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【発明の名称】 温調ハンドルのロックボタンの組付構造
【発明者】 【氏名】波多野 学

【要約】 【課題】組付作業を簡素化することができる温調ハンドルのロックボタンの組付構造を提供すること、及び部品点数の削減を図り製造コストの低減を図ること。

【解決手段】温調ハンドル2の挿通孔4から温調ハンドル2外周に突出されると共に突出方向に付勢されたボタン部21と、温調ハンドル2の内側に配設されて水栓本体側に設けられた干渉部7と干渉するストッパー部23を備えた温調ハンドル2のロックボタン20の組付構造1において、ストッパー部23を挿通孔4に温調ハンドル2の外側から挿入可能とした。また、ボタン部21とストッパー部23とを一体に成形した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】温調ハンドルの挿通孔から温調ハンドル外周に突出されると共に突出方向に付勢されたボタン部と、温調ハンドルの内側に配設されて水栓本体側に設けられた干渉部と干渉するストッパー部を備えた温調ハンドルのロックボタンの組付構造において、前記ストッパー部を前記挿通孔に温調ハンドルの外側から挿入可能としたことを特徴とする温調ハンドルのロックボタンの組付構造。
【請求項2】前記ボタン部とストッパー部とを一体に成形したことを特徴とする請求項1に記載の温調ハンドルのロックボタンの組付構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、温調ハンドルのロックボタンの組付構造に関し、特に組み付けが簡易で部品点数の少ない温調ハンドルのロックボタンの組付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、サーモスタット機構などを組み込んだ湯水混合栓の温調ハンドルにおいては、温調ハンドルにロックボタンを設けることにより、不注意により高温の混合水が吐出されてしまわないように温調ハンドルの所定位置以上の回動を規制し、必要に応じてロックボタンのロック解除を行なうことにより高温の混合水の吐出も可能としていた。このようなロックボタンは図5に示すような組付構造により、温調ハンドルに組み付けられていた。
【0003】温調ハンドル60はその基端部を開口した略有底円筒形状に設けられ内部の中心軸63と外壁64の間に空間65を備えており、図3に示すような略円筒形状のカラー5が水栓本体側に設けられたサーモスタット式機能を備えた混合栓(図示省略)に接続され、吐出される湯水の温度を調節する役割をなしている。また、温調ハンドル60の外周にはロックボタン用の挿通孔61が穿設されている。上記したカラーにはその先端部に、その周方向に沿って所定の長さの切り欠き6を設けることによりこの切り欠き端部に温調ハンドル60の回動規制のための干渉部7を備えている。従来のロックボタンの組付構造70はこの温調ハンドル60内側に、温調ハンドル60の外周に穿設されたロックボタン用の挿通孔61からロックボタン72のボタン部71を突出して配設され、温調ハンドル60とともに温調ハンドルユニット62を構成している。ロックボタン72は合成樹脂製のボタン部71及びSUS製のピン73、ストッパー74、板ばね75、E型止め輪76の各部品から構成されており、これを温調ハンドル60の挿通孔61からボタン部71を突出させて温調ハンドル60外壁64の内側に取り付けている。
【0004】このように構成されたロックボタン72の温調ハンドル60への組付工程は以下の通りである。最初にボタン部71の基端部側の固定用孔77に、先端部外周をローレット加工したピン73を挿入固定し、このピン73を温調ハンドル60の外側から挿通孔61に挿通して温調ハンドル60の内部に突出させる。次に、上述した温調ハンドル60の内部空間において、ピン73の基端部側に、ストッパー74をその長手方向を温調ハンドル60の軸方向に向けて嵌挿し、さらに板ばね75をその長手方向を温調ハンドル60の周方向に向けて嵌挿しつつ板ばね75の長手方向両端部を温調ハンドル60内部の係止片(図示省略)に挿入する。そして最後にE型止め輪76をピン73に嵌着してロックボタン72が組み立てられるとともに、温調ハンドル60への組付工程も完了する。
