| 【発明の名称】 |
自動変速機の油圧制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】筒井 洋
【氏名】塚本 一雅
【氏名】西田 正明
【氏名】山本 義久
【氏名】斉藤 正雄
【氏名】谷口 孝男
【氏名】久保 孝行
【氏名】鈴木 明智
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| 【要約】 |
【課題】パワーオン状態及びパワーオプ状態等の走行状態が異なっても、同じ制御ロジックで制御を行うことを可能とすると共に、パワーオン状態からアクセルペダルを緩めた場合でも変速時間が間延びすることを防止する。
【解決手段】パワーオン状態の途中においてパワーオフに切換えられた場合、解放側油圧PAは、入力トルクの低下と共にギヤ比変化量に基づくフィードバック制御により、急速に低下する。そして、変速完了までのギヤ比が所定割合に進行しない状態(終期制御開始;基準値)において、上記解放側油圧が油圧サーボの戻しスプリング荷重圧PG 以下に低下するか、又は所定時間内に上記基準値に達しない場合、係合側油圧が主体となるように制御を切換え、点線で示すように係合側油圧が上昇してダウンシフトを進行する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジン出力軸からの動力が入力される入力軸と、車輪に連結される出力軸と、これら入力軸と出力軸との間で動力伝達経路を変更する複数の摩擦係合要素と、これら摩擦係合要素を断・接作動する油圧サーボと、これら油圧サーボの油圧を制御する油圧制御手段と、車輌走行状況に基づく各センサからの信号を入力して、前記油圧制御手段へ油圧制御信号を出力する制御部と、を備えてなる自動変速機の油圧制御装置において、前記制御部は、所定変速段へのダウンシフトに際して解放側となる摩擦係合要素用油圧サーボの油圧を制御する解放側制御手段と、前記所定変速段へのダウンシフトに際して係合側となる摩擦係合要素用油圧サーボの油圧を制御する係合側制御手段と、前記センサからの入力に基づき前記ダウンシフトの進行状況を判断する変速進行判断手段と、前記解放側制御手段による前記ダウンシフトの進行が前記変速進行判断手段に基づく所定進行状態に達しないと判断した場合、前記係合側制御手段により前記ダウンシフトを進行するように切換える切換え判断手段と、を備えることを特徴とする自動変速機の油圧制御装置。 【請求項2】 前記変速進行判断手段は、前記ダウンシフトの進行に伴い変化する変化量により前記ダウンシフトの進行状態を判断し、前記切換え判断手段は、前記変化量が基準値に達しない状態において前記解放側制御手段による前記解放側摩擦係合要素用油圧サーボの油圧が所定圧以下となる場合、前記所定進行状態に達しないと判断してなる、請求項1記載の自動変速機の油圧制御装置。 【請求項3】 前記変速進行判断手段は、前記ダウンシフトの進行に伴い変化する変化量により前記ダウンシフトの進行状態を判断し、前記切換え判断手段は、前記変化量が基準値に達しない状態において変速制御開始から所定時間が経過した場合、前記所定進行状態に達しないと判断してなる、請求項1又は2記載の自動変速機の油圧制御装置。 【請求項4】 前記解放側制御手段は、前記解放側摩擦係合要素用油圧サーボの油圧を入力トルクに基づき算出する制御を有する、請求項2又は3記載の自動変速機の油圧制御装置。 【請求項5】 前記ダウンシフトの進行に伴い変化する変化量が、出力回転数に対する入力回転数の変化量である、請求項1ないし3のいずれか記載の自動変速機の油圧制御装置。 【請求項6】 前記解放側制御手段は、ダウンシフトの進行に伴い変化する変化量に基づき前記解放側の摩擦係合要素用油圧サーボの油圧を制御するフィードバック制御を有する、請求項2,3又は5記載の自動変速機の油圧制御装置。 【請求項7】 前記係合側制御手段は、前記係合側摩擦係合要素が分担するトルクから算出される目標係合油圧に向って上昇する係合制御と、前記ダウンシフトの進行に伴い変化する変化量が所定値に達すると開始する終期制御とを有し、前記基準値は、前記終期制御の開始時に対応してなる、請求項2又は3記載の自動変速機の油圧制御装置。 【請求項8】 前記係合側制御手段は、前記切換え判断手段により係合側制御手段が主体となるように切換えられた際、出力回転数に対する入力回転数の変化量に基づくフィードバック制御を有する、請求項1ないし3のいずれか記載の自動変速機の油圧制御装置。 【請求項9】 前記解放側制御手段は、前記解放側摩擦係合要素が入力トルクに対応したトルク容量を保持する待機制御を有し、該待機制御の時間を、前記入力トルクが大きい場合に短くなるように該入力トルクに応じて制御してなる、請求項1ないし3のいずれか記載の自動変速機の油圧制御装置。 【請求項10】 前記解放側摩擦係合要素用油圧サーボの油圧が前記所定圧以下に低下してから前記切換え判断するまでの不感時間を、前記入力トルクが大きい場合に長くなるように該入力トルクに応じて変更してなる、請求項2記載の自動変速機の油圧制御装置。 【請求項11】 前記不感時間は、油温に応じて変更してなる、請求項10記載の自動変速機の油圧制御装置。 【請求項12】 前記所定圧が、前記解放側摩擦係合要素用油圧サーボの戻しスプリング荷重値である、請求項2、10又は11記載の自動変速機の油圧制御装置。 【請求項13】 前記変速制御開始からの所定時間が、走行状況により予め設定される目標変速時間である、請求項3記載の自動変速機の油圧制御装置。 【請求項14】 前記所定変速段へのダウンシフトが、前記解放側摩擦係合要素を解放すると共に、前記係合側摩擦係合要素を係合することより達成されてなり、前記解放側摩擦係合要素用油圧サーボの油圧及び前記係合側摩擦係合要素用油圧サーボの油圧がそれぞれ別個の前記油圧制御手段にて制御されてなる、請求項1ないし13のいずれか記載の自動変速機の油圧制御装置。 【請求項15】 前記所定変速段へのダウンシフトが、前記解放側摩擦係合要素を解放すると共に、ワンウェイクラッチを機能するか又は該ワンウェイクラッチと並列に配置された前記係合側摩擦係合要素を係合することにより達成されてなる、請求項1,2,3,4,5,9,10,11,12又は13記載の自動変速機の油圧制御装置。 【請求項16】 前記解放側摩擦係合要素用油圧サーボの油圧及び前記係合側摩擦係合要素用油圧サーボの油圧が同じ前記油圧制御手段にて制御され、前記切換え判断手段により、前記油圧制御手段に基づき制御された油圧の連通を、前記解放側摩擦係合要素用油圧サーボから前記係合側摩擦係合要素用油圧サーボに切換えてなる、請求項15記載の自動変速機の油圧制御装置。 【請求項17】 エンジン出力軸からの動力が入力される入力軸と、車輪に連結される出力軸と、これら入力軸と出力軸との間で動力伝達経路を変更する複数の摩擦係合要素と、これら摩擦係合要素を断・接作動する油圧サーボと、備えてなる、自動変速機の油圧制御装置に用いられ、車輌走行状況に基づく各センサからの信号を入力して、前記油圧サーボの油圧を制御する油圧制御手段に油圧制御信号を出力するコンピュータに読取り可能であって、所定変速段へのダウンシフトに際して解放側となる摩擦係合要素用油圧サーボの油圧を制御する解放側制御と、前記所定変速段へのダウンシフトに際して係合側となる摩擦係合要素用油圧サーボの油圧を制御する係合側制御と、前記センサからの入力に基づき前記ダウンシフトの進行状況を判断する変速進行判断と、前記解放側制御による前記ダウンシフトの進行が前記変速進行判断に基づく所定進行状況に達しないと判断した場合、前記係合側制御により前記ダウンシフトを進行するように切換える切換え判断と、を実現させるためのプログラムを記録した記録媒体。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、自動車に搭載される自動変速機の油圧制御装置に係り、詳しくはダウンシフトにおける油圧制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】一般に、車輌の走行状況は、パワーオン、即ち走行中にアクセルペダルを踏んで、エンジンから車輪に動力が伝達される状態、及びパワーオフ、即ち走行中にアクセルペダルの踏込みを戻して、エンジンからの動力が車輪に伝達されない状態、更に高車速・高トルク走行、低トルク・低車速走行等の種々の状況があり、上記走行状況に応じて自動変速機が変速制御される。例えば、パワーオン・ダウンシフト、即ちキックダウンのように、アクセルペダル(スロットル開度大)を踏込んでダウンシフトされ、またパワーオフ・ダウンシフト、即ちアクセルペダルを戻した状態(スロットル開度閉)で、車速の低下に伴って、ダウンシフトされる。 【0003】従来、一方の摩擦係合要素が係合すると共に他方の摩擦係合要素を解放する、いわゆるクラッチツークラッチ(つかみ換え)変速の油圧制御方法として、特開平4−210158号公報に示されるものがある。