| 【発明の名称】 |
溶解栓 |
| 【発明者】 |
【氏名】小池 秀樹
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| 【要約】 |
【課題】強度および熱応答性の高い溶解栓を得る。
【解決手段】ボイラ50の缶体に対して固着させる溶解栓本体2の底部に小孔4を多数穿設する。この小孔4の各々に対してはハンダ等の溶解材Mが充填されることにより開口部分は閉塞されている。この状態で常時は内部液体は図示しない排出口から排出される。内部液体が予め設定された温度に達すると溶解材Mが溶解し、各小孔4を通過して内部流体が管路56を介して外部に緊急放出され、缶体の破損や爆発等を防止する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 液体が通過する空間部を溶解材で閉塞しかつ当該溶解材の溶解により缶体内部の液体を緊急放出するよう構成したものにおいて、缶体に取り付けられる溶解栓本体に対して直接に、或いは液体緊急通過部構成部材を介して間接に液体緊急通過部が形成され、液体緊急通過部は液体通過用の多数の空間部が形成され、かつ当該空間部の各々は溶解材により閉塞されていることを特徴とする溶解栓。 【請求項2】 溶解栓本体の一部をなす本体下部に対して多数の小孔が穿設され、かつこれらの小孔に対して溶解材が充填されることにより当該溶解材充填部が液体緊急通過部として構成されていることを特徴とする請求項1記載の溶解栓。 【請求項3】 基材が溶解栓本体とは別個に形成され、基材には多数の小孔が形成され、かつこれらの小孔に対して溶解材が充填されることにより液体緊急通過部構成部材が形成され、当該液体緊急通過部構成部材が溶解栓本体に取り付けられることにより溶解栓本体に液体緊急通過部が形成されることを特徴とする請求項1記載の溶解栓。 【請求項4】 基材はラス材または網材により形成され、かつラス材または網材を気密にするよう溶解材がこれらラス材または網材表面を覆うように構成することにより液体緊急通過部構成部材が形成されることを特徴とする請求項3記載の溶解栓。 【請求項5】 基材の一部は缶体の液体充填側空間に突出するよう形成されて感温部となっていることを特徴とする請求項3又は4に記載の溶解栓。 【請求項6】 前記液体緊急通過部構成部材の全面に電気非伝導性及び非通水性のうち少なくとも一方の性質を有する材料による皮膜が形成されていることを特徴とする請求項3乃至5の何れかに記載の溶解栓。 【請求項7】 前記溶解栓本体のうち、少なくとも液体緊急通過部として形成された部分に対し、電気非伝導性及び非通水性のうち少なくとも一方の性質を有する材料による皮膜が形成されていることを特徴とする請求項2記載の溶解栓。 【請求項8】 前記溶解栓本体のうち、少なくとも液体緊急通過部構成部材が取り付けられた部分に連続する部分に対し、電気非伝導性及び非通水性のうち少なくとも一方の性質を有する材料による皮膜が形成されていることを特徴とする請求項6記載の溶解栓。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は強度及び熱応答性を向上させかつ耐食性も向上させるよう構成した溶解栓に関する。 【0002】 【従来の技術】例えば温水ボイラ等、内部に高温の流体が存在する装置においては、この内部流体の急激な温度(圧力)上昇等による装置の破損、或いは爆発等の壊滅的な事故を事前に防止するために溶解栓が設置されている。 【0003】図6は温水ボイラ50に溶解栓が設置されている状態を示す。缶内の燃焼室51における燃料の燃焼により被加熱空間52内に充填されている水が加熱され、所定の温度となった温水は温水管53を介して系外に排出される。このような温水ボイラにおいて、通常運転状態であったものが燃料の異常燃焼、燃料供給の制御不良等、何らかの理由により缶内温度及び圧力が上昇し、かつこの圧力が予め設定された値に達すると圧力逃し弁54が作動して外部に圧力を逃すようになっている。しかし、圧力逃し弁54作動要因は圧力のみであり、缶内の温度上昇に対しては何ら効果がなく、温度上昇による危険を防止することができない。 【0004】溶解栓はこのような事態に対応するよう構成されており、常時は特定の材料で閉止されている閉止部分が、この急激な温度上昇に対応して溶解破断して内部流体の排出通路を形成し、内部流体を短時間で外部に排出することにより装置の損傷や爆発事故等を事前に防止するようになっている。符号55はこの溶解栓を示し、内部流体が予め設定され温度となった時に閉塞部分が開となり、被加熱空間部の温水を、緊急排出管56を介して短時間で大量に排出するようになっている。 