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【発明の名称】 スプール型方向切換弁システム
【発明者】 【氏名】大平 修司

【氏名】落合 正巳

【氏名】劉 小平

【氏名】大科 守雄

【要約】 【課題】スプール型方向切換弁システムにおいて、流体力や摩擦力などパイロット圧力以外の力がスプールに作用していても、操作信号の指令値通りにスプールを動作させ正確にアクチュエータを制御できるようにする。

【解決手段】スプール2の両端部にそれぞれバネ10a,10bを介して当接するよう圧力センサ20a,20bを配置し、コントローラ40でその信号からスプール2に作用するパイロット圧力による油圧力Faと、スプール2に実際に作用している実際の駆動力Fmを計算し、その油圧力と実際の駆動力との比に操作信号50の指令値Voaを掛けて油圧力に対するフィードバック補正値Vrを計算し、この補正値を操作信号の指令値から減算して操作信号の指令値を補正する。この補正した指令値V30a,V30bは電磁弁30a,30bに出力される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】操作信号の指令値に基づいて電磁弁を駆動し、スプールの両端部に作用するパイロット圧力を電磁弁により変化させ、スプールを変位させることにより、入力した流体の出力ポートを切り換えかつ流体の流量を制御するスプール型方向切換弁システムにおいて、前記パイロット圧力が前記スプールを押す油圧力を計測する第1計測手段と、前記スプールに作用している実際の駆動力を計測する第2計測手段と、前記第1計測手段で計測された油圧力と第2計測手段で計測された実際の駆動力とに基づいて油圧力と実際の駆動力との差が大きくなるに従い油圧力が大きくなるように前記操作信号の指令値を補正し、この補正した指令値を電磁弁に出力する制御手段とを備えることを特徴とするスプール型方向切換弁システム。
【請求項2】請求項1記載のスプール型方向切換弁システムにおいて、前記第1計測手段は、前記スプールの両端部に作用するパイロット圧力のうち高圧側のパイロット圧力を検出する第1センサと、この第1センサで検出した圧力を前記油圧力に変換する第1演算手段とを有し、前記第2計測手段は、前記スプールの少なくとも一方の端部に弾性体を介して当接するよう配置され、前記実際の駆動力を検出する第2センサを有することを特徴とするスプール型方向切換弁システム。
【請求項3】請求項2記載のスプール型方向切換弁システムにおいて、前記第1センサ及び第2センサは、前記スプールの両端部にそれぞれ弾性体を介して当接するよう配置された2つの圧力センサを共通のセンサとして有し、前記2つの圧力センサのうち前記指令手段からの指令信号に対応する側の圧力センサを第1センサとして使用し、他方の圧力センサを第2センサとして使用することを特徴とするスプール型方向切換弁システム。
【請求項4】請求項2記載のスプール型方向切換弁システムにおいて、前記第1センサは前記スプールの両端部に作用するパイロット圧力の差圧を検出する差圧センサであることを特徴とするスプール型方向切換弁システム。
【請求項5】請求項2記載のスプール型方向切換弁システムにおいて、前記第2センサは圧力センサであり、前記第2計測手段は、前記圧力センサで検出した値を力に変換して前記実際の駆動力を求めることを特徴とするスプール型方向切換弁システム。
【請求項6】請求項2記載のスプール型方向切換弁システムにおいて、前記第2センサはロードセルであることを特徴とするスプール型方向切換弁システム。
【請求項7】請求項1記載のスプール型方向切換弁システムにおいて、前記制御手段は、前記油圧力と実際の駆動力との比に前記操作信号の指令値を掛けて油圧力に対するフィードバック補正値を計算し、このフィードバック補正値を前記操作信号の指令値から減算して操作信号の指令値を補正することを特徴とするスプール型方向切換弁システム。
【請求項8】請求項1記載のスプール型方向切換弁システムにおいて、前記制御手段は、前記油圧力と実際の駆動力との偏差からパイロット圧力以外の力相当の補正値を計算し、この補正値を前記操作信号の指令値に加算して操作信号の指令値を補正することを特徴とするスプール型方向切換弁システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は油空圧システムに用いるスプール型方向切換弁に係わり、特に電磁弁によりパイロット圧力を変化させスプールを変位させることにより、入力した流体の出力ポートを切り換えかつ流体の流量を制御する電磁弁駆動方式のスプール型方向切換弁システムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の電磁弁駆動方式のスプール型方向切換弁システムの一例を図12に示す。