このものは、パワーオン状態及びパワーオフ状態を検知して、その結果に基づきそれぞれ設定された制御ロジックによりダウンシフト制御を行うものであって、その際、パワーオフ制御中にアクセルペダルを踏込んでパワーオン状態となった場合、その時の解放側の油圧の状態に基づき、パワーオフの制御ロジックを続行するか、パワーオンの制御ロジックに移行するかを判断する。 【0004】具体的には、スロットル開度によりパワーオン状態とパワーオフ状態を判定し、パワーオフ状態にあって、パワーオン状態に変化したことを検知したとき、解放側油圧(オフ動作圧力コマンド)がゼロの場合、パワーオフの制御ロジックを中止してパワーオンの制御ロジックに移行し、かつ該解放側油圧がゼロでない(油圧が残っている)場合、パワーオフ状態のまま係合側油圧を上昇して変速を完了する。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術による油圧制御方法は、基本的にはパワーオン状態とパワーオフ状態とを個別の制御ロジックで行うため、例えば、パワーオン状態でのダウンシフト変速中、アクセルペダルを戻した場合、パワーオン状態での制御ロジックで変速制御を行う。即ち、解放側油圧を下げることで入力回転数がダウンシフト変速後の同期回転数になるように制御を行うが、アクセルペダルを緩めることにより入力回転数の上昇率が低く、該上昇率の低さを解消すべく解放側油圧の解放を速めても、入力軸回転数が同期回動数に上昇せず、係合側油圧により変速を進行する(入力回転数を上昇する)必要がある。 【0006】しかし、上記パワーオン状態での係合側油圧は、解放側とのタイアップ防止のため、同期回転付近までは低圧にて待機する待機制御(充填制御)を設けることが一般的であり、その結果、緩やかな油圧上昇勾配であるため、変速時間が間延びしてしまう問題点がある。 【0007】特に、図24に示すように、自動変速機のシフトレバー100を、Dレンジにおいて1速、2速、3速及び4速の操作ポジションに操作し得るように構成し、自動変速機にあっても、マニュアルにより各変速段に強制的に変速して、マニュアル変速のフィーリングを持たせるものがあるが、通常のDレンジにあっては、上記パワーオンでのダウンシフト変速中にアクセルペダルを緩めて例えばキックダウンをあきらめた場合、通常アップシフトに切換えて上記問題点を回避することが可能であるとしても、上記強制的にマニュアル変速するものにあっては、例えば3→2変速等のダウンシフトが固定されているため、上記アップシフトに切換えて逃げることはできず、上述した問題点が顕在化してしまう。 【0008】また、ワンウェイクラッチが機能するダウンシフトにあっても、パワーオフの場合又はダウンシフト切換え後のエンジンブレーキ作動のため、ワンウェイクラッチと並列に設けられた係合側摩擦係合要素を作動するが、このものでも、パワーオフにおけるマニュアルダウンでは、変速にタイムラグを生じ、かつすべての車速に対して良好なシフトフィーリングを得ることは困難である。 【0009】そこで、本発明は、パワーオン状態及びパワーオフ状態等の走行状態が異なっても、同じ制御ロジックで制御を行うことを可能とすると共に、パワーオン状態からアクセルペダルを緩めた場合でも、変速時間が間延びすることを防止した自動変速機の制御装置を提供することを目的とするものである。 【0010】 【課題を解決するための手段】請求項1に係る本発明は、エンジン出力軸(13)からの動力が入力される入力軸(3)と、車輪に連結される出力軸(14)と、これら入力軸と出力軸との間で動力伝達経路を変更する複数の摩擦係合要素(C1〜C3,B1〜B5)と、これら摩擦係合要素を断・接作動する油圧サーボ(29,30)(B−1,C−2)と、これら油圧サーボの油圧を制御する油圧制御手段(SLS,SLU)と、車輌走行状況に基づく各センサ(22,23,25,26,27)からの信号を入力して、前記油圧制御手段へ油圧制御信号を出力する制御部(21)と、を備えてなる自動変速機の油圧制御装置において、前記制御部は、所定変速段へのダウンシフトに際して解放側となる摩擦係合要素用油圧サーボの油圧(PA)を制御する解放側制御手段(21a)と、前記所定変速段へのダウンシフトに際して係合側となる摩擦係合要素用油圧サーボの油圧(PB)を制御する係合側制御手段(21b)と、前記センサからの入力に基づき前記ダウンシフトの進行状況を判断する変速進行判断手段(21c)と、前記解放側制御手段(21a)による前記ダウンシフトの進行が前記変速進行判断手段に基づく所定進行に達しないと判断した場合、前記係合側制御手段(21b)により前記ダウンシフトを進行するように切換え判断する切換え判断手段(21d)と、を備えることを特徴とする自動変速機の油圧制御装置にある。 【0011】請求項2に係る本発明は、前記変速進行判断手段(21c)は、前記ダウンシフトの進行に伴い変化する変化量により前記ダウンシフトの進行状態を判断し、前記切換え判断手段(21d)は、前記変化量が基準値に達しない状態において前記解放側制御手段による前記解放側摩擦係合要素用油圧サーボの油圧(PA)が所定圧(PG )以下となる場合、前記所定進行状態に達しないと判断してなる(図6,図14,図18参照)、請求項1記載の自動変速機の油圧制御装置にある。 【0012】請求項3に係る本発明は、前記変速進行判断手段(21c)は、前記ダウンシフトの進行に伴い変化する変化量により前記ダウンシフトの進行状態を判断し、前記切換え判断手段(21d)は、前記変化量が基準値に達しない状態において変速制御開始から所定時間(t2)が経過した場合、前記所定進行状態に達しないと判断してなる、請求項1又は2記載の自動変速機の油圧制御装置にある(図16参照)。 【0013】請求項4に係る本発明は、前記解放側制御手段(21a)は、前記解放側摩擦係合要素用油圧サーボの油圧(PA)を入力トルク(Tt)に基づき算出する制御を有する、請求項2又は3記載の自動変速機の油圧制御装置にある。 【0014】請求項5に係る本発明は、前記ダウンシフトの進行に伴い変化する変化量が、出力回転数に対する入力回転数の変化量(ΔN)である、請求項1ないし3のいずれか記載の自動変速機の油圧制御装置にある。 【0015】請求項6に係る本発明は、前記解放側制御手段(21a)は、ダウンシフトの進行に伴い変化する変化量(ΔN)に基づき前記解放側摩擦係合要素用油圧サーボの油圧(PA)を制御するフィードバック制御を有する、請求項2,3又は5記載の自動変速機の油圧制御装置にある。 【0016】請求項7に係る本発明は、前記係合側制御手段(21b)は、前記係合側摩擦係合要素が分担するトルク(TB )から算出される目標係合油圧(PTB)に向って上昇する係合制御と、前記ダウンシフトの進行に伴い変化する変化量が所定値(a1)に達すると開始する終期制御とを有し、前記基準値は、前記終期制御の開始時に対応してなる、請求項2又は3記載の自動変速機の油圧制御装置にある。 【0017】請求項8に係る本発明は、前記係合側制御手段(21b)は、前記切換え判断手段(21d)により係合側制御手段が主体となるように切換えられた際、出力回転数に対する入力回転数の変化量(ΔN)に基づくフィードバック制御を有する、請求項1ないし3のいずれか記載の自動変速機の油圧制御装置にある。 【0018】請求項9に係る本発明は、前記解放側制御手段(21a)は、前記解放側摩擦係合要素が入力トルク(Tt)に対応したトルク容量を保持する待機制御を有し、該待機制御の時間(tw)を、前記入力トルクが大きい場合に短くなるように該入力トルクに応じて制御してなる(図12参照)、請求項1ないし3のいずれか記載の自動変速機の油圧制御装置にある。 【0019】請求項10に係る本発明は、前記解放側摩擦係合要素用油圧サーボの油圧(PA)が前記所定圧(PG )以下に低下してから前記切換え判断するまでの不感時間(t1)を、前記入力トルクが大きい場合に長くなるように該入力トルクに応じて制御してなる(図15参照)、請求項2記載の自動変速機の油圧制御装置にある。 【0020】請求項11に係る本発明は、前記不感時間(t1)は、油温に応じて変更してなる(図23参照)、請求項10記載の自動変速機の油圧制御装置にある。 【0021】請求項12に係る本発明は、前記所定圧が、前記解放側摩擦係合要素用油圧サーボの戻しスプリング荷重値(PG )である、請求項2又は10記載の自動変速機の油圧制御装置にある(図14参照)。 【0022】請求項13に係る本発明は、前記変速制御開始からの所定時間(t2)が、走行状況により予め設定される目標変速時間である、請求項3記載の自動変速機の油圧制御装置にある。 【0023】請求項14に係る本発明は、前記所定変速段へのダウンシフト(例えば3→2変速)が、前記解放側摩擦係合要素(例えばB4ブレーキ)を解放すると共に、前記係合側摩擦係合要素(例えばB5ブレーキ)を係合することより達成されてなり、前記解放側摩擦係合要素用油圧サーボの油圧(PA)及び前記係合側摩擦係合要素用油圧サーボの油圧(PB)がそれぞれ別個の前記油圧制御手段(SLS,SLU)にて制御されてなる、請求項1ないし13のいずれか記載の自動変速機の油圧制御装置にある。 