| 【発明の名称】 |
液圧テンショナ |
| 【発明者】 |
【氏名】デビッド・ピー・アンダーソン
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| 【要約】 |
【課題】キャビテーションの発生を抑制する。
【解決手段】チャンバ22を画成する孔23が形成されたハウジング20と、孔23内にスライド可能に受け入れられたピストン40と、ピストン40を孔23から突出する方向に付勢するスプリング60と、ハウジング20内に設けられ、チャンバ22を加圧流体源に連絡するための流路24と、チャンバ22および加圧流体源間の流路に設けられ、チャンバ22内への流体の流れを許容しかつ逆方向の流体の流れを阻止するチェックバルブ100とを設ける。この場合に、チェックバルブ100がシート4および移動可能なバルブ部材を有し、前記バルブ部材がバルブ閉塞部材としてのディスク1およびステム5から構成されるとともに、ステム5がピストン40に連結され、ピストン40の移動に連係して移動するようになっている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 流体チャンバを画成する孔が形成されたハウジングと、上端部を有し、前記孔内にスライド可能に受け入れられた中空ピストンと、前記ピストンを前記孔から突出する方向に付勢する第1のスプリングと、前記ハウジング内に設けられ、前記チャンバを前記加圧流体源に連絡するための流路と、前記チャンバおよび加圧流体源間の流路に設けられ、前記チャンバ内への流体の流れを許容しかつ逆方向の流体の流れを阻止するチェックバルブとを備え、前記チェックバルブがシートおよび移動可能なバルブ部材を有し、前記バルブ部材がバルブ閉塞部材およびステムから形成されるとともに、前記ステムが前記ピストンに連結され、前記ピストンの移動に連係して移動するようになっている、ことを特徴とする液圧テンショナ。 【請求項2】 請求項1記載の液圧テンショナにおいて、前記バルブ閉塞部材がディスクである、ことを特徴とする液圧テンショナ。 【請求項3】 請求項2記載の液圧テンショナにおいて、前記ディスクが半円状をしている、ことを特徴とする液圧テンショナ。 【請求項4】 請求項3記載の液圧テンショナにおいて、前記ディスクが前記チェックバルブシート側に付勢されている、ことを特徴とする液圧テンショナ。 【請求項5】 請求項4記載の液圧テンショナにおいて、前記ディスクおよびステム間の連結がボールおよび受け部間の連結を含み、このボールおよび受け部間の連結が前記ステムの逆側に配置されている、ことを特徴とする液圧テンショナ。 【請求項6】 請求項1記載の液圧テンショナにおいて、前記バルブ閉塞部材がボールである、ことを特徴とする液圧テンショナ。 【請求項7】 請求項1記載の液圧テンショナにおいて、前記チェックバルブが、前記チャンバ側に下方に延びかつ前記ステムに連結されたスリーブを有し、前記ピストンの上端部と前記スプリングとの間に配置されたアンカー部材と、前記スリーブおよびステム間に配置されたスリップ機構と、前記バルブ閉塞部材を覆うとともに、前記バルブ閉塞部材の上方への移動を制限する移動制限部材とをさらに備えた、ことを特徴とする液圧テンショナ。 【請求項8】 請求項7記載の液圧テンショナにおいて、前記スリップ機構が、前記スリーブから内方に折り曲げられた中子部材である、ことを特徴とする液圧テンショナ。 【請求項9】 請求項8記載の液圧テンショナにおいて、前記中子部材が前記スリーブと一体に形成されている、ことを特徴とする液圧テンショナ。 【請求項10】 請求項7記載の液圧テンショナにおいて、前記ステムが可撓性ワイヤで構成されており、前記可撓性ワイヤに連結されかつ前記アンカー部材内部に収容されたスプリングピンと、前記スプリングピンを前記ワイヤに固定しかつ前記ワイヤを前記バルブ閉塞部材に固定する複数の固定部とをさらに備えた、ことを特徴とする液圧テンショナ。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、液圧テンショナに関し、詳細には、ピストンの位置によって駆動されるチェックバルブ組立体を備えた液圧テンショナに関する。 【0002】 【従来の技術およびその課題】発明の背景液圧テンショナは、一般に、自動車用タイミングシステムにおけるチェーン駆動システムの制御装置として用いられている。チェーンの緊張力は、温度の幅広い変化やエンジンの種々の部品間の熱膨張により、大きく変化し得る。また、長期間の使用中におけるチェーン構成部品の摩耗がチェーンの緊張力を低下させる。液圧テンショナは、エンジンタイミングシステム内においてカムシャフトをクランクシャフトに連結するチェーンやベルトの弛みを用いられている。 