【0003】図12において、スプール型方向切換弁200のハウジング201にはメインの油圧ポンプに接続されるポンプポートP、タンクに接続されるタンクポートT1,T2、アクチュエータに接続されるアクチュエータポートC1,C2が設けられ、これらポートの連通・遮断の切り換えがスプール202によって行われる。このスプール202はスプール両端部に設けられた圧力室A,Bに電磁弁230a,230bよりパイロット圧力を導くことで動作させる。圧力室A,Bはハウジング201に取り付けられたフランジ261,262内に形成されている。
【0004】また、スプール202の位置決めを行うためのバネ207及びバネ座205,206がボルト208によってスプール202の一端に固定され、かつこれら部品はフランジ262内に収納されている。
【0005】スプール202は電磁弁230a,230bより圧力室A,Bに導かれるパイロット圧力に応じて左右に移動し、スプール位置決め用バネ207と釣り合ったところで位置が決まり、停止する。このときポンプポートPはアクチュエータポートC1或いはC2のいずれかにつながり、ポンプポートPからアクチュエータポートC1或いはC2にスプール202の位置に応じた流量が供給される。
【0006】電磁弁230a,230bはホース231a,231bを介してフランジ261,262にそれぞれ接続され、また電磁弁230a,230bはホース232を介してパイロット用ポンプ233に、ホース234を介してタンク235にそれぞれ接続されている。電磁弁230a,230bはコントローラ260からの電流値によって動作する。例えばスプール202を左側に動かしたいときは指令電流251aだけを出力することで電磁弁230aが開き、圧力室Aの圧力が上昇しスプール202が動く。
【0007】コントローラ260の詳細を図13に示す。
【0008】図13において、指令手段からの操作レバーの角度信号(操作信号)250をコントローラ260の演算部260aに読み込み、指令値の計算と指令値の出力方向の判定を行う。アンプ246a,246bはその処理結果に基づき指令電流251a,251bの一方を出力する。この信号によって前述したようにスプール2を動かすことができる。
【0009】この場合、スプール2には流体力(フローフォース)が働き、目標通りの流量が得られない。これを解決する方法として、実開平5−22964号公報には、スプールに作用する制御バネのバネ定数と、スプールの移動で形成される絞りの前後差圧の単位量当たりにおける流体力の開度に対する変化率との比が最適の値(3.5Mpa以上)になるよう、制御バネのバネ定数を選定することが提案されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】図12に示した従来のスプール型方向切換弁においては、スプール202は上記のように圧力室A又はBに導かれるパイロット圧力によって動かされる。このとき、スプールには流体力や摩擦力が外乱として作用し、スプール開度に誤差を生じる。
【0011】即ち、スプール202は、本来、圧力室A又はBに作用する圧力とスプール端部の受圧面積との積によって作用する力で移動し、スプール位置決め用バネ207の変形により生じるバネ力と釣り合うところで静止するため、その特性は直線的になる。このためポンプポートPとアクチュエータポートC1或いはC2との間の開口面積(絞り面積)も圧力により一義的に決まり、その結果アクチュエータへの流量を電磁弁への指令値で制御することが可能となる。
【0012】ところが、例えばスプール202が左側に移動したとすると、ポンプポートPからアクチュエータポートC1へ流体が流れ込み、その流速によってポートC1付近のスプール202に作用する圧力が低下する。そのためスプール202は押し戻される方向に力(流体力)を受け、実際の移動量は操作信号250の指令値よりも小さくなる。この流体力は流速によって大きく変化し、流速はアクチュエータの負荷によって変化するため、指令値が一定であっても指令値とスプールの移動量が一義的に決まることはあり得ない。
【0013】電磁弁を使った方向切換弁はアクチュエータを制御するのに適しているが、上述した理由からアクチュエータを指令値通り正確に制御できないという欠点がある。
【0014】アクチュエータを指令値通りに制御するためには、各アクチュエータの動きをセンシングするか、方向切換弁のスプールのストロークをセンシングすればよい。しかし、アクチュエータの動きのセンシングは方向切換弁のシステムを越えた方法であり、例えば油圧ショベル、工作機械、ロボット等、適用製品毎にシステムを作り直さなければならない。また、スプールのストロークのセンシングは、ストロークセンサを高圧の流体の中に入れる使用環境の問題や、ストロークセンサをスプールエンドに取り付けた場合の受圧面積の変化などの問題がある。
