| 【発明の名称】 |
エンジン自動停止車両の油圧制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】蔵本 浩明
【氏名】加藤 芳章
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| 【要約】 |
【課題】第1の油圧源の油圧を信号圧力として油路を開閉することにより、簡素で安価な油圧制御装置を提供する。
【解決手段】所定の運転条件が成立したときにエンジンを一時的に停止させ、また自動停止したエンジンを所定の運転条件が成立したときに再始動するエンジン自動停止車両において、エンジン1により駆動されて前記無段変速機4に油圧を供給する第1の油圧源5と、エンジン1の自動停止中に無段変速機4に油圧を供給する第2の油圧源6と、第1の油圧源5と無段変速機4の間の油路に介装され第1の油圧源1の油圧が上昇したときに開く油圧切換弁16とを備える。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】エンジンの出力回転を変速する油圧制御式の無段変速機と、所定の運転条件が成立したときにエンジンを一時的に停止させる自動停止手段と、自動停止したエンジンを所定の運転条件が成立したときに再始動する始動手段とを備えたエンジン自動停止車両において、エンジンにより駆動されて前記無段変速機に油圧を供給する第1の油圧源と、エンジンの自動停止中に無段変速機に油圧を供給する第2の油圧源と、第1の油圧源と無段変速機の間の油路に介装され第1の油圧源の油圧を感知して開閉する油圧切換弁とを備えたことを特徴とするエンジン自動停止車両の油圧制御制御装置。 【請求項2】前記油圧切換弁が、第1油圧源に油圧が発生しないときにスプリングに付勢されて前記油路を遮断し、同じく油圧が所定値以上のときに油路を連通するように構成されている請求項1に記載のエンジン自動停止車両の油圧制御装置。 【請求項3】前記油圧切換弁が、第1油圧源の油圧が所定値以下でかつ第2油圧源の油圧が所定値以上のときに前記油路を遮断し、前記第1油圧源の油圧が所定値以上のときに前記油路を連通し、さらに第1油圧源と第2油圧源の油圧が共に発生しないときにスプリングに付勢されて前記油路を連通させる位置に保持されるように構成される請求項1に記載のエンジン自動停止車両の油圧制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は運転条件に応じてエンジンの自動停止と自動始動を行い、燃料を節約し、排気エミッションを向上させるエンジン自動停止車両に用いられる油圧制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】車両の排気エミッションを改良するための一つの方法として、その動力源として内燃機関と電動モータを組み合わせたハイブリッドシステムが知られている(例えば「自動車工学」1997年6月号など参照)。 【0003】これはエンジンとモータを並列に配置すると共に、エンジンで駆動される発電機を備え、所定の運転条件ではエンジンの駆動力にモータの駆動力を付加し、コーストまたは減速時にモータを発電機として機能させ、エネルギの回生を行う。車両の一時的な停車時には、エンジン及びモータを自動的に停止させる一方、アクセルペダルの踏み込みを検出すると、発電機をモータとしてエンジンの始動を行いつつ、車両をモータによって発進させるものである。 【0004】ところでこのような車両の変速機として、無段変速機を適用した場合に、無段変速機に供給する油圧を確保するため、エンジンにより駆動される第1の油圧源(ポンプ)とは別に、電動モータにより駆動される第2の油圧源を備えておき、エンジン停止時には第2の油圧源からの油圧を無段変速機や前後進切換機構の摩擦締結要素に供給するようになっている。 【0005】例えばベルト式無段変速機にあっては、エンジンの自動停止時に第1の油圧源からの油圧が低下したときに、出力プーリ側のシリンダ室に油圧を導入しておかないと、次の発進時に油圧がかかるまで、ベルトに滑りを生じやすく、迅速なトルク伝達が行えない。そこで、エンジン停止時には第2の油圧源からの油圧を導入し、再始動時の応答性を確保している。 【0006】この油圧制御システムでは、エンジンの自動停止中には第2の油圧源から第1の油圧源側に作動油が逆流しないようにする必要があり、このため第1の油圧源と無段変速機の出力プーリ側シリンダ室との間には、第2の油圧源の接続位置よりも上流においてエンジン停止時には油路を閉じ、エンジン作動時には油路を開く電磁弁を介装している。