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【発明の名称】 電磁弁
【発明者】 【氏名】山口 正樹

【氏名】蜷川 典夫

【要約】 【課題】ガイドパイプの固体潤滑膜の磨耗を低減し、作動耐久性を向上する。

【解決手段】可動鉄芯3は弁体4のない端3bから摺動ストロークL内で弁体4が最も突出した位置においてガイドパイプ2の弁体4側端2aより若干内側の位置3cまでの直径D1を太く形成している。また位置3cから弁体4側で摺動ストロークL内でガイドパイプ2の内側に引き込まれる部分3dをガイドパイプ2に対して最大に傾いたときにおいても弁体4側端2aに接触しないよう前記直径D1より細い直径D2に形成している。これによって弁体4側端2a一点に摺動接触部が限定されず、ガイドパイプ2の固体潤滑膜の磨耗が均一化され、電磁弁の作動耐久性を向上することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】電磁コイルと、この電磁コイルの内側に配設されたガイドパイプと、このガイドパイプの内側に摺動可能に配設された可動鉄芯と、この可動鉄芯の前記ガイドパイプから突出した端に配設された弁体と、この弁体をガス流路中に設けられた弁座に付勢するスプリングとで構成され、前記ガイドパイプは金属製で内面に固体潤滑皮膜を形成し、前記可動鉄芯は前記弁体のない端から摺動ストローク内で弁体が最も突出した位置において前記ガイドパイプの弁体側端より若干内側の位置までの直径を太く形成され、その位置から弁体側で前記ガイドパイプの内側に引き込まれる部分の直径を前記可動鉄芯が前記ガイドパイプに対して最大に傾いたときにおいても前記ガイドパイプの弁体側端に接触しないよう前記直径より細く形成した電磁弁。
【請求項2】ガイドパイプを樹脂製とした請求項1記載の電磁弁。
【請求項3】可動鉄芯は少なくとも直径の太い部分の端から直径切替部まで表面に軸方向に溝を有する請求項1または2記載の電磁弁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばガス遮断装置を内蔵したガスマイコンメータの遮断用のアクチュエータとして用いられたり、ガス器具のガス通路の開閉に使用される電磁弁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来からガスの事故を未然に防ぐガス遮断装置やガス器具に多くの電磁弁が使用されてきた。以下に従来の電磁弁について説明する。
【0003】従来の電磁弁は、特開平6−300160号公報に開示されている。その電磁弁の断面図を図4(a),(b)に示した。図4(a)は開弁状態、(b)は閉弁状態である。
【0004】図4(a),(b)において、電磁コイル51と、電磁コイル51の内側に配設されたガイドパイプ52と、ガイドパイプ52の内側に摺動可能に配設された円柱形の可動鉄芯53と、可動鉄芯53のガイドパイプ52から突出した端53aに配設された弁体54と、この弁体54をガス流路55中に設けられた弁座56に付勢するスプリング57とで電磁弁が構成されている。
【0005】ガイドパイプ52は金属製で、潤滑性・耐磨耗性を有する樹脂または金属化合物の微粒子を金属メッキ液中に分散させメッキ処理を施し、表面の少なくとも内径側に、前記樹脂または金属化合物を金属マトリクス中に共析させている。
【0006】可動鉄芯53の弁体54を配設されていない端53bと対向して固定鉄芯61が配設され、固定鉄芯61の他端に永久磁石62の一極が配設され、他極に当接し電磁コイル51を取り囲んで継鉄63,64が配設されている。
【0007】ガイドパイプ52と固定鉄芯61の間、ガイドパイプ52と継鉄64の間にはそれぞれガスケット部材65,66が配設され、電磁コイル51とガス流路55との間に気密性を与えている。
