| 【発明の名称】 |
移動操作機構及びこれを用いた装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】須藤 則幸
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| 【要約】 |
【課題】アクチュエ−タを停止しても、移動操作機構の位置保持機能によって4WD状態と2WD状態とを保持する。
【解決手段】エンジンの駆動力によって回転駆動されるアウタ−ケ−ス5と、アウタ−ケ−ス5と相対回転可能に配置されたインナ−ケ−ス7と、インナ−ケ−ス7の回転を車輪側に分配する差動機構9と、ケ−ス5、7との間に設けられた断続機構11と、アクチュエ−タ65の大小の押圧力で断続機構11を断続操作すると共に、アクチュエ−タ65の停止時に、Cリング77がカム75の凹部99、97と係合することにより断続機構11の断続状態を保持する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 2位置に移動可能な移動部材と、この移動部材上に設けられた凸部と、その移動方向両側に設けられそれぞれが前記2位置に対応する2箇所の凹部と、これらの凸部と凹部との間に設けられた斜面と、この斜面を押圧し撓みながら前記凸部を乗り越えて各凹部に係合し、移動部材をそれぞれの位置に保持する第1のばねと、第1のばねの移動を規制する第2のばねと、第3のばねと押圧部材とを介して移動部材及び第1のばねを大小の操作力で押圧するアクチュエ−タとを備え、アクチュエ−タが移動部材を小さい押圧力で押圧すると、第2のばねに移動を規制された第1のばねが、移動部材の移動に伴って一方の凹部から凸部を乗り越えて他方の凹部に係合することによって移動部材がこの位置に保持され、この状態からアクチュエ−タが大きい押圧力で押圧すると、第3のばねが撓み、押圧部材が第2のばねを撓めながら第1のばねを移動させ、移動した第1のばねが他方の凹部から凸部を乗り越えて一方の凹部に係合することによって移動部材がこの位置に保持されることを特徴とする移動操作機構。 【請求項2】 請求項1記載の発明であって、アクチュエ−タが、圧力を受けると押圧力を発生する1個の圧力室を有することを特徴とする移動操作機構。 【請求項3】 請求項2記載の発明であって、アクチュエ−タが、正圧、又は、負圧のいずれか一方で作動することを特徴とする移動操作機構。 【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の発明であって、押圧部材と第3のばねとが一体に形成されたことを特徴とする移動操作機構。 【請求項5】 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の発明であって、押圧部材と第3のばねとが別体に形成されたことを特徴とする移動操作機構。 【請求項6】 請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の発明であって、移動部材の凸部と2箇所の凹部とこれらの間に設けられた斜面が、凸部を中心にした山型のカムを形成することを特徴とする移動操作機構。 【請求項7】 請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の発明であって、第1のばねが、リングの一部を切断した形状のCリングであることを特徴とする移動操作機構。 【請求項8】 請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の発明であって、移動部材が、相手側部材との間で噛み合いクラッチを形成し、2位置のそれぞれで、この噛み合いクラッチの噛み合い状態と噛み合い解除状態とが保持されることを特徴とする移動操作機構。 【請求項9】 2位置に移動可能な移動部材と、この移動部材上に設けられ、凸部とその移動方向両側に設けられた2箇所の凹部とを斜面で連結してなり、各凹部がそれぞれ前記2位置に対応する山型カムと、これらの斜面上を撓みながら移動し凸部を乗り越えて各凹部に係合し、移動部材をそれぞれの位置に保持するCリングと、Cリングの移動を規制する板ばねと、戻しばねと、突起を有する押圧部材と、1個の圧力室を有し、この圧力室に正圧、又は、負圧を受けて作動し、これらの押圧部材と戻しばねとを介して移動部材及びCリングを大小の押圧力で押圧するアクチュエ−タとを備え、アクチュエ−タが移動部材を小さい押圧力で押圧すると、板ばねに移動を規制されたCリングが、移動部材の移動に伴って、山型カムの一方の凹部から凸部を乗り越えて他方の凹部に係合することによって移動部材がこの位置に保持され、この状態からアクチュエ−タが大きい押圧力で押圧すると、戻しばねが撓み、押圧部材の突起がCリングに当たり、板ばねを撓めながらCリングを移動させ、移動したCリングが他方の凹部から凸部を乗り越えて一方の凹部に係合することによって移動部材がこの位置に保持されることを特徴とする移動操作機構。 【請求項10】 請求項9記載の発明であって、押圧部材と戻しばねとが一体に形成されたことを特徴とする移動操作機構。 【請求項11】 エンジンの駆動力によって回転駆動されるアウタ−ケ−スと、アウタ−ケ−スと相対回転可能に配置されたインナ−ケ−スと、インナ−ケ−スの回転を車輪側に分配する差動機構と、アウタ−ケ−スとインナ−ケ−スとの連結を断続する断続機構と、請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載の移動操作機構とを備え、前記断続機構が、アウタ−ケ−ス側に連結された移動操作機構の移動部材とインナ−ケ−スとの間に設けられた噛み合いクラッチであり、移動部材が2位置に移動することによってこの噛み合いクラッチが断続され、断続状態が保持されることを特徴とするデファレンシャル装置。 【請求項12】 請求項11記載の発明であって、第2のばねが、サイドギヤとアウタ−ケ−スとの間に配置された可撓性のワッシャであることを特徴とするデファレンシャル装置。 【請求項13】 エンジンの駆動力によって回転駆動されるデフケ−スと、デフケ−スの回転を車輪側に分配する差動機構と、その差動をロックする断続機構と、請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載の移動操作機構とを備え、前記断続機構が、デフケ−ス側に連結された移動操作機構の移動部材と差動回転部材との間に設けられた噛み合いクラッチであり、移動部材が2位置に移動することによってこの噛み合いクラッチが断続され、断続状態が保持されることを特徴とするデファレンシャル装置。 【請求項14】 エンジンの駆動力によって回転する駆動車軸と、車輪側のハウジングと、駆動車軸側とハウジング側との連結を断続する断続機構と、請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載の移動操作機構とを備え、移動操作機構の移動部材が2位置に移動することによって前記断続機構が断続され、断続状態が保持されることを特徴とするハブクラッチ。