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【発明の名称】 圧力制御弁
【発明者】 【氏名】山下 茂

【要約】 【課題】ポペット弁を使用した圧力制御弁の圧力オーバライドを低減すると同時にチャタリングを防止する。

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】液体流路の開閉を行うためのポペット弁と、該ポペット弁に制御回路作動圧力を一定に保つための設定圧力を加える手段を備えた圧力制御弁において、前記ポペット弁は、その先端側の鋭角な円錐斜面と、この鋭角な円錐斜面の大径側の鈍角な円錐斜面とがそれぞれの中心軸を同一にして連接されて構成され、鈍角な円錐斜面と弁座のシート面で形成された開口面積を通して流量を逃がすことにより制御回路の圧力制御ができるようにしたことを特徴とする圧力制御弁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は油圧制御回路内の圧力を制御するための圧力制御弁に関する。
【0002】
【従来の技術】油圧制御回路内の油圧が異常に上昇して、制御装置等が破損され危険状態になることを防止するために、所定の設定圧力以上に油圧制御回路圧力が上昇したとき、ポペット弁を開いて油流量を低圧タンク側へ逃がして圧力を制御する方式の圧力制御弁が、流量通路での詰まりが少ないことや応答性がすぐれている等の理由で油圧制御回路に広く使用されている。図4は、このような圧力制御弁の構造の従来例を示したものである。図示しないが、入力ポート1は油圧制御回路側、出力ポート2は油流量を逃がすための低圧タンク側に接続されている。ポペット弁3は、ばね4による押しつけ力と、油圧制御回路の作動圧力がポペット弁3の円錐部の受圧面積に作用する押し上げ力との差により上下し、シート面5aとの間に開口面積が形成され、それに応じた油流量が入力ポート1から出力ポート2を通して流れ、油圧制御回路の圧力が一定に保たれるように制御される。前記ばね4の押しつけ力は、設定ノブ6を回してネジ7を回転させ、押し具8を上下することにより設定される。ばね4の両端は押し具8と一体のガイド(A)10とポペット弁3と一体のガイド(B)11に外嵌されており、ばね4の使用中に偏心やずれによって設定圧力が変化するのを防いでいる。ロックナット9は設定ノブ6が振動などでずれないように固定するものである。これらの構成要素はケース12により結合配置されている。
【0003】この圧力制御弁の流量−圧力特性は図3の点線に示すとおりである。この図に示されたクラッキング圧力は、油圧制御回路の作動圧力が上昇していくと、ある圧力からポペット弁3が少し浮き上がり、油流量がポート1からポート2を通して流れ始めるときの圧力であり、全量逃がし圧力はポンプ吐出流量を全量タンクへ逃す圧力である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の圧力制御弁は以上のように構成されているが、図3に示したように、流量が流れ始めてから、全量逃がし流量(ポンプ吐出流量)に相当する圧力差(圧力オーバライドと称す)、即ちクラッキング圧力と設定圧力との差が大きいと、圧力制御弁を流れる流量が増大することにより設定圧力も大きく変わるという欠点があった。また、図示した負荷圧力において、シリンダ等の負荷に流せる流量が、全量逃がし圧力での流量を100%としたとき、その約30%しか得られず流量利用効率が低いという欠点があった。この原因は、ポペット弁がばねによって押しつけられた力を設定圧力として用いたことにあり、ポペット弁の変位量に比例して設定圧力が変化する。このような圧力差、即ち圧力オーバライドを低減するためには、ポペット弁角φを大きくとり、ポペット弁の変位量に対する開口面積の変化を大きくする方法が考えられる。しかし、この方法ではポペット弁が油圧によって押し上げられた瞬間にポペット弁下部の圧力が急に低下して、ポペット弁は急速にばね力で押し下げられ、また圧力が上昇し、ポペット弁は再び押し上げられるという現象を繰り返すことによって振動が継続し、それに伴い騒音を発生するチャタリングが起きるという問題があった。圧力オーバライドを低減する方法として、バランスピストン形リリーフ弁等があるが、構造が複雑で、油流路が詰まりやすく、また、応答性が劣るという欠点があった。
