| 【発明の名称】 |
スプール型方向切換弁 |
| 【発明者】 |
【氏名】大平 修司
【氏名】一柳 健
【氏名】落合 正巳
【氏名】大科 守雄
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| 【要約】 |
【課題】スプールが駆動するときに流体力の影響を受けず、精度の良い位置決めが可能であり、かつ応答速度が速く、コンパクトな構造のスプール型方向切換弁とする。
【解決手段】方向切換用スプール2の内部に制御スプール10を内蔵し、スプール2の圧力室Va側の端部を開放し、圧力室Vb側の端部を閉じ、内部に圧力室Vcを形成する。スプール2に第1〜第4ポート21〜24を形成し、スプール2及び制御層プール10に第1〜第3切換溝21a,12a,12b及び連通穴11a,11bを形成し、これらポート及び切換溝により制御スプール10が圧力室Vbに向けて移動するとポンプポート1pを圧力室Vaに連通させかつタンクポート1t2を圧力室Vbに連通させ、制御スプール10が圧力室Vaに向けて移動するとポンプポート1pを圧力室Vbに連通させかつタンクポート1t1を圧力室Vaに連通させる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】方向切換用スプールの周囲に1つのポンプポート、2つのアクチュエータポート及び2つのタンクポートを設け、方向切換用スプールの両端部に位置する第1及び第2圧力室の圧力を変化させることにより方向切換用スプールを動作させ、前記ポート間の連通・遮断を切り換えて流体を流す方向を選択しかつ流量を連続的に調整するスプール型方向切換弁において、前記方向切換用スプールの内部に配置された制御スプールと、この制御スプールを駆動してその位置を調整する電気的操作手段と、前記制御スプールが前記方向切換用スプールに対して中立位置にあるときは前記第1及び第2圧力室を前記ポンプポート及びタンクポートから分離独立させ、前記制御スプールが前記中立位置から前記第2圧力室に向けて移動すると前記ポンプポートを前記第1圧力室に連通させかつ前記2つのタンクポートの一方を前記第2圧力室に連通させ、前記制御スプールが前記中立位置から前記第1圧力室に向けて移動すると前記ポンプポートを前記第2圧力室に連通させかつ前記2つのタンクポートの他方を前記第1圧力室に連通させる連通切換手段とを備えることを特徴とするスプール型方向切換弁。 【請求項2】請求項1記載のスプール型方向切換弁において、前記制御スプールは前記方向切換用スプールの内部に設けられた軸方向ボア内に挿入され、この軸方向ボアの第1圧力室側の端部を開放し前記制御スプールの対応する端部を第1圧力室に臨ませると共に、前記軸方向ボアの第2圧力室側の端部を閉じ前記制御スプールの対応する端部が面する第3圧力室を形成し、前記制御スプールの内部に前記第1圧力室と前記第3圧力室とを連通する内部通路を形成したことを特徴とするスプール型方向切換弁。 【請求項3】請求項2記載のスプール型方向切換弁において、前記連通切換手段は、前記方向切換用スプールにそれぞれ形成され、前記ポンプポートに連通する第1ポート、前記2つのタンクポートにそれぞれ連通する第2、第3ポート、前記第2圧力室に連通する第4ポートと、前記方向切換用スプールの内周及び前記制御スプールの外周に設けられ、制御スプールが前記中立位置にあるときは前記第1〜第4ポートを互いに分離独立させ、制御スプールが前記第2圧力室に向けて移動すると前記制御スプールの内部通路を介して第1ポートを前記第1及び第3圧力室に連通させかつ第2、第3ポートの一方を第4ポートに連通させ、制御スプールが前記第1圧力室に向けて移動すると第1ポートを第4ポートに連通させかつ第2、第3ポートの他方を前記制御スプールの内部通路を介して前記第1及び第3圧力室に連通させる切換溝とを有することを特徴とするスプール型方向切換弁。 【請求項4】請求項1〜3のいずれか1項記載のスプール型方向切換弁において、前記電気的操作手段は、比例ソレノイドと、前記制御スプールの端部に設けられ、前記比例ソレノイドの力にバランスする弾性体とを有することを特徴とするスプール型方向切換弁。 