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、位置保持機能を備えた移動操作機構と、これを用いた諸装置に関する。 【0002】 【従来の技術】公開実用平成3−68659号公報に図8のようなデファレンシャル装置201が記載されている。 【0003】このデファレンシャル装置201において、デフケ−ス203の回転はプレッシャリング205、205と、カム207、207とを介して差動機構209のピニオンシャフト211に伝達され、ピニオンギヤ213から出力側サイドギヤ215、217を介して車輪側に配分される。 【0004】又、各カム207のスラスト力によりプレッシャリング205、205を介して多板クラッチ219、219が締結され、デフケ−ス203と各サイドギヤ215、217との間で差動機構209の差動が制限される。 【0005】又、デファレンシャル装置201には、サイドギヤ217側の受圧部材221とデフケ−ス203側のリング223との間に噛み合いクラッチ225(差動ロック機構)が設けられている。アクチュエ−タ227はリング223を受圧部材221側に移動操作して噛み合いクラッチ225を噛み合わせ、差動機構209の差動をロックさせる。 【0006】差動ロック状態を保持するために、アクチュエ−タ227はリング223をリタ−ンスプリング229の付勢力に抗して押圧する。 【0007】又、アクチュエ−タ227の作動が停止すると、リタ−ンスプリング229によってリング223が後退し、噛み合いクラッチ225の噛み合いと差動ロックとが解除される。 【0008】又、このような差動ロック機構付きのデファレンシャル装置の他に、デフケ−スの構造を、差動機構を収容するインナ−ケ−スとこれを収容するアウタ−ケ−スとの2重構造にし、アクチュエ−タで操作される断続機構によってインナ−ケ−ス(差動機構)をアウタ−ケ−ス(エンジン側)から切り離し可能にしたデファレンシャル装置がある。 【0009】このようなデファレンシャル装置は、四輪駆動(4WD)車の前後いずれかの車輪側に用いられ、インナ−ケ−スをエンジン側から切り離すと、車両は二輪駆動(2WD)状態になる。 【0010】このデファレンシャル装置では、一般に、アクチュエ−タは断続機構を連結するときに作動し、連結状態(4WD状態)では、これを保持するために常時圧力を加え続ける。 【0011】 【発明が解決しようとする課題】いずれの従来例でも、差動ロック状態を保ち、あるいは、4WD状態を保つためには、上記のように、アクチュエ−タも作動状態に保つ必要がある。 【0012】従って、それだけエネルギ−消費が多い上に、アクチュエ−タや配管系に故障や圧力洩れが生じると、差動ロックや4WD走行のような所期の状態が保持できなくなる。 【0013】そこで、この発明は、位置を保持する機能を有する移動操作機構と、この移動操作機構を用いて、動力の断続状態を保つデファレンシャル装置と、差動のロック状態とロック解除状態とを保つデファレンシャル装置と、車輪の断続状態を保つハブクラッチなどの提供を目的とする。 【0014】 【課題を解決するための手段】請求項1の移動操作機構は、2位置に移動可能な移動部材と、この移動部材上に設けられた凸部と、その移動方向両側に設けられそれぞれが前記2位置に対応する2箇所の凹部と、これらの凸部と凹部との間に設けられた斜面と、この斜面を押圧し撓みながら前記凸部を乗り越えて各凹部に係合し、移動部材をそれぞれの位置に保持する第1のばねと、第1のばねの移動を規制する第2のばねと、第3のばねと押圧部材とを介して移動部材及び第1のばねを大小の操作力で押圧するアクチュエ−タとを備え、アクチュエ−タが移動部材を小さい押圧力で押圧すると、第2のばねに移動を規制された第1のばねが、移動部材の移動に伴って一方の凹部から凸部を乗り越えて他方の凹部に係合することによって移動部材がこの位置に保持され、この状態からアクチュエ−タが大きい押圧力で押圧すると、第3のばねが撓み、押圧部材が第2のばねを撓めながら第1のばねを移動させ、移動した第1のばねが他方の凹部から凸部を乗り越えて一方の凹部に係合することによって移動部材がこの位置に保持されることを特徴とする。 【0015】このように、本発明の移動操作機構では、アクチュエ−タが移動部材を大小の押圧力で押圧するだけで、移動部材と第1のばねとが相対移動し、移動部材上に設けられた2箇所の凹部に第1のばねが係合することによって、移動部材が所定の2位置に移動し、それぞれの位置に保持されるから、アクチュエ−タによって移動部材の位置を保持する必要がない。 【0016】こうして、従来例と異なり、移動部材を移動操作するとき以外はアクチュエ−タとその駆動力源を休止させることができるから、駆動力源のエネルギ−消費と、駆動力源にエネルギ−を与える(駆動する)エンジンの燃費が大幅に向上する。 【0017】従って、アクチュエ−タに故障が生じても、あるいは、アクチュエ−タが圧力を受けて作動するものである場合は、アクチュエ−タや配管系に故障や圧力洩れが生じても、本発明の移動操作機構を用いて機能の切り換えを行う諸装置は、一定の状態に保持されるから、所定の機能を果たすことができる。 【0018】又、アクチュエ−タが空気式アクチュエ−タである場合は、上記のように、アクチュエ−タの作動時間が極めて短く、長時間にわたって圧力を加え続けることがない。 【0019】請求項2の発明は、請求項1記載の移動操作機構であって、アクチュエ−タが、圧力を受けると押圧力を発生する1個の圧力室を有することを特徴とし、請求項1の構成と同等の効果を得る。 【0020】これに加えて、圧力を受けて作動するアクチュエ−タは、大きな押圧力が得られる上に、比較的コンパクトに構成できるから、移動操作機構及びこれを用いる装置をコンパクト化するために有利である。 【0021】又、上記のように、アクチュエ−タを大小の押圧力で同方向に作動させるだけで移動部材の移動操作と位置保持とを行えるから、2個の圧力室を持ち、圧力供給をこれらの間で切り換えて反対方向に作動させる複雑な構造のアクチュエ−タを用いる必要がない。 【0022】こうして、1個の圧力室を持った構造が簡単でコンパクトなアクチュエ−タを用いることが可能になり、アクチュエ−タのコンパクト化によって、移動操作機構とこの移動操作機構を用いる装置がそれだけ構造簡単でコンパクトになり、軽量になる。 【0023】請求項3の発明は、請求項2記載の移動操作機構であって、アクチュエ−タが、正圧、又は、負圧のいずれか一方で作動することを特徴とし、請求項2の構成と同等の効果を得る。 【0024】これに加えて、上記のように、アクチュエ−タは同方向に作動するだけでよいから、正圧の駆動力源と負圧の駆動力源の両方を用い、これらを切り換えてアクチュエ−タを反対方向に作動させる必要がない。 【0025】こうして、駆動力源の構成も簡単になるから、移動操作機構及びこれを用いる装置も構成が簡素化されて有利である。 