【0005】そして、このように組み付けられたロックボタン72を備えた温調ハンドルユニット62は、以下のように作動させ得る。温調ハンドル60を所定の温度の範囲内で回動させる場合は、ストッパー74はカラーの干渉部と接することなく、その回動は所定範囲内において自由となっている。一方、所定の範囲以上に温調ハンドル60を回動しようとするとストッパー74がカラーの干渉部により干渉されて所定の範囲以上に温調ハンドル60が回動することを規制する。したがって、通常は所定の温度以上の混合水が吐出されることがない。所定の温度以上の高温の湯水を吐出しようとするときは、ロックボタン72を押し込むと板ばね75に抗してストッパー74が温調ハンドル60内壁から離脱し、カラーの干渉部により規制を受けない位置に移動する。このままの状態で温調ハンドル60をさらに回動させると所定の範囲以上に回動が可能となり、所望の高温度の湯水を得ることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記のような従来の温調ハンドルのロックボタンの組付構造では、その組付作業を、作業性の効率の悪い温調ハンドルの内側で行う必要があり、組付作業が非効率的であった。また、部品点数が多くなり製造コストが嵩むという問題を生じていた。
【0007】本発明の請求項1に記載の発明は、前記した従来技術の欠点を解決するものであり、ストッパー部を温調ハンドルの外側から挿通孔に挿入可能とすることにより、作業効率の良いハンドル外側においてロックボタンの組付作業が可能となり、組付作業を簡素化することができる温調ハンドルのロックボタンの組付構造を提供することを目的とする。また、請求項2に記載の発明は上記の目的に加えて、請求項1に記載の温調ハンドルのロックボタンの組付構造においてストッパー部をロックボタンと一体に設けることにより部品点数の削減を図り製造コストの低減を図ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成するために請求項1に記載の発明が採用した温調ハンドルのロックボタンの組付構造は、温調ハンドルの挿通孔から温調ハンドル外周に突出されると共に突出方向に付勢されたボタン部と、温調ハンドルの内側に配設されて水栓本体側に設けられた干渉部と干渉するストッパー部を備えた温調ハンドルのロックボタンの組付構造において、前記ストッパー部を前記挿通孔に温調ハンドルの外側から挿入可能としたことを特徴とするものである。これにより、ロックボタンをハンドルの外側から組付可能とすることができる。
【0009】尚、ストッパー部以外にも、ボタン部を付勢する付勢手段、挿通孔からボタン部が抜脱するのを防止する抜け防止手段などが温調ハンドルの内側に配設される場合には、これらの付勢手段や抜け防止手段なども温調ハンドルの外側から挿通孔に挿入可能とすることにより、ロックボタンを温調ハンドルの外側から組付可能とすることができる。一方、付勢手段や抜け防止手段などが温調ハンドルの外側に配設される場合には、当然、付勢手段や抜け防止手段などを温調ハンドルの外側から挿通孔に挿入する必要はない。
【0010】また、請求項2に記載の発明が採用した温調ハンドルのロックボタンの組付構造は、請求項1に記載の温調ハンドルのロックボタンの組付構造において、ボタン部とストッパー部とを一体に成形したことを特徴とするものである。これにより、部品点数の削減を図り製造コストを低減することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1に示すように温調ハンドル2と本発明の温調ハンドルのロックボタンの組付構造1により、温調ハンドルユニット3を構成している。
