| 【発明の名称】 |
駆動力伝達装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】今永 栄輔
【氏名】岩佐 貞之
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| 【要約】 |
【課題】構造が単純でスピードの変化を容易に可能とする駆動力伝達装置および既存装置に対する後付け改造、補助駆動力の制御が容易な駆動力伝達装置を提供する。
【解決手段】回転する出力軸31と、伝達歯車70に常に噛み合う第1の歯車71及び前記第1の歯車71と同軸一体で径の異なる第2の歯車72を有する変速歯車73と、前記遊動歯車60,61 が駆動歯車50の回転に従って回転方向に移動することにより、2個の遊動歯車の何れか一方61が伝達歯車70と噛み合い、駆動歯車50が逆方向に回転すると、この回転方向に2個の遊動歯車60,61 が移動して変速歯車73の第2の歯車72に遊動歯車の他方60が噛み合う駆動力伝達装置、並びにこれらを後付けに適するケーシングに収納した後付け用ユニット、さらに所要補助駆動力を検出するセンサ類を備え、該センサ出力に基づいて適切な駆動力補助を行う制御を可能にした駆動力伝達装置とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 回転可能な出力軸に取り付けられた伝達歯車と、モータにより回転駆動される駆動歯車と、前記駆動歯車の回転中心を中心として回動する支持バーにより支持されて、前記駆動歯車と常に噛み合って駆動歯車の周囲を移動可能な2個の遊動歯車と、前記出力軸に取り付けられた伝達歯車に常に噛み合う第1の歯車及び前記第1の歯車と同軸一体にして径の異なる第2の歯車を有する変速歯車と、を備え前記遊動歯車が前記駆動歯車の回転に従って回転方向に移動することにより、前記遊動歯車の何れか一方が前記伝達歯車と噛み合い、前記駆動歯車が逆方向に回転すると、この回転方向に前記遊動歯車が移動して前記遊動歯車の他方が前記変速歯車の第2の歯車と噛み合うことを特徴とする駆動力伝達装置。 【請求項2】 前記2個の遊動歯車の何れか一方は、大径歯車と、この大径歯車と同軸一体とされ且つ大径歯車よりも径が小さい小径歯車と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の駆動力伝達装置。 【請求項3】 前記出力軸には、出力軸を人力で回転させるための人力駆動装置を取り付けて出力軸を人力で回転可能としたことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の駆動力伝達装置。 【請求項4】 前記2個の遊動歯車は、駆動歯車の非回転時には、伝達歯車および変速歯車のいずれからも共に離脱し、動力伝達が遮断されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の駆動力伝達装置。 【請求項5】 前記回転可能な出力軸に取り付け可能に構成された伝達歯車を含む前記各要素群が後付け用ユニットとして一体的に構成された駆動力伝達装置であって、該後付け用ユニットとして構成された駆動力伝達を行う既存装置の駆動軸に前記伝達歯車を取り付けると共に、該ユニットを既存装置の適宜支持部に対して装着可能としたことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の駆動力伝達装置。 【請求項6】 前記取り付け対象装置が、自転車であることを特徴とする請求項5に記載の駆動力伝達装置。 【請求項7】 前記自転車のクランク系に生ずる微小歪みに応じて、ペダルに加わる踏力を検出する踏力センサを配設し、該踏力センサによって得られる信号に基づいて、駆動歯車に対する駆動力の制御を行い、モータによる補助駆動量の制御を行うことを特徴とする請求項6に記載の駆動力伝達装置。 【請求項8】 前記センサが導電ゴムであり、該導電ゴムを前記自転車のクランクシャフトに嵌合したベアリングの外周と車体側に固定された固定部との間に配設し、ペダルに加わる押圧力を検出することを特徴とする請求項7に記載の駆動力伝達装置。 【請求項9】 車速センサと、クランクシャフトの回転数を検出するセンサと、該両センサの出力ならびにモータ駆動電流を比較する比較手段と、使用環境に適合する制御条件を記憶する記憶手段と、を備え、前記比較手段の出力と前記記憶手段の出力とを基礎として、モータの制御を行うことを特徴とする請求項5又は6のいずれかに記載の駆動力伝達装置。 【請求項10】 前記取り付け対象装置が、車椅子であることを特徴とする請求項5に記載の駆動力伝達装置。 【請求項11】 前記取り付け対象装置が、小形カートであることを特徴とする請求項5に記載の駆動力伝達装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、ゴルフ場や一般道で用いられる小形カートなどの乗り物を駆動するためや自転車や車椅子などの人力の乗り物の人力を補助して駆動するために有用な駆動力伝達装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、この種の乗り物用の駆動力伝達装置としては、モータの回転速度を変化させることによって乗り物のスピードを変化させるようにしていた。また、従来の人力の乗り物用の駆動力伝達装置としては、人力によって伝達される動力と、モータによって伝達される動力とを利用し、モータによって伝達される駆動力を人力による駆動力の変化に対応して制御するようにしたものが知られていた。この種の駆動力伝達装置を自転車に採用し、ペダルに対する踏力を検出してモータの発生トルクを制御する従来技術は、例えば、特開平2−74491号公報において開示されている。 【0003】 【発明が解決しようする課題】しかしながら、上記した従来の乗り物用の駆動力伝達装置において、乗り物のスピードを変更可能とするためには、モータの回転数を広範囲に変化させるための制御系統が必要となり、構造が複雑になって、製造コストも嵩むといった問題点があった。