【0003】典型的な液圧テンショナは、孔を有するハウジングと、孔によって画成される流体チャンバと、スプリングによって孔から突出する方向に付勢された中空ピストンとから構成されている。また液圧テンショナには、加圧作動流体源から流体チャンバ内への流体の流れを許容する一方、逆方向への流体の流れを阻止するためのチェックバルブも含まれている。ピストンに対するチェーンからの内方への力は、流体およびスプリングによる外方への抗力と釣り合っている。 【0004】チェックバルブ組立体は、チャンバ内への迅速かつ速やかな流体の流れを許容しかつ逆方向の流体の流れを制限しまたは阻止するように最適に設計されている。流れの変化に対するバルブの応答性は、ボールまたはディスクの質量、オリフィスの大きさ、チェックバルブスプリングの予荷重およびスプリング力によって、制約を受ける。 【0005】エンジン始動時には、ピストンスプリングがピストンを外方に移動させてチャンバ内に負圧状態が作りだされ、これにより、チェックバルブが開いてチャンバ内に流体が流入する。 【0006】油温が通常運転状態における高温レベルに達するまでは、オイルの粘性は高く、チェックバルブを通る流体の流れは遅い。このような状態下では、オイルは、ピストンの上昇によるチャンバの膨張に適合するほど速くチャンバ内に流入することができない。このため、チャンバは、チェーンを適切に減衰させるほど十分なオイルを含んではいない。このようにチャンバ内に十分なオイルがない低圧状態は、キャビテーションとして知られており、テンショナおよびチェーンの双方に損傷を与え得る。 【0007】カワシマらによる米国特許第 4,940,447号では、平坦なチェックプレートを有するピストンの下方に取り付けられたリテーナを用いることによって、キャビテーションの問題に取り組んでいる。プレートは、チャンバ内への流路を開閉する二つの位置の間を移動可能になっている。ピストン内の流路は、該流路を通ってチャンバ内に大量のオイルが流入できるように、チェックプレートの最小のストロークで大きく開くことができるようになっている。このように、平坦なチェックプレートバルブの迅速な応答性によって、キャビテーションが最小限に抑えられている。 【0008】一方、本発明では、種々の実施態様において、チェックバルブ組立体が以下の問題に取り組んでいる。すなわち、(i) ボールチェックバルブに関連するキャビテーションの問題 (ii)フラット・ディスク型チェックバルブに関連する傾きの問題 (iii) ディスク型チェックバルブに関連する同心度の問題である。 【0009】本発明の一実施態様に示すようなディスクを有するチェックバルブ組立体は、フラット・ディスクに通常生じる面状の接触ではなく、線状にチェックバルブシートと接触する。線状の接触およびこれに関連する曲率は、ディスクおよびシート間において制限の少ない流路を許容する。 【0010】一般に、チェックバルブの性能は、バルブ可動部材の質量、バルブ開放時のオリフィスの大きさ、スプリングの予荷重およびスプリング力によって制約を受ける。本発明によるバルブの吸入オリフィスの大きさは、低温のオイルがチャンバ内に高速で流入できるほど大きくなっており、これにより、チャンバ内でのキャビテーションの可能性が最小限に抑えられている。 【0011】このように、本発明の目的は、キャビテーションの発生を抑制できる液圧テンショナを提供することにある。また本発明の他の目的は、応答性を向上できる液圧テンショナを提供することにある。 【0012】 【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係る液圧テンショナは、流体チャンバを画成する孔が形成されたハウジングと、上端部を有し、前記孔内にスライド可能に受け入れられた中空ピストンと、前記ピストンを前記孔から突出する方向に付勢する第1のスプリングと、前記ハウジング内に設けられ、前記チャンバを前記加圧流体源に連絡するための流路と、前記チャンバおよび加圧流体源間の流路に設けられ、前記チャンバ内への流体の流れを許容しかつ逆方向の流体の流れを阻止するチェックバルブとを備え、前記チェックバルブがシートおよび移動可能なバルブ部材を有し、前記バルブ部材がバルブ閉塞部材およびステムから形成されるとともに、前記ステムが前記ピストンに連結され、前記ピストンの移動に連係して移動するようになっていることを特徴としている。 【0013】請求項2の発明に係る液圧テンショナは、請求項1において、前記バルブ閉塞部材がディスクであることを特徴としている。 【0014】請求項3の発明に係る液圧テンショナは、請求項2において、前記ディスクが半円状をしていることを特徴としている。 