【0012】温調ハンドル2はその基端部を開口した略有底円筒形状に設けられ内部の中心軸8と外壁9の間に空間10を備えており、図3に示すように略円筒形状のカラー5が設けられたサーモスタット式機能を備えた混合栓(図示省略)に接続され、吐出される湯水の温度を調節する役割をなしている。また、温調ハンドル2の外周にはロックボタン用の挿通孔4が穿設されている。上記したカラー5にはその先端部に、その周方向に沿って所定の長さの切り欠き6を設けることによりこの切り欠き端部に温調ハンドル2の回動規制のための干渉部7を備えている。ロックボタンの組付構造1はこの温調ハンドル2内側に、温調ハンドル2の外周に穿設されたロックボタン用の挿通孔4からロックボタン20のボタン部21を突出して配設され、温調ハンドル2とともに温調ハンドルユニット3を構成している。
【0013】ロックボタン20は、ポリアセタール樹脂などの合成樹脂により一体に成形されており、ボタン部21、抜け防止部22、ストッパー部23を備えており、ボタン部21の基端側に連設された軸部26に設けられた円周溝25に、付勢手段としてコイルスプリング24が嵌着されてロックボタンの組付構造1を構成している。
【0014】ボタン部21は断面長円形状に設けられ、ロックボタン20ががたつきを起こさず押入動作がスムーズに行えるように挿通孔4内に摺動可能に略嵌合する断面形状に設けられている。そして後述するようにその先端側を挿通孔4から突出させて温調ハンドル2外側に組付られている。ボタン部21の基端側には、ボタン部21外径よりも小径の軸部26が連設され、上述したようにボタン部21と反対側に開口されたこの軸部26の円周溝25内に円周溝25から突出するようにコイルスプリング24が嵌着されており、一方このコイルスプリング24の先端部が温調ハンドル2の中心軸8に圧着されてロックボタン20を温調ハンドル2外側方向に付勢している。なお、本実施の形態では付勢手段としてコイルスプリング24を用いたが、これに限られるものではなく、挿通孔4から挿入可能な形状であれば、他の渦巻きばねや板ばね或いは他の弾性体たとえばゴムなどでもよい。
【0015】さらに軸部26の開口側寄り外周には、軸部26軸心からボタン部21外縁方向に向けて拡開しつつ突設された薄板状の抜け防止部22が設けられている。この抜け防止部22先端は温調ハンドル2の外壁9に設けられた挿通孔4よりも僅かに外側の位置まで延出されるように設けられており、この抜け防止部22が外壁9に当接して、付勢されるロックボタン20が温調ハンドル2外側に脱落することを防止している。一方、合成樹脂によりボタン部21等と一体に成形された抜け防止部22は、薄板状に設けられるとともに軸部26との接合部においてさらに肉厚を薄くして設けられており、これによりその先端側が軸部26の軸心方向に僅かに可撓可能に設けられている。また、軸部26には、一方の抜け防止部22のさらに開口側寄りに、緩やかな先細り形状のストッパー部23が軸部26の軸心方向と垂直に突設されている。そして、コイルスプリング24により付勢された状態で温調ハンドル2を回動するとこのストッパー部23が干渉される位置に干渉部7が位置するようにカラー5が水栓本体側に設けられている。なお、ストッパー部23の形状をボタン部21正面側から見て前後方向に薄く横方向に厚く設けることにより、後述するロックボタン20の組付時には前後方向に撓みやすく設けて挿通孔4からの組付を容易にするとともに、カラー5の干渉部7によりストッパー部23の横方向から干渉される際には容易に撓まず温調ハンドル2の回動規制を確実にすることができる。
【0016】このように構成されたロックボタン20の温調ハンドル2への組付工程は図2に示すように以下の通りである。軸部26の円周溝25にコイルスプリング24を嵌着する。次いでこの状態を保ったままロックボタン20及びコイルスプリング24を挿通孔4から温調ハンドル2内側に組み付ける。まず、ストッパー部23をその先端より温調ハンドル2内側に挿入する。そして次に軸部26及び抜け防止部22を挿入していく。この際に、抜け防止部22は上述したように挿通孔4よりも僅かに外側の位置まで延出して設けられているので、これを軸部26側に撓ませるようにして押し込む。