【請求項5】請求項1〜3のいずれか1項記載のスプール型方向切換弁において、前記電気的操作手段は、電動モータと、この電動モータの出力軸の回転を前記制御スプールの直線移動に変換する機構とを有することを特徴とするスプール型方向切換弁。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は油空圧システムに用いるスプール型方向切換弁に係わり、特に電気的操作手段を作動させて方向切換用スプールの端部の圧力を変化させスプールを移動させることで流体の流量及び出力方向を切り換えるスプール型方向切換弁に関する。 【0002】 【従来の技術】電気的操作手段を作動させて方向切換用スプールの端部の圧力を変化させスプールを移動させるスプール型方向切換弁の代表例として電磁弁駆動方式のスプール型方向切換弁がある。図9に従来の電磁弁駆動方式のスプール型方向切換弁の一例を示す。 【0003】図9において、スプール型方向切換弁200のハウジング201にはメインの油圧ポンプに接続されるポンプポートP、タンクに接続されるタンクポートT1,T2、アクチュエータに接続されるアクチュエータポートC1,C2が設けられ、これらポートの連通・遮断の切り換えがスプール202によって行われる。このスプール202はスプール両端部に設けられた圧力室A,Bに電磁弁230a,230bよりパイロット圧力を導くことで動作させる。圧力室A,Bはハウジング201に取り付けられたフランジ261,262内に形成されている。 【0004】また、スプール202の位置決めを行うためのバネ207及びバネ座205,206がボルト208によってスプール202の一端に固定され、かつこれら部品はフランジ262内に収納されている。 【0005】スプール202は電磁弁230a,230bより圧力室A,Bに導かれるパイロット圧力に応じて左右に移動し、スプール位置決め用バネ207と釣り合ったところで位置が決まり、停止する。このときポンプポートPはアクチュエータポートC1或いはC2のいずれかにつながり、ポンプポートPからアクチュエータポートC1或いはC2にスプール202の位置に応じた流量が供給される。 【0006】電磁弁230a,230bはホース231a,231bを介してフランジ261,262にそれぞれ接続され、また電磁弁230a,230bはホース232を介してパイロット用ポンプ233に、ホース234を介してタンク235にそれぞれ接続されている。電磁弁230a,230bはコントローラ260からの電流信号によって動作する。例えばスプール202を左側に動かしたいときは指令電流251aだけを出力することで電磁弁230aが開き、圧力室Aの圧力が上昇しスプール202が動く。 【0007】コントローラ260には指令手段からの操作レバーの角度信号(操作信号)250が入力され、所定の演算処理を行い、電磁弁230a,230bのいずれか一方に電流信号を出力する。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】図9に示した従来のスプール型方向切換弁には以下の問題がある。 【0009】第1の問題は、スプール202は左右の圧力室A,Bの差圧によって動くが、流体力、或いは摩擦力のためにスプール開度に誤差を生じることである。 【0010】本来スプール202は圧力室に作用する圧力とスプール断面積の積によって生じる推進力で移動しバネ207の変形と釣り合うところで静止するため、その特性は直線的になる。このためPポートとC1あるいはC2ポートとの開口面積も圧力により一義的に決まり、その結果アクチュエータへの流量を電磁弁への指令値で制御することが可能となる。 【0011】しかしながら例えばスプール202左側に移動したとするとPポートからC1ポートへ流体が流れ込み、その流速等によってC1ポート付近のスプールに作用する圧力が低下する。これによりスプール202は押し戻される方向に力を受け、実際の移動量は指令値よりも小さくなる。この流体力は流速によって大きく変化するため指令値が一定であっても、アクチュエータの負荷によってスプール移動量は変化する。この結果、指令値とスプール移動量が一義的に決まることはあり得ない。 【0012】電磁弁を使った方向切換弁で流体力に影響されずに精度良く流量を制御するためには、各アクチュエータの動きをセンシングするか、スプールのストロークをセンシングしなければならない。