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【発明の名称】 弁体のシールリング装着装置
【発明者】 【氏名】石垣 恒雄

【氏名】福田 守

【要約】 【課題】弁体のシールリング装着装置において、シールリングの装着時にシールリングの表面に微細傷をつけず、パーティクルも発生させないことを第1の課題とし、シールリングの交換を容易にすることを第2の課題とする。

【解決手段】弁体のシールリング装着装置において、弁体18の弁座対向面40の外周端部にシール面42と内周面41からなるシールリングの装着溝が形成されている。内周面41の先端部に第1支持端部44が形成され、装着溝39にシールリング9を取り付けた後に、先細の円筒状カバー45が弁体18の外周に嵌合されて固定される。円筒状カバー45の先端部内側に第2支持端部46が形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 弁ボディの弁室に隣接して複数のポートが形成され、弁室と一方のポートを結ぶ流路に弁座が形成され、弁座に対して弁体のシールリングを接触させることにより流路が閉じられ、弁体のシールリングを弁座から離すことによって流路が開かれる制御弁において、弁体の弁座対向面の外周端部にシール面と内周面からなるシールリングの装着溝が形成され、内周面の先端部に第1支持端部が形成され、装着溝にシールリングを取り付けた後に、先細の円筒状カバーが弁体の外周に嵌合されて固定され、円筒状カバーの先端部内側に第2支持端部が形成されたことを特徴とする弁体のシールリング装着装置。
【請求項2】 装着溝のシール面が平面とされ、装着溝の内周面が円弧面又は先端が外周に向かって傾斜した面とされ、円筒状カバーの第2支持端部が円弧面又は内周に向かって傾斜した面とされた請求項1記載の弁体のシールリング装着装置。
【請求項3】 シールリングがOリングとされ、円筒状カバーに装着溝と連通する連通穴が形成された請求項1又は2記載の弁体のシールリング装着装置。
【請求項4】 制御弁が高真空弁とされ、円筒状カバーに単数又は複数個の挿通穴が形成され、弁体の外周に単数又は複数個のボルト孔が形成され、ボルトを挿通穴に挿通させボルト孔に螺合して円筒状カバーが弁体に固定された請求項1〜3のいずれかに記載された弁体のシールリング装着装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種制御弁の弁体へのシールリング装着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図2は従来の高真空バルブの全体を示す。弁ボディ1には弁室2が形成され、弁室2に隣接して管部3・4及びポート5・6が一体に形成されており、管部3の軸線と管部4の軸線とは略直角をなしている。ポート5とポート6とが弁室2を介して連通され、弁室2と一方の管部4を結ぶ流路に弁座8が形成されている。弁室2の下端に位置する弁座8の環状の表面に対向して、弁体18の下面の環状装着溝に装着されたOリング(シールリング)9が配設されており、Oリング9の上面は装着溝のシール面に接触している。弁体18は弁棒19に固定され、弁体18のOリング9が弁座8に接触することにより流路が閉じられ、弁体18のOリング9を弁座8から離すことによって流路が開かれる。弁ボディ1の弁室2の上端には隔壁16とシリンダ17を備えたボンネット11が連結され、弁ボディ1の上端部とシリンダ17の下端部とによって金属リング24の外周部が挟持されている。
【0003】隔壁16の中央孔に弁棒19が摺動自在かつ気密状態に挿通され、シリンダ17に摺動自在に嵌合されたピストン20に弁棒19の上端が連結されている。弁体18の上面と隔壁16の下面との間にスプリング21が装着され、弁棒19・スプリング21を覆う金属製ベローズ22が配設されている。ベローズ22の下端は弁体18の上面の外周寄りの部分に溶接され、ベローズ22の上端は金属リング24の内周部に溶接されている。シリンダ17の下方部にエアポート13が形成され、エアポート13はピストン20の下側のロッド側室14に連通されている。圧縮空気をエアポート13からロッド側室14に流入させると、ピストン20に作用する上向きの力により、弁体18がスプリング21の付勢力に抗して上昇し、流路が開く。ロッド側室14から空気を排出すると、ピストン20に作用する上向きの力が小さくなり、スプリング21の付勢力により弁体18が下降し、流路が閉じる。
【0004】図3は従来のOリング9と弁体18のOリングの装着溝27の関係を示す。図3(c) に示すように、環状の装着溝27の断面は“あり溝”(鳩の尾)といわれる形状で、奥のシール面30の幅が広く、入口の幅が狭くなった逆台形となっており、シール面30の両端と挿入端部28にはアール(丸み)が付けられている。装着溝27とOリング9との間には、Oリング9を装着溝27に装着し易く、しかも弁座8との固着力が作用しても、Oリング9が装着溝27から抜け出さない、という相反する要求を満たす必要がある。その条件を満たすため、Oリング9の線径W(図3(b) 参照)と装着溝27の挿入端幅L(図3(c) 参照)との関係をL/W=0.86〜0.94に保つことが適切であるとされてきた。このようにOリング9の線径Wが装着溝27の挿入端幅Lより6〜16パーセント大きいので、新品のOリング9を装着溝27に装着するとき、挿入端部(支持端部)28とOリング9が強く擦れ合い、Oリング9の表面に微細傷が発生する。Oリング9表面の微細傷の発生に伴うパーティクル(塵)が問題になり、Oリング9表面の微細傷が高真空弁のリークの原因になる。
