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【発明の名称】 センサオープン故障検出装置
【発明者】 【氏名】水谷 尊之

【要約】 【課題】センサのオープン故障時においても、A/D変換コンバータ内のコンデンサに充電される電圧の低下を回避して、確実にセンサのオープン故障を検出することができるセンサオープン故障検出装置を提供する。

【解決手段】センサオープン故障検出装置において、スロットル回路の前のチャネルを5Vにプルアップする回路を備え、スキャンモードでのスロットル回路のチャネルのスキャン時のA/D変換用コンデンサ51の電圧をフェール検出可能な電圧に維持する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 センサオープン故障検出装置において、センサ回路の前の第1のチャネルにプルアップ又はプルダウンする回路を備え、センサ回路に接続される第2のチャネルのスキャン時のA/D変換用コンデンサの電圧をフェール検出可能な電圧に維持することを特徴とするセンサオープン故障検出装置。
【請求項2】 請求項1記載のセンサオープン故障検出装置において、前記第2のチャネルに接続されるセンサはスロットルセンサであることを特徴とするセンサオープン故障検出装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両に搭載される変速機を制御する電子制御システムの一部を構成するセンサオープン故障検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】センサオープン故障時、回路のインピーダンスが大きい場合、例えば、マイコンの漏れ電流による電圧降下により、オープン故障時の電圧がフェール判定値を下回ってしまい、フェール判定が不可能となる。図10はかかる従来のスロットルセンサオープン故障検出回路図、図11はそのスロットルセンサオープン故障検出回路の各部の時定数を示す図、図12はそのA/D変換動作を示すタイムチャートである。
【0003】図10において、1は油温センサ、2はスロットルセンサ、3はスイッチ、10は油温入力回路である。この油温入力回路10は入力端より順次、油温センサ1に接続される入力線4とアース間に接続されるコンデンサC270 (470pF)11、入力線4と電源電圧VCC端子12間に接続される抵抗R270 (1kΩ)13、入力線4とアース間に接続されるコンデンサC271 (0.1μF)14、入力線4に直列に接続される抵抗R271 (1kΩ)15、電源電圧VCC端子16と入力線4間に接続されるダイオードD270 17と入力線4とアース間に接続されるダイオードD271 18、入力線4に直列に接続される抵抗R272 (5.1kΩ)19を有している。
【0004】また、スロットル入力回路20は、入力端より順次、スロットルセンサ2にスイッチ3を介して接続される入力線5を有しており、入力線5と電源電圧VCC端子21間に接続される抵抗R154 (1MΩ)22、入力線5とアース間に接続されるコンデンサC152 (4700pF)23、入力線5に直列に接続される抵抗R156 (39kΩ)24、入力線5とアース間に接続されるコンデンサC153 (0.1μF)25、電源電圧VCC端子26と入力線5間に接続されるダイオードD152 27と入力線5とアース間に接続されるダイオードD153 28、入力線5に直列に接続される抵抗R158 (5.1kΩ)29を有している。
【0005】さらに、油温入力回路10の出力は、A/DポートAN5 31を介して、A/D変換抵抗RAD(1kΩ)32、スイッチSW1 33に接続されている。また、スロットル入力回路20の出力は、A/DポートAN6 41を介して、A/D変換抵抗RAD(1kΩ)42、スイッチSW2 43に接続されている。そして、スイッチSW1 33とスイッチSW2 43はともに、他端がアースに接続されているA/D変換コンデンサCAD(20pF)51に接続されている。
【0006】したがって、そのスロットル入力回路20の各部の時定数は以下のようになる。すなわち、図10において、点線で囲まれた回路■は、図11(a)に示すように、(電源電圧VCC端子21−抵抗R154 22−コンデンサC152 23)における時定数7τは、7×C152 ×R154 =7×4700pF×1MΩ=164μsである。