そこで、請求項1記載の駆動力伝達装置は、上記した従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、構造が簡潔で、製造コストが低く、かつ、スピード制御を容易に可能とすることのできる駆動力伝達装置を提供しようとするものである。 【0004】これに加え、請求項2記載の駆動力伝達装置は、モータの回転をさらに減速した状態で伝達することができ、出力トルクを大きくすることのできる駆動力伝達装置を提供しようとするものである。さらに、請求項3記載の駆動力伝達装置では、モータの回転時においても、モータによる駆動に加えて、人力による駆動も加えることのできる駆動力伝達装置を提供しようとするものである。 【0005】これに加え、請求項4記載の駆動力伝達装置は、必要のないときには駆動歯車をフリーにし、人力による出力軸の駆動を容易とする駆動力伝達装置を提供しようとするものである。 【0006】また、請求項5記載の駆動力伝達装置は、前記回転可能な出力軸に取り付け可能に構成された伝達歯車を含む前記各要素群が後付け用ユニットとして一体的に構成され、自転車等の既存装置に対して装着可能としたことを特徴とするものであり、自転車、小形カートまたは車椅子等に取り付けることにより、簡易構造の補助動力付き装置を提供しようとするものである。 【0007】請求項7記載の駆動力伝達装置は、自転車に適用した際に、クランクシャフトに加わる微小撓み状態に基づいて、踏力を検出する踏力センサを設け、該踏力センサの出力に応じてモータの適正な制御を行うことを特徴とするものであり、さらに請求項9に記載の動力伝達装置は、車速センサおよびクランクシャフトの回転速度センサとを設け、これら両センサの出力と当該時点におけるモータ駆動電流とを比較し、その比較結果に応じて、前記踏力センサを用いることなしにモータの適正制御を行うことを特徴とする補助動力付き装置を提供しようとするものである。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明は、上記した目的を達成するためのものであり、以下にその内容を図面に示した発明の実施の形態の一例を用いて説明する。請求項1記載の駆動力伝達装置は、回転する出力軸31に取り付けられた伝達歯車70と、モータ41により回転駆動される駆動歯車50と、前記駆動歯車50の回転中心を中心として回動する支持バー51により支持されて、前記駆動歯車50と常に噛み合って駆動歯車50の周囲を移動可能な2個の遊動歯車60、61と、前記伝達歯車70に常に噛み合う第1の歯車71及び前記第1の歯車71とは同軸一体で径の異なる第2の歯車72を有する変速歯車73とを、備え、前記支持バー51が前記駆動歯車50の回転に従って回転方向に回動することにより、前記2個の遊動歯車60、61の一方の遊動歯車61が前記伝達歯車70と直接噛み合い、前記駆動歯車50が逆方向に回転すると、この回転方向に前記支持バー51が回動して前記変速歯車73の第2の歯車72に、2個の遊動歯車60、61の内の他方の遊動歯車60が噛み合うことを特徴とする。 【0009】したがって、請求項1記載の駆動力伝達装置によれば、モータ41により駆動歯車50を正の回転方向へ回転すると、遊動歯車60、61は、前記駆動歯車50と常に噛み合いつつ、前記駆動歯車50の回転中心を中心として回動する支持バー51により前記駆動歯車50の周囲を移動可能に形成されているので、回転しながら前記駆動歯車50の周囲を、前記駆動歯車50の回転方向、すなわち前記正の回転方向に移動する。 【0010】そして、前記遊動歯車60、61が回転しながら前記駆動歯車50の正の回転方向に移動すると、遊動歯車の一方である第1遊動歯車60が変速歯車73の第2の歯車72と噛み合い、前記変速歯車73の前記第2の歯車72を介して前記伝達歯車70を回転させ、出力軸31を回転させることができる。また、前記変速歯車73の前記第1の歯車71と前記第2の歯車72とは、その径が異なることから、前記遊動歯車60、61の回転を変速して前記伝達歯車70へ伝達することができる。 【0011】これに対して、前記モータ41により前記駆動歯車50を前記正の回転方向とは逆の回転方向に回転駆動すると、両遊動歯車60、61は回転しながら前記駆動歯車50の周囲を、駆動歯車50が回転している方向に変移する。そして、前記支持バー51が回動しながら前記駆動歯車50の逆の回転方向に移動すると、遊動歯車の一方である第2遊動歯車61が伝達歯車70と噛み合って伝達歯車70を回転させ、出力軸31を回転させることができる。 【0012】したがって、駆動歯車50の回転速度が同じ場合に、遊動歯車61によってのみ駆動歯車50の回転を伝達歯車70に伝える場合と、前記変速歯車73の前記第1の歯車71と前記第2の歯車72とを介して、前記駆動歯車50の回転を前記伝達歯車70に伝える場合とでは、伝達歯車70の回転数が異なるものとなり、モータ41の正回転(時計方向回転)または逆回転(反時計方向回転)により出力軸31の回転速度を切り換えることができる。請求項2記載の駆動力伝達装置は、上記した請求項1記載の特徴点に加え、遊動歯車60、61の一方は、大径歯車91と、この大径歯車91よりも径の小さい小径歯車92とにより構成することを特徴とする。 【0013】したがって、請求項2記載の駆動力伝達装置によれば、モータ41を駆動して支持バー51を回動させて、遊動歯車60、61を変速歯車73との組み合わせにより、モータ41の回転を更に減速して伝達することができる。このため、始動時などの低速で高いトルクが必要な場合でも、大きな電力を消費することなく駆動することができる。 【0014】請求項3記載の駆動力伝達装置は、上記した請求項1又は2記載の特徴点に加え、出力軸には、出力軸を人力で回転させるための人力駆動装置(例えばクランク32を取り付け、モータの回転時においても出力軸を人力で回転可能としたことを特徴とする。したがって、請求項3記載の駆動力伝達装置によれば、モータによる駆動時においても、モータの駆動に加えて、人力による駆動を行うことができる。 