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような電磁弁を設けて油路を連通または遮断する構造では、電磁弁をエンジンの運転と同期して駆動するためのコントローラが必要となり、また電気的な配線なども不可欠で、油圧制御システムがそれだけ複雑かつ高価となる問題があった。 【0008】なお、単に逆止弁を挿入することも考えられるが、この場合には出力プーリ側シリンダ室から作動油の流出ができず、変速比の制御が不能となってしまう。 【0009】本発明はこのような問題を解決することを目的とするもので、第1の油圧源の油圧を信号圧力として油路を開閉する油圧切換弁を備えることにより、簡素で安価な油圧制御装置を提供する。 【0010】 【課題を解決するための手段】第1の発明は、エンジンの出力回転を変速する油圧制御式の無段変速機と、所定の運転条件が成立したときにエンジンを一時的に停止させる自動停止手段と、自動停止したエンジンを所定の運転条件が成立したときに再始動する始動手段とを備えたエンジン自動停止車両において、エンジンにより駆動されて前記無段変速機に油圧を供給する第1の油圧源と、エンジンの自動停止中に無段変速機に油圧を供給する第2の油圧源と、第1の油圧源と無段変速機の間の油路に介装され第1の油圧源の油圧を感知して開閉する油圧切換弁とを備える。 【0011】第2の発明は、前記油圧切換弁が、第1油圧源に油圧が発生しないときにスプリングに付勢されて前記油路を遮断し、同じく油圧が所定値以上のときに油路を連通するように構成されている。 【0012】第3の発明は、前記油圧切換弁が、第1油圧源の油圧が所定値以下でかつ第2油圧源の油圧が所定値以上のときに前記油路を遮断し、前記第1油圧源の油圧が所定値以上のときに前記油路を連通し、さらに第1油圧源と第2油圧源の油圧が共に発生しないときにスプリングに付勢されて前記油路を連通させる位置に保持されるように構成される。 【0013】 【発明の作用および効果】第1の発明によれば、エンジンの作動中は油圧切換弁を介して第1油圧源からの油圧が供給され、無段変速機は通常の変速制御が行える。次にエンジンの自動停止時には、第2の油圧源からの油圧が無段変速機に供給され、このとき油圧切換弁が油路を遮断することにより、停止中の第1油圧源側へと作動油の逆流を防ぎ、無段変速機は動力伝達が可能な状態で待機することができる。油圧切換弁は第1油圧源の油圧を感知して切換作動するので、実際に発生する油圧に応じて確実に油路の開閉が行われ、作動の安定性、信頼性が向上する。また、油圧制御システムとしては電気系の制御部分が減り、それだけ簡素化できる。 【0014】第2の発明では、スプリングにより第1油圧源の油圧が発生しないときに確実に油路を遮断し、エンジン自動停止時の油圧を確保できる。 【0015】第3の発明では、第1油圧源と第2油圧源との油圧差に応じて切換わるので、いずれか高い方の油圧を確実に供給することができ、また第1、第2油圧源の油圧が共に発生しないときには、スプリングにより油路を連通保持するので、万が一、油圧切換弁が切換異常を生じても連通が維持され、次のエンジン始動により確実に油圧が供給できる。 【0016】 【発明の実施の形態】図1は全体構成を示すもので、図中1はエンジンで、このエンジン1の出力軸にはトルクコンバータ2が連結され、さらに前後進切換機構3を介して油圧制御式の無段変速機4が連結される。 【0017】トルクコンバータ2の入力側には第1の油圧源としての油圧ポンプ5が取付けられ、エンジン1が運転されているときには同期的に回転駆動されるが、停止中は回転が停止する。 【0018】これとは別に第2の油圧源6として、車両の停車中(エンジンキースイッチがオンの間)は一定の油圧を供給するために、電動モータにより駆動される、後述する油圧ポンプが設けられる。 【0019】これら油圧源からの作動油は、上記したトルクコンバータ2のロックアップクラッチや、前進後進切換機構3の前進クラッチ(前進用摩擦締結要素)、後進クラッチ(後進用摩擦締結要素)に制御回路を介して供給され、これらの締結や解放を制御する。また、無段変速機4として、この実施の形態において備えられたベルト式無段変速機の入力プーリ4a、出力プーリ4bの油圧シリンダ室にも制御油圧が送り込まれ、これによりプーリ比を変化させて変速比を制御する。 【0020】一方、通常は発電機として機能すると共に、エンジン1の再始動時にクランキング用のモータとして機能する第1のモータジェネレータ8が設けられる。また、エンジン1の出力側と並列に第2のモータジェネレータ9が設けられ、この第2のモータジェネレータ9は車両の発進時などはモータとして車両の駆動に寄与し、車両のコースト時や減速時には発電機として機能し、車両のもつ走行エネルギを発電により回生する。 