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【発明の名称】 電磁弁のソレノイド及びその製造方法
【発明者】 【氏名】平野 晴光

【氏名】山田 昇市

【氏名】内藤 正博

【要約】 【課題】電磁弁のソレノイドのコイル端子の基部を絶縁封止し、十分な強度を保たせること。

【解決手段】電磁弁11のソレノイド15は、コイル27及びコイル端子28を備える。コイル27は、弁体26を駆動するために励磁され、樹脂製の絶縁封止部材16に覆われる。絶縁封止部材16は、蓋部材18と本体部材19とを備える。蓋部材18は、他の部位よりも肉薄な裾部18bを有する。本体部材19は裾部18bにて蓋部材18に接合される。本体部19は、コイル27及び蓋部材18等を予め金型に装着して樹脂によりインサート成形される。コイル27とコイル端子28の基部とは、本体部材19に覆われる。コイル端子28の基部を覆った本体部材19の部分は、裾部18bを含む蓋部材18に内包される。コイル端子28の先部は蓋部材18を貫通して設けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 樹脂製の絶縁封止部材により覆われたコイルと、前記コイルへ給電するために前記絶縁封止部材の外部へ突出されたコイル端子とを備え、弁体を駆動するために励磁される電磁弁のソレノイドにおいて、前記絶縁封止部材が、他の部位よりも肉薄な裾部を有する蓋部材と、前記裾部に接合される本体部材とから構成されることと、前記コイルと前記コイル端子の基部とが前記本体部材により覆われることと、前記コイル端子の基部を覆った本体部材の部分が前記裾部を含む前記蓋部材に内包され、前記コイル端子の先部が前記蓋部材を貫通して設けられることとを備えたことを特徴とする電磁弁のソレノイド。
【請求項2】 請求項1に記載の電磁弁のソレノイドを製造するための製造方法であって、前記コイルに前記蓋部材を嵌着し、前記コイル端子を前記蓋部材に貫通させるように組み付ける組付工程と、前記組み付けられた蓋部材を前記コイルへ向けて押圧するための入れ子を前記蓋部材に重ね合わせ、前記重ね合わされた部材を成形用の金型の凹部に装着する装着工程と、前記金型の凹部に装着された入れ子が前記蓋部材を前記コイルへ向けて押圧するように型締めすることにより、前記コイル、前記コイル端子及び前記裾部と、前記金型の凹部との間にキャビティを形成する型締め工程と、前記形成されたキャビティに対して流動化した樹脂を充填することにより前記本体部材を成形する成形工程とを備えたことを特徴とする電磁弁のソレノイドの製造方法。
【請求項3】 請求項2に記載の電磁弁のソレノイドの製造方法において、前記入れ子は、前記金型の凹部の内壁に外接する外接面と、その外接面に隣接して前記凹部の内壁から離間するように傾斜したテーパ面とを備えたことを特徴とする電磁弁のソレノイドの製造方法。
【請求項4】 請求項2又は請求項3に記載の電磁弁のソレノイドの製造方法において、前記蓋部材は、その底壁に、前記コイルに対する位置決め用の突部を備えたことを特徴とする電磁弁のソレノイドの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、弁体を駆動するための電磁弁のソレノイド及びその製造方法に係る。更に詳しくは、樹脂により絶縁封止されるソレノイド及びそのソレノイドの型成形を含む製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種の電磁弁は弁体を駆動するためのソレノイドを備える。このソレノイドは、ボビン等に巻かれたコイルと、給電用のコイル端子とを有する。このソレノイドでは、コイル等が外部と絶縁封止される必要があり、そのためにコイル等の周囲が樹脂等よりなる絶縁封止部材により覆われる。このような絶縁封止部材をコイルと一体的に設けるために、樹脂による型成形が行われる。
