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【発明の名称】 比例動作式電磁弁を制御駆動するための方法及び装置
【発明者】 【氏名】ディートマー・バウマン

【氏名】ハルディ・ハース

【氏名】クラウス−ディーター・ライムバハ

【要約】 【課題】比例動作式電磁弁を制御駆動するための方法及び装置において、温度に起因する弁の誤駆動が簡単且つ確実に防止できるようにする。

【解決手段】比例動作式電磁弁を制御して駆動するための方法及び装置において、電磁弁(1)を規定に従って動作させるために、関係の時点より前に必要であった制御を考慮に入れて電磁弁駆動が行われる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 比例動作式電磁弁を駆動するための方法において、前記電磁弁を規定に従って動作させるために、関係の時点より前に必要であった制御を考慮に入れて前記電磁弁の駆動が行われることを特徴とする比例動作式電磁弁を駆動するための方法。
【請求項2】 前記電磁弁の駆動が、駆動されるべき電磁弁の支配的な比率に適応した特性曲線を使用して行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】 前記電磁弁を規定に従って動作させるために、関係の時点より前に必要であった制御を考慮に入れて、前記特性曲線が、支配的な比率に適応させられることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】 前記特性曲線が、支配的な比率の推定を考慮に入れてこれに適応させられることを特徴とする請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】 比例動作式電磁弁を制御して駆動するための装置において、前記電磁弁を規定に従って動作させるために、関係の時点より前に必要であった制御を考慮に入れて前記電磁弁を駆動するように設計されている制御回路(3)を含むことを特徴とする比例動作式電磁弁を駆動するための装置。
【請求項6】 制御回路(3)がパイロット方式ユニット(31)及び制御ユニット(32)を含んでいて、前記パイロット方式ユニットにより支配的な比率に依存した動作点が調整され、この動作点のまわりに前記制御ユニットにより線形制御が実施可能であることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】 パイロット方式ユニット(31)が、変化する弁特性曲線を考慮に入れて動作するように設計されていることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】 パイロット方式ユニット(31)により使用される弁特性曲線を支配的な比率に適応させるように設計されている特性曲線適応ユニット(33)を含むことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】 前記支配的な比率が、制御の積分部分から制御ユニット(32)により決定されることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】 前記支配的な比率が、推定により決定されることを特徴とする請求項7又は8に記載の装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、比例動作式電磁弁を制御駆動するための方法及び装置に関する。
【0002】上記の電磁弁は例えば、自動車のABSR油圧ユニットにおいて圧力調整のために組み込まれた2/2弁座弁であり得る。
【0003】2/2弁座弁は、二つの入口及び/又は出口と二つの切換位置を備えた弁であって、入口又は出口は一方の(開いた)切換位置においては互いに接続され、又他方の(閉じた)切換位置においては互いに分離されている。ここでは特に、単安定の弁、すなわち、流れのない状態においては開いているか又は閉じているような弁に関連して説明する。
【0004】
【従来の技術】電磁弁の開閉は、その名称が既に示唆しているように、弁に準備された(電)磁石の付勢又は消勢によって行われる。電磁石の付勢及び消勢、より詳しく言えば、そのコイルへの電流供給は、運動、具体的には、弁の閉鎖機構と接続していて、これにより弁を一緒に動かす接極子の吸引又は釈放、を結果として伴う。