【0015】請求項4記載の駆動力伝達装置は、上記した請求項3記載の特徴点に加え、2個の遊動歯車60、61は、駆動歯車50の非回転時には、伝達歯車70や変速歯車73から離れた位置に位置していることを特徴とする。したがって、請求項4記載の駆動力伝達装置によれば、前記駆動歯車50が回転していない状態では、前記2個の遊動歯車60、61は、伝達歯車70や変速歯車73のいずれにも噛み合っていないから、人力により伝達歯車70を駆動する際に、人力に負担を掛けることがない。 【0016】請求項5に記載の駆動力伝達装置は、前記回転可能な出力軸に取り付け可能に構成された伝達歯車70を含む前記各要素群が後付け用ユニットとして一体的に構成された駆動力伝達装置であって、該後付け用ユニットとして構成された駆動力伝達を既存装置の駆動軸および適宜支持部に対して装着可能としたことを特徴とする。このような構成を採用することにより既存の装置、例えば、請求項6、9、10に記載するように自転車、車椅子、小形カート等に取り付けることにより、容易に補助動力付き装置に改造することができる。 【0017】請求項7に記載の駆動力伝達装置は、前記自転車のクランクシャフトまたはフロントギヤ等のクランク系に生ずる微小歪みを検出することにより、ペダルに加わる踏力を検出する踏力センサを配設し、該踏力センサによって得られる信号に基づいて、駆動歯車に対する駆動力の制御を行い、モータによる補助駆動量の制御を可能にしたことを特徴とする。また、請求項8に記載の駆動力伝達装置は、前記センサが導電ゴムであり、該導電ゴムを前記自転車のクランクシャフトに嵌合したベアリングの外周と車体側に固定された固定部との間に配設し、ペダルに加わる押圧力を検出することを特徴とする。このような構成を採用することにより、外部から加えられる人力をセンサにより検出し、この検出結果を加味して駆動力の制御を行うことができるので、利用者に対して適切かつ違和感のない補助駆動が可能となり、適切な装置を提供することができる。 【0018】請求項9に記載の駆動力伝達装置は、車速センサと、クランクシャフトの回転数を検出するセンサと、該両センサの出力ならびにモータ駆動電流を比較する比較手段と、使用環境に適合する制御条件を記憶する記憶手段と、を備え、前記比較手段の出力と前記記憶手段の出力とを基礎として、モータの制御を行うことを特徴とする。 【0019】 【発明の実施の形態】図1〜図14は、本発明の一実施の形態を示すものであり、図1は駆動歯車の非回転時における駆動力伝達装置の側面図、図2は駆動力伝達装置を取り付けた自転車の側面図、図3は図2の要部拡大図、図4は駆動力伝達装置を取り付けた自転車の要部拡大平面図、図5は駆動歯車の第1方向である正回転時における駆動力伝達装置の平面図、図6は駆動歯車の第1方向である正回転時における駆動力伝達装置の側面図、図7は図6のA−A線断面図、図8は駆動歯車の反時計回り(逆回転時)における駆動力伝達装置の側面図、図9は実施の形態の第2の例を示す駆動力伝達装置の側面図、図10は図9のB−B線断面図、図11は駆動力伝達装置の他の取付け状態を示す側面図、図12は踏力センサの構成例を示す要部拡大平面図、図13は車速センサ、クランク回転センサおよびモータ電流センサの取り付け状態を示す側面図、図14は車速センサ、クランク回転センサ等を用いた実施例の制御ブロック図である。 【0020】(自転車)図2中、10は人力の乗り物の代表例としての自転車を示すものであり、この自転車10には、最前部に位置する前輪11と、この前輪11から斜め上方に延び前輪11を回動自在に支持するフロントフォーク12と、このフロントフォーク12の上端に接続され、フロントフォーク12を左右に操舵可能なハンドル13と、このハンドル13とフロントフォーク12との間に設けられ、フロントフォーク12を回動自在に支持するヘッドパイプ14とが設けられている。 【0021】また、前記自転車10には、図2に示すように、前記ヘッドパイプ14の上端から後方に延びた上フレーム15と、前記ヘッドパイプ14の下端に設けられ、前記ヘッドパイプ14と平行に後方に延びた下フレーム16と、前記下フレーム16の後端及び上フレーム15の後端を接続して上方に延びた後フレーム17と、この後フレーム17の上端に接続されたサドル18とが設けられている。 【0022】さらに、前記自転車10には、図2に示すように、後フレーム17の下端に接続されて、ほぼ水平に後方に延びて後端で後輪19を回動自在に支持するチェーンステー20と、このチェーンステー20の後端及び後フレーム17の上部位置に接続された後フォーク21とが設けられている。また、前記自転車10には、図2に示すように、下フレーム16、後フレーム17、並びにチェーンステー20が接続されている位置には、本発明に係る駆動力伝達装置22が設けられ、チェーンステー20には、前記駆動力伝達装置22を駆動するための電力を供給するバッテリー23が固定されている。なお、このバッテリー23を取り付け固定する位置はチェーンステーに限られるものではなく、下フレーム16、後フレーム17、後フォーク21等任意に選定することができる。 【0023】そして、前記駆動力伝達装置22と、後輪19との間には、図2に示すように、前記駆動力伝達装置22と前記後輪19とを接続し、後輪19を回転駆動させるチェーン24が設けられている。前記チェーン24は、図には示さないが、後輪19に設けられた後輪ギヤと接続され、駆動力伝達装置22を作動させ、チェーン24を駆動することにより後輪19を回転させることができ、この結果自転車10を走行させることができる。 【0024】(駆動力伝達装置)前記駆動力伝達装置22は、図3、図4に示すように、側面がカバー体30に覆われ、このカバー体30から側方へ突出した出力軸31が設けられ、この出力軸31の先端には、この出力軸31を人力により回転駆動する人力駆動装置としてのクランク32が設けられ、このクランク32の先端には、人の足によりクランク32を駆動するペダル33が設けられている。