【0015】更に、実開平5−22964号公報では、スプールに作用する制御バネのバネ定数を最適化することで、流体力の影響を最小限に押さえようとしている。しかし、定常流体、非定常流体で変化する流体力を一義的に計算から推定する方法は、実際には多くの誤差を含むことになり、また複雑な開口面積等を持つスプールや、条件の変化に対応することはできない。
【0016】本発明の目的は、上記課題に鑑み、流体力や摩擦力などパイロット圧力以外の力がスプールに作用していても、操作信号の指令値通りにスプールを動作させ正確にアクチュエータを制御することができるスプール型方向切換弁システムを提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】(1)上記目的を達成するために、本発明は、操作信号の指令値に基づいて電磁弁を駆動し、スプールの両端部に作用するパイロット圧力を電磁弁により変化させ、スプールを変位させることにより、入力した流体の出力ポートを切り換えかつ流体の流量を制御するスプール型方向切換弁システムにおいて、前記パイロット圧力が前記スプールを押す油圧力を計測する第1計測手段と、前記スプールに作用している実際の駆動力を計測する第2計測手段と、前記第1計測手段で計測された油圧力と第2計測手段で計測された実際の駆動力とに基づいて油圧力と実際の駆動力との差が大きくなるに従い油圧力が大きくなるように前記操作信号の指令値を補正し、この補正した指令値を電磁弁に出力する制御手段とを備えるものとする。
【0018】このように油圧力と実際の駆動力を計測して求め、油圧力と実際の駆動力との差が大きくなるに従い油圧力が大きくなるように操作信号の指令値を補正することにより、流体力や摩擦力など従来流量の制御に大きな誤差要因になっていたパイロット圧力以外の力がスプールに働いていても、その力が大きくなるとその力に相当する分、油圧力が増大するよう補正されるので、操作信号の指令値通りにスプールを動作させ、正確にアクチュエータを制御することができる。
【0019】(2)上記(1)において、好ましくは、前記第1計測手段は、前記スプールの両端部に作用するパイロット圧力のうち高圧側のパイロット圧力を検出する第1センサと、この第1センサで検出した圧力を前記油圧力に変換する第1演算手段とを有し、前記第2計測手段は、前記スプールの少なくとも一方の端部に弾性体を介して当接するよう配置され、前記実際の駆動力を検出する第2センサを有する。
【0020】このように第1センサでパイロット圧力を検出することにより、第1計測手段はその圧力に予め記憶しておいたスプール受圧面積を掛けることで油圧力を計測でき、第2センサで実際の駆動力を検出することにより、第2計測手段は実際の駆動力を計測できる。
【0021】(3)また、上記(2)において、例えば、前記第1センサ及び第2センサは、前記スプールの両端部にそれぞれ弾性体を介して当接するよう配置された2つの圧力センサを共通のセンサとして有し、前記2つの圧力センサのうち前記指令手段からの指令信号に対応する側の圧力センサを第1センサとして使用し、他方の圧力センサを第2センサとして使用する。
【0022】このように2つの圧力センサを交互に第1センサと第2センサとして使用することにより、圧力センサを第1センサとして使用する場合は、上記(2)で述べたように油圧力を計測でき、圧力センサを第2センサとして使用する場合は、その検出値を力に変換することにより実際の駆動力を計測できる。
【0023】(4)更に、上記(2)において、前記第1センサは前記スプールの両端部に作用するパイロット圧力の差圧を検出する差圧センサであってもよい。
【0024】このように第1センサとして差圧センサを用いることにより、1つのセンサでスプール両端部のいずれのパイロット圧力も検出できる。
【0025】(5)また、上記(2)において、前記第2センサは圧力センサであり、前記第2計測手段は、前記圧力センサで検出した値を力に変換して前記実際の駆動力を求めてもよい。
【0026】これにより第2センサが圧力センサであっても、第2計測手段は実際の駆動力を計測できる。
【0027】(6)また、上記(2)において、前記第2センサはロードセルであってもよい。
【0028】これにより第2計測手段はロードセルの検出力ダイレクトに実際の駆動力を計測できる。
【0029】(7)また、上記(1)において、例えば、前記制御手段は、前記油圧力と実際の駆動力との比に前記操作信号の指令値を掛けて油圧力に対するフィードバック補正値を計算し、このフィードバック補正値を前記操作信号の指令値から減算して操作信号の指令値を補正する。
【0030】これにより制御手段は、油圧力と実際の駆動力との差が大きくなるに従い油圧力が大きくなるように操作信号の指令値を補正できる。
