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【発明の名称】 密封容器
【発明者】 【氏名】灰山 忍

【要約】 【課題】万一の異常高温による内容物の噴射によっても密封容器自体が飛んで危険となることがなく、安全な状態まで内容物を放出した後は内容物をそのまま入れた状態にでき、しかも内容物の充填時に容器損傷に伴う漏洩の問題がなく内容物の製造側で密閉状態にできる密封容器を提供すること。

【解決手段】容器本体13とマウンテンカップ14を備えた密封容器10のマウンテンカップ14に貫通孔16を形成して低融点合金17で塞ぐ。これにより、内容物の噴射による反力が下方に作用するようにして容器が飛んでしまうことを防止し、貫通孔16を容器上部に形成するようにして損傷が生じている場合でも内容物の漏洩を防止でき、異常高温時の圧力開放後の貯蔵も可能としている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも容器本体とその開口を塞ぐマウンテンカップとを備える密封容器であって、前記マウンテンカップに前記容器本体内と連通する貫通孔を形成する一方、この貫通孔を異常過熱時に溶融開栓する低融点合金で閉塞してなることを特徴とする密封容器。
【請求項2】 前記貫通孔を容器内側からバーリング加工で形成し、このバーリング加工部に前記低融点合金を充填して閉塞したことを特徴とする請求項1記載の密封容器。
【請求項3】 前記貫通孔を前記マウンテンカップの底部外周側で前記容器本体への当該マウテンカップのかしめ加工時に干渉が生じない位置に形成してなることを特徴とする請求項1または2記載の密封容器。
【請求項4】 前記容器本体内にHCFCまたはHFC系混合冷媒を充填する一方、前記低融点合金の溶融温度を60〜70℃としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の密封容器。
【請求項5】 前記容器本体を、缶胴と底蓋を一体成型したモノブロック缶としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の密封容器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は密封容器に関し、エアゾール製品、冷媒のサービス缶、燃料ガス容器などの密封容器の異常過熱時の爆発を防止して安全性を確保するようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】液化ガスや圧縮ガスなどの噴射剤とともに、内容物を入れたエアゾール製品、冷凍機の作動ガスである冷媒を入れたサービス缶、ガスこんろやガスライター用の燃料ガスを入れた燃料ガス容器等の密封容器では、高温下に長時間放置されると、加熱によって内部圧力が上昇し、場合によっては耐圧限界を越えて爆発する虞がある。
【0003】このため、従来より異常高温による密封容器の爆発を防止するため、例えば特開平3−249486号公報に開示されたものを図4および図5に示すように、密封容器の缶胴となる容器本体1の底部を塞ぐ底蓋2に貫通孔2aを形成し、この貫通孔2aを異常高温時に溶融する低融点合金3aで塞いで可溶栓3とし、異常高温により可溶栓3の低融点合金3aを溶融させて貫通孔2aを開放して内容物を放出させて圧力を低下させるようにしたり、容器本体1の底蓋2に通常時はばね4で閉じられる安全弁5を取付け、異常高温による圧力上昇でばね4に抗して安全弁5を開放して内容物を放出させて圧力を低下させるようにしたものがある。
【0004】このような低融点合金3aによる可溶栓3やばね4でセットされた安全弁5を用いることで異常高温による容器本体1内の圧力上昇を内容物を逃がすことで安全内範囲に抑えて爆発を防止することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来のエアゾール製品等が入れられる密封容器では、容器本体1の底部に可溶栓3や安全弁5を設けて内容物を逃がすようにしているため、異常高温になると、内容物が容器本体1の底部の可溶栓3などから噴射され、この噴射による反力で容器本体1自体が上方に飛んでしまい危険であるという問題がある。
