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【発明の名称】 両方向弁
【発明者】 【氏名】斎藤 英昭

【氏名】久原 啓司

【要約】 【課題】閉弁時の弁部からの液体の漏出を確実に防止する。

【解決手段】第1弁孔38にスプール47、第2弁孔40にスプール58を収容する。スプール47を強付勢力のスプリング48で両弁孔間のストッパ壁57に当接させ、スプール58を弱付勢力のスプリング59でスプール47に当接させる。スプール47に、中心孔50と分岐孔51、スプール58に、径方向孔63と環状溝62を形成する。第1弁孔38に、スプール58が弁孔38内に突出したときに、環状溝62と分岐孔51を導通させる環状溝46を形成する。流路AからBに液体が流れるときには両スプール47,58が離間して中心孔50が開き、流路BからAに液体が流れるときには両スプール47,58が当接したまま環状溝62と分岐孔51が導通する。閉弁時の液体の漏出はスプール47,58間の当接部と、スプール47とストッパ壁57の当接部によって阻止する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 第1の流路と第2の流路の間に介装され、第1の流路から第2の流路に向かう液体の流れが第1の開弁圧を越えるときと、第2の流路から第1の流路に向かう液体の流れが第2の開弁圧を越えるときに夫々液体の流通を許容する両方向弁において、バルブハウジングに、前記第1の流路に導通する大径の第1弁孔と、前記第2の流路に導通する小径の第2弁孔とを連続して形成すると共に、第1弁孔内の第2弁孔との連接部に両孔と直交するストッパ壁を形成し、前記第1弁孔と第2弁孔に大径の第1スプールと小径の第2スプールを夫々摺動自在に収容すると共に、第1弁孔に、第1スプールをストッパ壁に当接させる方向に付勢する強付勢手段を設け、第2弁孔に、第2スプールを第1スプールに当接させる方向に付勢する弱付勢手段を設け、前記第1スプールに、第2スプールとの当接端面と第1の流路を導通させる中心孔と、この中心孔と第1スプールの外周面を導通させる分岐孔を形成する一方で、第2スプールに、第2スプールの第1スプール側の端部外周と第2の流路を導通させる導通路を形成し、前記第1スプールと第1弁孔の間に、第2スプールが第1弁孔内に突出したときに第2スプールの導通路と第1スプールの分岐孔を導通させるバイパス溝を形成したことを特徴とする両方向弁。
【請求項2】 前記バルブハウジングを、第1弁孔を有するハウジング本体と、第2弁孔を有するプラグとから構成し、ハウジング本体に第1弁孔に連続するねじ孔を形成し、プラグに、先端面がストッパ壁を成し、外周面がハウジング本体のねじ孔に螺合されるボス部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の両方向弁。
【請求項3】 前記ボス部に、ハウジング本体のねじ孔端縁に対峙するフランジを設けてこのフランジとねじ孔端縁との間へのシムの介装を可能にし、このねじ孔端縁とフランジの間で、ハウジング本体に対するプラグのねじ込み深さを規制する規制手段を構成したことを特徴とする請求項2に記載の両方向弁。
【請求項4】 プラグのボス部の先端外周にねじ溝を切らない小径のストレート部を設けると共に、ハウジング本体のねじ孔の最深部に前記ストレート部の嵌入される嵌合面を形成したことを特徴とする請求項2または3に記載の両方向弁。
【請求項5】 車両のエンジン作動装置の液圧配管に用いたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の両方向弁。
【請求項6】 バルブハウジングをエンジン作動装置に一体に形成したことを特徴とする請求項5に記載の両方向弁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、流路内に介装されて設定圧以上の液体の流通のみを許容する両方向弁に関し、とりわけ、閉弁時に弁部での液体の漏れを確実に防止できる改良を施した両方向弁に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の両方向弁として、実開昭60−149577号公報に示されるようなものが従来より案出されている。
