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【発明の名称】 バルブアクチュエータ
【発明者】 【氏名】下里 義博

【要約】 【課題】長期間良好なシール性を得られ、また、異常検知を敏感に行えるバルブアクチュエータを提供する。

【解決手段】弁体2が全閉位置p1にあるか否かを、トルク検出スイッチT1により、弁体2に作用するトルクが予め設定したシーティングトルクt1以上であるか否かで判断する。また、弁体2の位置が全閉位置p1よりも若干開側に設定した切換位置p2よりも開側にある状態では、前記シーティングトルクt1より低く設定した異常検出トルクt2よりも高いトルクが作用した場合に、トルク検出スイッチT2が切り替わって、異常信号を出力する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】バタフライバルブの弁体を駆動するバルブ開閉用のバルブアクチュエータであって、前記弁体の位置を検出する位置検出手段と、前記弁体に作用する駆動トルクを検出するトルク検出手段と、前記位置検出手段により検出した弁体の位置が全閉位置近傍に設定した切換位置よりも閉側である場合には、前記トルク検出手段により検出した駆動トルクが予め設定したシーティングトルクを上回っていることを条件に全閉信号を出力するとともに、検出した弁体の位置が前記切換位置よりも開側である場合には、検出した弁体の位置に応じて予め設定した異常検出トルクを上回っていることを条件に異常信号を出力する制御手段とを具備してなることを特徴とするバルブアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空調設備やプラント等に使用されるバタフライバルブを開閉駆動するバルブアクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】空調設備やプラント等に使用されるバタフライバルブの開閉には電動バルブアクチュエータが用いられる場合がある。この電動バルブアクチュエータとしては、操作者による開閉スイッチ操作でバタフライバルブの弁体をモータによって回動させ、開閉を行うものが知られている。従来、この種の電動バルブアクチュエータにおいては、弁体の全閉位置と全開位置とを検出するリミットスイッチが設けられており、上記開閉スイッチ操作により、全開若しくは全閉位置となった時点で、自動的にモータへの電力供給を停止し、弁体駆動を停止させるとともに、このことを操作者に認識させる外部信号出力を行うようにしている。また、このようなものでは、不測の原因、例えば何か障害物が混入したり、バルブ自体の故障等により、弁体の回動が不能になる場合があるので、このような事態を検出すべく、弁体に作用する駆動トルクを検出しておき、この駆動トルクが予め設定した異常検出トルクを上回った場合に、異常信号出力を行うように構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、バタフライバルブは、通常、バルブ本体側に設けられた弾性変形するシール部材に金属弁体を押圧させて全閉し、シール効果を得ている。したがって、経時変化によるシール部材の摩耗や変形により、十分なシール効果を得られる弁体の実際の全閉位置は、組付当初の位置からさらに閉側に移動していく。ところが、かかる構成のものでは、組付当初にリミットスイッチにより設定した全閉位置で必ず弁体は停止するため、シール部材の経時変化でシール不良現象が惹起され得る。さらに、このような場合のメンテナンス調整も、シーティングトルクを測定しながらカム位置を微妙に調整してリミットスイッチの位置を設定しなければならないなど、非常に手間のかかるものであった。
【0004】また、バタフライバルブの弁体を駆動するのに必要なトルクは、全閉位置に近づくにつれ大きくなる特性を有するが、このようなものでは異常検出トルクを、シーティングトルク、すなわち弁体を全閉位置にまで締め付けるのに必要なトルクより小さく設定することができない。仮にこのようにすると、全閉位置よりも開側で常に異常信号が出力されてしまうからである。つまり、上述したものは、シーティングトルク以下のトルク発生、例えば若干弁体が回りにくい等の異常の検出は行うことができず、弁体がこぜるなどして回動不能に近い状態になった状態で初めて異常と認識されるものであった。その結果異常に気づかず使用するなどの無理な操作により故障が発生する場合もあった。