| 【発明の名称】 |
電磁弁 |
| 【発明者】 |
【氏名】古牧 久司
【氏名】高木 則行
【氏名】山▲崎▼ 保
【氏名】中西 輝雄
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| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 流体通路の上流側と下流側とを連通する弁座を開閉する主弁に貫設された、この主弁が収容されるチャンバと前記流体通路の下流側とを連通するパイロット通路を、ソレノイドのプランジャに形成されたニードル弁により開閉し、前記チャンバと前記流体通路の上流側及び前記流体通路の下流側との圧力差により前記主弁による前記弁座の開閉を行う電磁弁において、前記主弁に形成され、該主弁により前記弁座が閉じた状態で前記流体通路の上流側と前記チャンバとを連通する補助通路を備え、前記パイロット通路は、前記チャンバ側から前記パイロット通路内への流体の流入方向に沿って内周壁が延在するように、互いの内径が異なる少なくとも2つのパイロット通路部分を、前記チャンバから前記流体通路の下流側に向かうにつれて内径が次第に大きくなるように直列に配列して構成されている、ことを特徴とする電磁弁。 【請求項2】 前記パイロット通路は、隣り合う2つの前記パイロット通路部分の間に介設された、これら2つのパイロット通路部分の内径差に応じた傾斜のテーパ部をさらに備えて構成されている請求項1記載の電磁弁。 【請求項3】 前記補助通路は、前記主弁の両端面間に亘って該主弁の外周面に形成された切欠により構成されている請求項1又は2記載の電磁弁。 【請求項4】 前記主弁の外周面であって該主弁の周方向に等しい間隔をおいた複数の前記外周面箇所に前記切欠が各々形成されている請求項3記載の電磁弁。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、車両の冷房装置における冷媒回路等に介設される電磁弁に関するものである。 【0002】 【従来の技術】例えば、車両の冷房装置においては一般に、冷媒回路の凝縮器及びレシーバから蒸発器への冷媒の供給量を調整する温度膨張弁等の絞り弁と、この絞り弁よりも凝縮器及びレシーバ側において冷媒回路を開閉する電磁弁とが冷媒回路中に介設されており、冷房温度の設定に応じて、或は、被冷房空間において実際に測定した温度に応じて、絞り弁を開閉させると共に、冷房装置のオンオフに応じて電磁弁を開閉させるようにしている。 【0003】図6は従来のパイロット弁方式の電磁弁を示す断面図であり、図6中引用符号100で示す電磁弁は、凝縮器及びレシーバ(いずれも図示せず)側、つまり、一次側(流体通路の上流側に相当)に接続されて液冷媒(図示せず)が流入する流入口101Aと、蒸発器側、つまり、二次側(流体通路の下流側に相当)に接続されて前記液冷媒が流出する流出口101Bと、この流出口101Bに連通して形成された弁座103と、前記流入口101Aに連通して形成されその内部に前記弁座103が開口された弁室108とを有している。 【0004】そして、この電磁弁100においては、ソレノイド107に通電すると、プランジャ106に形成されたニードル弁104が主弁102に形成されたパイロット通路105を開き、これに伴って、図7に要部拡大図で示すように、チャンバ108と主弁102との間に両者の径の差により形成される環状の僅かな隙間sを介して流入口101A側に連通しているチャンバ108の圧力と、流出口101B側との圧力差が減少して、チャンバ108内の主弁102がプランジャ106側に移動し弁座103を開く。 【0005】尚、パイロット通路105のニードル弁104が接離する弁ポートを構成する入口部分は、ニードル弁104による弁閉を確実にするために、内径の寸法精度を高くしなければならないが、主弁102の全長に亘って精度よく貫通孔を形成するのは製作上非常に手間がかかる。 【0006】このため、実際には、弁座103側から適当な内径である程度の長さに亘って座ぐっておき、チャンバ108側の僅かな部分だけ高精度の内径寸法で孔をあけることでパイロット通路105が形成され、この結果、パイロット通路105の入口部分は他のパイロット通路105部分に比べて細径に形成されている。 【0007】そして、上述した電磁弁100では、主弁102を僅かに弁座103から離れる方向に付勢する主弁バネ110を主弁102の弁座103側に配設することで、一般的な電磁弁に対する要求である、流入口101A側と流出口101B側との圧力差が僅かであっても、ソレノイド107への通電に伴うパイロット通路105の弁開によって主弁102が弁座103を素早く確実に開く、という課題を解決している。 