【0008】以上のように構成された電磁弁に関して、以下その動作を説明する。図4(a)の開弁状態においては可動鉄芯53は固定鉄芯61に当接し、永久磁石62,固定鉄芯61,可動鉄芯53,継鉄64,63で強い永久磁石による磁気回路を構成し、その電磁力によってスプリング57の付勢力に抗して可動鉄芯53は固定鉄芯61に吸着された状態を保持し、弁体54は弁座56から離れた開弁状態を保持する。
【0009】遮断動作時には、電磁コイル51に永久磁石62の起磁力と逆方向の起磁力を発生するよう電流が印加され、固定鉄芯61と可動鉄芯53の間の電磁力が減少し、スプリング57の付勢力によって可動鉄芯53が弁座56側に移動し弁体54が弁座56に当接し、図4(b)に示したようにガス通路55が遮断される。
【0010】開弁状態においては、固定鉄芯61と可動鉄芯53の間はストロークL’分離されているため、前記永久磁石62による磁気回路は弱く、固定鉄芯61と可動鉄芯53の間の電磁力も弱いため、スプリング67の付勢力によって弁体54は弁座56に当接した開弁状態を保持する。
【0011】復帰動作時には、電磁コイル51に永久磁石62の起磁力と同方向の起磁力を発生するよう電流が印加され、固定鉄芯61と可動鉄芯53の間の電磁力が増大し、スプリング57の付勢力に抗して可動鉄芯53が固定鉄芯61に吸引され、弁体54が弁座56から離脱し、図4(a)の状態に戻りガス通路55が復帰される。
【0012】もしくは、可動鉄芯53または弁体54にスプリング57の付勢力に抗する方向の外力が印加され、弁体54が弁座56から離脱し、図4(a)の状態に戻りガス通路55が復帰される。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】近年、特にガス遮断装置に使用されるこの種の電磁弁は、ガスセキュリティ情報システムの端末アクチュエータとしての利用が促進され、それに伴ってガス元栓のような機能を有する手軽な遠隔開閉弁として使用されるため、開閉頻度が多くなり、また、ガス器具に使用される電磁弁も、給湯器の湯温調節や調理器の調理温度機能の高度化に伴い、開閉頻度が多くなって来ている。このため、この種の電磁弁の作動耐久性も従来より高いものが要求されてきている。
【0014】しかしながら、上記のような従来の構成では、可動鉄芯53の摺動時に接触するガイドパイプ52の弁体54側の摺動接触部がガイドパイプ52の端52aに限られていたため、この端52aにおけるメッキ処理が磨耗しやすく、ひとたびメッキ処理が磨耗し尽くし金属表面が露出した後は可動鉄芯53とガイドパイプ52の生地との金属同士の摺動となるため磨耗が加速し、高い作動耐久性を要求できないという問題点があった。
【0015】以下、図4を用い詳しく説明する。一般的に、摺動を円滑にするため可動鉄芯53はガイドパイプ52の直径D3’より若干小さい直径D1’に形成されている。この直径差のため、可動鉄芯53の中心軸はガイドパイプ52の中心軸に対して傾く可能性があり、例えばガスマイコンメータに通常用いられているように電磁弁の中心軸が水平に設置されている場合は重力の影響によって、また、ガス器具などで一般的なように電磁弁の中心軸が垂直に配されている場合においてもスプリング57の偏心荷重によって、通常可動鉄芯53の中心軸はガイドパイプ52の中心軸に対して傾いていることが多い。
【0016】ここで、遮断(閉弁)や復帰(開弁)の動作を行うと、ガイドパイプ52の摺動部分は固定鉄芯61側の点52bから52dと、弁体54側端の点52aに限定される。通常摺動部には磨耗が発生し、磨耗量は摺動量と相関がある。ガイドパイプ52の点52aは摺動量が他と比較して圧倒的に多いため磨耗量も多く、このため前記メッキ処理が磨耗し尽くし金属表面が露出しやすい。
【0017】金属表面が露出した後は可動鉄芯53とガイドパイプ52の生地との金属同士の摺動となるため磨耗が加速する。このように、ガイドパイプ52の点52aが他の部位より圧倒的に耐久性が低く、この点52aが電磁弁全体の作動耐久性を決定するというアンバランスが存在した。