また、実際には、環境変化等によるトルク変動を考えて、前記異常検出の1/2程度がシーティングトルクとなるようにマージンをとる必要があり、バルブアクチュエータが、仮に最大100N・mのトルクを発生し得るものであって、異常信号を出力する異常検出トルクを90N・mに設定したとすれば、マージンを考えてシーティングトルクが50N・m付近となるように、リミットスイッチの位置を調整して全閉位置を設定しなければならない。つまり、バルブアクチュエータの発生しうる略最大トルクで、弁体をシール部材に押圧させることができず、シール性を良好にする十分な押圧力を得るためには、不要に高出力のバルブアクチュエータを選定しなければならなかった。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の問題点を解決するために、本発明は、バタフライバルブの弁体を駆動するバルブ開閉用のバルブアクチュエータであって、前記弁体の位置を検出する位置検出手段と、前記弁体に作用する駆動トルクを検出するトルク検出手段と、前記位置検出手段により検出した弁体の位置が全閉位置近傍に設定した切換位置よりも閉側である場合には、前記トルク検出手段により検出した駆動トルクが予め設定したシーティングトルクを上回っていることを条件に全閉信号を出力するとともに、検出した弁体の位置が前記切換位置よりも開側である場合には、検出した弁体の位置に応じて予め設定した異常検出トルクを上回っていることを条件に異常信号を出力する制御手段とを具備してなることを特徴とするものである。
【0006】このようなものであれば、全閉信号が弁体の押圧力に規定して出力されるので、経時変化でシール部材が摩耗したり変形したりするなどして、弁体の実際の全閉位置が徐々に変化しても、一定の押圧力で弁体が押しつけられる位置で全閉信号が出力されるようにできる。したがって、これを利用して全閉信号の出力位置で弁体を停止させるようにすれば、シール性を長期間良好に保て、その信頼性を向上させることが可能になる。また、シーティングトルクと異常検出トルクとの設定を独立して行えるので、例えばシーティングトルクを、アクチュエータの最大出力トルク近傍に設定して、シール性能を向上させつつ、異常検知のための下限設定トルクを弁体の位置に応じて低く設定して、異常検知を敏感にすることもできる。さらに、バルブアクチュエータの発生しうる略最大トルクで、弁体をシール部材に押圧させることができ、性能を十分に生かしてバルブアクチュエータを使用することもできるようになる。
【0007】
【実施例】以下本発明の一実施例を、図1〜図3を参照して説明する。本実施例によるバルブアクチュエータ3は、図1に示すように、バタフライバルブ1の開閉駆動をおこなうもので、電動モータ7を駆動力源とし、この電動モータ7に減速機8、トルク検出手段5を介して連結した出力軸10と、この出力軸10の角度を検出する位置検出手段4と、電動モータ7の制御回路6とを具備してなる。なお図1において二重線は機械的な連結を示し、矢印付の線は電気信号線をしめす。
【0008】個々に説明すると、本実施例において適用しているバタフライバルブ1は、弁体2を略90度回動させて開閉動作するものである。そしてバルブ本体側に設けられた弾性変形する図示しないシール部材に金属弁体2を押圧させて全閉し、シール効果を得ている。電動モータ7は、交流電源により駆動されるタイプのものであり、いずれの入力端子M1、M2に電力が供給されるかで、回転方向を変えられるものである。減速機8は、一般に電動モータ7の回転速度を減じたり大トルクを得る場合に使用する周知のものである。
【0009】トルク検出手段5は、本実施例では図示しないウォーム歯車機構を用いたものを適用している。原理的には、電動モータ7側にウォームを連結し、出力軸10側にウォームホイールを連結する。一方、このウォームを例えばバネ等で軸方向に進退可能に支持させておく。このようにしておけば、例えば出力軸10に負荷がかかるなどして電動モータ7と出力軸10との間にトルクが発生した場合、そのトルクの大きさに比例した進退力がウォームに作用することになる。その結果、バネの復元力とこの進退力が釣り合う位置までウォームが進退するため、この進退距離を測定することにより弁体2に作用するトルクを測定できる。本実施例では、このトルク検出手段5を、前述したウォーム歯車機構と、ウォームが所定進退距離に達したときに作動し接点信号を出力するリミットスイッチであるトルク検出スイッチT1、T2とを備えてなるものにしている。そして、トルク検出スイッチT1が、弁体2によるシールに必要なシーティングトルクt1が作用した時に接点信号を出力するように設定し、トルク検出スイッチT2が、弁体2に異常検出トルクt2が作用した時に接点信号を出力するように設定している。
