油通路32に直角の径方向の油通路30を、ランド5の部分に同様の油通路31が設けられ、この間に逆止弁24を配置する。また、ランド2の部分に油通路32に直角の径方向の油通路33が設けられ、油通路32と油通路33間に逆止弁25を配置する。
【0027】スプール22Bを図示左方へ移動したブーム下げ操作では図6の場合と同じになり、特に問題はない。即ち、ブームシリンダ10のボトム側11からの戻り油がブームシリンダ10のロッド側12に再生されると共に、ロッド側12が高圧になっても圧油の逆流を生じない。しかし、スプール22Bを図示右方へ移動するブーム上げの操作で油通路30がフィーダポートPplに接続されると、油通路33もタンクポートTrと接続するため、フィーダポートPplに供給された油圧ポンプ20の吐出油が油通路30,32,33を介し、タンクポートTrよりタンクへ逃げてしまう。このため、ブームシリンダ10のボトム側に圧油が供給できず、ブーム上げが行えない。
【0028】ブームの方向制御弁に図6に示すタイプのものを用いれば、そのような問題は生じない。しかし、油圧ショベル等の建設機械では、ブーム、アーム、バケット等の複数の非駆動部材の方向制御弁が多連弁の形で配置されている。この場合、方向制御弁を図7のタイプとした多連弁でブームの方向制御弁だけ図6に示すタイプのものを用いることは、スプールの図示左方の操作でブーム下げを行えるようにするためブームシリンダと弁をつなげる2つの配管を逆にする必要がある。即ち、図7のタイプの方向制御弁ではブームシリンダ10のロッド側配管を負荷ポートAに接続し、ボトム側配管を負荷ポートB接続していたのを、図6のタイプの方向制御弁ではブームシリンダ10のロッド側配管を負荷ポートBに接続し、ボトム側配管を負荷ポートA接続する必要がある。このように負荷ポートA,Bにつなげる配管が逆になると、配管の接続作業が煩雑で間違い易くなる。また、多連弁の中にあってブーム以外の方向制御弁(図7のタイプ)ではスプール22Bを図示左方へ操作すると負荷ポートAから圧油が流出するのに、ブームの方向制御弁(図6のタイプ)のみが負荷ポートBから圧油が流出することになり、サービス、点検等でも混乱を招く恐れがある。
【0029】図7のタイプでもランド2を十分長く取れば、油通路33がタンクポートTrと接続する恐れは無くなる。しかし、ランド2の部分にあるノッチ22cが長くなり、ランド2の部分のスプール形状の再検討が必要になるのみで無く、多連弁においてブーム用の方向制御弁のみタンクポートTrの位置が異なると、タンクポートTrの接続に関しても再検討が必要になる。
【0030】本発明の目的は、流量制御用のノッチが負荷ポートに開口するスプール形式を持つ方向制御弁であって、スプールの一方向操作では圧油の逆流を生じることなく再生機能を果たせ、スプールの反対方向操作でも圧油の逆流を生じない再生回路を有する方向制御弁を提供することである。
【0031】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、スプールに再生用油通路を開閉する逆止弁を内蔵し、スプールの一方向操作に際してアクチュエータからの戻り油をアクチュエータに還流する再生回路を有する方向制御弁において、(a)前記逆止弁の弁体を、スプール内を摺動自在なシート弁部と、このシート弁部の背面側に位置し同様にスプール内を摺動自在なピストン部の2部分で構成し、ピストン部にシート弁部のシート径より小径のベビーピストン部を設け、このベビーピストン部を前記シート弁部に摺動自在に嵌合させると共に、ベビーピストン部より径方向外側のピストン部の端面部分をシート弁部の背面部に対面させ、(b)スプール内の前記ピストン部の背面側に背圧室を形成し、前記シート弁部とベビーピストン部に逆止弁の入口圧を前記背圧室へ誘導する第1油通路を設け、(c)スプールと摺動するシート弁部の外周部に、前記対面するシート弁部の背面部とピストン部の端面部分との間に逆止弁の出口圧を誘導する第2油通路を設け、(d)スプールに、背圧室を前記スプールの一方向操作でタンクポートと連通させ、前記スプールの逆方向操作でその連通を遮断する第3油通路を設けたものとする。
