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【発明の名称】 リリーフバルブの組付方法
【発明者】 【氏名】山崎 毅

【氏名】野本 覚

【要約】 【課題】本発明は、リリーフバルブの組付方法に関し、開弁圧を高い精度で所望値に設定することが可能な組付方法を提供することを目的とする。

【解決手段】リニアソレノイド10を構成する弁組立体70の入口側の流体通路42には、エア源98より、所望の開弁圧に比して高圧のエアが、絞り96、エア供給配管92、及びエア供給通路84を介して供給される。また、弁組立体70の出口側の流体通路38は、エア排出通路86及びエア排出配管100を介して大気中に開放されている。従って、圧力センサ94が検出するエア供給配管94内の圧力Pa は、流体通路38と流体通路42との間の差圧、すなわち、リニアソレノイド10の開弁圧に等しい。バルブシート40は、圧力Pa が所望の開弁圧に一致するまで、押圧部材88により圧入される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 弁座と、該弁座に向けて付勢される弁体とを備えるリリーフバルブの組付方法であって、前記リリーフバルブを開弁させる向きに、所定の流体圧を印加する第1の工程と、前記リリーフバルブの開弁圧に基づいて、前記弁座と前記弁体との位置関係を調整する第2の工程と、を備えることを特徴とするリリーフバルブの組付方法。
【請求項2】 請求項1記載のリリーフバルブの組付方法において、前記所定の流体圧は前記リリーフバルブの所望の開弁圧に比して高圧であり、かつ、前記第2の工程は、前記リリーフバルブの上流側と下流側との間の差圧を検出する第3の工程と、前記差圧が前記所望の開弁圧に一致するように、前記弁座と前記弁体との位置関係を調整する第4の工程と、を有することを特徴とするリリーフバルブの組付方法。
【請求項3】 請求項1記載のリリーフバルブの組付方法において、前記所定の流体圧は、前記リリーフバルブの所望の開弁圧に等しく、かつ、前記第2の工程は、前記リリーフバルブを流通する流体の流量を検出する第3の工程と、前記流量がゼロに達するまで、前記弁座と前記弁体との位置関係を調整する第4の工程と、を有することを特徴とするリリーフバルブの組付方法。
【請求項4】 弁座と、該弁座に向けて付勢される弁体とを備えるリリーフバルブの組付方法であって、前記弁座と前記弁体との位置関係を仮調整する第1の工程と、前記第1の工程における少なくとも2つの時点での前記リリーフバルブの開弁圧を測定する第2の工程と、前記少なくとも2つの時点での開弁圧と、それらの時点間での前記位置関係の調整量関連値とに基づいて、前記位置関係の最終的な調整量関連値を決定する第3の工程と、前記最終的な調整量関連値に基づいて、前記位置関係を調整する第4の工程と、を備えることを特徴とするリリーフバルブの組付方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リリーフバルブの組付方法に係り、特に、開弁圧を高精度に設定するうえで好適なリリーフバルブの組付方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば特開平7−280122号に開示される電磁弁が公知である。上記従来の電磁弁は、軸方向に変位可能に設けられたプランジャと、プランジャの一端に設けられた弁体と、弁座を有し、ガイドブロックに圧入により固定されたバルブシートとを備えている。プランジャがスプリングにより付勢されることで、弁体は弁座に向けてスプリングの付勢力に等しい力で押圧されている。電磁弁の開弁方向に印加される流体圧が、弁体と弁座との間の押圧力を上回ると、弁体が弁座から離座することで、電磁弁は開弁する。すなわち、上記従来の電磁弁は、スプリングの付勢力に比例した開弁圧を有するリリーフ弁として機能する。
【0003】上記従来の電磁弁の製造工程において、バルブシートは、弁座が弁体に向かう方向に圧入される。このため、バルブシートの圧入量が大きくなるほど、閉弁状態におけるスプリングの収縮変形量が大きくなり、弁体とバルブシートとの間の押圧力が増加する。従って、上記従来の電磁弁の製造工程において、スプリングの発する付勢力に基づいてバルブシートの圧入量を決定することで、開弁圧を所望の値に設定することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、開弁圧の大きさは、弁体と弁座との間の押圧力、すなわち、スプリングが発する付勢力を、弁体に流体圧が作用する面積(以下、受圧面積と称す)で除した値に等しい。従って、スプリングの付勢力が所望の値に設定されても、部品寸法のばらつき等により受圧面積が変化すると、開弁圧も変化することになる。この点、スプリングの付勢力に基づいて開弁圧を設定する上記従来の電磁弁の製造方法は、開弁圧を高精度に設定するうえで最適なものではなかったことになる。
【0005】本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、開弁圧を高い精度で所望値に設定することが可能なリリーフバルブの組付方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、請求項1に記載する如く、弁座と、該弁座に向けて付勢される弁体とを備えるリリーフバルブの組付方法であって、前記リリーフバルブを開弁させる向きに、所定の流体圧を印加する第1の工程と、前記リリーフバルブの開弁圧に基づいて、前記弁座と前記弁体との位置関係を調整する第2の工程と、を備えることを特徴とするリリーフバルブの組付方法により達成される。
【0007】本発明において、第1の工程では、リリーフバルブが開弁する向きに流体圧が印加される。第2の工程では、リリーフバルブの開弁圧に基づいて、弁座と弁体との位置関係が調整される。弁座と弁体との位置関係が調整されると、弁体の弁座へ向けての付勢力が変化することで、リリーフバルブの開弁圧が変化する。従って、第2の工程が実行されることで、開弁圧を所望値に設定することが可能となる。
【0008】また、上記の目的は、請求項2に記載する如く、請求項1記載のリリーフバルブの組付方法において、前記所定の流体圧は前記リリーフバルブの所望の開弁圧に比して高圧であり、かつ、前記第2の工程は、前記リリーフバルブの上流側と下流側との間の差圧を検出する第3の工程と、前記差圧が前記所望の開弁圧に一致するように、前記弁座と前記弁体との位置関係を調整する第4の工程と、を有するリリーフバルブの組付方法によって達成される。
【0009】本発明において、第1の工程では、リリーフバルブを開弁させる向きに、その所望の開弁圧に比して高圧の流体圧が印加される。第3の工程では、リリーフバルブの上流側と下流側との間の差圧が検出され、第4の工程では、この差圧が所望の開弁圧に一致するように、バルブシートと弁体との相対位置関係が調整される。リリーフバルブを開弁させる方向に、開弁圧に比して高圧の流体圧が印加された状態では、上記差圧はリリーフバルブの開弁圧に等しい。従って、第4の工程が実行されることで、リリーフバルブの開弁圧は所望値に設定される。
【0010】更に、上記の目的は、請求項3に記載する如く、請求項1記載のリリーフバルブの組付方法において、前記所定の流体圧は前記リリーフバルブの所望の開弁圧に等しく、かつ、前記第2の工程は、前記リリーフバルブを流通する流体の流量を検出する第3の工程と、前記流量がゼロに達するまで、前記弁座と前記弁体との位置関係を調整する第4の工程と、を有するリリーフバルブの組付方法によっても達成される。
