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【発明の名称】 電磁弁
【発明者】 【氏名】武石 敏男

【要約】 【課題】電磁弁の作動確認の省力化を図れるようにすることである。

【解決手段】電磁弁の可動コア33の端面側に、カバー54に組み込んだキャップ55aを弾性変形部として対向させる。カバー54に設けた切り欠き54dに係止爪110aを掛けて手動ロック機構100を後付けする。手動ロック機構100の当接部材120を押下げてキャップ55aを押圧状態でロックし、その状態で排気ポート側などの流路変更などの確認を行う。可動コアの押圧状態がロックできるので、可動コアの押圧作業と、流路変更などの作動状況の確認作業とが一人で行える。キャップ55aの内面には突起55bを設けて可動コア33の端面側の吸着をなくし、可動コア33の始動遅れなどを解消した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 外側にコイルを巻き付け、かつ内側に可動コアを軸方向に摺動自在に装着するボビンを組み込んだ磁気フレームを有するソレノイド部を、弁体を組み込んだ弁ブロック部に取り付けて前記弁体を作動させる電磁弁であって、前記可動コアの端面に、押圧力により変形可能な弾性変形部を有するカバーを、前記弾性変形部が前記可動コアの端面の対向位置となるように設け、前記カバーに切り欠きを設け、前記弾性変形部に当接部材を当接させて押圧状態でロックできる手動ロック機構を前記カバーに着脱自在に設けたことを特徴とする電磁弁。
【請求項2】 請求項1記載の電磁弁において、前記弾性変形部および前記可動コアの端面の少なくとも一方に突起を設け、前記弾性変形部と前記可動コア端面とが前記突起を介して接触させられるように構成したことを特徴とする電磁弁。
【請求項3】 外側にコイルを巻き付け、かつ内側に可動コアを軸方向に摺動自在に装着するボビンを組み込んだ磁気フレームを有するソレノイド部を、弁体を組み込んだ弁ブロック部に取り付けて前記弁体を作動させる電磁弁であって、前記可動コアの端面に、押圧力により変形可能な弾性変形部を有するカバーを、前記弾性変形部が前記可動コアの端面の対向位置となるように設け、前記弾性変形部および前記可動コア端面の少なくとも一方に突起を設け、前記弾性変形部と前記可動コアとが前記突起を介して接触させられるように構成したことを特徴とする電磁弁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は流体流路の開閉や流れの方向などを変える方向制御弁を電磁石により作動するようにした電磁弁に関し、特に手動による作動確認が行い易いようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】空気圧配管に空気を流したり、流れを停止したり、流れの方向を変えるために切換弁、逆止弁などの方向制御弁が使用されており、これらの方向制御弁のうち電磁石により弁体を作動するようにしたタイプのものは電磁弁と言われる。
【0003】電磁弁には、電磁石により操作される弁体により直接流れの開閉や方向を変えるタイプの直動式と、電磁石により内部のパイロット弁を駆動してその出力により主弁の弁体を作動することによって流路の方向制御などを行うタイプの間接作動式とがある。
【0004】切換弁には、空気の入力ポートと出力ポートの2つのポートを有する2ポート弁、供給ポートと出力ポートと排気ポートの3つのポートを有する3ポート弁、供給ポートと2つの出力ポートと排気ポートの4つのポートを有する4ポート弁、さらに、供給ポートに加えて2つずつ出力ポートと排気ポートを有する5ポート弁などがある。
【0005】このような電磁弁にあっては、通常、流路を制御する弁ブロック部とこの中に組み込まれた弁体を作動させるためのソレノイド部とを有している。ソレノイド部内における電磁石つまりソレノイドに接続される電気結線の方式には、リード線式とターミナル式と差し込みプラグ式とがある。
【0006】リード線式はソレノイド部と引き出し部とを同時にモールドしたタイプの結線方式であり、給電ケーブルの先端部にはグロメットが取り付けられ、このグロメットは樹脂成形部に一部が埋め込まれている。ターミナル式は丸形板端子などの圧着端子が取り付けられるターミナル端子台によるものと、通常DIN端子と言われピンプラグとDINソケットを有するものとがある。差し込みプラグ式はソレノイド部にコネクタピンを内蔵し、これにリード線付きのコネクタを差し込むタイプのものである。