【0032】このように逆止弁の弁体をシート弁部とピストン部の2部分で構成し、シート弁部の背面部とピストン部の端面部分との間に第2通路を介して逆止弁の出口圧を誘導すると共に、背圧室に関連して第1油通路及び第3油通路を設けスプールの操作方向に応じて背圧室の圧力を調整することにより、必要なときのみ逆止弁を開弁し、逆流を生じることなく適切な再生機能を果たせる。
【0033】即ち、スプールを上記一方向に操作したときは、背圧室は第3油通路を介してタンクポートに連通するため、ベビーピストン部に設けられた第1油通路の絞り効果で背圧室の圧力はタンクポートの圧力となる。このとき、逆止弁の入口圧P1≧逆止弁の出口圧P2であると、シート弁部のシート径部分に作用する逆止弁の入口圧とシート弁部の背面部に導かれた逆止弁の出口圧とにより生じる油圧力は開弁方向の力となり、ピストン部の端面部分に導かれた逆止弁の出口圧とピストン部の背面部に作用する背圧室の圧力とにより生じる油圧力も開弁方向の力となり、アクチュエータからの戻り油は逆止弁を介して再生する。逆止弁の入口圧P1<逆止弁の出口圧P2になると、シート弁部のシート径部分に作用する逆止弁の入口圧とシート弁部の背面部に導かれた逆止弁の出口圧とにより生じる油圧力は閉弁方向の力となり、逆止弁は閉弁し、圧油の逆流は生じない。
【0034】スプールを逆方向に操作したときは、逆止弁の出口がタンクポートに接続されても、第3油通路による背圧室とタンクポートの連通は遮断され、背圧室の圧力は逆止弁の入口圧に等しくなるため、逆止弁全体に働く油圧力は閉弁方向の力となり、圧油の逆流は生じない。
【0035】上記油圧力の関係を得るために所定の面積関係が必要であり、前記弁体のシート弁部のシート径をd1、前記ピストン部のベビーピストン部の直径をd2、前記シート弁部の外周部の直径をd3とすると、d1<d3、d2<d1に設定すればよい。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
【0037】図1において、21は本実施形態による再生機能を有する方向制御弁であり、この方向制御弁21は、油圧ポンプ20からの吐出油が供給されるポンプポートPと、ブームシリンダ10に圧油を給排する負荷ポートA,Bとを形成した弁本体21aを有し、ポンプポートPの下流側は弁本体21a内でセンターバイパスポートPbとパラレルポートPpに分岐し、センターバイパスポートPbは更にタンクTにつながる右左のバイパスポートPbr,Pblへと分岐し、パラレルポートPpは更に右左のフィーダ通路Fr,Flへと分岐し、パラレルポートPpとフィーダ通路Fr,Flの間にはホールドチェッキ弁23が配置されている。
【0038】また、弁本体21aにはスプール穴21bが形成され、このスプール穴21bにスプール22が挿入されている。スプール穴21bの周囲には、上記バイパスポートPb及びPbr,Pblが形成されると共に、これを中央に挟んで図示右側に、右側からランド1、タンクTにつながる右側タンクポートTr、ランド2、負荷ポートAにつながる右側負荷ポートAa、ランド3、フィーダ通路Frにつながる右側フィーダポートPprが形成され、バイパスポートPb及びPbr,Pblの図示左側に、フィーダ通路Flにつながる左側フィーダポートPpl、ランド4、負荷ポートBにつながる左側負荷ポートBa、ランド5、タンクTにつながる左側タンクポートTl、及びランド6が順次形成されている。
【0039】スプール22は右左のタンクポートTr,Tlの部分に大径部7を有し、右左の負荷ポートAa,Ba及びフィーダポートPpr,Pplの部分は小径部8B,8となっており、スプール22のランド3,4の部分にメータインの流量制御用のノッチ22a,22bが形成され、スプール22のランド2,5の部分にメータアウトの流量制御用のノッチ22c,22dが形成され、ランド3,4の部分のノッチ22a,22b及びランド2,5の部分のノッチ22c,22dはそれぞれ小径部8B,8B部分で負荷ポートAa,Baに開口している。
