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【発明の名称】 多段切換電磁弁
【発明者】 【氏名】前田 一人

【氏名】大村 伸治

【氏名】小林 康規

【要約】 【課題】気密チェック装置に用いられる2つの電磁弁の機能を一体化しつつ、大型化を防止する。

【解決手段】第1、2弁体106、108を磁性体で形成するとともに、第2コイルバネ110の弾性力を、第2弁体108を介して第1弁口105を開く向きに、第1弁体106に作用させる。これにより、第1弁口105を閉じた後においては、第1弁口105を閉塞するとともに、第1弁体106がヨーク113から第2弁体108に至る磁路の一部を構成する部材としても機能するので、ヨーク113から第2弁体108に至る磁路の磁気抵抗を小さくすることができ、励磁コイル111、112の小型化を図ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 流体の流通状態を段階的に制御する多段切換電磁弁であって、流体が流出入する第1、2開口部(102、104、602、603)、および前記第1開口部(102、602)側の第1空間(101a、602a)と前記第2開口部(104、603)側の第2空間(103a、603a)とを連通させる主弁口(105、604)を有するハウジング(101、103、601)と、前記ハウジング(101、103、601)内に配設され、前記両空間(101a、602a、103a、603a)を連通させる副弁口(107、613)を有するとともに磁性材料製の主可動部(106a、612)を有して構成された、前記主弁口(105、604)を開閉する主弁体(106、610)と、前記ハウジング(101、103、601)内に配設され、磁性材料製の副可動部(108a、621)を有して構成されるとともに前記副弁口(107、613)を開閉する副弁体(108、620)と、前記両弁体(106、610、108、620)に電磁力を作用させ、前記両弁体(106、610、108、620)を可動させる励磁コイル(111、112、640)とを備え、前記主可動部(106a、612)は前記励磁コイル(111、112、640)から前記副可動部(108a、621)に至る磁路の一部を形成していることを特徴とする多段切換電磁弁。
【請求項2】 流体の流通状態を段階的に制御する多段切換電磁弁であって、流体が流出入する第1、2開口部(102、104)、および前記第1開口部(102)側の第1空間(101a)と前記第2開口部(104)側の第2空間(103a)とを連通させる主弁口(105)を有するハウジング(101、103)と、前記ハウジング(101、103)内に配設され、前記両空間(101a、103a)を連通させる副弁口(107)を有するとともに、前記主弁口(105)を開閉する主弁体(106)と、前記ハウジング(101、103)内に配設され、前記副弁口(107)を開閉する副弁体(108)と、前記ハウジング(101、103)内に配設され、前記副弁口(107)を閉じる向きの付勢力を前記副弁体(108)に作用させる第1付勢手段(110)と、前記ハウジング(101、103)内に配設され、前記第1付勢手段(110)の付勢力と対抗する電磁力を発生する励磁コイル(111、112、120)と、前記主弁体(106)と対向する対向面(113a)を有するとともに、前記励磁コイル(111、112、120)によって誘起される磁束の磁路を形成するヨーク(113)とを備え、前記主弁体(106)は、前記磁束の磁路を構成する磁性材料から形成され、前記副弁体(108)は、電磁力の作用を受ける磁性材料から形成され、さらに、前記第1付勢手段(110)は、前記副弁体(108)を介して前記主弁口(105)を開く向きの付勢力を前記主弁体(106)に作用させていることを特徴とする多段切換電磁弁。
【請求項3】 前記ハウジング(101、103)内には、前記主弁口(105)を閉じる向きの付勢力を前記主弁体(106)に作用させる第2付勢手段(109)が配設されていることを特徴とする請求項2に記載の多段切換電磁弁。
【請求項4】 前記主弁体(106)を挟んで前記副弁体(108)の反対側には、迷路構造を有して構成された、流体を前記副弁口(107)に導く通路手段(118)が形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の多段切換電磁弁。
【請求項5】 流体の流通状態を段階的に制御する多段切換電磁弁であって、流体が流出入する第1、2開口部(602、603)、および前記第1開口部(602)側の第1空間(602a)と前記第2開口部(603)側の第2空間(603a)とを連通させる主弁口(604)を有するハウジング(601)と、前記主弁口(604)を開閉する主弁部(611)、前記主弁部(611)に形成されて前記両空間(602a、603a)を連通させる副弁口(613)、および前記主弁口(604)と反対側で前記主弁部(611)に連結された磁性材料製の主可動部(612)を有して構成された主弁体(610)と、前記主可動部(612)内に配設され、磁性材料製の副可動部(621)および前記副弁口(613)を開閉する副弁部(622)を有して構成された副弁体(620)と、前記両弁体(610、620)に電磁力を作用させ、前記両弁体(610、620)を可動させる励磁コイル(640)とを備え、前記主可動部(612)は、前記励磁コイル(640)から前記副可動部(621)に至る磁路の一部を形成しており、さらに、前記励磁コイル(640)が発生する起磁力が所定値以下のときには、前記両弁体(610、620)が一体的に可動し、前記起磁力が前記所定値を超えたときには、前記副弁体(620)が前記主弁体(610)に対して可動することを特徴とする多段切換電磁弁。