【0018】本発明はこのような従来の課題に鑑み、大きなコストアップを伴わず、ガイドパイプのメッキなどの固体潤滑皮膜の磨耗を低減し、作動耐久性を向上させた電磁弁を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は上記従来の課題を解決するために、電磁コイルと、電磁コイルの内側に配されたガイドパイプと、ガイドパイプの内側に摺動可動に配された可動鉄芯と、可動鉄芯のガイドパイプから突出した端に配された弁体と、この弁体をガス流路中に設けられた弁座に付勢するスプリングとで構成され、ガイドパイプは金属製で内面に固体潤滑皮膜を形成し、可動鉄芯は弁体のない端から摺動ストローク内で弁体が最も突出した位置においてガイドパイプの弁体側端より若干内側の位置までの直径を太く形成され、その位置から弁体側でガイドパイプの内側に引き込まれる部分の直径を可動鉄芯がガイドパイプに対して最大に傾いたときにおいてもガイドパイプの弁体側端に接触しないよう前記直径より細く形成したことを特徴とする。
【0020】上記発明によれば、遮断(閉弁)や復帰(開弁)の動作を行う際に、ガイドパイプの弁体側の端が可動鉄芯に接触しないために、ガイドパイプの弁体側の端一点に摺動接触部が限定されず、弁体側と弁体のない側の摺動ストローク相当の広い範囲に分散されるため、ガイドパイプの固体潤滑膜の磨耗が均一化され、電磁弁全体の作動耐久性が向上することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明は、電磁コイルと、電磁コイルの内側に配されたガイドパイプと、ガイドパイプの内側に摺動可動に配された可動鉄芯と、可動鉄芯のガイドパイプから突出した端に配された弁体と、この弁体をガス流路中に設けられた弁座に付勢するスプリングとで構成され、ガイドパイプは金属製で内面に固体潤滑皮膜を形成し、可動鉄芯は弁体のない端から摺動ストローク内で弁体が最も突出した位置においてガイドパイプの弁体側端より若干内側の位置までの直径を太く形成され、その位置から弁体側でガイドパイプの内側に引き込まれる部分の直径を可動鉄芯がガイドパイプに対して最大に傾いたときにおいてもガイドパイプの弁体側端に接触しないよう前記直径より細く形成したことを特徴とする電磁弁である。
【0022】そして、遮断(閉弁)や復帰(開弁)の動作を行う際に、ガイドパイプの弁体側の端が可動鉄芯に接触しないために、ガイドパイプの弁体側の端一点に摺動接触部が限定されず、弁体側と弁体のない側の摺動ストローク相当の広い範囲に分散されるため、ガイドパイプの固体潤滑膜の磨耗が均一化され、電磁弁全体の作動耐久性を向上することができる。
【0023】請求項2に記載の発明は、ガイドパイプを樹脂製としたものである。そして、金属製のガイドパイプに比較して製造コストが安いにもかかわらず磨耗量が大きいため従来あまり用いられていなかった樹脂製のガイドパイプにおいても、ガイドパイプの弁体側の端一点に摺動接触部が限定されないため磨耗量が抑えられ、耐久性の高い電磁弁を作ることができる。
【0024】請求項3に記載の発明は、可動鉄芯は少なくとも直径の太い部分の端から直径切替部まで表面に軸方向に溝を有するものである。
【0025】そして、ガイドパイプの弁体と反対側の端に固定鉄芯を配したり、ガイドパイプの弁体と反対側の端が気密性を有するなど、ガイドパイプの弁体と反対側の端方向へのガスの流出が困難な場合においても、復帰(開弁)動作時に可動鉄芯が固定鉄芯に近づく際に可動鉄芯と固定鉄芯間のガスは前記溝と可動鉄芯の直径の細い部分の隙間を通ってガイドパイプの外に排出されるため、ガスの圧縮により可動鉄芯の動作が阻害されることなくなめらかな摺動が可能で、この結果、復帰(開弁)動作に要する電力を低減できる。
【0026】
【実施例】以下、本発明の実施例について、図1から図3を用いて説明する。
【0027】(実施例1)図1(a)に本発明の請求項1に記載した電磁弁の開弁状態、図1(b)にこの電磁弁の閉弁状態の断面図を示した。