また、前記出力軸31は自転車10本体に回動可能に支持されている。したがって、人の足によってペダル33を踏み、クランク32を駆動することで、人力により出力軸31は回転駆動されるものである。 【0025】(駆動歯車等)また、前記駆動力伝達装置22には、図5に示すように、自転車10側に固定された平板状のベース40と、このベース40に固定され正逆回転可能なモータ41と、ベース40に回動可能に軸支され、前記モータ41の回転軸に常時噛み合う第1の調速ギヤ43と、前記第1の調速ギヤ43と常時噛み合う第2の調速ギヤ44と、前記第2の調速ギヤ44と同一軸で第2の調速ギヤ44と一緒に回転するようベース40に軸支された駆動歯車50とが設けられている。 【0026】(遊動歯車)また、前記駆動力伝達装置22には、図1、6、8に示すように、前記駆動歯車50の回転中心に回動可能に支持された平板状の支持バー51と、この支持バー51の両端に軸支され、前記駆動歯車50と常時噛み合って回転する2個の遊動歯車60、61が設けられている。さらに、支持バー51の中間に突起52を設け、この突起52の先端からベース40との間にコイルバネなどの弾性体55を挿入し、弾性体55の張力によって第1遊動歯車60を変速歯車73から離れた位置に、且つ、第2遊動歯車61も伝達歯車70から離れた位置に位置させている。 【0027】そして、前記第1遊動歯車60及び第2遊動歯車61は、図1、6、8に示すように、回動可能な支持バー51にのみ軸支されているので、支持バー51は駆動歯車50に対して回動可能であり、駆動歯車50が回転すると、両遊動歯車60、61は、駆動歯車50と噛み合ったままで回転しながら、回転時の回転抵抗により弾性体55の張力に抗して駆動歯車50の周囲を、駆動歯車50の回転方向へ移動することができる。 【0028】(伝達歯車)また、前記駆動力伝達装置22には、図1、5、6、8に示すように、前記出力軸31に固定され、出力軸31と共に回転する伝達歯車70が設けられている。この伝達歯車70は、図4、5に示すように、下フレーム16を介した反対側に設けられた、前記チェーン24を駆動するフロントギヤ25と、出力軸31を介して接続されている。したがって、伝達歯車70を回転させると、伝達歯車70の回転が出力軸31を介して伝達され、フロントギヤ25が伝達歯車70と同一の方向に回転し、チェーン24を駆動することができる。 【0029】(変速歯車)また、前記駆動力伝達装置22には、図1、5、6、8に示すように、前記伝達歯車70と常時噛み合う位置に設けられた第1の歯車71と、この第1の歯車71と同一の軸心で接続され、第1の歯車71よりも大径に形成されるとともに、前記遊動歯車60、61と噛み合うことができる位置に設けられた第2の歯車72とからなる変速歯車73が設けられている。そして、前記変速歯車73は、図には詳しく説明しないが、前記ベース40に軸支されている。また、変速歯車73の第1の歯車71の直径は、図1に示すように、前記遊動歯車60、61の直径よりも小さく形成されている。 【0030】(制御装置等)また、前記駆動力伝達装置22には、図1、6、8に示すように、伝達歯車70に近接した斜め上方には、伝達歯車70の回転速度を測定し測定結果を出力する速度センサ80がベース40に固定されて設けられ、前記伝達歯車70よりも後輪19方向には、前記速度センサ80で出力された測定結果に基づいて、モータ41の回転開始及び停止並びに回転方向を制御する制御装置81が設けられている。 【0031】前記制御装置81は、伝達歯車70の回転速度が第1基準速度未満である場合には、図1、5において駆動歯車50が時計回りに回転するように、モータ41を正方向に回転させる。また、前記制御装置81は、伝達歯車70の回転速度が第1基準速度以上になると、図1、5において駆動歯車50が反時計回りに回転するように、モータ41を逆方向に回転させる。 【0032】さらに、前記制御装置81は、伝達歯車70の回転速度が第1基準よりもさらに高速な第2基準速度を超えると、モータ41の回転を停止させる。なお、駆動力伝達装置22の上部位置には、モータ41、制御装置81を動作状態又は非動作状態とするためのメインスイッチ90が設けられ、このメインスイッチがオフのときにはモータ41による駆動は遮断される。 【0033】(動作)上記構成を備えた駆動力伝達装置20等の動作について説明する。 (停止時)先ず、自転車10を停止させた状態では、伝達歯車70は回転していないことから、制御手段81は、速度センサ80の測定結果に基づいて、モータ41(図5参照)を回転させない。前記モータ41を回転させないと、2個の遊動歯車60、61は、回転可能な支持バー51の自由端に支持されていることから、図1に示すように、第1遊動歯車60及び第2遊動歯車61は、弾性体55の張力によって、変速歯車73の第2の歯車72と第1遊動歯車60とが離れ、且つ、第2遊動歯車61と伝達歯車70とも離れた位置に位置し、両遊動歯車60、61は駆動歯車50のみと噛合した状態となっている。 【0034】したがって、この状態では、伝達歯車70に対してモータ41による回転力が伝達されることがなく、人力でペダル33に踏力を加えて出力軸31を回転させない限り、自転車10を走行させることはできない。また、ペダル33に踏力を加えたとき、伝達歯車70の回転が駆動歯車50に伝達されることがないために、回転が停止しているモータ41がペダル33の踏力による回転を阻害することもない。 【0035】(始動時)そして、自転車10を走行させるには、人力でペダル33に踏力を加えることによって、クランク32を介して、図1、6において反時計回りに出力軸31を回転させ、フロントギヤ25及びチェーン24を介して後輪19を回転させる。このように、ペダル33に踏力を加えてフロントギヤ25を回転させると、フロントギヤ25と同じ出力軸31に固定されている伝達歯車70も回転を開始する。伝達歯車70が回転を開始すると、制御装置81は、速度センサ80の検出結果に基づいて、駆動歯車50が、図1において時計回りに回転するようにモータ41(図5参照)を回転させる。 