【0008】つまり、図6に示す電磁弁100に限らず、従来のパイロット弁方式の電磁弁においては、パイロット弁が開くと、一次側と二次側との圧力差が僅かであっても敏感に反応して主弁が弁座から素早く離間して弁座を開くように設計されていた。 【0009】ところで、一般に電磁弁ついては、開閉動作に伴い騒音が発生すると使用者に不快感を与えることとなるので、静音性には十分配慮する必要がある。 【0010】そこで、上述した従来の電磁弁100においては、静音性を確保するために、図6に示すように、吸引子109とプランジャ106との間にゴム等の材質よりなる緩衝材料112を取り付けて、ソレノイド107の通電に伴い移動するプランジャ106が吸引子109と衝突する際の衝撃を緩和している。 【0011】ところで、冷媒回路の分野では、上述したプランジャ106と吸引子109との衝突により発生する騒音の他に、電磁弁100を開くことで発生する凝縮器及びレシーバ側から蒸発器側に向かう液冷媒の流れが、絞り弁において遮断され又は絞られて、一般にウォーターハンマ現象による騒音が発生することが知られている。 【0012】即ち、ソレノイド107の通電に伴いプランジャ106が吸引子109に吸引されて、ニードル弁104がパイロット通路105を開くと、プランジャ106の移動に追従して主弁102が弁座103を開き、これに伴って、流入口101A側から流出口101B側に流入した液冷媒の流れが、流出口101B側に接続された膨張弁(図示せず)において遮断され又は絞られて、流入口101A側と流出口101Bとの圧力が一時的に、元の流入口101A側の圧力を上回る圧力まで一気に上昇し、ウォーターハンマ現象が起こって騒音が発生してしまう。 【0013】このように、上述した従来技術は、ソレノイドのプランジャと吸引子との衝突という構造的な要因による騒音の発生に対処することを目的とした電磁弁であるため、そのような構造的要因による騒音の発生は防止できても、上述した弁開時や弁閉時の冷媒回路中での圧力変動に伴うウォーターハンマ現象の発生には何ら対処することができないという不具合があった。 【0014】上述したウォーターハンマ現象を解消するには、例えば図6の電磁弁100の場合、流入口101A側に連通するチャンバ108と流出口101B側との圧力差を小さくして主弁102をゆっくり弁開させ、これにより、流出口101B側に接続された不図示の膨張弁において急激な圧力変動が生じないようにすればよい。 【0015】 【発明が解決しようとする課題】ところで、一般に図6のようなパイロット弁方式の電磁弁100においては、パイロット通路105の弁開に伴って、チャンバ108から細径部分を通過してパイロット通路105に流入する液冷媒が、所謂レイノルズ効果によりパイロット通路105の内周壁に吸い寄せられて衝突し、これが主弁102に振動を起こさせる要因となることが知られている。 【0016】このレイノルズ効果による主弁102の振動は、先に説明したように、主弁バネ110を用いてでも一次側と二次側との圧力差の大小に拘わらず、主弁102を弁座103から素早く離間させるように設計された従来の電磁弁100においては、主弁102の移動する勢いが大きいため問題とならなかった。 【0017】しかし、ウォーターハンマ現象の解消のために主弁102が弁座103から離れる速度を低くするとなると、主弁102の移動する勢いでレイノルズ効果による主弁102の振動を抑制することができなくなり、その結果、主弁102が安定した姿勢ではなくふらつきながら弁開するようになり、主弁102がチャンバ108の内壁等に接触してこじれ、円滑に主弁102を弁開動作させることができなくなってしまう。 【0018】本発明は前記事情に鑑みなされたもので、本発明の目的は、冷媒回路における相互間に大きな圧力差がある箇所に介設して動作させても、急激な圧力変動により騒音の元となるウォーターハンマ現象が起こるのを抑制又は防止しつつ、主弁を円滑に弁開させることができる電磁弁を提供することにある。 【0019】 【課題を解決するための手段】前記第1の目的を達成するため請求項1に記載した本発明の電磁弁は、流体通路の上流側と下流側とを連通する弁座を開閉する主弁に貫設された、この主弁が収容されるチャンバと前記流体通路の下流側とを連通するパイロット通路を、ソレノイドのプランジャに形成されたニードル弁により開閉し、前記チャンバと前記流体通路の上流側及び前記流体通路の下流側との圧力差により前記主弁による前記弁座の開閉を行う電磁弁において、前記主弁に形成され、該主弁により前記弁座が閉じた状態で前記流体通路の上流側と前記チャンバとを連通する補助通路を備え、前記パイロット通路は、前記チャンバ側から前記パイロット通路内への流体の流入方向に沿って内周壁が延在するように、互いの内径が異なる少なくとも2つのパイロット通路部分を、前記チャンバから前記流体通路の下流側に向かうにつれて内径が次第に大きくなるように直列に配列して構成されていることを特徴とする。 