【0015】請求項4の発明に係る液圧テンショナは、請求項3において、前記ディスクが前記チェックバルブシート側に付勢されていることを特徴としている。 【0016】請求項5の発明に係る液圧テンショナは、請求項4において、前記ディスクおよびステム間の連結がボールおよび受け部間の連結を含み、このボールおよび受け部間の連結が前記ステムの逆側に配置されていることを特徴としている。 【0017】請求項6の発明に係る液圧テンショナは、請求項1において、前記バルブ閉塞部材がボールであることを特徴としている。 【0018】請求項7の発明に係る液圧テンショナは、請求項1において、前記チェックバルブが、前記チャンバ側に下方に延びかつ前記ステムに連結されたスリーブを有し、前記ピストンの上端部と前記スプリングとの間に配置されたアンカー部材と、前記スリーブおよびステム間に配置されたスリップ機構と、前記バルブ閉塞部材を覆うとともに、前記バルブ閉塞部材の上方への移動を制限する移動制限部材とをさらに備えたことを特徴としている。 【0019】請求項8の発明に係る液圧テンショナは、請求項7において、前記スリップ機構が、前記スリーブから内方に折り曲げられた中子部材であることを特徴としている。 【0020】請求項9の発明に係る液圧テンショナは、請求項8において、前記中子部材が前記スリーブと一体に形成されていることを特徴としている。 【0021】請求項10の発明に係る液圧テンショナは、請求項7において、前記ステムが可撓性ワイヤで構成されており、前記可撓性ワイヤに連結されかつ前記アンカー部材内部に収容されたスプリングピンと、前記スプリングピンを前記ワイヤに固定しかつ前記ワイヤを前記バルブ閉塞部材に固定する複数の固定部とをさらに備えたことを特徴としている。 【0022】本発明では、バルブ部材がバルブ閉塞部材およびステムから構成され、ステムがピストンに連結されているので、ピストンの移動時には、ステムおよびバルブ閉塞部材がピストンに連係して移動するようになっている。 【0023】したがって、エンジン始動時に、第1のスプリングの付勢力によりピストンが外方に移動するとき、ピストンとともにステムおよびバルブ閉塞部材が移動する。その結果、チェックバルブが大きく開いてチャンバ内に流体が流入する。 【0024】このようにして、エンジン始動時においてもチャンバ内に十分な流体を迅速に供給でき、これにより、キャビテーションの発生を抑制できるとともに、応答性を向上できる。 【0025】なお、請求項2の発明に記載されているように、バルブ閉塞部材がディスクから構成される場合には、ディスクの質量が一般に小さいため、テンショナの応答性をさらに向上できる。 【0026】また、請求項3の発明に記載されているように、バルブ閉塞部材が半円状のディスクから構成される場合には、シートとの間で線状接触面が形成されるので、バルブの開閉をスムーズに行うことができる。 【0027】請求項6の発明に記載されているように、バルブ閉塞部材がボールから構成される場合には、シートとの間の接触面積が大きくなるので、正確なシール部を得ることができる。 【0028】 【発明の実施の形態】発明の要約本発明は、位置駆動型チェックバルブ組立体を備え、流体の高速の流れおよび高速応答性能で特徴付けられる液圧テンショナに関する。テンショナは、中央に孔が形成されたハウジングを有している。中空ピストンが孔内にスライド可能に受け入れられており、孔との間で流体チャンバを画成している。プランジャすなわちピストンは、スプリングによってハウジングから突出する方向に付勢されている。ハウジングには、チャンバを加圧流体源に接続するために流路が設けられている。 【0029】チャンバと流体源との間には、チャンバ内への流体の流れを許容しかつ逆方向への流体の流れを阻止するチェックバルブ組立体が設けられている。当該分野で知られるボールチェックバルブと異なり、本発明のチェックバルブ組立体は、ピストンと一体的になっている。 【0030】チェックバルブ組立体は、チェックバルブディスクおよびステムと、スリップ機構と、アンカー部材と、移動制御ストリッパーまたは移動制限部材と、ディスクシートとを有している。ディスクの移動は、ステムの移動によって制御されている。ステムは、スリップ機構および移動制限部材を介してピストンに連結されている。 【0031】ステムは、可撓性を有する鋼索、中空または中実の鋼製ロッド、あるいは細いワイヤで構成される。ステムは、はんだ付けまたはろう付けによりディスクと接触している。ディスク底部の凸状部は、バルブと接触してバルブシートを閉じる。ディスク上面は、ピストンの移動に関連してディスクの移動を制御するのに用いられるステムを有している。 【0032】このチェックバルブ組立体においては、ディスクのかわりにボールを用いるようにしてもよく、この場合、ボールはステムと接触し、ディスクと同様に機能する。