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【発明の名称】 自動変速機液のバイパス装置
【発明者】 【氏名】李 憲

【要約】 【課題】常にオイルクーラーを経由するATFを温度条件によって選択的にオイルクーラーを経由するか経由しないようにすることにより、ATFが迅速に適正温度になり得るようにするATFバイパス装置を提供する。

【解決手段】自動変速機とオイルクーラー間に設置されたバルブハウジングHと、前記バルブハウジングの内部に前後移動可能に設置されたバルブスプールSPと、前記バルブスプールの一端に形成された孔に挿入され、熱膨張率が大きくて温度変化による伸縮によりバルブスプールを移動させる熱膨張棒61と、前記バルブスプールの他端と前記バルブハウジングの壁面間に形成された空間部に位置してバルブスプールを付勢する弾性スプリング62とから構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 自動変速機側から自動変速機液が流入される第1ポートと、オイルクーラーに自動変速機液を供給する第2ポートと、オイルクーラーから自動変速機液が帰還する第3ポートと、自動変速機のオイルタンク側に自動変速機液を供給する第4ポートとを備えたバルブハウジングと、前記バルブハウジングの内部で前後に移動され、前記第1ポートと第2ポート、かつ前記第3ポートと第4ポートをそれぞれ連通させるか、前記第1ポートと第4ポートを連通させるバルブスプールと、前記バルブスプールの一端に設置され、自動変速機液の温度変化に応じて前記バルブスプールを前後移動させる熱膨張棒と、前記バルブスプールの熱膨張棒の反対側に設置されてバルブスプールを付勢する弾性スプリングとを具備して構成されることを特徴とする自動変速機液のバイパス装置。
【請求項2】 前記ハウジングは第2ポートと第3ポートが形成された上側部と第1ポートと第4ポートが形成された下側部とから構成されたことを特徴とする請求項1記載の自動変速機液のバイパス装置。
【請求項3】 前記バルブスプールは前記第3ポートと第4ポートを連通させる連結油路と、前記第1ポートと第4ポートを連通させるバイパス油路が形成されたことを特徴とする請求項1記載の自動変速機液のバイパス装置。
【請求項4】 前記バルブスプールは前記第1ポートと第2ポートを連通させる連結油路が形成されたことを特徴とする請求項3記載の自動変速機液のバイパス装置。
【請求項5】 前記熱膨張棒は前記バルブスプールより熱膨張率の大きい材質で形成されたことを特徴とする請求項1記載の自動変速機液のバイパス装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自動変速機液(ATF:Automatic Transmission Fluid)バイパス装置に関するもので、より詳しくはATFの温度が過度に上昇することを防ぐために設置されたオイルクーラーに循環するATFを、ATFの温度が低くて冷却が要求されない場合には冷却させないようにして、ATFが迅速に適切な温度を維持しつつ循環されるようにした自動変速機液(ATF)のバイパス装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動変速車両の変速機に作動油として使用される自動変速機液(ATF)はオイル特性上温度による粘度の変化が随伴され、ATF粘度変化は自動変速機の性能に影響を及ぼすことになる。
【0003】特に、エンジンの始動時には周囲の気温によりATFの温度差が大きくなり、その粘度差による作動性能差が大きいため、自動車の出力性能が一様でなくなる。
【0004】又、エンジンの高速回転及び長時間使用時、ATFの温度上昇はATFの粘度を低下させて動力伝達効率を低下させる等の問題があるので、これを防止するため、温度が上昇したATFを冷却させてその温度を低下させるオイルクーラーを使用している。
【0005】図3は従来の自動変速機液冷却構造を示す図で、自動変速機10の内部を循環して温度が上昇したATFが出口ポート11を介してオイルクーラー20に循環され、オイルクーラー20で冷却されたATFが帰還ポート12を介して自動変速機10の内部に帰還されてオイルタンク15に供給されることを示す。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従来の自動変速機液冷却構造は、ATFがその温度にかかわらず常にオイルクーラー20を経由するようになっているため、低温始動時のような場合、ATFの温度が迅速に適正状態状態になり得ないので、ATFの流動性が不良な状態が長く持続されて、低温始動性が不良であり、変速衝撃が発生する問題点がある。
【0007】従って、本発明は前記のような問題点を解決するために案出されたもので、常にオイルクーラーを経由するATFを温度条件によって選択的にオイルクーラーを経由するか経由しないようにすることにより、ATFが迅速に適正温度になり得るようにするATFバイパス装置を提供することにその目的がある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため本発明のATFのバイパス装置は、自動変速機側からATFが流入される第1ポートと、オイルクーラーにATFを供給する第2ポートと、オイルクーラーからATFが帰還する第3ポートと、自動変速機のオイルタンク側にATFを供給する第4ポートとを備え、自動変速機とオイルクーラー間に設置されるバルブハウジングと、前記バルブハウジングの内部に前後移動可能に設置され、第1ポートと第2ポートを連通させる第1連結油路が形成され、第3ポートと第4ポートを連通させる連結油路が内設され、前記第1ポートと第4ポートを連通させるバイパス油路が形成されたバルブスプールと、前記バルブスプールの一端に形成された孔に挿入され、熱膨張率が大きくてATFの温度変化による伸縮により前記バイパス油路と第1、2連結油路を選択的に開閉させる熱膨張棒と、前記バルブスプールの熱膨張棒の反対側に設置されてバルブスプールを付勢する弾性スプリングとを具備して構成されることを特徴とする。