【0028】図1において、電磁コイル1と、電磁コイル1の内側に配されたガイドパイプ2と、ガイドパイプ2の内側に摺動可能に配された円柱形の可動鉄芯3と、可動鉄芯3のガイドパイプ2から突出した端3aに配された弁体4と、この弁体4をガス流路5中に設けられた弁座6に付勢するスプリング7とで電磁弁が構成されている。
【0029】ガイドパイプ2は金属製で少なくとも内面に固体潤滑皮膜を形成し、可動鉄芯3は弁体4のない端3bから摺動ストロークL内で弁体4が最も突出した位置、すなわち図1(b)に示した閉弁状態においてガイドパイプ2の弁体4の側端2aより若干内側の位置3cまでの直径D1を太く形成される。
【0030】その位置3cから弁体4側で摺動ストロークL内でガイドパイプ2の内側に引き込まれる部分3dを、前記摺動ストロークL内で可動鉄芯3がガイドパイプ2に対して最大に傾いたときにおいても、ガイドパイプ2の弁体4側端2aに接触しないよう前記直径D1より細い直径D2に形成されている。
【0031】摺動を円滑するため可動鉄芯3の直径D1は、ガイドパイプ2の直径D3より若干小さく形成されている。このため、可動鉄芯3の中心軸はガイドパイプ2の中心軸に対して傾く可能性があり、電磁弁の中心軸が水平に設置されている場合は重力の影響によって、電磁弁の中心軸が垂直に配されている場合においてもスプリング7の偏心荷重によって、通常可動鉄芯3の中心軸はガイドパイプ2の中心軸に対して傾いていることが多い。
【0032】なお、弁体4が最も突出した位置とは、すなわち図1(b)に示した閉弁状態であり、可動鉄芯3が摺動ストロークL内でガイドパイプ2の内側に引き込まれた状態は図1(a)の開弁状態である。
【0033】可動鉄芯3の弁体4を配されていない端3bと対向して固定鉄芯11が配され、固定鉄芯11の他端に永久磁石12の一極が配され、他極に当接し電磁コイル1を取り囲んで継鉄13,14が配されている。ガイドパイプ2と固定鉄心11の間、ガイドパイプ2と継鉄14の間にはそれぞれガスケット部材15,16が配され、電磁コイル1とガス流路5との間に気密性を与えている。
【0034】以上のように構成された電磁弁に関して、以下その動作を説明する。図1(a)の開弁状態においては可動鉄芯3は固定鉄芯11に当接し、永久磁石12,固定鉄芯11,可動鉄芯3,継鉄14,13で強い永久磁石による磁気回路を構成し、その電磁力によってスプリング7の付勢力に抗して可動鉄芯3は固定鉄芯11に吸着された状態を保持し、弁体4は弁座6の離れた開弁状態を保持する。このとき、ガイドパイプ2の可動鉄芯3と接触点は図1(a)における点2b,2cである。
【0035】遮断動作時には、電磁コイル1に永久磁石12の起磁力と逆方向の起磁力を発生するよう電流が印加され、固定鉄芯11と可動鉄芯3の間の電磁力が減少し、スプリング7の付勢力によって可動鉄芯3が弁座6側に移動し弁体4が弁座6に当接し、図1(b)に示したようにガス通路5が遮断される。このとき、可動鉄芯3はガイドパイプ2の点2bから点2dまで、および点2cから点2eまでと接触しながら移動する。
【0036】閉弁状態においては、固定鉄芯11と可動鉄芯3の間はストロークL分離れているため、前記永久磁石12による磁気回路は弱く、固定鉄芯11と可動鉄芯3の間の電磁力も弱いため、スプリング7の付勢力によって弁体4は弁座6に当接した閉弁状態を保持する。このとき、ガイドパイプ2の可動鉄芯3との接触点は点2dと2eである。
【0037】復帰動作時には、電磁コイル1に永久磁石12の起磁力と同方向の起磁力を発生するよう電流が印加され、固定鉄芯11と可動鉄芯3の間の電磁力が増大し、スプリンク7の付勢力に抗して可動鉄芯3が固定鉄芯11に吸引され、弁体4が弁座6から離脱し、図1(a)の状態に戻りガス通路5が復帰される。
【0038】もしくは、可動鉄芯3または弁体4にスプリング7の付勢力に抗する方向の外力が印加され、弁体4が弁座6から離脱し、図1(a)の状態に戻りガス通路5が復帰される。このとき、可動鉄芯3はガイドパイプ2の点2dから点2bまで、および点2eから点2cまでと接触しながら移動する。
