| 【発明の名称】 |
送りねじ |
| 【発明者】 |
【氏名】篠原 種宏
【氏名】川口 昭博
【氏名】小沢 豊
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| 【要約】 |
【課題】高荷重でも摩擦係数を小さくできる送りねじを提供する。
【解決手段】送りねじは、ねじ軸1、ナット2及び直線案内面13で構成されており、ねじ軸1とナット2との間には、潤滑油が供給されている。ねじ山の頂面4には、ねじ山に沿って所定の等ピッチで孔3が設けられている。孔3付近では、剛性が低下し、たわみ量が大きくなるので、荷重が作用したときに、ねじ歯面に周方向に周期的なへこみ変形が生じ、周方向にうねり(波打ち)を形成するようになる。このうねりのため、ねじ軸1とナット2との対向する2つの面に相対的な運動がある場合には、摺動方向にくさび油膜6を形成する領域に、油膜圧力Fが発生して、負荷能力W’が生じる。この負荷能力W’により、2つの面は油膜6を介して支えられる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 作用する荷重によるねじ歯面の変形が、周方向にうねりを形成するようにしたことを特徴とする送りねじ。 【請求項2】 歯面が周方向にうねりを形成するように、歯の厚み方向の剛性を周期的に変化させるために、剛性調整用の孔を設けたことを特徴とする送りねじ。 【請求項3】 荷重作用下での歯面のくぼみ変形でできたくさび油膜と2面の相対運動により発生する流体圧力で荷重を支えることができるようにし、該2つの面のメタルコンタクトを回避するようにしたことを特徴とする送りねじ。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、直線移動機構として、工作機械、荷役機械、延圧機、アクチュエータ等に使用されている送りねじに関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来の送りねじの構造を、図8に断面図で示す。送りねじは、ねじ軸11、ナット12及び直線案内面13で構成されている。ねじ軸11の回転運動を直動変位に変換する機構であり、ねじ軸11の回転方向に応じて、直線案内面13で回転を拘束されたナット12は、例えば上下方向に直線運動することができる。送りねじは、構造が簡易で、比較的安価な「回転−直線変換機構」であるので、工作機械をはじめ、プレス、荷役機械、圧延機、弁、アクチュエータ等の多くの機械類に使用されている。送りねじは、同図に示すように、従来よりねじ山の断面が略台形形状のものが多く用いられており、なめらかに正確に作動させるために、ねじのピッチ、ねじ面の面粗度等は、所定の範囲内に加工されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】荷重が小さくて、ねじの受圧面にかかる面圧が小さい場合には、さほど問題はないが、例えば圧延機の圧下ねじ、あるいは大荷重揚重アクチュエータ等の大きな荷重が作用する場合には、ねじの受圧面が非常に過酷な状態で使用されることになるため、以下のような問題があった。 (1) ねじの面はすべり方向に長い面が摺動するため、ねじ軸11側とナット12側の2つの面を全面において均一にぴったりと当てるように工作することは非常に難しいので、当たりのきつい個所の摩耗が大きくなり、耐久性がない。 (2) 長い面にわたって潤滑油を供給することが難しいため、2つの面が部分的には油切れを生じて、いわゆるメタルコンタクト状態となるために、摩擦係数が大きくなってしまう。 (3) 高面圧条件では、互いの面がメタルコンタクト状態で摺動している部分があり、2つの面が焼付きに至らないようにするためには、ねじの設計面圧を300kgf/cm2 以上とすることができなくなってしまう。 本発明は、かかる状況に鑑みてなされたものであり、高荷重でも摩擦係数を小さくすることができる送りねじを提供することを目的とする。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、作用する荷重によるねじ歯面の変形が、周方向にうねりを形成するようにした。また、歯面が周方向にうねりを形成するように、歯の厚み方向の剛性を周期的に変化させるために、剛性調整用の孔を設けても良い。このように構成することにより、容易にうねりを形成できるようになる。また、荷重作用下での歯面のくぼみ変形でできたくさび油膜と2面の相対運動により発生する流体圧力で荷重を支えることができるようにし、該2つの面のメタルコンタクトを回避するようにしても良い。 