【0007】このような電磁弁における電磁石つまりソレノイドの構造については、たとえば、株式会社オーム社 1989年2月25日発行の「新版油空圧便覧」第473頁〜第478頁に記載されている。
【0008】電磁弁のソレノイド部の基本的構造は、間接作動式および直接作動式のいずれのタイプについても同様であり、いずれのポート数の電磁弁についても同様である。
【0009】かかる構成の電磁弁は、エアシリンダなどアクチュエータの駆動用として、また空気圧回路の非常停止機構などの機器構成の重要部に設けられる。従って、電磁弁の作動不良は時として大きな事故にも繋がりかねず、高い信頼性が求められている。
【0010】また、電磁弁の取付け箇所は上記の如く箱に覆われた装置内や、手の届きにくい狭い場所が多く、電磁弁の簡単な取替えが行えない場合が殆どである。そこで、実装組立時の電磁弁の作動確認は欠かすことができない。
【0011】かかる作動確認は、従来、可動コアの端面に対向して設けたカバーの弾性変形部(キャップと呼ばれている)を手動で押圧して可動コアを押し、可動コアから弁ブロック部側に伸ばした作動ロッドを介して主弁軸を作動させ、その状態で弁ブロック部のアクチュエータ側の流路変更などを確認する手順で行っている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の上記作動確認手順では、カバーの弾性変形部から手を離すと弾性変形部が元に戻り、可動コア端面の押圧状態を解除してしまう。そのため、一人の者がカバーの弾性変形部を押しつづけて電磁弁を作動させている間に、別の者がアクチュエータ側などの作動確認を行わなければならない。少なくとも、従来の電磁弁の作動確認要領では、複数の者が作動確認には必要で、一人作業での作動確認が行えない。
【0013】効率的生産が強く求められる現場からは、一人で検査が早く確実に行える技術の開発が強く求められている。
【0014】また、従来の作動確認機構では、可動コア端面と作動確認時に押圧するカバーの弾性変形部(キャップ)とが面接触するため、弾性変形部内面に可動コアの端面が吸着される場合が多々見られた。吸着されていると、コイルに通電した際に可動コアの始動が遅れたりなどする。かかる吸着現象の解消技術の開発も求められている。
【0015】本発明の目的は、電磁弁の作動確認を、ソレノイドに通電せずに、一人でも効率よく、また、装置組立時のデバック作業などを容易に行えるようにすることにある。
【0016】本発明の他の目的は、電磁弁の作動確認時における可動コア端面の吸着をなくすことができるようにすることにある。
【0017】本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【0018】
【課題を解決するための手段】本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0019】すなわち、本発明では、外側にコイルを巻き付け、かつ内側に可動コアを軸方向に摺動自在に装着するボビンを組み込んだ磁気フレームを有するソレノイド部が、弁体を組み込んだ弁ブロック部に弁体の作動が行えるように取り付けられている電磁弁で、その可動コアの端面側に、押圧力により変形可能な弾性変形部を有するカバーを、前記弾性変形部が前記端面の対向位置となるように設ける。
【0020】このカバーに切り欠きを設け、弾性変形部に当接部材を当接させて、弾性変形部を押圧状態にしたままロックできる手動ロック機構を着脱自在に設ける。ロックは解除できるように構成しておく。また、手動ロック機構は着脱自在に後付けによりカバーに取り付けできるように構成しておく。この方が予め組み込む場合に比べて、従来の現場組立工程を大きく変えることなく上記構成の電磁弁の組立に対処できる。
【0021】さらに、後付けを採用することにより、当初より組み込んで設ける場合とは異なり、従来構成で既に製造されている電磁弁への適用もできる。後付けの方法は種々考えられるが、例えば、カバーに切り欠きを設けておき、この切り欠きに手動ロック機構を係止させるようにして取り付ければ簡単に後付けが可能となる。
【0022】このようにして構成された本発明の電磁弁では、当接部材を押してカバーの弾性変形部に押圧状態に当接させてロックしておけば、手を離しても可動コアを押圧した状態に維持することができる。ロックした状態で、アクチュエータ側などで流路変更の状況確認をすれば、従来とは異なり、電磁弁の作動確認を一人で行うことができる。
【0023】また、可動コアの端面と接触するカバーの弾性変形部に突起を設けておけば、この突起を介して弾性変形部と可動コアの端面とを接触させることができるので、両者の面接触を避けて可動コア端面の吸着を避けることができる。
