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【発明の名称】 油圧作動式大型弁油圧機構の取外し又は再取付け方法
【発明者】 【氏名】奥田 進

【氏名】千葉 篤

【要約】 【課題】手間が少なく、作業能率がよい油圧作動式大型弁の油圧機構の取外し又は再取付け方法を提供すること。

【解決手段】弁棒13を作動させるための油圧機構19を最下方にして倒立状態で設置した油圧作動式大型弁の弁箱10から、油圧機構19を取外し又は再取付けするにあたって、まず、弁棒13と油圧機構19のピストンロッドとを連結するカップリングを取外した状態でヨ−ク部21の下フランジ23に門型のジャッキ50を配設し、このジャッキ50を弁棒13下端のカップリング溝と係合させて弁棒13をジャッキアップし、弁棒13をジャッキアップした状態で前記ピストンロッド上端の細部構成部品を取外し又は再取付けするようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】弁棒を作動させるための油圧機構を最下方にして倒立状態で設置した油圧作動式大型弁の弁箱から、前記油圧機構を取外し又は再取付けするにあたって、まず、弁棒と油圧機構のピストンロッドとを連結するカップリングを取外した状態でヨ−ク部の下フランジに門型のジャッキを配設し、このジャッキを弁棒のカップリング溝と係合させて弁棒をジャッキアップし、弁棒をジャッキアップした状態で前記ピストンロッド上端の細部構成部品を取外し又は再取付けするようにしたことを特徴とする油圧作動式大型弁油圧機構の取外し又は再取付け方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は油圧作動式大型弁油圧機構の取外し又は再取付け方法に係り、特に、油圧機構を最下方にして倒立状態で取付けた油圧作動式大型弁の弁箱から、前記油圧機構を取外し又は再取付けするために好適な油圧作動式大型弁油圧機構の取外し又は再取付け方法に関する。
【0002】
【従来の技術】火力又は原子力発電設備においては、高温、高圧の蒸気や復水の配管に油圧作動式大型弁が多数設置されている。図1にこの種の大型弁の概略構造を示す。弁箱10には弁座11が取付けられ、この弁座11に対して弁体12が弁棒13を介して上下動することによって、流体の通路14の開閉を行う。弁箱10の流体入口15、出口16は図示しない配管に溶接によって接続されている。弁箱10の上部には保守点検用の上蓋17が設けられている。弁棒13の下部はシ−ル部18を介して弁箱10の外側に突出し、その下端が油圧機構19のピストンロッド20に連結されている。
【0003】ヨ−ク部21は弁箱10と油圧機構19とを連結する部材であり、弁箱10に接続する上フランジ22と、油圧機構19に接続する下フランジ23と、これらの上下のフランジを連結する複数本の連結材24とからなる。油圧機構19は主に油圧ユニット25とスプリングハウジング26とからなり、油圧ユニット25のシリンダ27内のピストン28を油圧で作動させることによってピストンロッド20を上下動させる。ピストンロッド20の上端はカップリング部29を介して弁棒13の下端と連結されている。
【0004】スプリングハウジング26内にはその上端がカップリング部29に接続された伝達材30とスプリング31とが収納されており、スプリング31は伝達材30を常時下方に押し下げるように作用している。伝達材30はピストンロッド20や弁棒13と一体化しているので、前記油圧ユニット25に油圧が作用していない時には、スプリング31の作用によって伝達材30が下降し、結果として弁棒13、弁体12も下がり、弁は閉止状態となる。また、カップリング部29にはスイッチバ−32が取付けられており、スイッチバ−32の他端側は前記スプリングハウジング26に固定されえたスイッチボックス33に接続している。スイッチバ−32はピストンロッド20や弁棒13と一体になって上下動し、この動きによってスイッチボックス33に内蔵された図示しないリミットスイッチを動作させ、その信号によって油圧ユニット25の油圧回路が制御される。
【0005】図2にカップリング部29の細部構造を示す。ピストンロッド20の上端はボルト34となっており、ナット35を締め込むことによって連結リング36とカラ−40がピストンロッド20の上端と一体化する。連結リング36の上にスペ−サ−37とカップリング38とを重ね、これらの連結リング36、スペ−サ−37、カップリング38および前記伝達材30の上端とが植込み通しボルト41によって締め付け固定されている。カップリング38は二つ割とされ、その上部が弁棒13下端のカップリング溝39に係合している。以上の構造によってピストンロッド20と弁棒13が連結し、一体になって上下動する。発電設備に設置されるこの種の油圧作動式大型弁は巨大であり、例えば口径が600mmの場合には重量が約20トン、全長が約5mに達する。また、分解、点検及び配置上の便宜を配慮して、図1に示したような倒立状態で設置されるケ−スが圧倒的に多い。
