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【発明の名称】 密閉式方向制御弁
【発明者】 【氏名】高野 哲郎

【氏名】宮下 暁

【要約】 【課題】永久磁石及び電磁コイルの小型化が可能で、コンパクトで、かつ低コストで生産することが可能であり、しかも空気調和機への採用時に室外機熱交換機の霜取りから暖房運転までの復帰時間を短くできる密閉式方向制御弁を提供する。

【解決手段】下端部に弁座を5固設した密閉弁ケース1と、密閉弁ケース1の内部に回転可能に配設した永久磁石6と、密閉弁ケース1の内部に回転可能に配設し、かつ密閉弁ケース内に連通する複数の流路27,28,29,30を通る流体の圧力により弁座5に押しつける力が発生する主弁7と、上記永久磁石6の内側に位置して永久磁石6に回転力を与える電磁コイル9とからなり、上記主弁7と弁座5とにより形成された弁室14と密閉弁ケース1内の弁室13とを導通することにより、主弁7の弁座5に対する押しつけ力を低減する連通孔15を主弁7に設け、かつ電磁コイル9の回転により連通孔15の開閉操作を行なうようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下端部に弁座を固設した密閉弁ケースと、密閉弁ケースの内部に回転可能に配設した永久磁石と、密閉弁ケースの内部に回転可能に配設し、かつ密閉弁ケース内に連通する複数の流路を通る流体の圧力により弁座に押しつける力が発生する主弁と、上記永久磁石の内側に位置して永久磁石に回転力を与える電磁コイルとからなり、上記主弁と弁座とにより形成された弁室と密閉弁ケース内の弁室とを導通することにより、主弁の弁座に対する押しつけ力を低減する連通孔を主弁に設け、かつ電磁コイルの回転により連通孔の開閉操作を行なうようにした密閉式方向制御弁。
【請求項2】 ロータヨークと主弁との間に、連通孔を閉じる方向に付勢するスプリングを配設した請求項1記載の密閉式方向制御弁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として空気調和機や、冷凍機等の方向制御用の四方弁として使用されうる密閉式方向制御弁に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、空気調和機等の冷暖房サイクルには、その冷房運転時と、暖房運転時に、封入されている冷媒の流れ方向を切換えるために方向制御用の四方弁が使用されている。そこで,この種の四方弁としては、特開平8−42737号の四方弁に関する発明に開示されているごとく、従来、実開昭54−165324号または、特開昭61−6486号、さらに特公平3−30749号などの考案や発明が知られている。
【0003】しかしながら、これら従来の四方弁は、回路を切り替えるためのメインの弁体と、その弁体を作動するためのパイロット弁とで構成され、両者を結ぶ配管が必要で、部品点数が多く、構成が複雑で組立に手間がかかるため、コスト高となり、又暖房運転時にはパイロット弁のために連続通電が必要で、多くの電力消費を伴い不経済である問題があった。
【0004】また、他の方向制御弁として、特開平8−152075号の発明に示すように、直動式の四方弁が知られている。これは、弁本体とこの弁本体の上部に着脱可能に配設された電磁コイルからなり、その弁本体は円筒状のボディの下端に取り付けられた弁座と、そのボディの内面に回転可能に配設された永久磁石及び樹脂製弁から構成され、コンパクトで前記した四方弁と比較して製造コストが安いという特徴を有している。
【0005】しかしながら、この方向制御弁は、永久磁石と電磁コイルの吸引及び反発力で、弁を直接動かす構造のため、駆動力を発生するために永久磁石及び電磁コイルが大型化し、前記の四方弁と比較すれば、製造コストが低いものの依然として製造コストを十分低くできないという問題があった。さらに、この方向制御弁は、永久磁石と電磁コイルの吸引及び反発力で弁を直接動かす構造のため、弁作動力が弱く、差圧作動性能が低いという欠点があった。
【0006】一方、空気調和機の暖房運転時には、定期的に室外機熱交換機の霜取りを行うが、これは圧縮機から吐出される高温の冷媒を室外機熱交換機へ流し込み、付着した霜を除去するものである。また空気調和機には、この霜取りの操作を専用回路のバイパスで行う機種と、四方弁の回路を切換えて行なうものとがあるが、前記のごとく四方弁で切換えるものでは霜取り中は冷房運転になるが、室内機ファンを停止させ、室内へは冷風は吹き込まない。
【0007】さらに、電磁石と永久磁石との反発力を利用して回路切換を行なう回転式の四方弁を、回路切換えにより霜取り操作を行なう機種に採用した場合は、直線往復動の四方弁により回路を切換えるものに比べ、霜取りから再度暖房運転に至るまでの時間が2倍以上必要であり、例えば直線往復動のものが1から1.5 分であるのに対し、回転式四方弁のものでは約3分必要である。