【0003】この両方向弁は、図6に示すように、バルブハウジング1に外部の第1の流路2と第2の流路3が導通接続され、バルブハウジング1の弁孔4内に、第1スプール5と第2スプール6が摺動自在に収容されている。この第1スプール5と第2スプール6は第1スプリング7と第2スプリング8によって互いの端部相互が当接する方向に付勢されている。第2スプール6には、第1の流路2側と第2の流路3側を連通する中心孔9が形成され、第1スプール5と第2スプール6が当接した状態でこの中心孔9が第1スプール5によって閉塞されるようになっている。また、各スプール5,6の基部にはフランジ5a,6aが形成され、これらのフランジ5a,6aが弁孔4内に凹設された段差状の肩部10,11に当接して各スプール5,6の前進方向の変位を規制するようになっている。尚、第1スプール5を前進方向に付勢する第1スプリング7は比較的強い付勢力に設定され、第2スプール6を前進方向に付勢する第2スプリング8は極く弱い付勢力に設定されている。
【0004】したがって、この両方向弁においては、第1の流路2側の液体の圧力が第2の流路3側よりも大きくなると、第1スプール5の変位がフランジ5aと肩部10の当接によって規制された状態で第2スプール6が後退し、そのときに第2スプール6の中心孔9が開いて第1の流路2から第2の流路3側に液体が流れるようになり、逆に、第2の流路3側の液体の圧力が第1の流路2側の圧力よりも設定値以上大きくなると、第2スプール6の変位がフランジ6aと肩部11の当接によって規制されて第1スプール5が後退し、そのときにやはり同様に第1スプール5の中心孔9が開いて第2の流路3から第1の流路2側に液体が流れるようになる。尚、液体が第1の流路2から第2の流路3方向に流れるときの開弁圧(第1の開弁圧)は第2スプール6の受圧面積と弱付勢手段である第2スプリング8の付勢力とによって決定され、液体が第2の流路3から第1の流路2方向に流れるときの開弁圧(第2の開弁圧)は第1スプール5の受圧面積と強付勢手段である第1スプリング7の付勢力とによって決定される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の両方向弁は、第1スプール5と第2スプール6の端面相互を当接させることによって第2スプール6の中心孔9を閉塞し、第1の流路2と第2の流路3を遮断する構造となっている。しかしながら、第1スプール5と第2スプール6が当接した閉弁状態において、第2の流路3と第1の流路2の間に圧力差があると、液体は両スプール5,6の当接部(中心孔9の閉塞部)ばかりでなく、弁孔4と第2スプール6の外周面との摺動隙間にも流入しようとするため、閉弁状態が長時間続くと、弁孔4と第2スプール6の摺動隙間を通して第1の流路2側に漏出する可能性が考えられる。
【0006】また、上記両方向弁においては、各スプール5,6のフランジ5a,6aを弁孔4の肩部10,11に軸方向で当接させることで各スプール5,6の前進方向の変位を規制する構造となっているため、スプール5,6相互が当接した閉弁状態で両スプール5,6のフランジ5a,6aが対応する肩部10,11に確実に密接するようにすれば、第2スプール6の外周面と弁孔4との隙間からの液体の漏出を防止できるようにも考えられるが、両スプール5,6のフランジ5a,6aを対応する肩部10,11に同時に当接させることは加工精度等の関係で実際上は不可能である。
【0007】そして、特に両方向弁を車両のエンジン作動装置の液圧配管に用いる場合には、閉弁状態で弁部からの液体の漏出を確実に防止できないと、エンジン停止状態が長時間続いたときに流路内の液体が重力によって抜け出し、エンジンの再始動を円滑に行えなくなるという不具合を招く。
