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【発明の名称】 田植機の油圧装置
【発明者】 【氏名】咲川 薫徳

【氏名】大橋 良太

【氏名】坂倉 信也

【要約】 【課題】従来の田植機において、静油圧式無段変速装置に対する作動油補給及び油圧式昇降装置に対する作動油供給が各々専用の油圧ポンプにより行われていたために高コストについていた。また、油圧ポンプをエンジンの近傍に配置した構成であると、配管が長くなり、効率も悪くなっていた。

【解決手段】エンジン9の動力を車軸79・99へ伝動する走行伝動系に静油圧式無段変速装置31を介在させると共に、植付部2が油圧式昇降装置を介し機体に連結された田植機において、前記油圧式昇降装置の戻り油を前記静油圧式無段変速装置の作動油補給に導入させ、また、前記油圧式昇降装置に備わる油圧ポンプ46を前記静油圧式無段変速装置のハウジングに取り付けてその入力軸26により駆動させるようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジン動力を車軸へ伝動する走行伝動系に静油圧式無段変速装置を介在させると共に、植付部が油圧式昇降装置を介し機体に連結された田植機において、前記油圧式昇降装置の戻り油を前記静油圧式無段変速装置の作動油補給ポートに導入させたことを特徴とする田植機の油圧装置。
【請求項2】 請求項1記載の油圧式昇降装置に備わる油圧ポンプを前記静油圧式無段変速装置のハウジングに取り付けてその入力軸により駆動させるようにしたことを特徴とする田植機の油圧装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、歩行型または乗用型の田植機を静油圧式無段変速装置によって変速走行し、更に、油圧によって植付部を昇降できるようにした田植機の油圧構成に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の田植機の主変速装置は正確な植付作業と微妙な走行変速ができて、所望の走行速度に合わせられるようにするために静油圧式無段変速装置が多く用いられるようになってきている。このような静油圧式無段変速装置は可変容積型の油圧ポンプと固定容積型の油圧モータより構成されて、油圧ポンプと油圧モータは流体接続されて閉回路が構成されている。この閉回路への作動油の補給は、植付部を昇降させるための油圧式昇降装置の油圧ポンプとは別のチャージポンプから供給されていたのである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記のように静油圧式無段変速装置及び油圧式昇降装置に対して別々の油圧ポンプによって圧油を供給する構成であったために、高コストになっていた。また、油圧ポンプをエンジンの近傍に配置した構成であると、静油圧式無段変速装置や油圧式昇降装置に対する配管が長くなり、効率も悪くなっていたのである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決するための手段を説明する。即ち、請求項1においては、エンジン動力を車軸へ伝動する走行伝動系に静油圧式無段変速装置を介在させると共に、植付部が油圧式昇降装置を介し機体に連結された田植機において、前記油圧式昇降装置の戻り油を前記静油圧式無段変速装置の作動油補給ポートに導入させたものである。
【0005】請求項2においては、前記油圧式昇降装置に備わる油圧ポンプを前記静油圧式無段変速装置のハウジングに取り付けてその入力軸により駆動させるようにしたものである。
【0006】
【発明の実施の形態】次に、本発明を小型乗用田植機に適用した実施の形態を説明する。図1は本発明の油圧装置を装備した乗用田植機の全体側面図、図2はトランスミッションの平面図、図3は片側のケース半部を外した側面図、図4はミッションケースの平面展開断面図、図5はミッションケース前部の平面展開断面図、図6は第一変速装置の平面断面図、図7は一側のフロントスアクスルケースの後面断面図、図8はミッションケース後部の平面展開断面図、図9はミッションケース前部の側面断面図、図10は本発明の油圧回路図である。
【0007】まず、乗用田植機の全体構成を図1より説明する。田植機は前部の走行部1と後部に配置した植付部2よりなり、走行部1は機体フレーム10の前部上にエンジン9が載置され、該エンジン9はボンネット3により覆われ、該ボンネット3の後部上面に配したハンドルポスト5より上方に操向ハンドル4を配置している。機体フレーム1を車体カバー6で覆い、その上に座席7を配置し、前記車体カバー6と前記ボンネット3両側及び座席7前部のステップ8は合成樹脂にて一体的に構成されている。