【0039】このように、遮断,復帰の動作時にガイドパイプ2の摺動部分は、可動鉄芯3先端2d側が点2bから点2dまで、弁体4側は2cから点2eまでであり、それぞれ、可動鉄芯3の直径D1の部分の両端3b,3cと接触し、ガイドパイプ2の弁体4側端2aは可動鉄芯3と接触しない。
【0040】したがって、ガイドパイプ2の摺動接触部は弁体4側と弁体4のない側とも同じ摺動長すなわち摺動ストロークL相当の広い範囲に分散されるため、ガイドパイプ2の固体潤滑膜の磨耗が均一化され、電磁弁全体の作動耐久性を向上することができる。
【0041】また、ガイドパイプ2は金属板を絞り加工によって底のある筒状に成形した後、前記底部を打ち抜いてパイプ状にする工法が広く採用されており、前記打ち抜き部は組立性のため通常弁体側に配される。このようなガイドパイプにおいては打ち抜き部すなわち弁体4側の端に小さなバリが残存していることが多く、このバリが可動鉄芯と接触することにより欠落し摺動部に入り摺動を阻害することがある。
【0042】図1の電磁弁においては、可動鉄芯3がガイドパイプ2に対して最大に傾いたときにおいてもガイドパイプ2の弁体4側の端2aに接触しないよう形成されているため、前記バリを欠落させる可能性が低く円滑な摺動を期待できる。
【0043】なお、ガイドパイプ2の内面に形成された固体潤滑膜として次のような手段がある。ニッケル,クロムなどの金属メッキ,潤滑性・耐磨耗性を有する樹脂または金属化合物の微粒子を金属メッキ液中に分散させメッキ処理を施し、表面の少なくとも内径側に、前記樹脂または金属化合物を金属マトリクス中に共析させた複合メッキ,潤滑性・耐磨耗性を有する樹脂または金属化合物の微粒子を合成樹脂などをバインダーとして金属表面にコーティングしたものなどである。
【0044】ガイドパイプ2の生地の材質としては、非磁性ステンレス鋼,黄銅などの非磁性銅合金などが可能である。
【0045】可動鉄芯3の材質としては、磁性ステンレス鋼,鋼,及びそれらの表面に固体潤滑皮膜を形成した物などが可能である。固体潤滑皮膜はガイドパイプ2の例と同様である。ただし、本発明はガイドパイプ2側に固体潤滑皮膜を形成するに適した可動鉄芯3の形状となっているため、経済性を考えると作動耐久性が許容できるなら、可動鉄芯3に酸化防止処理をかねた固体潤滑皮膜を形成しなくてよい磁性ステンレスなどが最適である。
【0046】また、この実施例においては永久磁石12を有する自己保持型電磁弁の例で説明したが、ガス器具の多くに使用されている永久磁石のない電磁弁でも実施可能である。
【0047】また、図1の電磁弁においては固定鉄芯11を有する例で説明したが、ガス比例弁などのように固定鉄芯のない電磁弁でも実施可能である。
【0048】(実施例2)請求項2に記載した電磁弁は、図1の電磁弁のガイドパイプ3を樹脂製とした物である。その他の構成は図1の電磁弁と同様であるので省略する。この電磁弁の動作に関しても図1の電磁弁と同様であるので省略する。
【0049】この電磁弁においても、図1の電磁弁においてガイドパイプ2の固体潤滑皮膜の磨耗が均一化されるのと同様、ガイドパイプ2の弁体4側の端一点に摺動接触部が限定されないためガイドパイプ2を構成する樹脂の磨耗が均一化され磨耗量が低減できるため、金属製のガイドパイプ2に比較して製造コストが安いにもかかわらず磨耗量が大きいため、従来あまり用いられていなかった樹脂製のガイドパイプにおいても、耐久性の高い電磁弁を作ることができる。
【0050】また、ガイドパイプを図1の電磁弁における電磁コイル1の樹脂製のコイルボビン8と一体的に成形することもでき、ガイドパイプとコイルボビンの機能を1部品で実現できるため部品点数が削減でき、より安価な電磁弁を作ることができる。
【0051】(実施例3)図3に本発明の請求項3に記載した電磁弁の閉弁状態における断面図を示した。図2において、可動鉄芯23は直径の太い部分23eの端23bから直径切替部23cまでの表面に軸方向の溝23fを形成されている。その他の部分は図1の電磁弁と同様であるので省略する。