【0005】この種の弁は、本来両方の切換位置の間において「だけ」相互に切り換えられるように設計されていたが、最近では比例的にも作動する。すなわち、この種の弁は、閉鎖機構が切換位置間の中間位置をとるように作動し、又は急速に連続して等しい時間若しくは異なった時間開閉され、従ってこの場合には閉鎖機構の固定中間位置に対応した状態が調整される。
【0006】このような弁駆動の可能な応用は、(例えば既に述べたABSR油圧ユニットにおける)弁についての規定された差圧力の調整である。しかしながら、前述の弁の動的特性は著しく非線形であるので、これは具体化がかなり困難である。
【0007】既述の弁を用いた圧力調整のための従来展開された制御の構想は、パイロット方式による線形圧力制御に基づいており、この場合パイロット方式によって差圧動作点が調整され、その付近で制御が行われる。
【0008】このような制御の基本的な構成は図3に具体的に示されている。
【0009】図3の配列に従って駆動可能な弁が参照符号1で示されており、弁を駆動すべき制御回路は参照符号2で示されている。制御回路2は、パイロット方式ユニット21及び制御ユニット22からなっている。
【0010】パイロット方式ユニット21には弁特性曲線が記憶されている。それによって、パイロット方式ユニット21は弁により調整されるべき目標差圧(Δpsoll)と無関係に信号を発生する状態にある。従って、弁1は通常の場合、事実上この弁により調整される実際差圧(Δpist)が目標差圧に一致するか又は少なくともその付近に近づくように駆動される。目標差圧と実際差圧との間の存在する偏差は制御ユニット22によって補償可能である。制御ユニット22は、目標差圧Δpsollと実際差圧Δpistとの間の差に基づいて制御信号を発生し、この制御信号はパイロット方式ユニット21により発生された制御信号に加算される。
【0011】弁1により調整される実際差圧はパイロット方式ユニット21によってだけでも既に少なくとも目標差圧の付近に近づいているので、制御ユニット22は、線形に動作する制御ユニットで比較的簡単に構成することができ、線形制御を行うことのできる動作点は、そのまわりでパイロット方式ユニット21によってほとんど調整される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】経験によると、制御回路2は、その見掛け上良好な弁駆動に対する適性にもかかわらず時どき、実際差圧を迅速に、精確に且つ継続的に目標差圧へ近づける状態にないことがある。その原因は特に弁特性曲線の温度への強い依存性にある。
【0013】弁1の電磁石のコイルにおける温度の上昇と共に−そのほかには変化しない諸条件において−コイルを通って流れる電流が減小し、これによって弁の閉鎖機構に作用する力も減小し、閉鎖機構はより大きい圧力差にもはや耐えることができなくなる。
【0014】この動作はある範囲まで制御ユニット22によって補償することができる。しかし、温度変化がより大きい場合には、このような動作を除去するための特別な諸手段を必要とする。
【0015】温度変化によって引き起こされた動作は、カスケード電流制御を行うことによって補償できる。その場合、弁1と制御回路2との間には(図3に示されていない)電流制御回路が挿入され、この制御回路は、弁を通って流れる(実際)電流をその時時の目標値に制御するように機能する。
【0016】それによって、弁1は温度に依存しないで規定に従って動作可能である。しかしながら、他方ではカスケード電流制御の準備は相当な技術的費用を前提とする。これは特に、弁を通って流れる実際電流を検出する場合に当てはまる(検定された精密抵抗において調整される電圧降下からの換算、かなり頻繁な測定装置の調整など)。
【0017】従って、この発明の課題は、比例動作式電磁弁を制御駆動するための装置を更に、温度に起因する弁の誤駆動が簡単な方法で確実に防止可能であるように構成することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】この発明における比例動作式電磁弁を制御駆動するための方法及び装置によれば、電磁弁を規定に従って動作させるために、関係の時点より前に必要であった制御を考慮して電磁弁駆動が行われる。或いは電磁弁を規定に従って動作させるために、関係の時点より前に必要であった制御を考慮して電磁弁駆動を実施するように設計されている制御回路が準備されている。