【請求項6】 流体の流通状態を段階的に制御する多段切換電磁弁であって、流体が流出入する第1、2開口部(602、603)、および前記第1開口部(602)側の第1空間(602a)と前記第2開口部(603)側の第2空間(603a)とを連通させる主弁口(604)を有するハウジング(601)と、前記主弁口(604)を開閉する主弁部(611)、前記主弁部(611)に形成されて前記両空間(602a、603a)を連通させる副弁口(613)、および前記主弁口(604)と反対側の前記主弁部(611)で連結された磁性材料製の主可動部(612)を有して構成された主弁体(610)と、前記主可動部(612)内に配設され、磁性材料製の副可動部(621)および前記副弁口(613)を開閉する副弁部(622)を有して構成された副弁体(620)と、前記副弁口(613)を閉じる向きの付勢力を前記副弁体(620)に作用させる第1付勢手段(632)と、前記主弁口(604)を開く向きの付勢力を前記主弁体(610)に作用させる第2付勢手段(631)と、前記各付勢手段(632、631)の付勢力に対抗する電磁力を前記各弁体(620、610)に作用させ、前記両弁体(620、610)を可動させる励磁コイル(640)とを備え、前記主可動部(612)は、前記励磁コイル(640)から前記副可動部(621)に至る磁路の一部を形成しており、さらに、前記励磁コイル(640)への通電量が所定値(I)以下のときは、前記副弁体(620)は前記副弁口(613)を閉じた状態を維持しながら前記主弁体(610)と一体的に前記主弁口(604)を閉じる向き可動し、前記通電量が前記所定値(I)を超えたときは、前記副弁体(620)が前記主弁体(610)に対して可動して前記副弁口(613)を開くことを特徴とする多段切換電磁弁。
【請求項7】 流体の流通状態を段階的に制御する多段切換電磁弁であって、流体が流出入する第1、2開口部(602、603)、および前記第1開口部(602)側の第1空間(602a)と前記第2開口部(603)側の第2空間(603a)とを連通させる主弁口(604)を有するハウジング(601)と、前記主弁口(604)を開閉する主弁部(611)、前記主弁部(611)に形成されて前記両空間(602a、603a)を連通させる副弁口(613)、および前記主弁部(611)のうち前記主弁口(604)と反対側の部位に連結された磁性材料製の主可動部(612)を有して構成された主弁体(610)と、前記主可動部(612)内に配設され、磁性材料製の副可動部(621)および前記副弁口(613)を開閉する副弁部(622)を有して構成された副弁体(620)と、前記副弁口(613)を閉じる向きの付勢力を前記副弁体(620)に作用させる第1付勢手段(632)と、前記主弁口(604)を開く向きの付勢力を前記主弁体(610)に作用させる第2付勢手段(631)と、前記各付勢手段(632、631)の付勢力に対抗する電磁力を前記各弁体(620、610)に作用させ、前記両弁体(620、610)を可動させる励磁コイル(640)とを備え、前記主可動部(612)は、前記励磁コイル(640)から前記副可動部(621)に至る磁路の一部を形成しており、さらに、前記励磁コイル(640)への通電量が所定値(I)以下のときの前記第1付勢手段(632)の付勢力は、前記両可動部(612、621)間に発生する電磁力より大きく、前記通電量が前記所定値(I)を超えたときの前記第1付勢手段(632)の付勢力は、前記両可動部(612、621)間に発生する電磁力より小さいことを特徴とすることを特徴とする多段切換電磁弁。
【請求項8】 前記ハウジング(601)に対して固定され、前記主可動部(612)と共に空間(662)を形成する固定部材(660)を有しており、さらに、前記空間(662)は前記両開口部(602、603)のうちいずれか一方側と所定の圧力損失を有する通路(663)を介して連通していることを特徴とする請求項5ないし7のいずれか1つに記載の多段切換電磁弁。
【請求項9】 燃料タンク(200)から内燃機関(202)の吸気管(203)に至る燃料通路手段(201)に設けられ、蒸発燃料を吸着する燃料吸着手段(204)と、前記燃料通路手段(201)のうち燃料吸着手段(204)と前記吸気管(203)との間に設けられ、前記燃料通路手段(201)を開閉する弁手段(206)と、前記燃料通路手段(201)のうち前記弁手段(206)と前記燃料タンク(200)との間に設けられ、前記燃料通路手段(201)内の圧力を検出する圧力検出手段(205)とを備える燃料系の気密チェック装置に、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の多段切換電磁弁(100)を適用した気密チェック装置用多段切換電磁弁であって、前記多段切換電磁弁(100)の前記第1開口部(102)を大気側に開放し、かつ、前記前記多段切換電磁弁(100)の前記第2開口部(104)を前記燃料吸着手段(204)に接続し、さらに、前記主弁体(106)を前記第2空間(103a)側に配設したことを特徴とする気密チェック装置用多段切換電磁弁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、流体の流通状態を段階的に制御する多段切換電磁弁に関するもので、燃料系の気密チェック装置に適用して有効である。
【0002】
【従来の技術】燃料系の気密チェック装置は、特開平5−340316号公報に記載のように、燃料タンクから内燃機関(エンジン)の吸気管(インテークマニホールド)に至る燃料通路の開閉を行う第1電磁弁と、燃料通路と大気開放側とを連通させるオリフィス(小穴)を開閉する第2電磁弁とを有して構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、通常、車両の燃料系には、炭化水素(HC)等のHCエミッション(エバポエミッション)が大気中に放出されることを防止すべく、チャコールキャニスタ(以下、キャニスタと略す。)を有しているため、第1、2電磁弁に加えて、キャニスタの大気開放側を開閉する第3電磁弁を必要とする。
【0004】このため、大気開放側と燃料系との連通状態を制御する電磁弁が2つとなるため、各電磁弁をキャニスタや燃料通路等に接続するための接続部の数が増加してしまい、接続部からエバポエミッションが大気中に洩れ出す可能性が高くなってしまう。したがって、上記公報のごとく、単純に3つの電磁弁を用いた手段では、気密チェック装置の測定誤差が大きくなる可能性が高いという問題が新たに発生する。
