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【発明の名称】 テンション装置
【発明者】 【氏名】山内 正浩

【要約】 【課題】物流搬送や動力伝動に用いられる無端ベルトの張力を、簡潔な機構と容易な操作によりほぼワンタッチで調整できるテンション装置を提供する。

【解決手段】移動走行する物品搬送用または動力伝動用のベルト30の張力を調整するに際し、取付部50に対して、中心軸C−Cから偏心距離hだけずれた位置で1つの固定ボルト21によって固定されるローラシャフト22を有し、このローラシャフト22には左右一対の2つの位置調整孔23が設けている。また、ローラシャフト22の外周にベアリング24を介してテンションローラ25が回転可能に支持され、ベルト30の一面に接触して摩擦力により回転を付与される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 移動走行する物品搬送用または動力伝動用のベルトの張力を調整するテンション装置であって、取付部に対して、中心点から偏心距離hだけずれた位置で1つの固定ボルトによって固定されているローラシャフトを有し、このローラシャフトには中心点から固定ボルトに対向する位置に左右一対の位置調整孔が設けられており、またローラシャフトの外周にベアリングを介して回転可能に支持され、ベルトの一面に接触して摩擦力により回転を付与されるテンションローラを有しているテンション装置。
【請求項2】 左右一対の位置調整孔を雌ねじ孔として形成し、それらに治具ボルトを螺着して、別に準備された工具をそれら治具ボルトの一方と他方に契合させて梃子回動操作することにより、1つの固定ボルトを回動中心にしてローラシャフトと一体的にテンションローラを回動変位させて、ベルトの張力を調整可能に構成した請求項1記載のテンション装置。
【請求項3】 位置調整孔にそれぞれに螺着された治具ボルトの頭部に係合する2個のボルト係合孔を設けた棒状治具が準備され、その2個のボルト係合孔を治具ボルトに係合して治具を梃子回動操作することにより、1つの固定ボルトを回動中心にしてローラシャフトと一体的にテンションローラを回動変位させて、ベルトの張力を調整可能に構成した請求項1記載のテンション装置。
【請求項4】 左右一対の位置調整孔が素孔であり、それら素孔位置調整孔に係合させる大きさと形状の突起状エンボスを設けた治具が準備され、この治具を梃子回動操作することにより、1つの固定ボルトを回動中心にしてローラシャフトと一体的にテンションローラを回動変位させ、ベルトの張力を調整可能に構成した請求項1記載のテンション装置。
【請求項5】 それ自体駆動側または受動側のプーリとして利用可能に構成されている請求項1、2または3記載のテンション装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、搬送用ベルト等の張力を調整するテンション装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、物流設備や機械設備においては、物品搬送や動力伝動に歯付ベルト、平ベルトおよびチェーンスプロケット等の無端の駆動ベルトが駆動側および受動側よりなる複数のプーリ間に捲回して用いられている。長期使用によって弛緩を生じた駆動ベルトでは、テンション装置によってその張力を高めるべく調整されるようになっている。
【0003】図5は、従来より慣用されているテンション装置の一例を示している。原動側と受動側に例えば歯付プーリ1の一対が用いられ、それらプーリ間に捲回されて噛合する無端の歯付ベルト2を回転させることにより、物品の搬送および動力伝動などが行われる。歯付プーリ1は回転軸受部3を介して設備機体側のブラケット4に回転自在に支持されている。回転軸受部3はブラケット4に設けた案内溝5に係合しており、案内溝5の溝長さの範囲内でベルト捲回方向へ移動できる。すなわち、回転軸受部3と一体に歯付プーリ1を移動させ、他のプーリとの軸間距離Lを長く調整することにより、歯付ベルト2の張力を高めることができる。歯付プーリ1と回転軸受部5の一体移動は、ブラケット4に螺着させたねじ棒6を手動操作などし、ねじ棒6の先端に連結した回転軸受部3を牽引して案内溝5を移動させる。
【0004】また、図6は、テンション装置の他の従来例としてテンションローラを示している。一対の原動プーリ8と従動プーリ9の軸間に捲回された無端のベルト10が所定の方向へ回動する場合であって、両プーリの近傍個所でベルト10に接触可能な位置にそれぞれテンションローラ11が配置されている。このテンションローラ11は回転軸ごと天地方向でいう上下に移動可能となっているか、あるいは図中の拡大部に示すように、プーリ軸間方向、すなわちベルト捲回方向へ移動可能となっている。