【0003】実用新案登録公報第2539077号は、上記のような型成形を含む電磁弁の一例を開示する。図16に示すように、この電磁弁のソレノイド51は、ボビン52に巻かれたコイル53、固定鉄心54、磁気フレーム55、コイル端子56及び封止カバー57等を備え、それらが樹脂により型成形される絶縁封止部材58により覆われる。ここで、絶縁封止部材58が金型59,60により成形される際には、金型59に設けられた端子挿入孔59aの開口が、コイル端子56に直接当たらず、コイル端子56の基部に嵌着されたブッシュとしての封止カバー57に密に当接するよになっている。これにより、金型59との接触によるコイル端子56の基部の損傷、コイル接続部の断線等が防止され、端子挿入孔59aからの樹脂漏れが抑えられるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の電磁弁では、金型59がコイル端子56に直接当たらないまでも、コイル端子56の基部が、封止カバー57を介して、金型59により強度に押圧されることになる。このため、コイル端子56の基部の損傷や、コイル接続部の機械的、熱的な断線は免れないものであった。
【0005】更に、型成形に際しては、図17に示すように、予めコイル端子56の基部に封止カバー57を装着しなければならなかった。このカバー57は比較的小さい部品であり、コイル端子56に装着する作業は手間で面倒なものとなった。しかも、カバー57は電気絶縁性を有し、適度な弾性を有する素材で形成されることから、樹脂よりなる絶縁封止部材58との接着性や密着性が悪く、コイル端子56との間で緩みが生じるおそれもあり、十分な強度を保てなくなるおそれがあった。
【0006】この発明は上記の事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ソレノイドのコイル端子の基部を絶縁封止し、しかも十分な強度を保つようにすることを可能にした電磁弁のソレノイド及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、樹脂製の絶縁封止部材により覆われたコイルと、そのコイルへ給電するために絶縁封止部材の外部へ突出されたコイル端子とを備え、弁体を駆動するために励磁される電磁弁のソレノイドにおいて、絶縁封止部材が、他の部位よりも肉薄な裾部を有する蓋部材と、裾部に接合される本体部材とから構成されることと、コイルとコイル端子の基部とが本体部材により覆われることと、コイル端子の基部を覆った本体部材の部分が裾部を含む蓋部材に内包され、コイル端子の先部が蓋部材を貫通して設けられることとを備えたことを趣旨とする。
【0008】上記の構成によれば、蓋部材と本体部材とが、蓋部材の裾部にて互いに接合されることにより絶縁封止部材が構成される。ここで、コイルとコイル端子の基部とが、本体部材により覆われ、更に、コイル端子の基部を覆った本体部材の部分が裾部を含む蓋部材により内包される。従って、コイル端子の基部は絶縁封止部材により絶縁封止され、補強される。
【0009】上記目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、請求項1の発明のソレノイドを製造するための製造方法であって、コイルに蓋部材を嵌着し、コイル端子を蓋部材に貫通させるように組み付ける組付工程と、その組み付けられた蓋部材をコイルへ向けて押圧するための入れ子を蓋部材に重ね合わせ、重ね合わされた部材を成形用の金型の凹部に装着する装着工程と、金型の凹部に装着された入れ子が蓋部材をコイルへ向けて押圧するように型締めすることにより、コイル、コイル端子及び裾部と、金型の凹部との間にキャビティを形成する型締め工程と、形成されたキャビティに対して流動化した樹脂を充填することにより本体部材を成形する成形工程とを備えたことを趣旨とする。
【0010】上記の構成によれば、特に成形工程において、キャビティに流動化した樹脂を充填することにより、蓋部材の裾部が樹脂の充填圧に基づいて変形し、金型の凹部の内壁に押しつけられる。これにより、裾部と凹部の内壁との隙間が封止され、キャビティからの樹脂の漏れが押さえられる。又、キャビティに充填された樹脂により本体部材が成形され、この成形と同時に蓋部材と本体部材とが接合される。更に、本体部材の成形と同時に、コイル端子の基部が本体部材により覆われ、その基部が本体部材及び蓋部材により絶縁封止される。
【0011】上記の目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、請求項2の発明の構成において、入れ子は、金型の凹部の内壁に外接する外接面と、その外接面に隣接して凹部の内壁から離間するように傾斜したテーパ面とを備えたことを趣旨とする。
