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【発明の名称】 多孔オリフィス弁
【発明者】 【氏名】小川 嘉之

【要約】 【課題】乱流の発生を抑制して、高精度の流量制御を可能にするとともに、キャビテーションの発生を抑えるように工夫した多孔オリフィス弁を提供する。

【解決手段】弁箱10の軸線Cに沿う軸線C1を有する複数のオリフィス11,11……を設けた多孔プレート12と、この多孔プレート12の複数のオリフィス11,11……を開閉する複数のニードル弁13a,13a……によってなる開閉部材13を設け、この開閉部材13を進退移動手段17によりオリフィス11,11……の軸線C1方向に進退移動させることで、複数のオリフィス11,11……の開度を制御する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 弁箱の軸線に沿う軸線を有する複数のオリフィスを設けて前記弁箱に収容された多孔プレートと、この多孔プレートに前記弁箱の軸線方向で対向して該弁箱に収容されて前記複数のオリフィスを開閉する開閉部材とを備え、前記開閉部材が前記複数のオリフィスのそれぞれに挿脱可能に下流側で対向して設置された複数のニードル弁によって構成されているとともに、この開閉部材を前記オリフィスの軸線方向に進退移動させて、前記複数のニードル弁のそれぞれを前記複数のオリフィスに個別に挿脱させる進退移動手段を具備していることを特徴とする多孔オリフィス弁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は多孔オリフィス弁に係り、さらに詳しくは、高精度の流量制御を可能にするとともに、キャビテーションの発生を抑えるように工夫した多孔オリフィス弁に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の多孔オリフィス弁は、図4に示すように、弁箱1の軸線Cに沿う軸線C1を有する複数のオリフィス2,2……を設けて弁箱1に昇降可能に収容された第1の多孔プレート3と、弁箱1の軸線Cに沿う軸線C1を有する複数のオリフィス4,4……を設けて弁箱1に固定して収容された第2の多孔プレート5とを備えている。複数のオリフィス2,2……と複数のオリフィス4,4……の内径は等しい値に設定され、かつ両者の断面形状は真円の設定されている。そして、第1の多孔プレート3は弁棒6を介して開閉手段7に連結されている。したがって、開閉手段7の作動による第1の多孔プレート3の昇降運動で、第1の多孔プレート3と第2の多孔プレート5を相対移動させることにより、複数のオリフィス2,2……と複数のオリフィス4,4……とを同心に対応させた全開状態が得られ、複数のオリフィス2,2……と複数のオリフィス4,4……との対向関係を消失させた全閉状態が得られるとともに、全開状態と全閉状態の間の任意の開度による流量制御を行うことができる。
【0003】しかし、前記従来の多孔オリフィス弁では、全開状態と全閉状態の間の任意の開度で弁開した場合、複数のオリフィス2,2……と複数のオリフィス4,4……との境界部での流体の通過断面形状の真円度が損なわれ、ほぼ凸レンズ状の断面形状を呈することになる。このように、境界部における流体の通過断面形状がほぼ凸レンズ状になると、境界部の直下流側において乱流が生じて流量制御の精度を低下させる。また、複数のオリフィス2,2……の上流側から複数のオリフィス4,4……を見た場合、複数のオリフィス4,4……の周壁部の上流端面が複数のオリフィス2,2……に臨出する状態になり、この臨出する上流端面に流体が衝突することによっても乱流を生じさせて流量制御の精度を低下させる。さらに、多孔オリフィス弁を小開度で保持した場合には、流速の高い乱流が生じるので、境界部の直下流側の圧力を低下させる。流体が水の場合、境界部の直下流側の圧力がその時の水温における蒸気圧以下になると、水が蒸発したり、水中の空気が分離して気泡(キャビテーション)を発生させ、圧力が回復する下流側で気泡がつぶされて消滅する際に大きい騒音や振動を発生させるとともに、このような状態を継続すると、キャビテーションにさらされた部分(管壁の内面)に、特有のキャビテーション壊食を発生させることになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、従来の多孔オリフィス弁では、全開状態と全閉状態の間の任意の開度で弁開した場合、乱流が生じて流量制御の精度を低下させるとともに、小開度で多孔オリフィス弁を保持した場合には、流速の高い乱流が生じてキャビテーションを発生させる欠点がある。そこで、本発明は、乱流の発生を抑制して、高精度の流量制御を可能にするとともに、キャビテーションの発生を抑えるように工夫した多孔オリフィス弁を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために、本発明に係る多孔オリフィス弁は、弁箱の軸線に沿う軸線を有する複数のオリフィスを設けて前記弁箱に収容された多孔プレートと、この多孔プレートに前記弁箱の軸線方向で対向して該弁箱に収容されて前記複数のオリフィスを開閉する開閉部材とを備え、前記開閉部材が前記複数のオリフィスのそれぞれに挿脱可能に下流側で対向して設置された複数のニードル弁によって構成されているとともに、この開閉部材を前記オリフィスの軸線方向に進退移動させて、前記複数のニードル弁のそれぞれを前記複数のオリフィスに個別に挿脱させる進退移動手段を具備していることを特徴としている。
