| 【発明の名称】 |
トルクコンバータ |
| 【発明者】 |
【氏名】都築 幸久
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| 【要約】 |
【課題】中速度域におけるトルクコンバータの容量係数を車両の特性に応じて任意に設定可能なトルクコンバータを提供すること。
【解決手段】ステータブレードは、タービン12からの流体が入り込む入口部15aと、タービン12から流れ込んだ流体の出口側である出口部15bと、入口部15aと出口部15bとの間に形成されタービン12側からポンプ11側に流れる流体の圧力を受けるプレッシャ面と、入口部15aと出口部15bとの間に形成されポンプ11側に面するサクション面15dとを有し、サクション面15d側の入口部15aが流体の流入方向と略垂直となるように入口部15aを形成する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ポンプブレードを有するポンプ、タービンブレードを有するタービン及びステータブレードを有するステータを備えるトルクコンバータであって、前記ステータブレードは、前記タービンに面しタービンから流れ込む流体の入口である入口部と、前記ポンプに面しタービンから流れ込んだ流体の出口側である出口部と、前記入口部と出口部との間でタービン側に面して形成されるプレッシャ面と、前記入口部と出口部との間でポンプ側に面して形成されるサクション面とを有し、前記入口部のサクション面側が流体の流入方向と略垂直に形成されることを特徴とするトルクコンバータ。 【請求項2】 前記入口部は、ポンプの回転速度に対するタービンの回転速度の比がカップリング領域よりも低い中速度比域ときの流体の流入方向と略垂直となるように形成されることを特徴とする、請求項1のトルクコンバータ。 【請求項3】 前記サクション面に対して前記入口部の平面の成す角度が0°から90°の範囲内で設定されることを特徴とする、請求項2のトルクコンバータ。 【請求項4】 前記中速度比域は、ポンプの回転速度に対するタービンの回転速度の比が0.2から0.8の範囲内であることを特徴とする、請求項2のトルクコンバータ。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明が属する分野】本発明は、特に自動変速機等の駆動系列内に用いられるトルクコンバータに関するものであり、特にトルクコンバータの容量係数を任意に変化させるためのステータブレード形状に関するものである。 【0002】 【従来の技術】第1の従来技術として、特開昭55−54757号公報に開示される技術がある。上記公報に開示されるトルクコンバータは、機関からのトルクを吸収するように連結されたポンプと、このポンプと流体流れ関係にあるタービンと、圧力流体の流路においてタービンからの流体をポンプに再び向かうように形成されたステータとを有し、ポンプの羽根は、アイドル速度においてポンプのトルク吸収容量、すなわち容量係数を減少する方向に有効であり且つポンプの流体出口における円環流路から−20°から−30°の範囲において変位した負の先端角度を有する出口先端と関連して正の羽根角度を有し、ステータの羽根が失速速度においてステータの入口における円環流路内に乱流を誘起するようにタービンからのステータへの流入から周方向及び角度的に変位した鋭いノーズを有するトルクコンバータが開示されている。 【0003】この技術によると、容量係数が減少されることでアイドリング等のエンジン回転を低回転にさせることが可能になり燃費が向上する。すなわち、ポンプの回転数に対するタービンの回転数の比(以下、速度比と称す)が低いときにおける燃費が向上する。 【0004】また第2の従来技術として、自動車技術会 学術講演会前刷集921 1992−5の75頁から78頁には、ステータブレード背面の剥離を抑え、抗力を低減するようにステータブレード形状を改良することで、トルク比、効率を維持しながら中高速域における容量係数を向上させた技術が開示されている。 【0005】 【本発明が解決しようとする課題】しかしながら第1の従来技術では、アイドリング時のエンジン回転を低回転にさせることによりアイドリング時での燃費を低減することが可能になるが、速度比が中速域、或いは高速域においては考慮されておらず、中速度比域、或いは高速度比域では燃費を向上することはできない。 【0006】また第2の従来技術では、中速度比域の容量係数が向上しているのでエンジンの種類によっては加速性を妨げる要因になることが考えられる。またこの技術は、ストール時における容量係数を任意に調整することが困難である。 