【0040】負荷ポートAはブームシリンダ10のロッド側12に接続され、負荷ポートBはブームシリンダ10のボトム側11に接続されている。図示の位置からスプール22を左方へ移動すると、ランド3の部分のノッチ22aがフィーダポートPprと負荷ポートAaを接続し、ランド5の部分のノッチ22dが負荷ポートBaとタンクポートTlを接続し、ブームシリンダ10の縮み方向に圧油が給排され、ブーム下げ動作させる。逆にスプール22を図示右方に移動すると、ランド4の部分のノッチ22bがフィーダポートPplと負荷ポートBaを接続し、ランド2の部分のノッチ22cが負荷ポートAaとタンクポートTrを接続し、ブームシリンダ10の伸び方向に圧油が給排され、ブーム上げ動作させる。
【0041】15はリモートコントロール弁であり、このリモートコントロール弁15を油圧信号Paが生じるよう操作すると、スプール22は図示左方に移動し、油圧信号Pbが生じるよう操作すると、スプール22は図示右方に移動する。ブームシリンダ10のボトム側11の配管には、リモートコントロール弁15の油圧信号Paで動作する落下防止用のアンチドリフト弁としての逆止弁16が設けられている。
【0042】また、方向制御弁21には再生回路50が組み込まれている。この再生回路50は、スプール22内に設けられた軸方向の油通路51と、ランド4の部分に油通路51に直角に設けられた径方向の油通路52と、ランド5の部分に同様に油通路51に直角に設けられた径方向の油通路53と、油通路51,52と油通路53との間に設けられ、油通路53から油通路51,52に向かう圧油の流れを阻止する逆止弁54と、ランド2の部分に油通路51に直角に設けられた径方向の油通路55と、油通路51と油通路55との間に設けられた逆止弁56と、ランド1の部分に設けられ、逆止弁56の背圧室66(後述)に開口する径方向の油通路57とを有している。
【0043】逆止弁56は、油通路51の圧力(逆止弁56の入口圧)をP1、油通路55の圧力(逆止弁56の出口圧)をP2とすると、スプール22を図示左方に移動したときは、P1≧P2で開弁し、P1<P2になると閉弁し、スプール22を図示右方に移動したときは、P1≧P2になっても開弁しないように構成されている。以下、逆止弁56の詳細を図2により説明する。
【0044】図2において、逆止弁56は弁体60を有し、この弁体60は、直径d1のシート径を持ちかつスプール22内を摺動自在な直径d3(>d1)の摺動部を持つシート弁部60aと、このシート弁部60aの背面側に位置し同様にスプール22内を摺動自在な直径d3の摺動部を持つピストン部60bの2部分で構成されている。ピストン部60bにはシート弁部60aのシート径d1より小さな直径d2を持つベビーピストン部61が設けられ、このベビーピストン部61がシート弁部60aに摺動自在に嵌合され、ピストン部60bのベビーピストン部61より径方向外側の端面部分62はシート弁部60aの背面部63に接触可能に対面させ、かつピストン部60bのベビーピストン部61とシート弁部60aとの間に受圧室64を形成している。また、スプール22内のピストン部60bの背面側には背圧室66が形成され、シート弁部60aの中心部には逆止弁56の入口圧を受圧室64に導く油通路67が形成され、ピストン部60bのベビーピストン部61の中心部には受圧室64の圧力(逆止弁56の入口圧)を背圧室66へ誘導する軸方向の絞り通路68が形成されている。
【0045】更に、スプール22と摺動するシート弁部60aの摺動部には上記ピストン部60bの端面部分62とシート弁部60aの背面部63との間に逆止弁56の出口圧を誘導する溝状の油通路69が形成され、ピストン部60bの端面部分62には油通路69からの圧力を端面部分62とシート弁部60aの背面部63との間に確実に導く放射溝62aが形成されている。70は非操作時弁体60を閉位置に保持する弱いバネである。
