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【発明の名称】 ソレノイドの特性補正装置
【発明者】 【氏名】湯浅 弘之

【要約】 【課題】自動変速機における油圧調整等に用いられるソレノイドのばらつきを、調整機構を用いずに制御上で個々に補正できるようにする。

【解決手段】ソレノイドと制御装置とを、検査機にセットし、ソレノイドに対して一定の油圧を供給する(S1)。ここで、ソレノイドによって調整される油圧が目標油圧(1) に一致するように駆動電流をフィードバック制御する(S2〜S7)。そして、目標油圧(1) を得たときの駆動電流と目標油圧(1) に対応する基準電流との偏差ΔI(1) を演算し(S8)、同様にして目標油圧(2) を得たときの駆動電流と目標油圧(2) に対応する基準電流との偏差ΔI(2) を演算する(S9〜S11)。次いで、前記偏差ΔI(1) , ΔI(2) に基づいて、前記目標値に対応する基準電流を補正するための補正電流を演算し(S12)、該補正電流の情報を、ソレノイドの制御装置の記憶媒体に書き込む(S14)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】流体流量又は流体圧力を調整するためのソレノイドの特性補正装置であって、前記ソレノイドに検査用として一定圧力の流体を供給する油圧源と、前記ソレノイドによって調整される流体流量又は流体圧力を計測する計測手段と、該計測手段で計測される実際の流体流量又は流体圧力が、検査用に予め設定された目標流体流量又は目標流体圧力に一致するように、前記ソレノイドに与える駆動電流を調整する駆動電流調整手段と、前記ソレノイドの駆動電流と流体流量又は流体圧力との基準となる相関において前記目標流体流量又は目標流体圧力に対応する基準駆動電流と、前記駆動電流調整手段による調整結果として前記目標流体流量又は目標流体圧力を得たときの駆動電流との差を演算する電流偏差演算手段と、該電流偏差演算手段で演算された駆動電流の差に基づいて駆動電流の校正情報を演算する校正情報演算手段と、該校正情報演算手段で演算された校正情報を、前記ソレノイドの制御装置の記憶媒体に書き込む校正情報出力手段と、を含んで構成されたことを特徴とするソレノイドの特性補正装置。
【請求項2】前記検査用に予め設定された目標流体流量又は目標流体圧力として、複数の異なる目標流体流量又は目標流体圧力が予め設定され、これら複数の目標流体流量又は目標流体圧力毎に前記駆動電流調整手段及び前記電流偏差演算手段を作動させ、前記校正情報演算手段が、前記複数の目標流体流量又は目標流体圧力毎に演算された前記駆動電流の差に基づいて校正情報を演算することを特徴とする請求項1記載のソレノイドの特性補正装置。
【請求項3】前記校正情報演算手段で演算される校正情報が、前記ソレノイドの駆動電流と流体流量又は流体圧力との基準となる相関を校正して作成した相関の情報であることを特徴とする請求項1又は2に記載のソレノイドの特性補正装置。
【請求項4】前記校正情報演算手段で演算される校正情報が、前記ソレノイドの駆動電流と流体流量又は流体圧力との基準となる相関から求められる駆動電流を補正するための補正値であることを特徴とする請求項1又は2に記載のソレノイドの特性補正装置。
【請求項5】前記ソレノイドの制御装置が、前記基準の相関から目標流体流量又は目標流体圧力に対応する駆動電流を目標電流として設定し、実際にソレノイドに流れる電流が前記目標電流に一致するように、ソレノイドの通電制御量をフィードバック制御する構成であり、前記補正値が、前記通電制御量のフィードホワード分の設定に用いる目標電流の補正に用いられると共に、前記基準の相関から求められた目標電流と比較される実際の電流検出値の補正に用いられることを特徴とする請求項4記載のソレノイドの特性補正装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はソレノイドの特性補正装置に関し、例えば車両用自動変速機において作動油圧を制御するためなどに用いられるソレノイドにおける特性ばらつきをライン工程上で補償するための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、車両用自動変速機において、ソレノイドによってプランジャを変位させることで油経路の開口面積を変化させ、以て、各種摩擦係合要素(クラッチ,ブレーキ等)に対する油圧を調整する機構が知られている。