【0010】出力軸は、最終的に弁体2に連結され、この弁体2を駆動するものである。位置検出手段4は、この出力軸10に取り付けたカム機構41と、この出力軸10が所定の角度となった際に前記カム機構41により作動され接点信号を出力するリミットスイッチである2つの位置検出スイッチP1、P2により構成している。本実施例では、位置検出スイッチP2によって出力軸10の回動角度が弁体2の全閉位置p1よりも若干開側に設定した切換位置p2にある状態を検出できるようにし、位置検出スイッチP1によって出力軸10の回動角度が弁体2の全開位置p3にある状態を検出することができるようにしている。
【0011】なお、これら位置検出スイッチP1、P2およびトルク検出スイッチT1、T2は、入力端子と、これにそれぞれ切換可能に接続されるNC端子、NO端子とを備えたものであり、通常状態では入力端子とNC端子とが接続されており、検出状態になると、入力端子とNO端子とが接続され、これを接点信号として出力するものである。
【0012】次に、バタフライバルブ1の弁体2駆動に必要な駆動トルク曲線TCを定性的に示した図3にしたがって、上記全閉位置p1、切換位置p2、シーティングトルクt1、異常検出トルクt2の設定値を説明する。全閉位置p1は、弁体駆動トルクが設定したシーティングトルクt1となる位置に自動的に設定される。切換位置p2はこの全閉位置p1よりも若干開側に設定している。そして、本実施例では、この切換位置p2における弁体駆動トルクt2より大きく、シーティングトルクt1より小さい値となるように、異常検出トルクt2を設定している。
【0013】電動モータ7の制御回路6は制御手段に相当するもので、本実施例では図2に示すように、モータ7や位置検出スイッチP1、P2およびトルク検出スイッチT1、T2を接続するとともに、外部の操作回路9との中継を行う接続コネクタAを備えた回路構成となっている。この回路の接続について述べると、接続コネクタAの2番端子A2は、トルク検出スイッチT1の入力端子T11に接続され、3番端子は、位置検出スイッチP1の入力端子P11に接続されるようにしている。トルク検出スイッチT1のNC端子T12はモータの第2入力端子M2に、またトルク検出スイッチT1のNO端子T13は接続コネクタAの8番端子A8に接続されるようにしている。位置検出スイッチP1のNC端子P12はモータの第1入力端子M1に、また位置検出スイッチP1のNO端子P13は接続コネクタAの9番端子A9に接続している。モータ7の出力端子M3は、異常温度時に経路を遮断するサーマルプロテクタTHを介して1番端子A1に接続している。
【0014】一方10番端子A10は、トルク検出スイッチT2の入力端子T21に接続している。そして、トルク検出スイッチT2のNO端子T23を、位置検出スイッチP2の入力端子P21に接続し、位置検出スイッチP2のNC端子P22を、1番端子A1に接続している。本実施例ではこのような制御回路6の外部に操作回路9を設けている。この操作回路9を簡単に図2にしたがって説明すると、この操作回路9には交流電源PS、操作スイッチS1、各種表示ランプYL、RL、GLとから構成している。操作スイッチS1は、入力端子S11を、外部操作によって、開、切、閉の3端子S12、S13、S14に切り換え得るものである。接続について述べると、電源PSの一方の端子PS1は異常ランプYLを介して10番端子A10に接続され、かつ、操作スイッチS1の入力端子S11に接続されるようにしている。また、電源PSの他方の端子PS2は、1番端子A1、全開ランプRLを介して9番端子A9、全閉ランプGLを介して8番端子A8にそれぞれ接続している。そして、操作スイッチS1の開端子S12を3番端子A3に接続するとともに、閉端子S14を2番端子A2に接続している。
【0015】このように構成した本実施例による電動バルブアクチュエータ3の動作を以下に説明する。操作スイッチS1が「開」位置に操作された場合、図2に示すように、一方の電源端子PS1は、3番端子A3、位置検出スイッチP1の入力端子P11、NC端子P12、モータ7の第1入力端子M1、サーマルプロテクタTHを経て1番端子A1から他方の電源端子PS2に接続され、この接続経路にしたがって電流が流れて、モータ7が回動し弁体2を全開位置p3方向へ駆動する。しかして、弁体2が全開位置p3に達した時点で、位置検出スイッチP1が切り替わり、その入力端子P11はNO端子P13に接続される。その結果、モータ7への電力供給が停止されて、弁体2は回動を停止するとともに、電流はNO端子P13、9番端子A9を経て、全開ランプRLに流れることとなり、全開ランプRLが点灯する。
