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【発明の名称】 手動操作機構付きアクチュエータ
【発明者】 【氏名】青木 和弘

【要約】 【課題】手動操作時の操作力を小さくすることによって操作性を高めること、特別の手動操作部位を設けないようにしてコンパクトなアクチュエータを製作でき、しかもスパナ等の回転操作工具を全く不要としたアクチュエータを提供する。

【解決手段】電動モータ3や減速輪列5を有する本体1と着脱可能に取り付けたカバー7から成るアクチュエータであって、カバー7を本体1に回転自在に支持し、減速輪列5の中間ギヤ5cと噛み合うインターナルギヤ13がカバー7と一体に回転するように、インターナルギヤ13をカバー7若しくは本体1内に設けた手動操作機構付きアクチュエータである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 モータや減速輪列を有する本体と着脱可能に取り付けたカバーから成るアクチュエータにおいて、カバーを本体に回転自在に支持して、減速輪列の1歯車と噛み合うインターナルギヤがカバーと一体に回転するようにインターナルギヤをカバー若しくは本体内に設けた手動操作機構付きアクチュエータ。
【請求項2】 インターナルギヤをカバーと一体に設けた請求項1記載の手動操作機構付きアクチュエータ。
【請求項3】 カバーを回転と直交方向に所定量変位自在に支持し、カバーを変位方向に付勢しておき、付勢力に抗した変位によりインターナルギヤと減速輪列の1歯車とが噛み合うようにした請求項1記載の手動操作機構付きアクチュエータ。
【請求項4】 本体とカバーとで開度表示をするようにした請求項1又は2記載の手動操作機構付きアクチュエータ。
【請求項5】 カバーを回転と直交方向に所定量変位自在に支持し、カバーを一方向に付勢しておき、本体にインターナルギヤを回転自在に支持して減速輪列の1歯車と噛み合わせ、付勢力に抗したカバーの変位によりカバーとインターナルギヤが係合して一体回転するようにした請求項1記載の手動操作機構付きアクチュエータ。
【請求項6】 減速輪列の1歯車を軸方向に変位自在にしてカバーの付勢と同方向に付勢し、歯車の干渉による故障を防止した請求項3記載の手動操作機構付きアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、手動操作機構付きアクチュエータに関し、詳しくは、ボールバルブやバタフライバルブ等のバルブ又はその他の機械器具に搭載した電動アクチュエータの手動操作機構に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種の電動アクチュエータには、通常、停電時などの際にバルブを開閉するための手動操作機構が設けられているが、この手動操作機構は、従来より種々のものが提案されている。この従来方法の具体例を挙げると、先ず、実開昭49−35022号公報などに開示されているように、アクチュエータの出力軸又は中間軸をケーシングの外部へ突出させ、この突出部を所定のスパナ等の工具を用いて回転させることによってバルブのステムを手動操作するものが知られている。また、特公昭49−2214号公報などには、アクチュエータの下部より突出させた出力軸の下端とバルブの上部より突出させたステムの上端をコネクタにより結合させ、このコネクタをスパナ等の工具を用いて回転させることにより、バルブのステムを手動操作してバルブを開閉するもの等が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の構造は、突出部がケーシングより突出する部分を気密性維持のため、この突出部位をシールするためのシール部材が必要となると共に、スパナ等の工具が必要となり、また、後者のコネクタを回転操作する構造は、アクチュエータの下方外部にコネクタが配設されるため、大型化し、コンパクト化の要求を満足させることができない等の欠点があった。
【0004】更には、上記の従来の構造は、手動操作時の操作力が大きくなるため、アクチュエータにクラッチ機構を設けて歯車の連結を断つことにより操作力の軽減を図っているが、却ってクラッチ機構があるため構造が複雑化し、また、何れの場合であっても、所定のスパナ等の工具が必要となるばかりでなく、スパナを回すためのバルブの設置場所の制限が必要であったり、アクチュエータ自体にもスパナ等の工具を旋回させるスペースを確保しなければならず、そのため、狭い場所でのスパナ等の回転操作が不便である等の種々の課題を有していた。
【0005】本発明は上記の従来の課題に鑑みて開発したもので、手動操作時の操作力を小さくすることによって操作性を高め、特別の手動操作部分を設けることなく、コンパクトに製品化できると共に、スパナ等の回転操作工具を全く不要とした新規有用なアクチュエータを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明は、モータや減速輪列を有する本体と着脱可能に取り付けたカバーから成るアクチュエータにおいて、カバーを本体に回転自在に支持して、減速輪列の1歯車と噛み合うインターナルギヤがカバーと一体に回転するようにインターナルギヤをカバー若しくは本体内に設けた手動操作機構付きアクチュエータにした。