【0026】又、負圧を用いる場合は、エンジンのインテ−クマニホ−ルドに生じる負圧を駆動力源に利用することが可能であり、この場合、バキュ−ムポンプのような負圧の駆動力源が不要になるから、それだけ、低コストで実施できる。 【0027】請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の移動操作機構であって、押圧部材と第3のばねとが一体に形成されたことを特徴とし、請求項1乃至請求項3の構成と同等の効果を得る。 【0028】これに加えて、押圧部材と第3のばねとを一体に形成したことにより、部品点数がそれだけ低減されるから、組付け作業が容易になり、部材の管理コストが低減される。 【0029】請求項5の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の発明であって、押圧部材と第3のばねとが別体に形成されたことを特徴とし、請求項1乃至請求項3の構成と同等の効果を得る。 【0030】これに加えて、押圧部材と第3のばねとを別体に形成したから、それぞれを個別に交換することが可能になり、例えば、第3のばねを特性の異なったものに変えることによって、下記の実施形態で説明するように、移動操作機構の動作を調整することが可能である。 【0031】請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の移動操作機構であって、移動部材の凸部と2箇所の凹部とこれらの間に設けられた斜面が、凸部を中心にした山型のカムを形成することを特徴とし、請求項1乃至請求項5の構成と同等の効果を得る。 【0032】これに加えて、凸部と2箇所の凹部とこれらを連結する斜面によって移動部材上に山型のカムを形成したことにより、移動部材と第1のばねとの摺動による相対移動がそれだけスム−ズに行われ、移動操作機構の切り換え機能の信頼性が向上する。 【0033】請求項7の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の移動操作機構であって、第1のばねが、リングの一部を切断した形状のCリングであることを特徴とし、請求項1乃至請求項6の構成と同等の効果を得る。 【0034】これに加えて、第1のばねに用いられたCリングは、形状が移動部材の凹部に係合させるのに好適である上に、断面が小さいから狭いスペ−スに配置可能であり、移動操作機構及びこれを用いる諸装置のコンパクト化に有利である。 【0035】又、形状がほぼ円形のCリングは、移動操作機構をリング状に構成するのに最適である。 【0036】更に、リング状に構成された移動操作機構は、デファレンシャル装置やハブクラッチのような回転機器に同軸配置できるから、これらの装置のコンパクト化に極めて有利である。 【0037】請求項8の発明は、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の移動操作機構であって、移動部材が、相手側部材との間で噛み合いクラッチを形成し、2位置のそれぞれで、この噛み合いクラッチの噛み合い状態と噛み合い解除状態とが保持されることを特徴とし、請求項1乃至請求項7の構成と同等の効果を得る。 【0038】これに加えて、噛み合い状態及び噛み合い解除状態の保持が可能な噛み合いクラッチに構成したこの移動操作機構は、噛み合いクラッチで動力を断続するデファレンシャル装置、噛み合いクラッチで差動をロックするデファレンシャル装置、噛み合いクラッチで車輪を切り離すハブクラッチのような諸装置に好適であり、アクチュエ−タの駆動エネルギ−を大幅に低減することができる。 【0039】請求項9の移動操作機構は、2位置に移動可能な移動部材と、この移動部材上に設けられ、凸部とその移動方向両側に設けられた2箇所の凹部とを斜面で連結してなり、各凹部がそれぞれ前記2位置に対応する山型カムと、これらの斜面上を撓みながら移動し凸部を乗り越えて各凹部に係合し、移動部材をそれぞれの位置に保持するCリングと、Cリングの移動を規制する板ばねと、戻しばねと、突起を有する押圧部材と、1個の圧力室を有し、この圧力室に正圧、又は、負圧を受けて作動し、これらの押圧部材と戻しばねとを介して移動部材及びCリングを大小の押圧力で押圧するアクチュエ−タとを備え、アクチュエ−タが移動部材を小さい押圧力で押圧すると、板ばねに移動を規制されたCリングが、移動部材の移動に伴って、山型カムの一方の凹部から凸部を乗り越えて他方の凹部に係合することによって移動部材がこの位置に保持され、この状態からアクチュエ−タが大きい押圧力で押圧すると、戻しばねが撓み、押圧部材の突起がCリングに当たり、板ばねを撓めながらCリングを移動させ、移動したCリングが他方の凹部から凸部を乗り越えて一方の凹部に係合することによって移動部材がこの位置に保持されることを特徴とし、請求項1、2、3、6、7、9の構成と同等の効果を得る。 【0040】請求項10の発明は、請求項9記載の移動操作機構であって、押圧部材と戻しばねとが一体に形成されたことを特徴とし、請求項9の構成と同等の効果を得る。 【0041】これに加えて、押圧部材と戻しばねとを一体に形成したことにより、請求項4の構成と同等の効果を得る。 【0042】請求項11のデファレンシャル装置は、エンジンの駆動力によって回転駆動されるアウタ−ケ−スと、アウタ−ケ−スと相対回転可能に配置されたインナ−ケ−スと、インナ−ケ−スの回転を車輪側に分配する差動機構と、アウタ−ケ−スとインナ−ケ−スとの連結を断続する断続機構と、請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の移動操作機構とを備え、前記断続機構が、アウタ−ケ−ス側に連結された移動操作機構の移動部材とインナ−ケ−スとの間に設けられた噛み合いクラッチであり、移動部材が2位置に移動することによってこの噛み合いクラッチが断続され、断続状態が保持されることを特徴とする。 【0043】噛み合いクラッチを噛み合わせると、アウタ−ケ−スを回転させるエンジンの駆動力は、噛み合いクラッチからインナ−ケ−スに伝達され、差動機構によって車輪側に分配される。又、噛み合いクラッチの噛み合いを解除すると、インナ−ケ−ス以下はエンジン側から切り離され、車輪はフリ−回転状態になる。 【0044】このデファレンシャル装置は四輪駆動(4WD)車の前後いずれかの車輪側に用いられており、上記のように、噛み合いクラッチを連結すると車両は4WD状態になり、連結を解除すると車両は2WD状態になる。 【0045】このデファレンシャル装置では、噛み合いクラッチの断続操作が請求項1乃至請求項10の移動操作機構で行われ、上記のように、移動操作機構の位置保持機能によって移動部材(噛み合いクラッチ)が噛み合い位置と噛み合い解除位置に保持されるから、従来例と異なり、これらの位置を保持するためにアクチュエ−タに駆動力を与え続ける必要がない。 【0046】従って、駆動力源のエネルギ−消費(エンジン燃費)が大きく低減されると共に、例えば、アクチュエ−タや配管系などに故障や圧力洩れが生じても、4WD状態あるいは2WD状態をそのまま保つことができる。 