【0019】
【発明の実施の形態】最初に言及した2/2弁座弁である電磁弁の駆動について、以下詳細に説明する。しかしながら、この発明の適用は、このような電磁弁の駆動に限定されるものではない。この発明は、基本的にはあらゆる種類の比例動作式電磁弁において組込み可能である。
【0020】ここで例示される弁においては、所定の差圧が調整されるように駆動されるべきである。しかしながら、これに関して制限はない。この発明はまた、駆動により一定の目標値へ近づけられるべきである、弁により調整される圧力差とは別の任意の大きさのものが存在する場合にも組込み可能である。
【0021】既述の弁駆動によって弁のコイルの温度に対する依存性が考慮される。基本的には次に記述される方法で弁駆動は又任意の別の状況に適応させられることができる。
【0022】前述の弁を駆動するために、この発明による制御回路の可能な実施の形態は図1に具体的に示されている。駆動されるべき弁は、この図では(図3における弁1との一致のために)参照符号1で、またこの弁を駆動する制御回路は参照符号3で示されている。
【0023】制御回路3は、パイロット方式ユニット31、制御ユニット32及び特性曲線適応ユニット33からなっている。
【0024】パイロット方式ユニット31は、実質上図3におけるパイロット方式ユニット21に対応している。ここでもまた、弁1の駆動のためにいかなる制御信号が発生されるかを考慮に入れて弁特性曲線が記憶されている。もちろん、弁特性曲線は、固定的に記憶されているのではなく、(動作中でさえも)特性曲線適応ユニット33によって若しくはこれの指示に基づいて変更可能であり、又は任意の別の弁特性曲線と交換可能である。パイロット方式ユニット31により発生される制御信号は、弁1により調整される実際差圧(Δpist)が所定の目標差圧(Δpsoll)に一致するか又は少なくともこれに比較的近づくように発生される。
【0025】目標差圧と実際差圧との間の存在する偏差は制御ユニット32によって補償可能である。制御ユニット32は、目標差圧ΔpSollと実際差圧Δpistとの間の差に基づいて制御信号を発生し、この制御信号は、パイロット方式ユニット31により発生された制御信号に加算される。
【0026】制御回路3は、既に上に述べられたように、弁1により調整される実際差圧が専ら弁駆動のためにパイロット方式ユニット31により発生された制御信号の使用の下だけで目標差圧に一致するか又はこれの近くに接近するように設計されている。しかしながら、弁特性曲線は弁のコイルの温度に強く依存しているので、希求された弁駆動が常に達成可能とはかぎらない。
【0027】これを回避するために、図1に示された実施例においては特性曲線適応ユニット33が準備されている。特性曲線適応ユニット33は制御ユニット32から送られたデータを受け取るが、このデータは制御ユニット32による制御の積分部分(I部分)を表している。このI部分は、特性曲線適応ユニットによって、パイロット方式ユニット31に記憶された弁特性曲線をその変化する状態に適応させるために使用される。制御ユニット32のI部分と弁特性曲線適応との間の関係は、特性曲線適応ユニット33に予め設定されていなければならない。それは、経験的に決定され又は(近似的に)理論的考察から導出されることが可能であり、特性曲線適応ユニット33に表、特性図又は換算式の形で記憶されている。
【0028】特性曲線適応ユニット33の設置並びにその構成、機能及び動作方法の基礎には、それが正確に制御ユニット32による制御のI部分であって、これが温度の影響により引き起こされた特性曲線の変化を補償するという認識がある。
【0029】パイロット方式ユニット31に記憶された弁特性曲線の適応のためにこのI部分を使用することによって、弁1により調整される実際差圧が、パイロット方式ユニット31だけによって、特にその時時の温度に無関係に、目標差圧と一致し又は少なくともそれに非常に接近することが達成され得る。
【0030】このように、一般に、制御回路31は実際差圧と目標差圧との間のおそらく比較的小さい差を補償しなければならない。それゆえに、線形で動作する、従って比較的簡単に構成される制御ユニット32が組み込まれ得るが、無論任意の他の制御ユニットも使用できる。