【0024】請求項15に係る本発明は、前記所定変速段へのダウンシフト(例えば5→4変速)が、前記解放側摩擦係合要素(例えばC2クラッチ)を解放すると共に、ワンウェイクラッチ(F1)を機能するか又は該ワンウェイクラッチと並列に配置された前記係合側摩擦係合要素(例えばB1ブレーキ)を係合することにより達成されてなる、請求項1,2,3,4,5,9,10,11,12又は13記載の自動変速機の油圧制御装置にある(図2,図3参照)。 【0025】請求項16に係る本発明は、前記解放側摩擦係合要素用油圧サーボの油圧(PA)及び前記係合側摩擦係合要素用油圧サーボの油圧(PB)が同じ前記油圧制御手段(SL5)にて制御され、前記切換え判断手段により、前記油圧制御手段に基づき制御された油圧の連通を、前記解放側摩擦係合要素用油圧サーボ(C2)から前記係合側摩擦係合要素用油圧サーボ(B1)に切換えてなる、請求項15記載の自動変速機の油圧制御装置にある(図17,図18参照)。 【0026】請求項17に係る本発明は、エンジン出力軸(13)からの動力が入力される入力軸(3)と、車輪に連結される出力軸(14)と、これら入力軸と出力軸との間で動力伝達経路を変更する複数の摩擦係合要素(C1…B1…)と、これら摩擦係合要素を断・接作動する油圧サーボ(29,30,B−1,C−2)と、を備えてなる、自動変速機の油圧制御装置に用いられ、車輌走行状況に基づく各センサからの信号を入力して、前記油圧サーボの油圧を制御する油圧制御手段(SLS,SLU)に油圧制御信号を出力するコンピュータに読取り可能であって、所定変速段へのダウンシフトに際して解放側となる摩擦係合要素の油圧を制御する解放側制御と、前記所定変速段へのダウンシフトに際して係合側となる摩擦係合要素の油圧を制御する係合側制御と、前記センサからの入力に基づき前記ダウンシフトの進行状況を判断する変速進行判断と、前記解放側制御による前記ダウンシフトの進行が前記変速進行判断に基づく所定進行状態に達しないと判断した場合、前記係合側制御により前記ダウンシフトを進行するように切換える切換え判断と、を実現させるためのプログラムを記録した記録媒体にある。 【0027】[作用]以上構成に基づき、例えばパワーオフ状態にある場合、図6及び図18の点線にて示すように、入力トルクが負(又は小)であるため、解放側制御手段(21a)による油圧制御によっては、センサ(25,26)に基づく変速進行判断手段(21c)[例えば出力軸回転数に対する入力軸回転数(ギヤ比)の変化]による所定進行状況に達しないと判断される。例えば、入力トルク及び上記入力回転数の変化量によるフィードバック制御に基づき制御され解放側油圧(PA)が、所定圧(例えばスプリング荷重圧PG )より低くなると、切換え判断手段(21d)が、係合側油圧の制御を主体とする係合側制御手段(21b)に切換え、ダウンシフトを進行する。 【0028】また、例えばパワーオン状態の途中においてパワーオフに切換えられた場合、図13及び図22に示すように、解放側油圧(PA)は、上記入力トルクの低下と共に上記ギヤ比変化量に基づくフィードバック制御等により、急速に低下する。そして、例えば、変速進行判断手段(21c)による変化量が基準値[例えば上記入力回転数変化量が変速完了までの全ギヤ比の所定割合から成る基準値]に達しない状態において、解放側油圧(PA)が、例えば上記所定圧(PG )より低下するか、又は所定時間(t2)が経過した場合、解放側制御手段(21a)の制御によっては所定進行状況に達しないと判断され、切換え判断手段(21d)が、係合側制御手段(21b)を主体とするように切換え、ダウンシフトを進行する。 【0029】なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、本発明の構成に何等影響を与えるものではない。 【0030】 【発明の効果】請求項1に係る本発明によると、パワーオン及びパワーオフ等の走行状況の相違に拘らず、ダウンシフトにあっては共通の制御ロシックで制御することができ、制御部のメモリ容量が小さくて足りる等の構造の簡略化を図ることができる。 【0031】請求項2に係る本発明によると、ダウンシフトに伴う変化量が基準値に達しない状態において解放側の油圧が所定圧以下の場合に係合側油圧の制御が主体となるように切換えられるので、パワーオフ状態にあると、素速く切換えて、ダウンシフトの進行を確実かつ正確に行うことができる。 【0032】請求項3に係る本発明によると、ダウンシフトに伴う変化量が基準値に達しない状態において所定時間が経過した場合、係合側油圧の制御が主体となるように切換わるので、入力トルクが中途半端な状態にあっても、変速時間の間延びを防止してダウンシフトを確実に進行することができる。 【0033】請求項4に係る本発明によると、パワーオフ状態にあっては、解放側油圧が入力トルクに基づき制御される初期制御等において係合側が主体となるように制御して、ダウンシフトの進行を素速くかつ確実に行うことができる。 【0034】請求項5に係る本発明によると、出力回転数に対する入力回転数(ギヤ比)変化量により変速進行状況を判断するので、ダウンシフト完了までの全ギヤ比の所定割合、例えば終期制御判断の回転数に達する等により正確なセンサによるダウンシフト進行状況を判断して、正確かつ確実な変速を行うことができる。 【0035】請求項6に係る本発明によると、パワーオン状態の途中において、パワーオフに切換わった場合も、フィードバック制御により素速くかつ確実に解放側油圧が所定圧以下となり、変速の間延びを防止してダウンシフトのフィーリングを向上することができる。 【0036】請求項7に係る本発明によると、係合側制御手段は、係合制御と終期制御とを有し、該終期制御開始時に基準値が対応するので、解放側制御から係合側制御への切換えをスムーズに行うことができると共に、終期制御開始後の不用な切換えをなくすことができ、更に係合側への切換えによる係合側制御手段による油圧制御を滑らかに行うことができる。 【0037】請求項8に係る本発明によると、係合側を主体とする制御に切換わった場合、係合側主体によるフィードバック制御により正確で確実なダウンシフトの進行を行うことができる。 【0038】請求項9に係る本発明によると、待機制御の時間を入力トルクにより変更することにより、パワーオン状態等の高い入力トルク時には、待機制御の時間を短くして素速いダウンシフトを行うことができると共に、パワーオフ状態等での負(又は低)トルク状態では、例えば係合制御手段のサーボ起動制御に合うようにする等により、正確なダウンシフトを行うことができる。 【0039】請求項10に係る本発明によると、所定圧以下から切換え判断までの不感時間を変化して、入力トルクが負(又は小)の場合に不感時間を短くして素速い切換えを可能とすると共に、高い入力トルク時にあっては、所定不感時間を設けて、リニアソレノイドバルブの応答遅れ等の制御部の遅れを吸収することができる。 【0040】請求項11に係る本発明によると、上記不感時間が、油温も加味して変更されるので、油温による応答速度の変化を考慮して、低温時でもタイアップのないスムーズなダウンシフトを行うことができる。 【0041】請求項12に係る本発明によると、所定圧をスプリング荷重圧として、解放側油圧が油圧サーボから抜けた状態で切換えるので、解放側及び係合側摩擦係合要素のタイアップを確実に防止することができる。 【0042】請求項13に係る本発明によると、所定時間が走行状況により予め設定される目標変速時間であるので、変速段等による常に正確な所定時間が設定されて、走行状況に拘らず適正なダウンシフト変速を行うことができる。 【0043】請求項14に係る本発明によると、解放側摩擦係合要素と係合側摩擦係合要素との掴み換え、いわゆるクラッチツークラッチ変速において、各摩擦係合要素の油圧をそれぞれ別個の油制御手段にて調節することにより、正確で応答性の高い確実なダウンシフトを行うことができる。 【0044】請求項15に係る本発明によると、ワンウェイクラッチを介在したダウンシフトにあっても、該ワンウェイクラッチに並列した係合側摩擦係合要素を正確なタイミングで制御することができ、パワーオフでのマニュアルダウン時でもタイムラグを生じず、パワーオフ、パワーオン及びその中間の状態でも、またすべての車速においても、常に良好なシフトフィーリングでダウンシフトを行うことができる。 【0045】請求項16に係る本発明によると、ワンウェイクラッチを介在する場合、1個の油圧制御手段に基づく油圧を解放側油圧及び係合側油圧に切換えて用いるので、リニアソレノイドバルブ等の高価な油圧制御手段を増設することなく、他の制御との間での干渉を防止して正確なダウンシフトを行うことができる。 【0046】請求項17に係る本発明によると、CDROM等の記録媒体により上述したダウンシフトにおける油圧制御を行うことができる。 【0047】 【発明の実施の形態】以下、図面に沿って、本発明の実施の形態について説明する。 【0048】5速自動変速機1は、図2に示すように、トルクコンバータ4、3速主変速機構2、3速副変速機構5及びディファレンシャル8を備えており、かつこれら各部は互に接合して一体に構成されるケースに収納されている。