【0020】また、請求項2に記載した本発明の電磁弁は、前記パイロット通路が、隣り合う2つの前記パイロット通路部分の間に介設された、これら2つのパイロット通路部分の内径差に応じた傾斜のテーパ部をさらに備えて構成されているものとした。 【0021】さらに、請求項3に記載した本発明の電磁弁は、前記補助通路が、前記主弁の両端面間に亘って該主弁の外周面に形成された切欠により構成されているものとした。 【0022】また、請求項4に記載した本発明の電磁弁は、前記主弁の外周面であって該主弁の周方向に等しい間隔をおいた複数の前記外周面箇所に前記切欠が各々形成されているものとした。 【0023】請求項1に記載した本発明の電磁弁によれば、ソレノイドの通電によりプランジャが吸引されてニードル弁がパイロット通路を開いた後に、パイロット通路を介して流体通路の下流側に流体が流入することでチャンバの圧力が低下する度合いが、主弁の補助通路により流体通路の上流側と連通しているチャンバに流体通路の上流側から流体が流入する分だけ鈍る。 【0024】すると、チャンバ内の圧力低下が鈍った分だけ、主弁に対して弁座に接近させる方向に押し付ける力となって作用するチャンバの圧力が高まり、また、流体通路の下流側の圧力がチャンバ内の圧力を下回る度合いが増して、弁座に対して主弁が吸着される力が増加するので、パイロット通路の弁開時における、主弁が弁座から離れてこの弁座を開く速度が、主弁に補助通路がない場合に比べて遅くなる。 【0025】その一方で、主弁に補助通路を形成してパイロット通路の弁開時に流体通路の上流側からチャンバに流入する流体を増やすと、その分だけ、開いたパイロット通路にチャンバ内から流入する流体の流れが強くなることになるが、パイロット通路の内周壁が、互いの内径が異なる少なくとも2つのパイロット通路部分により、チャンバ内から流入する流体の流れに沿って延在するように構成されることから、このパイロット通路に流入する流体の流れが強くなっても、流体がパイロット通路の内周壁に当たって主弁をガタ付かせることがなくなる。 【0026】従って、主弁に補助通路を形成したことによりパイロットポートの弁開時に主弁の弁開速度が遅くなったとしても、チャンバ内からパイロット通路に流入する流体の流れによる主弁のガタ付きにより、チャンバの内壁等に接触して主弁がこじれることがなく、これにより、主弁の低速度での円滑な弁開動作を実現し、ウォーターハンマ現象の発生を確実に抑制又は防止することが可能となる。 【0027】また、請求項2に記載した本発明の電磁弁によれば、隣り合う2つのパイロット通路部分に跨って流体がパイロット通路内を流れる際、これら2つのパイロット通路部分の間に、2つのパイロット通路部分の内径差に応じた傾斜のテーパ部がないと、パイロット通路の内周壁を全体的には、チャンバ内から流入する流体の流れに沿って延在させたとしても、2つのパイロット通路部分の間には、それらの内径差により段差が画成されて、その存在により、チャンバから流入してパイロット通路内を流れる流体に乱流が発生し、この乱流により主弁がチャンバ内でガタ付いて、主弁の低速度での円滑な弁開動作の妨げとなってしまう。 【0028】しかし、請求項2に記載した本発明の電磁弁のように、隣り合う2つのパイロット通路部分間に、これら2つのパイロット通路部分の内径差に応じた傾斜のテーパ部を介設することで、チャンバから流入してパイロット通路内を流れる流体が、隣り合う2つのパイロット通路部分を通過する際にこの通路部分の内周壁に当たって乱流を生じることがなく、よって、主弁がチャンバ内でガタ付き、主弁の低速度での円滑な弁開動作の妨げとなるのを、より一層確実に防止することが可能となる。 【0029】さらに、請求項3に記載した本発明の電磁弁によれば、主弁の外周面の切欠により補助通路が構成されることから、パイロット通路のように主弁に補助通路を貫設するのに比べて、主弁に対する補助通路の形成作業を容易にすることが可能となる。 【0030】また、請求項4に記載した本発明の電磁弁によれば、補助通路を構成する切欠が主弁の周方向に等しい間隔をおいた複数の外周面箇所に各々形成されていることから、流体通路の上流側から補助通路を経てチャンバに向かう流体の流れが、主弁の周方向において均等に分散されて偏ることがない。 【0031】従って、主弁の外周側を流体が偏って流れることにより主弁を傾ける力が流体から主弁にかかって、主弁の低速度での円滑な弁開動作の妨げとなるのを防止することが可能となる。 