【0011】本発明において、第1の工程では、リリーフバルブを開弁させる向きに、その所望の開弁圧に等しい流体圧が印加される。従って、リリーフバルブの開弁圧が、所望の開弁圧に比して小さい状態では、リリーフバルブは開弁し、リリーフバルブを流体が流通する。第3の工程では、リリーフバルブを流通する流体の流量が検出され、第4の工程では、この流量がゼロに達するまで、弁座と弁体との位置関係が調整される。リリーフバルブの開弁圧は、リリーフバルブを流通する流体の流量がゼロから増加を始める際の、リリーフバルブを開弁させる方向に印加された流体圧である。従って、第4の工程が実行されることで、リリーフバルブの開弁圧は所望値に設定される。
【0012】また、上記の目的は、請求項4に記載する如く、弁座と、該弁座に向けて付勢される弁体とを備えるリリーフバルブの組付方法であって、前記弁座と前記弁体との位置関係を仮調整する第1の工程と、前記第1の工程における少なくとも2つの時点での前記リリーフバルブの開弁圧を測定する第2の工程と、前記少なくとも2つの時点での開弁圧と、それらの時点間での前記位置関係の調整量関連値とに基づいて、前記位置関係の最終的な調整量関連値を決定する第3の工程と、前記最終的な調整量関連値に基づいて、前記位置関係を調整する第4の工程と、を備えるリリーフバルブの組付方法によって更に効果的に達成される。
【0013】請求項4記載の発明において、第1の工程で弁座と弁体との位置関係が仮調整されると、弁体の弁座へ向けての付勢力が変化することで、リリーフバルブの開弁圧が変化する。一般に、リリーフバルブの開弁圧と、弁体と弁座との位置関係との間の関係を示す特性は、リリーフバルブの個体差によって変動する。すなわち、所望の開弁圧を得るための弁体と弁座との位置関係の調整量は、リーフバルブの個体差により異なったものとなる。これに対して、本発明では、第3の工程において、弁座と弁体との位置関係が仮調整される過程での少なくとも2つの時点での開弁圧と、それらの時点間での位置関係の調整量関連値に基づいて、弁座と弁体との位置関係の最終的な調整量関連値が決定される。これにより、リリーフバルブの個体差に基づく特性の変動が補償され、所望の開弁圧を得るための最終的な調整量関連値が正確に決定される。そして、第4の工程において、この最終的な調整量関連値に基づいて、弁座と弁体との位置関係が調整されることで、開弁圧は所望の値に高い精度で設定される。また、第4の工程では、流体圧や流量等を監視することなく、前記最終的な調整量関連値に基づいて弁座と弁体との位置関係を調整できるので、開弁圧の設定を迅速に行うことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】図1は本発明の一実施例であるリニアソレノイド10の構成を示す断面図である。図1に示す如く、リニアソレノイド10はスリーブ12を備えている。スリーブ12は一端(図1においては右端)が閉じた円筒状の非磁性部材である。スリーブ12の開口端には、端部側ほど大きな開口径を有するスカート部14が形成されている。スリーブの周囲には、電磁コイル16及びヨーク18が配設されている。ヨーク18は磁性材料より構成された部材である。
【0015】スリーブ12の内部には、閉じ側端部から順に、コア20、プランジャ22、及びガイド24が挿入されている。コア20、プランジャ22、及びガイド24は磁性材料より構成された部材である。コア20及びガイド24は、スリーブ12の内部に圧入固定されている。ガイド24は、中央を貫通する貫通孔26を備えていると共に、外周面にテーパ部28を備えている。ガイド24は、そのテーパ部28の外周面がスリーブ12のスカート部14に当接するまで、スリーブ12の内部に圧入されている。一方、プランジャ22はスリーブ12の内部を軸方向に変位できるように挿入されている。
【0016】コア20は、図1中左向きに開口する円筒開口30を備えている。円筒開口30には、プランジャ22を図1中左向きに付勢するスプリング32が配設されている。これにより、コア20とプランジャ22との間には所定長のエアギャップが形成されている。従って、プランジャ22のスリーブ12内部での変位は、前記所定のエアギャップ長の範囲内に規制されている。コア20の円筒開口30の入口部には大径部30aが設けられている。一方、プランジャ22の、コア20と対向する側の底面には突起22aが設けられている。プランジャ22がコア20側へ変位するにつれて、突起22aは大径部30a内へ進入する。また、プランジャ22には、ガイド24の貫通孔26を貫通するシャフト34が固定されている。
【0017】ガイド24の一端(図1においては左端)には、円筒部36が形成されている。また、ガイド24には、円筒部36の内部空間と円筒部36の外部空間とを連通する流体通路38が設けられている。ガイド24の円筒部36の内部には、図1における左端側からバルブシート40が圧入されている。バルブシート40の中央部には流体通路42が設けられている。流体通路42の、ガイド24の円筒部36の内部に連通する側の端部には、オリフィス44が設けられている。オリフィス44の、円筒部36の内部への開口部には、円錐面状に形成された弁座46が設けられている。弁座46には、シャフト34の一端(図1においては左端)に設けられたポペット48が対向している。上述の如く、プランジャ22はスプリング32により図1における左向き付勢されている。このため、電磁コイル16が通電されない状態では、ポペット48は弁座46に押圧されており、これにより、オリフィス44は閉塞されている。
【0018】リニアソレノイド10は弁ハウジング50に取り付けられている。弁ハウジング50は、弁取付穴52を備えている。弁取付穴52の開口部には、バックアップリング収納スペース54が設けられている。リニアソレノイド10のガイド24は、円筒部36とテーパ部28との間の段差面が、弁取付穴52とバックアップリング収納スペース54との間の段差面に当接するまで、弁取付穴52に挿入されている。バルブシート40の外周面と弁取付穴52の内周面との間にはOリング56が配設されている。Oリング56により、ガイド24の円筒部36の外部における、流体通路38と流体通路42との間のシール性が確保されている。リニアソレノイド10は、バックアップリング58がバックアップリング収容スペース54に掛止されることで、弁ハウジング50に固定されている。
【0019】上述したリニアソレノイド10の構成によれば、電磁コイル16に通電されていない場合には、上述の如くオリフィス44がポペット48により閉塞されることで、流体通路38と流体通路42との連通は遮断される。一方、電磁コイル16に通電されると、電磁コイル16が発生する磁束は、ヨーク18、コア20、プランジャ22、及びガイド24からなる磁気回路を循環し、かかる磁束により、プランジャ22に、プランジャ22とコア20との間のエアギャップを減少させる向きの電磁力が作用する。この電磁力は、スプリング32の付勢力に抗して、シャフト34を介してポペット48に伝達され、ポペット48を弁座46から離座する方向に変位させる。
【0020】この場合、上述の如く、プランジャ22がコア30側に変位するにつれて、プランジャ22の突起22aは円筒開口30の大径部30aへ進入する。突起22aの大径部30aへの進入すると、上記磁気回路を循環する磁束の一部は突起22aから大径部30aへ逃げるようになる。この磁束の逃げ量は、突起22aの大径部30aへの進入量が大きくなるほど増大する。その結果、プランジャ22とコア20との間のエアギャップの減少に伴う磁束の増大と、突起22aから大径部30aへの磁束の逃げの増大とが相殺し、電磁コイル16への通電量が一定に維持された場合にプランジャ22に作用する電磁力は、プランジャ22の変位量にかかわらずほぼ一定となる。従って、電磁コイル16への通電量を変化させることにより、プランジャ22の変位量、すなわち、ポペット48の変位量をリニアに制御することができる。また、オリフィス44を流れる流体の流量は、ポペット48の上記変位量が大きくなるほど増加する。従って、電磁コイル16への通電量を変化させることで、流体通路42側から流体通路38側へ向けて流れる流体の流量を制御することができる。