アクチュエータのセンシングは方向切換弁のシステムを越えた方法であり、例えば油圧ショベル、工作機械、ロボット等多くのターゲットによってシステムを作り直さなければならない。またストロークセンサは高圧の流体の中に入れる使用環境の問題や、スプールエンドに取り付けた場合の受圧面積の変化などの問題がある。 【0013】スプール202をボールねじで連結し、ステッピングモータやサーボモータで駆動する方法も考えられるが、スプールに働く流体力が大きいので、大トルクのモータではコストが高くなる。 【0014】第2の課題は方向切換用スプール202の応答が遅いことでる。応答が遅い理由は電磁弁自体の構造とシステムに起因する。 【0015】電磁弁は圧力フィードバックを行っているため、出力された作動油の圧が高くなるとソレノイドは開度を絞り、流量を出さなくなる。圧力室に作用する圧が目標値に近いときは流量が絞られる。電磁弁が開いた直後は流量が流れるが、圧力が上がらない。 【0016】また電磁弁から圧力室のホース配管231a,231bにも課題がある。長いホース配管では圧力伝播に時間がかかる。また一般的にパイロット用配管には細い配管を用い、電磁弁230a,230bの出口から圧力室ブランジ261,262まで少なくとも2個以上の継ぎ手を用いるため、パイロット圧には圧損が生じる。方向切換用スプール202は多くの場合ヒステリシスを持つので、圧力がある程度上がらなければスプール202は動かない。スプール202が動き出すまでの時間は無駄時間となりうる。 【0017】第3の問題は方向切換弁の複雑な配管にある。方向切換弁はポンプからの作動油を各アクチュエータに送り、タンクへ戻すため最低でも4つのポートが必要になる。従来例ではポンプポートP、アクチュエータポートC1,C2と2つのタンクポートTで構成されているが、タンクポートTはハウジング1内で合流していることが多い。これらのポートにはそれぞれ配管がつくため、実際の方向切換弁では6面すべてに何らかのポートが付いていることすらある。 【0018】図10に油圧ショベルの方向切換弁の外観を示す。このスプール型方向切換弁は7連であり、図のように多くのポートが設けられており、このうち1/3がパイロットポートであり、これらのポートには全て配管が接続されることから、パイロットポートの存在は方向切換弁の設置、メインテナンスの上でも大きな問題となる。 【0019】本発明の目的は、上記課題に鑑み、スプールが駆動するときに流体力の影響を受けず、精度の良い位置決めが可能であり、かつ応答速度が速く、コンパクトな構造のスプール型方向切換弁を提供することにある。 【0020】 【課題を解決するための手段】(1)上記目的を達成するために、本発明は、方向切換用スプールの周囲に1つのポンプポート、2つのアクチュエータポート及び2つのタンクポートを設け、方向切換用スプールの両端部に位置する第1及び第2圧力室の圧力を変化させることにより方向切換用スプールを動作させ、前記ポート間の連通・遮断を切り換えて流体を流す方向を選択しかつ流量を連続的に調整するスプール型方向切換弁において、前記方向切換用スプールの内部に配置された制御スプールと、この制御スプールを駆動してその位置を調整する電気的操作手段と、前記制御スプールが前記方向切換用スプールに対して中立位置にあるときは前記第1及び第2圧力室を前記ポンプポート及びタンクポートから分離独立させ、前記制御スプールが前記中立位置から前記第2圧力室に向けて移動すると前記ポンプポートを前記第1圧力室に連通させかつ前記2つのタンクポートの一方を前記第2圧力室に連通させ、前記制御スプールが前記中立位置から前記第1圧力室に向けて移動すると前記ポンプポートを前記第2圧力室に連通させかつ前記2つのタンクポートの他方を前記第1圧力室に連通させる連通切換手段とを備えるものとする。 【0021】電気的操作手段により制御スプールが駆動されないときは、制御スプールは方向切換用スプールに対して中立位置にあり、第1及び第2圧力室はポンプポート及びタンクポートから分離独立している。このため、方向切換用スプールも動かず中立位置にある。 【0022】電気的操作手段により制御スプールが駆動されその位置が調整されると、連通切換手段は制御スプールの移動方向に応じて第1及び第2圧力室の一方をポンプポートに連通させ、他方をタンクポートに連通させる。