【0036】駆動歯車50が時計回りに正回転すると、両遊動歯車60、61は、自転しながら駆動歯車50の回転力で駆動歯車50の回転方向、すなわち時計回り方向へ移動する。変速歯車73の第2の歯車72は、第1遊動歯車60と噛み合う位置に配置されているので、両遊動歯車60、61が時計回り方向へ移動すると、変速歯車73の第2の歯車72と噛み合って、駆動歯車50の回転を伝達歯車70に伝達することになる。 【0037】そして、変速歯車73の第2の歯車72には、図1、4、5に示すように、第2の歯車72よりも直径の小さな第1の歯車71が同一の軸上に固定されているので、第2の歯車72が回転すると、第1の歯車71と同一方向に回転する。また、前記変速歯車73の第1の歯車71は、図7に示すように、伝達歯車70と常時噛み合った状態で回転するように配置されいるので、第1遊動歯車60の回転が第2の歯車72を介して第1の歯車71に伝達され、第1の歯車71の回転によって、伝達歯車70が反時計回りに回転する。 【0038】このように、前記伝達歯車70が反時計回りに回転すると、この伝達歯車70と同軸のフロントギヤ25が同一方向に回転し、チェーン24によって後輪19を回転させる。また、変速歯車73の第1の歯車71は、図1、5、6、8に示すように、第2の歯車72よりも直径が小さく形成され、前記遊動歯車60、61の直径よりも小さく形成されているので、遊動歯車60、61の回転を、減速して伝達歯車70に伝えることができる。 【0039】このため、自転車10が走り出して間もないときや、坂道などで負荷がかかり自転車10の速度が低く、出力軸31を回転させるためには比較的大きなトルクを必要とするときに、モータ41の回転数を変更することなく、低速で高いトルクの回転を伝達歯車70に伝えることができ、人力による踏力を補助するように機能し、自転車10を楽に走行させることができる。 【0040】(中速時)さらに、人力及びモータ41の駆動力により、自転車10の速度がさらに増して、第1基準(例えば時速14km)を超えると、制御装置81は、駆動歯車50が、図1において反時計回りに回転するようにモータ41を回転させる。前記駆動歯車50が反時計回りに回転すると、両遊動歯車60、61は、自転しながら駆動歯車50の回転力で、図1、4、5において、駆動歯車50の回転方向、すなわち反時計回り方向へ移動する。伝達歯車70は、第2遊動歯車61と噛み合う位置に配置されているので、前記遊動歯車60、61が反時計回りに移動すると、図8に示すように、第2遊動歯車61が、伝達歯車70と噛み合うことになり、駆動歯車50の回転を、等速で伝達歯車70に伝達する。 【0041】このため、先に説明した駆動歯車50の回転を減速して伝達歯車70に伝える変速歯車73を介して伝達歯車70を回転させるよりも、伝達歯車70を速く回転させることができる。したがって、自転車10を走行させて、ある程度スピードが乗った状態で、人力に加えて、もう少し自転車10の速度を高めるために、モータ41により出力軸31の駆動を補助する必要がある場合に有効である。 【0042】(高速時)そして、自転車10の速度が増して、第2基準速度以上になると、制御装置81は、モータ41の回転を停止させ、駆動歯車50の回転を停止させる。駆動歯車50の回転が停止すると、弾性体55により第2遊動歯車61は伝達歯車70から離れ、且つ、第1遊動歯車60も変速歯車73と離れているため、駆動歯車50と伝達歯車70との係合は確実に解除される。したがって、この状態では、ペダル33及びクランク32を介した踏力のみで出力軸31を回転することとなる。 【0043】このため、自転車10の速度が第2基準速度(例えば時速24km)に達し、これ以上速度を高めると危険だという状態では、モータ41による伝達歯車70の駆動が中止され、駆動エネルギーの有効利用が可能で、かつ、モータ41の駆動によって危険速度まで加速することがなく、安全な走行が可能となる。また、走行中に、自転車10の乗り手が現状以上の速度を求めない場合には、ペダル33を踏んで出力軸31を回転させることをやめれば、伝達歯車70の回転が止まり、速度センサ80からの測定情報に基づいて、制御装置81は、モータ41の回転を停止させる。 【0044】その結果、駆動歯車50の回転が停止し、遊動歯車60、61が伝達歯車70や変速歯車73から離れて伝達歯車70を回転させないことになる。したがって、モータ41による駆動で速度が増加することがなく、乗り手に違和感を持たせず、かつ、安全な走行が可能となる。そして、ペダル33への踏力を停止し、伝達歯車70の回転を停止させることにより、モータ41による駆動も停止することができる。したがって、ペダル33を踏まない状態を継続すると、各種の抵抗により次第に速度を低下させ、停止するにいたる。 【0045】また、伝達歯車70の回転方向を変えることなく、単に駆動歯車50の回転方向を切り替えるだけで、伝達歯車70の回転速度を変更することができることから、駆動力伝達装置22の構造がシンプルなものとなり、故障も少なく、安いコストで製造することが可能となる。さらに、上記したように、本願発明に係る駆動力伝達装置22は、既存の自転車の構成を損なうことなく、そのまま取り付けることが可能であるため、駆動力伝達装置22を取り付けるための、自転車の新たな設計を行う必要がない。 【0046】このように、この駆動力伝達装置22は、2個の遊動歯車60、61を支持バー51で回動可能に支持し、第1の遊動歯車60を変速歯車73の近くに、また、第2遊動歯車61を伝達歯車70の近くに位置させ、駆動歯車50の非回転時は弾性体55によって両遊動歯車60、61を駆動歯車50のみに噛み合わせた状態としている。したがって、モータ41の回転方向、すなわち駆動歯車50の回転方向を切り換えることにより、第1遊動歯車60の変速歯車73への噛み合わせと、第2遊動歯車61の伝達歯車70への噛み合わせとを迅速に切り換えることができる。 