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【発明の名称】 複座弁
【発明者】 【氏名】広谷 昌久

【要約】 【課題】一対の第1及び第2プラグが一対の第1及び第2弁座の一軸上から傾いても、第1及び第2弁座を完全閉止できる複座弁を提供する。

【解決手段】一軸上に設けられた一対の第1及び第2弁座63,64と、該軸上を移動して該第1及び第2弁座63,64を同時に開閉する一対の第1及び第2プラグ65,66を有する複座弁6において、第1弁座63と第1プラグ65の少なくとも一方に球面の第1シ―ル部69を形成し、第1シ―ル部69と同一の中心Aを有する球面の第2シ―ル部70を第2弁座64と第2プラグ66の少なくとも一方に形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一軸上に設けられた一対の第1及び第2弁座と、該軸上を移動して該第1及び第2弁座を同時に開閉する一対の第1及び第2プラグを有する複座弁において、第1弁座と第1プラグの少なくとも一方に球面の第1シ―ル部を形成し、前記第1シ―ル部と同一の中心を有する球面の第2シ―ル部を第2弁座と第2プラグの少なくとも一方に形成したことを特徴とする複座弁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一軸上に設けられた一対の第1及び第2弁座を該軸上を移動する一対の第1及び第2プラグによって開閉する複座弁に関する。複座弁は、第1及び第2プラグのシ―ル径を同一もしくはほぼ同一に形成することにより、流体圧力による開閉弁力を相殺して、小さな駆動力により一対のプラグを操作可能とするものである。
【0002】
【従来の技術】従来の複座弁が特開平9−112498号公報に示されている。この複座弁は、一軸上に設けられた一対の第1及び第2弁座と、該軸上を移動して該第1及び第2弁座を同時に開閉する一対の第1及び第2プラグを有し、第1弁座と第1プラグに平面の第1シ―ル部を形成し、第2弁座と第2プラグにも平面の第2シ―ル部を形成したものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のものにあっては、一対の第1及び第2プラグが一対の第1及び第2弁座の一軸上から傾くと、第1及び第2弁座を完全閉止できなくなる問題点があった。
【0004】従って、本発明の技術的課題は、一対の第1及び第2プラグが一対の第1及び第2弁座の一軸上から傾いても、第1及び第2弁座を完全閉止できる複座弁を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための技術的手段】本発明の特徴は、一軸上に設けられた一対の第1及び第2弁座と、該軸上を移動して該第1及び第2弁座を同時に開閉する一対の第1及び第2プラグを有する複座弁において、第1弁座と第1プラグの少なくとも一方に球面の第1シ―ル部を形成し、前記第1シ―ル部と同一の中心を有する球面の第2シ―ル部を第2弁座と第2プラグの少なくとも一方に形成した複座弁にある。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明は、第1弁座と第1プラグの少なくとも一方に球面の第1シ―ル部を形成し、前記第1シ―ル部と同一の中心を有する球面の第2シ―ル部を第2弁座と第2プラグの少なくとも一方に形成したものであるので、一対の第1及び第2プラグがシ―ル部の中心を中心として傾いても、一対の第1及び第2弁座を完全閉止することができる。
【0007】
【実施例】以下に本発明の複座弁を水や燃料等の液体を圧送する液体圧送装置に適用した具体的実施例について説明する。図1は本発明の具体的実施例の複座弁を有する液体圧送装置の断面図である。図2は、図1の液体圧送装置の複座弁の拡大断面図である。図1において、本実施例の液体圧送装置1は、密閉容器2内にフロ―ト3、切替え弁4、スナップ機構5及び複座弁6が配置されたものである。
【0008】順次説明すると、密閉容器2は、本体部7と蓋部8が図示しないネジによって結合され、内部に液体溜空間10が形成されたものである。本実施例では密閉容器2の本体部7は単なる容器であり、本実施例の特徴的な構成要素は、概ね密閉容器2の蓋部8に設けられている。即ち蓋部8には、4つの開口、具体的には作動流体導入口11,作動流体排出口13,圧送液体流入口16,圧送液体排出口17が設けられている。
【0009】作動流体導入口11の内側、言い換えると密閉容器2内部側の位置に給気弁20が取り付けられており、作動流体排出口13の内側には排気弁21が取り付けられている。ここで給気弁20は、弁ケ―ス22と弁体23及び昇降棒24によって構成される。弁ケ―ス22は軸方向に貫通孔を有し、該貫通孔の上端面は弁座25として機能する。弁ケ―ス22の中間部には、前記した貫通孔と外部とを連通する4つの開口26が設けられている。弁体23は、半球状であり、昇降棒24の先端に一体的に取り付けられている。
