| 【発明の名称】 |
デファレンシャル装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】相場 智
【氏名】朝日 雅彦
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| 【要約】 |
【課題】デフケ−スの強度を損なうことなく、潤滑性を確保可能なデファレンシャル装置の提供を目的とする。
【解決手段】デフケース3と、サイドギヤ19,21と、4組の対の収納孔37,39と、ピニオンギヤ組と、デフケース3のボス部11の内周に形成される第1のオイル溝49と、隣接する収納孔組同士の中間部位におけるデフケース3の軸支部27の厚肉部内周面に軸方向に形成されると共に外側端が第1のオイル溝49のオイルを導通し、内側端がサイドギヤ19との摺動面に連通する第2のオイル溝51とを備え、さらに、一端が第2のオイル溝51の内側端に連通して半径方向に斜交して延設され他端が一方の収納孔39に連通する第3のオイル溝59とを備えることを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 両端のボス部にてケース内に回転可能に支持されエンジンの駆動力が入力されるデフケースと、前記デフケース内に同心に対向配置され前記入力された駆動力を前記デフケースのボス部を貫通する各出力軸に出力する一対のサイドギヤと、前記サイドギヤの周囲のデフケースに回転軸に平行に設けられる複数組の対の収納孔と、前記対の収納孔にそれぞれ収納され互いに噛み合うと共に、前記サイドギヤと各別に噛み合うピニオンギヤ組と、前記デフケースのボス部内周と出力軸の外周との間に形成される第1のオイル通路と、隣接する前記収納孔組同士の中間部位におけるデフケースの厚肉部内周面に軸方向に形成されると共に外側端が前記第1のオイル通路のオイルを導通し、内側端がサイドギヤとの摺動面に連通する第2のオイル通路とを備えることを特徴とするデファレンシャル装置。 【請求項2】 請求項1に記載のデファレンシャル装置であって、一端が前記第2のオイル通路の内側端に連通して半径方向に斜交して延設され他端が隣接する収納孔組の少なくともいずれかの収納孔に連通する第3のオイル通路とを備えることを特徴とするデファレンシャル装置。 【請求項3】 請求項1または2に記載のデファレンシャル装置であって、前記対のピニオンギヤ同士の噛合い位置が前記サイドギヤの軸方向外側であるか、または両サイドギヤの軸方向中間部であることを特徴とするデファレンシャル装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、デファレンシャル装置に関する。 【0002】 【従来の技術】特開平8−247261号公報に図3、図4に示すようなデファレンシャル装置201が記載されている。 【0003】このデファレンシャル装置201は、デフケ−ス203と、同軸配置された一対の出力側のヘリカルサイドギヤ205、207と、各サイドギヤ205、207の径方向外側に周方向配置された一対のヘリカルピニオンギヤ209、211からなる複数組のピニオンギヤ組などを備えている。各ピニオンギヤ209、211はそれぞれデフケ−ス203の収容孔213、215に外周を摺動回転自在に収容されている。 【0004】各ピニオンギヤ209、211には第1ギヤ部217、219と第2ギヤ部221、223とが設けられており、各ピニオンギヤ209、211はそれぞれの第2ギヤ部221、223で互いに噛み合っている。又、各サイドギヤ205、207は各ピニオンギヤ209、211の第1ギヤ部217、219と各別に噛み合うことによって互いに連結されている。 【0005】デフケ−ス203はケ−シング本体225とカバ−227とをボルトで固定して構成され、両端のボス部229、231をベアリングによって支承されている。 【0006】デフケ−ス203を回転させるエンジンの駆動力は、ピニオンギヤ209、211からサイドギヤ207、205を介して車輪側に伝達される。又、トルクを伝達している間、ピニオンギヤ209、211の噛み合い反力によりピニオンギヤ209、211と収容孔213、215との間に生じる摩擦抵抗や、ヘリカルギヤの噛み合いスラスト力によりサイドギヤ205、207とピニオンギヤ209、211とデフケ−ス203との間に生じる摩擦抵抗などによってトルク感応型の差動制限機能を得ている。 