【0008】そこで本発明は閉弁時の弁部からの液体の漏出を確実に防止することのできる両方向弁を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、第1の流路と第2の流路の間に介装され、第1の流路から第2の流路に向かう液体の流れが第1の開弁圧を越えるときと、第2の流路から第1の流路に向かう液体の流れが第2の開弁圧を越えるときに夫々液体の流通を許容する両方向弁において、バルブハウジングに、前記第1の流路に導通する大径の第1弁孔と、前記第2の流路に導通する小径の第2弁孔とを連続して形成すると共に、第1弁孔内の第2弁孔との連接部に両孔と直交するストッパ壁を形成し、前記第1弁孔と第2弁孔に大径の第1スプールと小径の第2スプールを夫々摺動自在に収容すると共に、第1弁孔に、第1スプールをストッパ壁に当接させる方向に付勢する強付勢手段を設け、第2弁孔に、第2スプールを第1スプールに当接させる方向に付勢する弱付勢手段を設け、前記第1スプールに、第2スプールとの当接端面と第1の流路を導通させる中心孔と、この中心孔と第1スプールの外周面を導通させる分岐孔を形成する一方で、第2スプールに、第2スプールの第1スプール側の端部外周と第2の流路を導通させる導通路を形成し、前記第1スプールと第1弁孔の間に、第2スプールが第1弁孔内に突出したときに第2スプールの導通路と第1スプールの分岐孔を導通させるバイパス溝を形成するようにした。
【0010】この発明の両方向弁においては、第1の流路の液圧が第2の流路の液圧よりも大きく、かつ、その圧力差が第1の開弁圧よりも大きい場合には、第1スプールがストッパ壁に当接したまま第2スプールが弱付勢手段の力に抗して後退し、このときに第1スプールの中心孔が開いて第1の流路から第2の流路に液体が流れるようになる。一方、第2の流路の液圧が第1の流路の液圧よりも大きく、かつ、その圧力差が第2の開弁圧よりも大きい場合には、第2のスプールと第1のスプールが互いに当接した状態のまま強付勢手段の力に抗して変位する。このとき、第1スプールがストッパ壁から離間すると同時に、第2スプールが第1弁孔内に突出して、第2スプールの導通路と第1スプールの分岐孔がバイパス溝を介して導通し、第2の流路から第1の流路に液体が流れるようになる。さらに、閉弁状態においては、第1スプールの中心孔部分からの液体の漏出は第1スプールと第2スプールの端面相互の当接によって確実に防止され、また、第1スプールと第2スプールの周域部からの液体の漏出は、第1スプールの端面とストッパ壁との当接によって確実に防止される。
【0011】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、バルブハウジングを、第1弁孔を有するハウジング本体と、第2弁孔を有するプラグとから構成し、ハウジング本体に第1弁孔に連続するねじ孔を形成し、プラグに、先端面がストッパ壁を成し、外周面がハウジング本体のねじ孔に螺合されるボス部を形成するようにした。この両方向弁を組み立てる場合には、ハウジング本体の第1弁孔に強付勢手段と第1スプール、プラグの第2弁孔内に弱付勢手段と第2スプールを夫々組み込んだ状態でハウジング本体のねじ孔にプラグのボス部をねじ込む。
【0012】請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、ボス部に、ハウジング本体のねじ孔端縁に対峙するフランジを設けてこのフランジとねじ孔端縁との間へのシムの介装を可能にし、このねじ孔端縁とフランジの間で、ハウジング本体に対するプラグのねじ込み深さを規制する規制手段を構成するようにした。
【0013】請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の発明において、プラグのボス部の先端外周にねじ溝を切らない小径のストレート部を設けると共に、ハウジング本体のねじ孔の最深部に前記ストレート部の嵌入される嵌合面を形成するようにした。プラグのボス部をハウジング本体のねじ孔にねじ込んでゆくと、最終的にボス部先端のストレート部がねじ孔の最深部の嵌合面に嵌入される。したがって、ねじ込みの際に発生するばりはストレート部の嵌合される部分の手前で捕獲され、弁孔内には侵入することが無くなる。
【0014】請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明を車両のエンジン作動装置の液圧配管に用いるようにした。
【0015】請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、バルブハウジングをエンジン作動装置に一体に形成するようにした。
【0016】
【発明の実施の形態】次に、本発明の一実施例を図1〜図4に基づいて説明する。