【0010】本実施例の液体圧送装置1では、給気弁20の弁ケ―ス22の先端が、作動流体導入口11の中にネジ込まれている。そして弁体23は作動流体導入口11側にあり、昇降棒24は弁ケ―ス22の貫通孔を通って密閉容器2側に抜け、連設板27に当接するようになっている。連設板27は、弁軸操作棒28に連結されている。さらに弁軸操作棒28はスナップ機構5と連結されている。
【0011】排気弁21は、弁ケ―ス29と弁体30と昇降棒31によって構成される。弁ケ―ス29は軸方向に貫通孔を有し、該貫通孔の内部に弁座32があり、弁座32の下から昇降棒31の先端に保持固定された弁体30が当接して開閉を行うものである。尚、弁軸操作棒28と昇降棒31とはピン33で連結されている。給気弁20と排気弁21とで切替え弁4が構成され、給気弁20が開くと排気弁21は閉じ、給気弁20が閉じると排気弁21は開く。
【0012】圧送液体流入口16は蓋部8のほぼ中央にあり、圧送液体排出口17は密閉容器2の下部に相当する位置に設けられている。
【0013】フロ―ト3は、レバ―34及び軸35を介してブラケット36によって支持されており、スナップ機構5は、第1の軸37を介してブラケット38によって支持されている。そしてブラケット36とブラケット38は図示しないネジによって結合され密閉容器2の蓋部8に一体的に取り付けられている。レバ―34は、板を「U」字状に曲げ加工して作られたものであり、2枚の板が平行に対向している。そしてレバ―34の曲げ加工された部分にフロ―ト3が結合されている。またレバ―34の他端部には軸40が取り付けられている。
【0014】ブラケット36は上から見ると、「L」字状をした2枚の板よりなり、軸41,42及び前記した軸35が掛け渡されて連結されたものである。軸35はフロ―ト3の揺動軸を兼ねている。フロ―ト3は軸35を中心として上下に揺動する。また軸41,42はそれぞれフロ―ト3の上下限のストッパを兼用している。一方ブラケット38も同様に、「L」字状をした2枚の板よりなり、軸43及び前記した第1の軸37が掛け渡されて連結されたものである。軸43は下記の副ア―ム52のストッパ―を兼ねている。
【0015】スナップ機構5は、フロ―トア―ム51、副ア―ム52、圧縮状態のコイルバネ54、バネ受け部材55及びバネ受け部材56からなるものである。フロ―トア―ム51は、平行に対向した2枚の板よりなり、2枚の板の左端部には、溝57が設けられている。フロ―トア―ム51は前記した第1の軸37によって右端部が回転可能に支持されている。またフロ―トア―ム51の溝57には前記したレバ―34の軸40が嵌合している。そのためフロ―トア―ム51は、フロ―ト3の浮沈に追従し、第1の軸37を中心として上下に揺動する。
【0016】フロ―トア―ム51の右端部は下方に脹れ、その下端部には、前記した第1の軸37と平行な第2の軸58が掛け渡され、バネ受け部材55が第2の軸58によって回転可能に支持されている。また、前記した第1の軸37に副ア―ム52の上端部が回転可能に支持されている。副ア―ム52は、平行に対向した2枚の板よりなり、夫々の板は逆「L」字状をしている。副ア―ム52の下端部には、前記した第1及び第2の軸37,58と平行な第3の軸59が掛け渡され、バネ受け部材56が第3の軸59によって回転可能に支持されている。そして両バネ受け部材55,56の間に圧縮状態のコイルバネ54が取り付けられている。また副ア―ム52の上左端部に軸60が掛け渡され、弁軸操作棒28の下端が連結されている。フロ―トア―ム51には、軸60の動きを妨げないように、窓81が開けられている。
【0017】圧送液体排出口17の液体溜空間10側には、複座弁6が設けられている。複座弁6は、弁座部材61とプラグ部材62からなるものである。弁座部材61はロストワックスにより、第1弁座63と第2弁座64が一体に形成されたものである。プラグ部材62もロストワックスにより、第1プラグ65と第2プラグ66、及び第1プラグ64の上の上部軸部67と第1及び第2プラグ65,66の間の下部軸部68が一体に形成されたものである。
【0018】第1弁座63に点Aを中心とする球面の第1シ―ル部69を形成し、この第1シ―ル部69に着座する平面のシ―ル部を第1プラグ65に形成する。また第2プラグ66に前記と同一の点Aを中心とする球面の第2シ―ル部70を形成し、この第2シ―ル部70が着座する平面のシ―ル部を第2弁座64に形成する。第1弁座63の第1シ―ル部69と第2弁座64のシ―ル部は一軸上に設けられ、第1プラグ65のシ―ル部及び第2プラグ66の第2シ―ル部70と、上部及び下部軸部67,68も一軸上に設けられる。
【0019】弁座部材61は図示しないネジによって蓋部8に固着されている。上部軸部67の上部は二股に形成され、軸71によって揺動可能に排水弁軸72に連結され、さらに排水弁軸72の上端は、レバ―34に軸73によって揺動可能に連結されている。第1及び第2プラグ65,66は、フロ―ト3の上昇に応じて下方に移動し、液体溜空間10と圧送液体排出口17とを連通すると共に、フロ―ト3の降下に応じて上方に移動し、図1に示す様に液体溜空間10と圧送液体排出口17とを遮断するものである。