【0007】このデファレンシャル装置201のように、各摺動部の摩擦抵抗によって差動制限力を得るデファレンシャル装置では、各摺動部の焼き付きを防止すると共に、摩擦抵抗の変動を防止し、トルク感応型差動制限機能を安定させるために、各摺動部を充分に潤滑する必要がある。 【0008】デファレンシャル装置201では、各ボス部229、231の内周に螺旋状のオイル溝233、235と、これらと連通するオイル溝237、239とを設けて、外部のオイル溜り241からのオイルを螺旋状のオイル溝233、235から取り入れ、更に、オイル溝237、239を介して収容孔213、215、サイドギヤ205、207と第1ギヤ部217、219との噛み合い部、第2ギヤ部221、223の噛み合い部、ピニオンギヤ209、211とデフケ−ス203との摺動部、サイドギヤ205、207とデフケ−ス203との摺動部(スラストワッシャ243)、サイドギヤ205、207間の摺動部(スラストワッシャ245)などに送り、これらを潤滑している。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】ところが、図4に示すように、カバ−227側のオイル溝237は各収容孔213と周方向に一致してデフケース203の薄肉部230の内周面に軸方向に形成されているので、特に小型のデファレンシャル装置の場合デフケース203のこの部の強度を確保しにくい。また、強度を確保しようとすると潤滑性に悪影響を及ぼす。 【0010】そこで、この発明は、デフケ−スの強度を損なうことなく、潤滑性を確保可能なデファレンシャル装置の提供を目的とする。 【0011】 【課題を解決するための手段】請求項1のデファレンシャル装置は、両端のボス部にてケース内に回転可能に支持されエンジンの駆動力が入力されるデフケースと、前記デフケース内に同心に対向配置され前記入力された駆動力を前記デフケースのボス部を貫通する各出力軸に出力する一対のサイドギヤと、前記サイドギヤの周囲のデフケースに回転軸に平行に設けられる複数組の対の収納孔と、前記対の収納孔にそれぞれ収納され互いに噛み合うと共に、前記サイドギヤと各別に噛み合うピニオンギヤ組と、前記デフケースのボス部内周と出力軸の外周との間に形成される第1のオイル通路と、隣接する前記収納孔組同士の中間部位におけるデフケースの厚肉部内周面に軸方向に形成されると共に外側端が前記第1のオイル通路のオイルを導通し、内側端がサイドギヤとの摺動面に連通する第2のオイル通路とを備えることを特徴とする。 【0012】したがって、第2のオイル通路がデフケースの厚肉部内周面に軸方向に形成されているので、前記従来例と異なり、デフケースの強度を損なうことなく潤滑性を確保することが可能となる。 【0013】また、デフケースの強度確保のための大型化や重量増を避けることができる。 【0014】請求項2の発明は、請求項1記載のデファレンシャル装置であって、一端が前記第2のオイル通路の内側端に連通して半径方向に斜交して延設され他端が隣接する収納孔組の少なくともいずれかの収納孔に連通する第3のオイル通路とを備えることを特徴とする。 【0015】したがって、第3のオイル通路が半径方向に斜交して延設され、第2のオイル通路と収納孔とを連通しているので、第2のオイル通路のオイルをピニオンギヤの収納孔に十分導通することができ、請求項1の発明と同等の効果が得られる。 【0016】請求項3の発明は、請求項1または2に記載のデファレンシャル装置であって、前記対のピニオンギヤ同士の噛合い位置が前記サイドギヤの軸方向外側であるか、または両サイドギヤの軸方向中間部であることを特徴とする。 【0017】したがって、上記いずれの構成のデファレンシャル装置においても、請求項1または2の発明と同等の作用・効果が得られる。 【0018】 【発明の実施の形態】図1と図2とによって本発明の一実施形態を説明する。図1は本実施形態のデファレンシャル装置の断面図(図2のA−A断面図)であり、図2は後述するカバー7側のオイル通路を示す説明図である。 【0019】図1のように、デファレンシャル装置1のデフケ−ス3はケ−シング本体5とカバ−7とを、互いの間に形成された印籠部9で係合し、ボルトで固定して構成されている。カバ−7の軸心部には左右に突き出したボス部11が設けられており、ケ−シング本体5の右端にはボス部13が設けられている。又、カバ−7とケ−シング本体5には、それぞれボス部11、13と連続した壁部15、17が設けられている。 【0020】デフケ−ス3は、そのボス部11、13にて図示しないデフキャリヤの内部に回転可能に支持されている。