【0047】さらに、第1遊動歯車60が変速歯車73の第2の歯車72と噛み合うとき、あるいは、第2遊動歯車61が伝達歯車70と噛み合うときのいずれにあっても、遊動歯車60、61の移動距離が短く、大きく移動速度は必要としないから、噛み合う際に衝突の反発力で遊動歯車60、61がはじかれたり、伝達歯車70や変速歯車73の第2の歯車72の歯を損傷したりすることがない。 【0048】(実施の形態の他の例)上記した実施の形態の第1の例では、両遊動歯車60、61は、駆動歯車50と常に噛み合う各々が単一の歯車であるとして説明した。しかし、実施の形態の第2の例では、第1遊動歯車60は、図9、10に示すように、前記駆動歯車50と常に噛み合う大径歯車91と、この大径歯車91と同一軸に固定されて一体的に回転するとともに、前記大径歯車91よりも直径の小さな小径歯車92であって変速歯車73の第2の歯車72と噛み合うことができる位置に配置される歯車92とを備えたものであってもよい。 【0049】このように、第1遊動歯車60を大径歯車91と小径歯車92とを組み合わせたものとすることにより、駆動歯車50の回転をさらに減速して、伝達歯車70に伝達することができる。なお、第2遊動歯車61を大径歯車と小径歯車とし、小径歯車を駆動歯車50に噛合させ、大径歯車を伝達歯車70と噛み合わせるようにすることもある。さらに、この弦巻(コイル)バネ等の弾性体55による遊動歯車60、61または支持バー51の保持力は、遊動歯車60、61及び支持バー51の自重をささえることのできる程度で、かつ、駆動歯車50を回転させた際に、遊動歯車60、61が伝達歯車70方向又は変速歯車73の方向へ移動する力よりも低いものであればよい。したがって、駆動歯車50を回転させることにより、遊動歯車60、61を、図11に示すように、伝達歯車70方向又は変速歯車73の方向へ移動可能とすることができる。 【0050】なお、弾性体55は、弦巻バネに限るものでなく、板バネの自由端部を突起52に形成した溝などに挿入し、板バネの自由端部が左右に移動するように板バネの弾性変形による弾力で支持バー51を揺動可能とすることもできる。したがって、駆動歯車50が回転していない状態では、図11に示すように、遊動歯車60、61は、弾性体55により位置が保持され移動しないことから、伝達歯車70又は変速歯車73のいずれにも噛み合わず、人力のみで出力軸31を回転させることとなる。 【0051】そして、モータ41を回転させて、駆動歯車50を反時計回り方向へ回転させると、遊動歯車60、61は反時計回り方向へ移動して伝達歯車70と噛み合って、駆動歯車50の回転を伝達歯車70に等速で伝達することができる。また、モータ41を逆回転させて、駆動歯車50を時計回り方向へ回転させると、遊動歯車60、61は、先の場合とは逆に、時計回り方向へ移動し、変速歯車73を介して、駆動歯車50の回転を伝達歯車70に減速した状態で伝達することができる。なお、上記した実施の形態の例では、前記駆動力伝達装置22を駆動するための電力を供給するバッテリー23は、チェーンステー20に固定されていると説明したが、バッテリー23を固定するのは、チェーンステー20に限られない。 【0052】バッテリー23は、図2の仮想線で示すように、下フレーム16や後フレーム17に固定してもよい。したがって、本願発明の駆動力伝達装置22を、ケーシングまたはカバー内に収めた、いわゆる後付け用ユニットとして構成し、このユニットを既存の自転車に対して容易に取り付けることができる。この際、バッテリー23の固定位置を調整することで、駆動力伝達装置22を取り付けていない既存の自転車の重心位置を変更せずに、駆動力伝達装置22を取り付けることもでき、乗り手に対し違和感を与えることもない。 【0053】本発明の駆動力伝達装置22を後付け用ユニットとして構成するには、伝達歯車70を、装着しようとする既存装置の出力軸31に適合するように構成すること、ならびに駆動力伝達装置22全体をケーシングまたはカバー内に収納すると共に既存装置に対して機能的および強度的に支障がないように支持する手段を付加すること、が重要となる。例えば、既存の自転車に適用し、補助動力付き自転車に改造するための後付け用ユニットとして構成するには、伝達歯車70を自転車のクランク軸(出力軸31)に取り付け可能に構成し、さらにモータ41をはじめ各歯車機構を収納するケーシング全体を、下フレーム16、後フレーム17の交差部(図3のA部)やチェーンステー20(図3のB部)に対して取り付ける支持部材、ねじやフックその他の金具類のような周知部材を付加することによって対応することができる。この場合、出力軸31はやや長めの物が必要となるため、出力軸31を後付け用ユニット側に用意しておき、既存装置の出力軸31ごと交換するように構成すると都合がよい。 【0054】また、上記した実施の形態の例では、制御装置81は、伝達歯車70の回転速度を検出する速度センサ80の測定結果にもとづいて、モータ41の始動及び回転方向を決定している。しかしながら、モータ41の始動及び回転方向を決定する要因は、上記の例に限られず、例えばチェーン24に張力センサを設け、チェーン24の張力が一定基準を越えた状態が所定時間継続したことを条件に、制御装置81は、モータ41の始動時期あるいは回転方向を変更するように制御することができる。 【0055】さらに、実際の自転車の走行においては、既述のような始動、低速、中速等のみでは決められない制御が必要となる。すなわち、低速と中速との間を、歯車機構により一段で切り換えるのみでは滑らかな乗り心地を達成することはできない。始動から中速を越える速度に至り、モータ41による補助駆動を滑らかにするためには、ペダル33による押圧力を適切に検出し、モータ41への供給電力をきめ細かく制御する必要がある。 【0056】そのためペダル33の踏力を検出する踏力センサを設け、この踏力が一定基準を越えた状態が所定時間継続したことを条件に、モータ41の始動あるいは回転方向を変更し、さらにはモータ41の駆動力をも制御することにより、伝達歯車70に対する補助駆動量を適宜変更することができる。 【0057】このようなペダル33の踏力の検出方法としては、クランク32に歪みゲージを利用するものがある。