【0047】請求項12の発明は、請求項11記載のデファレンシャル装置であって、第2のばねが、サイドギヤとアウタ−ケ−スとの間に配置された可撓性のワッシャであることを特徴とし、請求項11の構成と同等の効果を得る。 【0048】これに加えて、第2のばねである可撓性のワッシャをサイドギヤとアウタ−ケ−スとの間に配置し、ワッシャを第2のばねに利用したことにより、部品点数の増加が防止される。 【0049】又、サイドギヤとアウタ−ケ−スとに挟まれて可撓性ワッシャの支持が安定するから、移動操作機構による噛み合いクラッチの断続機能が更に安定する。 【0050】請求項13のデファレンシャル装置は、エンジンの駆動力によって回転駆動されるデフケ−スと、デフケ−スの回転を車輪側に分配する差動機構と、その差動をロックする断続機構と、請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の移動操作機構とを備え、前記断続機構が、デフケ−ス側に連結された移動操作機構の移動部材と差動回転部材との間に設けられた噛み合いクラッチであり、移動部材が2位置に移動することによってこの噛み合いクラッチが断続され、断続状態が保持されることを特徴とする。 【0051】噛み合いクラッチを、例えば、デフケ−スと差動機構のサイドギヤとの間に配置し、その噛み合いを解除すると、デフケ−スを回転させるエンジンの駆動力は、差動機構によって車輪側に分配されると共に、悪路などで車輪間に駆動抵抗差が生じた場合は、各車輪側に差動分配される。又、噛み合いクラッチを噛み合わせると、差動回転はサイドギヤとデフケ−スとの間でロックされる。 【0052】又、急発進時、急加速時、悪路走行時などで、噛み合いクラッチを噛み合わせると、その差動ロック機能によって空転車輪からの駆動トルクの逃げが防止され、他側車輪に大きな駆動力が送られて、発進性、加速性、悪路の脱出性と走破性などが大きく向上する。 【0053】このデファレンシャル装置では、噛み合いクラッチの操作が請求項1乃至請求項10の移動操作機構で行われ、移動操作機構の位置保持機能によって移動部材(噛み合いクラッチ)が噛み合い位置と噛み合い解除位置に保持されるから、図8の従来例と異なり、これらの位置を保持するためにアクチュエ−タに駆動力を与え続ける必要がない。 【0054】従って、請求項11の構成と同様に、駆動力源のエネルギ−消費(エンジン燃費)が大きく低減されると共に、アクチュエ−タや配管系などに故障や圧力洩れが生じても、差動ロック状態あるいはロック解除状態をそのまま保つことができる。 【0055】請求項14のハブクラッチは、エンジンの駆動力によって回転する駆動車軸と、車輪側のハウジングと、駆動車軸側とハウジング側との連結を断続する断続機構と、請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の移動操作機構とを備え、移動操作機構の移動部材が2位置に移動することによって前記断続機構が断続され、断続状態が保持されることを特徴とする。 【0056】このハブクラッチは四輪駆動(4WD)車が二輪駆動走行するときに、切り離される車輪側に用いられており、断続機構を連結すると、駆動車軸とハウジングとが連結され、車輪にエンジンの駆動力が伝達されて車両は4WD状態になる。又、断続機構の連結を解除すると、車輪はエンジン側から切り離されてフリ−回転状態になり、車両は2WD状態になる。 【0057】このハブクラッチでは、断続機構の断続操作が請求項1乃至請求項10の移動操作機構で行われ、上記のように、移動操作機構の位置保持機能によって移動部材(断続機構)が連結位置と連結解除位置に保持されるから、これらの位置を保持するためにアクチュエ−タに駆動力を与え続ける必要がない。 【0058】従って、駆動力源のエネルギ−消費(エンジン燃費)が大きく低減されると共に、アクチュエ−タや配管系などに故障や圧力洩れが生じても、4WD状態(連結状態)あるいは2WD状態(連結解除状態)をそのまま保つことができる。 【0059】 【発明の実施の形態】図1乃至図5によって本発明の第1実施形態を説明する。この実施形態は請求項1、2、3、4、6、7、8、9、10、11、12の特徴を備えている。図1と図3乃至図5はこの実施形態の移動操作機構1とこれを用いたデファレンシャル装置3とを示している。なお、左右の方向は各図での左右の方向であり、符号を与えていない部材等は図示されていない。 【0060】デファレンシャル装置3は四輪駆動車の前輪側又は後輪側の車軸上に配置されている。 【0061】図1と図3乃至図5のように、デファレンシャル装置3は、移動操作機構1、アウタ−ケ−ス5、インナ−ケ−ス7、差動機構9、噛み合いクラッチ11(断続機構)などから構成されている。 【0062】アウタ−ケ−ス5はケ−シング本体13の右側にボルトでカバ−15を固定して構成されている。アウタ−ケ−ス5にはリングギヤがボルトで固定されており、このリングギヤはエンジンの駆動力を伝達する動力伝達系の出力ギヤ(ドライブピニオンギヤ)と噛み合っている。こうして、アウタ−ケ−ス5はエンジンの駆動力によって回転駆動される。 【0063】又、この動力伝達系には、エンジンの駆動力を遮断する2−4切換え機構が配置されている。 【0064】インナ−ケ−ス7はほぼリング状に形成されており、その外周はアウタ−ケ−ス5の内周に摺動回転自在に支承されている。インナ−ケ−ス7の右端部とアウタ−ケ−ス5のカバ−15との間にはワッシャ16が配置されており、互いの摺動抵抗を低減させている。 【0065】又、インナ−ケ−ス7の外周とアウタ−ケ−ス5の内周の間にはオイル溜り17が設けられており、インナ−ケ−ス7とアウタ−ケ−ス5との摺動部とワッシャ16などにオイルを与えて潤滑している。 【0066】デファレンシャル装置3はデフキャリヤの内部に配置されており、アウタ−ケ−ス5のボス部19、21はベアリングを介してデフキャリヤに支承されている。デフキャリヤにはオイル溜りが設けられており、デファレンシャル装置3は、静止状態でその下部がオイル溜りに浸され、回転するとリングギヤによってオイル溜りからオイルを撥ね上げる。 【0067】差動機構9はベベルギヤ式の差動機構であり、ピニオンシャフト23と、ピニオンシャフト23上に回転自在に支承されたピニオンギヤ25と、ピニオンギヤ25と噛み合った左右の出力側サイドギヤ27、29とから構成されている。 【0068】ピニオンシャフト23の外側端部はインナ−ケ−ス7の貫通孔31を貫通し、スプリングピン33で固定されている。ピニオンシャフト23の外周には螺旋状のオイル溝が設けられ、ピニオンギヤ25との摺動部にオイルを与えて潤滑している。又、インナ−ケ−ス7の内周にはピニオンギヤ25の噛み合い反力を受ける球面ワッシャ部35が形成されている。 【0069】各サイドギヤ27、29のボス部37、39はアウタ−ケ−ス5の支承部41、43によって回転自在に支承されている。