【0008】そして、本発明のミッションケース11は機体フレーム10の前後中央下部より機体フレーム10の後下方まで延出され、側面視において前高後低に配されて、前後方向に長く形成されている。該ミッションケース11の前部左右両側にフロントアクスルケース12を介して前輪13が支持され、前記ミッションケース11の後部より左右両側に後車軸99を突出して後輪15を支持している。
【0009】また、前記植付部2は走行部1の後部に油圧式昇降装置17を介して対地昇降自在に装着されており、機体フレーム10後部とミッションケース11後部の間に連結した支持フレーム16に油圧式昇降装置17が支持され、該油圧式昇降装置17の前部と機体フレーム10の間には油圧シリンダー19が介装されて、該油圧シリンダー19を伸縮させることで植付部2を昇降可能としている。
【0010】前記油圧式昇降装置17の後部に装着された植付部2は通例の如く、植付ケース20上に苗載台21を左右往復動可能に配置し、下方にフロート22を吊設し、後部には伝動ケース23を突出して、該伝動ケース23にクランク機構を介して植付爪24を装着している。
【0011】そして、前記ミッションケース11前部上より後方にへ突出したPTO軸25にユニバーサルジョイントや伝動軸等を介して前記植付ケース20に動力を伝えて、苗載台21や植付爪24を駆動し、走行しながら苗載台21から苗を植付爪24によって取り出し、走行中に連続的に苗植え作業を行うように構成している。
【0012】次に、本発明のトランスミッションの構成を図2〜図9より説明する。該トランスミッションを収容するミッションケース11は左右分離可能な左右半割り型のケース半部11L・11Rから構成されている。該ミッションケース11内の前部に原動軸34、ミッション入力軸35、ファイナル軸60が平行に横架され、該原動軸34はミッションケース11の左側面より貫通して外方へ突出し、その端部上に入力プーリー30が固設されている。該入力プーリー30にはベルト33を介して前記エンジン9から動力が入力される。ミッションケース11の右側面前部には主変速装置となる第一変速装置31が付設され、該第一変速装置31は、ミッションケース11の左側面に露出させた前記原動軸34の端面に入力軸26が連結され、また、同様にミッションケース11の左側面に露出させた前記ミッション入力軸35の端面に出力軸27が連結され、それぞれ変速ケース36内に機体左右方向に沿わせて互いに平行に横架されている。
【0013】前記第一変速装置31は図5、図6に示すように、可変容積型の油圧ポンプ40と固定容量型の油圧モータ41からなる静油圧式無段変速装置であって、変速ケース36とセンタセクション37によって区画された空間内に収納され、該センタセクション37内側面にはポンプ付設面とモータ付設面が形成されている。このポンプ付設面とモータ付設面と反対側のセンタセクション37は前記ミッションケース11の右ケース半部11Rの前外側面に固定されている。
【0014】前記センタセクション37と変速ケース36とに回転自在に支持された入力軸26上にシリンダブロック42の回転軸心部が相対回転不能に係止され、前記ポンプ付設面に回転摺動自在に配置されている。該シリンダブロック42の複数のシリンダ孔内に、付勢バネを介してピストン43・43・・・が往復動自在に嵌合され、該ピストン43・43・・・の頭部は可動斜板44のスラストベアリング44aに当接され、該可動斜板44の中央開口に入力軸26が貫通されている。このようにしてアキシャルピストンタイプの油圧ポンプ40が構成されている。
【0015】前記可動斜板44のピストン接当面をシリンダブロック42の回転軸芯に対して傾動操作することで、油圧ポンプ40の油の吐出量及び吐出方向を変更できるようにしており、この可動斜板44は通例の如く左右のトラニオン軸39に連結されて、ケース外に延びる一方のトラニオン軸39に固定した図示しない変速アームを回動することにより、可動斜板44の傾動操作ができるようにしている。
【0016】また、前記センタセクション37と変速ケース36との間に回転自在に横架された出力軸27上にシリンダブロック52の回転軸心部が相対回転不能に係止され、前記モータ付設面に回転摺動自在に配置されている。該シリンダブロック52の複数のシリンダ孔内に、付勢バネを介してピストン53・53・・・が往復動自在に嵌合され、該ピストン53・53・・・の頭部は固定斜板54のスラストベアリング54aに当接され、該固定斜板54の中央開口に出力軸27が貫通されている。このようにしてアキシャルピストンタイプの油圧モータ41が構成されている。