【0024】尚、突起は、可動コアの端面側に設けておいても構わない。さらには、弾性変形部および可動コア端面の両方に突起を設けるようにしても構わない。
【0025】また、かかる突起を設ける構成は、上記構成の手動ロック機構を後付けで設けない従来構成の電磁弁にも適用できるものである。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0027】図1は本発明の一実施の形態であるソレノイドが組み込まれた電磁弁を示す断面図であり、図2(A)は図1の外観形状を示す正面図であり、図2(B)は同図(A)の平面図である。
【0028】図示するように、この電磁弁10aは弁ブロック部11とソレノイド部12とを有している。弁ブロック部11はアルミニウム合金あるいは樹脂により形成されたほぼ直方体形状となっており、この中には貫通孔14が形成されている。弁ブロック部11の一端部には貫通孔14内に嵌合される筒部15aを有するカバー15が取り付けられ、貫通孔14の一端部は閉塞されるようになっている。
【0029】弁ブロック部11には貫通孔14と筒部15aとにより弁体収容孔16が形成されている。図示する電磁弁は3ポート電磁弁であり、外部から圧縮空気が供給される供給ポート17と、ここに供給された空気を空気圧機器に流出させるための出力ポート18と、空気圧機器から排出される空気を外部に案内するための排気ポート19とがそれぞれ弁体収容孔16に連通させて形成されている。排気ポート19は筒部15aに形成された複数の孔15bを介して弁体収容孔16内に連通されている。
【0030】弁体収容孔16内には主弁軸20が軸方向に摺動自在に装着されており、この主弁軸20の中央部分には、供給ポート17と出力ポート18とを連通させるとともに出力ポート18と排気ポート19との連通を遮断する位置と、図1に示すように供給ポート17と出力ポート18との連通を遮断するとともに出力ポート18と排気ポート19とを連通させる位置とに切換制御する弁体21が設けられている。この弁体21はポペットタイプとなっているが、スプールタイプの主弁を設けるようにしても良く、3ポートに限られることなく、5ポートにしても良い。
【0031】主弁軸20の両端部には弁体収容孔16の内周面に摺動接触するピストン部22,23が設けられており、弁体収容孔16と外部とがシールされている。カバー15と主弁軸20との間には、圧縮コイルばね24が組み込まれており、主弁軸20には常に供給ポート17を閉じる方向のばね力が付勢されている。このカバー15は金属製でも樹脂製でも良い。
【0032】ソレノイド部12はソレノイド組立体26とこれを封止する樹脂成形部27とを有している。ソレノイド組立体26は円筒部28aの両端にフランジ部28b,28cが設けられたボビン28を有しており、円筒部28aの外側にはコイル29が巻き付けられている。ボビン28は図1に示されるように四辺形の枠状となった磁性体製の磁気フレーム31の中に組み込まれるようになっている。
【0033】図3は磁気フレーム31を示す斜視図であり、所定の形状に裁断された帯状の鉄板を折り曲げることにより形成されている。
【0034】ボビン28の中には、弁ブロック部側に固定コア32が組み込まれ、この固定コア32の反対側には可動コア33が軸方向に摺動自在に装着されている。可動コア33はコア本体34とこの先端から突出するとともに固定コア32に形成された貫通孔を貫通して主弁軸20の端面に当接する作動ロッド35とを有し、作動ロッド35にはコア本体34内に組み込まれた圧縮コイルばね36により主弁軸20に向かうばね力が付勢されている。このばね36を収容する収容孔は端板37により閉塞されて可動コア33の端面を構成している。
【0035】このように構成されるソレノイド組立体26には端子台40が取り付けられるようになっており、その端子台40を示すと図4の通りである。
【0036】この端子台40は図4に示すように、全体的にほぼ四辺形となっており、切り欠き部41が形成され、この切り欠き部41には閉塞体42が止め付けられるようになっている。この閉塞体42には溝42aが形成され、切り欠き部41に突出して形成された突起40aに溝42aを入り込ませることにより、閉塞体42は端子台40に止め付けられるようになっている。閉塞体42には、ボビン28の一方のフランジ部28bから突出してコイル29の両端に電気的に接続された2本のリード端子29aが挿入される貫通孔42bが2つ形成されている。
【0037】端子台40の外周3辺にはソレノイド組立体26側の部分にフランジ部40bが設けられ、反対側には円筒部40cが設けられている。さらに、端子台40には、3本の端子爪43a〜43cが取り付けられており、1本の端子爪43aはアース用となっており、他の2本43b,43cは信号入力用となっている。