【0005】また温水ボイラにおいては、温水供給量に比較して装置の小型化が進んでいる。即ち、小型化されたボイラにおいては、バーナー出力に対して缶体の貯湯量が相対的に少ないため、制御不良があると短時間で急激に缶内温度が上昇し危険な状態になってしまう。このため今後溶解栓は装置の安全上より一層必要な部品となり、かつ部品としてはより高い精度と、より高い熱応答性を要求されることは明らかである。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】図7は上記した溶解栓の従来構成の一例を示す。先ず溶解栓55の本体57はボイラ50の取り付け座50aに強固に螺着固定されている。58はこの本体57を、栓体として常時は閉止させておくための閉止部であり、当該閉止部材としては、金属の蝋付け用の合金であるハンダが通常用いられる。 【0007】図7の構成では本体57の底部に溶融した閉止部材(以下「ハンダ」で説明する)を充填固化することにより溶解栓を形成する構成であって、構造が簡単である反面、溶解栓55を形成する際に閉止部58のハンダ層の厚さを一定に管理する事が困難であること、及び本体内筒部分に段部57aを形成するなどの係合手段を設けるものの、閉止部58の強度を保持するためには閉止部58の層厚を大きく設定しなければならない等の問題がある。 【0008】より具体的には、前述の如く閉止部58の層が不均一であることにより、溶解栓毎に作動温度が微妙に相違し、溶解栓として高い作動精度を保証できないこと、及び閉止部58が肉厚であるため閉止部58全体での熱伝達が不均一となって温度勾配が生じ、急激な温度変化に対する応答性が低いこと等の問題点があり、温水ボイラ等今後もより一層小型化されるであろうこの種の装置に対しては安全上使用が困難である。 【0009】図8は上記構成の問題点を除去し、特に溶解栓としての精度を向上させるように構成したものである。この溶解栓においては閉止部を構成する閉止部材であるハンダは予め所定の厚さの板材(円盤)59として形成され、この板材59の周縁にシール材60を設け、止め金具61を本体57の下端部に螺合することによりシール材60を有する板材59を本体57に固定するよう構成している。この構成では、閉止部を構成するハンダは予め正確に厚さが定められた板材であるため温度変化に対して各溶解栓が同一に作動することが可能となり、溶解栓としての精度を高く保持することが可能となる。 【0010】反面、板材59の取り付けにはシール材60、止め金具61等の特別な部品を必要とし、かつこの部品取り付けのため本体57にも加工を施す必要があって、溶解栓の構造が複雑となりかつ価格が上昇することになる。また、缶内の圧力をこの板材59で受けるため、板材59の肉厚を薄くすると、缶内温度の上昇により強度が低下している板材59が缶内圧力によって破壊される可能性がある。このため図2に示す構成でも板材59自体の肉厚は余り薄くすることはできず、熱応答性に関しては前記図1の構成に比較して大きく向上させることはできない。従って急激な缶内温度、圧力の上昇に対しては十分に対応できるとは言い難いものである。 【0011】また最近、ボイラを構成する材質としてステンレスが多く使用されるようになっているが、このステンレス材と溶解栓の構成金属との種類の相違により生じる腐食(電食)が生じ、溶解栓の耐食性に関しても問題が生じるようになっている。この点に関しては現在まで殆ど有効な対策がなされてないのが実状である。 【0012】 【課題を解決するための手段】本発明は上記従来技術の問題点を除去し、強度を高く保持し、かつ高い精度と高い熱応答性を有する溶解栓を構成する点に特徴がある。即ち本発明は、溶解栓本体の一部に、或いは本体とは別の部材として液体通過部を構成し、かつこの液体通過部には多数の小孔を穿設したり或いは網材等の様に液体を通過させる空間部を有する基材に対してこの液体通過部を閉塞するよう溶解材が充填され、これら小孔等の液体通過空間の断面積は溶解栓としての必要な液体通過断面積(必要有効断面積)を満たす大きさの断面積を有するよう構成され、かつ要すればこれら液体通過部及び溶解栓本体のうち少なくとも水と接触する部分を電気伝導性を持たない皮膜で覆うよう構成したことを特徴とする溶解栓である。 【0013】 【発明の実施の形態】溶解栓本体に対して直接に、或いは別の部材を用いて液体通過部を構成する。なお、この液体通過部は常時は閉止されかつ缶内圧力の上昇等、緊急の事態が生じた際に液体を通過さるものであるので、以下当該液体通過部は「液体緊急通過部」と称する。 