ここで、前記ソレノイドによるプランジャの駆動においては、一般に、プランジャを一方向に付勢するリターンスプリング(弾性部材)を設け、該リターンスプリングの付勢力に抗してソレノイドの磁気力が与えられるよう構成されるが、前記リターンスプリングのセット荷重には大きなばらつきが生じるため、前記セット荷重を調整するための調整機構(調整ネジ)を設け、該調整機構によってセット荷重を個別に手作業で調整して基準値に揃えることが、製造組み立て時のライン工程において行われていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のようにソレノイドに調整機構を設けることは、コストを増大させ、また、ソレノイドのサイズを大型化させることにもなってしまうという問題があった。更に、個々に調整機構を手作業で操作してセット荷重を調整する構成では、調整工数が嵩むという問題もあった。
【0004】本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、ソレノイドに調整機構を設けることなく、セット荷重のばらつきをライン工程で精度良く補償できるソレノイドの特性補正装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】そのため請求項1記載の発明は、流体流量又は流体圧力を調整するためのソレノイドの特性補正装置であって、図1に示すように構成される。図1において、油圧源は、前記ソレノイドに検査用として一定圧力の流体を供給するものであり、計測手段は、前記ソレノイドによって調整される流体流量又は流体圧力を計測する。
【0006】駆動電流調整手段は、計測手段で計測される実際の流体流量又は流体圧力が、検査用に予め設定された目標流体流量又は目標流体圧力に一致するように、前記ソレノイドに与える駆動電流を調整する。電流偏差演算手段は、前記ソレノイドの駆動電流と流体流量又は流体圧力との基準となる相関において前記目標流体流量又は目標流体圧力に対応する基準駆動電流と、前記駆動電流調整手段による調整結果として前記目標流体流量又は目標流体圧力を得たときの駆動電流との差を演算する。
【0007】校正情報演算手段と、電流偏差演算手段で演算された駆動電流の差に基づいて駆動電流の校正情報を演算する。校正情報出力手段は、校正情報演算手段で演算された校正情報を、前記ソレノイドの制御装置の記憶媒体に書き込む。かかる構成によると、ソレノイドの特性を検査するためにソレノイドによって流体流量又は流体圧力が調整されるようにして、検査用の目標流体流量又は目標流体圧力となるようにソレノイドの駆動電流を調整する。
【0008】そして、前記駆動電流と流体流量又は流体圧力との基準となる相関で、前記検査用の目標に対応する駆動電流と、実際に目標を得るために要求された駆動電流との差を演算し、この駆動電流の差(即ち、前記基準となる相関の誤差)に基づいて駆動電流の校正情報を演算し、該校正情報をソレノイドの制御装置に記憶させる。
【0009】ここで、前記セット荷重のばらつきがあると、基準となる相関で目標値に対応する駆動電流を与えても前記目標値を得ることができなくなるから、前記駆動電流の差は、前記セット荷重のばらつき分を少なくとも含むものであり、実際の制御時に前記記憶された校正情報に基づいて駆動電流が制御されることで、セット荷重を一定値に揃える調整作業を行うことなく、適切な駆動電流の制御によって前記ばらつき分を補正することが可能となる。