【0038】図1に示すように、アース用の端子爪43aはソレノイド組立体26側に突出する突出部44を有しており、ソレノイド組立体26を構成する磁気フレーム31には、図3に示すように、この突出部44が係合する四辺形の嵌合孔45が形成されている。したがって、端子台40をソレノイド組立体26に固定する際には、突出部44を嵌合孔45に嵌合させることにより、端子台40を磁気フレーム31の所定の位置に位置決めすることができる。
【0039】図5は3つの端子爪43a〜43cのうちのアース用の端子爪43aを示す図であり、その一部を切り欠くことにより、係合爪46が設けられており、他の2つの端子爪43b,43cにも同様の係合爪46が形成されている。この端子台40には、図1に示すようにプリント配線基板47が止め付けられようになっている。この基板47を示すと図6の通りであり、この基板47には端子台40に設けられた円筒部40cが入り込む円形孔47aと、2つのリード端子29aが入り込むリード孔47bと、それぞれの端子爪43a〜43cが入り込む長方形の3つの端子孔47cとが形成されている。
【0040】したがって、端子台40に基板47を配置する際に、基板47に形成されたそれぞれの孔47a〜47cに円筒部40c、リード端子29aおよび端子爪43a〜43cを挿入すると、これらの嵌合に加えて、3つの端子爪43a〜43cに設けられた係合爪46が基板47に係合することになり、基板47は端子台40に位置決めされた状態となる。
【0041】図1に示すように、基板47を覆うためにソレノイド部12に基板カバー50が取り付けられるようになっており、この基板カバー50には、図2に示した差し込み式のコネクタ51が入り込む凹部52が形成され、この凹部52を囲むように四辺形の突起部53が設けられている。このコネクタ51には給電ケーブル51aが接続されている。図7に示すように、凹部52を形成する隔壁部分52aには、端子台40の円筒部40cが入り込む円形孔50aと、それぞれの端子爪43a〜43cが入り込む3つの長方形の端子孔50bとが形成されている。コネクタ51を基板カバー50に接続すると、コネクタ51の先端面は突起部53により外部より覆われることになるので、電気的接続部分にゴミなどの異物が入り込むことなく、しかもガタ付きが防止される。
【0042】図5(A)に示すように、端子爪43aには凸部46aが設けられており、ソレノイド部12に基板カバー50を取り付ける際に端子孔50bに端子爪43a〜43cを嵌合させると、凸部46aが基板カバー50に係合することになり、基板カバー50はソレノイド部12に固定される。
【0043】ソレノイド組立体26の端面には、図1に示すように、カバー54が取り付けられるようになっており、このカバー54には弾性変形自在の可撓性の樹脂などにより形成された手動操作用の弾性変形部55がキャップ55aに形成されて組み込まれている。このキャップ55a(55)は可動コア33の端板37により構成された端面に対向しており、キャップ55aを押し付けることにより、コイル29に通電することなく、手動操作により主弁軸20を作動させることができるように構成されている。
【0044】キャップ55aは、図8(A)、(B)に示すように、可動コア33の端面側に被さるような凹部を設けた平面円形のキャップ状に形成されている。凹部内面には、略半球状の突起55bが設けられている。本実施の形態では、凹部内面の円形平面部分に円周方向に沿って、3個の突起55bが等間隔離されて設けられている。突起55bの形状、その数などは適宜に設定すればよい。要は、キャップ55a内面と可動コア33の端面との面接触による吸着現象が解消できるように、接触面積を少なくできるものであればよい。
【0045】後記する作動確認作業時には、手動でキャップ55aを可動コア33の端面に押圧させるが、突起55bを介してキャップ55aと可動コア33の端面とが接触されることとなるため、コイル29に通電したときに可動コア33の端面がキャップ55a側から速やかに離れ、従来とは異なり、コイル29への通電時における吸着による始動遅れなどの心配がない。
【0046】カバー54は、図1に示すように、樹脂成形部27の端面側を丁度覆う程度の大きさの略矩形に形成され、その樹脂成形面に当接する側は平に形成されている。一方、カバー54の表面側は、図9(A)、(B)に示すように、略矩形の表面の対角方向の隅に、一段低く形成された段差部54aが設けられている。段差部54aで樹脂成形部27の端面側へのカバー54のねじ止めができるようになっている。ねじ止めした状態で、ねじの頭部がカバー54の上面から突出することがないように、前記段差部54aの深さが設定されている。