【0032】 【発明の実施の形態】次に、本発明の電磁弁の実施形態について図面を参照して説明する。 【0033】図1は本発明の第1実施形態に係る電磁弁の断面図で、図1中引用符号1で示す第1実施形態の電磁弁は、本体部3、ソレノイド5、これら本体部3とソレノイド5とを連結する連結部7、並びに、主弁9を備えている。 【0034】前記本体部3は、凝縮器及びレシーバ(いずれも図示せず)側、つまり、一次側(流体通路の上流側に相当)に接続されて液冷媒(図示せず)が流入する流入口31と、蒸発器側、つまり、二次側(流体通路の下流側に相当)に接続されて前記液冷媒が流出する流出口33と、この流出口33に連通して形成された弁座35と、前記流入口31に連通して形成されその内部に前記弁座35が開口された弁室37とを有している。 【0035】前記流入口31及び流出口33は略一直線上に配置されていて、流出口33の流入口31寄り部分が略L字状に折曲されており、この折曲された流出口33部分の終端に前記弁座35が形成され、この弁座35を囲み弁座35と同心円上に位置するように、前記弁室37が略円筒状に形成されていて、弁室37の内周には、前記連結部7の取付用の雌ねじ部37aが形成されている。 【0036】前記ソレノイド5は、固定鉄心を構成する吸引子51と、この吸引子51の回りに巻回されたコイル53と、前記吸引子51と同軸上に位置するようにコイル53内に挿通されたプランジャ55とを有しており、前記吸引子51のプランジャ55側の端面には、深くなるにつれて径が若干小さくなる略円錐台状の凹部51aが形成されていて、この凹部51a内に、中心に突起51bを有する円板状の弾性体からなる緩衝部材51cが収容されている。 【0037】前記プランジャ55は、前記吸引子51と略等しい外径の円柱状を呈しており、プランジャ55の一端には、緩衝部材51cの突起51bが挿入可能な内径で凹部55aが形成されていて、この凹部55aにプランジャバネ55bを収容した状態で、凹部55aからプランジャ55の外方に突出するプランジャバネ55bの先端に、緩衝部材51cの突起51bが嵌合されており、プランジャ55の他端の略中心には、円錐状のニードル弁55cが突設されている。 【0038】尚、図1中引用符号57はプランジャチューブを示し、このプランジャチューブ57は、プランジャ55側の吸引子51部分とプランジャ55とが挿通可能な内径の円筒状の薄板により形成されている。 【0039】前記連結部7は、略円筒状を呈しており、連結部7の内部には、内径が大径から小径に変わる段差部71が形成されていて、この段差部71よりも小径側の部分は、プランジャチューブ57の外径に対応する内径で形成されており、段差部71に対応する連結部7の外周部分には環状のフランジ73が形成されている。 【0040】そして、前記段差部71よりも大径側の連結部7部分の外周には、本体部3の弁室37に形成された雌ねじ部37aに螺着可能な雄ねじ部75が形成されており、この雄ねじ部75を本体部3の雌ねじ部37aに螺着した状態で弁室37に連通するチャンバ77が、連結部7の内部で段差部71よりも大径側の部分によって構成されている。 【0041】前記主弁9は、図2に弁部分の要部拡大断面図で示すように、前記連結部7のチャンバ77の内径よりも僅かに小さい外径の円筒状に形成されていて、主弁9の中心軸上には、プランジャ55のニードル弁55cにより開閉されるパイロット通路91が貫設されており、本体部3の雌ねじ部37aに連結部7の雄ねじ部75を螺着した状態で、主弁9がチャンバ77の内部を段差部71に対して接近離間する方向に移動できるように構成されている。 【0042】また、前記主弁9は、図1に示すように、外径が次第に変わる略円錐台状を呈する主弁バネ93と共に本体部3の弁室37に収容され、本体部3の雌ねじ部37aに連結部7の雄ねじ部75を螺着した状態で、主弁バネ93の小径側が主弁9の一端に当接すると共に大径側が弁室37の底面に当接し、この主弁バネ93により主弁9は、弁座35から離間してこれを開く方向に、極めて僅かな力で付勢されている。 【0043】そして、第1実施形態の電磁弁1では、図3に拡大平面図で示すように、主弁9の周方向に180゜位相をずらした外周面部分に、主弁9の両端面に亘って平らに削った切欠95を有しており、この切欠95により、図3中想像線で示すチャンバ77の内周壁との間に、切欠95以外の主弁9の外周面部分とチャンバ77の内周壁との間に画成される僅かな間隙Sよりも大きな間隙Pが形成されるように構成されている。 【0044】しかも、第1実施形態の電磁弁1では、パイロット通路91が、ニードル弁55cの接離する弁ポートを構成する入口寄りの細径部91aに連ねて、チャンバ77側から弁座35側に向かうにつれて次第に内径が大きくなる2つの部分、即ち、チャンバ77側から順に小径部91b及び大径部91cを有しており、これらが直列に配置されている。 