デフキャリヤにはオイル溜りが設けられており、デファレンシャル装置1は、静止状態で下部がこのオイル溜りに浸されており、回転するとオイル溜りからオイルを撥ね上げる。デフケ−ス3には、上記オイル溜りのオイルが流出入する開口61、63、65が設けられている。 【0021】デフケ−ス3の内部には、左右一対のヘリカルサイドギヤ19、21がデフケ−ス3と同心に対向配置されている。各サイドギヤ19、21はそれぞれの中空のボス部23、25を介してデフケ−ス3の軸支部27、29に回転自在に支承されている。左右の車輪側出力軸はそれぞれデフケ−ス3のボス部11、13を貫通し、サイドギヤ19、21のボス部23、25にスプライン連結されている。サイドギヤ19、21とデフケ−ス3との間にはそれぞれワッシャ31、33が配置されており、サイドギヤ19、21の間にはワッシャ35が配置されている。 【0022】サイドギヤ19、21の周囲のデフケ−ス3には長短の収容孔37、39が、図2のように、周方向等間隔に4組形成されている。長い収容孔37には長いヘリカルピニオンギヤ41が摺動回転自在に収容されており、短い収容孔39には短いヘリカルピニオンギヤが摺動回転自在に収容されている。 【0023】長いピニオンギヤ41は、第1ギヤ部43と第2ギヤ部45及びこれらを連結する小径の中間軸部47とからなり、第1ギヤ部43は右のサイドギヤ21と噛み合っている。又、短いピニオンギヤは、中間軸部を持たず、連続して形成された第1ギヤ部と第2ギヤ部からなり、第1ギヤ部は左のサイドギヤ19と噛み合い、第2ギヤ部はピニオンギヤ41の第2ギヤ部45と噛み合っている。各サイドギヤ19、21は各ピニオンギヤとの噛み合いによって径方向外側から支持されている。 【0024】図1のように、カバ−7のボス部11と、ケ−シング本体5のボス部13のそれぞれの内周には、螺旋状の第1のオイル溝(第1のオイル通路)49とオイル溝55とが設けられている。オイル溝49、55は螺旋の角度θが互いに反対方向になっており、これらの角度θによって各オイル溝49、55は車両が前進走行するときのデフケ−ス3の回転方向でオイル溜りのオイルをデフケ−ス3の内部に取り入れる。 【0025】また、この第1のオイル溝49と外側端が連通する第2のオイル溝(第2のオイル通路)51が設けられている。第1のオイル溝49を通ったオイルが第2のオイル溝51の上記外側端に導通される。そして、このオイル溝51はデフケ−ス3の周方向に隣接する長短の収容孔対37、39同士の中間部位におけるデフケ−ス3の軸支部27の4か所の厚肉部内周面に軸方向に形成され、その内側端(奥側端)はデフケ−ス3とサイドギヤ19との摺動部に連通している。 【0026】さらに、図2に示すように、第2のオイル溝51の内側端にて一端が連通し、半径方に斜交して短い収容孔39に向かって延設され、他端が該収容孔39に連通する第3のオイル溝(第3のオイル通路)59が設けられている。 【0027】又、第2のオイル溝51には、デフケ−ス3の中心軸53からの距離が軸方向内側に向かって大きくなる勾配が与えられており、第2のオイル溝51から第3のオイル溝59へのオイルの流れが遠心力によって促進される。 【0028】一方、デフケ−ス3の右端側のボス部13および壁部17には螺旋状のオイル溝55に連通し、周方向には長い収容孔37と一致し該収容孔37と連通するオイル溝57,59が設けられている。 【0029】つぎに、このデファレンシャル装置1の作用を説明する。 【0030】デフケ−ス3を回転させるエンジンの駆動力は、各ピニオンギヤからサイドギヤ19、21を介して左右の車輪側出力軸に分配される。又、例えば悪路走行中に、車輪間に駆動抵抗差が生じるとエンジンの駆動力は各ピニオンギヤの自転によって左右各側に差動分配される。 【0031】トルクの伝達中、各ピニオンギヤの歯先はサイドギヤ19、21との噛み合い反力により収容孔37、39の壁面に押し付けられて摩擦抵抗が発生する。又、ヘリカルギヤの噛み合いスラスト力により、デフケ−ス3の回転方向(車両の走行方向)に応じて、各ピニオンギヤの両端はデフケ−ス3に押し付けられ、サイドギヤ19はスラストワッシャ31を介してカバ−7のボス部11に押し付けられ、サイドギヤ21はスラストワッシャ33を介してケ−シング本体5のボス部13に押し付けられる。又、各サイドギヤ19、21はスラストワッシャ35を介して互いに押圧し合う。 【0032】こうして、各摺動部で摩擦抵抗が発生し、これらの摩擦抵抗によってトルク感応型の差動制限機能が得られる。 