【0006】ところで、発電設備では定期的に設備の点検と補修が実施されており、上記の油圧作動式大型弁についても、この時期に点検補修が実施される。特に、油圧ユニット25は弁箱10から取外して、製造メ−カ−に運び、ここで入念な点検と微調整を実施したのち、現地に戻し再取付けされる。油圧ユニット25を弁箱10から取外す場合にはピストンロッド20を弁棒13から切り離す必要がある。この切り離し作業の手順を図3に基づき説明する。まず、植込み通しボルト41を外して、図2に示した二つ割状のカップリング38を弁棒13下端のカップリング溝39から外す。この時のカップリング溝39の位置を図3の二点鎖線で示す。この状態ではスペ−サ−37を外そうとしても弁棒13の最下端が障害となり外すことができない。同様にナット35も外せない。このため、スペ−サ−37やナット35を外すために図3に示す間隙gを確保する必要があった。間隙gを確保することによってスペ−サ−37、ナット35連結リング36、カラ−40の順にピストンロッド20上端の細部構成部品を取外しを外すことができ、次いでピストンロッド20を含む油圧ユニット25をヨ−ク部21から切り離すことができる。
【0007】上記間隙gを確保する方法としては弁棒13を上方に引き上げるほかには有効な手段がなく、従来は図4に示すように、まず、弁箱10の上蓋17を外したのち、クレ−ンのフック43にチェンブロック44をセットし、このチェンブロック44によって弁体12と弁棒13とを上方に引き上げていた。しかしながら、この方法は以下に説明するように手間がかかり作業能率が極めて悪かった。
【0008】第1に上蓋17を外す作業が必要となる。上蓋17は前記した口径600mmの大型弁の場合、直径が約1,300mm、重量が約3トンであり、上蓋17自体の吊搬作業に多大な手間を要する。また、上蓋17を弁箱10に固定している数十本のボルトの取外し作業にも多大な手間を要する。第2に弁体12と弁棒13とをチェンブロック44によって引き上げる際に、チェンブロック44の芯と弁棒13の芯が一致しないことが多く、この状態で安易に作業をすると弁棒13を斜向して引き上げることになり、シ−ル部18や弁棒13の損傷を招く可能性がある。このため、弁棒13を鉛直に引き上げるための芯合わせ作業に熟練と細心の調整を必要とする。第3に上蓋17を開放した状態では、この開放口から塵や異物が弁箱10内に侵入し、復旧後の弁機能に障害を招く可能性がある。このため、弁体11と弁棒13とを上方に引き上げた状態で、開放口から塵や異物が弁箱10内に侵入しないための養生を必要とする。第4に油圧機構19の点検、補修を完了後、再取付けの際には、上記とは逆に養生の除去、弁体12と弁棒13の引下げ作業、上蓋17の再取付け作業が必要である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記の従来技術の問題点を改善して、手間が少なく、作業能率がよい油圧作動式大型弁の油圧機構の取外し又は再取付け方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係る油圧作動式大型弁の油圧機構の取外し又は再取付け方法は、弁棒を作動させるための油圧機構を最下方にして倒立状態で設置した油圧作動式大型弁の弁箱から、前記油圧機構を取外し又は再取付けするにあたって、まず、弁棒と油圧機構のピストンロッドとを連結するカップリングを取外した状態でヨ−ク部の下フランジに門型のジャッキを配設し、このジャッキを弁棒のカップリング溝と係合させて弁棒をジャッキアップし、弁棒をジャッキアップした状態で前記ピストンロッド上端の細部構成部品を取外し又は再取付けするようにしたことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】図5以下に本発明の実施例を示す。弁棒13と油圧機構19のピストンロッド20とを連結するカップリング38を取外した状態で、ヨ−ク部21の下フランジ23上に門型ジャッキ50を配設し、この門型ジャッキ50を弁棒13のカップリング溝39と係合させて弁棒13をジャッキアップし、弁棒13をジャッキアップした状態で前記ピストンロッド20上端の細部構成部品を取外し又は再取付けするようにしたものである。