【0010】請求項2記載の発明では、前記検査用に予め設定された目標流体流量又は目標流体圧力として、複数の異なる目標流体流量又は目標流体圧力が予め設定され、これら複数の目標流体流量又は目標流体圧力毎に前記駆動電流調整手段及び前記電流偏差演算手段を作動させ、前記校正情報演算手段が、前記複数の目標流体流量又は目標流体圧力毎に演算された前記駆動電流の差に基づいて校正情報を演算する構成とした。
【0011】かかる構成によると、複数の目標値についてそれぞれに基準相関上の駆動電流と実際に目標を得るために要求された駆動電流との差を演算することで、流体流量又は流体圧力と駆動電流との基準となる相関における誤差を複数箇所で検知し、一律でない誤差の推定を可能にする。請求項3記載の発明では、前記校正情報演算手段で演算される校正情報を、前記ソレノイドの駆動電流と流体流量又は流体圧力との基準となる相関を校正して作成した相関の情報とする構成とした。
【0012】かかる構成によると、目標と駆動電流との基準となる相関が、目標値を実際に得るのに要求された駆動電流に基づいて校正され、該校正された相関が制御装置に記憶されるから、実際のソレノイドの制御時に、前記校正された相関に基づいて目標の流量又は圧力に対応する駆動電流を求めれば、ばらつき分が補正された駆動電流に基づき目標流量又は目標圧力を得られることになる。
【0013】請求項4記載の発明では、前記校正情報演算手段で演算される校正情報を、前記ソレノイドの駆動電流と流体流量又は流体圧力との基準となる相関から求められる駆動電流を補正するための補正値とする構成とした。かかる構成によると、基準となる相関から目標値に対応する値として求められた駆動電流を前記補正値で補正することで、セット荷重のばらつき等に対応して実際に目標値が得られる駆動電流とすることができる。
【0014】請求項5記載の発明では、前記ソレノイドの制御装置が、前記基準の相関から目標流体流量又は目標流体圧力に対応する駆動電流を目標電流として設定し、実際にソレノイドに流れる電流が前記目標電流に一致するように、ソレノイドの通電制御量をフィードバック制御する構成であり、前記補正値が、前記通電制御量のフィードホワード分の設定に用いる目標電流の補正に用いられると共に、前記基準の相関から求められた目標電流と比較される実際の電流検出値の補正に用いられる構成とした。
【0015】かかる構成によると、目標電流を補正値で補正することで、目標流量又は目標圧力に略対応する駆動電流をソレノイドに与えることができるが、目標電流を補正値で補正してソレノイドに与えるから、目標電流+補正値の電流がソレノイドに流れることになる。ここで、実際の電流と目標電流との差を演算すると、補正値分の誤差を生じることになり、目標流量又は目標圧力に対応しない目標電流にフィードバックすることになってしまうので、電流の検出値を前記補正値で補正して、補正値による補正分以外の誤差分に応じてフィードバック補正量が決定されるようにした。
【0016】
【発明の効果】請求項1記載の発明によると、目標流量又は目標圧力を得るのに要求される駆動電流を求め、これによって目標値と駆動電流との相関の校正情報を得るので、ソレノイドのセット荷重のばらつきによる修正要求を含んだ校正情報が精度良く得られ、ソレノイドのセット荷重の調整を不要としつつ、目標値が得られる駆動電流を精度良くソレノイドに与えることができるという効果がある。
【0017】請求項2記載の発明によると、目標流量又は目標圧力と駆動電流との相関の誤差が、一律の補正値によるシフトで補正できるものでない場合に、複数の目標値においての誤差を求めることで、誤差特性を精度良く推定でき、以て、高精度な校正情報の演算を可能にできるという効果がある。請求項3記載の発明によると、セット荷重のばらつきによる影響分を含んで修正された目標流量又は目標圧力と駆動電流との相関が制御装置に記憶されるから、前記相関を参照するのみで、目標値に精度良く対応する駆動電流をソレノイドに与えることが可能であるという効果がある。