そして、トルクコンバータ4は、ロックアップクラッチ4aを備えており、エンジンクランクシャフト13から、トルクコンバータ内の油流を介して又はロックアップクラッチによる機械的接続を介して主変速機構2の入力軸3に入力する。そして、一体ケースにはクランクシャフトと整列して配置されている第1軸3(具体的には入力軸)及び該第1軸3と平行に第2軸6(カウンタ軸)及び第3軸(左右車軸)14a,14bが回転自在に支持されており、また該ケースの外側にバルブボディが配設されている。 【0049】主変速機構2は、シンプルプラネタリギヤ7とダブルピニオンプラネタリギヤ9からなるプラネタリギヤユニット15を有しており、シンプルプラネタリギヤ7はサンギヤS1、リングギヤR1、及びこれらギヤに噛合するピニオンP1を支持したキャリヤCRからなり、またダブルピニオンプラネタリタリギヤ9は上記サンギヤS1と異なる歯数からなるサンギヤS2、リングギヤR2、並びにサンギヤS2に噛合するピニオンP2及びリングギヤR2に噛合するピニオンP3を前記シンプルプラネタリギヤ7のピニオンP1と共に支持する共通キャリヤCRからなる。 【0050】そして、エンジンクランクシャフト13からトルクコンバータ4を介して連動している入力軸3は、第1の(フォワード)クラッチC1を介してシンプルプラネタリギヤ7のリングギヤR1に連結し得ると共に、第2の(ダイレクト)クラッチC2を介してシンプルプラネタリギヤ7のサンギヤS1に連結し得る。また、ダブルピニオンプラネタリギヤ9のサンギヤS2は、第1のブレーキB1にて直接係止し得ると共に、第1のワンウェイクラッチF1を介して第2のブレーキB2にて係止し得る。更に、ダブルピニオンプラネタリギヤ9のリングギヤR2は、第3のブレーキB3及び第2のワンウェイクラッチF2にて係止し得る。そして、共通キャリヤCRが、主変速機構2の出力部材となるカウンタドライブギヤ18に連結している。 【0051】一方、副変速機構5は、第2軸を構成するカウンタ軸6の軸線方向リヤ側に向って、出力ギヤ16、第1のシンプルプラネタリギヤ10及び第2のシンプルプラネタリギヤ11が順に配置されており、またカウンタ軸6はベアリングを介して一体ケースに回転自在に支持されている。前記第1及び第2のシンプルプラネタリギヤ10,11は、シンプソンタイプからなる。 【0052】また、第1のシンプルプラネタリギヤ10は、そのリングギヤR3が前記カウンタドライブギヤ18に噛合するカウンタドリブンギヤ17に連結しており、そのサンギヤS3がカウンタ軸6に回転自在に支持されているスリーブ軸12に固定されている。そして、ピニオンP3はカウンタ軸6に一体に連結されたフランジからなるキャリヤCR3に支持されており、また該ピニオンP3の他端を支持するキャリヤCR3はUDダイレクトクラッチC3のインナハブに連結している。また、第2のシンプルプラネタリギヤ11は、そのサンギヤS4が前記スリーブ軸12に形成されて前記第1のシンプルプラネタリギヤのサンギヤS3に連結されており、そのリングギヤR4は、カウンタ軸6に連結されている。 【0053】そして、UDダイレクトクラッチC3は、前記第1のシンプルプラネタリギヤのキャリヤCR3と前記連結されたサンギヤS3,S4との間に介在しており、かつ該連結されたサンギヤS3,S4は、バンドブレーキからなる第4のブレーキB4にて係止し得る。更に、第2のシンプルプラネタリギヤのピニオンP4を支持するキャリヤCR4は、第5のブレーキB5にて係止し得る。 【0054】ついで、図2及び図3に沿って、本5速自動変速機の機構部分の作用について説明する。 【0055】D(ドライブ)レンジにおける1速(1ST)状態では、フォワードクラッチC1が接続し、かつ第5のブレーキB5及び第2のワンウェイクラッチF2が係止して、ダブルピニオンプラネタリギヤのリングギヤR2及び第2のシンプルプラネタリギヤ11のキャリヤCR4が停止状態に保持される。この状態では、入力軸3の回転は、フォワードクラッチC1を介してシンプルプラネタリギヤのリングギヤR1に伝達され、かつダブルピニオンプラネタリギヤのリングギヤR2は停止状態にあるので、両サンギヤS1、S2を逆方向に空転させながら共通キャリヤCRが正方向に大幅減速回転される。即ち、主変速機構2は、1速状態にあり、該減速回転がカウンタギヤ18,17を介して副変速機構5における第1のシンプルプラネタリギヤのリングギヤR3に伝達される。該副変速機構5は、第5のブレーキB5により第2のシンプルプラネタリギヤのキャリヤCR4が停止され、1速状態にあり、前記主変速機構2の減速回転は、該副変速機構5により更に減速されて、出力ギヤ16から出力する。 【0056】2速(2ND)状態では、フォワードクラッチC1に加えて、第2のブレーキB2(及び第1のブレーキB1)が作動し、更に、第2のワンウェイクラッチF2から第1のワンウェイクラッチF1に作動が切換わり、かつ第5のブレーキB5が係止状態に維持されている。この状態では、サンギヤS2が第2のブレーキB2及び第1のワンウェイクラッチF1により停止され、従って入力軸3からフォワードクラッチC1を介して伝達されたシンプルプラネタリギヤのリングギヤR1の回転は、ダブルピニオンプラネタリギヤのリングギヤR2を正方向に空転させながらキャリヤCRを正方向に減速回転する。更に、該減速回転は、カウンタギヤ18,17を介して副変速機構5に伝達される。即ち、主変速機構2は2速状態となり、副変速機構5は、第5のブレーキB5の係合により1速状態にあり、この2速状態と1速状態が組合されて、自動変速機1全体で2速が得られる。なおこの際、第1のブレーキB1も作動状態となるが、コーストダウンにより2速になる場合、該第1のブレーキB1は解放される。 【0057】3速(3RD)状態では、フォワードクラッチC1、第2のブレーキB2及び第1のワンウェイクラッチF1並びに第1のブレーキB1はそのまま係合状態に保持され、第5のブレーキB5の係止が解放されると共に第4のブレーキB4が係合する。即ち、主変速機構2はそのままの状態が保持されて、上述した2速時の回転がカウンタギヤ18,17を介して副変速機構5に伝えられ、そして副変速機構5では、第1のシンプルプラネタリギヤのリングギヤR3からの回転がそのサンギヤS3及びサンギヤS4の固定により2速回転としてキャリヤCR3から出力し、従って主変速機構2の2速と副変速機構5の2速で、自動変速機1全体で3速が得られる。 【0058】4速(4TH)状態では、主変速機構2は、フォワードクラッチC1、第2のブレーキB2及び第1のワンウェイクラッチF1並びに第1のブレーキB1が係合した上述2速及び3速状態と同じであり、副変速機構5は、第4のブレーキB4を解放すると共にUDダイレクトクラッチC3が係合する。この状態では、第1のシンプルプラネタリギヤのキャリヤCR3とサンギヤS3,S4が連結して、プラネタリギヤ10,11が一体回転する直結回転となる。従って、主変速機構2の2速と副変速機構5の直結(3速)が組合されて、自動変速機全体で、4速回転が出力ギヤ16から出力する。 【0059】5速(5TH)状態では、フォワードクラッチC1及びダイレクトクラッチC2が係合して、入力軸3の回転がシンプルプラネタリギヤのリングギヤR1及びサンギヤS1に共に伝達されて、主変速機構2は、ギヤユニットが一体回転する直結回転となる。この際、第1のブレーキB1が解放されかつ第2のブレーキB2は係合状態に保持されるが第1のワンウェイクラッチF1が空転することにより、サンギヤS2は空転する。また、副変速機構5は、UDダイレクトクラッチC3が係合した直結回転となっており、従って主変速機構2の3速(直結)と副変速機構5の3速(直結)が組合されて、自動変速機全体で、5速回転が出力ギヤ16から出力する。 【0060】更に、本自動変速機は、加速等のダウンシフト時に作動する中間変速段、即ち3速ロー及び4速ローがある。 【0061】3速ロー状態は、フォワードクラッチC1及びダイレクトクラッチC2が接続し(第2ブレーキB2が係合状態にあるがワンウェイクラッチF1によりオーバランする)、主変速機構2はプラネタリギヤユニット15を直結した3速状態にある。一方、第5のブレーキB5が係止して副変速機構5は1速状態にあり、従って主変速機構2の3速状態と副変速機構5の1速状態が組合されて、自動変速機1全体で、前述した2速と3速との間のギヤ比となる変速段が得られる。 【0062】4速ロー状態は、フォワードクラッチC1及びダイレクトクラッチC2が接続して、主変速機構2は、上記3速ロー状態と同様に3速(直結)状態にある。一方、副変速機構5は、第4のブレーキB4が係合して、第1のシンプルプラネタリギヤ10のサンギヤS3及び第2のシンプルプラネタリギヤ11のサンギヤS4が固定され、2速状態にある。従って、主変速機構2の3速状態と副変速機構5の2速状態が組合されて、自動変速機1全体で、前述した3速と4速との間のギヤ比となる変速段が得られる。 【0063】なお、図2において点線の丸印は、コースト時エンジンブレーキの作動状態(4、3又は2レンジ)を示す。