【0007】また、図10において、点線で囲まれた回路■は、図11(b)に示すように、(電源電圧VCC端子21−抵抗R156 24−コンデンサC153 25)における時定数7τは、7×C153 ×(R154 +R156 )=7×0.1μF×(1MΩ+39kΩ)=700msである。
【0008】さらに、図10において、点線で囲まれた回路■は、図11(c)に示すように、(コンデンサC153 25−抵抗R158 29−A/Dポート41−A/D変換抵抗RAD42−スイッチSW2 43−A/D変換コンデンサCAD51−アース)における時定数7τは、7×CAD×(RAD+R158 )=7×20pF×(5.1kΩ+1kΩ)=0.85μsである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記した従来のスロットルセンサオープン故障検出回路によれば、図12(a)及び図12(b)に示すように、スキャンモードによるA/D変換を行った場合、各チャネルの電圧を2msごとにA/D変換を行っている。その時、A/Dコンバータ内のA/D変換コンデンサCAD51には、各チャネルの電圧が順番に充放電されている。
【0010】そこで、図10に示すスロットルセンサ2がオープン故障した場合、スロットル入力電圧は5Vとなるが、その1つ前のチャネルが低電圧であった時、A/Dコンバータ30内のA/D変換コンデンサCAD51は低電圧から5Vに充電されるため、マイコン内部に電流が流れ込むが、回路インピーダンスが大きいため、A/D変換コンバータ30内のA/D変換コンデンサCAD51が充分に充電される前に、次のA/D変換を行ってしまい、次第にA/D変換コンバータ30内のコンデンサ51に充電される電圧が低くなっていき、フェール判定値より低くなり、フェール判定が不可能となる。
【0011】つまり、スキャンされると、スロットル電圧は、図12(c)に示すように時定数が大きいために、次第に小さくなっていく。その結果、A/D変換コンデンサCAD51の電圧も、図12(d)に示すように低減していく。換言すれば、スロットルセンサのスキャン時にリーク電流が流れて、十分なA/D変換コンバータ30内のコンデンサへの充電を行うことができない。
【0012】したがって、スロットルセンサのオープン故障時の電圧が、フェール判定値を下回ってしまい、フェール判定が不可能となる。本発明は、上記のような問題点を除去し、センサのオープン故障時においても、A/D変換コンバータ内のコンデンサに充電される電圧の低下等を回避して、確実にセンサのオープン故障を検出することができるセンサオープン故障検出装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成するために、〔1〕センサオープン故障検出装置において、センサ回路の前の第1のチャネルにプルアップ又はプルダウンする回路を備え、センサ回路に接続される第2のチャネルのスキャン時のA/D変換用コンデンサの電圧をフェール検出可能な電圧に維持するようにしたものである。
【0014】〔2〕上記〔1〕記載のセンサオープン故障検出装置において、前記第2のチャネルに接続されるセンサはスロットルセンサである。
【0015】
【作用及び発明の効果】本発明によれば、センサ回路の前のチャネルをプルアップ(pull up)するようにした場合には、センサオープン故障時のA/D変換時に、リーク電流が生じても、A/D変換用コンデンサの電圧が低減し、フェール判定値を下回ることはなくなり、フェール判定を確実に行うことができる。
【0016】また、センサ回路の前のチャネルをプルダウン(pull down)する場合には、センサオープン故障時のA/D変換時に、電圧の低い領域で検出できなくなることがないように、予めプルダウンしてA/D変換用コンデンサの電圧を下げておくようにしている。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について図を参照しながら説明する。図1は本発明の第1実施例を示す自動変速機の電子制御システム構成図、図2は本発明の第1実施例を示すスロットルセンサオープン故障検出回路図、図3は本発明の第1実施例を示すスロットルセンサオープン故障検出フローチャートである。なお、この実施例では、従来例と同じ部分については、同じ符号を付してそれらの説明は省略する。