【0045】そして、細径部91aと小径部91bとの間、及び、小径部91bと大径部91cとの間には、それぞれの内径差に応じた傾斜のテーパ部91d,91eを各々介設されており、上述した小径部91b及び大径部91cと、これらの間のテーパ部91eとにより、パイロット通路91が構成されている。 【0046】尚、細径部91aの内径(直径)をAとした場合、例えば、パイロット通路91の小径部91bの内径は1.1〜2.2A、大径部91cの内径は2.5〜3.6A、パイロット通路91の延在方向における細径部91aの寸法は1〜2.2A、小径部91bの寸法は1.4〜3A、大径部91cの寸法は1〜2.2Aの範囲に各々設定することができる。 【0047】そして、第1実施形態では、前記小径部91b及び大径部91cが、請求項中のパイロット通路部分に各々相当しており、これら小径部91bと大径部91cとの間に介設したテーパ部91eが、請求項中のテーパ部に相当している。 【0048】次に、上述した構成による第1実施形態の電磁弁1の動作(作用)について説明する。 【0049】まず、上述したソレノイド5のコイル53に全く通電していない電磁弁1の弁閉状態では、プランジャバネ55bの弾発力によりプランジャ55の一端が吸引子51から離間して弁座35側に押し出され、これにより、プランジャ55のニードル弁55cが主弁9の細径部91aに押し付けられて、パイロット通路91がニードル弁55cにより全閉されると共に、プランジャ55の他端から主弁9を介して押された主弁バネ93が収縮して、主弁9が弁座35に押し当てられてこの弁座35が閉じられた、図1に示す状態となる。 【0050】この弁座35が主弁9により閉じられた状態では、主弁9とチャンバ77との僅かな間隙Sや大きな間隙Pを通って、流入口31側の液冷媒がチャンバ77に流入し、これにより、チャンバ77内の液冷媒の圧力は、流入口31側、つまり、凝縮器及びレシーバ側と同じ圧力となり、弁座35に連通する流出口33、つまり、蒸発器側より高くなる。 【0051】ここで、ソレノイド5のコイル53に通電して電磁弁1を弁開状態とすると、吸引子51に磁力が生じてプランジャ55の一端がプランジャバネ55bの弾発力に抗して吸引子51に吸引され、これに伴ってニードル弁55cが主弁9の細径部91aから離間してパイロット通路91が開き、チャンバ77内の液冷媒がパイロット通路91に流入し弁座35から流出口33側に流出する。 【0052】すると、チャンバ77内の液冷媒の圧力が低下して、その結果、主弁9を弁座35側に押し付ける力として作用するチャンバ77内の液冷媒の圧力が、弁座35から主弁9を離間させる力として作用する、主弁9の弁座35側に位置する端面の外周縁寄り部分にかかる流入口31の液冷媒の圧力よりも減少して、主弁9が弁座35から離間してこの弁座35を開いて行く。 【0053】この主弁9が弁座35を開く際に、主弁9とチャンバ77との僅かな間隙Sを通ってチャンバ77に流入する流入口31側の液冷媒に加えて、主弁9の切欠95とチャンバ77との大きな間隙Pを通って、流入口31側の液冷媒がチャンバ77に流入することにより、パイロット通路91を通ってチャンバ77内の液冷媒が流出口33側に流出することによってチャンバ77内の液冷媒の圧力が低下する度合いが、主弁9に切欠95がない場合に比べて低下する。 【0054】従って、主弁9の弁座35側に位置する端面の外周縁寄り部分にかかる流入口31の液冷媒の圧力よりも、主弁9を弁座35側に押し付ける力として作用するチャンバ77内の液冷媒の圧力が減少する度合いが、主弁9に切欠95がない場合に比べて低下し、その結果、主弁9が弁座35から離間する速度が減少する。 【0055】よって、主弁9が開いた弁座35を経由し流入口31側から流出口33側にチャンバ77を通らず直接流入する液冷媒の量が、主弁9が弁座35から離間する速度の減少分だけ、主弁9に切欠95がない場合に比べて少なくなり、これにより、流出口33側に接続された不図示の膨張弁における液冷媒の圧力上昇の度合いが緩やかになる。 【0056】しかも、第1実施形態の電磁弁1では、主弁9とチャンバ77との僅かな間隙Sを通ってチャンバ77に流入する流入口31側の液冷媒に加えて、主弁9の切欠95とチャンバ77との大きな間隙Pを通って、流入口31側の液冷媒がチャンバ77に流入することから、ニードル弁55cがパイロット通路91を開くと、主弁9に切欠95がない場合に比べて、流入口31側からチャンバ77に流入する液冷媒の量が増し、その結果、ニードル弁55cが開いたパイロット通路91へのチャンバ77からの液冷媒の流入量が増す。 