【0005】本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、タンクへの逃がし流量の増大に伴う設定圧力の上昇を低減し圧力制御精度を高め、チャタリングを防止した圧力制御弁を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、本発明の圧力制御弁は、液体流路の開閉を行うためのポペット弁と、該ポペット弁に制御回路作動圧力を一定に保つための設定圧力を加える手段を備えた圧力制御弁において、ポペット弁は、その先端部の鋭角な円錐斜面と、この鋭角な円錐斜面の大径側の鈍角な円錐斜面がそれぞれの中心軸を同一にしかつ連接されて構成され、鈍角な円錐斜面と弁座のシート面で形成された開口面積を通して流量を逃がすことにより制御回路の圧力制御ができることを特徴とする。
【0007】本発明の圧力制御弁は上記のように構成されており、チャタリングを防止した設定圧力変化の少ない圧力制御弁を得ることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に本発明の圧力制御弁の一実施例について説明する。図1は本実施例の圧力制御弁に用いられるポペット弁3、台座5、及び入力ポート1を組み合わせた部分を示したものである。その他の部分については、図4と同じ構造を有している。ポペット弁3は先端側の鋭角θを有する円錘面3bと、この円錐面3bの大径側に配置される鈍角φを有する円錐面3aがそれぞれの中心軸を同一にして連接され構成されている。油圧制御回路圧力がクラッキング圧力以上になると、ポペット弁3は回路作動圧力を円錐斜面に受けて、図に示すようにシート面5aよりxだけ浮き上がり、xに比例した開口面積が開き、油流量は入力ポート1から矢印の方向に流れる。油圧制御回路圧力が、ばね4に与えられた設定圧力に到達すると、油流量はポペット弁3の円錘面3bの斜面と入力ポート内面1a間を通り、所定の油流量を低圧側タンクへ逃がし油圧制御回路の圧力上昇を抑える。
【0009】上記開口面積をA、弁座口直径をd、ポペット弁角をφ、弁変位量をxとすると A=πxsin(dーxsin(φ/2)cos(φ/2))
の関係があるため、ポペット弁角を140°にした場合の弁変位量xに対する開口面積Aの特性は図2の実線で示したようになる。同図の点線は、従来用いられているようなポペット弁角を60°にしたときの特性であり、同じ開口面積における弁変位量を比較した場合、ポペット弁角が140°では、60°にしたときに比べ約1/2に縮小されている。また、開口面積Aと油流量Qは、油密度をρポペット弁前後の圧力差をP、流量係数をαとするとQ=παxsin(φ/2)√(2P/ρ)
の関係があり、油流量Qはほぼ弁変位量xに比例しており、同じ油流量の変化に対する弁変位量xも約1/2に縮小されることになる。図3の実線は本発明による圧力制御弁の流量−圧力特性を示したもので、圧力差は約1/2に縮小され、利用流量は約60%に増加している。
【0010】一方、ポペット弁角φが大きくなったことに対し、チャタリング現象が起きやすくなるが、ポペット弁3の先端側の円錐面3bの斜面と入力ポート1間の油流路が、油流量の流れを整流することにより、ポペット弁3の動きが安定化され、それが浮き上がったときの弁下部の圧力の急激な低下を無くし、チャタリングの発生を防止することができる。
【0011】本発明は以上詳述したとおりであるが、上記および図示例に限定されず細部形状については例えば2個の円錐面を局面で連接してもよいし、さらには弁座側の角部を面取りした曲面としてもよく、これら変形実施例を包含するものである。
【0012】
【発明の効果】ポペット弁の下部の鋭角な斜面を有する円錘部とその上部に鈍角な斜面を有する円錘部を連設した簡単な構造で、ポペット弁変位量に対する開口面積変化率を増大し、油流量の流れを整流することにより、ポペット弁の動きを安定化させ、チャタリングを防止することができる。その結果、ポペット弁本来の混入物による詰まりが少なく、応答が速い等の特長を持ちながら、流量増大に伴う設定圧力の増加を低減した圧力制御弁が得られる。
【出願人】 【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
【出願日】 平成10年(1998)1月14日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】西岡 義明
【公開番号】 特開平11−201308
【公開日】 平成11年(1999)7月30日
【出願番号】 特願平10−5846