【0021】ところで、流体通路42の圧力が流体通路38の圧力に比して高圧になると、ポペット48には、その差圧ΔPに等しい圧力が弁座46から離座する向きに作用する。図2は、ポペット48に上記差圧ΔPが作用する状態を模式的に示す図である。図2に斜線を付して示す如く、上記圧力差は、ポペット48の所定の領域に作用する。以下、この差圧ΔPが作用する領域の面積を「受圧面積S」と称する。従って、差圧ΔPが生じた場合、ポペット48には、F=ΔP・Sに等しい大きさの力が弁座46から離座する向きに作用する。そして、力Fがスプリング32による付勢力を上回ると、ポペット48は弁座46から離座し、液圧通路42と液圧通路38とがオリフィス44を介して連通することになる。
【0022】このように、本実施例のリニアソレノイド10は、流体通路42側の圧力が流体通路38側の圧力に比して、所定の開弁圧Po =F/Sだけ高圧になった場合に開弁するリリーフ弁としても機能する。リニアソレノイド10のリリーフ弁としての機能を適正に発揮させるためには、開弁圧Po を所望の値に正確に設定することが要求される。上述の如く、開弁圧Po はF/Sに等しい。従って、受圧面積Sが一定であるとみなすことができれば、スプリング32の付勢力Fの大きさを適宜調整することにより、開弁圧Po を所望の値に設定することができることは上記した通りである。
【0023】かかる開弁圧Po の設定方法は、具体的には、図3〜図6に示す工程により実行される。すなわち、先ず、図3に示す如く、コア20、シャフト34が固定されたプランジャ22、及びスプリング32が組み付けられたスリーブ12が、その閉じ側端部が下向きとなるように保持された状態で、ポペット48に下向きの荷重Fs が付与される。この荷重Fs は、開弁圧Po の所望値Pocに対してFs=Poc・Sとなるように、例えばロードセルを用いることにより調整される。そして、荷重Fs が付与された状態での、コア20とプランジャ22との間のエアギャップ、すなわち、ポペット48の上下方向のストローク量S1 が検出される。
【0024】ストローク量S1 の検出が終了した後、図4に示す如く、圧入機の圧子60によって、ガイド24がスリーブ12へ所定の位置まで圧入され、次いで、バルブシート40が仮圧入される。次に、図5に示す如く、バルブシート40が仮圧入されたスリーブ12の周囲に、電磁コイル16及びヨーク18が配設される。そして、電磁コイル16への通電のオン・オフが繰り返された状態で、ポペット48の変位量が、例えば、オリフィス44を貫通するように配置された小径のピン62を介して、ダイヤルゲージ64により測定され、この測定値に基づいてポペット48のストローク量S2 が検出される。
【0025】最後に、図6に示す如く、再び、圧入機の圧子60により、上記したストローク量の差(S2 −S2 )に等しい量だけ、バルブシート40が更に圧入される。これにより、コア20とプランジャ22との間のエアギャップはS1 に等しい大きさに設定される。この状態では、スプリング32の弾性収縮量は、図3に示すポペット48に荷重Fs が付与された状態での値に等しく、従って、スプリング32が発生する付勢力は荷重Fs に一致する。このように、図3〜図6に示す方法によれば、リニアソレノイド10の開弁圧Po を所望値Pocに設定することができる。
【0026】しかしながら、上述の如く、図3〜図6に示す従来の方法は、ポペット48の受圧面積Sが一定であることを前提とするものである。一方、受圧面積Sは、ポペット48及び弁座46の加工精度のばらつき等によって変動する。従って、上記従来の方法によれば、リニアソレノイド10の開弁圧Po を必ずしも所望値Pocに高い精度で設定することはできない。
【0027】また、上記従来の方法において、受圧面積Sが一定であるとしても、開弁圧Po を高精度に設定するには、荷重Fs 及びストロークS1 、S2 を高精度で測定する必要がある。特に、スプリング32のバネ定数はリニアソレノイド10の作動時の振動発生を抑制するよう高く設定されているため、スプリング32の付勢力を正確に設定するには、ストロークS1 、S2 を高精度で測定することが要求される。しかしながら、図5に示すストロークS2 を測定する工程では、オリフィス44を通してポペット48の変位を測定するために小径のピン62を用いなければならず、ピン62の撓み等によって測定精度が低下してしまう。
【0028】更に、上記従来の方法では、上述の如く、先ず、荷重Fs をポペット48に付与した状態でストロークS1 を測定し(図3)、次に、圧入機上でガイド24及びバルブシート40を圧入した(図4)後、圧入機から外してストロークS2 を測定し(図5)、再び、圧入機上でバルブシート40を圧入する(図6)という4つの工程が必要とされる。このため、リニアソレノイド10の組み付けに要する時間が増大すると共に、圧入機への取り付け及び取り外しが伴うことで、開弁圧Po の設定精度が低下する可能性がある。
【0029】これに対して、本実施例におけるリニアソレノイド10の組付方法は、上述の如き受圧面積Sのバラツキに影響されることなく、かつ、簡易な工程で、開弁圧Po を高精度に設定し得る点に特徴を有している。以下、本実施例のリニアソレノイド10の組付方法について説明する。本実施例においては、リニアソレノイド10の製造工程において弁組立体70が組み付けられた状態で、圧入機72によりリニアソレノイド10の開弁圧Poの設定が行なわれる。図7は、弁組立体70が、圧入機72に設置された状態の断面図を示している。
【0030】なお、図7に示す弁組立体70の組付工程は以下の通りである。すなわち、先ず、スリーブ12の内部にコア20が閉じ側端部に達するまで圧入される。次に、コア20の円筒開口30にスプリング32が挿入された後、スリーブ12の内部に、予めシャフト34が固定されたプランジャ22が挿入される。次に、ガイド24が、その貫通穴26をシャフト34が貫通した状態で、テーパ部28の外周面がスリーブ12のスカート部14に当接するまで、スリーブ12へ圧入される。そして、バルブシート40がガイド24の円筒部36の内部へ、弁座46とポペット48とが接触しない程度に仮圧入されることで、弁組立体70の組付が完了する。
【0031】弁組立体70が上述の如く組み付けられた後、開弁圧Po が所望値Pocとなるように、バルブシート40が最終的な位置まで圧入される。以下、図7を参照して、バルブシート40の圧入量を調整することにより開弁圧Po を所望値Pocに設定する工程について説明する。図7に示す如く、圧入機72はワークテーブル74を備えている。ワークテーブル74はセット穴76を備えている。弁組立体70は、スリーブ12の閉じ側端部が下向きの状態で、セット穴76に挿通されている。ワークテーブル74の上部には、密閉ケース78が、ガイド24の円筒部36、及び、バルブシート40を取り囲むように設置されている。ガイド24と密閉ケース78との間には、Oリング80、82が配設されている。Oリング80、82により、ガイド24の外部における、流体通路42と流体通路38との間のシール性が確保されている。
【0032】密閉ケース78には、エア供給通路84及びエア排出通路86が設けられている。また、密閉ケース78の上部には、押圧部材88が挿入されている。押圧部材88は、密閉ケース78との摺動部の気密状態を保ちながら、上下方向に、外部から指示された変位量だけ摺動することができる。押圧部材88の端面は、バルブシート40の端面に当接している。押圧部材88の、バルブシート40と当接する端面には、流路90が設けられている。エア供給通路84と、バルブシート40内部の流体通路42とは、押圧部材88とバルブシート40とが当接した状態で、流路90を介して互いに連通している。また、エア排出通路86は、ガイド24に形成された流体通路38と連通している。