【0005】この問題に対しては、第2、3電磁弁の機能を一体化するという手段が考えられるが、単純に機能を一体化した多段切換電磁弁では、多段切換電磁弁の大型化を招く可能性が高い。本発明は、上記第2、3電磁弁の機能を一体化した多段切換電磁弁において、大型化を防止することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成するために、以下の技術的手段を用いる。請求項1に記載の発明では、主可動部(106a、612)は励磁コイル(111、112、640)から副可動部(108a、621)に至る磁路の一部を形成していることを特徴とする。
【0007】これにより、副可動部(108a、621)に至る磁路の磁気抵抗を小さくすることができるので、励磁コイル(111、112、640)の起磁力を小さくすることができる。したがって、励磁コイル(111、112、640)の小型化を図ることができるので、多段切換電磁弁の小型化を図ることができる。請求項2〜4に記載の発明では、主弁口(105)を開閉する主弁体(106)を磁路を構成する磁性材料から形成し、副弁口(107)を開閉する副弁体(108)を電磁力の作用を受ける磁性材料から形成するとともに、第1付勢手段(110)の付勢力を、副弁体(108)を介して主弁口(105)を開く向きに、主弁体(106)に作用させたことを特徴とする。
【0008】これにより、主弁口(105)を閉じた後においては、主弁体(106)は、主弁口(105)を閉塞するとともに、ヨーク(113)から副弁体(108)に至る磁路の一部を構成する部材としても機能する。したがって、ヨーク(113)から副弁体(108)に至る磁路の磁気抵抗を小さくすることができるので、励磁コイル(111、112、120)の起磁力を小さくすることができる。延いては、励磁コイル(111、112、120)の小型化を図ることができるので、多段切換電磁弁の小型化を図ることができる。
【0009】なお、本明細書でいう磁性材料とは、後述するように、鉄等の磁性体は勿論、永久磁石も含む意味である。請求項3に記載の発明では、主弁口(105)を閉じる向きの付勢力を主弁体(106)に作用させる第2付勢手段(109)を設けたことを特徴とする。これにより、第2付勢手段(109)の付勢力の向きと、第1付勢手段(110)の付勢力の向きとが反対になるので、主弁体(106)を変位させる付勢力が小さくなる。したがって、主弁体(106)をヨーク(113)に吸引するための電磁力を小さくすることができるので、より一層励磁コイル(111、112、120)の小型化を図ることができる。
【0010】請求項4に記載の発明では、流体を前記副弁口(107)に導く通路手段(118)に迷路構造を構成したことを特徴とする。これにより、副弁口(107)に塵埃等が詰まってしまうことを防止することができる。請求項5に記載の発明では、主可動部(612)は、励磁コイル(640)から前記副可動部(621)に至る磁路の一部を形成し、かつ、励磁コイル(640)の起磁力が所定値以下のときには、両弁体(610、620)が一体的に可動し、起磁力が所定値を超えたときには、副弁体(620)が主弁体(610)に対して可動する。そして、主可動部(612)が主弁口(604)と反対側で主弁部(611)に連結されているとともに、副可動部(621)が主可動部(612)内に配設されていることを特徴とする。
【0011】これにより、請求項1に記載の発明と同様に、励磁コイル(640)の小型化を図ることができるので、多段切換電磁弁の小型化を図ることができる。また特に、主可動部(612)内に副可動部(621)が設けられ、かつ、起磁力が所定値以下のときには、両弁体(610、620)が一体的に可動するので、主可動部(612)が可動しても、主可動部(612)と副可動部(621)との間の距離(エアギャップ)が変化しない。したがって、副可動部(621)を可動させるに必要な起磁力が大きくなることを防止できるので、励磁コイル(640)の小型化を図ることができる。
【0012】また、副可動部(621)が主弁口(604)と反対側に位置しているので、主弁口(604)の外径法を副弁体(620)の外径寸法に影響されることなく設定することができる。したがって、主弁口(604)の外径寸法を小さく設定することができるので、主弁体(610)の表裏両面の圧力差に伴って主弁体(610)に作用する力を小さくすることができる。延いては、励磁コイル(640)を小さくすることができるので、さらに多段切換電磁弁の小型化を図ることができる。
【0013】請求項6に記載の発明では、主可動部(612)は、励磁コイル(640)から前記副可動部(621)に至る磁路の一部を形成し、かつ、励磁コイル(640)への通電量が所定値(I)以下のときは、副弁体(620)は副弁口(613)を閉じた状態を維持しながら主弁体(610)と一体的に主弁口(604)を閉じる向き可動し、通電量が所定値(I)を超えたときは、副弁体(620)が前記主弁体(610)に対して可動して副弁口(613)を開く。そして、主可動部(612)が主弁口(604)と反対側で主弁部(611)に連結されているとともに、副可動部(621)が主可動部(612)内に配設されていることを特徴とする。
【0014】これにより、請求項5に記載の発明と同様に、多段切換電磁弁の小型化を図ることができる。請求項7に記載の発明では、主可動部(612)は、励磁コイル(640)から前記副可動部(621)に至る磁路の一部を形成し、かつ、励磁コイル(640)への通電量が所定値(I)以下のときの第1付勢手段(632)の付勢力は、両可動部(612、621)間に発生する電磁力より大きく、通電量が所定値(I)を超えたときの第1付勢手段(632)の付勢力は、両可動部(612、621)間に発生する電磁力より小さくなるように設定されている。そして、主可動部(612)が主弁口(604)と反対側で主弁部(611)に連結されているとともに、副可動部(621)が主可動部(612)内に配設されていることを特徴とする。