【0012】上記の構成によれば、請求項2の発明の作用に加え、型締め工程で入れ子等が金型の凹部に装着される際、その入れ子等の凹部に対する挿入がテーパ面により円滑に案内される。更に、成形工程においてキャビティに樹脂が充填されるときに、キャビティの残留エアが、金型の凹部と、蓋部材の裾部と入れ子の外接面との間を通り、テーパ面との隙間から抜け易くなる。
【0013】上記の目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、請求項2又は請求項3の発明の構成において、蓋部材は、その底壁に、コイルに対する位置決め用の突部を備えたことを趣旨とする。
【0014】上記の構成によれば、請求項2又は請求項3の発明の作用に加え、蓋部材がその突部によりコイルに対して位置決めされることから、型締め工程において、入れ子による蓋部材の押圧力が蓋部材に安定的に作用する。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の電磁弁のソレノイド及びその製造方法を具体化した一実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0016】図1は、本発明を具体化した電磁弁11と、それに付随したマニホールド12の設備状態を示す。この実施の形態で、電磁弁11は、所定の圧力で圧縮されたエアをノズル(図示しない)から吐出させたり、その吐出を遮断したりするために作動するものである。この電磁弁11は、マニホールド12に対してボルト13で固定される。
【0017】電磁弁11は、弁体(後述する)を内蔵する弁本体部14と、その弁体を駆動するために励磁されるソレノイド15とを備える。ソレノイド15はエポキシ樹脂よりなる絶縁封止部材16により覆われる。絶縁封止部材16は、給電部17を含む蓋部材18と、その蓋部材18と一体的に接合される本体部材19とを含む。
【0018】マニホールド12は、一対の集中給気ポート20と、各ポート20から電磁弁11に通じる給気通路21と、同電磁弁11に通じる出力通路22とを有する。各集中給気ポート20には、コンプレッサ等のエア源から圧縮エアが供給される。
【0019】図2は、電磁弁11の断面を示す。弁本体部14及びソレノイド15は、ボルト13により互いに組み付けられる。弁本体部14は、その中央部に嵌合孔23と、一対の給気孔24を有する。両給気孔24は、嵌合孔23を挟んで配置され、嵌合孔23に連通する。嵌合孔23には、弁座筒25が嵌合されて固定される。弁座筒25は、その上端に弁座25aを有する。この弁座25aには、対応する弁体26が接離可能に配置される。各給気孔24は、前述したマニホールド12の各給気通路21に接続される。
【0020】ソレノイド15は、蓋部材18及び本体部材19により覆われたコイル27と、そのコイル27へ給電するための一対のコイル端子28とを有する。両コイル端子28は、給電部17において、蓋部材18を貫通して外部へ突出配置される。コイル27はボビン29に巻かれ、ボビン29は磁気フレーム30に支持される。各コイル端子28は、ボビン29に設けられた側板31の上端から上方へ突設される。各コイル端子28の基部には、コイル27から延びるコイル線27aの端が巻き付けられて半田により固定される。弁体26は、コイル27が給電により励磁されることにより、弁座25aから離れる方向へ移動するようになっている。
【0021】蓋部材18は、底板18aと、その底板18aよりも肉薄な裾部18bとを有する。図3〜図5はそれぞれ蓋部材18を示す。図3は蓋部材18の側断面を示し、図4はその底面図を示し、図5は図3の5−5線における断面図を示す。蓋部材18は、予め樹脂で成形されたものである。蓋部材18は、その裾部18bの内側において、底板18aから突設された一対のピン18cを有する。これらのピン18cは、蓋部材18の長手方向における両端付近にそれぞれ配置される。同じく、蓋部材18は、その底板18aから突設された一対の突部18dを有する。これら突部18dは、蓋部材18の中央において、その幅方向に沿って配列される。これらの突部18dは、蓋部材18をコイル27に対して位置決めするためのものである。同じく、蓋部材18は、底板18aを貫通する一対の孔18eを有する。これら孔18eは、給電部17に対応して配列される。これらの孔18eは、各コイル端子28を貫通させるためのものである。
