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【発明の名称】 流体流制御用弁体
【発明者】 【氏名】▲浜▼口 富三

【要約】 【課題】雨が多い日等にも排水路から田んぼへの水の逆流を自動的に防止でき、大幅に労力を削減できる流体流制御用弁体を提供する。

【解決手段】流体流制御用弁体1は筒体2と蓋体3とを有している。筒体2は、一方端部2aから他方端部2bに通じる貫通孔を有している。蓋体3は、筒体2の他方端部2b側に回動可能に取り付けられており、その回動動作により、筒体2の他方端部2bの開口部は開閉可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 流体の流れを制御するための流体流制御用弁体であって、両端に開口を有し、一端から他端へ流体を通すことのできる筒体と、前記筒体の前記他端の前記開口を開閉可能なように前記筒体の前記他端側に回動可能に支持された蓋体とを備えた、流体流制御用弁体。
【請求項2】 流体の流れを制御するための流体流制御用弁体であって、両端に開口を有し、一端から他端へ流体を通すことのできる筒体と、両端に開口を有し、一端から他端へ流体を通すことのできる可撓性袋状部材とを備え、前記筒体と前記可撓性袋状部材との内部空間が連通するように、前記筒体の前記他端と前記可撓性袋状部材の前記他端とが接合されており、さらに、貫通孔を有し、前記貫通孔が前記可撓性袋状部材の前記内部空間に連通するように前記可撓性袋状部材の前記一端に取り付けられ、かつ流体に浮く浮部材とを備えた、流体流制御用弁体。
【請求項3】 流体を流すために内部から外部に通じる孔を有する容器をさらに備え、前記蓋体または前記浮き部材が前記容器内部に位置し、かつ前記筒体の前記一端が前記容器外部に位置するように、前記筒体は前記容器に支持されている、請求項1または2に記載の流体流制御用弁体。
【請求項4】 前記筒体の前記一端及び前記浮部材の貫通孔の少なくともいずれかに、異物除去のためのフィルターをさらに備えた、請求項1または2に記載の流体流制御用弁体。
【請求項5】 前記筒体はL形の形状を有している、請求項1または2に記載の流体流制御用弁体。
【請求項6】 前記筒体は前記容器に対して回転可能に支持されている、請求項5に記載の流体流制御用弁体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、流体流制御用弁体に関し、より特定的には、流体の流れを制御するための流体流制御用弁体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図11と図12とは、田んぼの水位を調節するための堰板の取り付けの様子を概略的に示す斜視図と断面図である。図11と図12とを参照して、通常、田んぼの周囲には土手を挟んで排水路が設けられている。そしてこの土手には、田んぼに引かれた水を排水路へ導くための排水孔100が設けられており、この排水孔100の開口を覆うように堰板101が取り付けられている。この堰板101の取り付けは、田んぼ内の土や土手内に堰板101を一部差し込むことによって行われる。
【0003】この堰板101は、田んぼ内の水位を一定に保つ役割をなす。つまり、田んぼ内の水位が堰板101の高さを越えた場合には、図12に示す矢印に沿って田んぼ内の水は堰板101を越えて排水孔100に入り排水路に導かれる。これにより、田んぼ内の水位が堰板101の高さより高くなることは防止される。
【0004】また、苗の生育に応じて水位を高く維持したい場合には、図12の一点鎖線で示すように堰板101を若干引き上げることで水位を高く維持することが可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような堰板101を用いて水位調整をする場合には、排水路の水位の監視に多大な労力が必要になるという問題点があった。以下、そのことについて詳細に説明する。
【0006】雨がよく降った日などは、図13に示すように、排水路の水位が堰板101より高くなることがある。また、田んぼが海抜0m以下で排水路が海に通じている場合には、海水が排水路に逆流して排水路の水位が堰板101より高くなることがある。
【0007】このような場合には、排水路の水が図13の矢印で示すように排水孔100を通じて田んぼ内に逆流してしまう。これにより田んぼ内の水位が上がり、苗の育成に悪影響を及ぼすことになる。特に海水が田んぼに逆流する場合には、苗に塩害が生じることにもなる。
【0008】この田んぼ内への逆流を防止するためには、排水孔100にビニールなどを詰めて排水孔100を塞ぐ必要がある。このため、雨が多い日などには、排水路の水位の監視に追われることになり、多大な労力が必要になるのである。
【0009】それゆえ、本発明の目的は、雨が多い日などでも排水路から田んぼへの水の逆流を自動的に防止でき、それにより労力を軽減できる流体流制御用弁体を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の一の局面に従う流体流制御用弁体は、流体の流れを制御するための流体流制御用弁体であって、筒体と、蓋体とを備えている。筒体は、両端に開口を有し、一端から他端へ流体を通すことができる。蓋体は、筒体の他端の開口を開閉可能なように筒体の他端側に回動可能に支持されている。