ボールおよびバルブシートと接触するスプリングを含んでいてもよい。スリップ機構は、外部の管状部、中子または他のスリップ防止手段から構成される。 【0033】またチェックバルブ組立体は、典型的なボールチェックバルブと比較して、大きな導入オリフィスを有している。典型的なボールチェックバルブは、油圧の変化に反応して開閉する。これに対して、本発明のボールチェックバルブは、ピストン自体の移動に直接反応して開閉する。 【0034】本発明の第1の実施態様において、ディスクバルブのステムおよびピストン間の連結は、ピストン上端の内壁部と接触するスリーブを備えたアンカー部材を含んでいる。アンカー部材は、流体チャンバ側に延びており、スリーブがステムを囲繞している。アンカー部材,ディスクおよびステム間で限定された相対的な移動を許容するように作用するスリップ機構は、スリーブおよびステム間で圧縮されている。移動制御ストリッパは、ディスクとの接触時にディスクの上方への移動を制限するために、チェックバルブ組立体を覆っている。またストリッパは、接近した公差をもってステムをガイドしている。 【0035】流体は、リザーバによって供給され、チェックバルブを通って加圧チャンバ内に流入する。流体をチャンバ内に流入させるために、圧縮スプリングがテンショナピストンを外方に付勢するのに用いられている。ピストンを孔から突出する方向すなわち外方に付勢するために、スプリングはピストン上端部においてアンカー部材と接触している。これにより、ディスクバルブが外方に移動させられる一方、バルブを通ってチャンバ内に流体が流入できるようにする低圧状態がチャンバ内に生じる。 【0036】チェーンが弛みまたは張ると、チェーンの振動に応じてピストンが伸長または縮退する。スプリングおよび流体のピストンに対する外方への力は、チェーンのピストンに対する内方への力に対抗し、該力と釣り合っている。バルブの開閉制御は、ピストンおよびディスクバルブ間の直接連結によって達成されている。 【0037】本発明の第2の実施態様においては、アンカー部材のスリーブが、スリーブをステムに連結する中子(tang)を含んでいる。中子は、スリーブから形成され、ステムおよびスリーブ間の装着状態に応じて変形している。中子は、ステムがスリーブの中央側に押し上げられるときスプリングとして作用する。というのは、中子の折曲げ量がスリーブおよびステム間の締めしろを提供するからである。 【0038】本発明の第3の実施態様においては、アンカー部材およびステムが同種の金属から構成されており、これらのうちの一方の部材には、他方の部材との摩擦結合のために予荷重が作用している。摩擦力は、アンカー部材およびステムに使用される材料や要求される予荷重の特性ばかりでなく、使用される潤滑油の特性に依存している。またステムは、その溝内に鋼製のクリップを有していてもよい。あるいはステムは、外部にスプリングが装着された可撓性ワイヤロープの組合せにより構成されていてもよい。この実施態様はまた、ステムと接触する受け部を備えた面を有するディスクを含んでいる。 【0039】ボールは、受け部の逆側においてステムと接触している。ボールおよび受け部による連結により、ピストンの移動に関連して移動するステムに対してディスクが旋回できるようになっている。 【0040】本発明のこれらおよびその他の特徴・目的をよく理解するためには、添付図面に関連して以下の詳細な記述が参照されるべきである。 【0041】好ましい実施態様の詳細な説明以下、本発明の実施態様を添付図面に基づいて説明する。図1は、本発明によるチェックバルブ組立体100を備えた液圧テンショナ10を示している。テンショナ10は、その中央に孔23を有するハウジング20を備えており、孔23は、図示しない加圧流体源から流路24を通って流入した流体で満たされている。流体源は、オイルポンプまたはリザーバである。ハウジング20は、ピストンすなわちプランジャ40を孔23内に受け入れている。中空ピストン40は、孔23との間で流体チャンバ22を形成している。ピストン40は、内部空間42と上端部44とを有している。上端部44は、図示しないレバーまたはアームと接触し、チェーンスパンに沿って緊張力を作用させる。 【0042】チェックバルブ組立体100は、加圧流体源への流路24とチャンバ22との間に設けられており、チャンバ22内への流体の流れを許容する一方、逆方向への流体の流れを阻止している。チェックバルブ組立体100は、ステム5と接触するように形作られた面を有するディスク1を含んでいる。ステム5は、可撓性を有する鋼索、中空あるいは中実の鋼製ロッド、または細いピアノ線から構成される。ステム5は、はんだ付けまたはろう付けによりディスク1と接触している。 