トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F16 機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段




【発明の名称】 自動変速機用制御装置
【発明者】 【氏名】増田 光泰

【要約】 【課題】ワイヤーハーネス数簡略化のために、自動変速機内部に設置する電子制御装置において、車種毎に再設計が不要な構成を提供する。

【解決手段】電子制御装置の機能を、自動変速機内で閉じることができる部分とそれ以外の部分に分割し、前者を自動変速機ハウジング内部に配置し、後者を自動変速機ハウジング外に配置し、両者を通信手段で接続する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】エンジンの出力回転を増減速して車輪に伝える変速機構、該変速機構に接続された回転センサ類、該変速機構の変速比を切り換えるための油圧制御機構、該油圧制御機構を制御するソレノイド類を備えた自動車の自動変速機において、少なくとも入力信号処理手段,出力駆動手段,演算手段からなる前記自動変速機の電子制御装置の一部機能を、前記自動変速機ハウジング内に設置し、残りの機能は自動変速機ハウジング外に設置したことを特徴とする自動変速機用制御装置。
【請求項2】請求項1において、前記自動変速機ハウジング外に設置する機能として、変速制御,ロックアップ制御の少なくとも一つを含むことを特徴とする自動変速機用制御装置。
【請求項3】請求項1において、前記自動変速機ハウジング内に設置する一部機能として、前記自動変速機内に設置されているセンサないしはSWに対応する入力信号処理手段,前記ソレノイド類を制御する出力駆動手段、および前記自動変速機ハウジング外との通信手段を含むことを特徴とする自動変速機用制御装置。
【請求項4】請求項3において、前記自動変速機ハウジング内に設置する一部機能をソフトウェアを用いずに実現することを特徴とする自動変速機用制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自動車の自動変速機の制御装置に係り、特に変速機ハウジング内に設置するに好適な自動変速機用制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来自動変速機の電子制御装置は、熱的あるいは防水性の観点から環境条件の良い車室内に取り付ける場合が一般的であった。しかしこの方法は電子制御装置に接続する全ての配線をワイヤーハーネスを通して引き回さなければならず、ワイヤーハーネスの肥大化による重量増加・布線作業時間の増加・接続部の信頼性といった問題があった。この問題を解決するため、Proceedings ofInternational Conference on Continuously Variable Power Transmissions、p71−76,p77−81に示されるように、電子制御装置を変速機ハウジング内部に設置する方法が提案されている。
【0003】この場合、油圧制御機構を制御するソレノイド類と自動変速機の状態をモニタするセンサ・SW類の多くが、自動変速機ハウジング内部にあることから、自動変速機システムの大半をハウジング内部で閉じることができ、信頼性確保の観点だけでなく、自動変速機の個体差補正などに有効と考えられていた。
【0004】しかし実際には、高温(120〜150℃),油(変速機オイル)飛散といった変速機ハウジング内部の劣悪な環境において電子制御装置が耐える必要があり、耐熱半導体の選定や特殊実装方法等、設計的に困難な問題を解決しなければならなかった。
【0005】更に、上記電子制御装置であっても変速機以外との信号のやりとり(スロットル開度信号取込み、インジケータ表示信号出力,ABS協調信号,エンジントルク低減要求信号出力等)は残されており、その多くは、商品性を考慮した付加機能のために用意された信号であることから、当然自動車メーカ毎,車種・仕向地毎に異なったものになっている。その場合、本体は同じ自動変速機でありながら、自動変速機ハウジング内の電子制御装置は、車種毎に外部信号にあわせ再設計しなければならないという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、かかる不都合をなくし、自動車の車種毎に自動変速機内の電子制御装置を再設計する必要がなく、かつ上記電子制御装置の信頼性も確保する方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】このため本発明においては、従来自動変速機制御装置と呼ばれていたものの機能を、変速機ハウジング内部で閉じることのできる部分と外界とやりとりをする部分に切り分け、自動変速機内には前者機能のみ実現させる。一方、後者機能は自動変速機ハウジング外部にスタンドアロンまたは既存の他コントロールユニット内部に実現させ、両者を通信手段で接続する。
【0008】即ち、上記手段によれば、自動変速機の制御に最低必要な入出力のほとんどは、自動変速機ハウジング内部で閉じることができるため、これ自体が一つの自動変速機システムとして扱える。これにより様々な車種にこの変速機システムを適用する場合には、その車種・商品性から考えて、必要な機能のみを自動変速機外部に追加・設置するだけで、車両全体のシステムを拡張することが可能になる。例えば、定速走行装置と連携をとり変速制御を行う必要のある車種では、その部分の信号のやりとり機能のみを、自動変速機ハウジング外の別電子制御装置あるいは定速走行装置内に実現することで達成でき、自動変速機ハウジング内部の電子制御装置は一切変更する必要はない。
【0009】