【0018】請求項4記載の発明によると、目標流量又は目標圧力と駆動電流との基準となる相関を用いた制御を基本としつつ、セット荷重のばらつき等に対応するための補正値で駆動電流を補正して、目標流量又は目標圧力を精度良く得られる駆動電流をソレノイドに与えることができるという効果がある。請求項5記載の発明によると、目標流量又は目標圧力に対応すべき目標電流を、特性ばらつきを考慮しない基準の相関から設定しつつ、特性ばらつきを考慮した駆動電流をソレノイドに与え、かつ、前記目標電流へのフィードバック制御を行わせることができ、基本の制御仕様を共通化しつつ、各ソレノイドの特性ばらつきに対応した駆動電流のフィードバック制御を行えるという効果がある。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を説明する。図2は、本発明にかかるソレノイドの特性補正装置によって、ライン工程上において特性補正が行われるソレノイドを含んで構成される車両用の油圧式自動変速機を示すものである。
【0020】この図2において、図示しない車両に搭載されるエンジン1のトルクが、自動変速機2を介して駆動輪(図示省略)に伝達される構成となっている。尚、自動変速機2は無段変速機,有段変速機のいずれであっても良い。また、自動変速機2の変速制御を行う制御装置3(図中には、A/T C/Uと記してある)は、CPU,RAM,ROM等を含んで構成されるマイクロコンピュータを内蔵し、自動変速機2の各摩擦係合要素(クラッチ,ブレーキ等)に対する油圧を調整する複数のソレノイドを制御することで、変速段を自動制御する。該制御装置3は、前記複数のソレノイドと共に、自動変速機2のケース内のATF(自動変速機油)雰囲気中にユニットとして取付られる。
【0021】前記ソレノイドは、リターンスプリングによって付勢されるプランジャ(可動鉄心)を、前記リターンスプリングの付勢力に抗して磁気力によって変位させることで、油経路の開口面積を変化させ、以て、各摩擦係合要素に対して供給される油圧を制御するものであり、前記制御装置3は、目標油圧を決定すると共に、ソレノイドに与える駆動電流iと油圧との相関に基づいて前記目標油圧に対応する駆動電流iを目標電流として求めてソレノイドに出力し、かつ、実際にソレノイドに流れる電流が前記目標電流に一致するように、ソレノイドの通電制御量(例えばトランジスタのオンデューティ)をフィードバック制御するようになっている。
【0022】具体的には、図3に示すような構成によって、ソレノイドの通電がフィードバック制御されるようになっている。図3において、目標電流演算部51では、予め記憶されている目標油圧と駆動電流との相関から、そのときの目標油圧に対応する目標電流を演算する。中央値設定部52では、前記目標電流に相当する基準デューティ(中央値)を設定し、これをフィードホワード補正量(F/F補正量)として出力する。
【0023】一方、フィードバック補正部53では、ソレノイド5に実際に流れた電流の検出値と前記目標電流との偏差を求め、該偏差に基づき比例,積分,微分(PID)制御動作によってフィードバック補正量(F/B補正量)を出力する。そして、前記フィードホワード補正量(F/F補正量)と前記フィードバック補正量(F/B補正量)とを加算した結果(デューティ)が、ソレノイド5への通電量を制御するトランジスタ(図示省略)に出力され、トランジスタが前記デューティに応じてオン・オフ制御されることで、オン時間割合に応じてソレノイド5の通電量が制御される。
【0024】前記ソレノイド5の電流検出は、電流検出用に設けられた抵抗の端子電圧として出力され、該電圧はローパスフィルタ55を介してA/D変換器56に入力されてA/D変換される。A/D変換後の電圧データは、電圧電流変換器57によって電流のデータに変換される。そして、前記電流の検出データを、前記目標電流から減算し、該減算処理によって得られた偏差を、エラー量として前記フィードバック補正部53に出力させるようにしてある。
【0025】また、補正量設定部58が設けられており、該補正量設定部58では、前記目標電流演算部51で演算された目標電流に応じて補正電流(補正値)を設定し、該補正電流によって前記目標電流を補正して、前記中央値設定部52に出力する一方、前記電圧電流変換器57の出力を前記補正電流で補正して、該補正後の検出結果と前記目標電流演算部51で演算された目標電流との偏差としてエラー量の算出が行われるようにする。