【0017】そして、前記油圧ポンプ40と油圧モータ41の各々の吸入部と吐出部は図示しないセンタセクション37に設けた油路によって流体接続されて閉回路を構成し、原動軸34に動力が伝えられると、入力軸26が回転されて油圧ポンプ40が駆動され、このとき可動斜板44を傾動操作して、圧油を油圧モータ41へ送ることによって出力軸27、ミッション入力軸35を無段に回転駆動し、その回転方向及び回転数は可動斜板44の傾動操作によって変更できるものである。このようにして静油圧式無段変速装置が構成されるのである。
【0018】また、図6に示すように、前記入力軸26の右端は変速ケース36の右側面を貫通してバルブケース45内に延伸して、該バルブケース45内に配設した油圧ポンプ46を駆動し、該バルブケース45には更に昇降切換バルブ47、リリーフバルブ48、可変絞り49、チェックバルブ50等が配設されている。但し、変速ケース36とバルブケース45は一つのハウジングで構成することも可能であり、油圧ポンプ46は変速ケース36に内装することも可能である。
【0019】次に、図4、図5、図7を用いて、前記ミッションケース11内の走行伝動系における前輪の動力伝達構成について説明する。前記第一変速装置31を設置した右ケース半部11Rとは反対側の左ケース半部11Lの前部には左側方(伝動軸34及びミッション入力軸35の軸方向)へ膨らんだ膨出部11aが形成され、該膨出部11a内に第二変速装置32が収納されている。即ち、前記ミッション入力軸35上に大径の歯車67と幅広の小径歯車68とが固設され、また、前記ミッション入力軸35と平行でその下方にファイナル軸60がミッションケース11内に横架され、該ファイナル軸60上には前記歯車67・68に噛合可能な二連の変速歯車63が軸方向摺動自在にスプライン嵌合され、更に、出力スプロケット65と出力歯車66が固設されている。
【0020】前記変速歯車63は座席7の側部に設けた副変速レバーの操作でファイナル軸60上を軸方向に摺動して、前記大径歯車67と小径歯車68の何れか一方と噛合させて高低2段の変速回転をファイナル軸60に得ることができるのである。そして、前記出力歯車66は、ファイナル軸60の前方に配置したデフギア装置69の入力ギア70と常時噛合し、該フロントデフギア装置69は左右両側の前輪駆動軸71L・71Rを差動的に結合している。72はデフロック装置である。
【0021】そして、図7に示すように、左右ケース半部11L・11Rの外側面に装着されて前記前輪駆動軸71L・71Rを収容するフロントアクスルケース12L・12R内にはベベルギア73が支持されて、前輪駆動軸71L・71Rの端部に結合している。また、該フロントアクスルケース12L・12R内には略上下方向に沿わせるようにキングピン軸75が支持されて下方へ突出し、該キングピン軸75の下部は回動ケース76内に延伸して回動自在に軸支され、該キングピン軸75の上端にはベベルギア74が固設されて前記ベベルギア73と噛合され、キングピン軸75の下端にはベベルギア77が固設されて、回動ケース76下部に水平に横架した前車軸79L・79Rに固設したベベルギア78と噛合している。該前車軸79L・79Rの外端に前輪13・13が固定される。
【0022】また、前記回動ケース76の上面には図2に示すように、ナックルアーム59が固設され、該ナックルアーム59は図外のタイロッドを介し前記操向ハンドル4と連動連結されて、操向ハンドル4の回動によって前輪13・13を左右に操舵できるようにしている。
【0023】次に、作業伝動系の動力伝達構成を説明する。前記ファイナル軸60上で変速歯車63とスプロケット65との間には、2連のPTO伝動歯車64a・64bが軸方向移動不能に遊嵌設置されている。また、前記膨出部11aの後部上には、図5、図9に示すように、第一カウンター軸61と第二カウンター62が左ケース半部11Lの左内側面に回転自在に支持され、該第一カウンター軸61上には一方向クラッチ80を介して歯車81が外嵌され、該歯車81は前記ファイナル軸60上に固設したPTO伝動歯車64aと常時噛合している。該PTO伝動歯車64bは前記ミッション入力軸35上の小径歯車68と常時噛合している。前記一方向クラッチ80は、ミッション入力軸35が機体前進方向に回転するときにのみ前記歯車81を第一カウンター軸61に係合させるよう作動してミッション入力軸35の動力を第一カウンター軸61、即ち、植付部2側へ伝える。そして、前記第一カウンター軸61は左ケース半部11Lの左側面より外側に突出して株間変速用の歯車82が着脱自在に固設され、該歯車82は同様に左ケース半部11Lの左側面より外側に突出した第二カウンター軸62上に着脱自在に固設した歯車83と噛合し、歯車82・83は左ケース半部11Lの左側面に着脱自在に装着したカバーによって覆われている。前記第二カウンター軸62のミッションケース11内にはベベルギア84が固設され、PTOクラッチ軸86上に固設したベベルギア85と噛合させている。