【0006】また、容器本体1の底部に可溶栓3を設けた場合には、異常高温で一旦可溶栓3が開放されると、安全な圧力になって爆発の危険が無い状態でも内容物が底部の可溶栓3から排出されてしまうという問題があり、エアゾール製品の場合には、噴射剤だけでなく内容物までも排出されてしまうという問題もある。
【0007】一方、安全弁5を設けた場合には、異常高温で安全弁5が開放されても安全な圧力に戻ればばね4で再び閉じられ、内容物の排出が停止されるものの、可溶栓3を用いる場合に比べて構造が複雑で組立も大変になるという問題がある。
【0008】さらに、底部に可溶栓3などを設ける密封容器では、容器本体1に可溶栓3が設けられた底蓋2を取付け、上部のみが開口した状態まで製缶工場で製造したのち、内容物を製造する工場などに輸送され、内容物を充填したのち上部の開口にマウンテンカップをかしめて取付けて密封状態のエアゾール製品等とされており、輸送など充填までの間に可溶栓3等に損傷が生じた場合には、そのまま充填すると内容物がこぼれてしまうという問題がある。
【0009】この発明はかかる従来技術の有する課題を解決するためになされたもので、万一の異常高温による内容物の噴射によっても密封容器自体が飛んで危険となることがなく、安全な状態まで内容物を放出した後は内容物をそのまま入れた状態にでき、しかも内容物の充填時に容器損傷に伴う漏洩の問題がなく内容物の製造側で密閉状態にできる密封容器を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記従来技術が有する課題を解決するため、この発明の請求項1記載の密封容器は、少なくとも容器本体とその開口を塞ぐマウンテンカップとを備える密封容器であって、前記マウンテンカップに前記容器本体内と連通する貫通孔を形成する一方、この貫通孔を異常過熱時に溶融開栓する低融点合金で閉塞してなることを特徴とするものである。
【0011】この密封容器によれば、容器本体とマウンテンカップを備えた密封容器のマウンテンカップに貫通孔を形成して低融点合金で塞ぐようにしており、内容物の噴射による反力が下方に作用するようにして容器が飛んでしまうことを防止し、貫通孔を容器上部に形成するようにして損傷が生じている場合でも内容物の漏洩を防止でき、異常高温時の圧力開放後の貯蔵も可能としている。
【0012】また、この発明の請求項2記載の密封容器は、請求項1記載の構成に加え、前記貫通孔を容器内側からバーリング加工で形成し、このバーリング加工部に前記低融点合金を充填して閉塞したことを特徴とするものである。
【0013】この密封容器によれば、貫通孔をバーリング加工で形成しこのバーリング加工部に低融点合金を充填するようにしており、低融点合金を保持させ製造を容易にするようにしている。
【0014】さらに、この発明の請求項3記載の密封容器は、請求項1または2記載の構成に加え、前記貫通孔を前記マウンテンカップの底部外周側で前記容器本体への当該マウテンカップのかしめ加工時に干渉が生じない位置に形成してなることを特徴とするものである。
【0015】この密封容器によれば、マウンテンカップに形成する貫通孔を容器本体へのかしめ加工に支障のない位置とするようにしており、従来と同一のかしめ治具によってかしめることができ、従来と同一工程でエアゾール製品などを得ることができるようになる。
【0016】また、この発明の請求項4記載の密封容器は、請求項1〜3のいずれかに記載の構成に加え、前記容器本体内にHCFCまたはHFC系混合冷媒を充填する一方、前記低融点合金の溶融温度を60〜70℃としたことを特徴とするものである。
【0017】この密封容器によれば、容器本体内にHCFCまたはHFC系混合冷媒を充填し、低融点合金の溶融温度を60〜70℃とするようにしており、高圧ガス保安法などによる制限がなくなれば、HCFCまたはHFC系混合冷媒のサービス缶としても安全に使用できるようになる。
【0018】さらに、この発明の請求項5記載の密封容器は、請求項1〜4のいずれかに記載の構成に加え、前記容器本体を、缶胴と底蓋を一体成型したモノブロック缶としたことを特徴とするものである。