【0007】上記のインターナルギヤはカバーの内周に一体に成形し、又はカバーの内周にインターナルギヤを固着するように設ける。
【0008】また、上記カバーを本体に回転自在に嵌合し、このカバーを回転と直交方向に所定量変位自在に支持し、カバーを変位方向に付勢しておき、付勢力に抗した変位によりインターナルギヤと減速輪列の1歯車とが噛み合うようにするようにしてもよい。
【0009】また、本体にカバーを回転自在の設けたアクチュエータにおいて、本体とカバーの何れか一方に開度表示部を設け、他方に開閉等の表示を施して、カバーの回転によって開度表示を行なうようにすることもできる。
【0010】上記カバーを回転と直交方向に所定量変位自在に支持し、カバーを一方向に付勢しておき、本体にインターナルギヤを回転自在に支持して減速輪列の1歯車と噛み合わせ、付勢力に抗したカバーの変位によりカバーとインターナルギヤが係合して一体回転するようにしてもよい。
【0011】上記の付勢力に抗した変位により、インターナルギヤと減速輪列の1歯車とが噛み合うようにした手動操作機構付きアクチュエータは、減速輪列の1歯車を軸方向に変位自在にしてカバーの付勢と同方向に付勢し、歯車の干渉による故障を防止することもできる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明における手動操作機構付きアクチュエータをボールバルブやバタフライバルブ等の回転弁に適用した一実施形態を図1〜図10に従って具体的に説明する。図1は、手動操作機構付きアクチュエータの斜視図であって、アクチュエータの基台をなす本体1を短い円柱状に形成し、この本体1の内部に設けた中間保持板2の上部に電動モータ3を取付け、このモータ3の駆動軸4を複数個のギヤ5a、5b、5c...から成る減速輪列5を介して出力軸6と一体の歯車と噛み合い、この出力軸6を本体1の下部より突出させている。
【0013】この出力軸6を図示しないバルブのステムに連結してバルブを開閉するようにしている。また、本例によると、アクチュエータの本体1をバルブの上部に形成したフランジにボルト等で搭載して固着するようにしている。なお、図示しないが本体1内には、出力軸6に設けたカムでリミットスイッチを作動させることによって、例えば出力軸6を略90度の回転角度で双方向に回転駆動するようにすることによって、ボールバルブやバタフライバルブ等の回転弁を開閉駆動するようにしている。
【0014】図3において、この本体1に天板付きの円筒形のカバー7を本体1の段部1aに嵌合して被蓋し、更に、本体1の外周に形成した装着溝8にOリング9を装着し、このOリング9を介して本体1に対してカバー7を回転自在に取り付けられている。そして、図3及び図4に示すように、カバー7は、下端に等配に設けた2〜3個の爪10を形成し、この爪10を本体1の係合溝11に係止してカバー7を抜け止めするようにしている。なお、このカバー7は、金属又は樹脂などで形成している。
【0015】その他、この抜け止め手段として、図5に示すように、カバー端で押すと係合溝11内に潜り込むと共に周端71にも嵌ることができるCリング12aによる止め輪や図6に示すようにカバーに設けた円弧状切欠き72に入って係合溝11に嵌るEリング12bによる止め輪によりカバー7の抜け止めを施こしているが、これらに限ることなく適宜の抜け止め手段を実施に応じて適宜に選択するものとする。
【0016】また、カバー7の内周には、図8に示すように、インターナルギヤ13をカバー7と一体に成形したり、または、図9及び図10に示すように、インターナルギヤ13の上面に適宜間隔で設けた凸部13aをカバー7の内周壁の段部7aに設けた凹部に嵌着して固定したり、或は、インターナルギヤ13をカバー7の内周に接着・圧入等の手段により固着するようにしても良い。
【0017】そして、このインターナルギヤ13には、減速輪列5のうちの1歯車である中間ギヤ5cに噛み合わせてカバー7がこの中間ギヤ5cに連動して回転するように設けられている。この中間ギヤ5cは、これに限ることなく、減速輪列5のうちの1つの歯車とインターナルギヤ13が噛み合うようにすれば良い。
【0018】更に、図7に示すように、本体1又はカバー7の何れか一方に目印となる開度表示部14を設け、他方に開(O)と閉(S)の表示を施して、出力軸6の回動と共にカバー7が回転し、このカバー7の回転により例えばバルブの開度を表示させるようにしている。
【0019】次に、この実施形態の作用を説明すると、電動モータ3を駆動させると、減速輪列5により減速されて出力軸6を回転させ、この出力軸6の回転により出力軸6に連結したバルブのステム(図示しない)を回動させることによりバルブを開閉させる。この時、図1に示すように、減速輪列5の1歯車である中間ギヤ5cとインターナルギヤ13が噛み合っているので、出力軸6の回転と共にインターナルギヤ13と一体に設けたカバー7を回転させ、このカバー7の回転により開度表示部14を目印としてインジケータの機能も発揮させることができる(図7参照)。