このため、第1及び第2圧力室の圧力差により方向切換用スプールも移動する。方向切換用スプールが制御スプールの移動した位置まで来ると、制御スプールは再び方向切換用スプールに対して中立状態となり、第1及び第2圧力室はポンプポート及びタンクポートから分離独立した状態となる。即ち、方向切換用スプールは制御スプールの位置まで移動すると停止し、その移動方向と移動量に応じて流体を流す方向を選択しかつ流量を制御する。 【0023】方向切換用スプールに流体力等の外力が作用し、スプールを押し戻そうとすると、制御スプールとの位置関係が変わり、連通切換手段が再び第1及び第2圧力室の一方をポンプポートに連通させ、他方をタンクポートに連通させるため、その外力に相当する分圧力室内のパイロット圧が自動的に増加し、方向切換用スプールは制御スプールに整合する中立位置に戻り、外力が作用していないときと同じ流量に制御される。 【0024】ここで、第1及び第2圧力室に流れ込む流量は極僅かであり、制御スプールには大きな流体力が働かない。また、流体力が作用したとしても、スプール移動後は流量が零になるため、制御スプールは高精度の位置決めができ、方向切換用スプールも高精度に位置決めできる。 【0025】また、制御スプールは方向切換弁の流量を直接制御するものではなく、パイロット圧力を制御するものであるため、制御スプールの質量は小さくでき、制御スプールを動かす力は非常に小さなものでよくなる。このため、電気的操作手段で制御スプールを直接駆動できるようになり、パイロットポートを無くし、パイロット用配管、継手も不要となり、コンパクトな構造となる。また、制御スプールの質量が小さい上、パイロット用配管、継手も無いため応答も速くなる。 【0026】(2)上記(1)において、好ましくは、前記制御スプールは前記方向切換用スプールの内部に設けられた軸方向ボア内に挿入され、この軸方向ボアの第1圧力室側の端部を開放し前記制御スプールの対応する端部を第1圧力室に臨ませると共に、前記軸方向ボアの第2圧力室側の端部を閉じ前記制御スプールの対応する端部が面する第3圧力室を形成し、前記制御スプールの内部に前記第1圧力室と前記第3圧力室とを連通する内部通路を形成する。 【0027】これにより制御スプールの駆動時は第1圧力室と第3圧力室との圧力が等しくなり、制御ピストンの両端に作用する油圧力がバランスすると共に、ポンプポートに連通した高圧側の圧力室が制御スプールの閉鎖端部によりタンク圧部分から隔離されるので、高圧側の圧力室からタンクへの漏れを最小にでき、これによっても高応答性を確保できる。 【0028】(3)また、上記(2)において、好ましくは、前記連通切換手段は、前記方向切換用スプールにそれぞれ形成され、前記ポンプポートに連通する第1ポート、前記2つのタンクポートにそれぞれ連通する第2、第3ポート、前記第2圧力室に連通する第4ポートと、前記方向切換用スプールの内周及び前記制御スプールの外周に設けられ、制御スプールが前記中立位置にあるときは前記第1〜第4ポートを互いに分離独立させ、制御スプールが前記第2圧力室に向けて移動すると前記制御スプールの内部通路を介して第1ポートを前記第1及び第3圧力室に連通させかつ第2、第3ポートの一方を第4ポートに連通させ、制御スプールが前記第1圧力室に向けて移動すると第1ポートを第4ポートに連通させかつ第2、第3ポートの他方を前記制御スプールの内部通路を介して前記第1及び第3圧力室に連通させる切換溝とを有する。 【0029】これにより連通切換手段は、上記(1)の機能(制御スプールが方向切換用スプールに対して中立位置にあるときは第1及び第2圧力室をポンプポート及びタンクポートから分離独立させ、制御スプールが中立位置から第2圧力室に向けて移動するとポンプポートを第1圧力室に連通させかつ2つのタンクポートの一方を第2圧力室に連通させ、制御スプールが前記中立位置から第1圧力室に向けて移動するとポンプポートを第2圧力室に連通させかつ2つのタンクポートの他方を第1圧力室に連通させる機能)を実現できる。 【0030】(4)更に、上記(1)〜(3)において、好ましくは、前記電気的操作手段は、比例ソレノイドと、前記制御スプールの端部に設けられ、前記比例ソレノイドの力にバランスする弾性体とを有する。 