【0024】該PTOクラッチ軸86は左右ケース半部11L・11Rの合わせ面の箇所で前後方向に横架されて、PTOクラッチ軸86後端で同一軸心上に前記PTO軸25を回転自在に配置している。該PTOクラッチ軸86とPTO軸25との間にはPTOクラッチ90とトルクリミッター91が配置されている。PTOクラッチ90は、PTOクラッチ軸86上の前部にクラッチ爪92を固設し、後部に中空軸93を回転自在に外嵌し、該中空軸93上に摺動爪94を軸方向に摺動自在にスプライン嵌合し、前記クラッチ爪92と係脱可能に配置している。該摺動爪94は右ケース半部11Rの右側面に軸支したPTO操作軸95を回動することによって摺動され、該PTO操作軸95にはリンクやワイヤー等を介して座席7側部の植付操作レバーと接続され、該植付操作レバーを「入」位置とすることによってクラッチ爪92に摺動爪94が係合して植付部2を駆動することができる。
【0025】そして、中空軸93の後部とPTO軸25との間に爪クラッチ式のトルクリミッター91が配置され、該トルクリミッター91を介してPTO軸25に動力を伝え、植付部2側に過負荷がかかると、トルクリミッター91でPTO軸25が空回りするように構成して、作業伝動系の伝動部品の破損を防止している。91aは設定トルクを規定するスプリングである。前記PTO軸25は前記ミッションケース11の前上部の膨出部11aより後方へ突出されており、ユニバーサルジョイントや伝動軸を介して植付部2に動力を伝える構成としている。
【0026】次に、後輪の動力伝達構成について説明する。ミッションケース11の後部には図8に示すように、サイドクラッチ軸97と減速軸98と後車軸99L・99Rが平行に回転自在に支持されており、前記サイドクラッチ軸97の左右中央にスプロケット100が固設され、該スプロケット100と前記ファイナル軸60上に固定した出力スプロケット65との間にチェーン101が巻回されて、ファイナル軸60の動力が後輪15へ伝達されるようにしている。100b・100bはチェーン101の上部、下部に配したチェーン張りである。
【0027】前記サイドクラッチ軸97上のスプロケット100の両側にはサイドギア102L・102Rが回転自在かつ軸方向摺動自在に外嵌され、スプロケット100の両側に設けた内歯100a・100aと係脱可能としてサイドクラッチ111L・111Rが構成されている。また、サイドギア102L・102Rと各左右ケース半部11L・11Rには摩擦板がそれぞれ係止されて重合され、更に、サイドギア102L・102Rの外周部には鍔状の押圧体を形成して、サイドブレーキ103L・103Rが構成されている。そして、前記サイドギア102L・102Rはサイドクラッチアーム104L・104Rを回動することによって摺動され、該サイドクラッチアーム104L・104Rはミッションケース11外に設けたアーム106L・106R(図2)にリンク等を介して運転部のステップ上に設けた左右サイドブレーキペダルの各々と連動連係され、一方のサイドブレーキペダルを踏むことによって、サイドギア102を摺動してサイドクラッチ111L又は111Rを切って旋回内側の後輪の駆動力を断って緩旋回でき、更にサイドブレーキ103L・103Rを制動させることによって急旋回できるようにしている。
【0028】また、前記サイドギア102L・102Rの各々は減速軸98上に設置した二連の減速歯車105L・105Rの大径歯車と噛合され、該減速歯車105L・105Rの小径歯車は後車軸99L・99Rの内端部上に固設した歯車107L・107Rと噛合され、該後車軸99L・99Rの外側端上に後輪15・15が装着されている。該後輪15・15は、ミッションケース11の後部の両側より突出した後車軸99L・99Rに装着されるので、減速装置を収納するリアアクスルケースは不要となり、コンパクトな構成とできるのである。このようにして、第一変速装置31及び第二変速装置32で変速された後の動力が、出力スプロケット65、チェーン101、スプロケット100、サイドクラッチ装置111L・111R、サイドブレーキ103L・103Rを介して後車軸99に差動回転が伝えられて、後輪15が駆動される。