又、各サイドギヤ27、29はボス部37、39の内周に設けられたスプライン45、47によって車軸に連結され、これらの車軸を介して左右の車輪側に連結されている。 【0070】又、サイドギヤ27とアウタ−ケ−ス5との間には外周が花びら状になったワッシャ49(可撓性のワッシャ:板ばね:第2のばね)が配置されており、サイドギヤ29とアウタ−ケ−ス5との間にはスラストワッシャ51が配置され、それぞれサイドギヤ27、29の噛み合いスラスト力を受けている。 【0071】噛み合いクラッチ11は、インナ−ケ−ス7(相手側部材)の左端部に設けられた噛み合い歯53とクラッチ部材55(移動部材)のリング状基部57に設けられた噛み合い歯59とで構成されている。クラッチ部材55は軸方向移動自在に配置されており、基部57には複数本の腕61が設けられ、これらの腕61はケ−シング本体13の開口63を外部に貫通している。 【0072】クラッチ部材55は、下記のように、移動操作機構1によって左右に移動操作され、位置を保持される。 【0073】クラッチ部材55が、図3乃至図5に示した噛み合い位置に移動すると、噛み合い歯59がインナ−ケ−ス7の噛み合い歯53と噛み合って、噛み合いクラッチ11が連結され、アウタ−ケ−ス5とインナ−ケ−ス7(差動機構9)が連結される。又、クラッチ部材55が、図1に示した噛み合い解除位置に移動すると、噛み合いクラッチ11の噛み合いが解除され、インナ−ケ−ス7がアウタ−ケ−ス5から切り離される。 【0074】この噛み合いクラッチ11と上記の2−4切換え機構は、同時に連結され、又、同時に連結を解除される。 【0075】噛み合いクラッチ11によってアウタ−ケ−ス5とインナ−ケ−ス7とが連結されると、アウタ−ケ−ス5を回転させるエンジンの駆動力は、ピニオンギヤ25からサイドギヤ27、29を介して左右の車輪に分配され、車両は4WD走行状態になる。 【0076】又、悪路走行中などに車輪間に駆動抵抗差が生じると、エンジンの駆動力はピニオンギヤ25の自転によって左右の車輪に差動分配される。 【0077】噛み合いクラッチ11の連結が解除されるとインナ−ケ−ス7以下はエンジン側から切り離され、各車輪はフリ−回転状態になり、車両は2WD走行状態になる。 【0078】又、このとき連結が解除される2−4切換え機構からアウタ−ケ−スまでの各動力伝達部材は、エンジンの駆動力と各車輪による連れ回りの両方から遮断されて回転が停止し、摩耗、振動、騒音などが防止されると共に、エンジンの燃費が向上する。 【0079】移動操作機構1は、空気式のアクチュエ−タ65(アクチュエ−タ)、ワッシャ49の外周側に形成されたばね部67(第2のばね)、クラッチ部材55、プレッシャプレ−ト69(押圧部材)、プレッシャプレ−ト69に一体形成されたばね部71(リタ−ンスプリング:戻しばね:第3のばね)、プレッシャプレ−ト69に一体形成された突起73、クラッチ部材55に形成された山型のカム75、Cリング77(第1のばね)などから構成されている。 【0080】アクチュエ−タ65はリング状に形成されており、アウタ−ケ−ス5の左ボス部19の周囲に配置されている。 【0081】アクチュエ−タ65の圧力室79はダイヤフラム81の左側とケ−ス83との間に形成されており、ダイヤフラム81には押圧部材85が固定されている。ケ−ス83は連結部材87を介してデフキャリヤ側に固定されている。 【0082】プレッシャプレ−ト69はアクチュエ−タ65の押圧部材85とクラッチ部材55との間に配置されている。プレッシャプレ−ト69には複数本の腕部89が形成されており、プレッシャプレ−ト69はこれらの腕部89をクラッチ部材55の外周に設けられたラグ溝91に移動自在に差し込んで、クラッチ部材55に回転方向に連結されている。 【0083】又、プレッシャプレ−ト69のばね部71はクラッチ部材55と押圧可能に対向しており、突起73はCリング77と押圧可能に対向している。 【0084】アクチュエ−タ65の圧力室79はエアパイプ93を介して圧力調整バルブに接続されており、この圧力調整バルブにはエンジンに駆動されるエアポンプが接続されている。 【0085】この圧力調整バルブはコントロ−ラによって操作され、アクチュエ−タ65に供給する圧力を大小2段に調整する。アクチュエ−タ65は小さな圧力が与えられると小さな押圧力(P2)を発生し、大きな圧力が与えられると大きな押圧力(P5)を発生する。アクチュエ−タ65はこれらの押圧力(P2)、(P5)によって、下記のように、プレッシャプレ−ト69を介してクラッチ部材55とCリング77とを押圧する。 【0086】このコントロ−ラは、車両を四輪駆動状態に切り換えるときは、2−4切換え機構を連結すると共に、アクチュエ−タ65に小さな押圧力(P2)を発生させ、二輪駆動状態に切り換えるときは、2−4切換え機構の連結を解除すると共に、アクチュエ−タ65に大きな押圧力(P5)を発生させる。又、このような押圧力を与えた後、コントロ−ラはアクチュエ−タ65の圧力室79をその都度大気側に開放すると共に、エアポンプを停止する。 【0087】又、山型のカム75はクラッチ部材55の内周に形成されており、図2に拡大して示したように、カム75は凸部95とその軸方向(移動方向)の左側と右側に設けられた凹部97、99と、これらを連結する斜面101、103とから構成されている。 【0088】右側の凹部99は噛み合いクラッチ11(クラッチ部材55)の噛み合い解除位置に対応しており、左側の凹部97は噛み合いクラッチ11の噛み合い位置に対応している。 【0089】又、Cリング77は、ワッシャ49のばね部67とアウタ−ケ−ス5の凹部105との間に配置されており、その付勢力でカム75の面を押圧している。 【0090】図1は、噛み合いクラッチ11の噛み合いが解除された状態(2W状態)を示し、図3は、噛み合いクラッチ11を噛み合わせる状態(2WD→4WD切換状態)を示し、図4は、噛み合いクラッチ11が噛み合っている状態(4WD状態)を示し、図5は、噛み合いクラッチ11の噛み合いを解除する状態(4WD→2WD切換状態)を示す。 【0091】上記のように、アクチュエ−タ65の大小の押圧力はそれぞれ(P5)(P2)であり、又、Cリング77の保持力を(P1)とし、プレッシャプレ−ト69のばね部71のばね力を(P3)とし、ワッシャ49のばね部67のばね力を(P4)とすると、P1<P2<P3<P4<P5である。 【0092】図1のように、クラッチ部材55が噛み合いクラッチ11の噛み合い解除位置にあると、Cリング77は、上記のように、噛み合い解除位置に対応した右側の凹部99に係合する。 【0093】このとき、Cリング77の付勢力が凹部99を押圧することにより保持力(P1)が生じ、この保持力(P1)によってクラッチ部材55はこの位置に保持され、2WD状態が保たれる。 【0094】次に、図1の状態から、図3のように、アクチュエ−タ65に小さな押圧力(P2)を与えると、プレッシャプレ−ト69を介してクラッチ部材55が押圧され、右方に移動して噛み合いクラッチ11が噛み合う。 