【0033】エア供給通路84には、エア供給配管92が接続されている。エア供給配管92には、その内部の圧力Pa を検出する圧力センサ94が配設されている。エア供給配管92は、オリフィス96を介して、エア源98に連通している。エア源98は、リニアソレノイド10の開弁圧Po の所望値Pocに比して高圧の圧力PH のエアを出力する。一方、エア排出通路86には、エア排出配管100が接続されている。エア排出配管100の端部は大気中に開放されている。
【0034】上述の如く、弁組立体70の初期状態において、バルブシート40はポペット48が弁座46に接触しない程度に仮圧入されている。このため、圧力PH のエアがエア供給配管92及びエア供給通路84を介して流体通路42に供給されると、このエアはポペット48と弁座46との間の隙間を通り、ガイド24の流体通路38、エア排出通路86、及び、エア排出配管100を経由して大気中に放出される。この場合、流体通路42と流体通路38との間に圧力差はほとんど生じず、また、流体通路38がエア排出通路86及びエア排出配管100を介して大気中に開放されていることで、流体通路38の圧力は大気圧に等しい。従って、エア供給配管92内の圧力Pa は、大気圧にほぼ一致している。
【0035】かかる状態から、押圧部材88が下向きに変位されることにより、バルブシート40がガイド24の円筒部36の内部へ徐々に圧入される。そして、ポペット48と弁座46との間の隙間が一定量以下の僅かな大きさになるまでバルブシート40が圧入されると、エアが上記隙間を通過する際の流通抵抗によって流体通路42と流体通路38との間に差圧ΔPが生ずるようになる。この場合、流体通路38の圧力が大気圧に一致していることで、エア供給配管92内の圧力Pa は、差圧ΔPに等しい値となる。
【0036】なお、差圧ΔPが生じ始めるバルブシート40の圧入位置は、流体通路42に圧力が付与されない状態で、ポペット48と弁座46とが丁度接触する位置に一致している。以下、この位置を、バルブシート40の基準位置と称する。バルブシート40が基準位置から更に圧入されると、それに伴って、ポペット48と弁座46との間の隙間が減少することで、この隙間を通過する際のエアの流通抵抗は増大し、差圧ΔPは上昇する。そして、ポペット48にはこの差圧ΔPに応じた付勢力が、スプリング32の付勢力に抗する向きに作用する。このため、バルブシート40の圧入に伴って、ポペット48は下向きに変位し、スプリング32にはポペット48の変位に等しい量の収縮変形が生ずる。従って、上記差圧ΔPと、スプリング32の収縮変形量とは互いに比例することになる。また、この場合、バルブシート40の圧入に伴うポペット48と弁座46との間の隙間の変化は、ポペット48の変位量に比して十分小さく、バルブシート40の圧入量と、スプリング32の収縮変形量とはほぼ等しいとみなすことができる。従って、差圧ΔPはバルブシート40の圧入量にほぼ比例して増加することになる。
【0037】図8は、バルブシート40の基準位置からの圧入量xと、エア供給配管92内の圧力Pa との関係を示す。上述の如く、圧力Pa と差圧ΔPとは一致しているため、図8に示す如く、エア供給配管92内の圧力Pa は、バルブシート40の基準位置からの圧入量xにほぼ比例して変化する。なお、エア供給配管92内の圧力PA とエア源98の圧力PH との圧力差は、絞り96により生成される。すなわち、絞り96は、弁組立体70を流通するエアの流量を制限することで、エア供給配管92やエア排出配管100等の流路におけるエアの圧力損失を防止する役割を有している。
【0038】ところで、上述の如く、流体通路42と流体通路38との間の差圧ΔPがリニアソレノイド10の開弁圧Po を上回ると、リニアソレノイド10は開弁する。リニアソレノイド10が開弁した状態では、流体通路42と流体通路38との間の差圧ΔPが開弁圧Po を越えることはない。このため、流体通路42に開弁圧Po を越える圧力PH が供給された状況下での差圧ΔP、すなわち、圧力Pa は開弁圧Po に一致することになる。
【0039】従って、本実施例によれば、圧力センサ94により検出されたエア供給配管92内の圧力Pa を監視しながら、バルブシート40を徐々に圧入し、圧力Pa が開弁圧Po の所望値Pocに等しい値に達した時点で圧入を停止することで、リニアソレノイド10の開弁圧Po を所望値Pocに設定することができる。このように、本実施例によれば、リニアソレノイド10の開弁圧Po に基づいて、バルブシート40の圧入量を調整することにより、開弁圧Po を所望値Pocに設定することができる。すなわち、本実施例のリニアソレノイド10の組付方法によれば、ポペット48の受圧面積S等の誤差要因を介在させることなく、直接、開弁圧Po に基づいてバルブシート40の圧入量の調整を行なえることで、開弁圧Po の設定を高い精度で行なうことが可能とされている。
【0040】また、本実施例においては、エア源98が出力するエアの圧力Pa は、開弁圧Po の所望値Pocに対して高圧であれば足り、圧力Pa を正確に制御することが不要である。このため、本実施例によれば、エア源98の低コストを図ることができ、これにより、リニアソレノイド10の組付コストを低減することが可能とされている。
【0041】更に、本実施例においては、弁組立体70を圧入機72に設置した状態で、圧力センサ94によりエア供給配管92内の圧力Pa を監視しながらバルブシート40を圧入するという1つの工程で開弁圧Po の設定を行なうことができる。すなわち、本実施例によれば、開弁圧Po の調整をすべて圧入機72上で行なうことができるため、リニアソレノイド10の組付時間が短縮されると共に、圧入機72への取り付け・取り外しに伴って開弁圧Po の設定精度が低下することが防止されている。また、ポペット48のストロークを測定するダイヤルゲージや、ポペット48に付与する荷重を検出するロードセル等の装置が不要となることで、開弁圧Po の設定を行なうための設備の低コスト化を図ることができる。
【0042】ところで、バルブシート40とガイド24の円筒部36との圧入面、あるいは、ポペット48と弁座46との着座面にシール不良が発生すると、リニアソレノイド10の閉弁状態において流体通路42と流体通路38との間にエアの漏れが生ずることになる。この場合、バルブシート40の圧入量にかかわらず、つねに一定量以上のエアが流体通路42側から流体通路38側へ流れることになる。かかるエアの流れにより、エア配管92の圧力Pa が低下し、圧力Pが所望の開弁圧Po まで達することはない。従って、本実施例において、バルブシート40を一定量以上圧入してもエア供給配管92の圧力Pa が所望の開弁圧Po に達しない場合は、上述の如きシール不良が生じていると判断することができる。このように、本実施例の組付方法によれば、リニアソレノイド10のシール不良を検出することもできる。
【0043】なお、上記実施例においては、弁組立体70の組み付けにあたって、バルブシート40をポペット48と弁座46とが接触しない程度、すなわち、基準位置に達しない程度に仮圧入するものとしたが、弁組立体70の開弁圧Po が所望値Pocに達しない範囲であれば、バルブシート40の仮圧入位置が基準位置を越えてもよい。この場合、弁組立体70の初期状態において、エア供給配管92内に圧力が発生することになり、その圧力PA が所望の開弁圧Pocに達するまでバルブシート40を圧入すればよい。
【0044】なお、上記実施例においては、エア源98が出力する圧力PH のエアを流体通路42に供給することにより請求項1及び2に記載した第1の工程が、圧力センサ94を用いてエア供給配管92内の圧力Pa を検出することにより請求項2に記載した第3の工程が、圧力Pa が開弁圧Po の所望値Pocに達するまでバルブシート40を圧入することにより請求項2に記載した第4の工程が、それぞれ実現されている。
【0045】次に、図9を参照して本発明の第2実施例であるリニアソレノイド10の組付方法について説明する。図9は、弁組立体70が圧入機72に設置された状態を示す断面図である。なお、図9において、図7と同様の構成部分については同一の符号を付してその説明を省略する。また、弁組立体70の組付手順は上記第1実施例の場合と同様である。
