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【発明の名称】 減圧式逆流防止型ドレンバルブ
【発明者】 【氏名】小泉 紀生

【要約】 【課題】配管内の水抜きが容易に行える、出来るだけコンパクトで、低価格の、寒冷地用減圧式逆流防止型ドレンバルブを提供することを目的とする。

【解決手段】流入路と流出路間に、大きな差圧を生じさせる第1逆止ばねに押圧された第1逆止弁を操作ピストンと同軸に設け、その下流側流出路内に、小さな差圧を生じさせる第2逆止ばねに押圧された第2逆止弁を配して、両者間に中間室を形成し、その中に、中間室の二次圧と第1逆止弁上流の流入口からの一次圧の差圧を受けて逃がしばねにより作動する逃がし弁を収容するとともに、弁箱下端部に、第2逆止弁下方に設けた流出側排水路と中間室に開口する中間室側排水路からの水の排水口を形成し、その上方に、中間室と流出側排水路間を遮断し、流出側排水路と排水口間を開閉する排水ピストンを位置させてなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】流入路と流出路間に、大きな差圧を生じさせる第1逆止ばねに押圧された第1逆止弁を操作ピストンと同軸に設け、その下流側流出路内に、小さな差圧を生じさせる第2逆止ばねに押圧された第2逆止弁を配して、両者間に中間室を形成し、その中に、中間室の二次圧と第1逆止弁上流の流入路からの一次圧の差圧を受けて逃がしばねにより作動する逃がし弁を収容するとともに、弁箱下端部に、第2逆止弁下方に設けた流出側排水路と中間室に開口する中間室側排水路からの水の排水口を形成し、その上方に、中間室と流出側排水路間を遮断し、流出側排水路と排水口間を開閉する排水ピストンを位置させてなる減圧式逆流防止型ドレンバルブ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、寒冷地で使用されるドレンバルブに減圧式逆流防止器としての性能を有せしめた、減圧式逆流防止型ドレンバルブに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、寒冷地では、凍結防止上、建物内の水道配管内の水を抜くために、配管根元の不凍結部分にドレンバルブを設置し、手動操作、あるいは電動による遠隔操作によりドレンバルブを作動させ、流入口からの水を遮断するとともに、流出口と排水口を開放し、ドレンバルブ下流側配管内の水を排水口から排出するようにしている。電動による遠隔操作の場合は、高層階で使用されることが多く、特に直結給水する場合には、給水の安全性の維持に信頼性の高い減圧式逆流防止器を使用することが望ましい。
【0003】これは、二つの逆止弁間に水圧とばねにより作動する逃がし弁をもうけ、逆止弁のばねの強度によって一次側と二次側に生じる圧力差が逆圧、逆サイホンにより、ある一定の値に減少したとき、二次側の水を逃がし弁から放出して空間を構成しようとするもので、その信頼性は吐水口空間に匹敵すると言われている。
【0004】しかし、冬、水が凍結する恐れのある寒冷地において使用に適したものは出現しておらず、どうしてもそのような雰囲気で使用しなければならないときには、凍結防止対策としてヒーター等の保温処置を講じなければならないので、コストが高くつく、という欠点があった。
【0005】そのため、出願人は、厳寒地においても充分使用可能な減圧式逆流防止器として、特願平8ー326617号のものを開示した。これは、水抜き時に2個の逆止弁を弁箱外方から2個の操作桿により強制開放するとともに、逆止弁を下流側にできるだけ大きく傾斜させてもうけることにより、弁座の位置を低くして、水抜き時の残留水を少なくするようにしたものである。