【0007】そこで本発明は、トルクコンバータの中速度比域における容量係数を車両の特性に応じて任意に設定することが可能なトルクコンバータを提供することを技術的課題とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決する為に請求項1では、ポンプブレードを有するポンプ、タービンブレードを有するタービン及びステータブレードを有するステータを備えるトルクコンバータであって、ステータブレードは、タービンに面しタービンから流れ込む流体の入口である入口部と、ポンプに面しタービンから流れ込んだ流体の出口側である出口部と、入口部と出口部との間でタービン側に面して形成されるプレッシャ面と、入口部と出口部との間でポンプ側に面して形成されるサクション面とを有し、入口部のサクション面側を流体の流入方向と略垂直とした。 【0009】請求項1によると、中速度比域では入口部に対して略垂直に流体が流れ、入口部により流体の剥離量が調整されて、中速度比域での容量係数を所望の値に調整することが可能になる。つまり、請求項2に示すように、中速度比域での流体の流入方向と略垂直となるように入口部を形成したことで中速度比域の容量係数が設定できる。更に請求項3に示すように、サクション面に対して入口部の平面の成す角度は0°から90°の範囲内で設定される。中速度比域の具体的な数値として、請求項4に示すようにポンプの回転速度に対するタービンの回転速度の比が0.2から0.8の範囲内であることが好ましい。 【0010】以上より、車両の用途(例えば、軽自動車や小型自動車、中型トラック等)に応じて好適な性能を持つトルクコンバータを提供することができる。 【0011】 【実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の一形態を説明する。図1は本実施の形態におけるトルクコンバータの主要縦断面図である。 【0012】構成について説明する。図1は自動車用に自動変速機(図示せず)とともに用いられるトルクコンバータ10であり、複数のポンプブレード11aを備えエンジン(図示せず)の出力軸に連結するポンプ11と、ポンプ11に対向して配置され複数のタービンブレード12aを備え自動変速機の入力軸に連結するタービン12と、ポンプ11とタービン12の間に配設され、ポンプ11側からタービン12側に流れる流体を整流するための複数のステータブレード15を備えるステータ13と、ロックアップクラッチ14等によって構成されている。ポンプ11からタービン12に向って流入する流体は図1の矢印方向に示すようにしてステータ13に流入するようになっている。 【0013】図2は本実施の形態のステータ13をタービン12側から見た正面図である。ステータ13の内周部はワンウェイクラッチを介してステータシャフトに連結されており、ポンプ11及びタービン12と同じ回転方向にしか回転できないように構成されている。 【0014】図3は、中速度比において最適なステータブレード15の図2のA−A断面図である。ステータブレード15は、ポンプ11側に面しポンプ11側から流れ込む流体圧のステータブレード15に対する入口である入口部15aと、タービンに面しポンプから流れ込んだ流体の出口である出口部15bと、ポンプ11側からタービン12側への流体圧を受けるプレッシャ面15cと、プレッシャ面15cと反対側の面に形成されるサクション面15dと、を有する。 【0015】本実施の形態では、トルクコンバータ10のカバーとステータ13との間にはワンウェイクラッチが配設されており、速度比が低速度比域(0以上0.3未満)から中速度比域(0.3以上0.6未満)の間ではステータブレード15のプレッシャ面15cが流体の圧力を受ける方向に流体を還流するが、速度比が高速度比域(0.6以上)になってから0.9(カップリング領域)より大きくなると、ポンプ11側からタービン12側に還流する流体の方向が変化して、ステータブレード15のサクション面15d側でポンプ11側からタービン12側に還流する流体の圧力を受けるようになる。したがって、速度比が0.9より大きいカップリング領域では容量係数を調整することができず、ワンウェイクラッチによりサクション面15dが流体の圧力を受けてステータ13が回転する。ステータ13が回転することで、速度比が0.9以上の領域ではトルクコンバータ10内を還流する流体はステータブレード15の形状にほとんど影響されることなく、ポンプ11側からタービン12側に向って流体が還流する。速度比が0.9より小さい領域ではステータは回転せず、タービンからポンプへの流体の流れを規制している。 【0016】つまり、ワンウェイクラッチによりステータ13は低速度比域と中速度比域では回転せず、トルクコンバータ10がカップリング状態となる高速度比域になると、ステータ13が回転するように構成されている。 【0017】次に、タービン12とポンプ11との速度比が中速度比域(速度比:0.3以上0.6未満)におけるトルクコンバータ10の作動について説明する。 【0018】中速度比域では、ステータブレード15の入口部15aにおけるタービン12側からポンプ11側へ還流する流体の方向は図4の矢印方向である。