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【発明の名称】 ロールオーバーバルブ
【発明者】 【氏名】木村 敏

【氏名】渡辺 薫

【要約】 【課題】本発明はロールオーバーバルブに関し、製造時の組付作業性に優れたロールオーバーバルブを提供することを第一の目的とする。

【解決手段】燃料タンク43に装着され、通孔47を有する蓋体49が燃料タンク43内の下部開口部に装着されたフロートバルブハウジング41と、バルブハウジング41内に収納されたフロートバルブ55と、バルブハウジング41に一体成形され、通孔63を有する蓋体65が燃料タンク43側の下部開口部に装着されると共に、大気連通孔73が上部に形成された加圧バルブハウジング61と、バルブハウジング61内に収納されて通孔63を開閉する加圧バルブ69とで構成したことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 燃料タンク(43)に装着され、通孔(47)を有する蓋体(49)が燃料タンク(43)内の下部開口部に装着されたフロートバルブハウジング(41,41-1)と、当該フロートバルブハウジング(41,41-1)内に収納されたフロートバルブ(55)と、フロートバルブハウジング(41,41-1)に一体成形され、通孔(63)を有する蓋体(65)が燃料タンク(43)側の下部開口部に装着されると共に、大気連通孔(73)が上部に形成された加圧バルブハウジング(61,61-1)と、加圧バルブハウジング(61,61-1)内に収納され、上記通孔(63)を開閉する加圧バルブ(69)とからなり、フロートバルブハウジング(41,41-1)は、その上部に設けた通孔(57)と連通路(51)を介してキャニスタと連通し、フロートバルブ(55)に設けたシール部(59)が上記通孔(57)を閉鎖して燃料の流出を遮断し、加圧バルブ(69)は、燃料タンク(43)の内圧の上昇時に上記通孔(63)を開放して、燃料タンク(43)の内圧を大気連通孔(73)から外部に排出することを特徴とするロールオーバーバルブ。
【請求項2】 加圧バルブ(69)に通孔(75)を形成すると共に、当該通孔(75)を開閉する負圧バルブ(77)を加圧バルブ(69)に装着し、負圧バルブ(77)は、燃料タンク(43)の内圧が負圧になったとき、上記通孔(75)を開放して大気連通孔(73)から外気を燃料タンク(43)内に導入することを特徴とする請求項1記載のロールオーバーバルブ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車の横転時等に於ける燃料タンクからの燃料漏れを防止するロールオーバーバルブ(燃料漏れ防止弁)に関する。
【0002】
【従来の技術】実開昭62−75278号公報に開示されるように、自動車の横転や急旋回時に於ける燃料タンクからの燃料漏れを防止する装置として、従来、ロールオーバーバルブが知られている。このロールオーバーバルブは、図3に示すようにフロートバルブ1に設けたシール部3が燃料遮断用バルブシート5に当接して燃料を遮断する燃料遮断用バルブ7と、フロートバルブ室内9の内圧を排出する加圧バルブ(内圧排出用バルブ)11を一体に有しており、燃料遮断用バルブシート5と内圧排出用バルブシート13は、夫々、フロートバルブハウジング15に形成された構造となっている。
【0003】そして、図4に示すように上記ロールオーバーバルブ17は燃料タンク19に装着されて、燃料タンク19に取り付けたカバー21でその上部が覆われた構造となっており、自動車の転倒時或いは傾斜時に於て、燃料タンク19内の燃料の油面がフロートバルブハウジング15の内部にまで達すると、フロートバルブ1の浮力とスプリング22のバネ力でフロートバルブ1が上昇し、シール部3がバルブシート5に設けた通孔23を閉じて燃料漏れを防止するようになっている。
【0004】又、斯様に通孔23が急激に閉鎖されて燃料タンク19の内圧が上昇すると、加圧バルブ11が内圧排出用バルブシート13側の通孔25を開放し、蓋体27に設けた通孔29とカバー21に設けた排圧通路31から内圧をキャニスタ(図示せず)へ排出して、燃料タンク19の変形を防止するようになっている。その他、図3中、33はフロートバルブハウジング15の下部開口部に取り付けた蓋体で、当該蓋体33と上記蓋体27は、夫々、超音波溶着法によりフロートバルブハウジング15に溶接されている。そして、蓋体33に設けた連通孔35を介して燃料タンク19内とフロートバルブ室内9とが連通した構造となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】然し乍ら、上記ロールオーバーバルブ17は、燃料タンク19の圧力が低下して負圧となった際に、大気との差圧を調整する手段を持たないため、この差圧によって燃料タンク19が変形してしまう虞があった。又、ロールオーバーバルブ17の製造に当たり、この従来例は、フロートバルブハウジング15の上部開口部から加圧バルブ11を組み込んで蓋体27を取り付けた後、フロートバルブハウジング15を反転させて、フロートバルブハウジング15内に別途フロートバルブ1を組み付けて蓋体33を取り付ける構造であるため、製造工程上、蓋体27,33の取付方向が逆方向となって組付作業が悪いといった不具合も指摘されていた。