【0011】本発明の一の局面に従う流体流制御用弁体では、筒体の他端に開閉可能な蓋体が備えられているため、筒体内部における流体の圧力が筒体の他端側の筒体外部における流体の圧力よりも大きい場合には筒体の他端の開口を開き、また小さい場合には筒体の他端の開口を閉じるように蓋体を動作させることができる。これにより、筒体の一端側における流体の圧力が他端側における流体の圧力よりも大きいときは、筒体の一端側から他端側へ流体を流すことができる。一方、筒体の他端側の流体の圧力が一端側よりも高くなった場合には、自動的に蓋体が他端側の開口を閉じるため、他端側から一端側へ流体が逆流することは防止される。このように自動的に流体の流れを制御することができるため、この流体流制御用弁体を設置しておけば、排水溝の流体の量を監視する必要がなくなり、大幅に労力を軽減することができる。
【0012】本発明の他の局面に従う流体流制御用弁体は、流体の流れを制御するための流体流制御用弁体であって、筒体と、可撓性袋状部材と、浮部材とを備えている。筒体は、両端に開口を有し、一端から他端へ流体を通すことができる。可撓性袋状部材は、両端に開口を有し、一端から他端へ流体を通すことができる。筒体と可撓性袋状部材との内部空間が連通するように、筒体の他端と可撓性袋状部材の他端とが接合されている。浮部材は、貫通孔を有し、貫通孔が可撓性袋状部材の内部空間に連通するように可撓性袋状部材の一端に取り付けられており、かつ流体に浮く。
【0013】本発明の他の局面に従う流体流制御用弁体では、筒体の一端側の外部の流体の圧力が袋状部材の一端側の外部の流体の圧力より大きいときは、筒体の一端側から袋状部材の一端側へ流体は流れる。一方、袋状部材の一端側の外部の流体の圧力が筒体の一端側の外部の流体の圧力より大きいときは、可撓性袋状部材の一端に取り付けられた浮部材は流体に浮くため、この浮部材の貫通孔から可撓性袋状部材へ流体が入ることはない。このため可撓性袋状部材の一端から筒体の一端側へ流体が逆流することは自動的に防止される。このように自動的に流体の流れを制御することができるため、この流体流制御用弁体を設置すれば、排水溝の流体の量を監視する必要はなく、大幅に労力を軽減することができる。
【0014】上記局面において好ましくは、流体を流すために内部から外部に通じる孔を有する容器がさらに備えられており、蓋体または浮部材が容器内部に位置し、かつ筒体の一端が容器外部に位置するように筒体は容器に支持されている。
【0015】これにより、流体流制御用弁体の取り付けが容易となる。上記局面において好ましくは、筒体の一端及び浮部材の貫通孔の少なくともいずれかに、異物除去のためのフィルターがさらに備えられる。
【0016】これにより、フィルターで異物を除去することができる。上記局面において好ましくは、筒体はL形の形状を有している。
【0017】上記局面において好ましくは、筒体は容器に対して回転可能に支持されている。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
【0019】実施の形態1図1は、本発明の実施の形態1における流体流制御用弁体の構成を概略的に示す斜視図である。図1を参照して、流体流制御用弁体1は、略L字形の筒体2と、筒体2の端部2bに回動可能に取り付けられた蓋体3とを有している。筒体2は、一方端部2aから他方端部2bに通じる貫通孔を有しており、蓋体3は筒体2の端部2bの開口端を開閉可能なように回動し得る。
【0020】このような流体流制御用弁体は、例えば図2に示すように田んぼ内に設置される。
【0021】図2を参照して、流体流制御用弁体1は、筒体2の一方端部2aが容器5の外部に位置するように、かつ蓋体3によって開閉可能な他方端部2bが容器5の内部に位置するように容器5に取り付けられる。この容器5は、容器5の孔5bが排水孔100に連通するように設置される。なお容器5の上端部は蓋6によって開閉可能としてもよい。
【0022】このように設置された状態で本実施の形態の流体流制御用弁体1は図2及び図3に示すように流体の流れを制御する。
【0023】まず図2を参照して、田んぼの水位が筒体2の一方端部2aの位置よりも高くなった場合には、田んぼ内の水圧は容器5内の水圧よりも高くなるため、蓋体3は田んぼ側の水圧によって押されて筒体2の他方端部2bは開いた状態となる。これにより、田んぼ内の水は筒体2を通じて一旦容器5内へ流れた後、排水孔100を通じて排水路に流れ出る。
【0024】次に図3を参照して、一方、排水路の水位が田んぼの水位より高い場合は、排水路の水圧は田んぼの水圧よりも高くなるため、容器5内の水圧は田んぼの水圧より高くなる。この場合、流体流制御用弁体1の蓋体3は容器5内の水圧で筒体2の他方端部2bに押し付けられるため、筒体2の他方端部2bは閉じた状態となる。これにより、容器5内の水は田んぼ側へ流れ出ることはできなくなり、自動的に水が田んぼ側へ逆流することが防止される。
【0025】以上説明したように、本実施の形態の流体流制御用弁体1を用いれば、田んぼ側の水を排水路側へ流出させることができ、かつ排水路側の水を田んぼ側へ逆流させることは防止できる。このため、雨が多い日に排水路の水位が田んぼの水位より上がっても、自動的に排水路側から田んぼ側へ水が逆流することは防止されるため、いちいち排水路の水位を監視する手間が省け、大幅に労力を軽減することが可能となる。