【0031】(8)上記(1)において、前記制御手段は、前記油圧力と実際の駆動力との偏差からパイロット圧力以外の力相当の補正値を計算し、この補正値を前記操作信号の指令値に加算して操作信号の指令値を補正してもよい。
【0032】これによっても制御手段は、油圧力と実際の駆動力との差が大きくなるに従い油圧力が大きくなるように操作信号の指令値を補正できる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
【0034】図1は本発明の第1の実施形態によるスプール型方向切換弁システムの全体を示すシステム構成図である。
【0035】図1において、100は本発明に係わるスプール型方向切換弁であり、このスプール型方向切換弁100のハウジング1には、メインの油圧ポンプ101に接続されるポンプポートP、タンク35に接続されるタンクポートT1,T2、アクチュエータ102に接続されるアクチュエータポートC1,C2が設けられ、スプール2によってこれらポートの連通・遮断の切り換えが行われる。スプール2はスプール両端部に設けられた圧力室A,Bにパイロット圧力を導くことで動作させる。圧力室A,Bはハウジング1に取り付けられたフランジ3,4内に形成されている。
【0036】また、スプール2の位置決めを行うためのバネ7及びバネ座5,6がボルト8によってスプール2の一端に固定され、かつこれら部品はフランジ4内に収納されている。
【0037】スプール2の圧力室A,Bには電磁弁30a,30bよりパイロット圧が導かれ、スプール2はこの圧力室A,Bに導かれたパイロット圧力に応じて左右に移動し、スプール位置決め用バネ7と釣り合ったところで位置が決まり、停止する。このときポンプポートPはアクチュエータポートC1或いはC2のいずれかにつながり、ポンプポートPからアクチュエータポートC1或いはC2にスプール2の位置に応じた流量が流入し、アクチュエータ102が駆動される。
【0038】電磁弁30a,30bはホース31a,31bを介してフランジ3,4にそれぞれ接続されると共に、ホース32を介してパイロット用ポンプ33に、ホース34を介してタンク35にそれぞれ接続されている。また、電磁弁30a,30bはコントローラ60からの電流値によって動作する。例えばスプール2を左側に動かしたいときは指令電流51aだけを出力することで電磁弁30aが開き、圧力室Aの圧力が上昇しスプール2が動く。
【0039】以上は従来のスプール型方向切換弁と共通の構成である。本発明では、このようなスプール型方向切換弁に対して以下に述べるような制御システムを付加している。
【0040】まず、スプール2の右端にはスプール2と共に移動するように力検出用バネ10aが固設されており、バネ10aの自由端側(反対側)には球状の突起を有するセンサ接触部10cが固設されている。また、スプール2の左端側には、スプール位置決め用のバネ7を保持するボルト8の頭部8aに同様のバネ10bが固設され、このバネ10bの自由端側(反対側)にも球状の突起を有するセンサ接触部10dが固設されている。力検出用バネ10a,10bのそれぞれのセンサ接触部10c,10dは圧力センサ20a,20bに接しており、圧力センサ20a,20bはそれぞれフランジ3,4に取り付けられている。説明の簡単化のため、本実施形態では、スプール2が図示の中立位置にある状態で圧力センサ20a,20bと力検出用バネ10a,10bのセンサ接触部10c,10dとのクリアランスは0mmとする。
【0041】圧力センサ20a,20bの構造を図2に示す。図2では圧力センサ20a,20bを符号20で代表して示している。
【0042】図2において、圧力センサ20はハウジング200,201を有し、このハウジング200,201間に圧力を検出するダイアフラム構造体21を固定している。このダイアフラム構造体21のダイアフラム面圧には複数の歪ゲージ21aが設けられ、力センサ20はこのダイアフラム構造体21のダイアフラム面が圧力で歪むのを歪ゲージ21aで検出している。ハウジング200内にはアンプ22、歪ゲージ用電源23が配置され、これらはケーブル24に接続されている。
【0043】ハウジング201の先端には油路202が形成され、圧力Pはこの油路202から誘導され、上記のように歪ゲージ21aで検出され、その信号はアンプ22により増幅され信号52a,52bとなり、ケーブル24を介してコントローラ40に入力される。
【0044】また、この圧力センサ20は、ダイアフラム構造体21のダイアフラム面に力を作用させても同様に信号52a,52bを出力する。本実施形態では、この信号52a,52bを用いてスプール2に作用している実際の駆動力(以下、単に駆動力という)を計測する。
【0045】圧力センサ20の信号52a,52bからスプール2の駆動力を計測する原理を図3を用いて説明する。
