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【発明の名称】 仕切弁
【発明者】 【氏名】横山 郡平

【要約】 【課題】弁体にゴムを装着した仕切弁において、ゴムパッキンおよび粉末塗装が劣化せず、しかも、コストダウンを図り得る仕切弁を提供する。

【解決手段】弁箱の流路に対して略直交する直交方向に弁体が昇降して流路を開閉する仕切弁に関する。弁体2の下端面から流路に略直交する平面に沿って弁体2の両側端に連なるV字状ないしU字状の第1装着溝21と、該第1装着溝21の上端部に連なると共に弁体2における流路に略直交する2つの側面の上端部を連ねて形成された環状の第2装着溝22とを弁体に形成し、第1装着溝21に合致するV字状ないしU字状の第1パッキン部31と、第2装着溝22に合致する環状の第2パッキン部32とが一体になったゴムパッキン3を両溝21,22から突出した状態で両溝21,22に装着し、該ゴムパッキン3が弁箱の内壁面に押し付けられて閉弁状態を保つようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 弁箱の流路に対して略直交する直交方向に弁体が昇降して前記流路を開閉する仕切弁において、前記弁体の下端面から前記流路に略直交する平面に沿って前記弁体の両側端に連なるV字状ないしU字状の第1装着溝と、該第1装着溝の上端部に連なると共に前記弁体における前記流路に略直交する2つの側面の上端部を連ねて形成された環状の第2装着溝とを前記弁体に形成し、前記第1装着溝に合致するV字状ないしU字状の第1パッキン部と、前記第2装着溝に合致する環状の第2パッキン部とが一体になったゴムパッキンが前記両溝から突出した状態で前記両溝に装着され、該ゴムパッキンが弁箱の内壁面に押し付けられて閉弁状態を保つことを特徴とする仕切弁。
【請求項2】 請求項1において、前記閉弁状態においては、前記第1パッキン部が前記弁箱における流路の内周面に圧接すると共に、前記第2パッキン部が前記弁箱における流路に略直交する内壁面に圧接する仕切弁。
【請求項3】 請求項1において、前記弁体が流路の側方において流れ方向に係合する係合溝を前記弁箱に設けた仕切弁。
【請求項4】 請求項1において、前記第1装着溝および第1パッキン部は、下部が弁箱における流路の内周面に沿った円弧状に形成され、上部が斜め上方に向ってテーパー状に広がった略V字状ないしU字状に形成され、前記弁体を開閉する操作軸の軸力で、前記第1パッキン部を前記弁箱の内周面に圧接させる仕切弁。
【請求項5】 請求項1において、前記両溝の表面を含む前記弁体の外表面と、前記弁箱の内表面には、粉末塗装が施されている仕切弁。
【請求項6】 請求項1において、前記ゴムパッキンは、断面が方形状に設定されている仕切弁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は仕切弁の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、水などの流体を流す管路では、不断水で流体管に孔を穿孔して分岐管を取り出す不断水穿孔分岐工事が行われている。こうした不断水穿孔分岐工事では、仕切弁を工事用に用いると共に該仕切弁をそのまま管路に残す。かかる仕切弁としては、従来より、弁体に設けた砲金製の止水用リングを弁箱の弁座に圧接させて止水するものが知られている(たとえば、特開平4−145272号)。しかし、かかる構造では、弁座を設けるために弁箱の流路の下部に溝を形成する必要がある。かかる溝があると、不断水穿孔の際に、該溝に切粉が溜まる。そのため、水質が低下するだけでなく、弁体が下まで降りないなどの問題が生じる。
【0003】一方、水質の向上を図るために、弁箱の内表面および弁体の外表面に粉末塗装(いわゆる「粉体塗装」)を施すと共に、該弁体にゴムを焼き付けて固着した仕切弁が知られている。かかる仕切弁は、弁箱の下部に溝を設ける必要がないので、切粉が溜まらないから、前述の問題が生じない。また、粉末塗装を施すことで、耐腐食性を著しく向上させて、水質の向上を図っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記従来技術では、弁体に粉末塗装を施すと共に、ゴムを焼き付けて固着するので、以下に説明するように、塗装またはゴムの一方が劣化するという問題が生じる。粉末塗装は粉末プラスチックを被塗装面の表面において高温下で加熱溶融させて連続被膜とする塗装法であり、一方、ゴムの焼付固着は、ゴムと弁体とを高温下で加熱・加圧して、ゴムを加硫すると共に弁体に強固に固着させるものである。したがって、粉末塗装後にゴムの焼付固着を行うと、焼付時の熱で粉末塗装が劣化し、一方、ゴムの焼付固着後に粉末塗装を施すと、粉末塗装時の熱でゴムが劣化する。