【0019】この密封容器によれば、容器本体をモノブロック缶とするようにしており、モノブロック缶に対しても安全に使用できるようになり、従来の可溶栓や安全弁を底蓋に設置するのに比べ簡単に設置することができるようになる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、この発明の一実施の形態について図面に基づき詳細に説明する。図1および図2はこの発明の密封容器を冷媒ガスを充填したサービス缶に適用した一実施の形態にかかり、図1(a)はマウンテンカップのみの拡大断面図、図1(b)は全体の右半分を切欠いて示す断面図、図2はかしめ状態の部分拡大断面図である。
【0021】この冷媒サービス缶としての密封容器10では、缶胴11と底蓋12とで2ピース缶を構成する容器本体13を備えており、この容器本体13は上部が開口した状態とされ、内容物である冷媒を充填後、マウンテンカップ14をかしめて取付けることで密封状態にできるようにしてある。
【0022】この密封容器10を構成する缶胴11,底蓋12,マウンテンカップ14は、現在高圧ガス保安法で製造が認められているフルオロカーボン12または134a用のサービス缶として必要な強度をもつように製造されたり、現在米国に委託生産され輸入することで使用されているHCFCまたはHCFC系混合冷媒用のサービス缶として使用する場合には、そのために必要な強度を持つように製造される。
【0023】なお、この密封容器は冷媒のサービス缶として用いられる場合のほか、エアゾール容器としても使用され、充填される内容物に応じて必要な強度をもつように製造される。
【0024】この冷媒サービス缶としての密封容器10では、その容器本体13の上端開口部を塞ぐマウンテンカップ14は、外周部に断面逆U字状の容器取付部14aが形成され、その内側に環状の凹部14bが連続して一体に形成され、さらに中心部に円筒状で上端面が密閉されたバルブ取付部14cが形成されて構成され、バルブ取付部14cの外周には雄ねじが形成され、冷凍機への冷媒充填の際、図示しない冷媒充填用バルブをねじ込んで上端面を破ってシール状態で連通させて使用するようになっている。
【0025】そして、このマウンテンカップ14の外周部の断面逆U字状の容器取付部14aが、図2に示すように、容器本体13の上端開口部にマウンテンカップガスケット15を介して被せられ、クリンチかしめ金型Tを用いてかしめ加工によって密閉状態で取付けられる。
【0026】このような密封容器10では、高温下におかれると内容物である冷媒ガスが膨張し内部圧力が上昇して危険になることから、マウンテンカップ14の環状の凹部14bの外周側に貫通孔16が形成され、例えば容器内側からバーリング加工することによって外側に突き出した円筒状のバーリング加工部16aを形成しておく。
【0027】そして、この貫通孔16に低融点合金17が充填されて塞がれ、この低融点合金17の溶融温度を選択することによって異常過熱時に低融点合金を溶融させて貫通孔16を開放して密封容器10内の内容物を排出させて安全な状態にする。
【0028】この密封容器10のマウンテンカップ14では、容器内側からバーリング加工によって外側に突き出した円筒状のバーリング加工部16aに低融点合金17を入れるようにして塞いである。
【0029】このような貫通孔16が低融点合金17で塞がれたマウンテンカップ14を予め作っておき、容器本体13に内容物を充填後、クリンチかしめによって取付けることから、これらの作業に支障のないように貫通孔16を形成する必要があり、例えば貫通孔16の直径Dを0.8〜1.4mm程度とし、バーリング加工による突出高さHを0.8mm以下にし、マウンテンカップ14の環状の凹部14bの外周から貫通孔16の中心までの距離Lを2.0〜3.4mm程度としており、これによってクリンチかしめ金型Tとの干渉を防止してマウンテンカップ14の取付ができるようにしている。
【0030】なお、これらの貫通孔16の直径D、突出高さH、中心までの距離Lなどは一例であり、クリンチかしめ金型Tと干渉せずにマウンテンカップ14を容器本体13の上端開口部に取付けることができれば良く、容器本体の形状やマウンテンカップの形状によってこれらD,H,Lの値を適宜定めれば良い。
【0031】次に、貫通孔16を塞ぐ低融点合金17としては、ハンダやビスマス、鉛、錫の合金などが使用でき、合金成分を変えることで、その溶融温度を50℃から150℃程度まで変えることができるが、冷媒ガスのサービス缶の場合には、溶融温度を60〜70℃程度に設定すれば良い。