【0005】テンションローラ11の回転軸端は、ボールベアリング等による軸受12を介して機体側ブラケット13上に回転自在に支持されている。軸受12は、ブラケット13に設けた長孔14に挿通する取付ボルト15で固定されている。弛緩したベルト10の張力を調整して高める場合、取付ボルト15を緩めてブラケット13の長孔14の長さの範囲で軸受12の位置を移動する。すなわち、テンションローラ11の位置を変えることにより、ベルト10への押付力を高めて張力を増すようになっている。
【0006】更に、図7もまたテンション装置の他の従来例であるテンションローラ40を示しており、そこでは張力調整の対象ベルトに図2の場合と同様な歯付ベルト2が用いられている。この歯付ベルト2の背面に接触して摩擦力で回転を付与されるテンションローラ41は、その両端でボールベアリング方式等の軸受部材42により回転可能に支持されている。軸受部材42は設備機体に設けたブラケット43に固定ボルト44で固定され、テンションローラ41を両端でそれぞれブラケット43に回転可能に担持されている。
【0007】軸受部材42には、回転軸線C−C上の回転中心点45に固定ボルト44をねじ込んでブラケット43に固定するための固定孔46が設けられている。一方のブラケット43においては、固定ボルト44が挿通する調整長孔47が天地方向でいう上下に長く延びて設けられている。
【0008】この第3の従来例では、経時使用により、歯付ベルト2の張力が弱まって弛緩などが生じると、固定ボルト44を若干緩めた状態で、テンションローラ41と軸受部材42とを一体として、ブラケット43の調整長孔47を上位方向へ移動させる。このテンションローラ41の上位方向への移動により、歯付ベルト2はその張力を増強する方向へ押し込まれる。
【0009】このように、図5〜7を含む従来のテンション装置にあっては、プーリ軸を所定方向へ押し引きして移動させることにより、ベルトの張力を高めている。そのため、プーリ軸移動構造部の部品点数が多く、装置が複雑化する不具合がある。また、プーリ軸を好適位置まで移動させる際に、ねじ棒の回転操作やボルトの緩締作業を必要とし、しかも一度固定したプーリ軸の再度調整が必要となる場合など、作業は非常に面倒なものとなる。
【0010】特に、図7の従来例の場合、固定金具のブラケット43にローラ取付位置を調整するための長孔47を設けていることから、加工が面倒で長孔47の長さ分だけブラケット43が大型化し、大きな設置スペースを占有する不都合がある。また、調整孔が長孔47であるため、歯付ベルト2を押し付けているテンションローラ41の固定ボルト44による保持力が弱くて緩み易い。そのため、長孔47で移動ずれを生じ易く、歯付ベルト2の張力を一定に保持することが困難である。更に、テンションローラ41を押し上げた状態で固定ボルト44を締め付けて固定しなければならないので、張力の微調整が困難であり、張力作業が極めて非能率的である。
【0011】このように、図5〜7に示されるような従来例は、ベルト張力を自動調整するエアシリンダ方式等のたオートテンショナーは便利であるが、機構が精密かつ複雑となって部品点数も更に増大し、製造コストが高騰し、設置スペースも増大するといった問題がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、物流搬送や動力伝動に用いられる無端ベルトの張力を簡潔な機構と容易な操作によりほぼワンタッチで調整できるテンション装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明のテンション装置は、移動走行する物品搬送用または動力伝動用のベルトの張力を調整するものであって、取付部に対して、中心点から偏心距離hだけずれた位置で1つの固定ボルトによって固定されているローラシャフトを有し、このローラシャフトには中心点から固定ボルトに対向する位置に左右一対の位置調整孔が設けられており、またローラシャフトの外周にベアリングを介して回転可能に支持され、ベルトの一面に接触して摩擦力により回転を付与されるテンションローラを有している。
【0014】
【発明の実施の形態】図1の(a)および(b)は、本実施形態のテンション装置20を示す正面図とそのA−A線側面断面図である。駆動側および受動側よりなるプーリ(図示せず)の軸間には、搬送や動力伝動を目的として走行移動する無端の平ベルトや歯付ベルト等によるベルト30が捲回されている。このプーリ間を回動する無端のベルト30の背面に接触できる好適場所に、ベルト張力を調整するためのテンション装置20が配置されている。
【0015】テンション装置20は、この全体が設置される機器や装置の取付部50において、1本の固定ボルト21を用いて締結固定されるローラシャフト22を有している。ローラシャフト22は、この中心軸C−Cから偏心距離hだけずれた位置で固定ボルト21により固定されるようになっている。また、ローラシャフト22の中心軸C−Cに対して固定ボルト21と対向する位置の左右に、一対の位置調整孔23,23が設けられている。この位置調整孔23は、盲孔による雌ねじ孔または通称バカ孔の素孔のいずれであってもよい。