【発明の実施の形態】図1,図2は前輪駆動(FF車)用の自動変速機構造と本発明の実施例における制御装置の取付け位置を示す。エンジン1の出力は自動変速機2内のトルクコンバータ3に入力され、その出力はタービン軸4を介して変速ギア列およびクラッチ群5に伝えられ、増減速されて出力ギア6に出力される。FF車用の自動変速機の場合、出力はリダクションギア7を介してファイナルギア8に伝えられ、差動ギア9を介してドライブシャフト10,10′を駆動する。制御に必要な回転信号は、出力ギア6の回転を車速信号として車速センサ11で、リバースクラッチ12の回転をタービン回転信号としてタービンセンサ13で検出する。電子制御装置の一部機能14は前記変速ギア列およびクラッチ群5を制御する油圧制御機構17上に配置されている。
【0010】図3は電子制御装置の一部機能14の取付け状況を示したもので、タービンセンサ13は油圧制御機構17を貫通させた形で取り付けられ、先端部がリバースクラッチ12と対向する。ソレノイド16も油圧制御機構17に取り付けられている。この他油温センサや油圧センサなど必要に応じて変速機内部に設けられるべきセンサ類は同様に油圧制御機構17の表面に取り付けられ、同様の方法で先端部を対象部位に対向させるようにする。また、自動変速機外部との信号通信用として、コネクタ26がハウジング15に貫通して取り付けられているが、そのコネクタ26は配線板25により回路基板21へ接続されている。
【0011】図4は油圧制御機構17に配置されたソレノイド16,センサ・SW類および制御装置の一部機能14の構成を示したものである。センサからソレノイドまでを油圧制御機構17に搭載し、入出力信号線の大部分をその上で接続することにより、外部に出るワイヤーハーネスの本数を低減している。油圧制御機構17はアルミニウムで構成されており、その上には回路基板21,回転センサ13,油圧センサ23,ソレノイド16等が固定され、それらの間を配線板25が接続する。
【0012】またこの実施例においては回路基板21からコネクタ26に接続する手段も配線板25を用いて形成しているが別の方法によっても可能であることは言うまでもない。またごく近くの外部機器例えばシフトロックソレノイド27やインヒビタスイッチ28等に接続するコネクタは、端子台29から出したピッグテイルコネクタを用いると効果的である。
【0013】これらのセンサ・アクチュエータ類は変速機内部の油圧制御機構17の下面位置に配置される。この油圧制御機構17にはマニュアルバルブ30を設け、図示しないセレクトレバーの動きをマニュアルバルブリンク31を介して伝える。マニュアルバルブリンク31の動きをインヒビタスイッチ28が検知して電子制御装置の一部機能14にセレクトポジション情報を入力する。セレクトレバーがパーキング(P)の位置にあるとき、マニュアルバルブリンク31の一部に設けられた爪がシフトロックソレノイド27の爪と噛み合って、ブレーキを踏まないと解除されないようになっている。なお、非常時のため手動による解除機構32が設けられている。
【0014】図5は本実施例における自動変速機制御システムを示しており、自動変速機ハウジング内部に設置されているSW・センサ類および変速・油圧制御用のソレノイド類は電子制御装置の一部機能14に直接接続されており、自動変速機ハウジング内で閉じているため、ハウジング外部へ引き出すためのハーネス・コネクタ類が不要になる。一方、エンジン側からの情報であるエンジン回転信号・スロットル信号等、また車両の操作SW・インジケータ等は自動変速機の外部に配置されているため、別の電子制御装置18へ直接接続されている。これが、すなわち電子制御装置の一部機能14に欠けている機能を補完するものであり、両者は通信線19で接続され相互に情報の送受信を行う。
【0015】図6は本実施例における自動変速機制御構成を示しており、記載された分割線より上部が自動変速機ハウジング内に配置された電子制御装置の一部機能14を示し、下部がハウジング外部に配置された電子制御装置18を示している。また、両者間の通信手段として、CANを用いている。これは自律分散型の通信システムであり、車種により様々なシステムに展開する場合に自動変速機ハウジング内に配置された電子制御装置の一部機能14を変更する必要がないことが特徴である。
【0016】この構成によれば、各種センサ等の信号に基づき車輌走行状態を判断しその時々に最適なギア位置の選択を行う変速制御,車輌走行状態および変速状態を判断し最適な油圧を作るライン圧制御,トルクコンバータ内のロックアップクラッチを作動・解除させるロックアップ制御などはすべて、自動変速機ハウジング外部の別の電子制御装置18で実現されており、自動変速機ハウジング内に配置された電子制御装置の一部機能14では、CAN経由で取込み信号を外部に送信し、送られてきた指示信号に対応するようにソレノイド16を駆動することのみであり、演算等の機能は不要であり、CPUやメモリを制御装置14上に置く必要がなくなる。なお、ここではCANによる通信を示しているが、構成によっては他の通信手段でも可能であることは明白である。
【0017】本実施例の方法によれば、自動変速機ハウジング内に配置された電子制御装置の一部機能14の部分はゲートアレイ等のワイヤードロジック回路で構成することができ、熱に弱いCPUやメモリ等の冷却対策が不要となり、コストダウン・信頼性向上に寄与できるという効果がある。
【0018】
【発明の効果】本発明の方法によれば、自動車の車種に関わらず、自動変速機内に設置する電子制御装置を一つに統一でき、かつ制御装置の信頼性も確保できるという効果が得られる。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【出願日】 平成9年(1997)11月6日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】小川 勝男
【公開番号】 特開平11−141664
【公開日】 平成11年(1999)5月25日
【出願番号】 特願平9−303934