【0031】これにより電気的操作手段は制御スプールを駆動してその位置を調整できる。 【0032】(5)上記(1)〜(3)において、前記電気的操作手段は、電動モータと、この電動モータの出力軸の回転を前記制御スプールの直線移動に変換する機構とを有するものであってもよい。 【0033】これによっても電気的操作手段は制御スプールを駆動してその位置を調整できる。 【0034】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。 【0035】まず、本発明の第1の実施形態を図1〜図5により説明する。 【0036】図1において、100は本発明の第1の実施形態によるスプール型方向切換弁であり、このスプール型方向切換弁100のハウジング1とメインスプールである方向切換用スプール2とを有し、ハウジング1には、メインの油圧ポンプ101に接続されるポンプポートP、アクチュエータ102に接続されるアクチュエータポートC1,C2、タンク103に接続されるタンクポートT1,T2が設けられ、これに対応して方向切換用スプール2の周囲にも円周状のポンプポート1p、2つのアクチュエータポート1c1,1c2及び2つのタンクポート1t1,1t2が設けられ、スプール2によってこれらポート間の連通・遮断を切り換えて流体を流す方向を選択しかつ流量を連続的に調整する。スプール2はスプール両端部に設けられた圧力室Va,Vbの圧力を変化させることで動作させる。圧力室Vaはハウジング1に取り付けられたフランジ3で閉じられ、圧力室Vbはハウジング1に取り付けられたフランジ4内に形成されている。 【0037】また、スプール2の位置決めを行うためのバネ7及びバネ座5,6がボルト8によってスプール2の一端に固定され、かつこれら部品はフランジ4内に収納されている。 【0038】圧力室Va,Vbの圧力を変化させるとその圧力に応じてスプール2は左右に移動し、スプール位置決め用バネ7と釣り合ったところで位置が決まり、停止する。このときポンプポートPはアクチュエータポートC1或いはC2のいずれかにつながり、ポンプポートPからアクチュエータポートC1或いはC2にスプール2の位置に応じた流量が流入し、アクチュエータ102が駆動される。 【0039】方向切換用スプール2の内部には制御スプール10が内蔵されている。この制御スプール10は方向切換用スプール2の内部に設けられた軸方向ボア2a内に挿入され、この軸方向ボア2aの圧力室Va側の端部は開放され、制御スプール10の対応する端部はこの圧力室Vaに面し、軸方向ボア2aの圧力室Vb側の端部は閉じられ、制御スプール10の対応する端部が面する内部圧力室Vcを形成している。 【0040】左右の圧力室Va,Vbへのパイロット圧の供給を行うため、方向切換用スプール2にはポンプポート1pに連通する第1ポート21、タンクポート1t1,1t2にそれぞれ連通する第2、第3ポート22,23、図示左側の圧力室Vbに連通する第4ポート24が形成されると共に、方向切換用スプール2の内周面には第1ポート21が開口する第1切換溝21aが形成されている。また、同様の目的で制御スプール10の内部には、内部圧力室Vcと図示右側の圧力室Vaを連通させる軸方向の連通穴11aと、これに連通する径方向の連通穴11bが形成されると共に、制御スプール10の外周面には、第1切換溝21aと共働して径方向の連通穴11bと第1ポート21及び第2ポート22との連通・遮断を切り換える第2切換溝12aと、第4ポート24と第1ポート21及び第3ポート23との連通・遮断を切り換える第3切換溝12bとが形成されている。 【0041】第1〜第3切換溝21a,12a,12bは、制御スプール10が方向切換用スプール2に対して図示の中立位置にあるときは第1〜第4ポート21〜24を互いに分離独立させ、制御スプール10が図示左側の圧力室Vbに向けて移動すると第1ポート21を連通穴11a,11bを介して図示右側の圧力室Va及び内部圧力室Vcに連通させかつ第3ポート23を第4ポート24に連通させ、制御スプール10が図示右側の圧力室Vaに向けて移動すると第1ポート21を第4ポート24に連通させかつ第2ポート22を連通穴11a,11bを介して図示右側の圧力室Va及び内部圧力室Vcに連通させる。 