【0015】これにより、請求項5に記載の発明と同様に、多段切換電磁弁の小型化を図ることができる。請求項8に記載の発明では、主可動部(612)と固定部材(660)とによって形成された空間(662)は、両開口部(602、603)のうちいずれか一方側と所定の圧力損失を有する通路(663)を介して連通していることを特徴とする。
【0016】これにより、後述するように、空間(662)および通路(663)により、主可動部(612)の可動を妨げる力を主可動部(612)に作用させるダンパー機構(ダッシュポット)を構成することとなるので、多段切換電磁弁の作動音(騒音)を低減することができる。請求項9に記載の発明では、主弁体(106)を、燃料吸着手段(204)側に連通する第2空間(103a)側に配設したことを特徴とする。
【0017】ところで、主弁口(105)を閉じる力(以下、この力を閉弁力と呼ぶ。)を主弁体(106)に作用する電磁力により得ているので、コイルバネ等のバネ手段の付勢力により主弁口(105)を閉じる場合に比べて、閉弁力を容易に制御することができる。そして、本発明では、主弁体(106)が第2空間(103a)側に配設されているので、閉弁力を容易に制御することができることと相まって、燃料吸着手段(204)内の圧力が過度に低下した場合であっても、主弁口(105)が開弁しないといった不具合を未然に防止することができる。延いては、気密チェック装置の信頼性を向上させることができる。
【0018】なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)図1は、本実施形態に係る多段切換電磁弁100を用いた燃料系の気密チェック装置の模式図であり、200は燃料タンク、201は、燃料タンク200からエンジン202の吸気管203に至る燃料管(燃料通路手段)である。また、燃料管201の途中には、蒸発燃料を吸着するキャニスタ(燃料吸着手段)204が配設されており、このキャニスタ204の大気開放側には、多段切換電磁弁100が接続されている。
【0020】そして、燃料管201のうち燃料タンク200とキャニスタ204との間には、燃料管201内の圧力を検出する圧力センサ(圧力検出手段)205が配設され、一方、燃料管201のうちキャニスタ204と吸気管203との間には、燃料管201を開閉する電磁弁(弁手段)206が配設されている。因みに、吸気管203(エンジン202)に吸入される空気中の塵埃を除去するエアフィルタが、エアクリーナ207内に配設されている。
【0021】なお、電磁弁206および多段切換電磁弁100への通電は、コネクタ119を介して電子制御装置(ECU)208により制御され、圧力センサ205の検出信号はECU208に入力される。次に、図2を用いて多段切換電磁弁100について述べる。101は、大気側に開放された第1開口部102が形成された樹脂製の第1ハウジングであり、103は、キャニスタ204に接続される第2開口部104が形成された樹脂製の第2ハウジングである。
【0022】また、第1ハウジング101には第1開口部102に連通する第1空間101aが形成され、一方、第2ハウジング103には第2開口部104に連通する第2空間103aが形成されている(図4参照)。そして、第1ハウジング101のうち両空間101a、103aを連通させる部位(以下、この部位を第1弁口と呼ぶ。)105より第2空間103a側には、第1弁口(主弁口)105を開閉する第1弁体(主弁体)106が配設されている。
【0023】また、第1弁体106は、圧延鋼板等の磁性体からなる第1可動鉄心部(第1ムービングコア)106aと、第1弁口105の外縁部に形成された弁座(シート部)105aに接触するゴム製の弁部106bと、両空間101a、103aを連通させる第2弁口(副弁口)107が形成された樹脂製のオリフィス部106cとから構成されている。なお、第2弁口107の穴径は、第1弁口105の穴径に比べて十分小さく、本実施形態では、約0.5mmである。
【0024】また、第1弁体106より第1空間101a側には、第2弁口107を開閉する第2弁体(副弁体)108が配設されており、この第2弁体108は、構造用炭素鋼鋼材等の磁性体からなる第2可動鉄心部(第2ムービングコア)108aと、オリフィス部106cに形成された弁座(シート部)106dに接触するゴム製の弁部108bとから構成されている。
【0025】そして、第2空間103aには、第1弁口105を閉じる向きの弾性力を第1弁体106に作用させる第1コイルバネ(第2付勢手段)109が配設され、一方、第1空間101aには、第2弁口107を閉じる向きの弾性力を第2弁体108に作用させる第2コイルバネ(第1付勢手段)110が配設されている。このため、第2コイルバネ110は、第2弁体108を介して第1弁口105を開く向きの弾性力を第1弁体106に作用させることとなる。
【0026】また、第1ハウジング101内には、第2コイルバネ(以下、第2バネと略す。)110の弾性力に対抗する電磁吸引力を発生する第1、2励磁コイル111、112が配設されており、これら励磁コイル(以下、コイルと略す。)111、112の外側には、コイル111、112によって誘起される磁束の磁路を形成する、圧延鋼板等の磁性体からなるヨーク113が配設されている。
【0027】そして、ヨーク113のうち第1弁口105側には、第1可動鉄心部106aと対向する対向面113aが形成されており、コイル111、112によって誘起される磁束は、後述するように、対向面113aから両弁体106、108を経て、磁性体からなる固定鉄心(ステータコア)114に至る。なお、115は、コイル111、112のボビン(巻き枠)を構成するとともに、固定鉄心114と第2弁体108(第2可動鉄心部108a)とが接触することを防止する隔壁部材であり、116は両ハウジング101、103間の隙間を密閉するパッキンをなすOリングであり、117は第2ハウジング103(多段切換電磁弁100)とキャニスタ204と隙間を密閉するOリングである。