【0020】次いで、停電時等の際に、このアクチュエータを手動操作する必要のある場合は、カバー7を外側から手で把持してカバー7自体を直接回転させると、このカバー7と共にインターナルギヤ13に噛み合っている中間ギヤ5cを介して減速輪列5を回転させて出力軸6を回動させることができるので、手動操作によってバルブを開閉したり、その他の機械器具を手動操作することができる。
【0021】上記の例は、インターナルギヤ13と中間ギヤ5cが常時噛み合っている例について説明したが、その他、手動操作時のみインターナルギヤ13と中間ギヤ5cが噛み合い、通常時は、インターナルギヤ13と中間ギヤ5cが噛合していない例について説明する。
【0022】先ず、図11に示すように、コイルばねや複数の皿ばね等の弾性部材15をカバー7の下部と本体1の段部1aとの間に設け、この弾性部材15によってカバー7を回転と直交方向に所定量変位自在に支持し、このカバー7を変位方向に付勢しておき、付勢力に抗した変位によりインターナルギヤ13と減速輪列5の1歯車である中間ギヤ5cとが噛み合うようにしている。そして、手動操作時には、カバー7を押し下げてインターナルギヤ13と中間ギヤ5cとを噛み合わせた状態のまま、カバー7を手で回すことによって上記の例と同様に出力軸6を手動操作することができる。
【0023】次いで、手動操作終了後に、カバー7から手を離すと、弾性部材15の付勢力によって、図11においてカバー7が上方に移動してインターナルギヤ13と中間ギヤ5cとの噛み合い状態が離脱する。この状態で、モータ3を駆動させると、カバー7が回転することなく、出力軸6を回転させることができる。
【0024】また、このとき、図11に示すように、減速輪列5の1歯車である中間ギヤ5cの軸16にばね17を装着し、このばね17によって中間ギヤ5cをカバー7の付勢と同方向に付勢させている。そして、手動操作時にカバー7を押し下げると、歯同志が重なった時は中間ギヤ5cが下ににげ、カバー7を少し回して重なりが解けると中間ギヤ5cが上昇し、インターナルギヤ13と中間ギヤ5cとが確実に噛み合わせることができ、歯車同志の干渉による故障を防ぐことができる。
【0025】なお、弾性部材15は、図11に示すような装着例以外に、電動モータ3上面とカバー7の内側等の内部に設けることができ、カバー7を変位方向に付勢しておき、付勢力に抗した変位によりインターナルギヤ13と中間ギヤ5cとが噛み合うことができれば良く、これらは実施に応じて任意に可能である。
【0026】次に、手動操作時のみインターナルギヤと中間ギヤが噛み合う場合の他例を図12及び図13に従って説明する。この構造は、図11の例と同様にカバー7を回転と直交方向に変位自在に設け、本体1にインターナルギヤ13を回転自在で上下変位不能に設け、このインターナルギヤ13と中間ギヤ5cを噛み合わせておく。そして、付勢力に抗したカバー7の変位により、カバー7とインターナルギヤ13が係合して一体回転するように構成している。これを具体的に説明すると、図12において、本体1の減速輪列5の中間ギヤ5cと、本体1に回転自在に支持したインターナルギヤ18を噛み合わせ、このインターナルギヤ18の外周囲に係合溝19を形成し、この係合溝19にカバー7を押し下げたときに係止する凸部20をカバーの内周面に適当な間隔で複数設ける。
【0027】また、図13に示すように、インターナルギヤ21の上面に適宜な間隔で複数の凸片22を設け、カバー7を押し下げたとき、カバー7の内周面に形成した凸部23を係止させる構造としている。図12と図13の例も図11と同様にばね等の弾性部材を装着して、常時カバー7をカバー7の回転方向と直交する方向に移動させて中間ギヤ5cとインターナルギヤ18、21の噛み合いを離脱させておき、手動操作時に、カバー7を手で把持して押し下げて回転させることによってインターナルギヤ18、21と中間ギヤ5cとを噛み合わせて出力軸6の手動操作を可能としている。
【0028】上記の実施形態は、ボールバルブやバタフライバルブなどのバルブに適用した例について説明したが、これに限ることなく、駆動する機械器具のアクチュエータとしても応用することができる。
【0029】
【発明の効果】以上のことから明らかなように、本発明によると、次のような優れた効果を有する。アクチュエータの手動操作時の操作性が極めて良好であり、しかも従来品に比して製品をコンパクトに製造することができると共に、手の把持力で大きい回転操作力が付与でき、手動操作性が極めて良好である。また、アクチュエータの減速輪列の途中の1歯車に噛み合わせているので、大きい操作力を要しないと共に、外周での開度表示ができ、見易く確実に視認できる等の効果を有する。
【出願人】 【識別番号】390002381
【氏名又は名称】株式会社キッツ
【出願日】 平成9年(1997)10月17日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】小林 哲男
【公開番号】 特開平11−118057
【公開日】 平成11年(1999)4月30日
【出願番号】 特願平9−299665