【0046】図9に示す如く、密閉ケース78のエア供給通路84には、エア供給配管120が接続されている。エア供給配管120には、エア源122が連通している。。エア源122は、開弁圧Po の所望値Pocに等しい圧力のエアをエア供給配管120へ出力する。エア排出通路86には、エア排出配管124が接続されている。エア排出配管124には、その内部を流通するエア流量Qを検出する流量センサ126が配設されている。エア排出配管124の端部は大気中に開放されている。
【0047】かかる構成によれば、弁座46とポペット48との間に隙間が形成された状態では、エア供給配管120及びエア供給通路84を介して流体通路42に供給された圧力Pocのエアは、上部隙間を通り、流体通路38、エア排出通路86、及び、エア排出配管126を経由して大気中に放出される。この場合、エア排出配管124には、弁座46とポペット48との間の隙間の大きさに応じた流量Qのエアが流通することになる。本実施例においては、エア排出配管126を流通するエア流量Qに基づいて、リニアソレノイド10の開弁圧Po を設定する。図10は、バルブシート40の基準位置からの圧入量xと流量Qとの関係を示している。
【0048】図10に示す如く、バルブシート40の圧入量が増加すると、ポペット48と弁座46との間の隙間が減少し、かかる隙間の減少に応じて弁組立体70を流通するエアの流量、すなわち、エア排出配管124を流通するエアの流量Qが減少する。そして、ポペット48が弁座46に着座するまでバルブシート40が圧入されると、流量Qがゼロに達した状態が形成される。リニアソレノイド10の開弁圧Po は、リニアソレノイド10を流通する流体の流量がゼロから増加を始める際の、流体通路38と流体通路42との間の差圧ΔPである。すなわち、流量Qがゼロに達した時点での開弁圧Po は、その所望値Pocに一致することになる。このため、本実施例によれば、流量センサ126によって、エア排出配管124を流通するエアの流量Qを監視しながら、流量Qが減少してゼロに達するまでバルブシート40を圧入することで、開弁圧Po を所望値Pocに設定することができる。
【0049】上述の如く、本実施例においては、エア排気配管124を流通するエア流量Qがゼロとなった場合に、開弁圧Po が所望値Pocに等しくなることを用いて、バルブシート40の圧入量が制御される。すなわち、本実施例においても、上記第1実施例と同様に、直接、開弁圧Po に基づいてバルブシート40の圧入量が決定されることになる。従って、本実施例においては、上記第1実施例の圧力センサ94に代えて流量センサ126を用いることで、開弁圧Po を所望値Pocに高い精度で設定することが可能となっている。
【0050】また、本実施例においても、バルブシート40とガイド24の円筒部36との圧入面、あるいは、ポペット48と弁座46との着座面にシール不良が発生した場合は、バルブシート40の圧入位置にかかわらず、流量Qがゼロになることはない。従って、本実施例によれば、バルブシート40を一定量以上圧入しても流量Qがゼロにならない場合は、上述の如きシール不良が生じていると判断することができる。このように、本実施例の組付方法によれば、リニアソレノイド10のシール不良を検出することができる。
【0051】更に、本実施例によれば、上記第1実施例の場合と同様に、リニアソレノイド10を圧入機72に設置した状態で、開弁圧Po の設定を行なうことができる点で、リニアソレノイド10の組付時間が短縮されると共に、開弁圧P0 の設定精度の低下が防止されている。なお、上記実施例においては、弁組立体70の下流側のエア排出配管126を流通するエアの流量を検出することとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、上流側のエア供給配管120を流通するエアの流量を検出することとしてもよい。
【0052】なお、上記実施例においては、エア源122が出力する圧力Pocのエアを流体通路42に供給することにより請求項1及び3に記載した第1の工程が、流量センサ126によりエア排出配管124を流通するエアの流量Qを検出することにより請求項3に記載した第3の工程が、流量Qがゼロに達するまでバルブシート40を圧入することにより請求項3に記載した第4の工程が、それぞれ実現されている。
【0053】次に、本発明の第3実施例であるリニアソレノイド10の組付方法について説明する。図11は、弁組立体70が圧入機72にセットされた状態を示す断面図である。なお、図11において、図7と同様の構成部分については同一の符号を付してその説明を省略する。また、弁組立体70の組付手順は上記第1実施例の場合と同様である。
【0054】図11に示す如く、密閉ケース78のエア供給通路84には、エア供給配管150が接続されている。エア供給配管150には、その内部の圧力P1 を検出する圧力センサ152が配設されている。エア配管150は、エア源154に連通している。エア源154は、調整可能な圧力のエアをエア配管150へ出力する。
【0055】エア排出通路86には、エア排出配管156が接続されている。エア排出配管156には、その内部の圧力P2 を検出する圧力センサ158が配設されている。エア排出配管156には、また、その内部を流通するエアの流量Qを検出する流量センサ160が配設されている。エア排出配管156の端部は大気中に開放されている。
【0056】図12は、本実施例において、リニアソレノイド10の開弁圧Po を所望値Pocに設定する工程を示す。図12に示す如く、開弁圧P0 の設定にあたっては、まず、工程200において、エア源154の圧力が、開弁圧Po の所望値Pocに比して低圧のPL に設定される。次に、工程202において、流量Qがゼロに達するまで、バルブシート40が圧入される。上述の如く、流量Qがゼロに達した状態では、開弁圧Po は、流体通路42に供給されたエアの圧力に一致する。従って、エア源154の圧力がPL に等しい状態で、流量Qがゼロに達するまでバルブシート40が圧入されることで、開弁圧P0 はPL に設定される。
【0057】ところで、上記工程200において、エア源154の圧力を当初から開弁圧Po の所望値Pocに等しい値に設定することも考えられる。しかしながら、この場合、開弁圧Po を所望値Pocに正確に調整するためには、工程202において流量Qがゼロに達した時点でバルブシート40の圧入を速やかに停止させる必要があるため、その圧入速度を高くすることができない。これに対して、本実施例においては、先ず、上記工程200において、エア源154の圧力を所望値Pocよりも小さなPL に設定することで、工程202において流量Qがゼロに達した時点から多少遅れてバルブシート40の圧入を停止しても、開弁圧Po が所望値Pocを上回ることが防止される。従って、本実施例によれば、バルブシート40の圧入速度を高くすることができ、リニアソレノイド10の組み付けを迅速に行なうことができる。
【0058】工程202が終了すると、次に、工程204において、エア源154の圧力が、開弁圧Po の所望値Pocに比して高圧のPH まで増加される。この場合、流体通路42に開弁圧Po の現在値PL に比して高圧のエアが供給されることで、弁組立体70は開弁し、弁組立体70をエアが流通するようになる。工程204が終了すると、次に、工程206において、圧力センサ152及び154の検出値に基づいて、エア供給配管150とエア排出配管158との間の差圧ΔP=P1 −P2 が検出される。
【0059】工程206が終了すると、次に、工程208において、差圧ΔPが、開弁圧Po の所望値Pocに達したか否かが判別される。その結果、ΔPが開弁圧Po の所望値Pocに達していないならば、次に、工程210において、バルブシート40が所定の微小量だけ圧入される。一方、工程208において、ΔPがPocに達しているならば、バルブシート40の圧入は終了される。