【0043】バルブ100の頂上部は湾曲しておらず、ディスク1の頂上部がわずかに湾曲(contoured) している。ディスク1は、好ましくは半円状に形成されており、底側の凸状部2がバルブシート4側に対向している。ディスク1は、その形状により、ピストン40の動きに迅速に反応できるようになっており、これにより、バルブを通る異なる流速が得られるようになっている。ディスク1の底側凸状部2は、バルブと接触し、テーパ状バルブシート4に対してバルブを閉じている。ディスク1の上面3は、ピストン40の動きに関連してディスク1の動きを制御するために、ステム5と接触している。 【0044】このような構成を採用することによって、バルブシート4に対するディスク1の同心度が維持され、バルブシート4に対するディスク1の傾きが防止されている。 【0045】チェックバルブの第1の変形例である図2に示すように、本実施態様におけるディスク1のかわりにボール1aを用いてもよい。もしディスクが最適なシール部を最初に含んでいない場合には、遅れすなわち潜在的に不適切な着座状態がディスクを通る好ましくない漏れを生じさせることになる。ディスク1をボール1aで置き換えることにより、シートとの大きな接触面積が得られ、その結果、ボール1aとバルブシート4との間に正確かつ迅速なシール部が得られることになる。 【0046】第2の変形例である図3に示すように、ボール1aをバルブシート4から外方に付勢するために、スプリング1bが設けられていてもよい。チェックバルブの開放時には、チャンバ内に流体が流入できるように、スプリング1bがボール1aおよびバルブシート4間のクリアランスを許容する。 【0047】スリーブ49を有するアンカー部材48が、ピストン40の上端部44内の内壁部47と接触している。アンカー部材48は、流体チャンバ22に向かって下方に延びており、スリーブ49がステム5を囲繞している。ステム5に設けられたスリップ機構6は、スリーブ49およびステム5間で圧縮されている。 【0048】この実施態様では、スリップ機構6は金属製のOリングであって、該Oリングは、摩擦力を発生させることによってスリーブ49とステム5との接触状態を維持している。金属製Oリングは、O状に曲げられた引張スプリングにより形成することもできる。金属製Oリングにより生じる摩擦力は、アンカー部材48およびステム5間の相対移動を許容し、ピストン40の広範囲の移動を許容する一方、ステム5およびディスク1の最小範囲の移動を維持している。 【0049】ピストン40が下方に移動すると、スリップ機構6がこの移動を下方への力の形に置き換えて、バルブを閉じる。ディスク1およびステム5がバルブシート4と接触した後は、スリップ機構6が再び働いて、ディスク1がバルブシート4に対して過剰な力を作用させないようにする。スプリング60がピストン40の上端部44においてアンカー部材48と接触しており、ピストン40を孔23から突出する方向すなわち外方に付勢している。アンカー部材48は常時ピストン40と接触しており、スプリング60はその接触状態を維持するように付勢力を作用させている。 【0050】移動制御ストリッパ7は、チェックバルブ組立体100を覆っており、スプリング60と接触している。ストリッパ7は、ディスク1がストリッパ7と接触するときにディスク1の上方への移動を制限している。ディスク1がストリッパ7と衝突するとき、スリップ機構6は、ステム5上におけるアンカー部材48およびディスク1間の相対移動を許容する。またストリッパ7は、接近した寸法公差をもってステム5をガイドする。 【0051】図4に示すように、ストリッパ7は円形部材9から構成されており、該円形部材9は、円形状の中央部8aおよびこれと交差する4つの円柱状部8b,8c,8d,8eを有する開口8を備えている。 【0052】通常の運転状態下において液圧チェーンテンショナ10の始動時には、油圧が上昇する。スプリング60による付勢力はピストン40を移動させ、これにより、差圧を生じさせる。チェックバルブ100はピストン40と一体的に構成されているので、ピストン40の上方への動きによりチェックバルブ100が開き、チャンバ22内への積極的な流体の流れが生じる。 【0053】ピストン40の上方への移動により生じる力は、スリップ機構6を介してステム5およびディスク1に作用する。すると、チェックバルブ100および流路24を通ってチャンバ22内に流体が流入し、チャンバ22内を満たす。チャンバ22が流体で満たされると、スプリング60のばね力および外部流体源から供給された液圧によって、ピストン40がチャンバ22から外方に移動する。チャンバ22が満たされると、チェックバルブ100がチャンバ22から外方への逆方向の流体の流れを阻止する。 