【0014】この液体緊急通過部は溶解栓本体の一部に多数の小孔を穿設することにより、或いは溶解栓本体とは別に構成した基材に多数の小孔を穿設することにより、更には基材を予め液体通過の可能な空間を有するラス材(網材)で構成する。この基材の液体通過空間に対してハンダ等の溶解材を充填し、当該液体緊急通過部を、常時は気密となるよう構成する。 【0015】溶解栓はこの液体緊急通過部を有することにより常時は取り付け対象であるボイラ等の缶体内を気密に閉止し、缶体内の温度が予め設定してある状態に達すると基材を閉止していた溶解材が溶解して液体通路が形成され、内部の液体はこ溶解栓の液体緊急通過部を介して缶体外部に緊急放出される。 【0016】 【実施例】以下本発明の実施例を図面を参考に説明する。図1は本発明の第1の実施例を示す。図中矢印1は溶解栓を示し、符号2は当該溶解栓1の本体を示す。この溶解栓本体2は従来の溶解栓と同様取り付け対象(以下ボイラ50を例とする)の取り付け座50aに螺合固定される構造となっている。この本体2のうちボイラ缶体内部に位置する下部は液体緊急通過部3として構成されている。即ちこの実施例の液体緊急通過部3は本体2の一部として構成されている。 【0017】先ず、本体2の下部側壁部および底面には多数の小孔4が穿設されている。またこれらの小孔4の総断面積は、缶体内部の温水を緊急放出するのに必要な断面積となるよう、各小孔の穴径とその穴径に対応する穿設個数が定められる。これらの小孔4に対してハンダなどの溶解材Mが充填されることにより液体緊急通過部3は、常時は完全に気密に保持される。 【0018】上記液体緊急通過部3の構成において、従来の液体通過部は図7および図8に示すように大面積Sの通過口一つであるのに対して、本実施例の構成では各小孔4の通過面積S1 は上記Sに対してS1 <<Sであるため、各小孔に加わるボイラ内圧は従来構成に比較して極めて小さくなり、従って各小孔4に充填される溶解材Mは極力薄くする事が可能となり、溶解栓の熱応答性を高めることが可能となる。また同時にこの液体緊急通過部3の基材は溶解栓本体と一体に構成されているため機械的強度も十分であり、熱応答性及び強度共に十分な溶解栓として構成される。 【0019】なお図示の構成では液体緊急通過部3は本体2の延長として円筒形に形成されているが、この液体緊急通過部3を外部に膨出させる等してより缶内温度に対する感度をより高めることも可能となる。 【0020】また、上記溶解材Mをハンダとした場合、合金としてのハンダの金属混合比率を調整することにより溶解栓の作動温度を調整することができる。即ち、ハンダがSnとPbのみであり、その比率がほぼ50:50であれば溶融温度は約190℃であるが、Biを加えることにより融点を100℃以下とすることができる。従って溶解栓の用途に応じてハンダの性質を適当に選択することにより所望の性能を有する溶解栓を得ることができる。 【0021】図2は第2の実施例を示す。この実施例では液体緊急通過部となるべき部分が溶解栓本体2とは別の部材として構成されている。5は液体緊急通過部3を構成する液体緊急通過部構成部材(以下単に「通過部構成部材」と称する)の基材であって、金属その他同効の材料により形成され、かつ図示場合は略漏斗状に形成されている。 【0022】この基材5に対しては前記実施例1と同様の小孔4が、やはり当該実施例1と同様にその液体通過面積、形成個数等が勘案されて形成され、かつこの小孔4に溶解材Mが充填されることにより気密に構成され、通過部構成部材6が形成される。なお基材5は溶解栓1の本体2とは別の部材として構成されているため、その構成材料を自由に選択できるので、例えば構成材料をハンダがより良好に接着できる材料としたり、ボイラ本体の構成材料に対して電食し難い材料とする等が可能となる。 【0023】なお、図2において通過部構成部材6の本体に対する取り付けは当該通過部構成部材上端縁のフランジ部を覆うようにシール材7を配置し、この状態の通過部材構成部材6を本体2に対してかしめにより取り付ける構成となっている。符号8はこのかしめ部をしめす。但し、かしめは本構成において必須の要素ではなく、部品点数の増加が許容されれば、図8の符号61で示すような止め金具を用いて本体2に取り付けることももとより可能である。 【0024】次に図3は第3の実施例を示す。この実施例では基材は前記実施例の基材5と相違して網、或いはラス板からなる基材9となっており、この基材9の隙間を溶解材Mで充填して液体緊急通過部構成部材10となっている。なお溶解材Mの充填は前記実施例も含めて、溶解材Mの溶融槽に基材5または9を浸漬することにより、即ち所謂ドブ漬することにより容易に実施できる。 