【0026】前記補正量設定部58で設定される補正電流は、ソレノイドのセット荷重のばらつき等による駆動電流と油圧との相関のばらつきを補正するためのものであり、前記目標電流演算部51における目標電流の設定特性を変更することなく、個々のソレノイドの特性ばらつきに対応すべく前述のように、前記中央値設定部52に出力される目標電流を補正する。また、ソレノイド5の実際の電流を、そのまま目標電流演算部51で演算された目標電流と比較させると、目標電流演算部51で演算された目標電流に一致させるべくフィードバック制御されることになってしまい、補正電流による補正が機能しなくなるので、電流の検出結果を前記補正電流で補正して、補正電流分を差し引いた検出電流値と前記目標電流演算部51で演算された目標電流とを比較させるようにして、補正電流による補正が行われない場合と同様にして目標電流に対する偏差をエラー量としてフィードバック制御が行われるようにしてある。
【0027】前記補正量設定部58における補正電流は、自動変速機の組み立てライン工程上において、ソレノイド個々の特性を検出して設定される。尚、ソレノイド個々の特性を検出して前記補正電流をソレノイド毎に設定することで、ソレノイドのセット荷重のばらつきを補償することができるので、本実施の形態におけるソレノイドにはセット荷重の調整機能が設けられていない。従って、ソレノイドの製造コストの低減,ソレノイドの小型化,調整工数の低減を図ることができる。
【0028】図4は、自動変速機の組み立てライン工程でのソレノイド特性の検出に用いられる検査機11を示すものであり、該検査機11には、後工程で自動変速機2のケース内に一体的に取付られることになる複数のソレノイド5と前記制御装置3とからなるA/Tユニット6がセットされ、該検査機11による検査工程を経た後に前記A/Tユニット6が自動変速機2のケース内に取付られる。
【0029】前記検査機11には、前記A/Tユニット6の各ソレノイド5に対して一定の油圧を供給するための油圧源12が付設される。そして、各ソレノイド5で圧力調整された油が、個別に検出口11aを介して検査機11内に導入され、検査機11に内蔵された計測手段としての油圧センサ(図示省略)によって各ソレノイド毎に調整結果としての油圧が検出されるようになっている。
【0030】ここで、前記検査機11の動作を、図5のフローチャートに従って説明する。まず、S1では、各ソレノイドに対する油の供給を開始する。S2では、予め検査用として設定された目標油圧(1)に対応する駆動電流を、前記目標電流演算部51における目標油圧と駆動電流との相関に基づいて設定し、かかる駆動電流(基準駆動電流)をソレノイドに出力する。
【0031】尚、駆動電流のソレノイドに対する出力とは、駆動電流に相当するデューティでソレノイドの通電を制御するトランジスタを駆動することを示すが、ここでは、説明を簡略化するために、単に電流のソレノイドへの出力と記す。また、検査機11におけるソレノイドに対する通電は、検査機11から直接に行っても良いし、制御装置3を介して行う構成としても良い。
【0032】前記目標電流演算部51における目標油圧と駆動電流との相関とは、セット荷重のばらつき等がないとした場合の油圧と駆動電流との相関(設計値)を示すものであり、基準となる相関である。S3では、ソレノイド毎に油圧を検出する。S4では、S3で検出した油圧と前記目標油圧(1)とが略一致しているか否かを判別する。
【0033】目標油圧(1)に実際の油圧が一致していないときには、S5へ進み、実際の油圧から目標油圧(1)を減算した値が正の値であるか否かを判別することで、実際の油圧が目標油圧(1)を上回っているのか下回っているのかを判別する。そして、実際の油圧から目標油圧(1)を減算した値が正の値であって、実際の油圧が目標油圧(1)を上回っている場合には、S6へ進み、駆動電流を油圧が低下する方向に所定値だけ補正し、下回っている場合には、S7へ進み、駆動電流を油圧が増大する方向に所定値だけ補正する。即ち、目標油圧に実際の油圧が一致するように駆動電流をフィードバック制御するものであり、該フィードバック制御動作として、比例,積分PI動作や、比例,積分,微分PID動作を用いる構成としても良い。