【0046】図3において、スプール2の駆動力Fmとスプール2がフランジ4を押す力Fpとスプール2が圧力センサ20を押す力Fsの間には以下の関係がある。
【0047】Fm=Fs+Fp駆動力Fmによってスプール2がxだけ変位したとすると、Fm=(kd十kp)xとなる。ここで、kdはバネ10b(又は10a)のバネ定数、kpはスプール位置決め用バネ7のバネ定数である。Fs=kdxであるから、変位xは、x=Fs/kdで求められる。即ち、Fpは以下の式になる。
【0048】Fp=Fs/kd×kp圧力センサ20で検出できる力はFsであり、バネ定数kd,kpは既知であるから、以上の式よりスプール2の駆動力Fmは次式となる。
【0049】
Fm=Fs+Fs/kd×kp=(1+kp/kd)×Fs圧力センサ20は「圧力」を感知するセンサであるため、このセンサ20の信号52b(又は52a)の値をV20bとすると、圧力センサ20には、Ps=Co×V20bCo:比例定数の圧力に相当する力が働いている。この圧力センサ20の受圧面積をAdとすると、圧力センサ20に働く力は、Fs=Ps×Ad=Co×V20b×Adとなる。
【0050】以上よりスプール2の駆動力Fmは、Fm=(1+kp/kd)×Fs=(1+kp/kd)×(Co×V20b×Ad)
と求められる。
【0051】コントローラ40は上記の圧力センサ20a,20bの信号52a,52bと指令手段からの操作レバーの角度信号(操作信号)50を入力し、所定の演算処理を行い、電磁弁30a,30bに指令電流51a,51bを出力する。
【0052】コントローラ40の詳細を図4に示す。
【0053】図4において、指令手段からの操作レバーの角度信号(操作信号)50、圧力センサ20a,20bからの信号52a,52bはA/Dボード47に入力される。このA/Dボード47には、共通バス41を介してROM42,RAM43,CPU44がつながれ、A/Dボード47から入力された信号を基にROM42内にあるプログラムを基にCPU44で演算処理を行う。ここで計算された指令値はD/Aボード45からアンプ46a,46bに送られ、電磁弁30a,30bへ指令電流51a,51bとして送られる。
【0054】CPU44での演算処理の内容を図5のフローチャートに基づき説明する。
【0055】手順S1で処理ルーチンをスタートし、手順S2で操作レバーの角度信号50の値θoを読み取り、手順S3でθoに応じ、電磁弁30a,30bの比例ソレノイドに対する指令電流51a,51bを得るための指令電圧値Voa,Vobを下記の式で演算する。
【0056】Voa=f(θo)
Vob=g(θo)
ここで、操作レバーの角度θoと比例ソレノイドへの指令電圧値Voa,Vobの関係は線形、非線形のどちらでも構わない。
【0057】操作例として、圧力室Aに圧力を立て、圧力室Bを大気圧にするように操作レバーを動かすと、Voa=f(θo)によって指令電圧値Voaが上がり、Vob=g(θo)によって指令電圧値Vobは下がるように計算される。
【0058】次に手順S4で圧力センサ20a,20bの信号52a,52bの値V20a,V20bを読み込む。
【0059】上記の操作例では、圧力室Aに配置された圧力センサ20aには、圧力室Aの圧力が作用し、この圧力でスプール2は図6に示すように右側に移動するため、スプール2の右端に固設された力検出用バネ10aは圧力センサ20aに接していない。このため、圧力室Aの圧力が信号52aの値V20aとしてコントローラ40に読み込まれる。圧力室B内では圧力が大気圧になり、圧力センサ20bにはスプール2の左端に配置されたバネ10bが接しているため、この力が信号52bの値V20bとして読み込まれる。
【0060】次の手順S5では、指令電圧値Voaと指令電圧値Vobを比較する。指令電圧値が、Voa>Vobであれば、圧力センサ20aの信号52aの値V20aは圧力、圧力センサ20bの信号52bの値V20bは力と判定でき、そうでなければ圧力センサ20aの信号52aの値V20aは力、圧力センサ20bの信号52bの値V20bは圧力と判定できる。
【0061】上記操作例では、ここの判定がYesとなり、手順S6aでパイロット圧力がスプール2を押す油圧力Faを計算する。まず、左側の圧力室Bの圧力は大気圧であるから、スプール2を動かそうとする油圧力Faは圧力室A内に発生する圧力で生じる。今、圧力室A内の圧力をPaとすると、この圧力Paと圧力センサ20aの検出値V20aには、Pa=Co×V20aCo:比例定数の関係があり、スプール2の受圧面積をAsとしてスプール2を押す油圧力Faは、Fa=As×Co×V20aと計算される。なお、ここでは圧力センサ20の検出値V20bと圧力Psの関係をリニア(比例定数Co)としたが、そうでなくてもよい。