また、チェーン24に補助ギヤを接触させ、ペダル33の踏力の増加に伴いチェーン24の張力が増し、これにより該補助ギヤが変位することを光学的、電気的、あるいは磁気的方法により検出することも行われている。また、クランクギヤを二重構造としクランク側とチェーン駆動ギヤ側とをバネにて繋止し、踏力の増加により該バネが伸長することを検出する方法も行われている。 【0058】これに対して本発明においては、ペダル33にかかる踏力の増加に伴ってチェーン24の張力が増すことにより、フロントギヤ25やクランクシャフト31に微小ながら歪みが生じる。かかる事実に着目し、図12に示すようにクランクシャフト31の変位を適宜センサ、例えば歪みゲージ等で検出すればよい。このような踏力センサ94A、94Bは、例えば導電ゴムを、クランクシャフト31に嵌合したベアリングの外周と車体側に固定された固定部との間に挟み込み、クランクシャフト31の変位を該導電ゴムの電気抵抗の変化として検出し、ペダル33の踏力の検出を行うものである。 【0059】なお、ここで採用するセンサとしては導電ゴム式に限られず、セラミック振動子の外力に対する共振周波数の変化の利用、ストレインゲージのように外力に対する電気抵抗の変化の利用など、外力の変化を電気的出力の変化として導出できるものであればいずれでも採用可能である。 【0060】このようにして検出されたペダル33への押圧力を表す信号を加味してモータ41の駆動状態を制御することにより、低速または中速等の走行速度、したがって車輪の回転数のみでは決まらない、乗り心地、運転効率共に優れた適切な運用が可能となる。 【0061】本発明にかかる駆動力伝達装置を人力走行装置の補助動力として利用する場合に、前述のような踏力センサを使用する方式があるが、このような踏力センサは理論上はともかく、実際には、極めて微小な信号出力であることから、取り付け位置の選定、取り付け手段および信号取り出し・処理手段が難しい等の問題が生じることも否定できない。そこで、その他の信号、例えば、車速センサと、人力による入力部の回転数、例えば自転車の場合のクランク回転数センサとの両出力を使用し、さらに当該時点におけるモータ電流の値を考慮しつつ行うことにより、最適な補助駆動力の制御を行うことができる。 【0062】図13は駆動力伝達装置を典型的な人力走行装置である自転車の補助動力として適用する場合における各種センサを自転車10に取り付ける実施の形態を示すものである。車速センサ97A〜97Dは、自転車の走行速度を表す信号を適切に検出するもので、使用環境、信号種別、経済性等を考慮して適宜選定することが望ましい。第1の車速センサ97Aは、超音波センサや光電センサ等を用いて地表に向けて超音波を放射し、受信反射波のドップラー効果から車速を検出しようとするものである。センサ価格が高価である上、操作電源を必要とする。 【0063】図13における第2の車速センサ97Bは、車輪、ここでは前輪のハブ内に組み込まれた発電機またはパルス発生器であり、車輪回転数から車速を検出するものである。車輪のスリップを除き、正確に車速を検出することができる。なお、取り付けハブは後輪であってもよい。 【0064】第3の車速センサ97Cは、車輪のスポークの本数を光電的または磁気的に計数し、これより車輪回転数、したがって車速を検出するものである。また、第4の車速センサ97Dは、車輪のリムに付されたマークの移動速度から車輪回転数を割り出し、車速の検出を行うものである。これら第3および第4の車速センサ97Cおよび97Dは、センサ本体が固定部に取り付けられるため、信号取り出しが容易である利点がある。なお、いずれのセンサであっても、信号種別はアナログ、ディジタルいずれの形態とすることもできる。 【0065】人力による入力部の回転数、ここではクランクシャフトの回転数は、クランク回転数センサ98によって検出される。また、当該時点におけるモータ41の駆動状態は、モータ電流センサ99によって検出される。 【0066】図14は、これら各センサを使用した実施の形態の制御ブロック図を示すものである。このような制御回路95は、比較部1、記憶部2、演算部3、駆動部4を備えている。比較部1は、車速センサ97A〜97Dのいずれかとクランク回転センサ98との出力を比較し、さらにモータ電流センサ99の出力を勘案して対応する出力を発生する。 【0067】記憶部2は、適用装置、ここでは自転車の運転状況に応じてモータ41を最適駆動するために必要なデータを記憶せしめておくものである。このデータには、上り坂、下り坂、平坦路における加速、制動に伴う減速等に適合するデータを記憶しておく。このような記憶データと、前述の比較部1の出力から得られる信号とを演算部3において演算し、その演算結果に基づいて駆動部4によってモータ41の駆動・制御を行うものである。 【0068】なお、上記の駆動力伝達装置22の使用例では、人力の乗り物として二輪の自転車10に取り付けられた駆動力伝達装置を例に説明したが、人力の乗り物は、人力によって移動する乗り物であれば、上記の自転車に限られず、例えば車椅子や小形カートであってもよく、車椅子に上記の駆動力伝達装置22を取り付ければ上記の効果を奏することができる。 【0069】次に、他の使用例について、図15〜図17を用いて説明する。図15は電動カートの第1の例を示した概略側面図、図16は電動カートの第2の例を示した概略側面図、図17は図15に示す電動カートに取り付けた駆動力伝達装置22の側面図を各々示す。実施の形態の第4の例は、下記に説明するように、本発明に係る駆動力伝達装置22を、電動カートに取り付けた点で、上記実施の形態の第1〜3の例とは異なる。 【0070】なお、図15〜図17中、前記使用例と同一の部材については、上記の実施の形態と同一の符号を付して、その説明を省略する。図15および図16中、100は、ゴルフ場でゴルファーが利用したり、一般道で体の不自由な人や高齢者が利用したり、あるいは荷物を運搬するために用いられる電動カートである。 