【0017】図1〜図3は、本発明にかかる両方向弁20の断面図であり、図4は、この両方向弁20を用いたエンジン作動システムの配管図である。
【0018】本発明にかかる両方向弁20の具体的な構造について詳述する前に、図4に示すエンジン作動システムについて簡単に説明する。
【0019】このエンジン作動システムは、エンジンの各シリンダ(図示せず。)内に高圧に加圧した燃料を直接噴射するためのシステムであり、燃料タンク21の燃料を各シリンダ内に配置したインジェクター22に供給する燃料供給回路と23、オイルパン24から各インジェクター22に噴射機構作動用のオイルを供給するオイル供給回路25とを備えている。
【0020】燃料供給回路23は、燃料タンク21内の燃料をフューエルポンプ26によって各インジェクター22に送り出し、各インジェクター22でその燃料を高圧に加圧してシリンダ内に噴射すると共に、そこで噴射した余剰分の燃料を燃料タンク21内に戻すようになっている。尚、27は、燃料供給回路23内に介装されたフィルターである。
【0021】また、オイル供給回路25は、オイルパン24に貯留されたオイルをフィードポンプ28によって高圧ポンプ29に供給し、そのオイルを高圧ポンプ29で高圧に加圧して、各インジェクター22の作動室と導通する高圧油マニホルド30に供給するようになっている。そして、高圧ポンプ29の下流側通路36には圧力制御弁31が設けられ、圧力制御弁31がドレン通路32を適宜開閉して、それによって高圧油マニホルド30内の液圧を増減調整するようになっている。圧力制御弁31はインジェクター22の噴射機構と共にコントローラ33によって制御され、高圧油マニホルド30内の液圧をエンジンの回転数や負荷状態等に応じた最適な値に調整する。また、図中34,35は、オイル供給回路25内に夫々介装されたオイルクーラとオイルフィルターである。
【0022】本発明にかかる両方向弁20は、前記下流側通路36の圧力制御弁31と高圧油マニホルド30の間に介装され、圧力制御弁31から高圧油マニホルド30側に向かう正方向のオイルの流れと、高圧油マニホルド30から圧力制御弁31側に向かう逆方向のオイルの流れを共に許容するようになっている。ただし、正方向のオイルの流れは、両方向弁20の前後の差圧が第1の開弁圧(極く小さい値)を越える場合に許容され、逆方向のオイルの流れは、両方向弁20の前後の差圧が第2の開弁圧を越える場合に許容されるようになっている。第1の開弁圧と第2の開弁圧は、いずれもエンジン作動時のオイルの常用圧よりも遥かに小さな値に設定されているが、第2の開弁圧はエンジン停止時にたとえ圧力制御弁31側の流路が大気圧になった場合であって高圧油マニホルド30側の流路からのオイルの流出を確実に阻止し得る値に設定されている。尚、この実施例においては、下流側通路36のうちの両方向弁20を挟んで圧力制御弁31側が本発明における第1の流路A、高圧油マニホルド30側が本発明における第2の流路Bとなっている。
【0023】両方向弁20は、図1に示すように、バルブハウジング37が大径の第1弁孔38を有するハウジング本体39と、小径の第2弁孔40を有するプラグ41とから構成され、ハウジング本体39には第1の流路Aと第1弁孔38を導通する第1ポート42が形成され、プラグ41には第2の流路Bと第2弁孔40を導通する第2ポート43が形成されている。
【0024】ハウジング本体39は、第1弁孔38の一端側に段差壁44を介して前記第1ポート42が連設され、他端側にねじ孔45が連続して形成されている。また、第1弁孔38のねじ孔45側の端部にはこのねじ孔45とほぼ同径のバイパス溝として環状溝46が形成されている。そして、第1弁孔38には、大径の第1スプール47が摺動自在に収容されると共に、この第1スプール47をハウジング本体39の先端側(ねじ孔45側)に付勢する強付勢手段としての第1スプリング48が収容されている。第1スプリング48は、第1スプール47の基端に形成された凹部49と、ハウジング本体39の段差壁44の間に介装されている。また、第1スプール47には、その先端面と第1ポート42側を導通する中心孔50が形成されると共に、この中心孔50の略中間部と第1スプール47の外周面とを導通する分岐孔51が形成されている。この分岐孔51の径方向外側の端部はハウジング本体39の環状溝46に常時連通するようになっている。