【0006】本発明は斯かる実情に鑑み案出されたもので、製造時の組付作業性に優れたロールオーバーバルブを提供することを第一の目的とする。そして、本発明は、燃料タンク内が負圧となった際に、燃料タンクの変形防止を図ったロールオーバーバルブを提供することを第二の目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】斯かる目的を達成するため、請求項1に係る発明は、燃料タンクに装着され、通孔を有する蓋体が燃料タンク内の下部開口部に装着されたフロートバルブハウジングと、フロートバルブハウジング内に収納されたフロートバルブと、フロートバルブハウジングに一体成形され、通孔を有する蓋体が燃料タンク側の下部開口部に装着されると共に、大気連通孔が上部に形成された加圧バルブハウジングと、加圧バルブハウジング内に収納され、上記通孔を開閉する加圧バルブとからなり、フロートバルブハウジングは、その上部に設けた通孔と連通路を介してキャニスタと連通し、フロートバルブに設けたシール部が当該通孔を閉鎖して燃料の流出を遮断し、加圧バルブは、燃料タンクの内圧の上昇時に上記通孔を開放して、燃料タンクの内圧を大気連通孔から外部に排出することを特徴とする。
【0008】そして、請求項2に係る発明は、請求項1記載のロールオーバーバルブに於て、加圧バルブに通孔を形成すると共に、当該通孔を開閉する負圧バルブを加圧バルブに装着し、負圧バルブは、燃料タンクの内圧が負圧になったとき、上記通孔を開放して大気連通孔から外気を燃料タンク内に導入することを特徴とする。
【0009】(作用)請求項1に係る発明によれば、自動車の転倒時或いは傾斜時に於て、燃料タンク内の燃料の油面がフロートバルブハウジングの内部まで達すると、フロートバルブが上昇し、シール部が通孔を閉じて燃料漏れを防止する。
【0010】そして、斯様に通孔が急激に閉鎖されて燃料タンクの内圧が上昇すると、その圧力で加圧バルブが通孔を開放して燃料タンクの内圧を大気連通孔から外部に排出して燃料タンクの変形を防止する。そして、燃料タンクの内圧と大気圧との差圧が一定値以下に下がると、加圧バルブが通孔を再び閉鎖することとなる。又、請求項1に係る発明によれば、フロートバルブハウジングの下部開口部を閉塞する蓋体と、加圧バルブハウジングの下部開口部を閉塞する蓋体を同一方向に設けたため、ロールオーバーバルブの製造に当たり、両蓋体の取付けがフロートバルブハウジングを反転させずに一方向から行えることとなる。
【0011】そして、請求項2に係るロールオーバーバルブによれば、燃料タンク内が負圧になると、負圧バルブが通孔を開放し、外気を大気連通孔から燃料タンク内に導入して燃料タンクの変形を防止する。そして、燃料タンクの内圧と大気圧との差圧が一定値以下に下がると、負圧バルブは通孔を再び閉鎖することとなる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0013】図1は請求項1及び請求項2の第一実施形態に係るロールオーバーバルブを示し、図に於て、41は燃料タンク43にO−リング45を介して装着された筒状のフロートバルブハウジングで、その下部開口部に、複数の通孔47が形成された蓋体49が超音波溶着法によって溶接されており、フロートバルブハウジング41内と燃料タンク43内は、当該通孔47を介して連通した構造となっている。
【0014】又、フロートバルブハウジング41の上部には、図示しないキャニスタに接続される接続パイプ50が一体に成形されており、当該接続パイプ50の連通路51は、通孔53を介してフロートバルブハウジング41内と連通している。そして、フロートバルブハウジング41内には、図3に示すロールオーバーバルブ17と同様、フロートバルブ55が収納されており、当該フロートバルブ55は、蓋体49との間に介在されたスプリング57によって上方へ付勢されている。又、フロートバルブ55の上部には、上記通孔53に対応してシール部59が上方へ突設されており、自動車の転倒時或いは傾斜時に於て、燃料タンク43内の燃料の油面がフロートバルブハウジング41の内部まで達すると、フロートバルブ55の浮力とスプリング57のバネ力でフロートバルブ55が上昇し、シール部59が通孔53を閉じて燃料漏れを防止するようになっている。