【0042】しかして第1〜第4ポート21〜24、軸方向の連通穴11a及び径方向の連通穴11b並びに第1〜第3切換溝21a,12a,12bは、制御スプール10が方向切換用スプール2に対して図示の中立位置にあるときは左右の圧力室Va,Vbをポンプポート1p及びタンクポート1t1,1t2から分離独立させ、制御スプール10が中立位置から図示左側の圧力室Vbに向けて移動するとポンプポート1pを図示右側の圧力室Vaに連通させかつ2つのタンクポート1t1,1t2の一方であるタンクポート1t2を図示左側の圧力室Vbに連通させ、制御スプール10が中立位置から図示右側の圧力室Vaに向けて移動するとポンプポート1pを図示左側の圧力室Vbに連通させかつ2つのタンクポート1t1,1t2の他方であるタンクポート1t1を図示右側の圧力室Vaに連通させる連通切換手段を構成する。 【0043】フランジ3の外側には比例ソレノイド30が取り付けられ、この比例ソレノイド30のスプール30aの一端は制御スプール10の圧力室Va側の端部にボールジョイント30bを介して接続されている。ボールジョイント30bを用いているため制御スプール10と比例ソレノイド30のスプール30aの軸心が多少ずれても比例ソレノイド30で制御スプール10を動かすことができる。本実施形態で用いている比例ソレノイド30は双方向への移動が可能なものである。また、制御スプール10の端部とフランジ3との間には位置決め用のバネ61が設けられている。比例ソレノイド30に電流が流れるとソレノイド力が発生し、このソレノイド力によって制御スプール10は移動し、位置決め用のバネ61のバネ力と吊り合った位置で制御スプール10は停止する。制御スプール10は左右どちら側に動いてもこのばねがソレノイド力と釣り合う構造となっている。しかして比例ソレノイド30と位置決め用のバネ61は制御スプール10を駆動してその位置を調整する電気的操作手段を構成する。 【0044】なお、本実施形態では図示右側の圧力室Vaに面しているスプール端面を開放側とし、図示左側の圧力室Vbに面しているスプール端面を密閉側としたが、この関係は逆であっても良いし、両スプール端面とも密閉してもよい。この場合は、圧力室Va側のスプール端面にも圧力室Vb側の第4ポート24を設けたのと同じ構造にすればよい。 【0045】以上のように構成した方向切換弁の動作を図2〜図4を用いて説明する。図2〜図4は方向切換用スプール2を左側に動かし動作が収束するまでの過程を示している。 【0046】まず、図1に示す制御スプール10の中立位置では、ポンプポート1p及び第2及び第3ポート22,23を完全に閉じており、圧力室Va,Vbはほぼタンク圧状態になっている。 【0047】図2は比例ソレノイド30に指令電流を与えた状態である。比例ソレノイド30は指令電流に比例したソレノイド力Fを発生する。この力Fは制御スプール10に伝わり、バネ61のバネ力と釣り合うところまで制御スプール10は移動する。この移動により、第1切換溝21aと第2切換溝12aとの間に開口部40が形成され、ポンプポート1pに連通する第1ポート21と制御スプール10の内部に形成した連通穴11aとがつながり、圧力室Vaの圧力は上昇する。また、第2切換溝12bと第3ポート23との間に開口部41が形成され、タンクポート1t2に連通する第3ポート23は圧力室Vbに連通する第4ポート24とつながり、圧力室Vbの圧力はタンク圧となる。各圧力室Va,Vbへの流量は開口部40,41の開口量によって決まる。方向切換用スプール2には左右の圧力室Va,Vb内の圧力差とスプール断面積によって左向きの力が働き、方向切換用スプール2は図示左側に移動する。 【0048】ここで、制御スプール10は図示する如く軸方向の連通穴11aが施されており、圧力バランスが取れている。また、急激な制御スプール10の移動による内部圧力室Vcの体積変化も、連通穴11aを十分大きくとることによって抵抗となることはない。したがって、制御スプール10は殆ど外力を受けることがなく、その位置は変わらない。 【0049】方向切換用スプール2が左側に移動した状態を図3に示す。