【0057】このチャンバ77から細径部91aを通過してパイロット通路91に流入する液冷媒は、そもそも、チャンバ77内の液冷媒の圧力と、この圧力よりも低い流出口33側の液冷媒の圧力との圧力差により、流出口33側に吸引される状態でパイロット通路91に流入するため、その流れは、パイロット通路91の内部においては常にパイロット通路91の中心から内周壁に向かう向きとなる。 【0058】従って、主弁9に切欠95を形成してチャンバ77からパイロット通路91への液冷媒の流入量が増した分だけ、パイロット通路91に流入した液冷媒がパイロット通路91の内周壁に衝突し主弁9に振動を生じさせる度合いが、本来ならば増すところである。 【0059】しかし、第1実施形態の電磁弁1では、パイロット通路91に流入すると中心から内周壁に向かう液冷媒の流れの向きに対応して、小径部91b、テーパ部91e、及び、大径部91cという具合に、チャンバ77側から弁座35側に向かうにつれて次第に内径が大きくなるようにパイロット通路91が形成されていることから、細径部91aを通過してパイロット通路91に流入した液冷媒がパイロット通路91の内周壁に衝突する度合いは増加せず、或は、主弁9に切欠95を形成するか否かとは無関係に、パイロット通路91に流入した液冷媒がパイロット通路91の内周壁に衝突する度合いが減少する。 【0060】このため、ニードル弁55cがパイロット通路91を開くのに伴ってチャンバ77からパイロット通路91に流入する液冷媒が、パイロット通路91の内周壁に衝突して主弁9に振動を生じさせることはなく、これにより、主弁9の弁座35から離間する速度が減少したとしても、主弁9の振動がない分、パイロット通路91の開弁に伴って弁座35から離間する主弁9が途中でチャンバ77の内周壁に引っかかりこじれて、円滑な弁開動作が損なわれることはない。 【0061】このように第1実施形態の電磁弁1によれば、主弁9の周方向に180゜間隔をおいた外周面部分に平らな切欠95を各々形成して、チャンバ77の内周壁との間に、切欠95以外の主弁9の外周面部分とチャンバ77の内周壁との間に画成される僅かな間隙Sよりも大きな間隙Pが形成されるように構成すると共に、チャンバ77と流出口33側とを選択的に連通させるために主弁9に貫設されるパイロット通路91を、パイロット通路91に流入すると中心から内周壁に向かう液冷媒の流れの向きに対応して、小径部91b、テーパ部91e、及び、大径部91cという具合に、チャンバ77側から弁座35側に向かうにつれて次第に内径が大きくなるように形成する構成とした。 【0062】このため、主弁9の外周面に切欠95を形成したことにより、パイロット通路91の弁開時に流入口31側からチャンバ77に流入する液冷媒の量が、切欠95を形成した主弁9の外周面部分とチャンバ77の内周壁との間に画成される大きな間隙Pを通って、チャンバ77に流入する液冷媒の分だけ増えて、その結果、パイロット通路91の弁開に伴い弁座35から主弁31が離間しこれを弁開する速度が低下し、流入口31側からの流入量が増えた分だけ、チャンバ77から細径部91aを通過してパイロット通路91に流入する液冷媒の量が増えたとしても、チャンバ77から流入して中心から内周壁に向かって流れるパイロット通路91内の液冷媒が、パイロット通路91の内周壁に衝突し主弁9に振動を発生させるのを防ぎ、低速で弁座35から離間する主弁9の円滑な弁開動作を確保することができる。 【0063】しかも、パイロット通路91の小径部91bと大径部91cとの間に、これらの内径差に応じた傾斜のテーパ部91eがもしもなければ、小径部91bと大径部91cとの間に、これらの内径差による段差状の出っ張りが発生し、この出っ張りによりパイロット通路91内を流れる液冷媒に乱流が発生し、この乱流により主弁9がチャンバ77内でガタ付き、主弁9の低速度での円滑な弁開動作の妨げとなってしまう。 【0064】しかし、第1実施形態の電磁弁1によれば、パイロット通路91の小径部91bと大径部91cとの間に、これらの内径差に応じた傾斜のテーパ部91eを介設したので、上述した段差状の出っ張りが小径部91bと大径部91cとの間に発生せず、パイロット通路91内でこれら小径部91bと大径部91cとの間を通過する液冷媒に乱流が発生することがなく、よって、この乱流により主弁9がチャンバ77内でガタ付き、主弁9の低速度での円滑な弁開動作の妨げとなってしまうのを防止することができる。 【0065】さらに、第1実施形態の電磁弁1によれば、細径部91aとパイロット通路91の小径部91bとの間にも、それらの内径差に応じた傾斜のテーパ部91dを介設したので、細径部91aと小径部91bとの内径差により画成される段差の存在によって、パイロット通路91内を流れる液冷媒に乱流が発生し、この乱流により主弁9がチャンバ77内でガタ付き、主弁9の低速度での円滑な弁開動作の妨げとなるのを防止することができる。 