【0060】このように、図12に示す工程によれば、ΔPが開弁圧Po の所望値Pocに達するまで、バルブシート40が圧入されることになる。上記第1実施例で説明したように、流体通路42に開弁圧Po に比して高圧のエアが供給された状況下での、流体通路42と流体通路38との間の差圧ΔPは開弁圧Po に一致している。従って、本実施例によれば、上記工程206〜210の処理によって、開弁圧Po が所望値Pocに設定されるように、バルブシート40の圧入量を調整することができる。
【0061】上述の如く、本実施例によれば、工程206における差圧ΔPの検出と、工程210におけるバルブシート40の圧入とが交互に行なわれる。このため、差圧ΔPが所望値Pocに達した時点で、バルブシート40の圧入を速やかに停止させることは不要である。すなわち、本実施例によれば、上記第1実施例の組付方法が奏する効果に加えて、圧入機72の押圧部材88に要求される停止応答性を緩和できるという利益をも得ることができる。
【0062】なお、本実施例においては、差圧ΔPが所望値Pocに達するまで、バルブシート40の圧入と差圧Pの圧入とを交互に繰り返すこととしたが、これに限らず、上記第2実施例の図9に示す構成において、流量Qがゼロに達するまで、流量Qの検出と、バルブシート40の微小量の圧入とを繰り返すこととしてもよい。なお、上記実施例においては、図12に示す工程204が請求項1及び2に記載した第1の工程に、工程206が請求項2に記載した第3の工程に、工程208及び210が請求項2に記載した第4の工程に、それぞれ相当している。また、上記第1〜第3実施例においては、ポペット48が請求項1〜3に記載した弁体に相当している。
【0063】次に、本発明の第4実施例であるリニアソレノイド10の組付方法について説明する。図13は、本実施例においてリニアソレノイド10の開弁圧PO を所望値POCに設定すべく、弁組立体70が圧入機248上にセットされた状態を示す断面図である。図13において、図7と同様の構成部分には同一の符号を付してその説明を省略する。なお、本実施例の組付方法において、弁組立体70は、バルブシート40が、弁座46がポペット48と接触しない程度に、すなわち、基準位置に達しない程度に仮圧入されているものとする。
【0064】図13に示す如く、圧入機248は圧入制御装置250により制御される。圧入制御装置250には、制御装置252より、押圧部材88を下向きに駆動すべき時間Tを示す制御信号が供給される。圧入制御装置250は、この制御信号に応じた時間Tだけ押圧部材88を下向きに一定速度Vで変位させる。従って、上記Tに比例した変位量V・Tだけ押圧部材88が下向きに駆動される。そして、この変位量V・Tに等しいストロークでバルブシート40が圧入される。従って、上記時間Tを変化させることにより、バルブシート40の圧入量xを制御することができる。以下、上記時間Tを「圧入時間T」と称する。
【0065】押圧部材88にはロードセル253が設けられている。圧入制御装置250は、ロードセル253の出力信号に基づいて押圧部材88に作用する荷重を検出し、その荷重が過大となった場合に押圧部材88の駆動を停止する。密閉ケース78のエア供給通路84には、エア供給配管254が接続されている。エア供給配管254には、圧力センサ256が配設されている。圧力センサ256は、エア供給配管254の内部の圧力P3 に応じた信号を制御装置252に供給する。制御装置252は圧力センサ256から供給される信号に基づいて圧力P3 を検出する。エア供給配管254には、第1電磁弁258を介して電空レギュレータ260が連通している。第1電磁弁258は、制御装置252からオン信号を供給されることにより開状態となる常閉の電磁開閉弁である。また、電空レギュレータ260は、第1電磁弁258が開弁された状態で、エア供給配管254内へエアを出力する。電空レギュレータ260は、出力するエアの圧力PS を、制御装置252から供給される制御信号に応じて大気圧から所定の圧力まで連続的に変化させることができる。
【0066】密閉ケース78のエア排出通路86には、エア排出配管262が接続されている。エア排出配管262には、圧力センサ264が配設されている。圧力センサ264は、エア排出配管262の内部の圧力P4 に応じた信号を制御装置252に供給する。制御装置252は圧力センサ264から供給される信号に基づいて圧力P4 を検出する。エア排出配管262には第2電磁弁266を介して流量センサ268が連通している。第2電磁弁266は、制御装置252からオン信号を供給されることにより開状態となる常閉の電磁開閉弁である。また、流量センサ268はエア排出配管262を流通するエアの流量QO に応じた出力信号を制御装置252に供給する。制御装置252は、流量センサ268から供給される信号に基づいて流量QO を検出する。なお、流量センサ268の下流側は大気中に解放されている。
【0067】上記図13に示す構成において、電磁開閉弁258を開弁させ、かつ、電磁開閉弁266を閉弁させた状態で、電空レギュレータ260が出力するエアの圧力PS を大気圧から連続的にに上昇させると、エア供給配管254内の圧力P3 は圧力PS と共に上昇する。一方、エア排出配管262内の圧力P4 は、圧力P3がリニアソレノイド10の開弁圧PO に達するまでは大気圧に保持されている。そして、圧力P3 が開弁圧PO に達するとポペット48が弁座46から離座し、ポペット48と弁座46との間のギャップを介してエア供給配管254側からエア排出配管262側へエアが供給されることで、エア排出配管262内の圧力P4 が立ち上がる。このため、圧力P4 が立ち上がった時点での圧力P3 は、リニアソレノイド10の開弁圧PO に一致する。従って、図13に示す構成によれば、制御装置252が、第1電磁弁258を開弁させると共に第2電磁弁を閉弁させた状態で、電空レギュレータ260が出力するエアの圧力PS を上昇させながら圧力P3 及びP4 を監視することにより、リニアソレノイド10の開弁圧POを測定することができる。
【0068】ところで、上述の如く、リニアソレノイド10の開弁圧PO は、スプリング32の付勢力によりポペット48と弁座46との間に作用する荷重FS を、受圧面積Sで除した値に等しい。ここで、スプリング32の収縮変形量はバルブシート40の基準位置からの圧入量xに一致するため、スプリング32のバネ定数をkとすると、上記荷重FS はk・xに等しい。従って、開弁圧PO と、バルブシート40の基準位置からの圧入量xとの間には(1)式の関係が成立する。
【0069】
0 =(k/S)・x ・・・(1)
図14は、バルブシート40の圧入量xと開弁圧PO との関係を示す。図14に示す如く、圧入量xと開弁圧PO との関係は、勾配がΔ=(k/S)の直線的なものとなる。従って、バルブシート40の、ある圧入位置における開弁圧POをPA とすると、開弁圧PO をPB まで上昇させるために必要なバルブシートの圧入量xABは、(2)式により求められる。
【0070】
AB=(PB ーPA )/(k/S)
=(PB ーPA )/Δ ・・・(2)
しかしながら、上述の如く、受圧面積Sにはポペット48及び弁座46の形状誤差等に起因するバラツキが存在する。また、スプリング32のバネ係数kにもスプリング32の個体差に基づくバラツキが存在する。これらのバラツキにより、Δ(=k/S)の値は個々のリニアソレノイド10によって変化する。このため、Δが一定であるとの前提の下に、(2)式に基づいてバルブシート40の圧入量を決定したのでは、開弁圧PO を高い精度で所望値POCに設定することは困難である。
【0071】これに対して、本実施例の組付方法は、バルブシート40を圧入する過程における2つの時点での開弁圧PO の値と、これら時点間でのバルブシート40の圧入量に基づいて、開弁圧PO を所望値POCに設定するための最終的な圧入量を決定することにより、開弁圧PO の設定を高い精度で、かつ迅速に行い得る点に特徴を有している。