【0005】しかも、重い金属製の弁体にゴムを焼き付ける作業は、作業性が悪く、また、粉末塗装を施す際には、ゴムを焼き付ける面にマスキングを施す必要があるから、塗装における工程数が増加する。したがって、コストアップの要因となっている。
【0006】本発明はかかる従来の問題に鑑みてなされたもので、その目的は、弁体にゴムを装着した仕切弁において、ゴムパッキンおよび粉末塗装の双方が劣化せず、しかも、コストダウンを図り得る仕切弁を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために、本発明は、弁箱の流路に対して略直交する直交方向に弁体が昇降して流路を開閉する仕切弁において、弁体の下端面から流路に略直交する平面に沿って弁体の両側端に連なるV字状ないしU字状の第1装着溝と、該第1装着溝の上端部に連なると共に弁体における流路に略直交する2つの側面の上端部を連ねて形成された環状の第2装着溝とを弁体に形成し、第1装着溝に合致するV字状ないしU字状の第1パッキン部と、第2装着溝に合致する環状の第2パッキン部とが一体になったゴムパッキンが両溝から突出した状態で両溝に装着され、該ゴムパッキンが弁箱の内壁面に押し付けられて閉弁状態を保つことを特徴とする。
【0008】本発明によれば、V字状ないしU字状の第1パッキン部と環状の第2パッキン部とが一体となったゴムパッキンを弁体の第1および第2装着溝に装着するから、ゴムパッキンが両装着溝に係合するので、ゴムパッキンが弁体に強固に装着される。したがって、ゴムパッキンを焼付(弁体と一体に成形して)固着する必要がない。
【0009】本発明において、「昇降」とは、仕切弁の構造を分かり易く説明するために用いた用語であり、必ずしも弁体が上下に移動することを意味するものではなく、弁体が弁箱の流路と弁箱の収容部との間を移動することを意味するものである。したがって、弁体が水平方向にスライド移動するように仕切弁を用いたり、あるいは、仕切弁を構成した場合も本発明の範囲に含まれる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面にしたがって説明する。図1において、仕切弁は弁箱1、弁体2、ゴムパッキン3およびスピンドル(操作軸)4を主たる構成部品とする。弁箱1は、流路10および弁体収容部13を形成する弁箱本体11と、該弁箱本体11の上部に連なると共に弁箱本体11の上部を覆う弁蓋12とを備えている。前記弁箱本体11における流路10を形成する流体管部14には、不断水分岐穿孔用のチーズ(図示せず)に接続される図2の第1フランジ15と、分岐配管に接続される図1の第2フランジ16とが一体に形成されている。前記弁蓋12には、前記スピンドル4が回転自在に装着されている。
【0011】弁体2は前記スピンドル4を正逆方向に回転させることにより、流路10に対して略直交する直交方向に昇降して、流路10を閉止する閉弁位置P1と、弁体収容部13に収容された開弁位置P2との間を移動できるようになっている。なお、スピンドル4には周知のコマ40が螺合している。
【0012】図3(a)に示すように、前記弁体2には、互いに連なる第1および第2装着溝21,22が形成されている。第1装着溝21は、正面から見た形状が、図4(d)に明示するように、弁体2の下端面から二点鎖線で示す流路10に略直交する平面に沿って弁体2の両側端に連なるV字状ないしU字状に形成されている。特に、本実施形態においては、前記第1装着溝21の下部21aが流路10の内周面に沿った円弧状に形成され、前記第1装着溝21の上部21bが斜め上方に向ってテーパー状に広がって形成されている。
【0013】一方、第2装着溝22は、図3(a)の第1装着溝21の上端部に連なると共に、図4(d)に示す弁体2における流路10に略直交する図4(a)の2つの側面22aの上端部を連ねて略長円環状に形成されている。該第2装着溝22は、図4(d)のように正面から見た形状が、流路10の内周面の曲率よりも小さな曲率の円弧状(アーチ状)に形成されている。
【0014】前記両溝21,22の表面を含む弁体2の外表面と、図1の弁箱1の内外の表面には、粉末塗装が施されている。