【0005】耐プラズマ用のOリング材として用いられるフッ素樹脂は、圧縮永久歪みが大きく、使用によりコールドフロー的な挙動をして図3(d) に示すような原型を留めない形状となり、Oリング9の取り外しが困難となる。そこで、Oリング9の取り外しを容易にする一つの手段として、図3(d),(e) に示すように、弁体18の外周面から半径方向内側に向けて、所定幅で所定高さの外し溝29を形成する。外し溝29は下面視で装着溝27に略直角方向に延びており、この外し溝29に工具を差し込んで、変形したOリング9を取り外すことがある。しかし、工具の差し込み時に、工具で装着溝27のシール面30を傷つけて弁体18を不良にすることが多々あった。
【0006】図3(f) (特開平8−114271号公報参照)では、図3(c) の装着溝27の内周面を円柱面33に代え、円柱面33の下端部近くにリング溝34が形成されている。そして、Oリング9の線径Wと装着溝35の挿入端幅L1 との関係をL1 /W=0.925〜0.95に保つようにされ、Oリング9の線径Wが装着溝35の挿入端幅L1 より5〜8パーセント大きいものにされている。Oリング9を装着溝35に押し込んだ後に、リング溝34に固定リング36を取り付け、固定リング36によりOリング9の抜け出しを防止する。装着溝35の場合には、挿入端幅L1 と線径Wとの差がやや縮まったので、Oリング9の表面にできる微細傷やパーティクルは減少したが、それでも未だ十分ではない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、弁体のシールリング装着装置において、シールリングの装着時にシールリングの表面に微細傷をつけず、パーティクルも発生させないことを第1の課題とし、シールリングの交換を容易にすることを第2の課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を達成するために、本発明は、弁ボディの弁室に隣接して複数のポートが形成され、弁室と一方のポートを結ぶ流路に弁座が形成され、弁座に対して弁体のシールリングを接触させることにより流路が閉じられ、弁体のシールリングを弁座から離すことによって流路が開かれる制御弁の弁体のシールリング装着装置において、弁体の弁座対向面の外周端部にシール面と内周面からなるシールリングの装着溝が形成され、内周面の先端部に第1支持端部が形成され、装着溝にシールリングを取り付けた後に、先細の円筒状カバーが弁体の外周に嵌合されて固定され、円筒状カバーの先端部内側に第2支持端部が形成されたことを第1の構成とする。本発明は、第1の構成において、装着溝のシール面が平面とされ、装着溝の内周面が円弧面又は先端が外周に向かって傾斜した面とされ、円筒状カバーの第2支持端部が円弧面又は内周に向かって傾斜した面とされたことを第2の構成とする。本発明は、第1及び第2の構成において、シールリングがOリングとされ、円筒状カバーに装着溝と連通する連通穴が形成されたことを第3の構成とする。本発明は、第1〜第3の構成において、制御弁が高真空弁とされ、円筒状カバーに単数又は複数個の挿通穴が形成され、弁体の外周に単数又は複数個のボルト孔が形成され、ボルトを挿通穴に挿通させボルト孔に螺合して円筒状カバーが弁体に固定されたことを第4の構成とする。ここに、シールリングは各種の制御弁の弁体に装着され、弁体と弁座との間を密封する全てのシールを意味する。また、一方のポートは、1個のポート及び複数個のポートを意味する。
【0009】
【発明の実施の形態】図1は本発明の弁体のシールリング装着装置の実施の形態の要部を示し、実施の形態の要部以外の構成は図2の従来例と同様である。図1(a),(c) は実施の形態第1の要部を示し、弁体18の弁座対向面(図1(a)では下面)40の外周端部(図1(a) では右端部)にシール面42と内周面41からなるOリング(シールリングの一種)9用の装着溝39が形成されている。装着溝39は下面視で環状であり、装着溝39の外周面及び弁座対向面40は切欠状に開放され、従来の装着溝27の外周側を切り取った(あり溝の一部を残した片あり溝状の)ような形状をしている。装着溝39のシール面(図1(a) では上面)42は弁座対向面40に平行な環状平面であり、装着溝39の内周面41は下方が外側に傾斜した(図示のものではシール面42と内周面41との交差角は約65度)平面であり、シール面42と内周面41との交差する部分にはアールが付けられている。内周面41と弁座対向面40との交差する部分にもアールが付けられ、内周面41の先端部(図1(a)では下端部)がOリング9用の第1支持端部44となっている。