【0005】 【発明の実施の形態】次に、本発明に係る送りねじの実施の形態について図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る送りねじの構造を表した断面図であり、図2は、図1中の線II−IIによる断面図である。図1に示すように、送りねじは、ねじ軸1、ナット2及び直線案内面13で構成されており、ねじ軸1とナット2との間には、潤滑油(グリース又は油)が供給されている。ねじ軸1は、ねじ山が断面略台形形状である。ねじ軸1の歯形には、外周側から周方向に等ピッチで、孔3があけられている。すなわち、ねじ山の頂面4には、ねじ山に沿って所定の等ピッチで孔3が設けられている。孔3の断面形状は、図2に示すとおりであり、孔3は、ねじ山の根元付近まで達している。また、孔3は、受圧面5(ねじ山の頂と谷底とをつなぐフランク)と平行となるように、設けられている。受圧面5は、一般的に3度乃至10度程度傾斜しており、したがって、孔3も同程度傾斜している。 【0006】この孔3により、ねじ軸1の周方向の歯厚が変化して、その剛性も変化する。すなわち、孔3があけられた付近では、他の部分よりも剛性が低下し、荷重Wによるたわみ量が大きくなる。すなわち、孔3は、剛性を調整するためのものである。したがって、ねじ歯面(ねじ山)に荷重が作用したときに、ねじ歯面に周方向に周期的なへこみ変形が生じ、周方向にうねり(波打ち)を形成するようになる。歯に孔をあけることで、ねじ軸1の周方向の歯厚を変化させ、ねじ面の変化により、周方向に所定のうねり(波打ち)を形成するようにしている。このとき、上述したように、孔3は受圧面5と平行に加工しているので、作用する面圧Pによって受圧面5に生じるうねりを、ねじれ山の頂面4(歯先)側とねじ山の根元(歯元)側とで同量とすることが可能となる。なお、本実施形態では、孔3のピッチが、隣り合う孔同士のなす中心角が120度となるようにしてあるが、送りねじの使用条件等を考慮して決定すれば良く、これ以外の例えば、60度や30度などのピッチが短くすることは、適宜行うことができる。 【0007】次に、うねりによる油膜6の作用について、図3により説明する。図3は、ナット2が静止状態で、ねじ軸1が矢印3Aの方向に相対的に滑っているときの油膜圧力Fの変化の状態を示す図面である。両者の対向面においては、ねじ軸1側は凸面であり、ナット2側は平坦面であり、その2面間には、油膜6が形成されている。ナット2の平坦面上の任意の一点においては、ねじ軸1の相対移動により、2面間の距離sが小さくなり(図中ab間)、凸面の先端部bが通過した後は、2面間の距離sは大きくなっていく(図中bc間)。すなわち、2面間に、くさび形状油膜が形成されると(ab間、くさび領域)、図3に示すように、油膜圧力Fが発生し、逆に、ひろがり形状油膜の領域(bc間)では、その圧力がたたない。そして、油膜圧力Fが最大となる位置は、くさび形状に依存するが、くさび形状の途中で生じる。なお、凸面の先端部bを通過すると、図3に示すように、厳密には多少負圧になる(破線参照)。 【0008】1つのうねりでは、上述のような作用があるので、らせん状のねじ面1周分では、図4及び図5に示すような作用となる。図4は、らせん状のねじ面を1周分だけ展開した図であり、図5は、ナット2が静止状態で、ねじ軸1が矢印5Aの方向に相対的に滑っているときの油膜圧力Fの変化の状態を示す図面である。荷重W、受圧面積Aの場合において、ねじの歯面に面圧P(P=W/A)が作用した場合には、歯面は、孔3のある領域ではへこみが大きくなるため、図4に示すように、歯の表面は、実線4Aから破線4Bに変化し、孔3のピッチに対応したうねりが生じる。なお、油膜厚さhは、おおよそ5乃至20μm(ミクロン)であるので、うねりは、同程度である必要がある。このうねりのため、2つの面に相対的な運動がある場合には、図5に示すように、摺動方向にくさび油膜6を形成する領域には、油膜圧力Fが発生し、そのときの油膜厚さhと回転による周速U及び潤滑油の粘度μに依存した負荷能力W’を発生し、この負荷能力W’により、2つの面は油膜6を介して支えられる(動圧流体潤滑)。 【0009】図6に、本実施形態の場合の送りねじの特性を、従来の場合と比較して表してある。図6の横軸(X軸)は軸受特性数(μU/P)、縦軸(Y軸)は摩擦係数(f)である。従来の場合は実線6Aで、本実施形態の場合は破線6Bでそれぞれ表してある。なお、本実施形態の場合の値は実験によるものである。