【0025】一方、プラグ41は、先端部にハウジング本体39のねじ孔45に螺合されるボス部52が形成され、このボス部52の基端外周にフランジ53が形成されている。このフランジ53は、ボス部52をねじ孔45に螺合したときのねじ込み深さを規制する部分で、ボス部52をねじ孔45に所定量ねじ込んだところでハウジング本体39の先端面39a(ねじ孔45の端縁)に当接するようになっている。尚、ハウジング本体39の先端の内周側縁部にはテーパ面54が形成されており、このテーパ面54とフランジ53の基部コーナ55との間にシールリング56が介装されている。また、前記第2弁孔40はボス部52の先端面に向かって開口形成されているが、この第2弁孔40の開口縁部、つまり、ボス部52の先端面は第1,第2弁孔38,40と直交するように形成され、第1スプリング47によって付勢された第1スプール47の先端面が当接するストッパ壁57となっている。
【0026】そして、第2弁孔40には、小径の第2スプール58が摺動自在に収容されると共に、この第2スプール58を第1スプール47に当接させる方向に付勢する弱付勢手段としての第2スプリング59が収容されている。この第2スプリング59は、第2弁孔40の底部の段差壁60と、第2スプール58の基端に形成された凹部61との間に介装されている。また、第2スプール58の先端面は、第1スプール47の先端面に当接して第1スプール47の中心孔50を閉塞するようになっている。そして、第2スプール58は、その先端部外周に環状溝62が形成されると共に、この環状溝62と凹部61内を導通する径方向孔63が形成されている。この環状溝62と径方向孔63は、第2スプール58の端部外周と第2の流路Bを導通させる本発明における導通路を構成している。
【0027】尚、この両方向弁20においては、第1スプール47が強付勢手段である第1スプリング48によって付勢され、第2スプール58が弱付勢手段である第2スプリング59によって付勢されているため、第1の流路Aと第2の流路Bに液圧の作用しない初期状態においては、第1スプール47の先端面がストッパ壁57に当接し、第2スプール58の先端面が第1スプール47の先端面に当接している。
【0028】以上の構成において、第1の流路Aの液圧が第2の流路Bの液圧よりも大きくなり、かつ、その圧力差が第1の開弁圧よりも大きくなると、図2に示すように、第1スプール47の先端面がストッパ壁57に当接したまま第2スプール58が第2スプリング59の力に抗して後退し、このときに第1スプール47の中心孔50が開かれる。したがって、このとき第1の流路Aのオイルが中心孔50を通って第2スプール58の外周側に抜け、さらに第2スプール58の環状溝62と径方向孔63を通って第2の流路Bへと流れるようになる。
【0029】また、逆に第2の流路Bの液圧が第1の流路Aの液圧よりも大きくなり、かつ、その圧力差が第2の開弁圧よりも大きくなると、図3に示すように、第1スプール47と第2スプール58が先端面相互で当接したまま第1スプリング48の力に抗して変位する。このとき、今まで当接していた第1スプール47の先端面がストッパ壁57から離間すると同時に、第2スプール58の先端部が第1弁孔38内に突出して、第2スプール58の環状溝62と第1弁孔38の環状溝46が互いに導通するようになる。したがって、このとき第2の流路Bのオイルが第2スプール58の径方向孔63と環状溝62を通って第1弁孔38内の環状溝46に抜け、さらに第1スプール47の分岐孔51と中心孔50を通って第1の流路Aへと流れるようになる。
【0030】さらにまた、第2の流路Bと第1の流路Aの液圧差が第2の開弁圧以下の場合と、第1の流路Aと第2の流路Bの液圧差が第1の開弁圧以下の場合には、両方向弁20は、図1に示すように閉弁状態となっているが、このとき、第1スプール47の中心孔50部分からのオイルの漏出は第2スプール58の先端面と第1スプール47の先端面内周域部分での当接によって阻止され、第1,第2スプール47,58の各外周域からのオイル漏出は第1スプール47の先端面外周域部分とストッパ壁57での当接によって阻止される。したがって、この両方向弁20は、閉弁状態において第1の流路Aと第2の流路Bの間でのオイルの漏出を確実に阻止することができ、図4に示すようなエンジン作動システムに用いた場合であれば、第2の流路B側の液圧、つまり、高圧油マニホルド30側の液圧を最低限大気圧に対して第2の開弁圧以上に維持することができる。