【0028】ところで、第2空間103a側の第1弁体106(オリフィス部106c)には、第2弁口107の外縁部から第2開口部104に向けて延びる第1円筒部106eがオリフィス部106cと一体形成されており、一方、第2ハウジング103には、この第1円筒部106eの外側を覆うようにして第2円筒部103bが一体形成されている。
【0029】そして、これら第1、2筒部106e、103bにより、迷路(ラビリンス)構造を有する、第2開口部104から第2弁口107に至る空気の通路(通路手段)118を形成している(図6参照)。ここで、気密チェック装置の作動を述べる(図1参照)。なお、気密チェック装置の作動は上記公報と同様であるので、本明細書では概略説明とする。
【0030】先ず、吸気管203の負圧により、キャニスタ204を含む燃料管201内の圧力が低下した時に、電磁弁206、および多段切換電磁弁100の第1、2弁口105、107を閉じる。そして、所定時間経過後に第2弁口107を開き、第2弁口107を開く前後の燃料管201内の圧力変化を比較し、その変化の度合いから燃料系の気密度合いを判定する。
【0031】次に、多段切換電磁弁100の作動を述べる。
1.コイル111、112への通電を停止しているときこの状態では、図2に示すように、第2バネ110の弾性力により、第1弁口105は開かれ、第2弁口107は閉じられている。以下、この状態の第1開弁状態と呼ぶ。
【0032】したがって、例えば電磁弁206が閉じているときは、図4に示すように、キャニスタ204にて蒸発燃料が吸着されるので、空気のみが第2開口部104から第1弁口105を経て第1開口部102から大気中に放出される。なお、電磁弁206が開いているときは、第1開口部102から空気が吸入され、その吸入された空気は、第2開口部104およびキャニスタ204を経て吸気管203に至る。
【0033】2.コイル111のみ通電したときコイル111により発生した磁束は、図5の破線に示すように、ヨーク113、第1弁体106(第1可動鉄心部106a)、第2弁体108(第2可動鉄心部108a)および固定鉄心114からなる磁路を流れる。したがって、第1弁体106はヨーク113(対向面113a)に向けて吸引され第1弁口105が閉じられるとともに、第2弁体108は固定鉄心114に向けて吸引される。
【0034】このとき、第2バネ110は、第2弁体108を介して第1弁口105を開く向きの弾性力を第1弁体106に作用させているので、第1弁体106(弁部106b)が弁座105aに接触(着座)するまで、両弁体105、108が一体となって第2弁口107が閉じたまま固定鉄心114(対向面113a)側に移動する。以下、この状態の閉弁状態と呼ぶ。
【0035】3.コイル111に加えて、コイル112にも通電したときコイル111に加えて、コイル112にも通電されるので、第1弁体106とヨーク113(対向面113a)との間に発生する電磁吸引力、および第2弁体108と固定鉄心114との間に発生する電磁吸引力のいずれも増大する。しかし、第1弁体106は弁座105aに接触して固定鉄心114側に変位することができない。一方、第2弁体108は、電磁吸引力の増大により固定鉄心114側に変位するので、図6に示すように第2弁口107が開く。以下、この状態の第2開弁状態と呼ぶ。
【0036】なお、図6の破線は磁束を表すものであり、図7は、上記3つの状態における流量を示すものである。次に、本実施形態に係る多段切換電磁弁100の特徴を述べる。本実施形態によれば、両弁体106、108が磁性体で構成されているので、第1弁口105を閉じた後においては、第1弁体106は、第1弁口105を閉塞するとともに、第1ヨーク113から第2弁体108に至る磁路の一部を構成する部材としても機能する。
【0037】したがって、ヨーク113から第2弁体108に至る磁路の磁気抵抗を小さくすることができるので、コイル111、112の起磁力を小さくすることができる。延いては、コイル111、112の小型化を図ることができるので、多段切換電磁弁100の小型化を図ることができるとともに、車両への搭載性を向上させることができる。
【0038】また、本実施形態では、第1バネ109の弾性力の向きと、第2バネ110の弾性力の向きとが互いに反対向きなので、第1弁体106をヨーク113側に変位させる弾性力が小さくなる。したがって、第1弁体106をヨーク113に吸引するための電磁吸引力を小さくすることができるので、より一層コイル111、112の小型化を図ることができる。
【0039】また、本実施形態では、第1弁口105を閉じる力(以下、この力を閉弁力と呼ぶ。)を第1弁体106に作用する電磁吸引力により得ているので、コイルバネ等のバネ手段の弾性力により第1弁口105を閉じる場合に比べて、閉弁力を容易に制御することができる。また、第1弁体106が第2空間103aに配設されているので、閉弁力を容易に制御することができることと相まって、キャニスタ204内の圧力が過度に低下した場合であっても、第1弁口105が開弁しないといった不具合を未然に防止することができる。延いては、気密チェック装置の信頼性を向上させることができる。
【0040】また、第2開口部104から第2弁口107に至る空気の通路118に迷路構造が形成されているので、第2弁口107に塵埃等が詰まってしまうことを防止することができる。
(第2実施形態)上述の実施形態では、コイル111のみに通電する場合、コイル111、112の両者に通電する場合とを選択することにより、第2開弁状態と閉弁状態とを選択したが、本実施形態は、2つのコイル111、112を一体化するとともに、その一体化したコイル120への通電量Iを制御することにより、上記2つの状態を選択するようにしたものである。
【0041】なお、図8は本実施形態に係る多段切換電磁弁100の断面図であり、図9〜11は、通電量Iに対応する多段切換電磁弁100の作動状態を示すものである。
(第3実施形態)本実施形態は、圧力センサ205が燃料タンク200と電磁弁206との間に配設されていれば、気密チェック装置の機能を発揮する上で支障がないことに鑑みてなされたものである。
【0042】すなわち、図12に示すように、圧力センサ205を第2ハウジング103に配設して第2空間103a内の圧力を検出するように構成したものである。