【0022】磁気フレーム30及びコイル27等、並びにコイル端子28の基部は、それぞれ本体部材19により覆われる。各コイル端子28の基部を覆った本体部材19の部位は、蓋部材18の裾部18bに内包される。両孔18eを貫通して配置されたコイル端子28には、給電部17に装着されるコネクタ(図示しない)が電気的に接続される。
【0023】上記のように構成された電磁弁11を作動させるには、両コイル端子28を通じて供給される電力によりコイル27を励磁させる。この励磁により、弁体26が弁座25aから離れて電磁弁11が開弁される。ころにより、集中給気ポート20に供給される圧縮エアが、給気通路21、弁座筒25及び出力通路22を通り、所定のノズルから吐出される。コイル端子28に対する給電が遮断されることにより、コイル27が消磁される。この消磁により、弁体26がその上面に供給される圧縮エアにより、弁座25aに当接して電磁弁11が閉弁され、ノズルからの圧縮エアの吐出が遮断される。
【0024】上記のように構成された電磁弁11のソレノイド15によれば、蓋部材18と本体部材19とが、蓋部材18の裾部18bにて互いに接合されることにより、絶縁封止部材16が構成される。ここで、コイル27とコイル端子28の基部とは、本体部材19により覆われる。更に、コイル端子28の基部を覆った本体部材19の部位は、裾部18bを含む蓋部材18により内包される。
【0025】従って、この実施の形態では、コイル線27aが巻かれたコイル端子28の基部が、コイル27等と共に絶縁封止部材16により絶縁封止され、それと共にコイル端子28の基部が絶縁封止部材16により補強されることになる。このことは、前述した従来の電磁弁において、絶縁封止部材58との接着性や密着性が悪く、しかも十分な強度を保ち難いという別部品としての封止カバー57を使用するのとは構成が異なる。このため、本実施の形態によれば、コイル端子28の基部を、絶縁封止部材16により確実に絶縁封止することができ、しかもコイル端子28の基部を、絶縁封止部材16により十分な強度に保つことができる。特に、コイル端子28の基部において、コイル線27aの巻き付けられた部分は、絶縁封止部材19に覆われて絶縁封止されることになる。このため、コイル線27aの巻き付け部分の断線が抑えられ、コイル端子28の損傷をも防止することができる。
【0026】次に、上記の電磁弁11を構成するソレノイド15の製造方法につき、図6〜図15を参照して以下に説明する。
【0027】ソレノイド15を製造するには、先ず、準備工程において、予め蓋部材18を成形しておく。同様に、コイル27、コイル端子28、ボビン29及び磁気フレーム30等を互いに組み付け、それらのアッセンブリ32(図6,7参照)を予め準備しておく。
【0028】次に、図6,7に示す組付工程において、コイル27を含むアッセンブリ32に対して蓋部材18を嵌着し、両コイル端子28を蓋部材18の孔18eに貫通させて、両者18,31を互いに組み付ける。これにより、コイル端子28の基部が蓋部材18の内側に配置される。このとき、蓋部材18の突部18dを磁気フレーム30の側板31の上端に当接させることにより、蓋部材18をコイル27に対して位置決する。
【0029】次に、図8に示す装着工程では、上型41及び下型42よりなる成形用の金型43を型開きさせた状態において、上記のように組み付けられた蓋部材18及びアッセンブリ32を下型42の凹部42aに装着する。このとき、蓋部材18をコイル27へ向けて押圧するための入れ子44を、蓋部材18に重ね合わせ、それらの部材32,18,44を下型42の凹部42aに装着する。
【0030】上記の入れ子44は、上型41の凹部41aの内壁に外接する外接面44aと、その外接面44aに隣接して凹部41aの内壁から離間するように傾斜したテーパ面44bとを有する。上型41は、凹部41aに連通する空気抜孔41bを有し、その孔41bにはロッド45と、スプリング46とが設けられる。