【0031】このため、エンジンの停止が長時間続き、配管内のオイルが重力により高圧ポンプ29や圧力制御弁31のドレン通路32等を通して外部に抜け出ることがあっても、最低限両方向弁20と高圧油マニホルド30の間のオイルは前記両方向弁20の機能によって流出を免れる。よって、この状態からエンジンを再始動する場合には、高圧油マニホルド30内が即時に所定の圧力まで昇圧するようになり、エンジンは円滑に再始動できるようになる。
【0032】また、この両方向弁20にあっては、バルブハウジング37が、第1弁孔38を有するハウジング本体39と、第2弁孔40を有するプラグ41とから構成されていて、第1弁孔38に第1スプリング48と第1スプール47、第2弁孔40に第2スプリング59と第2スプール58を夫々収容し、その状態でバルブ本体39のねじ孔45にプラグ41のボス部52をねじ込むだけで組み立てることができるため、組付性が極めて良く低コストでの製造が可能である。さらに、この両方向弁20の場合、第1,第2スプール47,58の先端面と、プラグ41のボス部52の先端面が閉弁状態での密接部となるが、これらの部位はいずれも各部品の端面であることから、極めて容易に精密な仕上げ加工を施すことができる。また、ハウジング本体39やプラグ41はリセス加工や長孔加工を有しない構造であることから、加工が容易であり、さらに内部に入り組んだ構造部がないことから、部品の組付前に行う洗浄による異物の除去処理も容易に、かつ、確実に行うことができる。
【0033】さらに、この両方向弁20においては、プラグ41のボス部52に延設したフランジ53をハウジング本体39の先端面39aに突き当てることで、ハウジング本体39に対するボス部52のねじ込み深さを規制する構造となっているが、ハウジング本体39の先端面39aとフランジ53の間に適宜枚数及び厚みのシムを介装することことにより、ボス部52のねじ込み深さ、つまり、強付勢手段である第1スプリング48の付勢力を容易に調整することができる。
【0034】また、この両方向弁20のバルブハウジング37は、高圧ポンプ29等の任意のエンジン作動装置に一体に形成すれば、配管数も含めた部品点数を大幅に削減して、構造の簡素化による装置の軽量・コンパクト化、及び、低コスト化を図ることができる。
【0035】尚、本発明の実施例は以上で説明したものに限るものではなく、例えば、上記の実施例においては、第2スプール58の第1スプール47側の端部外周と第2の流路Bを導通させる導通路を環状溝62と径方向孔63によって形成したが、これ以外の通路形状としても良い。また、上記の実施例においては、第2スプール58の環状溝62と第1スプール47の分岐孔51を導通させるバイパス溝(環状溝46)を第1弁孔38の内周面に形成したが、これに代えて第1スプール47の外周面側にバイパス溝を形成するようにしても良い。
【0036】さらにまた、図5に示すようにプラグ41のボス部52の先端外周にねじ溝を切らない小径のストレート部65を形成し、ハウジング本体39のねじ孔45の最深部にストレート部65の嵌入される嵌合面66を設けるようにしても良い。このようにした場合には、ハウジング本体39のねじ孔45にボス部52をねじ込む際に発生するばり67が弁孔38,40側に入り込むのを、ストレート部65と嵌合面66とによる嵌合部によって確実に阻止することができる。即ち、ハウジング本体39のねじ孔45に対してボス部52をねじ込んでゆくと、発生したばり67がボス部52のねじ山52aの先端側に押し出されるようになるが、ボス部52のねじ込みか完了に近づくと、ボス部52の先端のストレート部65が嵌合面67に嵌入され、それによって閉塞されたねじ孔45の最深部の空間68にばり66が閉じ込められるようになり、その結果として、ばり67が第1,第2弁孔38,40内に侵入することが無くなる。したがって、このような構造を採用した場合には、回路内へのばり67の侵入を確実に阻止し、ばり67の侵入による使用機器の故障や性能の低下等を確実に防止することができる。