【0018】自動変速機の電子制御システムにおいては、車両により油温センサを必要としない場合があり、機種によってはA/D変換に空きチャネルができる場合がある。図1において、101は自動変速機、102はその自動変速機を制御する電子制御装置(ECU)、103は油温入力処理部である。104はスロットル信号(Vth)入力処理部、105はスロットル信号(Vref )入力処理部、106は車速信号入力処理部、107は各入力処理部からの情報をA/DポートAN5 〜AN7 などを介して取り込むマイクロコンピュータ(MPU)である。108はマイクロコンピュータ(MPU)107からの出力信号を受けて、自動変速機101内の各種ソレノイドへの制御信号を出力するソレノイド出力処理部である。
【0019】この実施例は、そのような油温センサを必要としない場合の電子制御システムである。つまり、図2に示すように、従来の油温入力回路10はそのまま残しつつ、スロットル回路の前チャネルとして使用する。つまり、電源電圧VCC端子12の5V電源で、スロットル回路の前チャネルのスキャン時に5Vでプルアップして、A/D変換用コンデンサCAD51を充電して、スロットル回路のチャネルのスキャン時にフェール判定を十分に行えるA/D変換用コンデンサCAD51の電圧を維持するように構成している。
【0020】以下、この第1実施例のスキャンモードでの動作を図3を用いて説明する。
(1)まず、スロットル回路の前のチャネルをスキャンする。つまり、図2におけるスイッチSW1 33をONにする(ステップS1)。
(2)すると、A/DポートAN5 31の電圧でA/D変換用コンデンサCAD51が充電される(ステップS2)。
【0021】(3)次に、スイッチSW1 33をOFFにする(ステップS3)。
(4)次いで、A/DポートAN5 31の電圧をA/D変換する(ステップS4)。
(5)次に、スロットル回路のチャネルをスキャンする。つまり、図2におけるスイッチSW2 43をONにする(ステップS5)。
【0022】(6)すると、A/DポートAN6 41の電圧でA/D変換用コンデンサCAD51が充電される(ステップS6)。従来の場合は、リーク電流が生じて十分な充電を行うことができないが、ここでは、スロットル回路の前のチャネルのスキャンで、5Vのプルアップが行われているので、十分な充電が行われる。
(7)次に、スイッチSW2 43をOFFにする(ステップS7)。
【0023】(8)次いで、A/DポートAN6 41の電圧をA/D変換する(ステップS8)。
(9)そして、所定のチャネルのスキャンが終了すると、ステップS1に戻り(ステップ9)、順次スキャンを繰り返す。
このように、第1実施例によれば、油温入力回路10をそのまま残すことにより、スロットル回路の前のチャネルを5Vにプルアップするようにしたので、スロットルセンサオープン故障時のスロットル電圧のA/D変換時にA/D変換用コンデンサの電圧が低減して、フェール判定値を下回ることはなくなり、フェール判定を確実に行いつつ、電子制御システムの汎用化を促進でき、コスト増がないという利点がある。
【0024】次に、本発明の第2実施例について説明する。図4は本発明の第2実施例を示す自動変速機の電子制御システム構成図、図5は本発明の第2実施例を示すスロットルセンサオープン故障検出回路図、図6は本発明の第2実施例を示すスロットルセンサオープン故障検出フローチャートである。なお、この実施例では、従来例又は第1実施例と同じ部分については、同じ符号を付してそれらの説明は省略する。
【0025】図5に示すように、この自動変速機の電子制御システムは、図12に示す従来の油温センサをそのまま使用する場合である。その場合に、通常のスキャンモードにおいて、スロットルセンサオープンの場合には、従来技術の問題点で説明したような問題を生じることになるので、この実施例においては、図5に示すように、スロットル回路の前のチャネルに、5V電源34でプルアップできるように、5V電源34、抵抗R35を接続するように構成する。
【0026】以下、この第2実施例のスキャンモードでの動作を図6を用いて説明する。
(1)まず、スロットル回路の前のチャネルをスキャンする。つまり、図5におけるスイッチSW1 33をONにする(ステップS11)。
(2)すると、A/DポートAN4 31Aの電圧で、A/D変換用コンデンサCAD51が充電される(ステップS12)。
【0027】(3)次に、スイッチSW1 33をOFFにする(ステップS13)。
(4)次に、A/DポートAN4 31Aの電圧をA/D変換する(ステップS14)。
(5)次に、スイッチSW1236をONにして、5Vのプルアップを行う(ステップS15)。