両者とも、下に凸の放物線であり、軸受特性数を減少させていく場合に、油膜6が存在すれば、それに伴って摩擦係数も減少していくが(流体潤滑領域)、一定の値X’となると、油膜6が薄くなりすぎて、摺動面の表面の山谷どうしの接触を生じ、逆に摩擦係数は増大する傾向になる。軸受特性数は、面圧P、速度U及び油の粘度μで定まり、摺動条件を示しており、軸受特性数が小さくなると、摺動条件が厳しくなっていくことになる。すなわち、摺動条件は、面圧Pが増加したり、速度Uが減少したり、油の粘度μが小さくなったりすると、厳しくなる。横軸において座標原点Oに近づくほど、摺動条件が厳しくなっていき、縦軸において座標原点Oに近づくほど、摩擦係数が小さくなっていくので、送りねじの特性が良いといえるのは、X−Y座標上における曲線が座標原点Oにより近づく場合である。言い換えると、点X’をできるだけ左側(図6中)にシフトするために、油膜形成を助長すると、送りねじ特性が向上する。 【0010】同図から明らかなように、従来の場合では、点X2を境界にして、摩擦係数の変化方向が減少から増加に変わるが、本実施形態の場合では、その境界が、点X1(X1<X2)となり、条件が厳しくなっても、油膜6が保持され、流体潤滑領域が拡大している。すなわち、高荷重の厳しい条件でも摩擦係数が小さい。具体的には、点X1における摩擦係数は、従来の場合の点Y2では、0.1乃至0.2程度であるが、本実施形態の場合の点Y1では、0.02程度であり、高荷重の場合でも、摩擦係数は極めて低い。したがって、本実施形態の場合には、高荷重でも、メタルコンタクト、すなわち潤滑面の油膜が薄くなって油膜を通して局部的に金属接触点が生じる事態が回避される。 【0011】よって、本実施形態では、以下のような効果を有する。 (1) 高荷重作用時においても、ねじ面は流体膜を介して摺動するので、摩擦係数は、0.02乃至0.03レベルに低減でき、従来の部分的には2つのメタルコンタクトを生じた状態(境界潤滑域)で作動する従来の送りねじの摩擦係数0.1乃至0.2の1/10レベルであり、スムーズな動きが可能になるとともに、動力が大幅に低減できる。 (2) 流体潤滑域での作動が可能となり、歯面の面あれもなく、摩擦も生じないので、ねじの寿命が大幅に延びる。 (3) 従来の設計限界を超えた高面圧設計が可能となり、コンパクトな高面圧の送りねじの製作が可能となる。 【0012】なお、孔3の形状は、丸孔に限られず、歯面のうねり変形が所定の凹凸となるようにすれば、これ以外の例えば、長孔、矩形孔などの形状を採用することも可能である。また、孔3のサイズや深さについても、歯面のうねり変形が所定の凹凸となるように決めれば良い。また、うねり変形となるように歯形の孔をあけずに、図7に示すように、歯に、例えば円形カッター等によって周期的に切込み7を入れるような他の加工をしても良い。さらに、ねじの加工のときに、周方向にミクロンオーダ、例えば5乃至20μm(ミクロン)程度のうねりをつけながら切削または研磨しても良い。また、本実施形態では、ねじ軸1に剛性調整用の孔3を設けているが、ナット2側に同様の孔3を設けても良い。また、本実施形態では、ねじ軸1が台形ねじであるが、のこ歯ねじ、四角ねじ、修正角ねじにも応用することは可能である。 【0013】 【発明の効果】本発明によれば、周方向にうねりを形成するようにしたので、相対的な運動により、摺動方向にくさび油膜6が形成され、その領域には、油膜圧力Fが発生して、負荷能力W’が生じる。よって、この負荷能力W’により、2つの面は油膜6を介して支えられるので、高荷重でも摩擦係数を小さくすることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006208 【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)2月10日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】奥山 尚男 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−230297 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)8月27日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−27911 |
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