【0031】次に、図9,10に示す型締め工程では、蓋部材18に載せられた入れ子44が蓋部材18をコイル27へ向けて押圧するように、上型41及び下型42を互いに型締めする。この型締めにより、コイル27、ボビン29、磁気フレーム30、コイル端子28及び裾部18bと、上型41の凹部41aとの間にキャビティ47を形成する。ここでは、入れ子44が、スプリング46の力を受けたロッド45により蓋部材18へ向けて押圧されることになり、上型41が蓋部材18を直接的に押圧することがない。
【0032】この段階で、金型43は約180℃程度に加熱されている。このように金型43が加熱されるのは、後述する成形工程において充填されるエポキシ樹脂の表面を適度に焼くためである。
【0033】次に、図11に示す成形工程では、上記のように形成されたキャビティ47に対して、金型43に設けられた充填口43aより、流動化したエポキシ樹脂を充填することにより、本体部材19を成形する。ここで、エポキシ樹脂は、約50kg/cm程度の圧力をもってキャビティ47に充填される。エポキシ樹脂を使用する利点として、他の部材に対する密着性の良さと、耐水性の良さが挙げられる。この本体部材19の成形と同時に、本体部材19を蓋部材18と一体化して接合させることにより、図12,13に示すような外観のソレノイド15を成形する。
【0034】そして、成形工程の完了後に、金型43を型開きすることにより、図14,15に示すようなソレノイド15を得る。
【0035】以上がソレノイド15の製造方法の内容である。その後、製造されたソレノイド15を弁本体部14に組み付けることにより、図2に示すような電磁弁11が得られる。更に、電磁弁11をマニホールド12に組み付けることにより、図1に示すように設備された電磁弁11が得られる。
【0036】以上説明したように本実施の形態のソレノイド15の製造方法によれば、特に成形工程において、エポキシ樹脂をキャビティ47に充填したときに、蓋部材18の肉薄な裾部18bがエポキシ樹脂の充填圧に基づいて若干変形し、凹部41aの内壁に押しつけられる。このため、裾部18bと凹部41aの内壁との間が適度に封止され、キャビティ47の外部へのエポキシ樹脂の漏れが押さえられる。この結果、キャビティ47において、コイル端子28の基部の周囲にエポキシ樹脂を十分に回り込ませることができ、その基部、即ちコイル線27aの巻かれた部分をも十分に絶縁封止することができる。
【0037】この実施の形態では、キャビティ47に充填されたエポキシ樹脂により、本体部材19が成形され、この成形と同時に蓋部材18と本体部材19とが互いに接合される。更に、本体部材19の成形と同時に、コイル端子28の基部が本体部材19により覆われ、その基部が本体部材19及び蓋部材18、つまりは絶縁封止部材16により絶縁封止される。このため、型成形に際して予めコイル端子56の基部に封止カバー57を装着しなければならに従来例の電磁弁とは異なり、本実施の形態では、そのような手間で面倒な作業を省略することができる。この意味で、本実施の形態では、ソレノイド15の製造を従来例のそれよりも簡易で短時間なものにすることができる。
【0038】つまり、本実施の形態の製造方法によれば、コイル端子28の基部を絶縁封止することができ、しかもそのコイル端子28の基部を十分な強度で保つことのできるソレノイド15を比較的簡易に製造することができるのである。
【0039】この実施の形態では、蓋部材18に重ね合わされる入れ子44が、上型41の凹部41aの内壁に外接する外接面44aと、その外接面44aに隣接して傾斜したテーパ面44bとを有する。従って、型締め工程の際に、その入れ子44等の凹部41aへの挿入がテーパ面44bにより円滑に案内される。更に、成形工程でキャビティ47にエポキシ樹脂が充填されるときに、キャビティ47の中の残留エアが、凹部41aの内壁と、蓋部材18の裾部18b及び入れ子44の外接面44aとの隙間(この隙間は、エポキシ樹脂の通過を規制する一方で、エアの通過を許容することができるものである。)を通り、テーパ面44bとの隙間から空気抜孔41bへと抜け易くなる。この意味で、キャビティ47に対するエポキシ樹脂の充填が、残留エアによって阻害されることがなく、コイル端子28の基部への樹脂の回り込みをより確実なものにすることができ、その部分の絶縁封止を順調に行うことができる。