【0006】しかし、一方、高所階で使用されるドレンバルブは電動で操作されるものが少なからずあり、部屋の中でスイッチ一つで容易に水抜きができるところを、わざわざ地階に設置された減圧式逆流防止器を操作しなければ配管内の水抜きができない、という不合理が生じる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記点に鑑み、本発明においてはドレンバルブ自体に減圧式逆流防止器としての性能を有せしめることにより、スイッチ操作だけで配管内の水抜きが行えるようにするとともに、できるだけコンパクトで、低価格の減圧式逆流防止型ドレンバルブを提供せんとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】そのため本発明においては、流入路と流出路間に、大きな差圧を生じさせる第1逆止ばねに押圧された第1逆止弁を操作ピストンと同軸に設け、その下流側流出路内に、小さな差圧を生じさせる第2逆止弁を配して両者間に中間室を形成し、その中に、中間室の二次圧と第1逆止弁上流の流入路からの一次圧の差圧を受けて逃がしばねにより作動する逃がし弁を収容するとともに、弁箱下端部に、第2逆止弁下方に設けた流出側排水路と、中間室に開口する中間室側排水路からの水の排水口を形成し、その上方に、中間室と流出側排水路間を遮断し、流出側排水路と排水口間を開閉する排水ピストンを位置させてなるものであり、凍結防止のため水抜きするときは、操作ピストンにより直接あるいは第1逆止弁を介して間接的に排水ピストンを上下動させるものである。
【0009】
【発明の実施の形態】第1逆止弁はシリンダに環状パッキンが密着して止水するものと、弁座に駒パッキンが押圧されて止水するものとを例示しているが、その他にも、テーパー状の弁座に、Oリングを押圧させる方法もあり、また、パッキンが止水の役目を兼ねるものと兼ねないものがある。
【0010】電動で開閉操作するものを例示しているが、これは勿論、手動で操作しても良い。また、閉栓時には、操作ピストンに装着した環状パッキンで流入口からの水を止めるものと、第1逆止弁に装着した環状パッキンで止水するものとがある。
【0011】逃がし弁は、ダイヤフラムにより一次圧と二次圧の圧力差を受けて作動させるのが普通であり、確実でもあるが、必ずしも必須の構成要件とはならない。
【0012】例えば、温度上昇や凍結により流出側配管内の圧力が上昇したとき、第2逆止弁により異常圧力の逃げ場がなく、ひどいときには弁箱や配管自体を破損することもあるが、ある一定の圧力に達すれば、異常圧力を排水口から逃がす機構を、操作ピストン、排水ピストンに有せしめることもできる。
【0013】
【実施例】図1に本発明の1実施例を示しているが、1は弁箱であり、左方に流入口2、流入路3を、右方に流出口4、流出路5を、下端に排水口6を設けている。流入路3と流出路5間に中間室7を形成し、その上方に止水シリンダ8を、さらにその上方に上側シリンダ9を設け、下方に下側シリンダ10を、その下方に排水シリンダ11を設けている。
【0014】中間室7内に逃がし弁座12を設け、それに隣接して中間室側排水路13を形成する。受圧室14と流入路3間に流入側バイパス路15を設けている。
【0015】流出路5内に第2逆止弁座16を横向きに形成し、それに隣接して下方に流出側排水路17を設けている。
【0016】18は操作ピストンであり、2個の環状パッキン19、20を装着し、下端に排水ピストン21をネジ接続している。排水ピストン21は2個の環状パッキン22、23を装着し、その上方に細径軸部24を形成する。
【0017】上記細径軸部24に、外周に逆止環状パッキン25を、内周に、内側逆止環状パッキン26を装着し、第1逆止ばね27に押圧された第1逆止弁28を嵌挿する。操作ピストン18の上端は、操作軸29を介して駆動ボックス30内の、いずれも図面は省略するが、駆動軸に連結され、減速歯車を介してモーターにより駆動される。
【0018】中間室7内に収容される逃がし弁31には、逃がし弁座12を閉塞する逃がし駒パッキン32と、逃がし弁座12と同径の逃がし環状パッキン33を装着し、逃がし弁台座34に係止された逃がしばね35により常に下向きの力を受けている。更に、流入側バイパス路15に導通する一次圧導入孔36を穿ったダイヤフラム蓋37で弁箱1に締着されたダイヤフラム38により、一次圧を受ける受圧室14と、逃がし弁31に設けた二次圧導入孔39により二次圧を受ける中間室7に分離されている。
【0019】第2逆止弁座16を閉塞する第2逆止弁40には第2逆止パッキン41を装着し、弁蓋42に着座する第2逆止ばね43により常に左方向への押圧力を受けている。