【0028】(6)すると、A/D変換用コンデンサCAD51が充電される(ステップS16)。
(7)次に、スロットル回路のチャネルをスキャンする。つまり、図5におけるスイッチSW2 43をONにする(ステップS17)。
(8)すると、A/DポートAN6 41の電圧でA/D変換用コンデンサCAD51が充電される(ステップS18)。従来の場合は、リーク電流が生じて十分な充電を行うことができないが、ここでは、リーク電流が生じても、予めプルアップ5V電源34によりA/D変換用コンデンサCAD51が充電され、フェール判定値が保証されている。
【0029】(9)次に、スイッチSW2 43をOFFにする(ステップS19)。
(10)次いで、A/DポートAN6 41の電圧をA/D変換する(ステップS20)。
(11)そして、所定のチャネルのスキャンが終了すると、ステップS11に戻り(ステップ21)、順次スキャンを繰り返す。
【0030】このように、第2実施例によれば、油温センサ回路のチャンネルは従来のまま用いる場合においても、スロットル回路のチャネルのスキャン時には5Vにプルアップされているので、スロットルセンサオープン故障時のスロットル電圧のA/D変換時にA/D変換用コンデンサの電圧が低減して、フェール判定値を下回ることはなくなり、フェール判定を確実に行うことができる。
【0031】図7は本発明の第3実施例を示すスロットルセンサオープン故障検出回路図である。この実施例においては、図7に示すように、スロットル回路の前のチャネルに、プルダウンできるように、A/DポートAN5 31Bをアースするように構成するとともに、スロットル入力回路20の電源電圧VCC端子21(図5参照)を除去して、抵抗R156 の負荷側に抵抗R159 38を介してアースするように構成する。
【0032】以下、この第3実施例のスキャンモードでの動作を図8を用いて説明する。
(1)まず、スロットル回路の前のチャネルをスキャンする。つまり、図7におけるスイッチSW1 33をONにする(ステップS21)。
(2)すると、A/DポートAN4 31Aの電圧で、A/D変換用コンデンサCAD51が充電される(ステップS22)。
【0033】(3)次に、スイッチSW1 33をOFFにする(ステップS23)。
(4)次に、A/DポートAN4 31Aの電圧をA/D変換する(ステップS24)。
(5)次に、スイッチSW1337をONにして、低い領域で検出できなくなることがないように、予めプルダウンを行う(ステップS25)。
【0034】(6)すると、A/D変換用コンデンサCAD51の電位がプルダウン領域の電位へと移行する(ステップS26)。
(7)次に、スロットル回路のチャネルをスキャンする。つまり、図7におけるスイッチSW2 43をONにする(ステップS27)。
(8)すると、A/DポートAN6 41の電圧がA/D変換用コンデンサCAD51に印加される(ステップS28)。
【0035】(9)次に、スイッチSW2 43をOFFにする(ステップS29)。
(10)次いで、A/DポートAN6 41の電圧をA/D変換する(ステップS30)。すると、図9に示すように、プルダウン領域PDでのスロットルセンサのフェール判定が可能になる。なお、図9において、PUはプルアップ領域を示している。
【0036】(11)そして、所定のチャネルのスキャンが終了すると、ステップS21に戻り(ステップ31)、順次スキャンを繰り返す。
このように、第3実施例によれば、油温センサ回路のチャンネルは従来のまま用いる場合においても、スロットルセンサオープン故障時のスロットル電圧のA/D変換時にA/D変換用コンデンサの電圧を予めプルダウンして電圧を下げるようにしたので、低い領域での検出を行うことができ、フェール判定を確実に行うことができる。
【0037】なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【出願人】 【識別番号】000100768
【氏名又は名称】アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
【出願日】 平成9年(1997)10月31日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】清水 守 (外1名)
【公開番号】 特開平11−132325
【公開日】 平成11年(1999)5月21日
【出願番号】 特願平9−300660