【0040】この実施の形態では、蓋部材18の突部18dが磁気フレーム30に当接することにより、蓋部材18がアッセンブリ32 に対して確実に位置決めされる。このことから、型締め工程において、入れ子44による蓋部材18の押圧力が蓋部材18に対して安定的に作用することになる。このため、成形工程において、蓋部材18に位置ずれが起きることがなく、蓋部材18及び本体部材19を互いに適正な位置で接合することができる。この意味で、ソレノイド15の不良成形の発生を抑えることができ、製造歩留まりを高めることができる。
【0041】尚、この発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更して実施することができる。
【0042】(1)前記実施の形態では、本発明の電磁弁を圧縮エアをノズルから吐出・遮断させるために作動する電磁弁11に具体化したが、これに限られるものではなく、それ以外の用途の電磁弁に具体化することもできる。
【0043】(2)前記実施の形態では、ソレノイド15の成形に入れ子44を使用したが、これを省略した成形を行うことも可能である。
【0044】(3)前記実施の形態では、絶縁封止部材16をエポキシ樹脂としたが、この樹脂に限定されるものではない。
【0045】
【発明の効果】請求項1に記載の発明の構成によれば、絶縁封止部材を、他の部位よりも肉薄な裾部を有する蓋部材と、裾部に接合される本体部材とにより構成する。コイルとコイル端子の基部とを本体部材により覆い、その覆う部分を裾部を含む蓋部材により内包させ、コイル端子の先部を蓋部材に貫通させている。従って、この構成によれば、コイル端子の基部は絶縁封止部材により絶縁封止され、補強されることになる。この結果、コイル端子の基部を絶縁封止することができ、しかもその基部を十分な強度で保つようにすることができるという効果を発揮する。
【0046】請求項2に記載の発明の構成によれば、請求項1の発明のソレノイドを製造するための製造方法であって、コイルに蓋部材を嵌着してコイル端子を蓋部材に貫通させる。次に、入れ子を蓋部材に重ね合わせて成形用の金型の凹部に装着する。次に、入れ子が蓋部材をコイルへ向けて押圧するように型締めすることにより、コイル、コイル端子及び裾部と、金型の凹部との間にキャビティを形成する。そして、キャビティに流動化した樹脂を充填することにより本体部材を成形するようにしている。従って、この構成によれば、キャビティに樹脂を充填することにより、蓋部材の裾部が樹脂の充填圧により変形して凹部の内壁に押しつけら、キャビティからの樹脂の漏れが押さえられる。又、充填された樹脂により本体部材が成形され、同時に蓋部材と本体部材とが接合され、コイル端子の基部が本体部材及び蓋部材により絶縁封止される。この結果、コイル端子の基部を絶縁封止することができ、しかもそのコイル端子の基部を十分な強度で保つことのできるソレノイドを比較的簡易に製造することができるという効果を発揮する。
【0047】請求項3に記載の発明の構成によれば、請求項2の発明の構成において、金型の凹部内壁に外接する外接面と、その外接面に隣接したテーパ面を入れ子に設けている。従って、この構成によれば、請求項2の発明の作用及び効果に加え、入れ子の凹部に対する挿入がテーパ面により円滑に案内され、キャビティに樹脂が充填される際には、キャビティの残留エアが、テーパ面と凹部内壁との隙間から抜け易くなる。この結果、キャビティへの樹脂の充填が残留エアで阻害されることがなく、コイル端子の基部への樹脂の回り込みをより確実なものにすることができ、その部分の絶縁封止を順調に行うことができるという効果を発揮する。
【0048】請求項4に記載の発明の構成によれば、請求項2又は請求項3の発明の構成において、蓋部材の底壁にコイルに対する位置決め用の突部を設けている。従って、この構成によれば、請求項2又は請求項3の発明の作用及び効果に加え、蓋部材がコイルに対して位置決めされ、入れ子による蓋部材の押圧力が蓋部材に安定的に作用することになる。このため、蓋部材の位置ずれを抑え、蓋部材及び本体部材を互いに適正な配置で接合することができるという効果を発揮する。
【出願人】 【識別番号】000106760
【氏名又は名称】シーケーディ株式会社
【出願日】 平成9年(1997)10月15日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】富澤 孝 (外2名)
【公開番号】 特開平11−118060
【公開日】 平成11年(1999)4月30日
【出願番号】 特願平9−282213