【0054】運転中には、ピストン40に対するチェーンからの力は、スプリング60のばね力およびチャンバ22内の液圧と釣り合っている。ディスク1は、ピストン40の移動に迅速に反応して、チェックバルブ100を開閉する。 【0055】液圧チェーンテンショナ10が低温状態下で始動されたときには、流体の粘性が非常に高く、流体はリザーバからチャンバ22内に非常にゆっくりと流入する。このため、チェックバルブを通る高速の流体の流れが要求される。典型的なボールチェックバルブでは、オリフィスの大きさに制限があるので、キャビテーションを防止するほどの十分に速い流体の流れを提供することができない。 【0056】これに対して、ディスク型チェックバルブ100は、従来のボールチェックバルブと異なり、質量が小さく、また導入オリフィスが大きいために高速の流体の流れを有している。チェックバルブ100は、迅速に応答し、十分な流体の流れを提供して、キャビテーションの影響を最小限に抑える。本発明の構成によれば、調整も簡単になる。 【0057】図5に示す本発明の第2の実施態様においては、テンショナ25が、流路34を通って流入した流体で満たされた孔33を中央に有するハウジング30と、流体チャンバ32とを備えている。ピストン50は、内部空間52および上端部54を有している。チャンバ32と流路34との間には、チェックバルブ組立体110が設けられている。チェックバルブ組立体110は、上面13および底面12を有するディスク11と、ステム15と、テーパ状バルブシート14とを含んでいる。移動制御ストリッパ17は、チェックバルブ組立体110を覆っており、スプリング70と接触している。 【0058】アンカー部材58は、ピストン上端部54の内壁部57と接触する丸い頂上部56と、スリーブ59とを有している。スプリング70は、アンカー部材58と接触してアンカー部材58をピストン上端部54側に付勢している。 【0059】この実施態様では、ディスクステム15が、スリーブ59から内方に延びる中子(tang)に摩擦力により装着されている。中子は、その三面がスリーブ59から切り出されるとともに、その第四面が内方に折り曲げられた矩形状の部材である。スリーブ59はステム15を囲繞しており、ステム15は、スリーブ59を該ステム15に接続する中子部分16を有している。中子部分16は、スリーブ59から形成されており、ステム15およびスリーブ59間の装着状態に応じて変形させられている。 【0060】中子部分16は、スリップのための最適な摩擦力を与えるように特定の予荷重およびスプリング力を有する片持ち支持の板ばねと同様に設計されている。この摩擦力は、アンカー部材58およびステム15間の相対移動を許容し、ピストン50の広範囲の移動を許容する一方、ステム15およびディスク11の最小限度の移動を維持している。ピストン50が下方に移動すると、中子部分16は、バルブを閉じる下方向への力にピストン50の移動を置き換える。ディスク11およびステム15がバルブシート14と接触した後、中子部分16が再び働いて、バルブシート14に対してディスク11の過剰な力が作用しないようにする。 【0061】図6に示すように、中子部分16は、スリーブ59から一体的に形成されている。スリーブ59は、平坦な金属片を所望の形状、ここでは矩形状に前もって切り欠くことによって形成されている。図6の7−7線断面が図7に示されており、ここでは、中子部分16がスリーブ中央に向かって内方に曲げられている。スリーブ59の中子部分16は、スリーブ59からU字状部分18を切り出すことによって形成されている。これにより、矩形状中子部分16の3つの切り出し面が形成されている。切り出されたU字状部分18は、中子部分16の切り出されていない第4の面が曲がるためのクリアランスとして作用する。 【0062】中子部分16およびスリーブ59は、金属の薄板を心棒の回りに巻き付けることによって形成されている。この巻き付けの時点では、中子部分16はスリーブ59の残りの部分と平行になっているが、スリーブ59への中子接続部分19を除いて、中子部分16は、その回りにクリアランスすなわち切り出し部分18を有している。 【0063】中子部分16は、該中子部分16がスリーブ59の元の円筒状部分と平行にならないように、U字状部分18側へ内方に曲げられている。ステム15がスリーブ59の中心側に押し込まれたとき、中子部分16はスプリングとして作用する。というのは、中子部分16の折曲げ量がスリーブ59およびステム15間の締めしろを提供するからである。 【0064】図8に示す本発明の第3の実施態様においては、テンショナ35が、流路94を通った流体で満たされた孔123をその中心に有するハウジング21と、流体チャンバ92とを備えている。