【0037】
【発明の効果】以上のように請求項1に記載の発明は、第1の流路から第2の流路方向に液体を流す場合には、第1スプールの前進変位をストッパ壁で規制した状態で、第2スプールを後退させることよって第1スプールの中心孔を開き、逆に第2の流路から第1の流路方向に液体を流す場合には、第1スプールと第2スプールを当接させた状態で第1スプールを第1弁孔内に突出させることによって、第2スプールの導通路と第1スプールの分岐路とをバイパス溝を介して導通させることができ、しかも、閉弁時には、第1スプールの中心孔を第2スプールの端面で密閉して中心孔部分からの液体の漏出を確実に防止することできると共に、第1スプールの端面外周域をストッパ壁に密接させて第1,第2スプールの外周域からの液体の漏出を確実に防止することができる。また、閉弁時に密接して液体の漏出を防止する部分は、第1,第2スプールの端面とストッパ壁であって、いずれも平坦な部分であることから、これらの部分を容易に精度良く仕上げ加工することができる。
【0038】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、バルブハウジングを、第1弁孔を有するハウジング本体と、第2弁孔を有するプラグとから構成し、ハウジング本体に第1弁孔に連続するねじ孔を形成し、プラグに、先端面がストッパ壁を成し、外周面がハウジング本体のねじ孔に螺合されるボス部を形成するようにしたため、ハウジング本体の第1弁孔に強付勢手段と第1スプール、プラグの第2弁孔内に弱付勢手段と第2スプールを夫々組み込んだ状態で、ハウジング本体のねじ孔にプラグのボス部をねじ込むことによって簡単に組み立てることができ、しかも、そのねじ込みを緩めることによって容易に部品の交換を行うことができる。また、プラグに形成したボス部の先端面をストッパ壁としたため、ストッパ壁を精度良く容易に加工することができる。
【0039】請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、ボス部に、ハウジング本体のねじ孔端縁に対峙するフランジを設けてこのフランジとねじ孔端縁との間へのシムの介装を可能にし、このねじ孔端縁とフランジの間で、ハウジング本体に対するプラグのねじ込み深さを規制する規制手段を構成するようにしたため、フランジとねじ孔端縁の間に介装するシムの枚数若しくは厚みを変えることによって強付勢手段の付勢力を容易に変更することができる。
【0040】請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の発明において、プラグのボス部の先端外周にねじ溝を切らない小径のストレート部を設けると共に、ハウジング本体のねじ孔の最深部に前記ストレート部の嵌入される嵌合面を形成するようにしたため、プラグとハウジング本体のねじ込みの際に発生するばりが弁孔内に侵入するのをストレート部の嵌合部分によって確実に阻止することができる。したがって、実使用時に回路内の液体にばりが混入する不具合を無くし、ばりの混入による使用機器の故障や性能低下等を未然に防止することができる。
【0041】請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明を車両のエンジン作動装置の液圧配管に用いるようにしたため、長期間エンジンを停止した場合であっても液圧配管内の液体が重力によって流出することがなく、エンジンの円滑な再始動を保証することができる。
【0042】請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、バルブハウジングをエンジン作動装置に一体に形成するようにしたため、配管数も含めた部品点数を大幅に削減することができ、構造の簡素化による装置の軽量化、及び、低コスト化を図ることが可能になる。
【出願人】 【識別番号】000167406
【氏名又は名称】株式会社ユニシアジェックス
【出願日】 平成10年(1998)1月16日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 富士弥 (外3名)
【公開番号】 特開平11−201309
【公開日】 平成11年(1999)7月30日
【出願番号】 特願平10−6214