【0006】本発明によれば、全開時における複数のオリフィスから吐出される流体の断面形状を真円に設定し、中間開度おける複数のオリフィスから吐出される流体の断面形状を真円形の環状に設定して、乱流の発生を抑えることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施の形態を示す縦断面図である。この図において、多孔オリフィス弁は、弁箱10の軸線Cに沿う軸線C1を有する複数のオリフィス11,11……を設けて弁箱10に固定して収容された多孔プレート12と、この多孔プレート12に弁箱1の軸線C方向下流側で対向して弁箱に収容されて、複数のオリフィス11,11……を開閉する開閉部材13とを備えている。
【0008】開閉部材13は複数のオリフィス11,11……と同数で、これらオリフィス11,11……のそれぞれに挿脱可能な複数のニードル弁13a,13a……によって構成されている。この開閉部材13を構成してい複数のるニードル弁13a,13a……の基端部は、多孔プレートによってなる取付部材14に固着されており、取付部材14の上端部には弁箱10の軸線Cに直交して上方にのびる上部連結棒15が取付けられ、取付部材14の下端部には弁箱10の軸線Cに直交して下方にのびる下部連結棒16が取付けられている。
【0009】上部連結棒15の上端部は進退移動手段17に連結されている。この進退移動手段17は、上部連結棒15の上端部に固着されて弁箱10の軸線Cに沿う方向の軸線を有する雌ねじこま18と、この雌ねじこま18に螺合するリード雄ねじ20を有し、かつ弁箱10の開口部10Aを水封して覆う弁箱カバー19に回転自在に取付けられた回転軸21および弁箱カバー19の一端外方に水漏れの内封止状態で導出された回転軸21の端部に固着された操作ハンドル22とを備えている。
【0010】一方、下部連結棒16の下端部には、弁箱10の底部において該弁箱10の軸線C方向にのびて設けられた案内棒23が摺動自在に挿通されている。
【0011】このような構成であれば、操作ハンドル22のたとえば正回転操作によって、開閉部材13を最前端位置まで移動させることにより、図1に示すように、複数のニードル弁13a,13a……によって複数のオリフィス11,11……が閉塞された全閉状態を得ることができる。
【0012】一方、操作ハンドル22の逆回転操作によって、開閉部材13を最後端位置まで移動させることにより、図2に示すように、複数のニードル弁13a,13a……が複数のオリフィス11,11……から完全に抜け出た全開状態を得ることができる。また、操作ハンドル22を正逆回転操作することによって、図3に示すように、前記全開状態と全閉状態の間の任意の開度による流量制御を行うことができる。
【0013】図2に示す全開時における複数のオリフィス11,11……から吐出される水の断面形状は真円に設定され、図3に示す中間開度おける複数のオリフィス11,11……から吐出される水の断面形状は真円形の環状に設定される。したがって、複数のオリフィス11,11……から吐出された直後における乱流の発生を抑えることができる。このため、従来例と比較して高精度の流量制御が可能になるとともに、複数のオリフィス11,11……を小開度で保持することにより流速が高くなっても、キャビテーションの発生を有効に抑えることができるので、騒音や振動を大幅に軽減し、かつキャビテーション壊食の発生を避けることができる。なお、複数のオリフィス11,11……から吐出された水は、多孔プレートによってなる取付部材14を通過して下流側に流下する。
【0014】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、複数のオリフィスを複数のニードル弁によってなる開閉部材により開閉させるように構成しているので、全開時における複数のオリフィスから吐出される流体の断面形状を真円に設定し、中間開度おける複数のオリフィスから吐出される流体の断面形状を真円形の環状に設定して、乱流の発生を抑えることができる。このため、従来例と比較して高精度の流量制御が可能になるとともに、複数のオリフィスを小開度で保持することにより流速が高くなっても、キャビテーションの発生を有効に抑えることができるので、騒音や振動を大幅に軽減し、かつキャビテーション壊食の発生を避けることができる。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成10年(1998)1月14日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 孝一 (外1名)
【公開番号】 特開平11−201294
【公開日】 平成11年(1999)7月27日
【出願番号】 特願平10−5611