【0062】次に、手順S7aでスプール2に作用する実際の駆動力Fmを計算する。スプール2には流体力や摩擦力などパイロット圧力以外の力が作用するため、実際には上記のFaの油圧力で押されただけ変位しない。スプール2の駆動力Fmは油圧力Faから流体力や摩擦力などパイロット圧力以外の力を引いたものであり、この駆動力Fmは圧力室Bに設置された圧力センサ20bで検出される。この駆動力Fmは、上述したように、Fm=(1+kp/kd)×Fs=(1+kp/kd)×(Co×V20b×Ad)
Ad:圧力センサ20a又は20bの受圧面積kp:スプール位置決め用バネ7のバネ常数kd:力検出用バネ10a又は10bのバネ常数で求められる。
【0063】以上によりスプール2に作用するパイロット圧力による油圧力Faと実際の駆動力Fmが求められる。
【0064】次いで手順S8aで、実際の駆動力Fmをフィードバック電圧Vrに変換する。先に求めた油圧力Faは電磁弁への出力電圧値がVoaの時の力であるから、Fmに相当する電圧Vrは、Vr=VoaFm/Faとなる。
【0065】VoaがVobより大きい場合は、Voa側が制御対象であり、手順S10aでフィードバック電圧Vrを補正値として用い、Voaに対するフィードバック補正演算を行う。即ち、V30a=h(Voa−Vr)
V30b=Vobと電磁弁30a,30bへの補正指令値V30a,V30bを計算し、Voa側の出力値を補正する。ここで、関数hは比例、積分、微分要素を持っていても良いし、そうでなくても構わない。
【0066】これらの指令値V30a,V30bを手順S11で電磁弁30a,30bに信号51a,51bとして出力し、手順S2に戻る。このループでは、スプールヘ作用する油圧力Faと駆動力Fmが一致するように電磁弁30aより出力されるパイロット圧力(圧力室Aの圧力)Paが調整される。
【0067】また、手順S5でNoと判定された場合、即ち、Voa≦Vobの場合は手順S6b,S7bの処理を実行する。この場合、スプール2に作用するパイロット圧力Pbによる力の計算では圧力センサ20bの信号52bを用い、スプール2に作用する実際の駆動力の計算では圧力センサ20aの信号52aを使うことになる。また、補正値は手順S8bで、Vr=VobFm/Faで計算される。更に、電磁弁30a,30bへの補正指令値V30a,V30bの計算でも手順S10bを実行し、Vobに対してフィードバック補正演算を行うことになる。
【0068】以上において、圧力センサ20a,20b及びコントローラ40の図5に示す手順S4,S6a,S6bの機能は、パイロット圧力がスプール2を押す油圧力Faを計測する第1計測手段を構成し、力検出用バネ10a,10b,圧力センサ20a,20b及びコントローラ40の図5に示す手順S4,S7a,S7bの機能は、スプール2に作用している実際の駆動力Fmを計測する第2計測手段を構成し、コントローラ40の図5に示す手順S2,S3,S5,S8a,S8b,S10a,S10b,S11の機能は、上記第1計測手段で計測された油圧力Faと第2計測手段で計測された実際の駆動力Fmとに基づいて油圧力と実際の駆動力との差が大きくなるに従い油圧力が大きくなるように操作信号50の指令値Voa,Vobを補正し、この補正した指令値V30a,V30bを電磁弁30a,30bに出力する制御手段を構成する。
【0069】以上のように構成した制御システムによるスプール2の変位特性を図7に示し、スプール2が変位したことによる流量特性を図8に示す。これらの特性図は、図1に示す電磁弁30a,30b、ホース、方向切換弁100について流体力を含んだモデル化を行い、シミュレーションを行った結果である。流体力は文献の理論値を用いている。
【0070】また、図中(a)は流体力がある場合で本発明の図5に示す制御を行った場合を示し、図7のスプール変位線図ではスプール2が約6.5mmまでストロークしていることが分かる。また、図8の流量特性図では約190リットル/minの流量が得られている。(b)は流体力がある場合で制御を行わない場合であり、流体力によって5.2mmまでスプール2は押し戻され、流量は105リットル/minと45%も少なくなっている。(c)は流体力が全くない場合のスプール変位、流量特性であり、本発明の制御を行えば流体力を殆どキャンセルできることが分かる。
【0071】従って、本実施形態によれば、従来のスプール型方向切換弁のパイロット圧力室A,Bに圧力センサ20a,20bと力検出用バネ10a,10b及びセンサ接触部10c,10dを付加するだけの簡単な構成で、流体力や摩擦力など従来流量の制御に大きな誤差要因になっていたパイロット圧力以外の力がスプール2に作用していても、操作信号の指令値通りにスプール2を動作させ正確にアクチュエータ102を制御することができる。