【0020】図は操作ピストン18が開で、末端の蛇口を止めた停水状態を示しているが、この状態では流入路3、中間室7内の圧力P1、P2の関係は、P1-P2=35〜50KPa程度の大きな差圧を生じるように、第2逆止弁40は上流側から710mm水柱以上、できるだけ低い圧力で開くよう、すなわち、小さな差圧を生じるよう、第1逆止ばね27、第2逆止ばね43の強度を決めておく。このP1とP2の圧力差にダイヤフラム38の有効受圧面積を乗じた力により、逃がし弁31は、逃がしばね35を押圧し、逃がし駒パッキン32が逃がし弁座12に密着して排水口6側への漏水を止めた状態を保持しつつ、かつ、P2がP1より少なくとも14KPa低い状態では開弁し始めるよう、逃がしばね35の強度を決めておく。
【0021】この状態から蛇口を開くと、流入路3側の水は第1逆止弁28により減圧されて中間室7内に入り込み、更に第2逆止弁40を右方に移動させて流出路5へと流れ、図示しないが流出口4に接続された下流側配管を通って蛇口へ到達する。蛇口を閉じれば逆止ばね27、43に押圧されて逆止弁28、40は図1の状態に復帰し、逆止環状パッキン25が止水シリンダ8に、内側逆止パッキン26が細径軸部24に、第2逆止パッキン41が第2逆止弁座16に、それぞれ密着する。
【0022】流出路5側の圧力が流入路3側の圧力よりも高くなる、いわゆる逆圧現象が発生したときには、第2逆止弁40が正常に働いている限り、流出路5内の水は中間室7内に逆流することはないが、もし、第2逆止弁40に異物がはさまったりして漏水が生じたようなときには、P1とP2の圧力差が小さくなり、少なくとも14KPaになったときには、逃がし弁31は逃がしばね35に押圧されて逃がし駒パッキン32が逃がし弁座12から離脱し、逆流水を中間室側排水路13から排水口6へと排出する。
【0023】本管工事等で断水し、流入路3側の圧力が大気圧以下に低下すると、流出口3下流側配管内の水が逆サイホン現象により流入路3側に逆流しようとするが、やはり第1逆止弁28と第2逆止弁40により逆流は阻止され、同時に逃がし弁31は逃がしばね35と負圧力により最大開口する。この時、第1逆止弁28の故障で漏れがあったような場合には、排水口6から空気を吸入して配管内の負圧を減少させる。
【0024】冬、配管内の水を抜きたいときには、図面は省略するが、室内の制御ボックスに設けられたスイッチを投入すると、駆動ボックス30内のモーターが回転し、減速歯車を介して駆同軸を下降させ、同時に、操作軸29を介して操作ピストン18も下降する。そのとき、まず、環状パッキン20が止水シリンダ8に密着して流入口2側の水を遮断し、さらに下降して排水ピストン21の環状パッキン23が排水シリンダ11から離脱したとき、流出側配管内の水は流出側排水路17を通って排水口6から排出されることになる。このとき、環状パッキン19は上側シリンダ9に密着したままであるが、環状パッキン22は下側シリンダ10から離脱させることも可能である。
【0025】なお、図示しないが、排水ピストン21の下端部に、流出側圧力が一定圧以上になったとき、ばねを圧縮して異常圧力を排水口6へ逃がす、一種の安全弁とも言える排水弁を設ければ、凍結により配管器具類が破損するような事故を防止することもできる。
【0026】図2に本発明の第1、第2逆止弁側の他の実施例を示すが、本実施例においては、操作ピストン18外周には1個の環状パッキン19しか有しておらず、下端に第1逆止弁28を上下動自在に連結している。
【0027】第1逆止弁28は止水シリンダ8に密着する逆止環状パッキン25を装着し、下端に設けた鍔部44とピン45により離脱しないよう、排水ピストン21を上下動自在に連結している。排水ピストン21は、下側シリンダ10を摺動する環状パッキン22と、下側シリンダ10下端部に形成された排水弁座46に密着する排水駒パッキン47を装着し、第1逆止ばね27により常に下向きの押圧力を受けている。操作ピストン18と第1逆止弁28、第1逆止弁28と排水ピストン21の連結態様は1例を示しているだけで、他にも種々の方式が考えられる。
【0028】第2逆止弁座16を中間室7の末端に垂直方向に設け、それに伴い第2逆止弁40も垂直方向に設置している。
【0029】図は停水状態を示しているが、この状態から例えば凍結等により流出側配管内の圧力がある一定値以上上昇したときには、下側シリンダ10と排水弁座46の径差に基づく圧力差により排水ピストン21が上昇し、流出側配管内の異常圧を排水口6へと逃がすため、配管や継手類が破損するような事故は生じない。異常圧力が解消すれば、再び排水ピストン21は排水口6を閉塞する。