【0032】このように構成した冷媒ガスのサービス缶としての密封容器10では、容器本体13ではなく、マウンテンカップ14に貫通孔16を形成して低融点合金17で塞ぐようにしてあるので、異常過熱状態になり温度が低融点合金17の溶融温度を越えると、低融点合金17が溶融して貫通孔16が開放されて容器内部と容器外部が連通され、高圧状態の内容物が排出され、圧力が低下して安全な状態になる。
【0033】このとき、貫通孔16がマウンテンカップ14の環状の凹部14bに形成してあるので、内容物が上方に噴射され、密封容器10には下向きに反力が作用し、密封容器10が上方に飛ぶことがない。
【0034】また、容器本体13ではなく、マウンテンカップ14に貫通孔16を形成して低融点合金17で塞ぐようにしてあるので、容器本体13とマウンテンカップ14とを輸送し、内容物を容器本体13に充填する場合に低融点合金17による栓の損傷などの有無にかかわらず、内容物を漏らすこと無く充填することができる。
【0035】なお、この密封容器は冷媒サービス缶とし、マウンテンカップの中心部の上端面を塞いだが、通常のエアゾール容器のようにバルブ機構を設けてステムを介して内容物を噴射させる形式の場合にも同様に適用でき、この場合には、密封容器10の上部に貫通孔16が形成してあるので、低融点合金17が溶融して貫通孔16が開放されると、密封容器10の上部に溜まった高圧ガスが噴射するように排出されるが、底部に溜まった液体などの内容物はそのまま残した状態にすることができる。
【0036】また、上記実施の形態では、容器本体を缶胴と底蓋とで構成した2ピース缶とした場合で説明したが、これに限らず3ピース缶としたり、図3に示すような容器本体23を、缶胴21と底蓋22とを一体に成形したモノブロック缶20としても良く、特に、モノブロック缶20の場合には、従来の底蓋部分への可溶栓3や安全弁5を設けることが製作上困難となる場合が多く、特に安全弁の組立は不可能であり、この発明のマウンテンカップ14に貫通孔16を形成して低融点合金17で塞ぐようにすることが安全性確保の上で有効である。
【0037】
【発明の効果】以上一実施の形態とともに具体的に説明したように、この発明の請求項1記載の密封容器によれば、容器本体とマウンテンカップを備えた密封容器のマウンテンカップに貫通孔を形成して低融点合金で塞ぐようにしたので、内容物の噴射による反力を下方に作用させることができ、容器が上方に飛んでしまうことを防止できるとともに、貫通孔を容器上部に形成するようにしたので、低融点合金による閉塞に損傷が生じている場合でも内容物の漏洩を防止でき、内容物によっては、異常高温時に高圧ガスのみを排出し液体や固体などの内容物を圧力開放後にそのまま密封容器内に残した状態にすることもできる。
【0038】また、この発明の請求項2記載の密封容器によれば、貫通孔をバーリング加工で形成しこのバーリング加工部に低融点合金を充填するようにしたので、低融点合金を能率良く保持させ、貫通孔を塞ぐことができ、製造も容易に行うことができる。
【0039】さらに、この発明の請求項3記載の密封容器によれば、マウンテンカップに形成する貫通孔を容器本体へのかしめ加工に支障のない位置とするようにしたので、従来と同一のかしめ治具によってかしめることができ、従来と同一工程でエアゾール製品などを製造することができる。
【0040】また、この発明の請求項4記載の密封容器によれば、容器本体内にHCFCまたはHFC系混合冷媒を充填し、低融点合金の溶融温度を60〜70℃とするようにしたので、高圧ガス保安法などによる制限がなくなれば、HCFCまたはHFC系混合冷媒のサービス缶としても安全に使用することが可能となる。
【0041】さらに、この発明の請求項5記載の密封容器によれば、容器本体をモノブロック缶とするようにしたので、モノブロック缶に対しても安全に使用できるとともに、従来の可溶栓や安全弁を底蓋に設置するのに比べ簡単に設置することができる。
【出願人】 【識別番号】397066627
【氏名又は名称】エヌ・ケイ・ケイ株式会社
【出願日】 平成9年(1997)10月28日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】原田 卓治 (外1名)
【公開番号】 特開平11−132350
【公開日】 平成11年(1999)5月21日
【出願番号】 特願平9−311203