【0010】図1(c) は弁体18の外周面38に嵌合させる金属製の円筒状カバー45であり、図1(c) の図面を横へ数倍拡大し、肉厚を少し薄くすると、図1(a) に対応したものとなる。円筒状カバー45の先端部(図1(c) では下端部)は内側に絞った先細に形成されており、先細の先端部の内側がOリング9用の第2支持端部46となっている。円筒状カバー45の基部側(図1(c) では上側)に単数又は複数の挿通穴47が形成され、弁体18の基部側(図1(a) では上側)の外周面38にはボルト孔48が形成されている。円筒状カバー45の先端寄りの部分に単数又は複数の連通孔50を形成することができ(図1(a) 参照)、連通孔50によって装着溝39の内外が連通される。
【0011】Oリング9を弁体18の装着溝39に取り付けると、Oリング9の奥側と内側が装着溝39のシール面42と第1支持端部44とに当接し支持される。次に円筒状カバー45を弁体18の弁座対向面40側から嵌合させ、円筒状カバー45の先端を弁座対向面40の延長線上に位置させ、ボルト49を円筒状カバー45の挿通穴47に挿通させ、ボルト孔48に螺合させて、円筒状カバー45を弁体18に固定する。円筒状カバー45の取り付けにより第2支持端部46がOリング9の外側に当接され、Oリング9は装着溝39のシール面42・第1支持端部44と円筒状カバー45の第2支持端部46の3つの部分で支持されることとなる。勿論、Oリング9の先端部が弁座8に向かって露出されており、Oリング9と弁座8とによって流体の流れを制御する。
【0012】図1(b),(c) は実施の形態第2の要部を示し、実施の形態第2は実施の形態第1の装着溝39の形状を変えたものである。すなわち実施の形態第1の装着溝39のシール面42の中央部分から内周面41の下端部にいたる部分を、図1(b) に明示されるように、Oリング9に沿った円弧面としたものである。その結果、装着溝39の内周面41の略全面が円弧面となり、内周面41の下端と弁座対向面40とが交差する部分にアールが付けられることとなった。
【0013】図1(a) において、装着溝39の内周面41の一部、例えば下端部の第1支持端部44をOリング9の内周面に沿った円弧面とすることができる。また、図1(a),(b) において、円筒状カバー45の先端部を、図1(d) の断面図に示すように先端部を内側に屈曲させたり、図1(e) の断面図に示すように円弧面とすることができる。
【0014】
【発明の効果】本発明によれば、シールリングが弁体の装着溝に取り付けられ、次に円筒状カバーが弁体の外周面に嵌合され固定されるが、この装着の過程においてシールリングが擦られたり摺動されたりすることがない。従って、シールリングの装着時にシールリングの表面に微細傷をつけず、またパーティクルも発生させない。そして、本発明では、シールリング(Oリング)の線径Wと装着溝の挿入端幅(支持端幅)Lとの関係をL/W=0.86〜0.94(従来例)よりも小さくしても簡単に装着でき、その場合はシールリングが装着溝から脱落する心配が皆無となる。
【0015】本発明では、フッ素樹脂製のシールリングで使用後に原型を留めない形状(図3(d) 参照)に変形した場合でも、一般工具を用いて円筒状カバーを先端方向へ移動させて取り外すと、シールリングはシール面と内周面とで挟持された状態で露出される。この剥き出しのシールリングは工具を用いないでも容易に外せるので、シールリングの取外時に装着溝のシール面を傷つけることが皆無となる。また、シールリングの交換が容易に行われる。本発明では、シールリングの装着溝が片あり溝状のシール面・内周面からなっており、シール面・内周面が外方に大きく開かれ、弁体の装着溝の外周面及び弁座対向面が開放され存在しない。そのため、シールリングの装着前のクリーニングの段階において、装着溝のクリーニングが容易でありクリーニングを完全に行える。従って、装着溝に異物が付着してリークの原因となることが皆無である。また、装着溝が大きく開かれているので、電解研磨や化学研磨で装着溝を容易に加工でき、品質の向上と均一化が容易となる。
【0016】従来の装着溝は、あり溝状であるので、特殊な工具を用いて装着溝の内周面・シート面と外周面・シート面とを別の工程で加工する必要があり、切粉が装着溝から排出し難いので、加工費が高く、切粉がシール面を傷つけることが多かった。これに対して、本発明では、一般の工具を用いて、外周の方向から切削することができるので、加工費が安くなり、不良品も少なくなる。本発明によれば、シールリングが弁体の外周端部に位置しているので、従来よりも弁体の直径が小さくなり、弁体の小型化及び軽量化が実現する。
【出願人】 【識別番号】000102511
【氏名又は名称】エスエムシー株式会社
【出願日】 平成10年(1998)2月13日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】堀 宏太郎 (外1名)
【公開番号】 特開平11−230374
【公開日】 平成11年(1999)8月27日
【出願番号】 特願平10−46420