即ち、1速時、第3のブレーキB3が作動して第2のワンウェイクラッチF2のオーバランによるリングギヤR2の回転を阻止する。また、2速時、3速時及び4速時、第1のブレーキB1が作動して第1のワンウェイクラッチF1のオーバランによるサンギヤS1の回転を阻止する。 【0064】また、R(リバース)レンジにあっては、ダイレクトクラッチC2及び第3のブレーキB3が係合すると共に、第5のブレーキB5が係合する。この状態では、入力軸3の回転はダイレクトクラッチC2を介してサンギヤS1に伝達され、かつ第3のブレーキB3によりダブルピニオンプラネタリギヤのリングギヤR2が停止状態にあるので、シンプルプラネタリギヤのリングギヤR1を逆転方向に空転させながらキャリヤCRも逆転し、該逆転が、カウンタギヤ18,17を介して副変速機構5に伝達される。副変速機構5は、第5のブレーキB5に基づき第2のシンプルプラネタリギヤのキャリヤCR4が逆回転方向にも停止され、1速状態に保持される。従って、主変速機構2の逆転と副変速機構5の1速回転が組合されて、出力軸16から逆転減速回転が出力する。 【0065】図1は、電気制御系を示すブロック図であり、21は、マイクロコンピュータ(マイコン)からなる制御部(ECU)で、エンジン回転センサ22、ドライバのアクセルペダル踏み量を検出するスロットル開度センサ23、トランスミッション(自動変速機構)の入力軸回転数(=タービン回転数)を検出するセンサ25、車速(=自動変速機出力軸回転数)センサ26及び油温センサ27からの各信号が入力しており、また油圧回路のリニアソレノイドバルブSLS及びSLUに出力している。前記制御部21は、解放側油圧を制御する解放側制御手段21aと、係合側油圧を制御する係合側制御手段21bと、出力軸回転数に対する入力軸回転数(ギヤ比)の回転変化量等を、前記入力軸回転数センサ25及び車速センサ26等のセンサに基づき検出して、該検出値によりダウンシフトの進行状況(例えば終期制御となる基準値)を判断する変速進行判断手段21cと、前記解放側制御手段21aによるダウンシフトの進行が変速進行判断手段に基づく所定進行状況に達しないと判断した場合、例えば、前記変速進行判断手段21cに基づく所定進行状況内において、解放側油圧が戻しスプリング荷重圧になってダウンシフトが所定進行状態にならない場合、又は所定時間内に出力回転数に対する入力軸回転数変化が基準値に達しない場合、前記係合側制御手段21bによりダウンシフトを進行する切換え手段21dと、を備えている。 【0066】図4は、油圧回路の概略を示す図であり、前記2個のリニアソレノイドバルブSLS及びSLUを有すると共に、自動変速機構のプラネタリギヤユニットの伝達経路を切換えて、例えば前進5速、後進1速の変速段を達成する複数の摩擦係合要素(クラッチ及びブレーキ)を断接作動する複数の油圧サーボ29、30を有している。また、前記リニアソレノイドバルブSLS及びSLUの入力ポートa1 ,a2 にはソレノイドモジュレータ圧が供給されており、これらリニアソレノイドバルブの出力ポートb1 ,b2 からの制御油圧がそれぞれプレッシャコントロールバルブ31,32の制御油室31a,32aに供給されている。プレッシャコントロールバルブ31,32は、ライン圧がそれぞれ入力ポート31b,32bに供給されており、前記制御油圧にて調圧された出力ポート31c,32cからの調圧油圧が、それぞれシフトバルブ33,35を介して適宜各油圧サーボ29,30に供給される。 【0067】なお、本油圧回路は、一方の摩擦係合要素を解放すると共に他方の摩擦係合要素を係合する、いわゆるクラッチツークラッチによる変速に係る基本概念を示すものであり、各油圧サーボ29,30及びシフトバルブ33,35は、象徴的に示すものであって、実際には、自動変速機構に対応して油圧サーボは多数備えられているが、具体的には、3→2変速に際して第4のブレーキB4用油圧サーボ及び第5のブレーキB5用油圧サーボ、4→3変速に際しての第3のクラッチC3用油圧サーボ及び第4のブレーキB4用油圧サーボであり、また、これら油圧サーボへの油圧を切換えるシフトバルブも多数備えている。また、油圧サーボ30に示すように油圧サーボは、シリンダ36にオイルシール37により油密状に嵌合するピストン39を有しており、該ピストン39は、油圧室40に作用するプレッシャコントロールバルブ32からの調圧油圧に基づき、戻しスプリング41に抗して移動し、外側摩擦プレート42及び内側摩擦材43を接触する。該摩擦プレート及び摩擦材は、クラッチで示してあるが、ブレーキにも同様に対応することは勿論である。 【0068】ついで、本実施の形態に係るメインフローについて、図5に沿って説明する。 【0069】解放側制御手段は、解放側クラッチ制御開始に伴い待機制御が行なわれ、該待機制御の時間twは、後述するように入力トルクTtにより変更され(図12参照)、ついで初期変速制御、イナーシャ相変速制御、フィードバック制御が行なわれ、そして制御終了となる。 【0070】係合側制御手段は、係合側クラッチ制御開始に伴い、サーボ起動制御、係合制御が行われ、該係合制御は、解放側の前記初期変速制御及びイナーシャ制御の解放側油圧に基づき制御される。そして、制御切換え判断が行なわれ、YESの場合、係合トルク制御、係合イナーシャ制御が行なわれ、NOの場合、上記制御を飛越して終期制御となり、更に完了制御が行なわれ、そして制御終了となる。 【0071】ついで、図6に沿って、クラッチツークラッチによるダウンシフト、例えば3→2変速について説明するに、まず図7及び図8に基づき、解放側油圧PAの制御について説明する。なお、図6において、実線はパワーオン状態を、点線はパワーオフ状態を示す。即ち、実線は、運転者がトルク不足を感じてアクセルペダルを踏込んでダウンシフトする状態を示し、点線は、アクセルペダルを離した状態で車速の低下に伴ってダウンシフトする状態を示す。 【0072】スロットル開度センサ23及び車速センサ26からの信号に基づき、制御部21はマップによりダウンシフトを判断すると、該変速判断から所定遅れ時間後、計時が開始されて変速制御が開始される(S1)。該開始時点(t=0)にあっては、解放側油圧PA、例えば油圧サーボB4の油圧が係合圧となっており、解放側摩擦係合要素(例えばB4ブレーキ)が係合した状態にある。そして、入力トルクTt の関数により解放側トルクTA が算出される(S2)。該入力トルクTt は、マップによりスロットル開度とエンジン回転数に基づきエンジントルクを求め、更にトルクコンバータの入出力回転数から速度比を計算し、該速度比からマップにてトルク比を求め、エンジントルクに上記トルク比を乗じて求められる。更に、該入力トルクにトルク分担率等が関与して上記解放側トルクTA が求められる。 【0073】該解放側トルクTA から解放側の待機係合圧Pwが算出され(S3)、該待機係合圧Pwになるようにリニアソレノイドバルブに制御信号を出力し、この状態で入力トルク等に基づくダウンシフトフィードバック制御(S5)が行なわれる。 【0074】上記ステップS2からS5までが待機制御となるが、該待機制御時間twは、図12に示すように入力トルクTtにより変更される(S6)。即ち、入力トルクTtが負となるパワーオフ状態にあっては、上記待機制御時間twは、後述する係合側のサーボ起動時間tSEに設定され、また入力トルクTtが正方向に大きくなると、上記待機制御時間は短くなる。そして、該待機制御において、入力トルクに基づく待機係合圧Pwに上記フィードバック制御(S5)にて保持され、従ってパワーオン状態では該待機係合圧Pwは比較的高くなり、またパワーオフ状態では、低い待機係合圧Pwでサーボ起動制御終了まで待機される。 【0075】そして、所定解放側油圧PAS及び上述と同様に解放側トルクTA が算出され(S7,S8)、更に該解放トルクTA に基づき目標油圧PTAが算出される(S9)。更に、余裕率(タイアップ度合)S11,S21により、ドライブフィーリングを考慮して解放側目標油圧PTAが算出される(S10)。なお、上記余裕率は、油温の相違により選択される多数のスロットル開度・車速マップにて求められるものであり、一般にS11>1.0,S21>0.0からなる。 【0076】更に、予め設定された時間tTAにより、前記目標油圧PTAまでの勾配が、[(PTA−PAS)/tTA]により設定され、該勾配により油圧が減少される(スイープダウンという)(S11)。即ち、パワーオン状態にあっては、比較的急な勾配からなる第1のスイープダウンが行なわれ、解放側油圧PAが前記イナーシャ相開始時直前の目標油圧PTAまで続く(S12)。また、パワーオフ状態では、低い待機圧から比較的緩い勾配にてスイープダウンが行なわれる。ついで、解放側油圧変化δPTAが、関数[δPTA=fδPTA (ωa)]に基づき算出される(S13)。なお、上記ωaは、出力軸回転数に対する入力軸回転数(ギヤ比)Nの回転変化開始時における目標とする目標入力軸回転変化率(目標回転加速度)である。そして、該油圧変化δPTAによる勾配で(第2の)スイープダウンが行なわれ(S14)、該スイープダウンは、パワーオン状態にあっては、変速開始前の入力軸回転数NTSから、所定精度で回転変化量ΔNが検出される変速開始判定回転数まで続行される(S15)。