【0025】図4は第4の実施例を示す。この実施例においては基材5の中央下端部が外部、即ち図6で示すボイラでは温水と接触する側に、突出形成されて感温部5aとなっている。この感温部5aには小孔は形成されておらず、基材5が温水に直接接触するようになっている。例えは溶解材Mとして特定の樹脂材を用いた場合等、溶解材の種類によっては溶解栓の溶解材料としては熱の伝導特性が余り良好でないものものある。ただし、樹脂は後述する電食の問題が生じないという利点がある。このように熱の伝導特性が余り良好でない溶解材を用いた場合、本実施例の様に感温部5aを形成しておけば、温水の温度がこの感温部5aを介して良好に伝達され、溶解栓として高い応答性を保持することができる。 【0026】図5は第5の実施例を示し、本実施例では前述の電食を防止する機能を付加している。 【0027】先ずボイラにおける腐食の一つとして異なる金属間での電位差により、両金属に電流が流れ、水を通して電位の低い金属から高い金属に向かって金属イオンが移動し、電位の低い金属が腐食される、電食と称される腐食が知られている。ここで、ボイラ自体は耐食性を高めるためステンレス鋼で形成されるものが多くなっている。従って電食を防止するにはステンレスボイラに取り付ける各種部材もステンレス若しくはこれと同等の性質を有す材料で構成されていることが望ましい。しかし、溶解栓にあっては、溶解材Mそのものはステンレス材と同等の性質を有する材料を使用することができず、従って溶解材Mとステンレス材との電位差が問題となる。また、基材5又は9が金属である場合には基材と溶解材との間でも電食の問題がある。 【0028】本実施例ではこの点を考慮し、前記実施例3の通過部構成部材全面に電食防止皮膜11を形成することにより、電食防止型の通過部構成部材を形成する。電食防止皮膜11は、例えば電気伝導特性を持たない特性(以下「電気非伝導性」とする)や、水を通過させない特性(以下「非通水性」とする)を有する塗料等を塗布したり、これら電気非伝導性または非通水性を有する合成樹脂皮膜を密着する等の方法により形成することが可能である。なお、図示の構成は図4に示す通過部構成部材10を電食防止型に形成したものを示しているが、これに限定する趣旨ではなく図1乃至図3の何れの構成にも実施可能である。また皮膜の形成部位は通過部構成部材以外に溶解栓本体2の一部若しくは全部に形成するよう構成することももとより可能である。 【0029】以上本発明をボイラに用いる溶解栓を例に説明したが、使用する溶解材の種類を適当に選択することにより他の産業機器に対しても当該溶解栓が利用可能であることは当業者において容易に想到し得るものである。 【0030】 【発明の効果】本発明は以上に説明した如く、溶解栓本体の一部に対して直接に、或いは本体とは別の部材として間接に液体緊急通過部が形成され、かつこの液体緊急通過部は液体を通過させる多数の空間部が形成され、この空間部に対して溶解材が充填される構成となっているので、基材部分により温水等の液体の圧力を支持する構成のため、溶解栓として十分の強度を有し、然も個々の空間部の受ける圧力は小さくなるため、これら個々の空間部の溶解材の厚さを少なくすることが可能となり、熱応答性の高くしかも性能の均質な溶解栓を得ることができる。 【0031】また、電気伝導性を持たない皮膜を溶解栓の少なくとも一部に被服することにより異種金属間で問題となる電食を防止することが可能となり、溶解栓を構成する材料を専ら溶解栓としての性能面から選択することが可能となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000112635 【氏名又は名称】フジコントロールズ株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)10月28日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】吉澤 桑一
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| 【公開番号】 |
特開平11−132349 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)5月21日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−311086 |
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