【0015】又、図中、61はフロートバルブハウジング41の上部に一体成形された筒状の加圧バルブハウジングで、その下部開口部に、通孔63を有する蓋体65が同じく超音波溶着法によって溶接されており、フロートバルブハウジング41内と加圧バルブハウジング61内は、当該通孔63を介して連通した構造となっている。
【0016】そして、加圧バルブハウジング61内に、スプリング67のバネ力で上記通孔63を閉鎖する加圧バルブ69が収納されている。図示するように加圧バルブ69は、上記通孔63を囲繞する筒状の脚部69aと、これに一体成形された断面略コ字状の基部69bとからなり、上向きに配置された筒状の当該基部69bと、加圧バルブハウジング61の上部裏面に突設されたバネ受け71との間に、加圧バルブ69の脚部69aを蓋体65に圧接させるスプリング67が介装されている。
【0017】そして、バネ受け71の中央部に大気連通孔73が形成されており、燃料タンク43の内圧が上昇すると、その圧力で加圧バルブ69がスプリング67のバネ力に抗して矢印A方向へ移動し、通孔63が開放されて燃料タンク43の内圧が大気連通孔73から外部に排出されるようになっている。そして、燃料タンク43の内圧と大気圧との差圧が一定値以下に下がると、スプリング67の復元力で加圧バルブ69が通孔63を再び閉鎖するようになっている。
【0018】又、図示するように加圧バルブ69の基部69bには、上記大気連通孔73と同軸上に通孔75が形成されており、当該通孔75に負圧バルブ77が挿着されている。負圧バルブ77は、上記通孔75を挿通する断面略T字状の基部77aと、加圧バルブ69の脚部69a内に突出する基部77aの突出端に固着されたストッパ77bとで形成されている。
【0019】そして、基部77aの鍔部77a-1と、加圧バルブ69の基部69bの底部69b-1との間にスプリング79が介装されており、当該スプリング79のバネ力でストッパ77bが通孔75を閉鎖している。そして、燃料タンク43内が負圧になると、スプリング79のバネ力に抗して負圧バルブ77が矢印B方向へ移動し、ストッパ77bが通孔75を開放して外気が燃料タンク43内に導入されるようになっている。そして、燃料タンク43の内圧と大気圧との差圧が一定値以下に下がると、スプリング79の復元力で負圧バルブ77のストッパ77bが通孔75を再び閉鎖するようになっている。
【0020】その他、図中、81はフロートバルブハウジング41の外周に設けられた鍔部である。本実施形態に係るロールオーバーバルブ83はこのように構成されているから、上述したように自動車の転倒時或いは傾斜時に於て、燃料タンク43内の燃料の油面がフロートバルブハウジング41の内部まで達すると、フロートバルブ55の浮力とスプリング57のバネ力でフロートバルブ55が上昇し、シール部59が通孔53を閉じて燃料漏れを防止する。
【0021】又、斯様に通孔53が急激に閉鎖されて燃料タンク43の内圧が上昇すると、その圧力で加圧バルブ69がスプリング67のバネ力に抗して矢印A方向へ移動し、通孔63を開放して燃料タンク43の内圧を大気連通孔73から外部に排出して燃料タンク43の変形を防止する。そして、燃料タンク43の内圧と大気圧との差圧が一定値以下に下がると、スプリング67の復元力で加圧バルブ69が通孔63を再び閉鎖することとなる。
【0022】一方、燃料タンク43内が負圧になった場合には、既述したようにスプリング79のバネ力に抗して負圧バルブ77が矢印B方向へ移動するので、ストッパ77bが通孔75を開放し、外気が大気連通孔73から燃料タンク43内に導入されて燃料タンク43の変形が防止される。そして、燃料タンク43の内圧と大気圧との差圧が一定値以下に下がると、スプリング79の復元力で負圧バルブ77のストッパ77bが通孔75を再び閉鎖することとなる。
【0023】このように、本実施形態に係るロールオーバーバルブ83は負圧バルブ77を設けて、燃料タンク43内が負圧になったとき、当該負圧バルブ77が外気を燃料タンク43内に導入して燃料タンク43の内圧を調整するように構成したので、本実施形態によれば、燃料タンク43の内圧が低下して負圧となっても、燃料タンク43が変形してしまう虞が解消できることとなった。