【0072】図1に示した第1の実施形態の変形例を図9に示す。図9は第1の実施形態の図5に示すフローチャートに対応するもので、手順S7a,S7bまでは図5と同じであり、その後のフィードバックの補正演算方法が異なる。よって、手順S1〜S7bまでの説明は割愛し、手順S8Aからの説明を行う。
【0073】手順S8Aでは流体力や摩擦力などパイロット圧力以外の力(以下、流体力で代表する)Ffの計算を行う。流体力Ffは、Ff=Fa−Fmとなり、このFfを用いて制御することができる。即ち、Voa又はVobの指令電圧値によってスプール2に生じた圧力(力)は流体力の分だけ小さくなるのであるから、この流体力分の電圧を指令値Voa又はVobに更に加えればよい。
【0074】手順S8Bでは、Vf=Ff×Cpにより、検出した流体力に相当する電磁弁30a又は30bへの補正指令電圧Vfを計算する。ここでCpは、力を電圧に変換するための補正係数である。
【0075】手順S9では、2つの電磁弁30a,30bに対する指令値VoaとVobの大きさの判定を行ってフィードバック補正を行う電磁弁を特定し、手順S10Aa,S10Abで補正指令電圧Vfを補正値として用い、電磁弁30a又は30bへの補正指令値V30a,V30bを計算する。この場合、例えば、手順S10Aaでは、V30a=h(Voa+Vf)
V30b=Vobと計算する。
【0076】これらの指令値V30a,V30bを手順S11で電磁弁30a,30bに信号51a,51bとして出力し、手順S2に戻る。
【0077】以上において、圧力センサ20a,20b及びコントローラ40の図9に示す手順S4,S6a,S6bの機能は、パイロット圧力がスプール2を押す油圧力Faを計測する第1計測手段を構成し、力検出用バネ10a,10b,圧力センサ20a,20b及びコントローラ40の図9に示す手順S4,S7a,S7bの機能は、スプール2に作用している実際の駆動力Fmを計測する第2計測手段を構成するのは、第1の実施形態と同じである。そして、コントローラ40の図9に示す手順S2,S3,S5,S8A,S8B,S9,S10Aa,S10Ab,S11の機能は、上記第1計測手段で計測された油圧力Faと第2計測手段で計測された実際の駆動力Fmとに基づいて油圧力Faと実際の駆動力Fmとの差が大きくなるに従い油圧力が大きくなるように操作信号50の指令値Voa,Vobを補正し、この補正した指令値V30a,V30bを電磁弁30a,30bに出力する制御手段を構成する。
【0078】本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0079】なお、上記実施形態では、弾性体である力検出用バネ10a,10bをスプール2側に固定したが、これらの弾性体はスプール2の移動量に応じた力を発生させるためのものであり、力検出用バネ10a,10bを圧力センサ20a,20b側に固定しても良いし、或いはスプール2と圧力センサ20a,20bに両端を固定しても構わない。
【0080】本発明の第2の実施形態を図10及び図11により説明する。図中、図1、図5に示す部材、処理内容と同等のものには同じ符号を付している。この実施形態は信号処理を一層簡単にしたものである。
【0081】図10において、100Aは本発明に係わるスプール型方向切換弁であり、このスプール型方向切換弁100Aのハウジング1にはフランジ9,4が取り付けられ、フランジ9内に2つの圧力室A,Cが形成され、フランジ4内には圧力室Bが形成されている。
【0082】圧力室Bにおいて、スプール位置決め用のボルト8の端部8aに力検出バネ11が固設され、更にその延長上に1軸のロードセル22が固設されている。力検出バネ11の自然長はスプール2の中立時の位置決め用ボルト8とロードセル22の長さに合わせても良いし、オフセットを持たせスプール2が右方向エンドまで移動したときにバネ力が生じるように、自然長>最大ストロークにしても良い。本実施形態では力検出バネ11はスプール2が右方向エンドまで移動したときでも、力検出用バネ11が圧縮されており、ロードセル22に力を及ぼすものとする。
【0083】フランジ9内の圧力室Cにはスプール左側の圧力室Bの圧力が導入され、更にフランジ9には差圧センサ21が取り付けられ、この差圧センサ21によって圧力室Aと圧力室Cの差圧を検出する。この差圧が正のときはスプール2が右側から左側に移動するときであり、負の時はその逆である。
【0084】コントローラ40Aでの演算処理の内容を図11のフローチャートに基づき説明する。
【0085】まず、手順S1で処理ルーチンをスタートさせる。このときスプール2の両端にかかる圧力は大気圧であり、スプール2は中立位置にある。このときの力検出用バネ11のバネ力を検出するため、手順S2Aでロードセル22の信号54の値Fm0を読み取る。