図3では方向切換用スプール2は制御スプール10の中立位置を越え、行き過ぎてしまった状態にあり、また、位置サーボを行う場合、微小であるが、この状態を繰り返す。これは過度的に発生し得る状態である。この場合は、第1切換溝21aと第3切換溝12bとの間に開口部42が形成され、ポンプポート1pは第4ポート24とつながり、圧力室Vbの圧力が上昇する。また、第2切換溝12aと第2ポート22との間に開口部43が形成され、圧力室Vaにつながる連結穴11aはタンクポート1t1につながり、圧力室Vaの圧力は降下する。このため方向切換用スプール2は図示右側に向かう力を受けることになる。この場合でも制御スプール10は殆ど外力を受けないため、その位置は変わらない。 【0050】このようにして方向切換用スプール2は制御スプール10の位置に追従し、最終的には図4に示す位置に追従する。この位置は制御スプール10の位置に完全に一致し、方向切換用スプール2も制御スプール10と同じ方向に同じ移動量だけ移動することになる。即ち、方向切換弁100は制御スプール10の移動方向と移動量に応じて流体を流す方向を選択しかつ流量を制御する。 【0051】この状態から流体力等の外力が方向切換用スプール2に働き、スプール2を押し戻そうとすると、スプール2は再び制御スプール10に対し図2に示すような位置関係となり、その外力に相当する分圧力室Va内のパイロット圧が自動的に増加し、スプール2は図4に示す制御スプール10と整合する位置に戻り、その結果アクチュエータには安定した流量が供給されることになる。 【0052】図5に本発明のシミュレーションモデルによるスプール変位特性の結果を示す。このシミュレーションモデルでは比例ソレノイド30がステップ状に力を発生したときの関係を表すもので、流体力は考えていない。また、制御スプール10と方向切換用スプール2の変位の関係を示したものであり、制御スプール10の質量は100g、方向切換弁用スプール2の質量は1.1kgとした。 【0053】図5において、制御スプール10のストロークは比例ソレノイド30の力によって60msecで最大に達し、100msecでほぼ静定している。方向切換用スプール2は位置サーボによって多少振動的であるが、数msecの遅れで制御スプール10に良く追従していることが分かる。即ち、方向切換用スプール2の応答性は制御スプール10の応答特性で決まってくる。応答を速くするためには制御スプール10の質量を小さくする必要がある。しかし、メインスプールである方向切換用スプール2の径は方向切換弁の定格流量によって決まるため、軽量化が難しい。これに対し、制御スプール10は軽量化が可能である。本発明では制御スプール10の質量を小さくすることで全体の高速化が可能であることが分かる。 【0054】方向切換用スプール2に外乱、例えば大きな流体力が発生した場合についても同様のシミュレーションを行ったが、図6に拡大して示すように図5とほとんど変わらない波形が得られた。 【0055】以上より制御スプール10で方向切換用スプールを精度良く位置決め制御することができることが分かる。 【0056】以上のように本実施形態によれば、従来のスプール型方向切換弁に比べ応答性が高く、かつ流体力の影響を受けずに高精度にスプールを位置決めすることができる。また、パイロット配管が不要になり、コンパクトで非常に取扱いやすい方向切換弁に構成できる。更に、制御スプール10を駆動する力が小さいため、駆動用の比例ソレノイドも小型、小電力のものでよい。 【0057】また、本実施形態では、制御スプール10の圧力室Vb側の端部を閉じ、圧力室Vcを形成すると共に、その圧力室Vcと圧力室Vaを制御スプール10の内部通路である連通穴11aを介して連通させ、制御スプール10の圧力バランスを取ったので、圧力室Va,Vbのいずれがポンプ圧側になってもそのポンプ圧が制御スプール10の閉鎖端部によりタンク圧部分から隔離されることとなり、ポンプ圧側の圧力室からタンクへの漏れを最小にでき、これによっても高い応答性を確保できる。 【0058】本発明の第2及び第3の実施形態を図7及び図8により説明する。上記実施形態は電気的操作手段として比例ソレノイド30で制御スプール10を駆動した例であるが、制御スプール10を駆動する力が小さいため、比例ソレノイドに代えて従来トルクが足りなく使用できなかった小型サーボモータとボールねじの組み合わせの駆動装置を用いても高精度、高応答の制御が可能である。