ピストン140は、内部空間142および上端部144を有している。チャンバ92および流路94間には、チェックバルブ組立体150が設けられている。チェックバルブ組立体150はディスク101を有しており、該ディスク101は、ステム105と接触する受け部108を備えた面を有している。 【0065】受け部108の逆側端部においては、ボール106がステム105と接触している。ディスク101の底面28は、テーパ状バルブシート104と接触してバルブを閉じる。ボール106および受け部108による連結は、ピストン140の移動に関連して移動するステム105に対してディスク101が回転できるようにするとともに、あらゆる調整不良を取り除く。ボール106および受け部108による連結は、ディスク101からの漏れにつながるディスク101の不適切な着座状態を防止する。移動制御ストリッパ107は、チェックバルブ組立体150を覆っており、スプリング160と接触している。 【0066】アンカー部材148は、ボール106を囲繞する頂上部80と、スリーブ149とを有している。頂上部80の端部は、ピストン140の上端部144の内壁部147と接触している。スプリング160は、ピストン140の上端部144においてアンカー部材148と接触している。アンカー部材148は、流体チャンバ92側に延びており、スリーブ149はステム105を囲繞している。 【0067】アンカー部材148およびステム105は、同種の金属から製作されており、そのうちの一方の部材には、他方の部材との間で摩擦力を発生させるために、ばね荷重のような予荷重が作用している。摩擦力は、アンカー部材148およびステム105に使用される材料の特性のみならず、使用される潤滑油の特性にも依存している。潤滑油は、大抵の場合、モータオイルである。 【0068】図9に示すように、ステム105は、ステム105の溝内に鋼製の引張クリップを有していてもよい。あるいはステム105は、可撓性を有する細いワイヤであってもよく、また一対の固定部(crimp) 200を有するスプリングピン201に装着された鋼索であってもよい。スプリングピン201は、スパイラルロールピンまたは標準的なロールピンのいずれかでよい。この場合には、スプリングピン201がアンカー部材148の内部で膨張して力を及ぼし、ステム105およびディスク101が一対の固定部202によりともに保持される。 【0069】本発明が関連する技術分野の当業者は、とくに上述の教示内容を考慮するとき、本発明の精神あるいは本質的な特徴から外れることなく、本発明の原理を採用する種々の変形例やその他の実施態様を構築し得る。上述の実施態様はあらゆる点で単なる例示としてのみみなされるべきものであり、限定的なものではない。 【0070】それゆえ、本発明の範囲は、上記記述内容よりもむしろ添付の請求の範囲に示されている。したがって、本発明が個々の実施態様に関連して説明されてきたものの、構造、順序、材料その他の変更は、本発明の範囲内においてではあるが、当該分野の当業者にとって明らかであろう。 【0071】 【発明の効果】以上詳述したように、本発明に係る液圧テンショナによれば、バルブ部材をバルブ閉塞部材およびステムから構成し、ステムをピストンに連結するようにしたので、ピストンの移動時には、ステムおよびバルブ閉塞部材をピストンに連係して移動させることができる。これにより、エンジン始動時においてもチャンバ内に十分な流体を迅速に供給でき、その結果、キャビテーションの発生を抑制できるとともに、応答性を向上できる効果がある。
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| 【出願人】 |
【識別番号】591001709 【氏名又は名称】ボーグ−ワーナー・オートモーティブ・インコーポレーテッド 【氏名又は名称原語表記】BORG−WARNER AUTOMOTIVE INCORPORATED
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)11月25日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】高崎 健一
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| 【公開番号】 |
特開平11−230280 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)8月27日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−333523 |
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