【0034】上記駆動電流の補正によって、目標油圧(1)に実際の油圧が略一致するようになると、S4からS8へ進み、前記S2で、目標油圧(1)に対応するものとして設定した基準の駆動電流と、前記S3〜S7(駆動電流調整手段)のフィードバック制御の結果として目標油圧(1)に対応するものとして得られた駆動電流との差ΔI(1)を演算する(電流偏差演算手段)。
【0035】S9では、前記目標油圧(1)とは異なる目標油圧(2)に対応する駆動電流を、前記基準となる相関から求めて、この駆動電流を基準電流としてソレノイドに出力する。S10(駆動電流調整手段)では、前記S3〜S7と同様にして、目標油圧(2)に実際の油圧を一致させるべく駆動電流を前記基準電流を初期値としてフィードバック制御する。
【0036】S11(電流偏差演算手段)では、前記S10におけるフィードバック制御の結果として前記目標油圧(2)が実際に得られた電流と、前記S9で設定した基準電流との差ΔI(2)を演算する。S12では、前記ΔI(1),ΔI(2)及びこれらを求めたときの基準電流に基づいて、基準電流に対応する補正電流(校正情報)を例えば図6に示すように補間演算によって求める(校正情報演算手段)。上記のように、少なくとも2点のデータから全体の補正電流の要求を推定する構成とすることで、補正要求が一律の値でない場合に、精度良く補正電流を推定することができる。従って、目標油圧を3点以上設定して、それぞれに実際の油圧が目標油圧となるときの駆動電流を求めて補間演算の基礎データとしても良い。
【0037】尚、補間を直線補間に限定するものでないことは明らかである。S13では、前記S12で演算された補正電流が、所定範囲内であるか否かを判別し、所定範囲内であれば、校正情報が正しく得られたものと判断して、S14へ進む。S14では、前記制御装置3の記憶媒体としてのROM(フラッシュEEPROM)に対して、前記ソレノイドの制御プログラムを書き込むと同時に、前記演算された補正電流を前記補正量設定部58における補正電流として書き込む(校正情報出力手段)。
【0038】尚、上記実施の形態では、複数のソレノイド5と制御装置3とがユニット化されたものを、検査機11にセットする構成としたが、ソレノイド5を単品で検査機にセットしてソレノイド5毎の校正情報(補正電流)を演算し、このソレノイド5毎の校正情報をストックしておいて、ソレノイド5と制御装置3とをユニット化するときに、制御装置3に対して組み合わされるソレノイド5の校正情報を出力する構成としても良い。
【0039】また、上記実施の形態では、自動変速機における油圧調整に用いられるソレノイドについて述べたが、流量調整に用いるソレノイドであっても良く、その場合には、検査機11において、目標流量を得るべくソレノイドの駆動電流をフィードバック制御し、前記目標流量に対応する基準の駆動電流と実際に目標流量を得たときの駆動電流との差から補正電流を求める構成とすれば良い。
【0040】また、補正電流の演算結果から、目標油圧(又は目標流量)と駆動電流との相関を書き換え、該書き換え後の相関特性を校正情報として、前記制御装置3の記憶媒体としてのROM(フラッシュEEPROM)に対して、前記ソレノイド5の制御プログラムと同時に書き込む構成としても良い。
【出願人】 【識別番号】000167406
【氏名又は名称】株式会社ユニシアジェックス
【出願日】 平成10年(1998)1月7日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】笹島 富二雄
【公開番号】 特開平11−201314
【公開日】 平成11年(1999)7月30日
【出願番号】 特願平10−1786