【0052】この電磁弁の動作に関しても図1の電磁弁と同様であるので省略するが、復帰動作時に関しては以下の追加がある。
【0053】図2の電磁弁の復帰動作時には、可動鉄芯23が固定鉄芯11に近づく際に圧縮された可動鉄芯23と固定鉄芯間11のガスは、前記溝23fと可動鉄芯23の直径の細い部分23dとガイドパイプ2との隙間を通ってガイドパイプ2の弁体4側の端2aの側からガス通路5に排出される。このため、ガスの圧縮により可動鉄芯23の動作が阻害されることなくなめらかな摺動が可能で、この結果、復帰動作に要する電力を低減できる。
【0054】くわえて、溝23f加工時にフライス加工や旋盤加工などによってバリの発生の加工性のある可動鉄芯23の直径切替部23cや溝23fと、金属製の場合打ち抜き加工時にバリの発生の可能性のあるガイドパイプ2の弁体4側の端2aとが接触しないため、これらのバリを欠落させる可能性が低く円滑な摺動を期待できる。
【0055】なお、図2の電磁弁においては固定鉄心11を有する例で説明したが、ガス比例弁などのように固定鉄芯のない電磁弁でも、一般にガスと大気の気密性を確保するためにガイドパイプは気密に構成されており、この場合も本発明による効果がある。
【0056】なお、可動鉄芯23形状としては図3の例に示したような物が可能である。図3(a)は溝23f部の断面形状が概ねD型の物、図3(b)は溝23f部の断面形状が概ねコの字型の物(キー溝形状)、図3(c)は溝23f部の断面形状が概ねV型の物、図3(d)は溝23fを複数の溝で構成した物、図3(e)は溝23fが直径の細い部分23dまでおよぶ物、図3(f)は溝23fが螺旋状に刻まれた物である。
【0057】
【発明の効果】以上のように本発明の電磁弁によれば、次の効果が得られる。
【0058】ガイドパイプは金属製で内面に固体潤滑皮膜を形成し、可動鉄芯は弁体のない端から摺動ストローク内で弁体が最も突出した位置においてガイドパイプの弁体側端より若干内側の位置までの直径を太く形成され、その位置から弁体側でガイドパイプの内側に引き込まれる部分の直径を可動鉄芯がガイドパイプに対して最大に傾いたときにおいてもガイドパイプの弁体側端に接触しないよう前記直径より細く形成したことによって、遮断(閉弁)や復帰(開弁)の動作を行う際に、ガイドパイプの弁体側の端が可動鉄芯に接触しないためにガイドパイプの弁体側の端一点に摺動接触部が限定されず、弁体側と弁体のない側の摺動ストローク相当の広い範囲に分散されるため、ガイドパイプの固定潤滑膜の磨耗が均一化され、電磁弁全体の作動耐久性を向上することができる。
【0059】また、加えてガイドパイプを樹脂製としたことによって、金属製のガイドパイプに比較して製造コストが安いにもかかわらず磨耗量が大きいため従来あまり用いられていなかった樹脂製のガイドパイプにおいても、ガイドパイプの弁体側の端一点に摺動接触部が限定されないため磨耗量が抑えられ、耐久性の高い電磁弁を作ることができる。
【0060】また、可動鉄芯は少なくとも直径の太い部分の端から直径切替部まで表面に軸方向に溝を形成したことによって、ガイドパイプの弁体と反対側の端に固定鉄芯を配したり、ガイドパイプの弁体と反対側の端が気密性を有するなど、ガイドパイプの弁体と反対側の端方向へのガスの流出が困難な場合においても、復帰(開弁)動作時に可動鉄芯が固定鉄芯に近づく際に可動鉄芯と固定鉄芯間のガスは前記溝と可動鉄芯の直径の細い部分の隙間を通ってガイドパイプの外に排出されるため、ガスの圧縮により可動鉄芯の動作が阻害されることなくなめらかな摺動が可能で、この結果、復帰(開弁)動作に要する電力を低減できる。
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)11月12日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】滝本 智之 (外1名)
【公開番号】 特開平11−141717
【公開日】 平成11年(1999)5月28日
【出願番号】 特願平9−310169