【0030】排水状態にするときは、操作ピストン18を上昇させれば良く、逆止環状パッキン25が止水シリンダ8に密着したまま、流入側からの水を遮断し、鍔部44がピン45に当接して排水ピストン21の排水駒パッキン47が排水弁座46から離脱して、流出側配管内の水を、排水口6から排出することになる。
【0031】本実施例にあっては、図1の止水用の環状パッキン20と逆止環状パッキン25を共用し、内側逆止環状パッキン26を省略できるので、パッキンの事故の確率がその分だけ減少し、操作ピストン18が流路内に露出しないため、損失水頭を低くできるという特徴がある。
【0032】図3の実施例においては、操作ピストン18と第1逆止弁28とは連結せず、分離させており、弁箱1の下端部にねじ接続された排水プラグ48内に収容される排水ピストン21と同一軸心上に位置させ、排水口6を逃がし弁31と排水プラグ48の中間部に設けるようにしている。
【0033】操作ピストン18には2個の環状パッキン19、20を装着し、第1逆止弁28には、止水シリンダ8下端に形成された第1逆止弁座49に密着する第1逆止パッキン50を装着し、排水ピストン21には、排水プラグ48の排水弁座46を開閉する排水駒パッキン47と、排水側シリンダ51に密着する排水環状パッキン52を装着している。
【0034】排水プラグ48は上端部にOリング53を装着し、排水弁座46と排水側シリンダ51間に上側排水横穴54を、排水側シリンダ51下端部に下側排水横穴55を設けている。排水ピストン21は、上端に上記Oリング53に密着する突出部56を設け、排水駒パッキン47の上方から排水ピストン21の下端に至る排水孔57を穿設しており、排水ばね58により上向きに押圧されている。
【0035】突出部56と排水側シリンダ51に働く下向きの水圧力を、排水弁座46に働く上向きの水圧力よりもやや大きくなるようにしているので、流出側配管内の圧力が、必要とされる弁箱の耐圧性能1.75MPaより一定程度大きくなったとき、排水ばね58に打ち勝って排水ピストン21を下降するようにしており、図2の実施例と同様、凍結による事故の防止に有効となる。
【0036】図は排水状態を示しており、操作ピストン18は第1逆止弁28を介して排水ピストン21を押圧し、排水駒パッキン47が排水弁座46から離脱しているため、流出側配管内の水は排水プラグ48の上側排水横穴54、排水孔57、下側排水横穴55を通って排水口6から排出しているが、この状態から通水状態にするときは、操作ピストン18を上昇させれば良く、排水ばね58に押圧されて排水ピストン21も上昇し、排水駒パッキン47が排水弁座46に当接した後で、環状パッキン20が止水シリンダ8から上方に離脱する。
【0037】本実施例においては、第1逆止パッキン50を第2逆止パッキン41と兼用にでき、図1、図2の実施例のように環状逆止パッキンを使用していないので、特に、少流量時における損失水頭が少なく、パッキンの摩擦力を考慮する必要がないので、それだけ作動の確実な逆止弁を提供できる特徴がある。
【0038】
【発明の効果】上述したように本発明においては、寒冷地で使用されるドレンバルブに減圧式逆流防止器としての機能を有機的に結合し得たため、電動で水抜きをした後、さらに手動で水抜き操作をする不合理さを解消でき、非常にコンパクトで、従来の減圧式逆流防止器とほとんど変わらないスパンの、しかも継手類で接続する必要がないので、コストが安くなり、経済的効果が大きいだけでなく、凍結等で流出側配管内の圧力が上昇したとき、異常圧力を排水口へ逃がして、配管器具類を破損させない構造が容易に実現できるという、寒冷地で使用するに最も適した減圧式逆流防止型ドレンバルブを提供できるものである。
【出願人】 【識別番号】000143008
【氏名又は名称】株式会社光合金製作所
【出願日】 平成9年(1997)11月7日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−141708
【公開日】 平成11年(1999)5月28日
【出願番号】 特願平9−305164