【0020】次に本実施例の液体圧送装置1の作用について、作動流体として蒸気を用いた場合の一連の動作手順を追うことによって説明する。まず液体圧送装置1の外部配管は、作動流体導入口11が高圧の蒸気源に接続され、作動流体排出口13は、蒸気循環配管に接続される。また圧送液体流入口16は、外部から液体溜空間10に向かって開く逆止弁(図示せず)を介して蒸気使用装置等の負荷に接続される。一方圧送液体排出口17は、液体溜空間10から外部に向かって開く逆止弁(図示せず)を介してボイラ―等の液体圧送先へ接続される。
【0021】本実施例の液体圧送装置1の液体溜空間10内に復水が無い場合は、図1に示す様にフロ―ト3は底部に位置する。このとき、切替え弁4における給気弁20が閉じられ、排気弁21が開かれている。また複座弁6が閉じられている。そして蒸気使用装置等の負荷内で復水が発生すると、復水は圧送液体流入口16から液体圧送装置1に流下して、液体溜空間10内に溜まる。
【0022】液体溜空間10内に溜まった復水によってフロ―ト3が浮上すると、レバ―34が軸35を中心に時計回り方向に回転し、排水弁軸72との連結部である軸73が下方に移動し、排水弁軸72を介して第1及び第2プラグ65,66が下方に移動して第1及び第2弁座63,64から離座し、複座弁6が開弁する。
【0023】一方スナップ機構5側では、レバ―34の回転による軸40の下方への移動に連動して、フロ―トア―ム51が第1の軸37を中心に反時計回り方向に回転し、コイルバネ54との連結部である第2の軸58が右方に移動して第1の軸37と第3の軸59を結ぶ線に近付き、コイルバネ54は圧縮変形する。そしてフロ―ト3が更に上昇し、第2の軸58が第1の軸37と第3の軸59を結ぶ線上に並び、なおもフロ―ト3が上昇して第2の軸58が第1の軸37と第3の軸59を結ぶ線よりも右方に移動すると、コイルバネ54は急激に変形を回復し、副ア―ム52が時計回り方向に回転して第3の軸59が左方にスナップ移動する。その結果、副ア―ム52の軸60に連結された弁軸操作棒28が上側に移動し、給気弁20が開口されると共に排気弁21が閉じられる。
【0024】作動流体導入口11が開放されると、密閉容器2内に高圧蒸気が導入され、内部の圧力が上昇し、液体溜空間10に溜まった復水は、蒸気圧に押されて圧送液体排出口17から図示しない逆止弁を介して外部のボイラ―や廃熱利用装置へ排出される。
【0025】復水を排出した結果復水溜空間10内の水位が低下し、フロ―ト3が降下する。すると、レバ―34が軸35を中心に反時計回り方向に回転し、排水弁軸72との連結部である軸73が上方に移動し、排水弁軸72を介して第1及び第2プラグ65,66が上方に移動して第1及び第2弁座63,64に着座し、複座弁6が閉弁する。本実施例では、第1弁座63に点Aを中心とする球面の第1シ―ル部69を形成し、第2プラグ66に前記と同一の点Aを中心とする球面の第2シ―ル部70を形成しているので、第1及び第2プラグ65,66が上方に移動するときに点Aを中心として傾いても、第1及び第2弁座63,64を完全閉止することができる。
【0026】一方スナップ機構5側では、レバ―34の回転による軸40の上方への移動に連動して、フロ―トア―ム51が第1の軸37を中心に時計回り方向に回転し、コイルバネ54との連結部である第2の軸58が左方に移動して第1の軸37と第3の軸59を結ぶ線に近付き、コイルバネ54は圧縮変形する。そしてフロ―ト3が更に降下し、第2の軸58が第1の軸37と第3の軸59を結ぶ線上に並び、なおもフロ―ト3が降下して第2の軸58が第1の軸37と第3の軸59を結ぶ線よりも左方に移動すると、コイルバネ54は急激に変形を回復し、副ア―ム52が反時計回り方向に回転して第3の軸59が右方にスナップ移動する。その結果、副ア―ム52の軸60に連結された弁軸操作棒28が下側に移動し、給気弁20が閉じ、排気弁21が開口する。
【0027】上記の実施例においては、第1弁座63に球面の第1シ―ル部69を形成し、第2プラグ66に球面の第2シ―ル部70を形成したが、第1プラグ65に球面の第1シ―ル部を形成し、第2弁座64に球面の第2シ―ル部を形成してもよい。また、第1弁座63に球面の第1シ―ル部を形成し、第2弁座に64に球面の第2シ―ル部を形成したり、あるいは第1プラグ65に球面の第1シ―ル部を形成し、第2プラグ66に球面の第2シ―ル部を形成したり、あるいは第1弁座63と第1プラグ65の両方に球面の第1シ―ル部を形成し、第2弁座に64と第2プラグ66の両方に球面の第2シ―ル部を形成してもよい。
【0028】
【発明の効果】本発明は、一対の第1及び第2プラグがシ―ル部の中心を中心として傾いても、一対の第1及び第2弁座を完全閉止できるので、弁漏れのない複座弁を提供できるという優れた効果がある。
【出願人】 【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
【出願日】 平成10年(1998)2月13日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−230373
【公開日】 平成11年(1999)8月27日
【出願番号】 特願平10−48702