【0047】さらに、カバー54には、図9(A)、(C)に示すように、上記構成のキャップ55aを組み込めるような凹部54bが、カバー54の内側に設けられている。凹部54bの上部は、そのままカバー54の表面側に開口させられている。また、キャップ55aを組み込んだ際にキャップ55aの肩部分に設けた凸部55cが、カバー54の溝部54cに丁度嵌合するようになっている。
【0048】また、カバー54の短辺側に当たる両側面には、図9(C)、図10に示すように、側面下方中央部に、後記する手動ロック機構100の取付け用の切り欠き54dが設けられている。切り欠き54dの長さは、手動ロック機構100の係止片110の係止爪110aが丁度差し込める程度に設定されている。
【0049】一方、手動ロック機構100は、図10に示すように、丁度カバー54の表面を覆うことができるような略矩形に構成され、その短辺側に当たる両側面側中央部から下方に帯状に伸ばした係止片110が設けられている。係止片110の下端側には、内側に向けた係止爪110aが設けられ、両係止片110を少し広げるようにして、前記構成のカバー54の切り欠き54dに係止爪110aを嵌合させて簡単に着脱自在に後付けすることができる。
【0050】さらに、手動ロック機構100には、中央開口部から下方に向けて押下げることができる当接部材120が設けられている。手動ロック機構100をカバー54に取付けた状態では、この当接部材120の下端側は、カバー54の中央の開口部からキャップ55a上面に押圧を掛けない状態で載せられて当接させられている。この当接部材120を押下げることにより、当接部材120の下端側と接触しているキャップ55aを押圧することができる。
【0051】また、当接部材120にはロック機構が設けられ、上記キャップ55aを押圧するように当接させた状態を維持させることができるようになっている。ロック機構は、本実施の形態では、次のように構成されている。
【0052】すなわち、手動ロック機構100の中央には、図11(B)の断面図に示すように、当接部材120を支持するカバー130の中央に表面側から裏面側に抜ける貫通孔140が設けられている。貫通孔140は、図11(B)の斜視図に示すように、表面側の小円貫通孔140aと、裏面側の大円凹部140bとが二段に重ねられたように構成されて断面凸状になるように構成されている。かかる貫通孔140に、当接部材120がカバー130の裏側から嵌め込まれる。
【0053】当接部材120は、図12(A)に示すように、上記大円凹部140bに丁度嵌まる程度の円板120aの中央に直径方向に向けて帯状の係止部分120bが設けられている。帯状の係止部分120bの厚みaは、可動コア33の作動幅に設定され、また係止部分120bの幅bは、小円貫通孔140aの直径に設定されている。
【0054】一方、係止部分120bの中央には、小円貫通孔140aの直径に合わせた円柱状の押圧ボタン120cが設けられている。押圧ボタン120cの表面側には、係止部分120bの長手方向に平行に溝120dが設けられ、後記するように、押圧ボタン120cをマイナスドライバーの先端などで押し込めながら容易に回転できるようになっている。
【0055】さらに、円板120a裏面側中央には、カバー54に組み込まれたキャップ55aの上面側に当接できるように、下端面を平に形成した円柱状の当接部分120eが設けられている。
【0056】かかる構成の手動ロック機構100をカバー54に取り付けるには、当接部材120の当接部分120eの下端面をキャップ55aに載せた状態で、この当接部材120をカバー130の中央の貫通孔140に通して被せる。カバー130の係止片110先端側の係止爪110aをカバー54の切り欠き54dに係止させて固定する。
【0057】このようにして手動ロック機構100をカバー54に取り付けた状態では、当接部材120の当接部120eは、キャップ55aの弾性力により上方に軽く押し上げられており、図10に示すように、押圧ボタン120cの上面側がカバー130の小円貫通孔140aから外側に少し出た状態になっている。
【0058】そこで、押圧ボタン120cをキャップ55aの弾性力に逆らって押し込み、その状態で押圧ボタン120cを回転させれば、係止部分120bの上面が大円凹部140bの天井130a(図11(A)に示す)に引っ掛かって、当接部材120を押し下げた状態でロックされることとなる。また、ロックを解除するときは、押圧ボタン120cの溝120dを回転させて、係止部120bを天井130aから外れるように回転させれば、押圧ボタン120cがキャップ55aの弾性力により上方に押し戻されて小円貫通孔140aからその上端が飛び出させられて元に戻る。