(第4実施形態)本実施形態は、第2実施形態に係る多段切換電磁弁100において、図13に示すように、炭素鋼鋼材等の磁性体からなる第2可動鉄心部108aに換えて磁性材料である永久磁石108cにしたものである。
【0043】次に、本実施形態に係る多段切換電磁弁100の作動を述べる。
1.第1開弁状態励磁コイル120への通電を遮断する。これにより、第1弁体106は第2バネ110の弾性力により第1弁口105を開き、第2弁体108は第2バネ110の弾性力により第2弁口107を閉じる(図14参照)。
【0044】2.閉弁状態励磁コイル120によって誘起された際に固定鉄心114およびヨーク113内を流れる磁束の向きと、永久磁石108c内の磁界(磁束)の向きとが反対向きとなるように励磁コイル120に通電する(図15参照)。これにより、第1弁体106とヨーク113(対向面113a)との電磁吸引力により第1弁体106がヨーク113(対向面113a)に吸引されるので、第1弁口105を閉じる。一方、第2弁体108には、第2バネ110の弾性力に加えて、永久磁石108cと固定鉄心114との間に第2弁口107を閉じる向きの斥力が作用するので、第2弁体108が第1弁体106(オリフィス部106c)に押圧されて第2弁口107を閉じる。
【0045】3.第2開弁状態励磁コイル120によって誘起された際に固定鉄心114およびヨーク113内を流れる磁束の向きと、永久磁石108c内の磁界(磁束)の向きとが一致するように励磁コイル120に通電する(図16参照)。これにより、第1弁体106とヨーク113(対向面113a)との電磁吸引力により第1弁体106がヨーク113(対向面113a)に吸引されるので、第1弁口105を閉じる。一方、永久磁石108cと固定鉄心114との間に引力が発生するので、第2バネ110の弾性力に打ち勝って、第2弁体108が固定鉄心114側に変位して第2弁口107を開く。
【0046】(第5実施形態)第4実施形態では、第1可動鉄心106aおよび永久磁石108cを磁気回路上、直列に配設したが、本実施形態は、図17に示すように、両者106a、108cを磁気回路上、並列に配設したものである。すなわち、第1可動鉄心106aおよび弁部106bからなる第1弁体106の変位方向と、励磁コイル120の軸方向とが平行となるように両者106、120を配設するとともに、第3コイルバネ(第2付勢手段)121により、第1弁口105を開く向きの弾性力を第1弁体106に作用させるように構成したものである。
【0047】次に、本実施形態に係る多段切換電磁弁100の作動を述べる。
1.第1開弁状態励磁コイル120への通電を遮断する。これにより、第1弁体106は第3バネ121の弾性力により第1弁口105を開き、第2弁体108は第2バネ110の弾性力により第2弁口107を閉じる(図18参照)。
【0048】2.閉弁状態励磁コイル120によって誘起された際に固定鉄心114およびヨーク113内を流れる磁束の向きと、永久磁石108c内の磁界(磁束)の向きとが反対向きとなるように励磁コイル120に通電する(図19参照)。これにより、第1弁体106とヨーク113(対向面113a)との電磁吸引力により第1弁体106がヨーク113(対向面113a)に吸引されるので、第1弁口105を閉じる。一方、第2弁体108には、第2バネ110の弾性力に加えて、永久磁石108cと固定鉄心114との間に第2弁口107を閉じる向きの斥力が作用するので、第2弁体108が第2弁口107に向けて押圧されて第2弁口107を閉じる。
【0049】3.第2開弁状態励磁コイル120によって誘起された際に固定鉄心114およびヨーク113内を流れる磁束の向きと、永久磁石108c内の磁界(磁束)の向きとが一致するように励磁コイル120に通電する(図20参照)。これにより、第1弁体106とヨーク113(対向面113a)との電磁吸引力により第1弁体106がヨーク113(対向面113a)に吸引されるので、第1弁口105を閉じる。一方、永久磁石108cと固定鉄心114との間に引力が発生するので、第2バネ110の弾性力に打ち勝って、第2弁体108が固定鉄心114側に変位して第2弁口107を開く。
【0050】なお、本実施形態は、第1可動鉄心106aおよび永久磁石108cを磁気回路上、並列に配設したことを特徴とするものであるので、励磁コイル120の位置は、永久磁石108cおよび固定鉄心114側に限定されるものではなく、第1可動鉄心106a側、または、第1可動鉄心106aおよび固定鉄心114が励磁コイル120内に位置するように構成してもよい。
【0051】(第6実施形態)本実施形態は上述の実施形態に係る多段切換電磁弁600をより小型化すべく考案したものであり、以下、本実施形態に係る多段切換電磁弁600について図21を用いて述べる。601は、大気側に開放された第1開口部602、およびキャニスタ204に接続される第2開口部603が形成された樹脂製のハウジングでり、このハウジング601内には、第1開口部602に連通する第1空間602a、第2開口部603に連通する第2空間603a、および両空間602a、603aを連通させる部位(以下、この部位を第1弁口と呼ぶ。)604が形成されている。
【0052】そして、第1弁口(主弁口)604より第2空間603a側には、第1弁口604を開閉する第1弁体(主弁体)610が配設されている。この第1弁体610は、第1弁口の第1弁座604aに離間及び着座することに第1弁口604を開閉する第1弁部(主弁部)611、および第1弁口604と反対側で樹脂製のバルブホルダ614を介して第1弁部611に連結された構造用炭素鋼鋼材等の磁性体からなる第1可動鉄心部(第1ムービングコア)612から形成されている。
【0053】また、第1弁部611は、第1弁座604aに接触して第1弁口604を閉じるゴム製のパッキン611a、および第1パッキン611aが接着された樹脂製のバルブベース611bから形成されており、バルブベース611bには、第1、2空間602a、603a間を連通させる小穴(オリフィス)状の第2弁口(副弁口)613が形成されている。なお、第2弁口613の穴径は、第1弁口604の穴径に比べて十分小さく、本実施形態では、約0.5mmである。