【0072】すなわち、本実施例において、バルブシート40の圧入は、第1、第2、及び第3の3段階の圧入工程により行われる。そして、第1の圧入工程が終了した時点での開弁圧PO1、及び、第2の工程が終了した時点での開弁圧PO2が測定される。第2の圧入工程での圧入量をx2 とすると、圧入量xに対する開弁圧PO の勾配Δは(3)式で表される。
【0073】
Δ=(PO2ーPO1)/x2 ・・・(3)
この勾配Δに基づいて、第3の工程での圧入量x3 が(4)式に従って決定される。
3 =(POCーPO1)/Δ−x2 ・・・(4)
ここで、(POCーPO1)/Δは開弁圧PO をPO1からPOCへ上昇させるのに必要なバルブシート40の圧入量であり、この値から第2の圧入工程における圧入量x2 を減じることで、第3の圧入工程における圧入量x3 が求められることになる。ただし、上述の如く、本実施例においては、バルブシート40の圧入量xは圧入時間Tに基づいて制御され、第2及び第3の圧入工程におけるバルブシート40の圧入時間TをそれぞれT2 、T3 とすると、x2 =V・T2 、x3 =V・T3 となる。従って、上記(3)、(4)式より、3 =(POC−PO1)/(Δ・V)−T2 =(POC−PO1)・T2 /(PO2−PO1)−T2 ・・・(5)
が導かれる。そして、第3の圧入工程において、(5)式により求められた圧入時間T3 だけバルブシート40が圧入されることで、開弁圧PO が所望値POCに設定される。
【0074】以下、図15〜図17を参照して、本実施例における具体的な処理の内容について説明する。図15及び図16は、本実施例において、リニアソレノイド10の開弁圧PO を所望値POCに設定する工程を示す。また、図17は、図15及び図16に示す工程が実行される過程での、エア供給配管254内の圧力P3 、エア排出配管262内の圧力P4 及び、バルブシート40の圧入状態の時間変化を例示している。
【0075】図15及び図16に示す工程は、制御装置252が圧力センサ256、264及び流量センサ268の出力信号を監視しつつ、圧入制御装置250、第1電磁弁258、第2電磁弁266、及び電空レギュレータ260に適宜所要の信号を付与することにより実行される。図15及び図16に示す工程が開始されると、先ず、先ず、図15に示す工程300において、第1電磁弁258及び第2電磁弁266が共に開弁状態とされる。次に、工程302において、電空レギュレータ260により、開弁圧PO の所望値POCに比して十分に低い所定圧PC のエアがエア供給配管254に供給される。次に、工程304において、エア排出配管262を流通するエアの流量QO が減少して所定値QC に達するまで、バルブシート40が圧入される(図17に示す期間I)。この場合、流量センサ268の出力の応答遅れ等に起因して、流量QO が所定値QC に達した時点でバルブシート40の圧入を停止しても、バルブシート40は基準位置を越えて圧入されている。すなわち、工程304が終了した時点で、ポペット48と弁座46とは接触し、スプリング32はある程度収縮変形している。この工程304が上記した第1の圧入工程に相当する。ただし、第1の圧入工程は上記した工程に限らず、開弁圧PO が所望値POCに比して十分に小さな値となる範囲で、バルブシート40が基準位置を越えて圧入されるものであればよい。
【0076】工程304が終了すると、続く工程306において、第1開閉弁258が開弁状態に維持されたまま第2電磁弁266が閉弁されると共に、電空レギュレータ260から出力されるエアの圧力PS が大気圧まで減少される。そして、次に、工程308において圧力PS が大気圧から連続的に上昇され、エア排出配管262の圧力P4 が所定値PTHを上回ると(図17に示す時点A)、その時点でのエア供給配管254の圧力P3 が検出されると共に、電空レギュレータ260の昇圧が停止されて圧力PS は大気圧に復帰される。ここで、所定値PTHは、圧力P4 が立ち上がったことを判断するための閾値であり、十分に小さな値に設定される。従って、時点Aにおける圧力P3 を検出することが、工程304(すなわち第1の圧入工程)が終了した時点でのリニアソレノイド10の開弁圧P01を測定することになる。工程308が終了すると、次に、工程310において、第2電磁弁266が開弁されることにより、圧入機248内に滞留したエアが排気される。
【0077】工程310が終了すると、次に、工程312において、第2の圧入工程での圧入時間T2 が(6)式に従って演算される。ただし、(6)式において、PO2Cは、第2の圧入工程での開弁圧PO の目標値であり、PO1と所望値POCとの間の中間値に設定されている。また、Δ0 は、上記勾配Δ(=S/k)の標準値である。
【0078】
2 =(PO2C −PO1)/(Δ0 ・V) ・・・(6)
工程312が終了すると、次に、工程314において、バルブシート40が圧入時間T2 だけ圧入されることで、第2の圧入工程が行われる(図17に示す期間II)。工程314が終了すると、次に、工程316において第1電磁弁258が開弁状態に保持されたまま第2電磁弁266が閉弁される。そして、続く工程318において、電空レギュレータ260から出力されるエアの圧力PS が大気圧から連続的に上昇され、エア排出配管262の圧力P4 が所定値PTHを上回ると(図17に示す時点B)、その時点でのエア供給配管254の圧力P3 が、開弁圧Po2として測定される。開弁圧Po2が測定されると、速やかに電空レギュレータ260の昇圧が停止されると共に大気圧に復帰される。そして、工程318が終了すると、次に、工程320において、第2電磁弁266が開弁されることにより、圧入機248内のエアが排気される。
【0079】工程320が終了すると、次に図16に示す工程322において、第3の圧入工程における圧入時間T3 が上記(5)式に従って演算される。そして、次に、工程324において、バルブシート40が時間T3 だけ圧入されることにより第3の圧入工程が行われる(図17に示す期間III )。工程324が終了すると、次に工程326において、第2電磁弁266が閉弁される。次に工程328において、電空レギュレータ260から出力されるエアの圧力が大気圧から連続的に上昇され、エア排出配管262の圧力P4 が所定値PTHを上回った時点でのエア供給配管254の圧力P3 、すなわち、リニアソレノイド10の最終的な開弁圧PO が測定される。そして、工程328が終了すると、次に工程330において、第2電磁弁266が開弁されることにより圧入機248内のエアが排気され、開弁圧PO を設定するための工程が完了する。
【0080】図18は、数百個のリニアソレノイド10に対して、開弁圧PO の所望値POCを2.4MPaとして、図15及び図16に示す工程により開弁圧PO の設定をを行った場合の、開弁圧PO の分布を示す。同図に示す如く、リニアソレノイド10の開弁圧PO はその全数が規格値である2.4MPa±0.25MPaの範囲に含まれている。
【0081】比較のため、バルブシート40の圧入量xと開弁圧PO との関係の勾配Δが一定であるとの前提の下に、本実施例と同様に3段階の圧入工程により開弁圧POの設定を行った場合の開弁圧PO の分布を調べた。以下、この工程を対比工程と称す。図19は、対比工程が実行される過程での、エア供給配管254内の圧力P3 、エア排出配管262内の圧力P4 、及びバルブシート40の圧入状態の時間変化を示す。また、図20は、図18と同様に、数百個のリニアソレノイド10に対して、開弁圧PO の所望値POCを2.4MPaとして、対比工程により開弁圧PO の設定を行った場合の、開弁圧PO の分布を示す。