【0059】従って、可動コア33の手動ロック(通電状態での固定)を行うときには、図13(A)に示すように、手動ロック機構100のカバー130の中央の貫通孔140から飛び出ている押圧ボタン120cを押し下げて、キャップ55aを可動コア33が作動する程度まで押圧する。押圧した状態で、図13(B)に示すように、押圧ボタン120cを溝120dが90度回転するように回転させれば、係止部120bが押圧ボタン120cと共に回転して大円凹部140の天井130aに引っ掛かってロックされる。
【0060】ロックした状態では、図13(B)に示すように、キャップ55aは当接部材120の当接部120eにより押下げられ、可動コア33の端面側を押している状態になっている。当接部材120は上記の要領で押し下げられたままロックされているので、可動コア33も押されたままの状態を維持している。この状態で、可動コア33に設けた作動ロッド35も主弁軸20を押して、弁体21が押され続けることとなり、その状態でアクチュエータ側など流路変更の確認を行うことができる。
【0061】すなわち、可動コア33を押した状態にロックしておけるので、可動コアの作動と、アクチュエータ側などでの流路変更の確認とを一人で行うことができる。
【0062】一方、コイル29に対して通電がなされていない状態では、主弁軸20に付勢されるばね力により可動コア33の端面側、つまり端板37がキャップ55a内面と接触することとなるが、前記のようにキャップ55aの内面には突起55bが設けられているので接触面積が小さくて済み、端板37がキャップ55a内面に吸着される心配がない。コイル29への通電により可動コア33はキャップ55aから速やかに離れて、遅れずに始動することととなる。
【0063】上述したソレノイド部12を製造するには、まず、磁気フレーム31内にコイル29が巻き付けられたボビン28を組み付け、ボビン28の端部に金属製のスリーブつまり磁性体リング56を挿入することによりソレノイド組立体26を組み立てる。
【0064】次いで、端子台40をその閉塞体42にリード端子29aを貫通させてソレノイド組立体26の磁気フレーム31に仮り止めする。この状態のもとで、樹脂成形金型内にソレノイド組立体26を配置し、金型を締め付けた状態のもとで、金型内に樹脂を注入する。この樹脂により樹脂成形部27が図示する形状に成形される。
【0065】この成形時つまりモールド時には、コイル29と磁気フレーム31との隙間に樹脂が入り込むとともに、端子台40の部分にも樹脂が入り込むことになるが、端子台40には閉塞体42が設けられているので、コイル29の両端部のリード端子29aの部分からの樹脂の洩れは確実に防止される。
【0066】このようにして樹脂成形部27が形成された後に、固定コア32および可動コア33がボビン28内に組み込まれ、さらに、プリント配線基板47が端子台40に取り付けられる。その際には、端子台40に形成された孔内に2つのリード端子29aと3つの端子爪43a〜43cが挿入されるので、基板47は端子台40に確実に固定された状態となる。この状態のもとで、リード端子29a、端子爪43a〜43cと基板47のプリント配線との半田付け作業を行うことができる。これにより、半田付け作業の作業性が向上する。
【0067】次いで、基板カバー50がソレノイド部12に取り付けられることになるが、その際にも端子台40の円筒部40cが基板カバー50に形成された孔内に挿入され、端子爪43a〜43cが孔内に挿入されて、アース端子43aの突起46aが、基板カバー50の取付け後は抜け止めとなり、基板カバー50を確実に固定することができる。
【0068】ソレノイド部12と弁ブロック部11とをねじ部材を用いて連結し、カバー54をねじ結合することにより、図1に示す電磁弁10aの組立が完了する。電磁弁10aが使用される際には、取付金具57により所定の位置に据え付けられることになる。
【0069】図14は本発明の他の実施の形態であるソレノイドを有する電磁弁を示す断面図であり、図15(a)はその正面図を示し、図15(b)は平面図を示す。
【0070】この電磁弁10bにおける弁ブロック部11の構造は前述した弁ブロック部11と同一の構造となっており、さらにソレノイド部12のうちソレノイド組立体26の構造も前述した場合と同様になっており、前述した電磁弁と共通する部材には同一の符号が付されている。
