トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F16 機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段




【発明の名称】 緩閉式逆止弁
【発明者】 【氏名】西川 保

【要約】 【課題】簡単な構成付加によって子弁の開度が30°以下になったとき、それの前後差圧を大きくして子弁を確実に全閉させることができるようにする。

【解決手段】弁ケーシング2内に流路3を揺動開閉するように枢設された主弁1に形成した小孔8を揺動開閉する子弁7を、それの揺動用弁軸4に連結させたダッシュポット10を介して主弁1よりも低速度で閉方向に揺動させるように構成してなる緩閉式逆止弁において、子弁7の揺動開閉経路の外周を取り囲むように該子弁7の開度30°の範囲にまで亘って設置され、上流側から小孔8に向かっての水の流れを子弁7の揺動開閉経路にほぼ沿った流れに案内する筒状ガイド11を主弁1に固定している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 弁ケーシング内に流路を揺動開閉する主弁とこの主弁に形成した小孔を揺動開閉する子弁とが設けられているとともに、上記子弁の揺動用弁軸には、該子弁を上記主弁よりも低速度で閉方向に揺動させるトルクを発生するダッシュポットが連結されてなる緩閉式逆止弁において、上記子弁の揺動開閉経路の外周を取り囲むように設置されて上流側から上記小孔に向かっての水の流れを上記子弁の揺動開閉経路にほぼ沿った流れに案内する筒状ガイドを上記主弁に固定していることを特徴とする緩閉式逆止弁。
【請求項2】 上記筒状ガイドは、少なくとも上記子弁の開度が30°以上の範囲にまで亘って設けられている請求項1に記載の緩閉式逆止弁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば上水道や海水ラインに介在されたポンプの吐出口等に設置して使用される緩閉式逆止弁に関し、詳しくは、弁ケーシング内に流路を揺動開閉する主弁とこの主弁に形成した小孔を揺動開閉する子弁とが設けられ、この子弁の揺動用弁軸には、ポンプの運転停止時におけポンプの保護ならびにウォーターハンマー現象の発生防止のために、該子弁を上記主弁よりも低速度で閉方向に揺動させるように作用するダッシュポットを連結させてなる緩閉式逆止弁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図7は従来の緩閉式逆止弁の要部の縦断面図であり、弁ケーシング21内にポンプ(図示省略)の運転停止時に自重および前後圧力差によるトルクにより流路22を自動閉鎖するように弁軸23の周りに揺動開閉可能に枢支された主弁24が設けられているとともに、この主弁24に形成された小孔25を上記弁軸23と一体揺動するアーム26を介して開閉する子弁27が設けられ、かつ、上記弁ケーシング21の外部に位置する弁軸23の端部にはスプリングを内装したダッシュポット(図示省略)が連結されてなる。
【0003】このような構成の緩閉式逆止弁では、ポンプの運転停止時に上記子弁27には自重によるトルクと上記ダッシュポット内のスプリングによるトルクと該子弁27の前後圧力差によるトルクが閉方向の作用力として働き、上記主弁24よりも低速度で閉方向に揺動されることになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記構成の従来の緩閉式逆止弁においては、ポンプの運転停止時に子弁27の閉方向作用力となる上記トルクのうち、自重によるトルクおよびダッシュポット内のスプリングによるトルクは上記子弁27の開度θが30°以下になると小さくなる。また、子弁27の閉動が進むにつれて上流側から小孔25に向かう水の流れが図7の矢印に示すように、該子弁27の揺動開閉経路の外側に次第に変化することになるため、子弁27の前後差圧によるトルクも開度θが5°以下にならないと大きくならない。
【0005】図8および図9は、子弁27の開度θと子弁後流路面積、後圧力および前後差圧の関係を示す表およびグラフであり、図8の表および図9からも明らかなように、開度θが30°〜10°の範囲では、前後差圧が微増するだけで、5°以下にならないと大きくならない。そのために、子弁27に対する閉方向トルクが小さく、それだけ軸部損失トルクが大きくなるために、子弁27が全閉にならず、逆止弁本来の機能を損なうという問題があった。
【0006】本発明は上記実情に鑑みてなされたもので、簡単な構成付加によって子弁の開度が30°以下になったとき、それの前後差圧を大きくして子弁を確実に全閉させることができる緩閉式逆止弁を提供することを目的としている。
【0007】
【課題解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明に係る緩閉式逆止弁は、弁ケーシング内に流路を揺動開閉する主弁とこの主弁に形成した小孔を揺動開閉する子弁とが設けられているとともに、上記子弁の揺動用弁軸には、該子弁を上記主弁よりも低速度で閉方向に揺動させるトルクを発生するダッシュポットが連結されてなる緩閉式逆止弁において、上記子弁の揺動開閉経路の外周を取り囲むように設置されて上流側から上記小孔に向かっての水の流れを上記子弁の揺動開閉経路にほぼ沿った流れに案内する筒状ガイドを上記主弁に固定していることを特徴とするものである。