【0012】図6、図7にその詳細を示す。門型ジャッキ50は弁棒13下端のカップリング溝39に係合して弁棒13の下端を挾み込む一対の平板51と、これらの平板51をボルト53によって連結する一対の連結板52と、平板51を下方から支持する一対の支持柱56と、一対の携帯式ジャッキ55とからなる。
【0013】まず、図2に示したカップリング38を取外した状態で、カップリング溝39に一対の平板51を当てがい弁棒13の下端を挾み込む。平板51には予めカップリング溝39に対応する切欠き54が形成されている。次に連結板52を用いて平板51同志をボルト53によって連結固定する。次に一対の支持柱56と一対の携帯式ジャッキ55を十分に縮めた状態で平板51の下方に配置し、携帯式ジャッキ55のロッド先端を平板51の下面に当接させる。この時の状態が図6に示した状態である。次に携帯式ジャッキ55をさらに作動させることによって弁棒13を必要な高さまでジャッキアップする。次に一対の支持柱56の回転ナット57を廻してボルト58の上端板59が平板51の下面に当接するまでボルト58を上方に伸長させる。この時の状態が図5に示した状態である。
【0014】次に携帯式ジャッキ55を縮めると、弁体12及び弁棒13の荷重は平板51を介して支持柱56側に移動し、弁棒13は同じ高さを維持する。このため、縮めた携帯式ジャッキ55を撤去して他の用途に利用できる。また、携帯式ジャッキ55の撤去によってヨ−ク部21の下フランジ23上には作業のためのエリアが多少とも広くなる。
【0015】次にピストンロッド上端の細部構成部品の取外し作業を行う。まず、スペ−サ−37を外した後、ナット35を外し、以下連結リング36、カラ−40の順に外すことによって、ピストンロッド20を含む油圧ユニット25を伝達材30と引き離し、スプリングハウジング26から抜き出すことができる。抜き出した油圧ユニット25は現地から製造メ−カ−に運搬し、所定の点検、補修を行う。この間、弁本体側に残した弁体12と弁棒13は門型ジャッキ50によってジャッキアップした状態をそのまま維持する。
【0016】点検、補修を終了した油圧機構19は前記とは逆の順序で再取付けを行う。すなわち、ピストンロッド20を下方から伝達材30の内部空間に差し入れ、以下カラ−40、連結リング36、ナット35、スペ−サ−37の順に細部部品の取付けを行う。一対の携帯式ジャッキ55を十分に縮めた状態で平板51の下方に配置し、携帯式ジャッキ55のロッド先端を平板51の下面に当接させ、弁体12及び弁棒13の荷重を平板51を介して携帯式ジャッキ55側に移動させる。次に門型ジャッキ50の一対の支持柱56の回転ナット57を下げ方向に廻してボルト58を下方に充分に短縮させる。次に、携帯式ジャッキ55を短縮させることによって、弁体12及び弁棒13の荷重を受けた平板51も下降し、平板51と係合して一体化した弁体12及び弁棒13も同時に下降する。
【0017】この門型ジャッキ50の下降操作を継続し、弁体12のシ−トが弁座11に当接すると、弁体12、弁棒13及びこれらと一体化した平板51の下降が停止しする。したがって、携帯式ジャッキ55の下方への短縮操作を引き続き行うことによって、携帯式ジャッキ55のロッド先端が平板51の下面から離れるので、この段階で携帯式ジャッキ55及び支持柱56を下フランジ23上から撤去することができる。次に一対の平板51を連結している連結板52のボルト53を外し、平板51を弁棒13のカップリング溝39から外す。その後、カップリング38によってカップリング部29の連結を行い、再取付け作業が完了する。
【0018】以上に述べた実施例によれば、大型弁の上蓋17を外すことなしに油圧機構19の取外し及び再取付けができるので、作業効率がよい。また、上蓋17外したために発生する開口部からの弁箱10内への異物の侵入を防止でき、開口部の養生も必要としない。
【0019】前記実施例の門型ジャッキ50は、主に平板51、支持柱56、携帯式ジャッキ55のそれぞれ独立した部材によって構成したが、これに限らず例えば支持柱56にジャッキの機能を持たせることによって携帯式ジャッキ55の使用を省略してもよい。また、これらの部材を一体化した門型ジャッキを用いてもよい。
【0020】
【発明の効果】本発明よれば弁棒を作動させるための油圧機構を最下方にして倒立状態で設置した油圧作動式大型弁の弁箱に対して、手間が少なく、かつ作業能率よく、油圧機構の取外し又は再取付けを行うことができる。
【出願人】 【識別番号】000005452
【氏名又は名称】日立プラント建設株式会社
【出願日】 平成9年(1997)10月31日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−141731
【公開日】 平成11年(1999)5月28日
【出願番号】 特願平9−316452