【0066】その上、第1実施形態の電磁弁1によれば、流入口31側とチャンバ77とを弁座35の弁閉時に連通させるための、主弁9の外周面とチャンバ77の内周壁との間に画成される僅かな間隙Sよりも大きな間隙Pを、主弁9の外周面の切欠95により形成する構成としたので、パイロット通路91のように主弁9に通路を貫設するのに比べて容易に形成することができる。 【0067】次に、本発明の第2実施形態に係る電磁弁について、図4を参照して説明する。本発明の第2実施形態に係る電磁弁は、主弁のみが第1実施形態の電磁弁1と異なり、その他の部分については第1実施形態の電磁弁1と全て同様に構成されている。 【0068】そして、図4に拡大平面図で示すように、第2実施形態の電磁弁の主弁9Aは、周方向に20゜ずつ位相をずらした複数の外周面部分に、周方向に10゜ずつの幅で凹状の切欠95Aを各々形成することで、主弁9Aの外周面をスプライン状に形成した点が、第1実施形態の電磁弁1の主弁9とは構成が異なっており、その他の部分については、パイロット通路91の具体的構成を含めて、第1実施形態の主弁9と全て同様に構成されている。 【0069】このような構成による第2実施形態の電磁弁によっても、第1実施形態の電磁弁1と同様の効果を得ることができる。 【0070】しかも、第2実施形態の電磁弁によれば、切欠95Aが主弁9Aの外周面の全周に亘って等間隔に複数形成されていることから、主弁9Aの切欠95Aが形成された外周面部分とチャンバ77の内周壁との間に画成される間隙が、主弁9Aの周方向の全周に亘って均等に分散して配置されることになり、これにより、主弁9Aの切欠95Aが形成された外周面部分とチャンバ77の内周壁との間に画成される間隙を経て、流入口31側からチャンバ77に流入する液冷媒の流れが、主弁9Aの周方向において均等に分散されて偏ることがない。 【0071】従って、主弁9Aの外周側を液冷媒が偏って流れることにより主弁9Aを傾ける力が液冷媒から主弁9Aにかかって、主弁9Aの低速度での円滑な弁開動作の妨げとなるのを防止することができる。 【0072】尚、上述した第1及び第2の両実施形態では、パイロット通路91を互いに内径の異なる2つの部分、即ち、小径部91b及び大径部91cにより構成したが、パイロット通路を構成する互いの内径が異なるパイロット通路部分は2つに限らず複数であればよく、従って、互いの内径が異なる3つ以上のパイロット通路部分によりパイロット通路を構成してもよい。 【0073】また、上述した第1及び第2の両実施形態では、主弁9,9Aの外周面に形成した切欠95,95Aにより、主弁9,9Aの外周面とチャンバ77の内周壁との間に画成される僅かな間隙Sよりも大きな間隙Pを形成する構成としたが、製造上の容易さを確保できるのであれば、例えば、図5に拡大平面図で示す本発明の第3実施形態に係る電磁弁の主弁9Bのように、主弁9Bの外周縁寄り部分に、パイロット通路91と同様に、流入口31側とチャンバ77とを弁座35の弁閉時に連通させるための通路95Bを貫設してもよいのは勿論である。 【0074】 【発明の効果】以上説明したように請求項1に記載した本発明の電磁弁によれば、流体通路の上流側と下流側とを連通する弁座を開閉する主弁に貫設された、この主弁が収容されるチャンバと前記流体通路の下流側とを連通するパイロット通路を、ソレノイドのプランジャに形成されたニードル弁により開閉し、前記チャンバと前記流体通路の上流側及び前記流体通路の下流側との圧力差により前記主弁による前記弁座の開閉を行う電磁弁において、前記主弁に形成され、該主弁により前記弁座が閉じた状態で前記流体通路の上流側と前記チャンバとを連通する補助通路を備え、前記パイロット通路は、前記チャンバ側から前記パイロット通路内への流体の流入方向に沿って内周壁が延在するように、互いの内径が異なる少なくとも2つのパイロット通路部分を、前記チャンバから前記流体通路の下流側に向かうにつれて内径が次第に大きくなるように直列に配列して構成した。 【0075】このため、ソレノイドの通電によりプランジャが吸引されてニードル弁がパイロット通路を開いた後に、パイロット通路を介して流体通路の下流側に流体が流入することでチャンバの圧力が低下する度合いが、主弁の補助通路により流体通路の上流側と連通しているチャンバに流体通路の上流側から流体が流入する分だけ鈍る。。 