【0071】図示するタイプのソレノイド部12におけるリード線つまり給電ケーブルの結線方式は、前述した結線方式がDIN端子式あるいはターミナル式とも言われるタイプであるのに対して、ソレノイド部と引き出し部とを同時にモールドしたタイプのリード線式であり、ソレノイド組立体26の磁気フレーム31にはホルダー60が取り付けられ、そのホルダー60にプリント配線基板47が保持されるようになっている。
【0072】そのホルダー60を示すと、図16の通りであり、ホルダー60は全体的に平面ほぼT字形状となっており、図3に示した磁気フレーム31の嵌合孔45に入り込んで磁気フレーム31に係合される係合爪61と、磁気フレーム31に形成された2つの溝45aと、嵌合孔45に係合する2つの係合爪61,62とを有し、これらの部分でホルダー60は磁気フレーム31に取り付けられることになる。
【0073】ホルダー60には、上述のように基板47が保持されることになるが、そのために、基板47に形成された係合孔に係合する係合爪63と、基板47を両側から挟むための係合爪64とが設けられている。したがって、このホルダー60を用いて基板47のソレノイド組立体26に仮り止めした状態で、容易に基板47のプリント配線とリード端子29aとを半田付けすることができる。
【0074】給電ケーブル65aにはゴムや樹脂からなるグロメット65が設けられており、その給電ケーブル65aの先端部は基板47の裏面に這い回されてプリント配線に半田付けされている。
【0075】したがって、図14に示すソレノイド部12を製造するには、給電ケーブル65aが接続された基板47をホルダー60によりソレノイド組立体26に仮り固定した状態のもとで、まず、リード端子29aを基板47のプリント配線端子部に半田付けした後に、樹脂成形用金型内に配置する。そして、金型内に樹脂を注入することにより、射出成形により樹脂成形部27が形成される。このようにして、基板47はそれに設けられたダイオードなどの制御部品を含めて樹脂成形部27により覆われることになる。
【0076】図1および図14に示すソレノイド部12におけるソレノイド組立体26の構造は同一となっており、図1に示すターミナル式の結線方式のソレノイドと、図14に示すリード線式の結線方式の両方に、同一の構造のソレノイド組立体26を適用することができるので、少ない部品点数によって多種類のソレノイドを製造することができる。
【0077】以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0078】例えば、上記説明ではボビン28内部では、固定コア32が弁ブロック11側に設けられた構成を示したが、可動コア33の方が固定コア32より弁ブロック部11側に設けられるようにしても構わない。
【0079】また、上記説明では突起55cをキャップ55aの内面側に設ける構成としたが、可動コア33の端板37のキャップ55aと接触する側に突起55cを設けるようにしても構わない。要は、キャップ55aの内面と、端板37とが面接触による吸着現象を起こさないようにできればよく、いずれか一方に設けても、あるいは両方に突起55cを設けるようにしても構わない。
【0080】また、電磁弁の構造としては、図示する場合には直動式の電磁弁を示すが、間接作動式の電磁弁に本発明のソレノイドを適用するようにしても良い。
【0081】
【発明の効果】本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0082】(1)本発明では、コイルに通電しない状態で、可動コアを手動ロック機構により押した状態に維持しておくことができ、従来とは異なり、一人作業で可動コアの押圧と、押圧した状態でのアクチュエータ側での流路変更などの作動状況の確認が行える。
【0083】(2)本発明では、手動ロック機構は、カバーに着脱自在に後付けすることができるように構成されているので、当初より一体に電磁弁に組み込む場合に比べて、製造工程を大幅に変えることなく対処することができる。
【0084】(3)本発明では、手動ロック機構により、可動コアの端面側の押圧を固定できるようにしたので、従来の作動確認要領を大きく変えることなく、確認作業の効率化を図ることができる。
【0085】(4)本発明では、可動コアの端面と弾性変形部とは、突起を介して接触させられているため、可動コアの端面が吸着されることはなく、コイルへの通電時における可動コアの始動不良が解消できる。
【出願人】 【識別番号】000145611
【氏名又は名称】株式会社コガネイ
【出願日】 平成10年(1998)1月13日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 大和 (外2名)
【公開番号】 特開平11−201305
【公開日】 平成11年(1999)7月30日
【出願番号】 特願平10−4404