また、パワーオフ状態にあっては、入力軸回転数の変化がないため、所定勾配δPTAにてスイープダウンし、この際、解放側油圧が、油圧サーボの戻しスプリング21の荷重圧PG より低くなる。なお、上記第2のスイープダウンは、前記第1のスイープダウンに比して緩い勾配からなる。上述したステップS7からS14までが初期制御となる。 【0077】ついで、予め設定された比較的低い勾配からなる所定油圧変化δPI による勾配にてスイープダウンする(S16)。該スイープダウンは、パワーオン状態にあって、解放側油圧PAが前記戻しスプリング21の荷重圧より大きい場合、即ち解放側油圧サーボのトルク容量が0とならない場合(S17)、変速開始(回転変化開始)から変速完了するまでの全回転数変化量のaF[%]まで行なわれる(S18)。また、パワーオフ状態にあって、解放側油圧PAが前記スプリング荷重圧より小さくなる場合(S17)、上記勾配δP1 によるスイープダウンは、ダウンシフト開始からダウンシフト完了となる全回転数変化量に近い値(例えば90[%])からなるa2[%]まで続けられる(S19)。上記勾配δP1 でのスイープダウンが、イナーシャ相制御となる。 【0078】そして、パワーオン状態にあっては、出力軸回転数に対する入力軸回転数(ギヤ比)の検出に基づき、該入力軸回転数変化量が所定変化量となるようにダウンシフトフィードバック制御(S20)が行なわれ、該フィードバック制御は、上記ダウンシフト完了となる全回転数変化量近傍a2[%]まで続けられる(S21)。なお、後述する係合側油圧の制御との関係でサーボ起動制御時間tSEの終了まで(S23)、かつ係合側油圧PBが目標油圧PTBより大きくなるまで(S24)は、前記フィードバック制御(S20)は続行される。該パワーオン状態におけるステップS20が、前記フィードバック制御となる。 【0079】そして、上記a2[%]までの変速が終了すると、比較的急勾配からなる所定油圧変化δPFAが設定され、該勾配にてスイープダウンを行い(S25)、解放側油圧PAが0になることによりダウンシフト時の解放側油圧制御が完了する(S26)。上記ステップS25が完了制御となる。なお、パワーオフ状態にあっては、解放側油圧PAがスプリング荷重圧以下となるため(S17)、後述する係合側制御に主体が移行なされ、上記フィードバック制御を経ることなく、イナーシャ相制御による上記a2[%]への変速進行後(S19)、上記完了制御となる。 【0080】ついで、図9〜図11のフローチャート及び図6のタイムチャートに沿って、ダウンシフトにおける係合側油圧の制御について説明する。なお、上述と同様に、図6において、実線はパワーオン状態を、点線はパワーオフ状態を示す。 【0081】まず、制御部21からのダウンシフト指令に基づき計時が開始され(S30)、係合側油圧PB、例えば油圧サーボB5への油圧が所定圧PS1になるように所定信号をリニアソレノイドバルブSLS(又はSLU)に出力する(S31)。該所定圧PS1は、油圧サーボの油圧室20を満たすために必要な油圧に設定されており、所定時間tSA保持される。該所定時間tSAが経過すると(S32)、係合側油圧PBは、所定勾配[(PS1−PS2)/tSB]でスイープダウンし(S33)、係合側油圧PBが所定低圧PS2になると(S34)、該スイープダウンが停止され、該所定低圧PS2に保持される(S35)。該所定低圧PS2は、ピストンストローク圧以上でかつ係合側摩擦係合要素(例えば第5のブレーキB5)にトルク容量を生じさせない圧に設定されており、該所定低圧PS2は、計時tが所定時間tSE経過するまで保持される(S36)。上記ステップS31からS36までサーボ起動制御となる。 【0082】ついで、係合側トルクTB が解放側油圧PA及び入力トルクTtの関数[TB=fTB(PA,Tt)]により算定され(S37)、更に前記余裕率を勘案して、係合側トルクTB が、[TB =S1D×TB +S2D]にて算出される(S38)。そして、該係合側トルクTB から係合側油圧PBが算出される[PB=fPB(TB )](S39)。上記ステップS37〜S39が係合制御となる。 【0083】そして、前記ステップS12と同様に、解放側油圧PAがスプリング荷重圧PG と比較され(S12′)、該解放側油圧が高い場合(NO)、即ちパワーオン状態の場合、上記ステップS39による係合側入力トルクTB (解放側油圧PA及び入力トルクTtに依存する)に基づく係合側油圧PBが、前記全回転数変化量のa1[%]まで続く(S40)。 【0084】そして、前記ステップS12′において解放側油圧PAがスプリング荷重圧PG より低い場合、即ち、パワーオフ状態にあっては、係合側油圧主体に切換えられる。まず、上記係合側トルクTB から係合目標油圧PTBが算出される。即ち、係合側入力トルクTB に基づくギヤ比による入力軸回転数変化が開始する直前の係合側油圧PTBが算出される(S41)。更に、ステップS12′にて係合側主体に切換えられた時点でのステップS39による解放側油圧PBがPBSとして記憶される(S42)。そして、該油圧PBS及び前記ステップ41にて算出された係合目標油圧PTBに基づき所定勾配が算出され[(PTB−PBS)/tTB]、該比較的急な勾配にて油圧が増加され(以下スイープアップという)(S43)が行なわれ、該スイープアップ(第1のスイープアップ)は、前記係合側油圧が目標油圧PTBに達するまで続けられる(S44)。 【0085】そして、上記目標係合油圧PTBに達すると、即ち入力軸回転数の回転変化が開始されるイナーシャ相に入ったと予測される時点で、前記油圧の変化δPTBが入力軸(ギヤ比)回転数Nの回転変化開始時における目標とする目標回転変化率ωaに応じた関数[δPTB=fδPTA (ωa)]により算出される(S45)。そして、該油圧変化δPTBによる勾配で第2のスイープアップが行われる(S46)。該第2のスイープアップは、回転変化開始時の入力軸回転数NTSからの回転変化分ΔNが所定変速開始判定回転数に達するまで続けられる(S47)。上記ステップS41〜S46が、パワーオフ時に係合側主体に切換えられた状態における係合側トルク制御となる。 【0086】係合側油圧変化δPI が、(ギヤ比)入力軸回転数センサ5の検出に基づく入力軸回転数の変化量ΔNにてフィードバック制御されて設定され、該δPI の勾配によりスイープアップされる(S48,S49)。該δPI によるスイープアップは、ダウンシフト変速開始(回転変化開始)からダウンシフト変速完了まで全回転数変化量ΔNのa1[%]、例えば70[%]まで続けられる(S50)。即ち、NTSを変速開始時の入力軸回転数、ΔNを回転変化量、gi を変速前ギヤ比、gi+1 を変速後ギヤ比とすると、[(ΔN×100)/(NTS/gi )・(gi+1 −gi )]がa1[%]になるまで続けられる。 【0087】そして、ステップS40又はS50にて、上記全回転数変化量のa1[%]を越えると、終期制御に入る。まず、ステップS41と同様に、係合側入力トルクTB から係合側目標圧PTBが算出され(S51)、また上記回転数変化量a1[%]時点での係合側油圧PBがPLSB として記憶される(S52)。これにより、予め設定されている所定時間tLEにより、所定勾配[(PTB−PLSB )/tLE]が算出され、比較的緩い該勾配にてスイープアップされ(S53)、該スイープアップは、係合側油圧が上記目標油圧PTBに達するまで続けられる。なお、上記終了制御におけるステップS51〜S54は、パワーオン、即ち解放側油圧を主体としてダウンシフトが進行する場合はそのすべてが機能し、パワーオフ、即ち係合側油圧を主体としてダウンシフトが進行する場合、既にステップS41〜S46に示す係合トルク制御により係合目標油圧及びそれに向うスイープアップ等は、達成しており、ステップS51〜S54は、単に通過するだけで機能しない。 【0088】そして、パワーオフ状態の場合、前記勾配δP1 より更に緩やかな勾配からなるδPLBが設定され(S55)、該勾配δPLBによるスイープアップは、ダウンシフト完了までの全回転数変化量のa2[%]、例えば90[%]まで続けられる(S56)。なお、パワーオン状態にあっては、解放側油圧主体で制御されているため通常、上記ステップS55は単に通過する。 【0089】更に、終期制御の終了時間tF を設定し(S57)、比較的急な勾配δPFBを設定して該勾配にてスイープアップし(S58)、該スイープアップは、完了制御時間tFE続けられる(S59)。該勾配δPFBのスイープアップは、パワーオンの場合、ステップS25による解放側油圧δPFAに合せて急勾配にて設定され、またパワーオフの場合、滑らかにダウンシフト完了までスイープアップする。上記ステップS57〜S58が完了制御となる。 【0090】ついで、図13に基づき、パワーオン状態でのダウンシフト中にパワーオフ状態になった場合について説明する。