抜け防止部22が設けられる軸部26はボタン部21より小径に設けられており、したがってまた、挿通孔4よりも小径に設けられており、抜け防止部22も薄板状に設けられているので、これから突設された抜け防止部22を軸部26方向に撓ませて挿通孔4の内径内に変位させることができる。このときコイルスプリング24先端は温調ハンドル2の中心軸8に圧着されロックボタン20を温調ハンドル2外側方向に付勢する。抜け防止部22が挿通孔4を通過すると、その先端が温調ハンドル2の内側において拡開するとともにコイルスプリング24により付勢されているために先端が外壁9に圧着される。ロックボタン20が温調ハンドル2外側に抜け落ちることを防止する。なお、温調ハンドル2内側に抜け防止部22が必要以上に拡開することを防止する手段、例えば係止片などを設けると拡開を確実に防止でき、ロックボタン20が抜け落ちることを確実に防止できるとともにロックボタン20を安定して温調ハンドル2に保持できる。
【0017】そして、このように組み付けられたロックボタン20を備えた温調ハンドルユニット3は、以下のように作動させ得る。温調ハンドル2を所定の温度の範囲内で回動させる場合は、ストッパー部23はカラー5の干渉部7と接することなく、その回動は所定範囲内において自由となっている。一方、所定の範囲以上に温調ハンドル2を回動しようとするとストッパー部23がカラー5の干渉部7により干渉されて所定の範囲以上に温調ハンドル2が回動することを規制する。したがって、通常は所定の温度以上の混合水が吐出されることがない。所定の温度以上の高温の湯水を吐出しようとするときは、ロックボタン20を押し込むとコイルスプリング24に抗してストッパー部23が温調ハンドル2外壁内側から離脱し、カラー5の干渉部7により規制を受けない位置に移動する。このままの状態で温調ハンドル2をさらに回動させると所定の範囲以上に回動が可能となり、所望の高温度の湯水を得ることができる。
【0018】本実施の形態は上記のように構成されているので、従来例の温調ハンドル60のように温調ハンドル60の内側にてロックボタンの組付工程を行う必要がない。また、ロックボタン20の各部を一体に成形しているので組付工程が簡素化でき、さらに部品点数の削減により製造コストを低減できる。
【0019】本発明は上記した実施の形態に限られない。図4はロックボタン31を付勢する手段として弾性部32をロックボタン31に一体に成形した別のロックボタンの組付構造30である。なお、その他の構成については上記した実施の形態と同様である。このロックボタン31の軸部33先端側に湾曲した弾性部32を突設している。この弾性部32が温調ハンドル2の中心軸8に圧着されることによりロックボタン31が温調ハンドル2外側方向に付勢される。本実施の形態では、付勢手段としての弾性部32がロックボタン31と一体に成形されているので、上記の実施の形態のようにコイルスプリング24をロックボタン20に嵌着させてこれを保持した状態で温調ハンドル2に押し込むという作業も必要ないので、ロックボタン31の組付がより簡素化できる。また、より部品点数の削減もでき製造コストの低減も図れる。
【0020】本発明は上記した実施の形態に限られるもではなく、例えば抜け防止部22を組付時に温調ハンドル2外側に位置する部位に設けるクリップなどで代用しても良い。また、ストッパー部23も上記した形状及び位置に設けられることに限られることはなく、カラー5の干渉部7に干渉可能な形状及び位置に設ければよい。
【0021】
【発明の効果】請求項1に記載の発明は上記のように構成されているので、作業効率の良いハンドル外側において組付作業が可能とすることができる。また、請求項2に記載の発明では、上記の効果に加えて、部品点数の削減を図り製造コストの低減を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000242378
【氏名又は名称】株式会社ケーブイケー
【出願日】 平成9年(1997)11月1日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】村山 信義
【公開番号】 特開平11−141730
【公開日】 平成11年(1999)5月28日
【出願番号】 特願平9−316364