【0029】次に、本発明の油圧回路構成を、図10を参照しつつ説明する。油圧ポンプ46は前述のように、エンジン9からの動力がベルト33、入力プーリー30、伝動軸34を介して入力軸26に伝えられることで駆動される。該油圧ポンプ46の吸入ポートには配管55が接続されてミッションケース11内の前底部に配した油フィルタFを介して潤滑油兼作動油を吸入できるようにしている。該油圧ポンプ46の吐出ポートには昇降切換バルブ47とロードチェックバルブ50とリリーフバルブ48とが並列に接続され、該昇降切換バルブ47の二次側のAポートには可変絞り49、配管57を介して植付部2を昇降するための油圧シリンダー19が連通され、また、前記チェックバルブ50の二次側は可変絞り49を迂回して配管57を介し油圧シリンダー19に連通されている。
【0030】また、前記昇降切換バルブ47の二次側のBポートは一次側のタンクポートTと共に、前記リリーフバルブ48の二次側と連通され、更に、配管56、ラインフィルター51を介して静油圧式無段変速装置の閉回路の作動油補給ポートCに連通している。28・28は作動油補給ポートCから閉回路方向への油通過のみを許容するチェック弁である。この閉回路内の油圧はリリーフバルブ58によって一定圧に設定されている。
【0031】前記昇降切換バルブ47は5位置切換のバルブであって、座席7側部に配置した昇降レバーを操作して切り換えることができ、(イ)の位置ではタンクポート及びBポートを配管56に連通させ、油圧ポンプ46からの圧油はタンクポートTから配管56へドレンし、油圧シリンダー19からの戻り油は可変絞り49、Aポート、昇降切換バルブ47、Bポートから配管56へドレンし合流するドレン油を閉回路の作動油補給ポートCへ導入させる。このとき前記油圧シリンダー19は縮小して植付部2が急速に下降する。
【0032】(ロ)の位置は油圧シリンダー19のドレン油量を制限し植付部2をゆっくり下降させるための過渡位置であり、(ハ)の位置はAポート及びBポートをブロックして、ロードチェックバルブ50を閉じて植付部2を任意の高さの位置で止める中立位置であり、油圧ポンプ46の吐出油はタンクポートTを経てアンロードされる。(ニ)の位置は油圧ポンプ46のドレン油量を制限して植付部2をゆっくり上昇させる過渡位置であり、(ホ)の位置は油圧ポンプ46及び油圧シリンダー19のドレンをブロックしてロードチェックバルブ50を開いて配管57を介し油圧シリンダー19に送油して、植付部2を上昇させる位置である。このようにして昇降切換バルブ47を任意の(イ)から(ホ)位置へ切り換えることによって油圧シリンダー19を伸縮して植付部2を昇降できるのである。
【0033】
【発明の効果】本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するのである。即ち、請求項1に記載するように、エンジン動力を車軸へ伝動する走行伝動系に静油圧式無段変速装置を介在させると共に、植付部が油圧式昇降装置を介し機体に連結された田植機において、前記油圧式昇降装置の戻り油を前記静油圧式無段変速装置の作動油補給ポートに導入したので、油圧式昇降装置の戻り油を静油圧式無段変速装置の作動油に利用することができて、従来の静油圧式無段変速装置に専用の作動油補給用の油圧ポンプを設けて駆動し、補給する構成に比べてポンプ個数を削減でき、コスト低減化が図れる。
【0034】また、請求項2記載の如く、前記油圧式昇降装置に備わる油圧ポンプを前記静油圧式無段変速装置のハウジングに取り付けてその入力軸により駆動させるようにしたので、油圧ポンプをエンジン近傍に配置するよりも、両者が近くに配置されて油圧配管を短くでき、部品点数も減少してコスト低減化を図ることができる。また、油圧ポンプは静油圧式無段変速装置の変速入力軸で駆動されるので、駆動系統の簡略化が図れ、動力損失が低減される。そして、油圧系統を集中して配置することができるようになり、配管経路が短くなり、メンテナンスもやりやすくなる。
【出願人】 【識別番号】000125853
【氏名又は名称】株式会社 神崎高級工機製作所
【識別番号】000006851
【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
【出願日】 平成10年(1998)1月16日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
【公開番号】 特開平11−201280
【公開日】 平成11年(1999)7月27日
【出願番号】 特願平10−6541