【0033】デファレンシャル装置1の静止状態では、オイル溜りのオイルレベル以下になるデフケース3の開口61、63、65からオイルが流出入し、デフケ−ス3の内部、すなわち、各ピニオンギヤとサイドギヤ19、21との噛み合い部および各ピニオンギヤと収容孔37、39(デフケース3)との摺動部を潤滑する。 【0034】又、デファレンシャル装置1の回転時には、第1のオイル溝49からデフケ−ス3に流入したオイルが、第2のオイル溝51および第3のオイル溝59を経て短い収容孔39に導かれ各ピニオンギヤと各サイドギヤ19、21との噛み合い部およびこれらの各ギヤとデフケース3、スラストワッシャ31,33,35との摺動部を潤滑する。 【0035】同時に、右端側ボス部13の螺旋状のオイル溝55からデフケ−ス3に流入したオイルが、オイル溝57,59を経て長い収容孔37に導かれ各ピニオンギヤと各サイドギヤ19、21との噛み合い部およびこれらの各ギヤとデフケース3、スラストワッシャ31,33,35との摺動部を潤滑する。 【0036】このとき、勾配が与えられた第2のオイル溝51によりデフケ−ス3内側へのオイルの流れが促進される。 【0037】又、デフケ−ス3に流入した上記オイルはデフケ−ス3に設けられた開口61、63、65によりその循環が促進される。 【0038】こうして、本実施形態によれば、特に第1、第2、第3のオイル溝49,51,59をデフケ−ス3の厚肉部に設けているので、デフケ−ス3の右端側のオイル溝55,57,59による潤滑作用と共に、デフケ−ス3の強度を損なうことなく十分な潤滑効果を確保することが可能となる。 【0039】第1〜第3のオイル溝49,51,59を設けることによって、デファレンシャル装置の大型化や重量増を避けることができる。 【0040】なお、本実施形態ではカバー7側端(片側端)に第1〜第3のオイル溝49,51,59を設けているが、デフケ−スの両側端に設ける構成にすることも可能である。 【0041】また、対のピニオンギヤ同士の噛み合い部の軸方向位置を両サイドギヤの中間部位に設定したデファレンシャル装置に適用することも可能である。この場合には、第1のオイル溝によってデフケ−ス内に導入されたオイルは、サイドギヤのボス部内周面に形成され出力軸と連結するスプライン部を通過し、両サイドギヤの軸方向中間部に配置されたケース部材の内周側において軸方向に形成された第2のオイル溝に導通する。第2のオイル溝を形成したケース部材は強度が損なわれることなく、サイドギヤ端面を主として良好な潤滑作用が得られる。 【0042】 【発明の効果】以上の説明から明らかなように、請求項1に記載の発明によれば、第2のオイル通路をデフケースの厚肉部内周面に軸方向に形成しているので、前記従来例と異なり、デフケースの強度を損なうことなく潤滑性を確保することが可能となる。 【0043】また、装置の大型化や重量増を避けたうえで、デフケースの強度確保が可能となる。 【0044】請求項2に記載の発明によれば、第3のオイル通路を半径方向に斜交して延設し、第2のオイル通路と収納孔とを連通しているので、第2のオイル通路のオイルをピニオンギヤの収納孔に十分導通することができ、請求項1の発明と同等の効果が得られる。 【0045】請求項3に記載の発明によれば、対のピニオンギヤ同士の噛合い位置が前記サイドギヤの軸方向外側であるか、または両サイドギヤの軸方向中間部である構成のデファレンシャル装置において、請求項1または2の発明と同等の効果が得られる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000225050 【氏名又は名称】栃木富士産業株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)10月14日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】三好 秀和 (外8名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−118028 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)4月30日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−280845 |
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