【0031】定常的な制御誤差(例えば温度に起因する弁特性曲線変化に基づいた誤差)を補償することが問題になっていないか又はほとんど問題にならない場合には、制御ユニット32による制御のI部分の代わりに又はこれに加えて、制御の任意の別の部分(D部分、P部分、・・・)を特性曲線適応のために考慮することが適切であるかもしれない。また、特性曲線適応ユニット33によって適応させられるのが絶対に特性曲線である必要はない。適応を受けさせられ得る、弁駆動のために重要なパラメータ及び関係はむしろ任意である。
【0032】少なくとも時間的には付加的に又は代替的に温度推移の推定又はこの推定に基づいた特性曲線適応を実施することができる。これは、例えば、しかし疑いもなく非排他的に、弁の動作の際図2に具体的に示されたように、付勢相Aがより長い消勢相即ち合間の休止Pと交番する場合に有利であることが示される。即ち、その場合付勢相Aの期間中は上に記述された特性曲線適応が実施され、また休止Pの期間中は温度推移の推定に基づいた特性曲線適応が実施され得る。
【0033】温度推移の推定の際には、その時時の休止Pの期間中にどの程度弁の温度が冷却するかが推定される。
【0034】弁が休止Pの期間後に再び付勢状態に置かれたならば、パイロット方式ユニット31はそれぞれの付勢相Aの開始から、推定上支配的な比率に適応している弁特性曲線に戻ってやり直す。その時時の付勢相の開始から、圧力差制御が最適に所与の比率に適応して動作する時点までの時間はそれによって最小限に減小され得る。
【0035】推定されるべき弁温度は、特に、冷却が行われる開始温度、周囲温度及び冷却持続時間に依存している。弁の温度と既述の諸パラメータとの間の関係は経験的に決定されるか又は近似的に理論的考察を根拠として計算されて、特性曲線適応ユニット33に表、特性曲線又は計算式の形で記憶される。
【0036】開始温度は、その時時の付勢相Aの終わりにおける温度であり、パイロット方式ユニットがこの時点で動作している適応させられた弁特性曲線から決定され得る。
【0037】前述の説明から明らかなように、特性曲線適応ユニット33においては、割当及び/又は計算「だけ」が実施される必要があり、従って特性曲線適応ユニットはソフトウェアにより、それゆえ最小限の技術的費用で実現されることができる。
【0038】それとは無関係に特性曲線適応ユニット33の実際の実現化は従来特性曲線適応の代わりに使用されたカスケード電流制御の実際の実現化よりも著しく簡単に形成される。
【0039】この発明による方法及びこの発明による装置によって、時間的に変化する比率により弁の引き起こされた弁の誤駆動は簡単な方法で確実に回避することが可能である。
【0040】
【発明の効果】この発明で提案された手段の基礎には、電磁弁において調整される実際値を所定の目標値に近づけるために必要である制御に基づいて、弁はそれに支配的である比率で閉じられ得るという認識がある。
【0041】これによって、その影響を除去することが必要とされるパラメータの決定のための付加的なセンサ及び測定装置を使用せずに電磁弁の適応駆動が実施され得る。
【0042】前述の適応は、例えば、弁駆動(オンライン)中に行われる特性曲線の適合又はそれに基づいた動作点の移動にあり、その種類及び範囲はその時時に弁において支配的である比率に依存している。
【0043】そのような動作点の移動は、実際値と目標値との間で調整される差が−そもそも存在する限り−弁において支配的である比率に実質上無関係に常にただ比較的小さく、従って比較的簡単に構成された(線形に動作する)制御ユニットによって迅速に完全に消滅させられ得るという利点をもたらす。
【0044】従来の技術で組み込まれたカスケード電流制御はもはや必要としない。
【0045】それゆえに、この発明によれば、時間的に変化する弁における比により、弁の条件付き誤駆動を簡単な方法で確実に防止することができる方法及び装置が提供された。
【出願人】 【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【出願日】 平成10年(1998)6月30日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】社本 一夫 (外4名)
【公開番号】 特開平11−141723
【公開日】 平成11年(1999)5月28日
【出願番号】 特願平10−184621