【0086】次いで手順S2,S3で図5のフローチャートと同様、操作レバーの角度信号50の値θoを読み取り、電磁弁30a,30bの比例ソレノイドに対する指令電圧値Voa,Vobを演算する。
【0087】次に手順S4Aで差圧センサ21の信号53の値V21を読み取る。最初のループでは圧力室A,Cに圧力は作用していないが、2回目のループからはどちらかの圧力室に圧力が生じている。これ以降は、圧力室A,Cに圧力が作用しスプール2が動き出した後の状態について説明する。
【0088】手順S6Aでは、差圧センサ21の信号値V21からスプール2に作用するパイロット圧力による油圧力Faを、図5の手順S6a,S6bと同様、Fa=As×Pa=As×Co×V21と計算する。ここで、この例では、圧力室Aに圧力が発生し、圧力室Cが大気圧になるように電磁弁30aが動作したとき、差圧センサ21の信号値V21が正になるように差圧センサ21を設置しているものとする。
【0089】次に手順S7Aで、このときのロードセル22の信号54の値Fm1を読み取る。ロードセル22に働く力Fm1はバネ11によって伝えられるが、スプール2が中立位置にあるときでもバネ11は圧縮を受けているため、ロードセル22には力Fm0が働いている。スプール2が動くことによって生じる力Fsはスプール2が中立位置にあるとこの力Fm0とスプール移動後の力Fm1の差であり、Fs=Fm1−Fm0で求められる。このFsによってスプール2の実際の駆動力Fmは、図5の手順S7a,S7bと同様、手順S7Bのように、Fm=(1+kp/kd)×(Fm1−Fm0)
と計算できる。
【0090】手順S9では、2つの電磁弁30a,30bに対する指令値VoaとVobの大きさの判定を行って制御対象となる電磁弁を特定する。
【0091】手順S8a,S8b以降は先に示した図5と同じ内容であるので、説明は割愛する。
【0092】以上において、差圧センサ21及びコントローラ40Aの図11に示す手順S4A,S6Aの機能は、パイロット圧力がスプール2を押す油圧力Faを計測する第1計測手段を構成し、力検出用バネ11、ロードセル22及びコントローラ40Aの図11に示す手順S2A,S7A,S7Bの機能は、スプール2に作用している実際の駆動力Fmを計測する第2計測手段を構成し、コントローラ40Aの図11に示す手順S2,S3,S8a,S8b,S9,S10a,S10b,S11の機能は、上記第1計測手段で計測された油圧力Faと第2計測手段で計測された実際の駆動力Fmとに基づいて油圧力Faと実際の駆動力Fmとの差が大きくなるに従い油圧力が大きくなるように操作信号50の指令値Voa,Vobを補正し、この補正した指令値V30a,V30bを電磁弁30a,30bに出力する制御手段を構成する。
【0093】以上のように構成した本実施形態においても、従来のスプール型方向切換弁のパイロット圧力室A,Bに圧力室Cと差圧センサ21、ロードセル22及びバネ11を付加するだけの簡単な構成で、流体力や摩擦力など従来流量の制御に大きな誤差要因になっていたパイロット圧力以外の力がスプール2に作用していても、操作信号の指令値通りにスプール2を動作させ正確にアクチュエータ102を制御することができる。
【0094】なお、図10の実施形態ではスプール2に働く力とスプール2が駆動する力を読み取り、これを基にスプール2の位置を制御したが、この原理を満足するのであれば、力検出用バネ11はスプール位置決め用バネ7で代用し、ボルト8をダイレクトにロードセンサ22に当てても構わない。また、スプール2の力検出のための弾性体(バネ11)とセンサを持ち、左右の圧力室A,Bの差圧を計ることが可能なセンサを持ち、これらの信号を基に電磁弁30a,30bを制御できるのであれば、どのような組み合わせを用いても構わない。
【0095】また、ロードセルを用いるのであれば、差圧センサの代わりに図1の実施形態のように圧力センサを配置し、この圧力センサをパイロット圧の検出専用に用いても良い。この場合、圧力センサの取付位置は電磁弁直後の箇所でもかまわない。
【0096】
【発明の効果】本発明によれば、従来のスプール型方向切換弁のパイロット圧力室に圧力センサやロードセル及び弾性体などを付加するだけの簡単な構成で、流体力や摩擦力など従来流量の制御に大きな誤差要因になっていたパイロット圧力以外の力がスプールに作用していても、操作信号の指令値通りにスプールを動作させ正確にアクチュエータを制御することができる。
【出願人】 【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
【出願日】 平成9年(1997)11月10日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】春日 讓
【公開番号】 特開平11−141696
【公開日】 平成11年(1999)5月25日
【出願番号】 特願平9−307516