【0009】また、本発明の前記ハウジングは、第2ポートと第3ポートが形成された上側部と第1ポートと第4ポートが形成された下側部とから構成されたことを特徴とする。
【0010】また、本発明の前記バルブスプールは、前記第3ポートと第4ポートを連通させる連結油路と、前記第1ポートと第4ポートを連通させるバイパス油路が形成されたことを特徴とする。
【0011】また、本発明の前記バルブスプールは、前記第1ポートと第2ポートを連通させる連結油路が形成されたことを特徴とする。
【0012】さらに、本発明の前記熱膨張棒は、前記バルブスプールより熱膨張率の大きい材質で形成されたことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明による自動変速機液(ATF)のバイパス装置を示すもので、(A)はATFのバイパス状態を、(B)はATFのオイルクーラー経由状態を示すものである。
【0014】本発明によるATFバイパス装置は、自動変速機とオイルクーラー間に設置されたバルブハウジングHと、前記バルブハウジングHの内部に前後移動可能に設置されたバルブスプールSPと、前記バルブスプールSPの一端に形成された孔に挿入され、熱膨張率が大きくて温度変化による伸縮によりバルブスプールSPを移動させる熱膨張棒61と、前記バルブスプールSPの他端と前記バルブハウジングの壁面間に形成された空間部に位置してバルブスプールSPを付勢する弾性スプリング62とから構成される。
【0015】前記バルブハウジングHには、自動変速機側からATFが流入される第1ポート51と、オイルクーラーにATFを供給する第2ポート52と、オイルクーラーからATFが帰還される第3ポート53と、自動変速機のオイルタンクにATFを供給する第4ポート54とが形成される。
【0016】前記バルブスプールSPには、前方上側に第1ポート51と第2ポート52を連通させる第1連結油路57が形成され、第3ポート53と第4ポート54を連通させる第2連結油路55が内設され、下側に前記第1ポート51と第4ポート54が連通されるようにしたバイパス油路56が形成される。
【0017】又、前記バルブハウジングHは上下分離型に製作され、上側ハウジングH1と下側ハウジングH2間にバルブスプールSPとスプリング62を介在した状態で前記上側ハウジングH1と下側ハウジングH2を結合して製作を容易にし、下側ハウジングH2には第1ポート51と第4ポート54が形成され、上側ハウジングH1には第2ポート52と第3ポート53が形成される。
【0018】このように構成された本発明の作用及び効果を説明すると次のようである。低温始動時又はまだATFの温度が低い場合は、図1(A)に示すように、バルブスプールSPの熱膨張棒61が膨張しないので、バルブスプールSPの先端が弾性スプリング62により前方に押されてバルブハウジングHの壁面に最大限密着された状態を維持する。
【0019】この際に、バルブハウジングH内のバルブスプールSPは第1ポート51と第4ポート54とをバイパス油路56を介して連通させる状態であるので、自動変速機側から第1ポート51を介して供給されるATFは前記バイパス油路56を通過し第4ポート54を介して自動変速機のオイルタンクに供給される。
【0020】従って、ATFの温度が適正温度以下である場合はATFがオイルクーラーを通過しないので、ATFの冷却が排除されて迅速に適正温度まで上昇し得る。
【0021】以後、ATFの温度が上昇して適正温度以上となると、図1(B)に示すように、前記バルブスプールSPの熱膨張棒61が膨張することになる。前記熱膨張棒61は大きい熱膨張率を有しているので、ATFの温度変化に対応して敏感に膨張し、熱膨張棒61の熱膨張によりバルブスプールSPは弾性スプリング62を圧縮させながら後方に移動される。
【0022】バルブスプールSPが移動されるにつれて、前記第1ポート51と第4ポート54とを連結するバイパス油路56が遮断され、同時に第1ポート51と第2ポート52はバルブハウジングHとバルブスプールSPの先端部間に形成された油路及び第1連結油路57により連通され、第3ポート53と第4ポート54は第2連結油路55により連通される。
【0023】従って、自動変速機側から第1ポート51を介してバルブハウジングHの内部に流入されたATFは第2ポート52を介してオイルクーラーに供給され、オイルクーラーで冷却されたATFは第3ポート53と第2連結油路55を介して第4ポート54に移動された後、第4ポート54を介して流出されて自動変速機のオイルタンクに供給される。
【0024】結局、ATFの温度が適正温度以上に上昇する場合は、ATFがオイルクーラーを経由してからオイルタンクに回収されるので、ATFの過度な温度上昇が防止される。
【0025】図2には本発明の他の実施の形態が示されている。同図に示す実施の形態の第2ポート52´は図1の実施の形態の第2ポート52より左側に形成され、バルブスプールSP´に第1連結油路57が形成されなかった点を除き図1の実施の形態と同じもので、熱膨張棒61が膨張した場合、自動変速機側からATFが第1ポート51、バルブハウジングHとバルブスプールSPの左側面間に形成された通路及び第2ポート52´を通過してオイルクーラーに供給される。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、本発明はATFの温度状態によってATFがオイルクーラーを経由するか経由しないようにするバイパス装置を提供して、常に適正ATF温度状態を維持させることにより、低温時の流動性確保と低温始動特性改善及び変速衝撃抑制の効果を得る事ができる。
【出願人】 【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【出願日】 平成9年(1997)12月19日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】斎藤 栄一
【公開番号】 特開平11−201265
【公開日】 平成11年(1999)7月27日
【出願番号】 特願平9−365406