【0095】このとき、上記のように、押圧力(P2)はプレッシャプレ−ト69のばね部71のばね力(P3)より小さく、ばね部71が撓まないから、プレッシャプレ−ト69の突起73はCリング77に突き当たらず、誤動作が防止される。 【0096】更に、このとき、ワッシャ49のばね部67に突き当たって移動を規制されたCリング77は、クラッチ部材55の右移動に伴って、カム75の斜面103を登り、凸部95を乗り越えて斜面101を下り、噛み合い位置に対応した左側の凹部97に係合する。 【0097】図4のように、Cリング77が左側の凹部97に係合すると、Cリング77の付勢力が斜面101を押圧して右方向の保持力(P1R)が生じ、この保持力(P1R)によってクラッチ部材55はこの位置に保持され、4WD状態が保たれる。 【0098】又、噛み合いクラッチ11を噛み合わせた後は、上記のように、コントロ−ラがアクチュエ−タ65の作動を停止させ、圧力室79を大気側に開放するから、押圧部材85が後退してプレッシャプレ−ト69から離れる。 【0099】次に、図4の状態から、アクチュエ−タ65に大きな押圧力(P5)を与えると、上記のように、押圧力(P5)がばね部71のばね力(P3)及びばね部67のばね力(P4)より大きいから、図5のように、先ずばね部71が撓み、次いでプレッシャプレ−ト69の突起73が、押圧力(P5)によりCリング77を介してワッシャ49のばね部67を撓める。更に、このばね部67の撓みに伴ってCリング77がカム75の斜面101を登り、凸部95を乗り越えて斜面103を下り右側の凹部99に係合する。 【0100】こうして、図1の状態に戻り、クラッチ部材55は噛み合い解除位置に保持され、2WD状態が保持される。 【0101】噛み合いクラッチ11の噛み合いを解除させた後は、上記のように、コントロ−ラがアクチュエ−タ65の作動を停止させ、圧力室79を大気側に開放し、押圧部材85が後退してプレッシャプレ−ト69から離れる。 【0102】このように、Cリング77と凹部99、97との係合によってクラッチ部材55が噛み合い解除位置と噛み合い位置にそれぞれ保持され、車両の4WD状態と2WD状態とが保持されるから、アクチュエ−タ65によってクラッチ部材55の位置を保持する必要がない。 【0103】従って、従来例と異なり、噛み合いクラッチ11を噛み合わせ、又、噛み合いを解除するとき以外は、上記のように、アクチュエ−タ65とエアポンプとを休止させることができる。 【0104】アウタ−ケ−ス5には、ケ−シング本体13の開口61の他に、カバ−15に開口107が設けられており、ボス部19、21の内周には螺旋状のオイル溝109、111が設けられている。又、ケ−シング本体13とカバ−15には、それぞれ径方向のオイル溝113、115が設けられている。 【0105】アウタ−ケ−ス5の回転時と静止時とを問わず、デフキャリヤのオイル溜りからこれらの開口61、107と螺旋状のオイル溝109、111を介してオイルがアウタ−ケ−ス5に流出入する。流入したオイルは、差動機構9の各ギヤの噛み合い部や摺動部、アウタ−ケ−ス5とインナ−ケ−ス7との摺動部、噛み合いクラッチ11などに供給され、これらを潤滑する。 【0106】又、オイル溝109、111のオイルはアウタ−ケ−ス5の支承部41、43を潤滑し、更に、遠心力によってオイル溝113、115からアウタ−ケ−ス5とインナ−ケ−ス7との摺動部や噛み合いクラッチ11などに供給され、各部の潤滑性を向上させる。 【0107】こうして、移動操作機構1とデファレンシャル装置3とが構成されている。 【0108】上記のように、この移動操作機構1では、Cリング77の位置保持機能によってクラッチ部材55が噛み合い解除位置と噛み合い位置にそれぞれ保持され、車両(デファレンシャル装置3)の4WD状態と2WD状態とが保持されるから、アクチュエ−タ65でクラッチ部材55の位置を保持する必要がない。 【0109】従って、従来例と異なり、噛み合いクラッチ11の噛み合い操作時と噛み合い解除操作時にだけアクチュエ−タ65を作動させ、操作後は停止させるから、正圧駆動力源であるエアポンプの耐久性が向上すると共に、エアポンプを駆動するエンジンの燃費が大きく向上する。 【0110】又、アクチュエ−タ65、エアポンプ、配管系などに故障や圧力洩れが生じても、噛み合いクラッチ11の位置と、車両の4WD状態と2WD状態とをそのまま保持することができる。 【0111】又、位置保持のためにアクチュエ−タ65にエア圧を与え続ける必要がないから、アクチュエ−タ65の内部や配管に水分が溜まることが防止され、耐久性が向上する。 【0112】又、アクチュエ−タ65のように圧力を受けて作動するアクチュエ−タは、大きな押圧力が得られる上に、比較的コンパクトに構成できるから、移動操作機構1及びデファレンシャル装置3がそれだけコンパクト化されて、有利である。 【0113】又、上記のように、小さい押圧力(P2)でクラッチ部材55を押圧すると噛み合いクラッチ11が噛み合い、次に、大きい押圧力(P5)で同方向にCリング77を押圧すると噛み合いが解除されるように構成したことにより、アクチュエ−タ65は同方向に作動するだけでよい。 【0114】従って、2個の圧力室を持った複雑な構造のアクチュエ−タを用い、圧力供給を両圧力室の間で切り換えて反対方向に作動させる必要がない。 【0115】こうして、圧力室79が1個だけの構造が簡単でコンパクトなアクチュエ−タ65を用いることが可能になり、アクチュエ−タ65のコンパクト化によって、移動操作機構1とデファレンシャル装置3が更に軽量でコンパクトになる。 【0116】又、アクチュエ−タを同方向に作動させるだけでよいから、正圧の駆動力源と負圧の駆動力源の両方を用い、これらを切り換えてアクチュエ−タ65を反対方向に作動させる必要もない。 【0117】こうして、駆動力源も簡素化されるから、移動操作機構1とデファレンシャル装置3の構造はそれだけ簡素化される。 【0118】又、プレッシャプレ−ト69にばね部71を一体形成したことにより、部品点数がそれだけ低減され、組付け作業が容易になり、部材の管理コストが低減される。 【0119】又、凸部95と2箇所の凹部97、99とこれらを連結する斜面101、103とによってクラッチ部材55上に山型のカム75を形成したから、クラッチ部材55とCリング77との摺動による相対移動がそれだけスム−ズに行われ、移動操作機構1の切り換え機能の信頼性が向上する。 【0120】又、Cリング77は、その形状がクラッチ部材55の凹部97、99に係合させるのに好適である上に、断面が小さいから狭いスペ−スに配置可能であり、従って、移動操作機構1とデファレンシャル装置3のコンパクト化に有利である。 【0121】又、形状がほぼ円形のCリング77は、移動操作機構1をリング状に構成するのに最適であり、上記のように、リング状に構成された移動操作機構1はデファレンシャル装置3のような回転機器に同軸配置することが可能になるから、デファレンシャル装置3のコンパクト化に極めて有利である。 【0122】又、第2のばねである可撓性のワッシャ49をサイドギヤ27とアウタ−ケ−ス5との間に配置し、ワッシャ49を第2のばねに利用したことにより、部品点数の増加が防止される。 