【0021】前記各油圧源についての詳細を図2に示す。 【0022】無段変速機4の入力プーリシリンダ室12と、出力プーリシリンダ室13とに供給される油圧を制御するために、第1の油圧源である油圧ポンプ5からの吐出油を無段変速機コントローラ(以下、CVTコントローラという)11からの信号で調圧する入力油圧制御弁14と、出力油圧制御弁15が設けられる。 【0023】入力油圧制御弁14により調圧された油圧に応じて入力プーリ4aの溝幅が変化し、これによりプーリ有効径が変わり、これにベルトを介して追従する出力プーリ4bのプーリ有効径が変化し、プーリ比が変化する。なお、出力プーリシリンダ室13の油圧力(受圧面積を含めて)は入力側よりも小さく設定され、入力側に対する追従が可能となっている。 【0024】そして出力プーリシリンダ室13と油圧ポンプ5を結ぶ油路の途中には、油圧切換弁16が介装される。油圧切換弁16は出力油圧制御弁15によって設定された油圧に応じて切換作動し、油圧が所定値以上のときは油路を開き油圧を出力プーリシリンダ室13に伝達するが、エンジン1の自動停止時など所定値以下のときは回路を遮断し、逆流を阻止する。 【0025】この油圧切換弁16の詳細は図3に示す。油圧切換弁16はスプリング17によって付勢されるスプール18が設けられ、このスプール18の位置により第1ポート19aと第2ポート19bとの間の連通が開閉される。スプール18の端部の受圧面20には出力油圧制御弁15からの油圧が作用し、油圧が所定値以上のときはスプリング17に打ち勝ってスプール18を変位させ、第1ポート19aと第2ポート19bとの間を連通させるが(図3B)、油圧が所定値以下のときはスプリング17によりスプール18が押し戻され、連通が遮断される(図3A)。 【0026】次に図2に戻り、第2の油圧源6である油圧ポンプは、電動モータ22により回転駆動され、その圧力がハイブリッドコントローラ25からの信号で作動する油圧制御弁23により所定値に制御される。ハイブリッドコントローラ25はエンジン1の自動停止時など、第1の油圧ポンプ5の油圧が発生しないときでも前記出力スプールシリンダ室13や、上記した前後進切換機構3の摩擦締結要素に所定の油圧を供給することのできるように、電動モータ22によって油圧ポンプ6を駆動し、かつ油圧制御弁23を介して油圧を所定値に制御する。 【0027】油圧制御弁23と出力プーリシリンダ室13との間には、第1の油圧源5からの逆流を阻止する逆止弁27が介装される。 【0028】以上のように構成され、次に作用について説明する。 【0029】車両の走行中などはエンジン1が駆動され、その出力回転がトルクコンバータ2から前後進切換機構3を介して無段変速機4に伝達される。 【0030】この状態では第1の油圧源5である油圧ポンプ5はエンジン1により回転駆動され、このため油圧切換弁16のスプール18がポンプ吐出圧を受けて、図3の(B)のように切換わり、第1油圧源側と出力プーリ室側の油路を連通させる。したがってCVTコントローラ11を介して入力油圧制御弁14と、出力油圧制御弁15によってそれぞれ制御された油圧が、入力プーリシリンダ室12と、出力プーリシリンダ室13に供給され、運転状態に応じてプーリ比が制御される。 【0031】このようにして、無段変速機4の変速比に応じてエンジン回転が車輪側に伝達される。 【0032】なおこのとき、第2の油圧源6である油圧ポンプ側は、ハイブリッドコントローラ25により、電動モータ22と油圧制御弁23が制御され、第2の油圧源6としての油圧が不要のときにはモータ回転が停止される。 【0033】一方、車両が一時的に停車するときにはエンジン1の回転が停止されるが、このエンジン1の自動停止により、第1の油圧源である油圧ポンプ5の回転も停止し、作動油の吐出を止める。この油圧の低下を感知して、油圧切換弁16のスプール18がスプリング17により押し戻され、第1油圧源側と出力プーリ室側の油路の連通を遮断する。 【0034】この状態では第2の油圧源側において、電動モータ22がハイブリッドコントローラ25を介して駆動され、油圧制御弁23によって調圧された油圧ポンプ6からの油圧が、逆止弁27を介して出力プーリシリンダ室13に供給され、無段変速機が動力伝達が可能な状態で待機する。このとき入力プーリシリンダ室12の油圧は低圧のためプーリ比(変速比)は最大となって、次の発進に備えることができる。 【0035】なお、油圧切換弁16が第1油圧源側の油路を遮断しているので、第2油圧源6からの油圧がドレーン側に逃げることはなく、出力プーリシリンダ室13の油圧は所定値に維持される。 