【0054】また、第1可動鉄心部(主可動部)612内には、第2弁口613を開閉する第2弁体(副弁体)620が配設されている。この第2弁体620は、構造用炭素鋼鋼材等の磁性体からなる第2可動鉄心部(第2ムービングコア)621、第2弁口613の第2弁座613aに接触して第2弁口613を閉じるゴム製の第2パッキン621、および第2可動鉄心部(副可動部)の外側を覆う樹脂などの非磁性体製の覆い部623から構成されている。
【0055】そして、第2空間603a内には、第1弁口604を開く向きの弾性力を第1弁体610(第1弁部611)に作用させる第1コイルバネ(第2付勢手段)631が配設され、第1可動鉄心部612内には、第2弁口613を閉じる向きの弾性力を第2弁体623に作用させる第2コイルバネ(第1付勢手段)632が配設されている。このため、非通電時には、第1弁口604は開き、第2弁口613は閉じている。
【0056】また、ハウジング101内には、各コイルバネ631、632の弾性力に対抗する電磁吸引力を各弁体610、620に作用させて各弁体610、620を可動させる第1、2励磁コイル641、642が配設されており、これら励磁コイル(以下、両励磁コイル641、642を総称してコイル640と呼ぶ。)の外側には、コイル640によって誘起される磁束の磁路を形成する、圧延鋼板等の磁性体からなるヨーク650が配設されている。
【0057】そして、ヨーク650のうち第1弁口104側には、第1可動鉄心部612の第1弁部611側に形成されたフランジ部612aと対向する対向面651が形成されており、コイル640によって誘起される磁束は、後述するように、対向面651から両弁体610、620(第1、2可動部612、621)を経て、再びヨーク650に至る。
【0058】また、660は、コイル640のボビン(巻き枠)を構成するとともに、ヨーク650と共にインサート成形された樹脂製の固定部材であり、この固定部660には、第1可動鉄心612を摺動可能に保持する円柱状の摺動空間661が形成されている。そして、摺動空間661と第1可動鉄心612とにより形成された空間(以下、この空間をダンピング室662と呼ぶ。)は、第1可動鉄心612と摺動空間661との微小隙間663を介して第1空間603a側と連通している。
【0059】なお、670はハウジング601(多段切換電磁弁600)とキャニスタ204と隙間を密閉するOリングであり、605はバルブベース611b(第1弁部611)を摺動可能に案内するガイド部である。次に、多段切換電磁弁100の作動を述べる。
1.第1開弁状態(図21参照)
コイル640(第1、2励磁コイル641、642)への通電を遮断する。
【0060】これにより、ヨーク650(対向面651)および第1弁体(第1可動鉄心部612)間の電磁吸引力(以下、この電磁吸引力を第1電磁力と呼ぶ。)、並びに第1弁体610(第1可動鉄心部612)および第2弁体(第2可動鉄心621)間の電磁吸引力(以下、この電磁吸引力を第2電磁力と呼ぶ。)が消滅するので、前述のごとく、第1コイルバネ631の弾性力により、第1弁口105は開かれ、第2弁口107は閉じられている。
【0061】2.閉弁状態(図22参照)
第1励磁コイル641のみに通電してコイル640への通電量を所定値I以下とする。これにより、第1励磁コイル641で発生した磁束は、図22の破線に示すように、ヨーク650、第1弁体610(第1可動鉄心部612)、対向面651(ヨーク650)からなる磁路を流れる。したがって、第1弁体610は第1電磁力によりヨーク113(対向面651)に向けて吸引され、第1弁口604が閉じられる。
【0062】一方、この状態においては、第2コイルバネ632の弾性力が第2電磁力より大きくなるように設定されているので、第2弁体620は第2弁口613を閉じたまま、第1弁体610(第1可動鉄心部612)と一体的に可動する。
3.第2開弁状態(図23参照)
両励磁コイル641、642に通電することにより、コイル640への通電量を所定値Iを超えて大きくする。
【0063】これにより、コイル640での起磁力が増大するとともに、第1可動鉄心部612(フランジ部612a)とヨーク650113(対向面651)との距離が縮小して両者612、113間の磁気抵抗が小さくなっていることに加えて、第1可動鉄心部612が、ヨーク650から第2可動鉄心部621に至る磁路の一部を構成する(図23の破線)ので、第2電磁力が増大する。
【0064】したがって、第2電磁力が第2コイルバネ632の弾性力を上回るので、第2弁体620(第2可動鉄心部621)が第1弁体610(第1可動鉄心部612)に対して可動して第2弁口613を開く。次に、本実施形態に係る多段切換電磁弁600の特徴を述べる。本実施形態によれば、前述のごとく、閉弁状態以後(第1弁口604を閉じた後)においては、第1弁体610(第1可動鉄心部612)は、第1弁口604を閉塞するとともに、ヨーク650(対向面651)から第2弁体620(第2可動鉄心部612)に至る磁路の一部を構成する部材としても機能するので、ヨーク650(対向面651)から第2弁体620(第2可動鉄心部612)に至る磁路の磁気抵抗を小さくすることができる。
【0065】したがって、コイル640(第1、2励磁コイル641、642)の起磁力を小さくすることができるので、コイル640の小型化を図ることができる。延いては、多段切換電磁弁600の小型化を図ることができるとともに、車両への搭載性を向上させることができる。ところで、第1〜3実施形態に係る多段切換電磁弁では、図2に示すように、第1弁体106を挟んで第2弁体108と同じ側に第1弁口105が形成されているため、第1弁口105の径寸法D1 (開口面積)は、必然的に第2弁体108の径寸法d1 より大きくならざるを得ない。