【0123】又、サイドギヤ27とアウタ−ケ−ス5とに挟まれてワッシャ49の支持が安定するから、噛み合いクラッチ11の断続機能も安定する。 【0124】上記の第1実施形態は、プレッシャプレ−ト69(押圧部材)にばね部71(第3のばね)を一体形成した例であるが、本発明において、押圧部材と第3のばねとは別体に形成してもよい(請求項5)。 【0125】図6は、このように構成された第2実施形態の移動操作機構117を示している。 【0126】この移動操作機構117では、プレッシャプレ−ト119とクラッチ部材55との間に、リタ−ンスプリング121(第3のばね)が配置されている。 【0127】プレッシャプレ−ト119には複数本の腕部123が形成されており、これらの腕部123をクラッチ部材55のラグ溝91に移動自在に差し込むことにより、プレッシャプレ−ト119はクラッチ部材55と回転方向に連結されている。又、プレッシャプレ−ト119には突起125が一体に形成されている。 【0128】リタ−ンスプリング121のばね力は(P3)であり、上記プレッシャプレ−ト69のばね部71と同様に、プレッシャプレ−ト119を介してアクチュエ−タ65の押圧力(P2)を受けると、クラッチ部材55を押圧し、噛み合いクラッチ11を噛み合わせ、車両を4WD状態にする。 【0129】更に、押圧力(P2)より大きいリタ−ンスプリング121のばね力(P3)は、このように2WD状態から4WD状態へ切り換えるときに、プレッシャプレ−ト119の突起125がCリング77に突き当たらないようにし、移動操作機構117の誤動作を防止する。 【0130】このように、プレッシャプレ−ト119とリタ−ンスプリング121とを別体に形成したから、それぞれを個別に交換することが可能になり、例えば、リタ−ンスプリング121を交換し、そのばね力(P3)を変えることによって移動操作機構117の動作を調整することができる。 【0131】図7は、第3実施形態の移動操作機構127を示す。 【0132】この移動操作機構127では、第2のばねである可撓性のワッシャ49とサイドギヤ27との間にシム129(間隔調整部材)が配置されている(請求項8、12)。 【0133】このように、ワッシャ49とサイドギヤ27との間にシム129を配置したことにより、シム129の厚さ調整によってワッシャ49の位置と撓み量を変えることが可能になる。 【0134】従って、4WD状態から2WD状態への切り換えに当たって、アクチュエ−タ65の押圧力(P5)によりプレッシャプレ−ト69の突起73とCリング77とを介して押圧されるときのばね部67の撓み量を、ワッシャ49の位置を変えることによって調整することが可能になる。 【0135】ばね部67の撓み量をこのように調整すれば、その撓みに伴ってCリング77がカム75の凸部95を乗り越えて、4WD状態から2WD状態への切り換えが正常に行われるように、移動操作機構127の動作を調整することができる。 【0136】なお、各実施形態のデファレンシャル装置は、フロントデフ(エンジンの駆動力を左右の前輪に分配するデファレンシャル装置)とリヤデフ(エンジンの駆動力を左右の後輪に分配するデファレンシャル装置)のいずれにも用いることができる。 【0137】又、本発明の移動操作機構において、圧力を受けて作動するアクチュエ−タの駆動力源は、正圧に限らず、負圧の駆動力源を用いて構成してもよい(請求項3)。 【0138】負圧の駆動力源を用いる場合は、エンジンのインテ−クマニホ−ルドに生じる負圧を駆動力源に利用することが可能であり、この場合、バキュ−ムポンプのような負圧の駆動力源が不要になるから、それだけ、低コストで実施できる。 【0139】又、アクチュエ−タは、圧力を受けて作動するアクチュエ−タに限らず、例えば、電動モ−タを用いたアクチュエ−タや、電磁アクチュエ−タなどでもよく、移動部材を移動操作した後はこれらを休止させることができるから、それだけ消費電力とバッテリの負担が低減され、エンジン燃費が向上する。 【0140】又、本発明の移動操作機構は、差動ロック機能を有するデファレンシャル装置に用いてもよい(請求項13)。 【0141】このデファレンシャル装置では、移動操作機構の移動部材が差動機構の差動をロックする噛み合いクラッチを構成し、移動部材が2位置に移動することによって差動がロックされ、又、ロックが解除される。 【0142】差動をロックすると、急発進時、急加速時、悪路走行時などで、空転車輪からの駆動トルクの逃げが防止され、他側車輪に大きな駆動力が送られて、発進性、加速性、悪路の脱出性と走破性などが大きく向上する。 【0143】又、このデファレンシャル装置では、移動操作機構の位置保持機能によって移動部材(噛み合いクラッチ)が噛み合い位置と噛み合い解除位置とに保持されるから、図8の従来例と異なり、これらの位置を保持するためにアクチュエ−タに駆動力を与え続ける必要がない。 【0144】従って、請求項11の構成と同様に、駆動力源のエネルギ−消費(エンジン燃費)が大きく低減されると共に、アクチュエ−タや配管系などに故障や圧力洩れが生じても、差動ロック状態あるいはロック解除状態をそのまま保つことができる。 【0145】又、空気式アクチュエ−タの場合、内部や配管に水分が溜まることが防止され、故障が減少し、耐久性が向上する。 【0146】この請求項13のデファレンシャル装置は、フロントデフ(エンジンの駆動力を左右の前輪に分配するデファレンシャル装置)とリヤデフ(エンジンの駆動力を左右の後輪に分配するデファレンシャル装置)とセンタ−デフ(エンジンの駆動力を前輪側と後輪側に分配するデファレンシャル装置)のいずれにも用いることができる。 【0147】又、本発明の移動操作機構は、駆動車軸側と車輪側とを断続するハブクラッチに用いてもよい(請求項14)。 【0148】このハブクラッチでは、移動操作機構の移動部材が2位置に移動することによって断続機構が操作され、車輪側と駆動車軸側とが断続され、又、断続状態が保持される。 【0149】ハブクラッチを連結すると、車輪にエンジンの駆動力が伝達されて車両は4WD状態になり、連結を解除すると、車輪はエンジン側から切り離されてフリ−回転状態になり、車両は2WD状態になる。 【0150】又、このハブクラッチでは、移動操作機構の位置保持機能によって移動部材(断続機構)が連結位置と連結解除位置に保持されるから、これらの位置を保持するためにアクチュエ−タに駆動力を与え続ける必要がない。 【0151】従って、駆動力源のエネルギ−消費(エンジン燃費)が大きく低減されると共に、アクチュエ−タの故障や配管系などの圧力洩れが生じても、4WD状態(連結状態)あるいは2WD状態(連結解除状態)をそのまま保つことができる。 【0152】又、空気式アクチュエ−タを用いた場合、その内部や配管に水分が溜まることが防止され、故障が減少し、耐久性が向上する。 