【0016】また、ローラシャフト22の外周には、玉軸受等によるベアリング24を介してテンションローラ25が回転可能に支持されている。ベアリング24はその両面から止め輪26で位置不変に位置決めされている。
【0017】次に、図1(a),(b)を参照しつつ、図2以下の各図により本実施形態によるテンション装置20の動作および作用について説明する。ベルト30の張力が正常な使用なとき、図1(a)で示す位置でテンションローラ25がベルト30の背面に接触し、ベルト30の矢印方向への回動による走行移動によって、それに接触するテンションローラ25が摩擦力を受けて例えば時計廻り方向に回転する。
【0018】経時的使用により、ベルト30の張力が弱まって弛緩などを生じると、これを元の所要の張力に調整する必要が生じる。その際、図2に示すように、ドライバとか六角レンチ等の適当な工具31を用意する。ローラシャフト22に設けた左右一対の位置調整孔23,23が例えば雌ねじ孔であれば、それらに2個の治具ボルト32,33を適当な深さ迄ねじ込み、ボルト頭部を突出させて螺着させる。また、操作に支障がない程度に固定ボルト21を若干緩めるなどしておく。
【0019】ここ迄の準備を終えると、用意したドライバ工具31のシャフトを、図2に示すように、ローラシャフト22側に螺着させた2個の治具ボルト32,33に対して袈裟掛けに係合する。それから、所要の方向へ例えば時計廻り方向へドライバ工具31を回動操作する。このとき、1個の治具ボルト32がドライバ工具31の力点となり、他の1個の治具ボルト33が作用支点となって、ドライバ工具31の梃子操作により倍力作用が得られる。このドライバ工具31の梃子回動操作によって、ローラシャフト22は固定ボルト21を中心に時計廻り方向へ回動し、元の位置から変位する。ローラシャフト22のこのような回動変位により、つまりそれと一体的にテンションローラ25が同方向へ回動変位する。そうした変位の最大距離は、図1(a),(b)で示したローラシャフト25の中心軸C−Cから固定ボルト21までの偏心距離hである。ローラシャフト22と一体的なテンションローラ25の回動変位で、それまで弛緩したベルト30の張力が高められる。
【0020】また、図2で示されたテンションローラ25の回動変位にベルト張力調整態様に代えて、図3に示されるような態様も可能である。図2のように、左右の位置調整孔23,23に取り付けられた2個の治具ボルト32,33を利用することは共通している。この場合、別に治具棒34が用意され、この治具棒34には2個の治具ボルト32,33に対応するボルト間ピッチで2個のボルト係合孔35,36が穿孔されている。こうした治具棒34を用い、その2個のボルト係合孔35,36に治具ボルト32,33の頭部等を係合させる。それから、治具棒34を図2のドライバ工具31の如くに梃子回動操作する。同様に、ローラシャフト22と一体的なテンションローラ25の回動変位で、それまで弛緩したベルト30の張力が高められる。
【0021】更に、図4に示されるような態様も可能である。この場合、図1(a),(b)で示された位置調整孔23,23が雌ねじ孔ではなく、通称バカ孔の素孔になっている場合である。別に治具棒37が用意され、この治具棒37には2つの素孔による位置調整孔23,23に対応する孔ピッチで2つの突起状エンボス38,39が突設されている。こうした治具棒37を用い、その2つのエンボス38,39を位置調整孔23,23に係合させる。それから、治具棒37を図2のドライバ工具31のごとくに梃子回動操作する。同様に、ローラシャフト22と一体的なテンションローラ25の回動変位で、それまで弛緩したベルト30の張力が高められる。
【0022】なお、本実施の形態のテンション装置20は、駆動側と受動側のプーリ間に平ベルトや歯付ベルトによる無端のベルト30が捲回され、そうしたベルト30の適所に接触可能に配置したものを想定して説明されているが、テンション装置20自体を駆動側プーリまたは受動側プーリとして使用することも可能である。
【0023】
【発明の効果】本発明のテンション装置は、固定部のボルトが緩んで、ベルトの張力が低下しないように、緩み止めのための機構と滑り難くするための機構とを有することを特徴としており、経時使用により弛緩の生じた物品搬送用または動力伝動用のベルトの張力を、非常に簡潔な機構と容易な操作でもってほぼワンタッチで増強調整することができる。
【出願人】 【識別番号】000230249
【氏名又は名称】日本メクトロン株式会社
【出願日】 平成10年(1998)4月15日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 俊夫
【公開番号】 特開平11−303954
【公開日】 平成11年(1999)11月2日
【出願番号】 特願平10−121746