【0008】上記構成によれば、ポンプの運転停止時に上記子弁には自重によるトルクと上記ダッシュポットによるトルクと該子弁の前後圧力差によるトルクが閉方向の作用力として働き、主弁よりも低速度で閉方向に揺動され、これによって、流路が急閉されず、ポンプの保護ならびにウォーターハンマー現象の発生を防止することが可能である。また、子弁の閉動が進むにつれて、それの上流側から主弁の小孔に向かう水の流れが筒状ガイドによって子弁の揺動開閉経路にほぼ沿った流れに案内されて、子弁の前後差圧が大きく安定した値に保たれるために、該子弁に対する閉方向トルクを大きくして上記小孔を確実に全閉することが可能となる。
【0009】特に、請求項2に記載したように、上記筒状ガイドを、少なくとも子弁の開度が30°以上の範囲にまで亘って設けることにより、自重およびダッシュポットによる閉方向トルクが小さくなる開度30°以下において、前後差圧による大きな閉方向トルクを子弁に有効に作用させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る緩閉式逆止弁の縦断側面図、図2は図1のA−A線に沿った縦断背面図であり、同図において、1は弁ケーシング2内に配置されてポンプ(図示省略)の運転停止時に自重および前後圧力差によるトルクにより内部流路3を自動的に閉鎖するように弁軸4にその軸芯周りに揺動開閉可能に枢支された主弁である。この主弁1の下部の弁ケーシング2内には該主弁1と同様に、ポンプ(図示省略)の運転停止時に自重および前後圧力差によるトルクにより内部流路3を自動的に閉鎖するように弁軸5の軸芯周りに揺動開閉可能に枢支された副弁6が設置されている。
【0011】7は上記主弁1に形成された小孔8を上記弁軸4と一体揺動するアーム9を介して揺動開閉する子弁であり、この子弁7を上記主弁1よりも低速度で閉方向に揺動させるトルクを発生するスプリング(図示省略)を内装したダッシュポット10が上記弁ケーシング2の外部において上記弁軸4に連結されている。11は図3および図4に明示するように、上記子弁7の揺動開閉経路の外周を取り囲むように設置されて子弁7の上流側から上記小孔8に向かう水の流れを上記子弁7の揺動開閉経路にほぼ沿った流れに案内する筒状ガイドであって、この筒状ガイド11は、一端が上記主弁1に固定されて上記子弁7の開度θが30°となる範囲にまで亘って延出されており、この筒状ガイド11の内部に図4に示すような円環状の流路12を形成している。なお、上記弁軸4と上記副弁6の弁軸5とはリンク機構13を介して連動連結されている。
【0012】上記のような構成の緩閉式逆止弁においては、ポンプの運転停止時に上記子弁7には自重によるトルクと上記ダッシュポット10内のスプリングによるトルクと該子弁7の前後圧力差によるトルクが閉方向の作用力として働き、主弁1よりも低速度で閉方向に揺動され、これによって、流路3が急閉されず、ポンプの保護ならびにウォーターハンマー現象の発生が防止される。ここで、子弁7の開度30°以下になると、それの上流側から主弁1の小孔8に向かう水の流れが図3の矢印に示すように、筒状ガイド11によって子弁7の揺動開閉経路にほぼ沿った流れに案内されて、子弁7の前後差圧が大きく安定した値に保たれる。
【0013】すなわち、図5および図6は、子弁7の開度θと子弁後流路面積、後圧力および前後差圧の関係を示す表およびグラフであり、図5の表および図6からも明らかなように、開度θが30°〜10°の範囲では、前後差圧が大きく、かつ安定しており、5°以下になると急激に大きくなる。そのために、開度θ30°以下においても子弁7に対する閉方向トルクが大きく保たれることになり、子弁7を確実に全閉にして、逆止弁本来の機能を確実に発揮することが可能である。
【0014】なお、上記実施の形態では、副弁6付きの逆止弁について説明したが、主弁1と子弁7とのみ有する逆止弁に適用しても上記と同様な作用および効果が得られるものである。
【0015】また、上記実施の形態では、筒状ガイド11を子弁7の開度θが30°のところまで延出させたが、30°を越える開度位置、たとえば35°付近まで延出させても、また、20°程度のところまで延出させるだけでもよい。
【0016】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、主弁に子弁の揺動開閉経路にほぼ沿った水の流れに案内する筒状ガイドを固定するといった簡単な構成付加を施すのみで、自重およびダッシュポットによる子弁の閉方向トルクが減少する開度以下でも、該子弁の前後差圧を大きくして閉方向トルクを十分に大きな値に確保することができ、これによって、子弁を確実に全閉させて逆止弁としての本来機能を確保することができるという効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成9年(1997)10月29日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】森本 義弘
【公開番号】 特開平11−132344
【公開日】 平成11年(1999)5月21日
【出願番号】 特願平9−296068