【0015】図3(b)に示すように、ゴムパッキン3は、相撲の廻しのような形状で、V字状ないしU字状の第1パッキン部31と、略長円環状の第2パッキン部32とが一体に成形されてなる。第1および第2パッキン部31,32は、それぞれ、図3(a)の第1および第2装着溝21,22に合致する形状を有し、矢印および図5に示すように、これらの装着溝21,22に装着される。なお、前記ゴムパッキン3の断面は図1に示すように、略方形状である。また、前記第1および第2装着溝21,22の表面とゴムパッキン3との間は、ゴム系接着剤やその他の接着剤で固着することとしてもよい。
【0016】図1の閉弁状態においては、前記ゴムパッキン3の第1パッキン部31が弁箱1の流路10の内周面(内壁面)に圧接して押し付けられていると共に、ゴムパッキン3の第2パッキン部32が弁箱1における流路10に略直交する弁座面(内壁面)17に圧接して押し付けられている。弁座面17は、下方に行くに従い弁体収容部13が幅狭となるようなテーパー状に形成されている。該弁座面17は図5の第2パッキン部32に沿って該第2パッキン部32に対向するように形成されている。
【0017】本仕切弁は、図2および図1のスピンドル4を逆方向に回転させることにより、二点鎖線で示す開弁状態となる。一方、本仕切弁は、スピンドル4を正方向に回転させることにより、該スピンドル4の軸力で第1パッキン部31が弁箱1の流路10の内周面に圧接すると共に、第2パッキン部32が弁箱1の弁座面17に圧接して、実線で示すような閉弁状態となる。
【0018】前記構成において、本仕切弁は、図3(b)の第1パッキン部31と第2パッキン部32とが一体となった相撲の廻し状のゴムパッキン3を2つの装着溝21,22に装着したため、ゴムパッキン3が弁体2から脱落しにくい構造となる。したがって、ゴムパッキン3を弁体2に焼き付けて固着する必要がない。その結果、従来の焼付および粉末塗装の2つの製造工程によるゴムパッキン3または粉末塗装の劣化を防止し得ると共に、コストダウンを図り得る。
【0019】ところで、図2の閉弁状態の弁体2には、水圧による大きな曲げ荷重が加わり、そのため、弁体2が変形して止水性能が低下する原因となる。ここで、本実施形態では、閉弁状態の弁体2が流路10の側方部23において図4(b)に示すように、弁箱1の係合溝18に当接して係合する。したがって、流体圧を受ける弁体2が上下方向の中心部においても弁箱1に支持されるので弁体2が変形しにくくなる。
【0020】ところで、図2の第1パッキン部31の2つの上部31bをスピンドル4の軸方向に沿って互いに平行に形成すると、スピンドル4の軸力でゴムパッキン3を圧縮できず、該上部31bと弁箱1の内壁面との圧接力が小さくなって、止水性能の低下を招く。ここで、本実施形態では、前述のように、第1パッキン部31の上部31bをテーパー状にしたことにより、スピンドル4の軸力による分力によって第1パッキン部31の上部31bが弁箱1の内周面に圧接する。したがって、第1パッキン部31の上部31bにおける止水性能が更に向上する。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、相撲の廻し状に形成したゴムパッキンを、弁体の第1および第2装着溝に嵌め込んで装着したため、ゴムパッキンが弁体から脱落しにくいので、ゴムパッキンを弁体に焼き付けて固着する必要がない。したがって、従来行っていた焼付および粉末塗装の2つの製造工程におけるゴムパッキンまたは粉末塗装の再加熱による劣化を防止し得ると共に、ゴムパッキンのみを単独に成形すればよいから、ゴムパッキンにかかる製造コストも安価になる。なお、弁箱の流路には凹所を設ける必要がないから、切粉やその他の夾雑物が溜まるおそれもない。
【0022】また、弁体が流路の側方において流れ方向に係合する係合溝を弁箱に設ければ、流体圧を受ける弁体が上下方向の中心部においても、弁箱に支持されるから、弁体の変形するおそれがない。したがって、弁体の変形に伴う止水性能の低下するおそれがない。
【0023】また、ゴムパッキンの第1パッキン部の上部を斜め上方に向ってテーパー状に広げて第1パッキン部を略V字状ないしU字状に形成すれば、操作軸の軸力の分力で、前記第1パッキン部の上部を弁箱の内周面に圧接させることができる。したがって、かかる部分の止水性能も向上する。
【出願人】 【識別番号】000132080
【氏名又は名称】株式会社スイケンテクノロジー
【出願日】 平成10年(1998)1月19日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】山村 喜信
【公開番号】 特開平11−201299
【公開日】 平成11年(1999)7月27日
【出願番号】 特願平10−22603