この状態は、例えば、図24に示すシフトレバー100において、マニュアル操作により3→2等のダウンシフトを行いつつ、アクセルペダルを踏込んで加速したが、途中で追越し等をあきらめて、運転者がアクセルペダルを戻した場合等に現出する。 【0091】まず始めは、パワーオン状態でのダウンシフトであるので、図6に示す実線と同様に制御される。即ち、解放側油圧にあっては、比較的短い待機時間にて待機油圧Pwが保持され(待期制御)、ついで所定勾配(PTA−PAS)/tTA,δPTA,δP1 にてスイープダウンする(初期制御、イナーシャ制御)。そして、フィードバック制御に入って、解放側油圧PAは、入力軸回転数(ギヤ比)の変化量が所定変化量となるようにフィードバック制御され、該入力軸回転数変化ΔNの増加に伴い上昇する。一方、係合側油圧PBは、所定高圧PS1及び所定低圧PS2にて係合側油圧サーボのピストンをストロークして保持し(サーボ起動制御)、係合制御に入る。 【0092】上記解放側油圧のフィードバック制御中において、上述したようにパワーオンからパワーオフに切換わると、該解放側油圧PAは、入力トルクに基づき設定されかつ入力軸回転数(ギヤ比)の変化量ΔNによりフィードバック制御されている関係上、上記パワーオフに伴って入力トルク減少すると共に入力軸回転数変化量ΔNが減少することにより、急速に低下する(点線参照)。そして、該点線で示す解放側油圧が油圧サーボのスプリング荷重圧PG 以下になると、係合側主体の制御に切換わる。 【0093】この状態では、係合側油圧PBは、上記切換えに伴い、係合トルク制御となり、点線で示すように、入力トルクに基づく係合目標油圧に向かってスイープアップ(第1のスイープアップ)[(PTB −PBS/tTB)]し、入力軸回転数(ギヤ比)の回転変化率ωaに基づく勾配δPTBにより(第2の)スイープアップし、更に勾配δP1 ,δPLBにて入力軸回転数変化量に基づくフィードバック制御によりスイープアップして、係合側油圧によりダウンシフトを進行する。 【0094】ついで、図14及び図15に沿って、上述した係合側主体への切換え判断について説明する。ダウンシフトにあっては、基本的には解放側油圧の制御に基づき変速が進行するが、パワーオフ等に伴う入力トルクの不足により入力軸回転数が増加せず、変速が進行しない場合、係合側油圧を主体とする制御に切換えられる。 【0095】即ち、解放側油圧PAが変速が進行しない程度に低下すると、具体的には入力軸回転数センサ25及び車速センサ26による出力軸回転数に対する入力軸回転数(ギヤ比)Nに基づき解放側油圧をフィードバック制御してダウンシフトの進行を行なっている場合、又はパワーオフ状態において入力トルクが負(又は小)であって、該入力トルクに基づく解放側油圧によりダウンシフトを進行しようとする場合、解放側油圧が解放側油圧サーボ30の戻しスプリング41の荷重圧PG 以下になって該油圧サーボから油圧が抜けると(S60)、タイマが作動する(S61)。該タイマによる不感時間t1は、図15に示すように、入力トルクTtの大きさにより変化され、入力トルクが負の状態から正方向の所定値まで長くなり、該所定トルク値からは一定の時間となる。そして、該入力トルクにより決められる不感時間t1経過後、切換え判断がなされ(S62)、係合側油圧の制御を主体とするように切換えられる。 【0096】また、ステップS60,S61にてNOの場合、即ち解放側油圧値がスプリング荷重値PG 以上であるか、又は以下であっても所定不感時間t1内である場合、終期判断がなされたか否か判断される(S63)。即ち、入力軸回転数(ギヤ比)変化量ΔNがダウンシフト完了する全回転数変化量のa1[%]、例えば70[%]になっているか判断され(図6及び図13の基準値参照)、YESの場合即ち変速が所定量進んだ状態では、切換え判断をしないで(S64)、解放側油圧制御主体のままで変速が進行され、NOの場合、上記ステップ60,S61が繰返されて、入力軸回転数(ギヤ比)が所定値まで上がらない状態にあっては、解放側油圧値は、早晩にスプリング荷重値PG 以下となって、切換え判断がなされる(S64)。 【0097】ついで、図16に沿って、上記係合側主体制御への切換え判断の他の実施例について説明する。解放側制御主体の通常の制御において支障のない範囲の最大値からなる所定時間t2を予め設定しておく。なお、上記所定時間は、変速段、入力軸回転数、入力トルク及び車速等の走行状況に基づき予め設定される目標変速時間からなる。そして、変速開始(t=0)からの時間tが上記所定時間t2と比較され(S70)、該所定時間以内の場合(NO)、上述した終期判断がなされたか否か判断される(S71)。即ち、上記所定時間t2内に終期判断がなされた場合(ギヤ比か基準値を越えた場合)、切換え判断はなされず(S72)、解放側主体として制御が進行する。 【0098】一方、上記終期判断がなされない状態(ギヤ比が基準値に達しない状態)で、前記所定時間t2を経過すると(YES)、切換え判断がなされ(S73)、係合側油圧の制御を主体とするように切換えられる。該切換え判断のみによっても、本発明の制御ロジックは成立するが、前記図14に示す切換え判断と共に用いられることが好ましい。これにより、パワーオフ状態の場合、上記解放側油圧値がスプリング荷重値PG 以下となることにより、直ちに係合側主体に切換えられ、正確かつ確実なダウンシフト変速を行うと共に、入力トルクが中途半端な状態でも、所定時間t2内に終期判断がなされない場合、係合側主体に切換えられ、変速時間がもたもたと間延びすることを防止できる。 【0099】ついで、図17ないし図23に沿って、ワンウェイクラッチが機能するダウンシフトに適用した実施の形態について説明する。 【0100】従来、ワンウェイクラッチを介在するダウンシフト、例えば5→4変速では、解放側摩擦係合要素(例えばダイレクトクラッチC2)を解放すると共にワンウェイクラッチ(例えば第1のワンウェイクラッチF1)を機能して低速段(例えば4速)にシフトした所定時間後、シフトバルブを切換えて上記ワンウェイクラッチと並列に設けられている摩擦係合要素(例えば第1のブレーキB1)を係合することにより、エンジンブレーキ効果が得られるように制御されている。 【0101】このような制御にあっては、パワーオン・ダウンシフトにおけるタイアップ防止のため、上記ワンウェイクラッチに並設する摩擦係合要素(B1)用油圧サーボに油圧を供給するタイミングは、ワンウェイクラッチによるシフト完了後、一定時間遅れるように設定されているため、パワーオフにおけるマニュアルダウンでは、変速にタイムラグを生じ、かつすべての車速に対して良好なシフトフィーリングを得ることは困難である。 【0102】そこで、本実施の形態にあっては、上述したワンウェイクラッチが機能するダウンシフトにおいても、係合側摩擦係合要素となるワンウェイクラッチと並列に設けられた摩擦係合要素(例えばB1ブレーキ)用油圧の制御開始タイミングを、前述したクラッチツークラッチと同様に、解放側摩擦係合要素(例えばC2クラッチ)用油圧の制御値が所定値以下となることに基づき制御して、高車速時のマニュアルシフトダウン時も含めて、全ての車速に良好なシフトフィーリングを得ることを可能とするものである。 【0103】まず、図17に沿って、上記ワンウェイクラッチを介在するダウンシフト、具体的には5→4変速に係る油圧回路について説明する。図において、50はオイルポンプ、51はプライマリレギュレータバルブ、52はマニュアルバルブ、SLSは前記リニアソレノイドバルブ、53はソレノイドモジュレータバルブである。また、32は前記シフトプレッシャコントロールバルブ、56はシフトプレッシャリレーバルブ、57はM1シフトバルブ、59はM2シフトバルブ、60はU1シフトバルブ、61はU2シフトバルブである。更に、Sol1〜Sol5はそれぞれオン・オフ切換え用ソレノイドバルブであり、Sol1,Sol4はノーマルオープン、Sol2,Sol3,Sol5はノーマルクローズである。そして、B−1はワンウェイクラッチF1と並列に配置されて、5→4変速時係合側となる第1のブレーキ用油圧サーボ、C−2は解放側となるダイレクトクラッチ用油圧サーボ、62はそのアキュムレータである。 【0104】ついで、5→4変速時の上記油圧回路の作用を説明するに、まず、オイルポンプ50からの油圧がプライマリレギュレータバルブ51にてライン圧PL に調圧され、更にソレノイドモジュレータバルブ53にてソレノイドモジュレータ圧に調圧され、該油圧がリニアソレノイドバルブSLSの供給ポートa1 に供給され、そして電子制御部(ECU)21からの制御信号に基づき該リニアソレノイドバルブSLSの出力ポートb1 から適宜調圧された制御圧が出力する。更に、該制御圧がシフトプレッシャコントロールバルブ32の制御油室32aに供給され、該バルブが供給ポート32bに供給されているライン圧PL を前記制御圧に基づく所定供給圧に調圧して出力ポート32cから出力する。 【0105】5速段にあっては、ソレノイドバルブSol3,Sol4,Sol5が閉塞(クローズ)状態にあり、Sol1,Sol2が開放(オープン)状態にある。