【0008】その理由として、空気調和機運転中は、弁座の導入口は圧縮機の吐出口に接続され、本体内部も高圧となっており、導出口は圧縮機の吸引口に接続され弁の連絡溝ともども低圧になっているため、この圧力の差のあるために、弁は弁座に押しつけられ、導入口側から導出口側への冷媒の流出が規制されるからである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、永久磁石及び電磁コイルの小型化が可能で、コンパクトで、かつ低コストで生産することが可能であり、しかも空気調和機への採用時に、その暖房運転時の室外機熱交換機の霜取りから暖房運転への復帰までの待ち時間を短くできる密閉式方向制御弁を提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、下端部に弁座を固設した密閉弁ケースと、密閉弁ケースの内部に回転可能に配設した永久磁石と、密閉弁ケースの内部に回転可能に配設し、かつ密閉弁ケース内に連通する複数の流路を通る流体の圧力により弁座に押しつける力が発生する主弁と、上記永久磁石の内側に位置して永久磁石に回転力を与える電磁コイルとからなり、上記主弁と弁座とにより形成された弁室と密閉弁ケース内の弁室とを導通することにより、主弁の弁座に対する押しつけ力を低減する連通孔を主弁に設け、かつ電磁コイルの回転により連通孔の開閉操作を行なうようにした密閉式方向制御弁からなり、さらにまたロータヨークと主弁との間に、連通孔を閉じる方向に付勢するスプリングを配設した密閉式方向制御弁からなる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明の密閉式方向制御弁の一実施形態を説明するが、図1は、その側断面図、図2は図1のA−A方向の平断面図、図3は図1のB−B方向の平断面図、図4は図3のC−C方向の側断面図であり、図5は図1の密閉式方向制御弁の組立前の部品展開側断面図である。
【0012】まず、この密閉式方向制御弁は、それぞれ円筒状の外側ケース2内に内側ケース3を上部から挿入して各上周部を溶接し、かつ外側ケース2の下部開放端部に弁座5を溶接等で固設した密閉弁ケース1と、密閉弁ケース1の内部にロータヨーク17と共に回転可能に配設したドーナツ状のマグネットからなる永久磁石6を、密閉弁ケース1の内部に回転可能に配設し、かつ弁座5を介して密閉弁ケース1内に接続する図1、図5及び図16で27,28,29,30のごとく示した複数の各流路を通る流体の圧力差により弁座5に押しつける力が発生する主弁7と、上記密閉弁ケース1の内側ケース3を介しながら永久磁石6に回転力を与える電磁コイル9とから構成されており、上記電磁コイル9は内側ケース3の内側に設けることにより永久磁石6の内側に配設されている。
【0013】次に、密閉弁ケース1内に連通する図16の平面図に示した複数の流路27,28,29及び30のうち、流路27はコンプレッサーの吐出口にロー付接合され、弁位置に無関係に、高圧の冷媒流体はこの流路27を通り、弁室13に導入される。また、流路28は、コンプレッサーの吸入口にロー付接合され、弁位置に無関係に、低圧の冷媒流体は流路29を通り、弁室14から排出される。
【0014】さらに、流路29は、室内機熱交換機にロー付接合され、流路30は室外機熱交換機にロー付接合され、弁位置によって、流路27と導通するか、または流路28と導通するかが選択される。即ち、流路27と流路29が導通し、かつ流路28と流路30が導通する弁位置の時、暖房運転となり、流路27と流路30が導通し、かつ流路28と流路29が導通する弁位置の時、冷房運転となる。
【0015】このような構成により、弁室13に入った流体により主弁13を弁座5方向に強く押し付けることになり、その押し付け力により主弁が回動しにくいという現象を呈する。そこでその押し付け力を低減する連通孔15を、図6の側断面図、図6の上面図の平面図である図7及び図6の底面の平面図である図8に示す主弁7の一部に設け、さらに上記電磁コイル9の回転により、上記の連通孔15を、図9に示す側断面図及び図9のD−D方向の底面の平面図である図10に示すロータヨーク17の下面に設けた副弁21をパイロット弁として開閉操作を行なうようにしている。
【0016】電磁コイル9に通電することで回転力を与えられる永久磁石6は、図5に示すスライドリング25を介してロータヨーク17に挿入されるので、回転が可能になっており、永久磁石6はロータヨーク17と共に固定軸22を介して主弁7を回転するようになっている。また、この永久磁石6と一体に回転するロータヨーク17と主弁7との間には図11に示す8の字状のスプリング24が配設されている。ここで8の字状のスプリング24の中心部の丸い部分は固定軸22に嵌合し、他端は主弁7の突起8を挟持するようになっている。このスプリング24は上記連通孔15を副弁21で閉じる方向に付勢するように取付けられている。