【0046】スプール22のランド1の部分には上記の油通路57が形成されている。この油通路57は、スプール22を図示左方に移動したときは背圧室66をタンクポートTrに連通させ、スプール22を図示右方に移動したときはランド1でその連通を遮断される。
【0047】逆止弁56の動作の詳細を説明する。
【0048】シート弁部60aのシート径d1の部分の面積をA1、ベビーピストン部61の直径d2の面積をA2、ピストン部60bの直径d3の背圧室28側の端面の面積をA3とし、油通路51の圧力及び負荷ポートAの圧力を上記のようにP1,P2とし、背圧室66の圧力をP3とする。
【0049】シート弁部60aに作用する油圧力Faは、受圧室64の圧力が油通路51の圧力と同じP1であるので、 Fa=(A1−A2)(P1−P2) …(1)
と計算され、ピストン部60bに作用する油圧力Fbは、 Fb=(A3−A2)(P2−P3)+A2(P1−P3) …(2)
と計算される。
【0050】スプール22を図示左方へ移動した時は、前述したようにフィーダポートPprがノッチ22aを介して負荷ポートAaに接続されると共に、油通路55が負荷ポートAaに接続され、更に背圧室66は油通路57を介してタンクポートTrに接続される。このときブーム下げ操作の初期でP1≧P2であるとすると、シート弁部60aに作用する上記(1)式の油圧力Fa=(A1−A2)(P1−P2)は図示右方の力となり、シート弁部60aに開弁方向に作用する。また、このとき、ベビーピストン部61に設けられた絞り通路68の絞り効果で背圧室66の圧力P3はタンクポートTrの圧力Pt(ほぼ0)となり、かつブーム下げ操作時はP2=Ptとみなせるので、ピストン部60bに作用する上記(2)式の油圧力Fbは、Fb=A2(P1−Pt)となり、ピストン部60bを図示右方へ動かす。このためシート弁部60a上記開弁方向の油圧力Faにより開弁し、ブームシリンダ10のボトム側11から油通路32に誘導された圧油はその一部が逆止弁54、油通路53を介してタンクポートTlへ還流し、残りが逆止弁56、油通路55を介して負荷ポートAaへと流れ、ブームシリンダ10のロッド側12に再生する。
【0051】一方、この状態でバケット102が地表に接し、P2>P1になると、シート弁部60aに作用する上記(1)式の油圧力Fa=(A1−A2)(P1−P2)は図示左方の閉弁方向の力となり、シート弁部60aは閉弁する。このとき、油通路51の圧力P1は、P1=Ptとみなせるので、ピストン部60bに働く上記(2)式の油圧力Fbは、Fb=(A3−A2)(P2−Pt)
となり、依然として右方を向いている。このため、ブームの下げ操作でバケットが地表に達しP2>P1になっても、シート弁部60aが閉じるので、逆流の恐れは無い。
【0052】次に、スプール22を図示右方へ移動しブームの上げ操作を行うときは、上記のように負荷ポートAaがノッチ22cを介してタンクポートTrに接続されると共に、油通路55もタンクポートTrに接続され、P2=Ptとなる。一方、このとき油通路57はランド1で閉じられ、P3=P1となる。このため、シート弁部60aに作用する上記(1)式の油圧力Faは、Fa=(A1−A2)(P1−Pt)
の図示右方の力となり、シート弁部60aに開弁方向に作用する。しかし、ピストン部60bに作用する上記(2)式の油圧力Fbは、Fb=(A3−A2)(Pt−P1)
の図示左方の閉弁方向の力となり、両者の合計の油圧力(逆止弁25全体に働く油圧力)Fは、F=Fa+Fb=−(A3−A1)(P1−Pt)
となる。この時のP1は油圧ポンプ20の吐出圧であり、油圧力Fは逆止弁56を閉じる図示左方の力となり、油圧ポンプ20の吐出圧がタンクへ還流されることは無い。