【0036】車両の発進時にはアクセルペダルの踏み込みにより、第2のモータジェネレータ9がモータとして機能し、車両を発進させ、また同時に第1のモータジェネレータ8によりエンジン1が再始動されるので、これに伴って遅滞なくエンジン1の出力が発生する。 【0037】この発進時には入力プーリシリンダ室12の圧力が低く、変速比は最大となっており、しかも出力プーリシリンダ室13には、所定の圧力が満たされているため、ベルトの滑りを起こすことなく、エンジン駆動力が迅速に伝達され、大きなトルクによりスムーズな加速特性が得られる。 【0038】エンジン1が再び作動すると、第1の油圧源5からの油圧が発生し、油圧切換弁16が切換作動して第1油圧源側のと連通するので、第2の油圧源6の油圧は不要となり、ハイブリッドコントローラ25がこれを感知して電動モータ22の回転を必要に応じて停止させる。 【0039】次に図4、図5に示す他の実施形態について説明する。 【0040】この実施の形態においては、油圧切換弁26は、第1油圧源5と第2油圧源6との差圧に応じて切換作動するようになっている。 【0041】油圧切換弁26のスプール18はスプリング17により第1ポート19aと第2ポート19bとの間を連通させるように付勢される。そしてスプール18の一方の端部の受圧面20aには、第1油圧源5からの油圧が導かれるが、他方の端部の受圧面20bにも、第2油圧源6からの油圧が導かれる。そして、これら受圧面の面積とスプリングの作用力は、両方の受圧面に油圧が作用するときでも、スプール18が第1ポート19aと第2ポート19b間を連通するように設定されている。また、第2油圧源6からのみ油圧が作用するときに、スプール18が第1ポート19aと第2ポート19b間の連通を遮断し、油圧が共に作用しないときには、スプリング17により第1ポート19aと第2ポート19bが連通するように設定される。 【0042】したがって、エンジン1の作動が一時的に停止するときには、第1油圧源5の圧力が低下し、第2油圧源6の油圧が所定値以上になると油圧切換弁26が切換わり、第1油圧源側の油路を遮断する(図5B)。エンジン1が作動して第1の油圧源5の油圧が所定値以上になると、油圧切換弁26により第1油圧源側の油路が開かれる(図5A)。このようにして、エンジン停止時にも出力プーリシリンダ室13の油圧を確保する。 【0043】一方、車両の駐車時など、エンジン1のイグニッションキースイッチをオフにするときなど、第1油圧源5と第2油圧源6の油圧が共に発生しないときは、油圧切換弁26は第1油圧源側と出力プーリ室側油路を連通している。つまり、油圧切換弁26はノーマルオープンの構造になっているため、万が一スプール18にスティックなどの問題が生じても、油路が開かれた状態に維持されるので、次にエンジン1を作動させたときには必ず出力プーリシリンダ室13に油圧が供給され、フェールセーフとして最低限、変速制御は可能となる。 【0044】なお、逆止弁27をセット荷重付きのタイプにすると、油圧切換弁26が油路を遮断するときに、第2油圧源6の油圧が油圧切換弁26を切換える値に上昇するまでの間は逆止弁27が閉じ、したがって油圧切換弁26が完全に閉じてから作動油が流れ、このため第2油圧源6からの作動油の一部が、第1油圧源側に逃げるといったようなことを確実に防止することができる。 【0045】上記実施の形態において、無段変速機としてベルト式の無段変速機を例示したが、これに限られるものではなく、エンジン自動停止時の待機中にも油圧を必要するトロイダル式の無段変速機であってもよい。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003997 【氏名又は名称】日産自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)10月29日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】後藤 政喜 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−132321 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)5月21日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−297099 |
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