【0024】そして、斯様に加圧バルブ69と負圧バルブ77をロールオーバーバルブ83に組み込んだ結果、本実施形態によれば、従来、燃料キャップに設けられていた加圧バルブや負圧バルブを廃止することが可能となる。又、本実施形態によれば、フロートバルブハウジング41の下部開口部を閉塞する蓋体49と、加圧バルブハウジング61の下部開口部を閉塞する蓋体65を同一方向に設けたため、ロールオーバーバルブ83の製造に当たり、蓋体49,63の取付けがフロートバルブハウジング41を反転させずに一方向から行え、この結果、図3に示す従来に比し組付作業性が向上することとなった。
【0025】図2は請求項1及び請求項2の第二実施形態に係るロールオーバーバルブを示し、上述したように上記第一実施形態では、フロートバルブハウジング41の上部に加圧バルブハウジング61を一体に成形したが、本実施形態に係るロールオーバーバルブ85は、フロートバルブハウジング41-1の外周に加圧バルブハウジング61-1を、夫々、下部開口部が燃料タンク43内に位置するように一体成形して、これらに蓋体49,65を溶接すると共に、フロートバルブハウジング41-1内に、上記第一実施形態と同一構造からなるフロートバルブ55を装着し、そして、加圧バルブハウジング61-1内に、第一実施形態と同一構造からなる加圧バルブ69と負圧バルブ77を装着したもので、同一のものには同一符号を付してそれらの説明は省略する。
【0026】尚、図中、87はフロートバルブハウジング41-1の外周に一体成形した鍔部、89はパッキン等のシール部材である。而して、本実施形態によっても、上記ロールオーバーバルブ83と同様、自動車の転倒時或いは傾斜時に於て、燃料タンク43内の燃料の油面がフロートバルブハウジング41-1の内部まで達すると、フロートバルブ55の浮力とスプリング57のバネ力でフロートバルブ55が上昇し、シール部59が通孔53を閉じて燃料漏れを防止する。
【0027】又、斯様に通孔53が急激に閉鎖されて燃料タンク43の内圧が上昇すると、その圧力で加圧バルブ69がスプリング67のバネ力に抗して矢印A方向へ移動し、通孔63を開放して燃料タンク43の内圧を大気連通孔73から外部に排出して燃料タンク43の変形を防止する。一方、燃料タンク43内が負圧になると、スプリング79のバネ力に抗して負圧バルブ77が矢印B方向へ移動してストッパ77bが通孔75を開放するので、外気が大気連通孔73から燃料タンク43内に導入されて燃料タンク43の変形が防止されることとなる。
【0028】従って、本実施形態によっても、第一実施形態と同様、燃料タンク43の内圧が低下して負圧となっても、燃料タンク43が変形してしまう虞が解消できることとなった。そして、斯様に加圧バルブ69と負圧バルブ77をロールオーバーバルブ85に組み込んだ結果、燃料キャップの加圧バルブや負圧バルブを廃止することが可能となる。
【0029】又、本実施形態にあっても、フロートバルブハウジング41-1の下部開口部を閉塞する蓋体49と、加圧バルブハウジング61-1の下部開口部を閉塞する蓋体65を同一方向に設けたため、ロールオーバーバルブ85の製造に当たり、蓋体49,63の取付けがフロートバルブハウジング41-1を反転させずに一方向から行え、この結果、図3に示す従来に比し組付作業性が向上することとなった。
【0030】而も、既述したように本実施形態は、フロートバルブハウジング41の上部に加圧バルブハウジング61を一体成形した第一実施形態に代え、フロートバルブハウジング41-1の外周に加圧バルブハウジング61-1を一体に設けたので、本実施形態によれば、図1のロールオーバーバルブ83に比し高さhを低くすることが可能となってレイアウト性が向上する利点を有する。
【0031】
【発明の効果】以上述べたように、請求項1に係るロールオーバーバルブによれば、フロートバルブハウジングの下部開口部を閉塞する蓋体と、加圧バルブハウジングの下部開口部を閉塞する蓋体を同一方向に設けたため、ロールオーバーバルブの製造に当たり、蓋体の取付けがフロートバルブハウジングを反転させずに一方向から行え、この結果、従来に比し組付作業性が向上することとなった。
【0032】そして、請求項2に係るロールオーバーバルブは、負圧バルブを設けて、燃料タンク内が負圧になったとき、当該負圧バルブが外気を燃料タンク内に導入して燃料タンクの内圧を調整するように構成したので、燃料タンクの内圧が低下して負圧となっても、燃料タンクが変形してしまう虞が解消できることとなった。
【出願人】 【識別番号】000004765
【氏名又は名称】カルソニック株式会社
【出願日】 平成9年(1997)10月14日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 史旺 (外1名)
【公開番号】 特開平11−118065
【公開日】 平成11年(1999)4月30日
【出願番号】 特願平9−280440