【0053】図3に比較例として、本発明の逆止弁に係わる基本的な弁構造を示す。図3(イ)の逆止弁80Aは弁体81aに油通路68aを設け、背圧室82をこの油通路68aを介して油通路55(逆止弁の出口側)と接続したものである。スプール22を図示左方へ移動した時、背圧室82の圧力P3は油通路55の圧力P2となるので、P1≧P2であれば弁体81aは開弁し、油通路51の圧油は油通路55を介して負荷ポートAaに流れ、負荷ポートAa側の圧力が高くなりP2>P1になると、弁体81aは閉じる。しかし、スプール22を図示右方へ移動した時に油通路55とタンクポートTrが接続すると、背圧室82の圧力P3もタンクポートTrの圧力Ptとなり、弁体81aは開弁し、油圧ポンプの吐出油がタンクへ流れてしまう。
【0054】図3(ロ)の逆止弁80Bは、図3(イ)の逆止弁80Aが油通路68aを介して背圧室82を逆止弁の出口側と接続したのに対し、油通路68bを介し逆止弁の入口側である油通路51と背圧室82を接続したものである。この構造の場合、P1≧P2で背圧室82の圧力P3が常に油通路51の圧力P1と等しいと弁体81bは閉状態のままであるので、弁体81bの開閉用にスプール22のランド1の部分に油通路57が用意されている。スプール22を図示左方へ移動した時、背圧室82の圧力P3はタンクポートTrの圧力Ptとなるため、弁体81bは開弁し、スプール22を図示右方へ移動した時は背圧室82の圧力P3は油通路51の圧力P1になるため、弁体81bは閉じる。しかし、スプール22を図示左方へ移動した時、負荷ポートAaの圧力が高くなりP2>P1になっても、背圧室82の圧力P3はタンクポートTrの圧力Ptのままなので、弁体81bも開いたままとなる。
【0055】本実施形態では、図3(ロ)の逆止弁80Aの閉じ状態を基本とし、その開閉はスプール22の操作方向を検出する油通路57を利用し、図3(イ)の逆止弁80Bの出口圧(油通路55の圧力)P2を弁体に作用させるため、逆止弁の弁体をシート部60aとピストン部60bとに2分割したものである。これにより、上記のように逆止弁の出口圧(油通路55の圧力)P2が入口側の油通路51の圧力P1より高くなっても、シート弁部60aは閉じるため、一連の動作に対し誤動作の恐れが無くなる。このように弁体を2分割しても、シート弁部60aは外周に摺動部69を持つ構造としたため、シート弁部60aと油通路51との同軸性が確保され、シート弁部60aの良好なシート性を維持できる。
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、逆止弁の弁体をシート弁部とピストン部の2部分で構成し、シート弁部の背面部とピストン部の端面部分との間に第2通路を介して逆止弁の出口圧を誘導すると共に、背圧室に関連して第1油通路及び第3油通路を設けスプールの操作方向に応じて背圧室の圧力を調整できるようにしたので、流量制御用のノッチが負荷ポートに開口するスプール形式を持つ方向制御弁であっても、スプールの一方向操作では圧油の逆流を生じることなく再生機能を果たせ、スプールの反対方向操作でも圧油の逆流を生じることがなくなる。このため、油圧ショベルのブームの方向制御弁にあっては、ブームの下げ操作の再生機能を逆流の恐れ無く達成でき、かつブームの上げ操作も同様に逆流の恐れ無く達成できる。
【0057】また、流量制御用のノッチが負荷ポートに開口するスプール形式を持つ多連弁において、再生機能を付与する方向制御弁のみランドの寸法を変更したり、スプール形式を変更する必要がなく、容易に再生機能を付加できると共に、配管の接続作業が煩雑になったり、サービス、点検等で混乱を招く恐れもない。
【出願人】 【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
【出願日】 平成10年(1998)2月18日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】春日 讓
【公開番号】 特開平11−230375
【公開日】 平成11年(1999)8月27日
【出願番号】 特願平10−35834