【0066】このため、第1弁口105を閉じた際に、第1弁体106の表裏両面の圧力差に伴って第1弁体106に作用する力(以下、この力を受圧力と呼ぶ。)も必然的に大きくなってしまう。したがって、第1コイルバネ109の弾性力(バネ定数)を大きくせざるを得ないので、第1コイルバネ109の弾性力に対抗し得る電磁吸引力を発生させるべく第1、2励磁コイル111、112の起磁力を大きくせざるを得なく、両励磁コイル111、112の大型化を招いてしまう可能性がある。
【0067】これに対して、本実施形態に係る多段切換電磁弁600では、図21に示すように、第1弁部611を挟んで第1弁口604と反対側に位置する第1可動鉄心部612内に第2弁体620が配設されているので、第1弁口604の径寸法D2 を第2弁体620の径寸法d2 に影響されることなく設定することができる。したがって、第1弁口604の径寸法D2 を第1弁口105の径寸法D1 より小さくすることができるので、第1弁体610の表裏両面の圧力差に伴って第1弁体610に作用する力を上記受圧力より小さくすることができる。延いては、コイル640を小さくすることができるので、さらに多段切換電磁弁の小型化を図ることができる。
【0068】また、本実施形態に係る多段切換電磁弁600では、第1開弁状態から閉弁状態に移行する際に両弁体610、620が一体的に可動するので、第1開弁状態から閉弁状態に移行する際に、第1、2可動鉄心部612、621間の距離(エアギャプ)が拡大変化しない。したがって、第1、2可動鉄心部612、621間の磁気抵抗が拡大することを防止できるので、所定の第2電磁力を発生させるに必要なコイル640での起磁力が増大することが防止でき、コイル640の大型化を防止できる。
【0069】また、第1〜3実施形態に係る多段切換電磁弁100では、第1開弁状態から閉弁状態に移行する際に第1弁体106が第2弁体108と共に第2コイルバネ110を縮小させる向きに可動するので、第2コイルバネ110の弾性力が増大してしまう(図5、6参照)。このため、この状態(閉弁状態)から第2開弁状態に移行する際に、第2弁体108を可動させる電磁吸引力を大きくせざえるを得なく、両コイル111、112の大型化を招く可能性がある。
【0070】これに対して、本実施形態では、図22、23に示すように、第2コイルバネ632が第1可動鉄心部612内に配設されているとともに、両可動鉄心部612、621間の距離を保持したまま、第1開弁状態から閉弁状態に移行するので、第1開弁状態から閉弁状態に移行する際に第2コイルバネ632の弾性力が増大しない。
【0071】したがって、この状態(閉弁状態)から第2開弁状態に移行する際に、第2弁体620(第2可動鉄心部621)を可動させる第2電磁力を大きくする必要がないので、コイル640の大型化をすることを防止できる。ところで、コイル640への通電をON−OFFすると、前述のごとく、第1可動鉄心部612が可動するため、これに連動してダンピング室622の体積も変化する。したがって、可動鉄心部612の可動に連動して、空気(流体)が微小隙間663を介してダンピング室622と第1空間603a側との間を行き来する。
【0072】このとき、微小隙間663は、空気が流通する際に所定の圧力損失を発生させるので、ダンピング室622および微小隙間663により第1可動鉄心部612の可動を妨げる力を第1可動鉄心部材612に作用させるダンパー機構(ダッシュポット)を構成する。したがって、第1弁体610が可動する際に、第1可動鉄心部612と固定部660とが衝突する際の衝突音、および第1弁部611と第1弁座604aとが衝突する際の衝突音を緩和することができるので、多段切換電磁弁600の作動音(騒音)を低減することができる。
【0073】(第7実施形態)本実施形態は、微小隙間663に異物が噛み込むことにより、第1可動鉄心部612が固定部660に対してロックしてしまうことを防止したものである。すなわち、図24、25に示すように、微小隙間663のうち第1空間603a側の隙間(区間a)を拡大したものである。これにより、微小隙間663に異物が噛み込むことを防止できる。
【0074】なお、図24は微小隙間663を単純に大きくした例であり、図25は摺動空間661の内壁側に第1可動鉄心部621側に突出する突状661aを複数個形成した例である。
(第8実施形態)第6、7実施形態では、第2コイルバネ632は第1可動鉄心部材612内に配設されているのに対して、本実施形態は、第1可動鉄心部612を略円筒状とするとともに、第2コイルバネ632の一端側を第1可動鉄心部612を貫通させて固定部660に対して接触固定させたものである。
【0075】ところで、第1コイルバネ631の初期荷重(セット荷重)は、多段切換電磁弁を車両に装着した場合に、車両振動などの強制振動により第1弁体610が振動してしまうことを防止できる程度の荷重(=第1弁体610の質量×強制振動の最大加速度)が必要である。これに対して、本実施形態では、第1可動鉄心部612が略円筒状に形成されているので、第1固定鉄心部612の軽量化を図ることができ、第1コイルバネ631の初期荷重を小さくすることができる。したがって、コイル640の起磁力を小さくすることができるので、コイル640の小型化を図ることができる。
【0076】ところで、第6〜8実施形態では、2つの励磁コイル641、642を有してコイル640を構成していたが、第2実施形態に係る多段切換電磁弁100のごとく、励磁コイルを1つとして通電量を制御することにより多段切換電磁弁600の制御をしてもよい。また、上述の実施形態では、励磁コイルへの通電量を変化させることにより、励磁コイルが発生する起磁力を変化させたが、周知のごとく、起磁力とは励磁コイルへの通電量と励磁コイルの巻数との積であるので、通電量を一定として励磁コイルの巻数(ターン数)を変化させる(切り換える)ことにより起磁力を変化させてもよい。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成10年(1998)1月21日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 洋二 (外1名)
【公開番号】 特開平11−132354
【公開日】 平成11年(1999)5月21日
【出願番号】 特願平10−9776