【0017】なお、このスプリング24の種類や形状は特に限定されるものではない。次に、上記の動作を、図11及び図12から図15までの一連の動作説明図により説明すると、まず図12は動作前の状態、即ち電磁コイル9のコイル11に通電していない状態であり、永久磁石6が固定されたロータヨーク17は、永久磁石6とコイル11の鉄コア10との吸引力によって、図11に示すロータヨーク17の孔19が内側ケース3のストッパー4と接触する方向に吸引されている。また、図6の主弁7の突起8の幅は、図11に示すごとく、ロータヨーク17の突起16の幅よりも若干小さく設定されているため、スプリング24の力を受けずに静止している。
【0018】次に、図12の状態から図13の動作1の状態のごとくコイル11に通電すると、その磁力により永久磁石6を固定したロータヨーク17が回転を開始し、主弁7の突起8とロータヨーク17の孔18が係合されている部分の回転方向の隙間20が無くなる位置まで、スプリング24を撓ませながら回転する。この位置では、ロータヨーク17と同時に回転する副弁21が、連通孔15から外れ、主弁7の外側から内側への流体が流れることにより、主弁7の外側の弁室13と内側の弁室14との圧力が平衡する。
【0019】次に、上記のごとく圧力が平衡することにより、主弁7と弁座5との摩擦力が、電磁力による回転力より小さくなると、図14の動作2の状態のごとく、ロータヨーク17の孔18が主弁7の突起8を押し、ロータヨーク17の孔19が内側ケース3のストッパー4と接触する位置まで、主弁7が回転する。さらに、図15は動作完了の状態を示し、主弁7は、スプリング24によってロータヨーク17の孔19の中央部まで回転し、同時に副弁21が連通孔15を閉じる。
【0020】なお、逆回転においても、上記図12から図15までの動作を同様に行なう。即ち、上記のスプリング24は主弁7と副弁21との回転に位相のずれをつくりだすために機能し、特に、主弁7を正規の位置に引きもどして、副弁21と連通孔15とを正確に合致させて連通孔15を閉じる機能をするものである。なお、上記の電磁コイル9によれば、溶接で溶着された外側ケース2と内側ケース3とからなる密閉弁ケース1の外部に形成された凹状部内に配設した鉄コア10とコイル11に対して絶縁のためのエポキシ樹脂12を流し込んで固化させたものを使用することができる。
【0021】また、図5において、主弁7が弁動作以外の時に、弁座5以外に接触する箇所は、固定軸22のみであり、固定軸22と主弁7には適宜なクリアランスを設けることにより、他の部位に拘束を受けずに弁座5と接触するので、シール性は良好になる。なお、図5において、23で示すのは主弁7とスプリング24との間に介設されるワッシャーである。
【0022】
【発明の効果】以上に説明した本発明の密閉式方向制御弁によれば、流路を切り替えるためのメインの主弁と、その主弁を弁座に押しつける力の源となる複数の流路により導入された流体による圧力差を低減するためのパイロット弁である副弁とをこの圧力制御弁が有しているので、部品点数が少なく、しかも構造が簡単で、組立も容易である。
【0023】また、電磁コイルに通電するのは流路の切り替え時の数秒間だけであるため、電力消費を極めて小さくできる。さらに、主弁と弁座により隔てられた圧力差のある2つの弁室間を導通させることにより、複数の流路からの流体による圧力差を殆ど無くし、主弁の弁座への押しつけ力を大幅に低減できるので、メインの主弁を作動させるための回転トルクを小さくでき、駆動力を発生する永久磁石及び電磁コイルを小型化可能であり、製造コストを低減でき、作動の際の電力消費も極めて小さくできて経済的である。
【0024】一方、本発明においては、従来のごとく永久磁石と電磁コイルの吸引及び反発力で弁体を直接動かす構造とは異なり、副弁のパイロット弁の操作により、主弁と弁座により隔てられた圧力差のある2つの弁室を導通させることにより複数の流路の圧力差を殆ど無くし、主弁の弁座への押し付け力を大幅に低減した後にメインの主弁が動くため、電磁コイル操作前に主弁と弁座により隔てられた2つの弁室の圧力差が大きい場合においても作動が可能で、差圧作動性能を十分大きくすることが可能である。
【0025】さらに本発明では、電磁コイルを永久磁石の内側に配設しているので、電磁コイルの絶縁のための樹脂封止に密閉弁ケースの内側ケースを利用でき、例えばエポキシ樹脂を使用した注型とすることが可能で、樹脂封止のための金型が不要であり、それだけ生産性が高く、低コストで製作することができる。また、電磁コイル及び永久磁石の磁束の洩れが少なく、同一トルクを得るために、電磁コイル及び永久磁石を小型化でき、消費電力を小さくでき、しかも全体をコンパクトに、かつ低コストに生産できる。従って、本発明の方向制御弁を空気調和機等に設置した場合、その装置を小型化できると共に、その暖房運転時の室外機熱交換機の霜取りから暖房運転への復帰迄の待ち時間を短縮することもできる。
【出願人】 【識別番号】000122209
【氏名又は名称】横浜ハイデックス株式会社
【出願日】 平成9年(1997)10月16日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一 (外2名)
【公開番号】 特開平11−118050
【公開日】 平成11年(1999)4月30日
【出願番号】 特願平9−283923