【0071】(電動カート)この電動カート100は、図15に示すように、前側に位置する前輪101と、後ろ側に位置する後輪102と、前記前輪101と前記後輪102との間に設けられた乗車ステップ103と、前記前輪101から斜め上方に立ち上がって前輪101を操舵する操舵ハンドル104と、前記後輪102の上方に設けられ、荷物を積み込むための荷物ボックス105とを備えている。 【0072】前記操舵ハンドル104は、図15に示すように、乗員の乗車時には、後輪102側に傾斜して、乗員による操舵を可能とすると共に、乗員の非乗車時には、図16に示すように、反後輪側102に傾斜して非乗車時の人手による操舵を可能とするものである。前記後輪102には、図17に示すように、後輪102の回転中心に出力軸が設けられている。 【0073】なお、図には詳しく説明しないが、電動カート100には、モータ41の回転を開始させる始動スイッチが設けられている。また、電動カート100は、図16に示すように、荷物ボックス105に荷物を載せて、手で押すようにあるいは電動カート100に人が掴まりながら移動することができるように構成することができる。なお、この場合には、乗車ステップ103に乗員が乗車して移動するものより、モータ41の回転数を低く設定したり、あるいは、モータ41の回転を減速して駆動歯車50に伝達する減速機構を必要とする。 【0074】(動作)次に、上記実施の形態の第4の例の動作について、図15及び図17を用いて説明する。 (始動時)まず、図15に示すように、乗車ステップ103に乗員が乗車した状態の電動カート100を走行させるには、乗車した乗員が始動スイッチを操作する。乗員によって始動スイッチが操作されると、制御装置81は、駆動歯車50が時計回りに回転するように、モータ41の回転方向を制御してモータ41を回転させる。駆動歯車50が時計回りに回転すると、前記した実施の形態と同様に、遊動歯車60、61は、時計回りに回転しながら変速歯車73方向に移動して、第1遊動歯車60が変速歯車73の第2の歯車72と噛み合う。 【0075】変速歯車73の第1の歯車71は、常時伝達歯車70と噛み合っており、第2の歯車72よりも直径が小さく形成されているので、遊動歯車60、61の回転を減速して伝達歯車に伝えることができる。したがって、モータ41の回転を減速して伝達歯車70に伝えて出力軸31を回転させることができるので、電力の使用量を増大させることなく、大きな駆動トルクを発生させることができる。このため、始動時などの大きな駆動トルクを必要とする際に有効である。 【0076】(走行時)そして、電動カート100が移動を開始して、ある程度の速度に達すると、駆動歯車50が反時計回りに回転するように、制御装置81は、モータ41の回転を逆転させる。駆動歯車50が反時計回りに回転すると、両遊動歯車60、61は、前記した実施の形態と同様に、変速歯車73から離れて、時計回りに回転しながら反時計回りに移動し、第2遊動歯車61が伝達歯車70と直接噛み合う状態となる。 【0077】したがって、変速歯車73を介して伝達歯車70を回転させるよりも減速比を高く設定することができるので、ある程度の速度に達した後に電動カート100を走行させるのに有効である。なお、使用例としては、自転車やカートのような乗り物に限るものでなく、手でクランクなどを回転させる機器に補助動力として取り付けることもある。 【0078】 【発明の効果】本発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。請求項1記載の駆動力伝達装置によれば、構造がシンプルで、製造コストが低く、かつ乗り物などのスピードを変化させることのできる駆動力伝達装置を提供することができる。 【0079】さらに、請求項2記載の駆動力伝達装置によれば、モータの回転をさらに減速した状態で伝達することができ、トルクが強い駆動力伝達装置を提供することができる。さらに、請求項3記載の駆動力伝達装置によれば、モータの回転時においても、モータによる駆動に加えて、人力による駆動も加えることのできる駆動力伝達装置を提供することができる。 【0080】従って、自転車やカートの如き人力によって走行させる乗り物の補助動力に適するものである。これに加え、請求項4記載の駆動力伝達装置によれば、必要のないときには駆動歯車をフリーにして、人力に負担を掛けない乗り物用などの駆動力伝達装置を提供することができる。 【0081】また、請求項5乃至6に記載するような自転車に対する後付け用ユニットとして構成された駆動力伝達装置においては、通常の足踏み式自転車に対して容易に取り付けが可能となり、補助動力付き自転車に改造することができる。なお、この装置は車椅子、小形カートに対しても取り付けが可能である。 【0082】このような駆動力伝達装置において、請求項7乃至9に記載するように外部から加えられる人力をセンサにより検出し、この検出結果を加味して駆動力の制御を行うことができる。したがって、利用者に対して適切かつ違和感のない補助駆動が可能となり、適切な装置を得ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】598129288 【氏名又は名称】株式会社リンクアップ
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)3月9日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】川浪 薫
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| 【公開番号】 |
特開平11−303953 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)11月2日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−73046 |
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