【0026】実施の形態2図4は、本発明の実施の形態2における流体流制御用弁体の構成を概略的に示す斜視図である。図4を参照して、流体流制御用弁体11は、筒体12と、可撓性袋状部材13と、浮部材14とを有している。筒体12は、略L字形状を有し、一方端部12aから他方端部12bへ通じる貫通孔を有している。可撓性袋状部材13は、例えばビニール等よりなり、一方端部13aと他方端部13bとの両端で開いた袋状をなしている。また袋状部材13の一方端部13aは、筒体12の他方端部12bに突き合わせて接合されており、これにより筒体12の貫通孔と袋状部材13の内部とは連通している。浮部材14は、流体(例えば水)に浮く材質、例えば発砲スチロール等よりなっており、かつ貫通孔14aを有している。この浮部材14の貫通孔14aが可撓性袋状部材13の内部に連通するように、浮部材14は可撓性袋状部材13の他方端部13bに取り付けられている。
【0027】この様な流体流制御用弁体11は、例えば図5に示すように田んぼ内に設置される。
【0028】図5を参照して、流体流制御用弁体11は、筒体12の一方端部12aが容器5の外部に位置するように、かつ浮部材14の開口14aが容器5の内部に位置するように容器5に取り付けられる。この容器5は、容器5の孔5bが土手に設けられた排水孔100に連通するように設置される。なお、容器5の上端部は蓋6によって開閉可能としてもよい。
【0029】このように設置された状態で、本実施の形態の流体流制御用弁体11は、図5〜図7に示すように流体の流れを制御する。
【0030】図5を参照して、田んぼの水位が筒体12の一方端部12aの位置より高くなった場合には、田んぼ内の水は筒体12の一方端部12aから流体流制御用弁体11内に入り、浮部材14の開口14aから容器5の内部空間へ流出する。そして容器5の内部空間に流出された水は排水孔100を通じて排水路に流出する。
【0031】図6を参照して、一方、排水路の水位が田んぼの水位よりも高い場合には、排水路と連通する容器5内の水位も田んぼの水位よりも高くなる。しかしこの場合、浮部材14が水に浮くよう構成されているため、容器5内の水が浮部材14の開口14a内に入ることは防止される。このため、排水路の水位が田んぼの水位より高い場合には、自動的に排水路側から田んぼ側へ水が逆流することが防止される。
【0032】図7を参照して、さらに排水路の水位が極めて高くなった場合には、容器5内の空間全体に水が充満することになる。この場合には、容器5内の水圧が極めて高くなるため、この水圧によって可撓性袋状部材13が図示するようにしぼみ、自動的に水の経路は断たれる。このため、仮に容器5内に満たされた水が浮き部材14の開口14a内に浸入した場合でも、この可撓性袋状部材13のしぼみによって水の進行は妨げられ、田んぼ側へ水が逆流することは防止される。
【0033】以上説明したように、本実施の形態の流体流制御用弁体11を用いれば、実施の形態1と同様、排水路の水位が田んぼの水位よりも高い場合には、排水路側から田んぼ側へ水が逆流することは自動的に防止される。このため、雨などが多く降って排水路の水位が高くなった場合でも、排水路の水位を監視する必要はなく、労力を大幅に軽減することが可能となる。
【0034】尚、実施の形態1及び2では、図1及び図4に示すように筒部2及び12が略L字形状を有している場合について説明したが、図8に示すように筒部12は直線状の形状を有していても良い。
【0035】また、図1及び図2に示す筒体2、12の一方端部2a、12a及び図4に示す浮き部材14の開口14aには、図9に示すような網状のフィルター15もしくは図10に示すような細孔よりなるフィルター16が設けられていてもよい。この様にフィルター15、16を設けることにより、例えば小動物やゴミなどの異物が流体流制御用弁体1、11内に入ることを防止でき、異物を除去することが可能となる。
【0036】また、図2、図5などでは、筒体2、12の一方端部2a、12aが上方に向いているが、下方に向いていてもよい。また、筒体2、12の一方端部2a、12aが上方もしくは下方のいずれにも向けられるように筒体2、12が容器5に回動可能に取り付けられてもよい。
【0037】また流体は水に限られず、本発明の流体流制御用弁体1、11も田んぼ内に設置されるものに限られず、流体の流れの制御を必要とする用途であれば、いかなる用途にも適用されうる。
【0038】今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0039】
【発明の効果】本発明の1の局面及び他の局面に従う流体流制御用弁体によれば、流体流制御用弁体の一方端から他方端への流体の流れは許容されるが、他方端から一方端への逆流は自動的に防止される。これにより、流体流制御用弁体を田んぼと排水路との間に設置すれば、排水路における流体量を監視する必要がなくなり、労力を大幅に軽減することが可能となる。
【出願人】 【識別番号】597159455
【氏名又は名称】▲浜▼口 富三
【出願日】 平成9年(1997)10月28日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−132343
【公開日】 平成11年(1999)5月21日
【出願番号】 特願平9−311260