図7及び図8はこのような実施形態を示すものである。 【0059】図7において、この実施形態によるスプール型方向切換弁100Aは、制御スプール10の電気的操作手段としてサーボモータ31と、サーボモータ31の出力軸に取り付けられたボールねじ32とを有し、ボールねじ32の軸受33が第1の実施形態と同様ボールジョイント30bを介して制御スプール10の端部に接続されている。サーボモータ31はACモータ、DCモータのいずれであっても構わないし、ステッピングモータでも構わない。サーボモータ31が回転するとボールねじ32も回転し、ボールねじ32の回転は軸受33によって直線運動に変換される。これらボールねじ32と軸受33はフランジ35に取り付けられる。フランジ35はサーボモータ31の取り付け部ともなり、更にボールねじ32が回転するのを直接運動に変えるガイド34としても機能する。 【0060】このサーボモータ31とボールねじ32との組み合わせの駆動装置は、制御スプール10の位置を直接制御するため、第1の実施形態にあった位置決め用のバネ61は必要ない。また、制御スプール10には殆ど外力が作用しないので、駆動に必要なトルクはごく小さくて構わない。このためモータ31は小型で小電力のものを選択することができる。また、ボールねじ32も剛性を必要しないため安価なものでよい。 【0061】制御スプール10の他端側にはフランジ4が取り付けられ、圧力室Vbが形成されてる。第1の実施形態では方向切換用スプール2の端部に位置決め用のバネ7を設置していた。しかし、本発明では方向切換用スプール2は制御スプール10の位置によってのみ決まるので、バネ7は必ずしも必要ない。本実施形態はこの位置決め用のバネ7を設けない例である。ただし、急激な圧力上昇によってスプール2の位置決めが振動的になる場合もある。第1の実施形態では、圧力室Vbにバネ7を配置したので、バネ7が緩衝材として機能する効果がある。 【0062】図8に示すスプール型方向切換弁100Bは、サーボモータ31を圧力室Vaの中に内蔵した例であり、構成は第2の実施形態とほとんど変わらない。サーボモータ31を作動油雰囲気63中で駆動することは全く問題ない。むしろ、冷却効率がよいため大気中で駆動する場合に比べ流せる電流値も高くなり、更に小型のモータを用いることが可能となる。サーボモータ31に供給する電源及び回転角度の信号をコントローラに送る信号線はハーメチックシール36を介して接続する。このハーメチックシール36は高圧に十分耐えられるので、圧力室Vaが油圧ポンプ101(図1参照)の吐出圧まで上昇しても、ほとんどの場合破壊することはない。 【0063】 【発明の効果】本発明によれば、従来のスプール型方向切換弁に比べ応答性が高く、かつ流体力の影響を受けずに高精度にスプールを位置決めすることができる。また、パイロット配管が不要になり、コンパクトで非常に取扱いやすい方向切換弁に構成できる。 【0064】また、本発明によれば、ポンプポートに連通した高圧側の圧力室が制御スプールの閉鎖端部によりタンク圧部分から隔離されるので、高圧側の圧力室からタンクへの漏れを最小にでき、これによっても高応答性を確保できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005522 【氏名又は名称】日立建機株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)1月9日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】春日 讓
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| 【公開番号】 |
特開平11−201301 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)7月30日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−2768 |
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