この状態では、シフトプレッシャリレーバルブ56は右半位置にあり、M1シフトバルブ57は左半位置にあり、M2シフトバルブ59は左半位置にあり、U1シフトバルブ60は左半位置にあり、かつU2シフトバルブ61は右半位置にある。 【0106】この状態で、前記リニアソレノイドバルブSLSの制御圧に基づきシフトプレッシャコントロールバルブ32にて調圧された所定油圧が、シフトプレッシャコントロールバルブ56のポート56a,56b、M1シフトバルブ57のポート57a,57b、M2シフトバルブ59のポート59a,59bを介してダイレクトクラッチ用油圧サーボC−2及びそのアキュムレータ62に供給される。なお、第1のブレーキ用油圧サーボB−1は、M2シフトバルブ59のポート59c,59dを介してドレーンされている。 【0107】4速段にあっては、前記ソレノイドバルブSol3,Sol4,Sol5を閉塞状態に保持した状態で、Sol2が閉塞位置に切換わる。すると、M2シフトバルブ59の制御油室59eに油圧が作用し、該シフトバルブ59を右半位置に切換える。この状態では、前記ダイレクトクラッチ用油圧サーボC−2はポート59b,59fを介してドレーンされる。また、前記リニアソレノイドSLSの制御圧に基づくシフトプレッシャコントロールバルブ32のポート32cからの出力圧は、シフトプレッシャリレーバルブ56のポート56c,56d、M1シフトバルブ57のポート57c,57d、M2シフトバルブ59のポート59g,59cを介して第1のブレーキ用油圧サーボB−1に供給される。 【0108】ついで、図18,図19に沿って、上記ワンウェイクラッチが介在するダウンシフトの解放側油圧PAの制御、具体的には5→4変速のダイレクトクラッチ用油圧C2圧について説明する。該解放側油圧の制御は、前記図6,図7及び図8に基づき説明したクラッチツークラッチの場合と同様なので、同じステップ符号を付して詳細な説明は省略する。 【0109】ここで、ステップS2〜S6で示す待機制御にあって、解放側油圧PA及び待機時間twは入力トルクTtに基づき設定されるので、パワーオン状態では、図18に実線で示すように、待機係合圧Pwは高くかつ待機時間twは短く設定され、パワーオフ状態では、図18の点線で示すように、待機係合圧Pwは低くかつ待機時間は長く設定される。また、パワーオン状態にあっては、入力軸回転数Nが後段ギヤ比(4速)に対応する回転数になった時点で自動的にワンウェイクラッチF1が機能し、またパワーオフ状態では、前記クラッチツークラッチと同様に解放側油圧PAがスプリング荷重PG 以下となるので、解放側油圧は所定勾配δP1 でスイープダウンすれば足り、本ワンウェイクラッチを介在する解放側油圧制御にあっては、図8に示すフィードバック制御に係る部分(S17,S20,S23,S24)は必要としない。 【0110】ついで、図18及び図20,図21に沿って、上記ワンウェイクラッチが介在するダウンシフトの係合側油圧PBの制御、具体的には5→4変速のワンウェイクラッチF1及びそれと並列の第1のブレーキ用油圧B1圧について説明する。なお、前記図7ないし図9に示したクラッチツークラッチの場合と同様のものは、同じステップ符号を付して詳細な説明は省略する。 【0111】まず、前記解放側油圧PAの制御に基づき、入力軸回転数(ギヤ比)の増加が進行し、全回転数変化量に近い値(例えば90[%])からなるa2[%]に達しているか否かが判断され(S562 )、入力軸回転数変化量ΔNがa2[%]に達していると、パワーオン状態と判定し、実質的な係合側油圧制御は行なわれず、直ちに完了制御となる。この場合、解放側油圧PA(具体的にはC2圧)が解放されることにより、ダイレクトクラッチC2のトルク容量が小さくなり、入力軸回転数が上昇して後段ギヤ比(4速)に対応する回転数のレベル(基準点)になると、サンギヤS2の回転が小さくなり、0から逆方向になる瞬間に自動的にワンウェイクラッチF1が機能し、サンギヤS2の回転をロックしてダウンシフトが完了する。 【0112】前記ステップS562 にて入力軸回転変化(ギヤ比)がa2[%]に達していない場合、パワーオフ状態と判定され、解放側油圧PAが油圧サーボB−1のスプリング荷重PG と比較され、該解放側油圧PAの所定勾配δP1 によるダウンシフト等により、該解放側油圧がスプリング荷重より低くなった時点で(PA<PG )(S122 )、計時が開始され(S30)、解放側主体から係合側主体に切換えられる。この状態で、前記ソレノイドバルブSolがONからOFFに切換えられて閉塞(クローズ)状態となり、M2シフトバルブ59が左半位置から右半位置に切換えられ、リニアソレノイドバルブSLSの制御圧に基づく所定油圧の連通が、解放側油圧サーボ(C−2)から係合側油圧サーボ(B−1)に切換えられ、該係合側油圧サーボへの係合側油圧PB(具体的にはB1圧)が制御されることにより変速が進行する。 【0113】該係合側油圧制御は、サーボ起動制御(S31〜S36)、係合トルク制御(S42〜S47)、係合イナーシャ制御(S48〜S50)、終期制御(S51〜S56)、完了制御(S57〜S59)が前記クラッチツークラッチの場合と同じであるが、係合制御(S37〜S39)を備えていない。これは、ステップS122 で既に解放側油圧PAはスプリング荷重以下になっており、解放側油圧から係合側トルクを算出し得ないためであり、例え該係合制御が制御ロジックに存在していても、単に通過するだけだからである。 【0114】ついで、図22に沿って、パワーオン状態でのダウンシフト中にパワーオフとなる場合、具体的には、マニュアル操作により5→4変速を行いつつ、アクセルペダルを踏込んで加速したが、途中でアクセルペダルを戻した場合について説明する。 【0115】この場合も、図13に示すクラッチツークラッチの場合と同様であり、始めは、パワーオン状態でのダウンシフトであるので、実線で示すように、待機油圧Pwによる待機制御、所定勾配でのスイープダウンによる初期制御が行われ、比較的緩い勾配δP1 のスイープダウンからなるイナーシャ相制御中において、パワーオン状態に切換わると、入力トルクに基づく解放側油圧PAは、点線で示すように急速に低下すると共に、入力軸回転数(ギヤ比)Nの上昇も停止する。 【0116】そして、前記解放側油圧PAがスプリング荷重圧PG 以下になると、ソレノイドバルブSol2が切換えられ、リニアソレノイドバルブSLSの制御圧に基づく所定油圧が係合側となる油圧サーボB−1に供給されて、係合側主体に切換えられ、係合側油圧PB(B1圧)に基づき変速が進行する。なお、図22において実線は、パワーオン状態が継続した場合を示す。 【0117】また、上記ワンウェイクラッチを介在するダウンシフトの油圧制御においても、前記図14及び/又は図16に示した係合側主体制御切換え判断は、同様に機能する。なお、この場合、ステップS63,S71の終期判断は、本ワンウェイクラッチを有する制御にあっては、入力軸回転数(ギヤ比)変化量ΔNの基準値がa2[%]であるので(ステップS562 参照)、完了判断となる。 【0118】そして、前記図14に示す切換え判断において、解放側油圧PAがスプリング荷重圧PG 以下となってから(S60;YES)、不感時間t1を計時するタイマが作動するが(S61)、該タイマによる不感時間t1は、図23に示すように設定するのが望ましい。即ち、図15に示すものと同様に、該不感時間t1は、入力トルクTtに基づき変更されるが、同時に、油圧応答性は油温によっても変化するため、油温によっても変更される。これにより、油温の変化による油圧応答性を調整して、低油温時でも、タイアップのないスムーズな切換えを可能とする。なお、該油温を加味した不感時間t1の設定は、前記クラッチツークラッチの場合にも同様に適用できることは勿論である。 【0119】なお、上記油圧制御は、変速進行判断手段として出力軸回転数に対する入力軸回転数(ギヤ比)変化を用いたが、これに限らず、入力軸回転数センサ25による入力軸回転数変化及びその加速度等の変速機外部の状態でもよく、また解放側制御手段によるダウンシフトの進行を解放側油圧又は変速開始からの時間にて検出しているが、これに限らず、他の変速機内部の状態の検出により行ってもよい。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000100768 【氏名又は名称】アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)3月25日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】近島 一夫
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| 【公開番号】 |
特開平11−141674 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)5月25日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−77988 |
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