【0016】また、操作スイッチS1が「閉」位置に操作された場合、一方の電源端子PS1は、2番端子A2、トルク検出スイッチT1の入力端子T11、NC端子T12、モータ7の第2入力端子M2、サーマルプロテクタTHを経て他方の電源端子PS2に接続される。そして、この接続経路にしたがって電流が流れてモータ7が回動し弁体2を全閉位置p1方向へ駆動する。しかして、弁体2がシール部材を設定したシーティングトルクt1で押圧する全閉位置p1に達した時点で、トルク検出スイッチT1が切り替わり、全閉信号が出力される。すなわちその入力端子T11がNO端子T13に接続される。その結果、モータ7への電力供給が停止されて、弁体2は回動を停止するとともに、電流はNO端子T13、8番端子A8を経て、全閉ランプGLに流れることとなり、全閉ランプGLが点灯する。
【0017】なおこの操作中、操作スイッチS1を「切」位置に操作された場合には、その時点でモータ7は停止する。次に異常検出時の動作について説明すると、位置検出スイッチP2は、弁体2が全閉位置p1直前よりも開側に位置する場合には、入力端子P21とNC端子P22とが接続された状態となっている。この状態において、異常検出トルクt2よりも大きなトルクが作用した場合には、トルク検出スイッチT2の入力端子T21とNO端子T23とが接続される。その結果、異常信号が出力される。すなわち、トルク検出スイッチT2と位置検出スイッチP2とが導通状態となって、異常ランプYLに電流が流れこれが点灯する。なお、、弁体2が全閉位置p1直前よりも閉側に位置する場合には、位置検出スイッチP2は非導通状態であるため、異常ランプYLは点灯しない。
【0018】このように、本実施例によれば、弁体2が全閉位置p1にあるか否かを、弁体2に作用するトルクが予め設定したシーティングトルクt1以上であるか否かで判断することになる。また、弁体2の位置が全閉位置p1よりも若干開側に設定した切換位置p2よりも開側にある状態では、前記シーティングトルクt1より低く設定した異常検出トルクt2よりも高いトルクが作用した場合に異常信号が出力されることになる。
【0019】なお、本発明は以上示した実施例のみに限定されるものではなく、種々の変形が考えられる。例えば、位置検出手段は、実施例に限られず、ロータリポテンシオ等を用いて、アナログ的に求め、制御手段側でコンパレータ等により切換位置を判断させたもの等でもよい。またトルク検出手段も、モータに流れる電流とコイル発生磁界で測定するものでも構わない。さらに、異常検出トルクを弁体の角度に対応させて連続的にあるいは複数設定し、よりきめ細やかな異常検知を行えるようにしても構わない。もちろんバルブアクチュエータも電動式に限ったものではない。
【0020】その他、各部の構成は図示例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0021】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれば、全閉信号が弁体の押圧力に規定して出力されるので、経時変化でシール部材が摩耗したり変形したりするなどして、弁体の実際の全閉位置が徐々に変化しても、一定の押圧力で弁体が押しつけられる位置で全閉信号が出力されるようにできる。したがって、これを利用して全閉信号の出力位置で弁体を停止させるようにすれば、シール性を長期間良好に保て、その信頼性を向上させることが可能になる。さらに全閉位置の調整も、シーティングトルクのみを設定すればよいので非常に容易になる。
【0022】また、シーティングトルクと異常検出トルクとの設定が独立して行えるので、例えばシーティングトルクを、アクチュエータの最大出力トルク近傍に設定して、シール性能を向上させつつ、異常検出トルクを弁体の位置に応じて低く設定して、異常検知を敏感にすることもできる。この結果、従来異常に気づかないで使用していたことが原因で生じた故障を排除することもできるようになる。さらに、バルブアクチュエータの発生しうる略最大トルクで、弁体をシール部材に押圧させることができ、性能を十分に生かしてバルブアクチュエータを使用することもできるようになる。
【出願人】 【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
【出願日】 平成9年(1997)10月16日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
【公開番号】 特開平11−118056
【公開日】 平成11年(1999)4月30日
【出願番号】 特願平9−284113