中速度比域は車両の発進時における加速性、追越し加速性の向上等ををねらいとした領域であって、図4に示すようにステータブレード15の入口部15aの角度をサクション面15dに対して0〜90°の範囲で設定することにより、中速度比域におけるタービン12側からポンプ11側へ還流する流体のステータブレード15による剥離量を調整することができ、この速度比域での容量係数を設定することができる。 【0019】上記以外の方法としては、サクション面15d側の形状を変化させることによりブレード15の厚みを変化させて、中速度比域での容量係数を設定することができる。 【0020】図4に示すステータブレード15と従来の一般的なステータブレードとの容量係数、トルク比及び効率を比較したときのグラフを図7に示す。図7における点線は従来の性能を示し、実線は図5のステータブレード15の性能を示す。図7から分かるとおり、トルク比と効率には顕著な違いはないが、略一定の値を保持している。中速度比域について更に詳細に説明すると、この速度比域では、タービン12がポンプ11の0.3〜0.6倍の回転数で回転しているためタービン12からステータ13に流れ込む流体はタービン12の回転方向に向かい、ステータブレード15の入口部15aにおける流体の方向は図4の矢印方向になる。この状態で入口部15aに対して垂直方向に流体が流れるように予め入口部15aが設計されており、入口部15aに到達した流体が乱流となってポンプ11側に流入する流体の量が減少する。これによりポンプ11側の回転トルクが減少し、ポンプ11の回転数の二乗に対するポンプ11の回転トルクで表される容量係数が減少する。 【0021】尚、低速度比域や高速度比域ではステータ13を流れる流体の向きが中速度比域と異なるため、低速度比域及び高速度比域ではタービン12からステータ11に流れ込む流体がステータブレード15の入口部15aに垂直な方向にはならず、低速度比域及び高速度比域における容量係数が減少することはない。また、図7から判るとおりトルク比と効率には顕著な違いはない。尚、入口部15aの平面部分の面積を変化させることにより、中速度比域における容量係数の減少量を調整することが可能である。 【0022】本実施の形態によると、図7に示すように中速度比域の容量係数が略一定となったことで、中速度比域でのエンジントルクが最大のときの容量係数を維持することが可能になり、車両の加速性能が向上する。 【0023】本実施の形態では速度比が0以上0.3未満を低速度比域、0.3以上0.6未満を中速度比域、0.6以上0.9未満を高速度比域としたが、とくにこのような速度比域の設定に限定する意図はなく、車両によって速度比域の設定は異なる場合が考えられる。 【0024】 【効果】請求項1によると、入口部のサクション面側に向って流体が流れる速度比域では、入口部に対して略垂直に流体が流れ、入口部により流体の剥離量が調整されて、この速度比域での容量係数を所望の値に調整することが可能になる。 【0025】請求項2及び請求項3によると、ポンプの回転速度に対するタービンの回転速度の比がカップリング領域よりも低いときの流体の流入方向と略垂直となるように入口部を形成したことで中速度比域の容量係数が設定できる。したがって、例えば中速度比域の容量係数を略一定に保持するように設定すると、中速度比域でのエンジントルクが最大のときの容量係数を維持することが可能になり、車両の加速性能が向上して好適である。 【0026】請求項4によると、中速度比域としてポンプの回転速度に対するタービンの回転速度の比が0.2から0.8の範囲内と、中速度比域を明確にしたことにより、請求項1乃至請求項3の効果が更に顕著になる。 【0027】以上、本発明によると、ステータブレードの形状を変化させるだけの簡単な構成で、中速度比域における容量係数を任意に設定できる。これによって、車両の用途(例えば、軽自動車や小型自動車、中型トラック等)に応じて好適な性能を持ったトルクコンバータを、余分な部品を付加することなく低コストで提供することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000011 【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)8月28日 |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開平11−132307 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)5月21日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−243529 |
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