【0082】図19に示す如く、対比工程においても、バルブシート40は3段階の圧入工程により圧入される。このうち、第1及び第2の圧入工程は、図15及び図16に示す工程の第1及び第2の圧入工程と同様に行われる。すなわち、第1の工程は、エア供給配管254に所定圧PC のエアが供給された状態でエア排出配管262の流量QO が所定値QC に達するまでバルブシート40を圧入することにより行われ、また、第2の圧入工程における圧入時間T2 は上記(6)式に従って決定される。ただし、対比工程においては、第1及び第2の圧入工程が終了した時点での開弁圧PO1、PO2を測定する際に、これらの開弁圧が検出された後も電空レギュレータ260が出力するエアの圧力Ps を一定値まで上昇させている。一方、第3の圧入段階での圧入時間T3 ’は、勾配Δが標準値Δ0 に一致しているとの前提で、(7)式に従って決定される。
【0083】
3 ’=(POC−P02)/(Δ0 ・V) ・・・(7)
図20に示す如く、対比工程により設定された開弁圧PO は、規格値である2.4±0.25MPaの範囲を越えて分布しており、開弁圧PO を高い精度で設定することが困難であることがわかる。かかる大きなバラツキが生ずる主な原因は、勾配Δが受圧面積Sやスプリング32のバネ定数kのバラツキに起因して変動するにもかかわらず、勾配Δが標準値Δ0 に等しいとみなして圧入時間T3 ’を決定したことにあると考えられる。
【0084】これに対して、本実施例によれば、第1の圧入工程が終了した時点での開弁圧PO2、第2の圧入工程が終了した時点での開弁圧PO2、及び第2の圧入工程での圧入時間T2 に基づいて第3の圧入工程での圧入時間T3 が決定されることで、個々のリニアソレノイド10について勾配Δが正確に推定されていることになる。すなわち、本実施例の組付方法によれば、リニアソレノイド10の個体差に基づくΔのバラツキが補償され、その結果、図18に示す如く、開弁圧PO を高い精度で所望値Pocに設定することが可能とされている。
【0085】本実施例において、第1の圧入工程では、流量QO を監視しながらバルブシート40を圧入することが必要であるが、第1の圧入工程が終了した時点での開弁圧PO1を高い精度で設定することは不要であるため、バルブシート40の圧入を比較的高い速度で行うことができる。また、第2及び第3の工程では、予め演算された圧入時間T2 、T3 だけバルブシート40を圧入すれば足り、圧力P3 、P4 やエアの流量Q0 等の状態量を監視しながらバルブシート40を圧入することは不要である。従って、第2及び第3の圧入工程においても、バルブシート40の圧入を比較的高い速度で行うことができる。このように、本実施例の組付方法によれば、バルブシート40の圧入を迅速に行いつつ、開弁圧PO を高い精度で調整することが可能となっており、これにより、リニアソレノイド10の組付時間の短縮を図ることができる。
【0086】また、上記の如く、対比工程においては、開弁圧Po2、Po3を測定する際に、電空レギュレータ260の出力するエアの圧力Ps を常に一定値まで上昇させることとしているため、第1の圧入工程が開始されてから最終的な開弁圧PO の測定が終了するまで比較的長い調整時間(図19に示す時間TB )を要するのに対して、本実施例においては、開弁圧Po2、Po3が検出された時点で圧力Ps の上昇を中止することで、図17にTA で示す如く、開弁圧PO の調整時間の更なる短縮が図られている。
【0087】なお、図15及び図16に示す工程では、開弁圧PO を測定する際に、電空レギュレータ260の出力するエアの圧力PS を大気圧から上昇させることとしたが、第2及び第3の工程が終了した時点の開弁圧PO を測定する際には、大気圧よりも高い圧力から上昇を開始させることにより開弁圧の調整時間を更に短縮させることができる。すなわち、第2の工程が終了した時点での開弁圧PO がPO1よりも高いことは明らかであるから、少なくともPO1から昇圧を開始すれば十分であり、また、第3の工程が終了した時点での開弁圧PO がPO2よりも高いことは明らかであるから、少なくともPO2から昇圧を開始すれば十分である。
【0088】なお、上記第4の実施例においては、バルブシート40を第1〜第3の3段階の圧入工程で圧入することとし、その過程における2つの時点での開弁圧PO1、PO2に基づいて、最終的な第3の圧入工程における圧入量x3 を決定することとした。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、バルブシート40を圧入する過程における3以上の時点での開弁圧PO を測定し、それらの測定値に基づいて最終的なバルブシート40の圧入量を決定することにより、更に、開弁圧PO の設定精度を向上させることができる。
【0089】なお、上記第4の実施例においては、ポペット48が請求項4に記載した弁体に、工程304及び工程314が請求項4に記載した第1の工程に、工程308及び工程318が請求項4に記載した第2の工程に、工程322が請求項4に記載した第3の工程に、工程324が請求項4に記載した第4の工程に、それぞれ相当しており、また、圧入時間T2 が請求項4に記載した第3の工程での「位置関係の調整量関連値」に、圧入時間T3 が請求項4に記載した「最終的な調整量関連値」に、それぞれ相当している。ただし、バルブシート40の圧入量を直接制御できる場合には、バルブシート40の圧入量そのものを請求項4に記載した「位置関係の調整量関連値」として用いることができる。その他、バルブシート40の圧入量と一対一に対応する任意のパラメータを「位置関係の調整量関連値」として用いることができる。
【0090】以上、第1〜第4の実施例においては、バルブシート40が圧入により固定されるものとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、バルブシート40がねじ止め等、他の固定手段により固定される場合においても適用することができる。また、上記第1〜第4実施例においては、本発明がリニアソレノイド10の組み付けに適用された場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、弁座と弁座に向けて付勢された弁体とを有する任意のリリーフバルブの組み付けに適用することができる。
【0091】
【発明の効果】上述の如く、請求項1記載の発明によれば、開弁圧に基づいて、弁座と弁体との位置関係を調整することができる。従って、本発明によれば、リリーフバルブの開弁圧を高い精度で所望値に設定することができる。また、請求項2記載の発明によれば、リリーフバルブの開弁方向に、所望の開弁圧に比して高圧の流体圧を印加することで、リリーフバルブの開弁圧を検出することができる。従って、本発明によれば、リリーフバルブに印加する流体圧を所望の開弁圧に維持することなく、開弁圧を高い精度で所望値に設定することができる。
【0092】更に、請求項3記載の発明によれば、リリーフバルブを流通する流体の流量に基づいて、開弁圧が所望の開弁圧となったか否かを検知することができる。従って、本発明によれば、圧力センサに代えて流量センサを用いながら、開弁圧を高い精度で所望値に設定することができる。また、請求項4記載の発明によれば、リリーフバルブの個体差を考慮して、弁体と弁座との位置関係の最終的な調整量関連値を決定し、この最終的な調整量関連値に基づいて、弁体と弁座との位置関係の最終的な調整を行うことができる。従って、本発明によれば、弁座と弁体との位置関係の最終的な調整を、流体圧や流量等を監視することなく迅速にかつ高い精度で行うことができ、これにより、リリーフバルブの組付時間を短縮することができる。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成9年(1997)12月5日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
【公開番号】 特開平11−141719
【公開日】 平成11年(1999)5月28日
【出願番号】 特願平9−335971