【0076】すると、チャンバ内の圧力低下が鈍った分だけ、主弁に対して弁座に接近させる方向に押し付ける力となって作用するチャンバの圧力が高まり、また、流体通路の下流側の圧力がチャンバ内の圧力を下回る度合いが増して、弁座に対して主弁が吸着される力が増加するので、パイロット通路の弁開時における、主弁が弁座から離れてこの弁座を開く速度が、主弁に補助通路がない場合に比べて遅くなる。 【0077】その一方で、主弁に補助通路を形成してパイロット通路の弁開時に流体通路の上流側からチャンバに流入する流体を増やすと、その分だけ、開いたパイロット通路にチャンバ内から流入する流体の流れが強くなることになるが、パイロット通路の内周壁が、互いの内径が異なる少なくとも2つのパイロット通路部分により、チャンバ内から流入する流体の流れに沿って延在するように構成されることから、このパイロット通路に流入する流体の流れが強くなっても、流体がパイロット通路の内周壁に当たって主弁をガタ付かせることがなくなる。 【0078】従って、主弁に補助通路を形成したことによりパイロットポートの弁開時に主弁の弁開速度が遅くなったとしても、チャンバ内からパイロット通路に流入する流体の流れによる主弁のガタ付きにより、チャンバの内壁等に接触して主弁がこじれることがなく、これにより、主弁の低速度での円滑な弁開動作を実現し、ウォーターハンマ現象の発生を確実に抑制又は防止することができる。 【0079】また、請求項2に記載した本発明の電磁弁によれば、前記パイロット通路が、隣り合う2つの前記パイロット通路部分の間に介設された、これら2つのパイロット通路部分の内径差に応じた傾斜のテーパ部をさらに備えている構成とした。 【0080】このため、隣り合う2つのパイロット通路部分に跨って流体がパイロット通路内を流れる際、これら2つのパイロット通路部分の間に、2つのパイロット通路部分の内径差に応じた傾斜のテーパ部がないと、パイロット通路の内周壁を全体的には、チャンバ内から流入する流体の流れに沿って延在させたとしても、2つのパイロット通路部分の間には、それらの内径差により段差が画成されて、その存在により、チャンバから流入してパイロット通路内を流れる流体に乱流が発生し、この乱流により主弁がチャンバ内でガタ付いて、主弁の低速度での円滑な弁開動作の妨げとなってしまう。 【0081】しかし、請求項2に記載した本発明の電磁弁のように、隣り合う2つのパイロット通路部分間に、これら2つのパイロット通路部分の内径差に応じた傾斜のテーパ部を介設することで、チャンバから流入してパイロット通路内を流れる流体が、隣り合う2つのパイロット通路部分を通過する際にこの通路部分の内周壁に当たって乱流を生じることがなく、よって、主弁がチャンバ内でガタ付き、主弁の低速度での円滑な弁開動作の妨げとなるのを、より一層確実に防止することができる。 【0082】さらに、請求項3に記載した本発明の電磁弁によれば、前記補助通路を、前記主弁の両端面間に亘って該主弁の外周面に形成された切欠により構成した。 【0083】このため、主弁の外周面の切欠により補助通路が構成されることから、パイロット通路のように主弁に補助通路を貫設するのに比べて、主弁に対する補助通路の形成作業を容易にすることができる。 【0084】また、請求項4に記載した本発明の電磁弁によれば、前記主弁の外周面であって該主弁の周方向に等しい間隔をおいた複数の前記外周面箇所に前記切欠が各々形成されている構成とした。 【0085】このため、補助通路を構成する切欠が主弁の周方向に等しい間隔をおいた複数の外周面箇所に各々形成されていることから、流体通路の上流側から補助通路を経てチャンバに向かう流体の流れが、主弁の周方向において均等に分散されて偏ることがない。 【0086】従って、主弁の外周側を流体が偏って流れることにより主弁を傾ける力が流体から主弁にかかって、主弁の低速度での円滑な弁開動作の妨げとなるのを防止することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000143949 【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)11月12日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】瀧野 秀雄 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−141720 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)5月28日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−310809 |
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