【0153】 【発明の効果】請求項1の移動操作機構は、上記のように、アクチュエ−タを移動部材の移動操作時にだけ作動させ、移動操作後は停止させるから、駆動力源のエネルギ−消費が大きく低減されると共に、例えば、圧力式アクチュエ−タの場合、アクチュエ−タや配管系などに故障や圧力洩れが生じても、移動部材の位置がそのまま保持されるから、この移動操作機構を用いて機能の切り換えを行う諸装置は、一定の状態に保持され、所定の機能を保持することができる。 【0154】又、圧力を加え続けないから、空気式アクチュエ−タの場合、内部や配管に水分が溜まることが防止され、それだけ故障が減少し、耐久性が向上する。 【0155】請求項2の発明は、請求項1の構成と同等の効果を得ると共に、圧力を受けて作動するアクチュエ−タは、大きな押圧力が得られる上に、比較的コンパクトに構成できるから、移動操作機構及びこれを用いる装置のコンパクト化に有利である。 【0156】又、アクチュエ−タを大小の押圧力で同方向に作動させるだけで移動部材の移動操作と位置保持とを行えるから、圧力室が1個だけの構造が簡単でコンパクトなアクチュエ−タを用いることが可能になり、アクチュエ−タのコンパクト化によって、移動操作機構とこの移動操作機構を用いる装置がそれだけ構造簡単でコンパクトになり、軽量になる。 【0157】請求項3の発明は、請求項2の構成と同等の効果を得ると共に、アクチュエ−タに正圧の駆動力源と負圧の駆動力源の両方を用いる必要がないから、駆動力源の構成も簡単になり、移動操作機構及びこれを用いる装置も構成が簡素化されて有利である。 【0158】請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3の構成と同等の効果を得ると共に、押圧部材と第3のばねとを一体に形成したことにより、部品点数がそれだけ低減されるから、組付け作業が容易になり、部材の管理コストが低減される。 【0159】請求項5の発明は、請求項1乃至請求項3の構成と同等の効果を得ると共に、押圧部材と第3のばねとを別体に形成し、それぞれを個別に交換できるようにしたから、例えば、第3のばねを特性の異なったものに変えることによって、移動操作機構の動作を調整することができる。 【0160】請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5の構成と同等の効果を得ると共に、移動部材上に形成した山型のカムによって、移動部材と第1のばねとの相対移動がスム−ズになり、移動操作機構の切り換え機能の信頼性が向上する。 【0161】請求項7の発明は、請求項1乃至請求項6の構成と同等の効果を得ると共に、Cリングは形状が移動部材の凹部に係合させるのに好適である上に、断面が小さいから狭いスペ−スに配置可能であり、移動操作機構及びこれを用いる諸装置のコンパクト化に有利である。 【0162】又、形状がほぼ円形のCリングは移動操作機構をリング状に構成するのに最適であり、リング状に構成した移動操作機構は、デファレンシャル装置やハブクラッチのような回転機器に同軸配置できるから、これらの装置のコンパクト化に極めて有利である。 【0163】請求項8の発明は、請求項1乃至請求項7の構成と同等の効果を得ると共に、噛み合い状態及び噛み合い解除状態の保持が可能な噛み合いクラッチに構成されたこの移動操作機構は、噛み合いクラッチで動力を断続するデファレンシャル装置、噛み合いクラッチで差動をロックするデファレンシャル装置、噛み合いクラッチで車輪を切り離すハブクラッチのような諸装置に用いて、アクチュエ−タの駆動エネルギ−を低減する目的に好適である。 【0164】請求項9の移動操作機構は、請求項1、2、3、6、7、8の構成と同等の効果を得る。 【0165】請求項10の発明は、請求項9の構成と同等の効果を得ると共に、押圧部材と戻しばねとを一体に形成したことにより、請求項4の構成と同等の効果を得る。 【0166】請求項11のデファレンシャル装置は、請求項1乃至請求項10の移動操作機構の位置保持機能によって移動部材を噛み合いクラッチの連結位置と連結解除位置に保持するから、アクチュエ−タで位置保持をする必要がなく、駆動力源のエネルギ−消費(エンジン燃費)が大きく低減されると共に、アクチュエ−タや配管系などに故障や圧力洩れが生じても、4WD状態あるいは2WD状態をそのまま保つことができる。 【0167】又、空気式アクチュエ−タを用いた場合、その内部や配管に水分が溜まることも防止され、故障が減少し、耐久性が向上する。 【0168】請求項12の発明は、請求項11の構成と同等の効果を得ると共に、第2のばねである可撓性のワッシャをサイドギヤとアウタ−ケ−スとの間に配置し、ワッシャを第2のばねに利用したことにより、部品点数の増加が防止される。 【0169】又、サイドギヤとアウタ−ケ−スとに挟まれて可撓性ワッシャの支持が安定するから、移動操作機構による噛み合いクラッチの断続機能も安定する。 【0170】請求項13のデファレンシャル装置は、請求項1乃至請求項10の移動操作機構の位置保持機能によって移動部材が作動ロック位置とロック解除位置とに保持されるから、図8の従来例と異なり、アクチュエ−タで位置保持をする必要がなく、請求項11の構成と同様に、駆動力源のエネルギ−消費(エンジン燃費)が大きく低減されると共に、アクチュエ−タや配管系などに故障や圧力洩れが生じても、差動ロック状態あるいはロック解除状態をそのまま保つことができる。 【0171】又、空気式アクチュエ−タの場合、その内部や配管に水分が溜まることによる故障が防止され、耐久性が向上する。 【0172】請求項14のハブクラッチは、請求項1乃至請求項10の移動操作機構の位置保持機能によって移動部材(断続機構)が車輪の連結位置と連結解除位置に保持されるから、アクチュエ−タで位置保持をする必要がなく、駆動力源のエネルギ−消費(エンジン燃費)が大きく低減されると共に、アクチュエ−タや配管系などに故障や圧力洩れが生じても、4WD状態(連結状態)あるいは2WD状態(連結解除状態)をそのまま保つことができる。 【0173】又、空気式アクチュエ−タの場合、その内部や配管に水分が溜まることによる故障が防止され、耐久性が向上する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000225050 【氏名又は名称】栃木富士産業株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)1月19日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】三好 秀和 (外8名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−201262 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)7月27日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−7888 |
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